JPH09238910A - 手首血圧計のカフ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 カフの幅を狭くしても、従来のカフと同等の
圧迫能力が得られ、手首の太さによる血圧値の誤差がで
にくい手首血圧計のカフを提供する。 【解決手段】 バンド２の内側に弾性薄板４があり、保
護布７は、少なくとも１回の折り曲げ部を有し、弾性薄
板４と空気袋３を包み、バンド２と外周が固定されてい
る。弾性薄板４は薄い弾性板なので、手首の太さに対応
して手首に隙間無く巻ける。また空気袋３が手首側へ膨
張すると、保護布７の折り曲げた部が伸び、空気袋２の
膨張を妨げることがない。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は血圧計、更に詳しく
は手首血圧計のカフに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】血圧測定を健康管理の１つの目安にする
場合、血圧値は常に変動しているため、毎日決めた時刻
に数回血圧測定を行うことが大切である。そのためには
血圧をいつでも場所を選ばず測定する必要がある。この
ため、血圧計が腕時計のように常時携帯できるようにな
れば上記の測定が可能になり便利である。

【０００３】従来より血圧計付き腕時計としては、心電
波を検出する心電波検出電極及び脈拍を検出する脈拍検
出手段とから成り、電子回路にて検出された心電波と脈
拍との検出時間の差に基づいて血圧値を算出する方式の
血圧計を採用したものがある。このような前記血圧計付
き腕時計の詳細な説明は特開平６−２８９１６８号公報
に記載されている。

【０００４】これに対して本願の血圧計にて使用する血
圧測定法は、オシロメトリック測定法である。この測定
法は、上腕または手首等に巻いたカフにて間接的に動脈
を圧し、その時に発生する生体の脈動による空気袋内の
圧力の変化を圧力センサーにて読みとり、血圧値を算出
する方法である。オシロメトリック測定法の利点は、測
定が容易であり、精度の良い血圧値を得られる点であ
る。

【０００５】以下に従来のオシロメトリック式手首血圧
計のカフについて図を用いて説明する。図６は手首血圧
計の血圧測定時の姿勢を示す斜視図である。図７は従来
の手首血圧計の断面図である。図８は従来のカフを構成
するクリップ板の斜視図である。図９は従来のカフを手
首に装着した状態を示す断面図であり、図９（ａ）は無
負荷時を表し、図９（ｂ）は膨張時を表す。

【０００６】図７において、１１は血圧計本体であり、
図示しないポンプ、スローリーク弁、圧力センサーを内
蔵し、表面には表示部及び操作ボタンを配設してある。
２は血圧計本体１１を手首に取り付けるためのバンドで
ある。８は着脱テープであり、バンド２の一端と他端の
折り返し部とに溶着、または縫って固定されていて着脱
容易なものである。

【０００７】１４はバンド２の内側に配設された図８に
示すような樹脂成形部品の副え板部材であるクリップ板
である。手首に巻く方向の一部が切り放された開口部を
有する略円筒形状のクリップ板１４には、バンド２を貫
通して血圧計本体１１の４カ所の凹部１１ａにそれぞれ
係合する４本のフック１４ａが一体に樹脂成形されてい
る。４本のフック１４ａの中心付近に形成された穴１４
ｂは後述するジョイントを通す穴である。フック１４ａ
の立ち上がり部分の周辺部分はバンド２を含んで血圧計
本体１１と強固に結合している。

【０００８】クリップ板１４の詳細な説明は、特開平２
−１０７２２５号公報等に記載されている。クリップ板
１４は、前記開口部から手首にはめ易くしたものであ
り、また後述する空気袋が膨脹したときに、バンド２側
への膨らみを制限して手首側へ有効に膨らむようにさせ
たものである。これにより生体の脈動の変化を感度よく
捉えることができる。

【０００９】３はバンド２の幅と略同一の空気袋であ
り、クリップ板１４の内側に配設されて手首に巻き付く
ようになっている。６は中心に空気孔を持つジョイント
である。ジョイント６は、一端は空気袋３のバンド側に
溶着され、他端はクリップ板１４の穴１４ｂとバンド２
に設けられた穴とを通り、血圧計本体１１の下部にて図
示しないポンプやスローリーク弁、圧力センサーと接続
されている。

【００１０】１７は保護布であり、保護布１７は空気袋
３とクリップ板１４とを包み、空気袋３を保護する。バ
ンド２と保護布１７の外周は糸で縫われて固定されてい
る。保護布１７は、生地自体に大きな伸縮性のあるニッ
ト等の材質にて形成されており、手首へ接触しつつ空気
袋の膨脹に従い膨脹する。

【００１１】カフは、以上のバンド２、クリップ板１
４、空気袋３、保護布１７より構成されている。カフの
サイズは例えばバンドの幅が約６０ｍｍと十分大きいも
のである。

【００１２】図６において１１ｂは、時刻、血圧値、脈
拍値等を表示する表示部であり、血圧計本体１１の上部
に配設されている。手首血圧計にて測定を行なう場合、
図６に示すように掌を上に向けてまず前記バンド２を手
首へ巻き、着脱テープ８にてしっかり固定する。図９
（ａ）において、９は手首断面の一部であり、保護布１
７と接触している。１０は動脈であり、手首９の内側に
ある。この時空気袋３の状態は、袋内の圧力が大気圧と
同じであり膨張していない。そのため手首９は圧迫され
ていない。よって動脈１０も圧迫されていない状態でバ
ンド２は手首９へ巻かれ固定されている。次に血圧計本
体１１の図示しない操作ボタンを押すと、血圧計本体１
１に内蔵されている図示しないポンプが駆動され、空気
がジョイント６を通り空気袋３へ送り込まれ、空気袋３
が膨張する。

【００１３】図９（ｂ）に示すように空気袋３が膨張す
るが、バンド２側は、材質が固いクリップ板１４がある
ために空気袋３は膨脹しにくい。従って空気袋３は手首
９側に大きく膨張し、空気袋３の膨脹に従って保護布１
７が伸び広がっていく。これによって、手首９が圧迫さ
れ、動脈１０も圧迫される。そして血圧被測定者の血圧
測定に必要な圧力にて、手首９を圧迫し、動脈１０が止
血された状態となるまで空気袋３は膨張する。その後、
血圧計本体１１に内蔵されている図示しないポンプの駆
動が止められ、空気袋３内の空気を、ジョイント６を通
して血圧計本体８に内蔵された図示しないスローリーク
弁より徐々に抜くことにより、空気袋３内の圧力をさげ
ていく。このときの脈動による空気袋３内の圧力の変化
を、血圧計本体１１に内蔵された図示しない圧力センサ
ーにて電気的信号に変え、血圧測定者の血圧を演算回路
にて算出し、図６の表示部１１ｂに表示する。

【００１４】このような従来のオシロメトリック式手首
血圧計を腕時計のように常時携帯することができる構成
を取ろうとする場合、この手首血圧計の大きさでは大き
すぎるので小型化が必要条件となるが、前記オシロメト
リック式手首血圧計を小型化する一つの方法は、カフの
サイズを小さくすることであり、他の一つは血圧計本体
の小型化である。

【００１５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
クリップ板１４の構造は、弾性はあるが材質が固く、柔
軟性に乏しいのと、手首断面形状は完全な楕円ではない
ので、カフを手首に巻き付けるときにクリップ板１４が
湾曲しにくい。そのため手首の細い人、その逆に太い人
には、カフを手首に隙間なく巻き付けることが難しい。
よってカフが動脈を圧した時発生する生体の脈動の変化
に、個人差がでてしまうという欠点を有している。

【００１６】また従来の手首血圧計はカフの幅が十分広
いので、手首９を広く浅く圧迫すれば、動脈１０を止血
できた。しかしカフの幅を狭くして、従来のオシロメト
リック式手首血圧計と同等の圧迫能力を得るには、前記
カフの中の空気袋３が、更に手首接触側へ大きく膨脹す
る構造が必要となる。

【００１７】しかしながら、従来の保護布１７の生地自
体の伸びだけでは、空気袋３の膨脹に対して、保護布１
７が膨脹しきれない。そのため保護布１７が空気袋３の
膨張を妨げてしまう。その結果手首９への圧迫能力を充
分に得ることができないという欠点を有している。

【００１８】本発明の目的は、上記の課題を解決しよう
とするもので従来のカフのクリップ板構造に対して、手
首の太い人、細い人にも、クリップ板を手首に隙間なく
巻けるように改良を加えたものである。また保護布の構
造に対し、カフの幅が小さくても従来のカフと同等の圧
迫能力を得られるように改良を加えた常時携帯型の手首
血圧計に適する小型カフ構造を提供することにある。

【００１９】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明のうちで請求項１記載の発明は、血圧計本体
並びにバンドと副え板部材と空気袋と保護布とより成る
カフで構成され、前記バンドと前記空気袋との間に副え
板部材を配設した手首血圧計において、前記副え板部材
が可撓性のある弾性薄板より成ることを特徴としたもの
である。

【００２０】また請求項２記載の発明は、請求項１記載
の発明のうち、前記保護布には手首巻き付け方向に略平
行な少なくとも１つの折り曲げ部を有することを特徴と
したものである。

【００２１】

【発明の実施の形態】以下図面により本発明の実施の形
態を詳述する。図１は本発明の一実施の形態である血圧
計付き腕時計の全体構成図である。図２は本発明の実施
の形態に用いられる弾性薄板の斜視図であり、図２
（ａ）は弾性薄板を手首に巻いていないとき、図２
（ｂ）は手首に巻いたときの形態を表す。図３は本発明
の実施の形態である手首血圧計のカフを手首に装着した
状態を示す断面図であり、図３（ａ）は無負荷時、図３
（ｂ）膨張時を表す。図４、図５は本発明の他の実施の
形態を示すカフの短手方向の部分断面図である。

【００２２】まず構成について説明するが、従来と同じ
構成要素には同じ名称と符号を付けて説明を省略する。
図１において、１は小型化された血圧計本体であり、図
示していないがポンプ、スローリーク弁、圧力センサー
を含んでいる。更に血圧計本体１は、時計回路及び表示
部をも含んでいる。

【００２３】４は本願の特徴点を有する副え板部材の可
撓性のある弾性薄板である。弾性薄板４は、図２（ａ）
に示すように、負荷がかかっていないときは平板形状で
ある。弾性薄板４はバンド２と空気袋３との間に配設さ
れている。図２において、４ａは弾性薄板４の一部を血
圧計本体１側に切り起こして形成されている爪である。
４ｂは弾性薄板４に設けられた空気袋３と血圧計本体１
とを接続するジョイント６を通す穴である。図２（ｂ）
に示すように弾性薄板４は、薄い弾性板であるので、手
首の太さに合わせて円筒状に巻くことができる。

【００２４】５は押さえ板である。押さえ板５は、血圧
計本体１とバンド２の間に位置する。弾性薄板４にある
爪４ａは、バンド２と押さえ板５とに設けられた穴を通
して、血圧計本体１下部と、押さえ板５に挟まれる。そ
して押さえ板５は血圧計本体１下部へ、図示していない
ネジまたはフック等により固定される。

【００２５】また時計本体１下部と弾性薄板４とを取り
付ける爪４ａは、手首に巻く方向の立ち上がり部の間隔
が狭くなっている。これにより押さえ板５を含む血圧計
本体１の下面の形状の影響を受けずに弾性薄板４を手首
に巻けるので、手首とカフとの間に隙間ができない。よ
ってカフが動脈を圧した時発生する生体の脈動による空
気袋３内の圧力の変化は大きくなり、血圧を測定しやす
くなる。

【００２６】弾性薄板４の材質は、例えばバネ性のある
ステンレス鋼や、マルエージング鋼のなどの薄い金属板
や、ポリエチレン、ポリ塩化ビニール、ポリアセタール
などの薄いプラスチック板でもよい。その板厚は例え
ば、薄い金属板では約０．１ｍｍ、薄いプラスチック板
では約０．４ｍｍである。

【００２７】７は本願の特徴点を有する保護布であり、
保護布７は、図３（ａ）に示すように手首の巻き付け方
向に対して、平行に２カ所の折り曲げ部７ａを有してお
り、空気袋３と弾性薄板４とを包み、外周をバンド２へ
縫うか溶着をして固定する。保護布７の材質は、従来と
同じ伸縮性のあるニットなどで形成する。

【００２８】また保護布７は少なくとも１回の折り曲げ
部を有していればよいが、図４に示すように、数回の折
り曲げ部を増やした構造でもよい。

【００２９】また保護布７は、図５に示すように、生地
自体に長手方向に対して平行な蛇腹形状７ｂを形成させ
たものを使用してもよい。

【００３０】カフは、以上のバンド２、空気袋３、弾性
薄板４、保護布７より構成される。カフサイズは、例え
ばバンド２の幅が２０ｍｍである。

【００３１】この手首血圧計にて血圧の測定を行う場
合、図６のようにバンド２を手首９へ巻きつけ従来と同
様にして行われるが、従来のクリップ板１４を弾性薄板
４に変えたことで、カフの柔軟性が増し手首の断面形状
や太さの違いに影響されず、カフを手首に隙間無く巻け
るようになる。また弾性薄板４が柔軟性に富む上に、爪
４ａ立ち上がり部分の間隔が従来のクリップ板１４のフ
ック１４ａの間隔より狭くなっているので、カフは押さ
え板５を含んだ血圧計本体１１の下面とは、狭い範囲の
みで連結されている。このことからして、カフを手首に
巻き付ける際に、血圧計本体１側の影響を受けずに、従
来のカフよりさらに手首に隙間なく巻ける構造となる。

【００３２】以上説明したように、手首の太さの個人差
によらず、手首断面形状によく倣い、カフを隙間なく巻
き付けることができるので、カフが動脈を圧した時発生
する生体の脈動の変化において、手首の太さによる差が
発生しにくい。

【００３３】しかも保護布７の折り曲げた部分が広がる
ため、空気袋３の十分な膨脹を妨げることはない。従っ
て、図３に示すように空気袋３が手首９側へ大きく膨脹
する構造となる。以上より、カフの幅を狭くしても従来
のオシロメトリック式手首血圧計と同等の圧迫能力を得
ることができる。

【００３４】

【発明の効果】上記の如く本発明によれば、カフを形成
する副え板を弾性薄板で構成したことにより、手首の太
さの個人差に関係なく、カフが手首に隙間無く巻けるよ
うになる。また前記弾性薄板の血圧計本体との固定部分
である爪の立ち上がり部分の間隔を従来より狭くできる
ので、カフを手首に巻いた時に血圧計本体の形状に影響
されずに一層装着時の違和感が無い。従って前記カフが
動脈を圧した時発生する生体の脈動の変化に、手首の太
さによる差がでにくい。そのためより正確な血圧測定が
できる。手首から外した場合にはバンドを伸ばして置け
るので、腕時計のように扱える。

【００３５】また、カフを形成する保護布を、手首の巻
付け方向に略平行に少なくとも１回の折り曲げ部を有し
てバンドに固定したので、前記保護布は、前記空気袋の
膨脹時に折り曲げ部が広がり、前記空気袋の膨脹を妨げ
る事がない。よって前記カフの幅を狭くしても、従来の
手首血圧計と同等の圧迫能力を得ることができる。また
前記カフの幅を狭くすることにより、前記カフを形成す
る前記バンドの幅も狭くできるため、バンド全体がすっ
きりとして見栄えがよい。以上のように、常時携帯型の
血圧計に適するカフを提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の１実施形態を示す手首血圧計の断面図
である。

【図２】本発明の１実施形態の手首血圧計のカフに用い
られる弾性薄板の斜視図。

【図３】本発明の１実施形態をである手首血圧計のカフ
を手首に装着した状態を示す断面図である。

【図４】本発明の他の実施形態を示すカフの短手方向の
断面図である。

【図５】本発明の他の実施形態を示すカフの短手方向の
断面図である。

【図６】手首血圧計の血圧測定時の姿勢を示す斜視図で
ある。

【図７】従来の手首血圧計の断面図である。

【図８】従来のカフを構成するクリップ板の斜視図であ
る。

【図９】従来のカフを手首に装着した状態を示す断面図
である。

【符号の説明】

１血圧計本体 ２バンド ３空気袋 ４弾性薄板 ４ａ爪 ４ｂ穴 ５押さえ板 ６空気孔 ７保護布 ７ａ折り曲げ部 ７ｂ蛇腹形状 ８着脱テープ ９手首 １０動脈

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 血圧計本体並びにバンドと副え板部材と
   空気袋と保護布とより成るカフで構成され、前記バンド
   と前記空気袋との間に副え板部材を配設した手首血圧計
   において、前記副え板部材が可撓性のある弾性薄板より
   成ることを特徴とする手首血圧計のカフ。
2. 【請求項２】 前記保護布には手首巻き付け方向に略平
   行な少なくとも１つの折り曲げ部を有することを特徴と
   する請求項１記載の手首血圧計のカフ。