JP2020048943A - 脈波センサ及び脈波測定方法 - Google Patents
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Abstract
Description
この種の脈波センサとして、例えば下記特許文献1に示されるように、血管の脈動に起因した皮膚の変動(上下動)を測定することで、脈波を測定する非侵襲的な脈波センサが知られている。
しかしながら上記脈波センサでは、皮膚表面に対して適切に密着した状態で固定されているか否かを、例えば目視等によって判断するしかなく、脈波センサの装着状態を正確に判断することが難しい。そのため、例えば皮膚表面に対する密着が不十分となる場合があり、S/N比が低下(悪化)する可能性があった。
この場合、脈波の測定結果の信頼性を回復するために、脈波センサの位置を修正することが必要とされるが、皮膚表面を通じて血管の位置を目視することが困難であるうえ、脈波センサの装着状態をそもそも把握することが難しいので、脈波センサの位置修正を適切に行うことが難しい。
特に、測定状態検出部によって、生体表面に対するアタッチメント部の押し当て状態に基づいて脈波の測定状態を検出できるので、生体に対する脈波センサの装着状態を把握することができる。そのため、生体表面に対する脈波センサの装着状態を一定の状態に維持し易く、脈波を精度良く測定することができる。
特に、応力センサが弾性体の弾性変形に対応した応力信号を出力するので、応力信号をモニタすることで弾性体の変形状態を把握することができる。これにより、例えば弾性体のどの部分が、どの程度、弾性変形しているか、或いは脈波の測定中に弾性体の弾性変形がどのように変化したのか等の弾性体の状態を把握することができる。従って、生体表面に対する弾性体を介したアタッチメント部の押し当て状態を把握することができ、脈波の測定状態、すなわち生体に対する脈波センサの装着状態を把握することができる。
特に、基板に片持ち状態で接続されたカンチレバーを利用するので、センサ室の内圧変化が微小であったとしても、内圧変化にカンチレバーを反応良く追従させて撓み変形させることができるので、脈波を感度良く測定することができる。
以下、本発明に係る脈波センサ及び脈波測定方法の第1実施形態について図面を参照して説明する。
図1〜図3に示すように、本実施形態の脈波センサ1は、使用者の手首S(本発明に係る生体)に装着されて使用され、心臓の拍動に伴って伝わる橈骨動脈Rの圧力波を脈波として測定するセンサとされている。具体的には、脈波センサ1は主に手首Sの裏側(手の平側)に装着される。
なお、橈骨動脈Rは人体の腕部の長さ方向に沿って延びる動脈であり、血管幅は一般的に2mm〜4mmの範囲内とされている。本実施形態では、橈骨動脈Rが延びる方向を走行方向M1といい、手首Sの裏側の平面視で走行方向M1に対して直交するように交差する方向を交差方向M2という。
なお、本実施形態では、手首表面S1(本発明に係る生体表面)からセンサ筐体2に向かう方向を上方といい、その反対方向を下方という。
第1固定ベルト25及び第2固定ベルト26は、センサ筐体2を間に挟むようにセンサ筐体2の両側に配置され、基端部が例えば裏蓋21に対して回動可能にそれぞれ連結されている。ただし、この場合に限定されるものではなく、第1固定ベルト25及び第2固定ベルト26の基端部は本体ケース20に対して連結されていても構わない。
なお、センサ基板10の平面視で、互いに直交する2方向のうちの一方の方向を前後方向L1といい、他方向を左右方向L2という。センサ基板10は、前後方向L1に沿った長さが左右方向L2に沿った長さよりも長い平面視長方形状に形成されている。ただし、センサ基板10の形状はこの場合に限定されるものではなく、適宜変更して構わない。
CPU40は、脈波センサ1の作動を総合的に制御する機能を有している。さらにCPU40は、脈波を検出する脈波検出部15及び、手首表面S1に対するアタッチメント部12の押し当てに関する押し当て情報を算出する情報算出部46を少なくとも有している。なお、CPU40は例えばセンサ基板10上に実装されている。
ただし、通信部43及び通信アンテナ44は必須なものではなく、具備しなくても構わない。
なお、アタッチメント部12の中心軸線O方向から見た平面視で中心軸線Oに交差する方向を径方向といい、中心軸線O回りに周回する方向を周方向という。
なお、アタッチメント部12に対する弾性体13の固定方法としては、特定の方法に限定されるものではないが、例えば接着や溶着等によって固定して構わない。さらには、二色成形或いはインサート成形等によって、アタッチメント部12と弾性体13とを一体的に固定しても構わない。
このように形成された弾性体13は、厚み方向(上下方向)に潰れるように弾性変形可能とされているうえ、アタッチメント部12の下端部との接続部分を基点として径方向に湾曲するように弾性変形可能とされている。
カンチレバー50は、センサ基板10の上面に対して重なった状態で接合された半導体基板によって形成されている。本実施形態では、半導体基板として、シリコン支持層32、シリコン酸化膜等の絶縁層33及びシリコン活性層34を、下方からこの順番で熱的に張り合わせたSOI基板(本発明に係る基板)31を例に挙げて説明している。従って、カンチレバー50は、SOI基板31によって形成されている。
連通孔35は、貫通孔30を通じてセンサ室11内に連通していると共に、後述する第1ギャップ37を通じてカンチレバー50の上方に位置する上部空間36に連通している。これにより、第1ギャップ37、連通孔35及び貫通孔30を通じて、センサ室11内と上部空間36内とは互いに連通している。
具体的にはカンチレバー50は、先端部が自由端とされたレバー本体51と、レバー本体51とシリコン活性層34とを一体的に接続すると共に、レバー本体51を片持ち状態で支持する2つのレバー支持部52とを備え、連通孔35を上方から覆うように配置されている。これにより、カンチレバー50は、レバー本体51の先端部側が自由端とされた片持ち梁構造とされ、レバー支持部52を中心としてセンサ室11の内圧変化に応じて撓み変形する。
なお、本実施形態では、前後方向L1に沿ってレバー支持部52からレバー本体51に向かう方向を前方といい、その反対方向を後方という。
2つのレバー支持部52は、第2ギャップ38を間に挟んで左右方向L2に並ぶように配置されている。これにより、先に述べたように、カンチレバー50はレバー支持部52を中心として撓み変形し易い構造とされている。
なお、第2直線ギャップ38bは、第1直線ギャップ38aよりも後方に向かって長く形成されており、後述する第2溝部57に接続されている。
なお、ピエゾ抵抗層53及び外部電極55の上面に、図示しない絶縁膜を保護膜として被膜することで、外部との電気的な接触を防止することも可能である。
第1溝部56は、シリコン活性層34のうち第1ギャップ37よりも前方側に位置する領域に形成されていると共に、前後方向L1に沿って直線状に延びるように形成されている。第1溝部56は、前端部がSOI基板31の前方側の側面に達し、且つ後端部が第1ギャップ37に連通するように形成されている。これにより、ピエゾ抵抗層53及び外部電極55のうち、第1ギャップ37よりも前方側に位置する部分は、第1溝部56によって左右方向L2に分断されている。
なお、第2溝部57は、第2直線ギャップ38bに接続される場合に限定されるものではない。例えば、第1直線ギャップ38aを第2直線ギャップ38bよりも後方に向かって長く形成し、第2溝部57と第1直線ギャップ38aとを接続させても構わない。
ホイートストンブリッジ回路60は、変位検出抵抗54及び第1固定抵抗64が直列接続された枝辺と、第2固定抵抗65及び第3固定抵抗66が直列接続された枝辺と、が基準電圧発生回路62に対して並列に接続されている。
図3及び図5に示すように、センサ基板10の上面には、SOI基板31を上方から覆うように有頂筒状に形成され、センサ基板10に対して例えば密に接触した蓋部材70が組み合わされている。よって、蓋部材70の内側が上部空間36として機能する。ただし、蓋部材70は必須なものではなく、具備しなくても構わない。
具体的には、応力センサ16は、上下方向に延びる縦長の帯状に形成され、アタッチメント部12と弾性体13との接続部分を上下方向に跨ぐように、アタッチメント部12及び弾性体13の内周面側に取り付けられている。つまり、応力センサ16は、上端部がアタッチメント部12における下端部の内周面側に固定され、下端部が弾性体13における上端部の内周面側に固定されるように取り付けられている。
なお、応力センサ16の固定方法としては、特に限定されるものではないが、例えば接着や印刷等による固定が挙げられる。
押し当て情報としては、例えば、手首表面S1に対するアタッチメント部12の押し当て力、手首表面S1に対するアタッチメント部12の押し当て方向、及び手首表面S1に対するアタッチメント部12の初期の押し当て位置からの位置ずれ量及び位置ずれ方向等である。
図9に示すように、脈波センサ1の装着前の状態では、弾性体13が手首表面S1から離間しているので、該弾性体13は弾性変形することなく初期状態を維持している。押し当て力算出部71は、このときに2つの応力センサ16から出力された応力信号を初期値として、メモリ41を介して記録する。
次いで、図3に示すように、手首表面S1に対して弾性体13を接触させながらアタッチメント部12を押し当てると、押し当て力に応じて弾性体13は圧縮するように弾性変形する。そのため、2つの応力センサ16は、弾性体13の弾性変形に対応した応力信号をそれぞれ出力する。
方向算出部72は、2つの応力センサ16から出力された各応力信号の出力差に基づいて、押し当て方向を算出することが可能とされている。
例えば、図3に示すように、弾性体13が全体に亘って均等に圧縮するように弾性変形している場合には、2つの応力センサ16から出力された各応力信号は同等の信号となる。従って、2つの応力信号から出力された各応力信号の出力差は、予め決められた所定範囲内に収まる。この場合、方向算出部72は、手首表面S1に対してアタッチメント部12が傾くことなく押し当てられ、押し当て方向が手首表面S1に対して略垂直であることを算出する。
これにより、方向算出部72は、手首表面S1に対してアタッチメント部12が傾いた状態で押し当てられ、押し当て方向が手首表面S1に対して垂直ではないことを算出する。従って、方向算出部72は、大きな応力信号を出力している側に押し当て方向が傾いていることを算出することが可能とされている。
位置ずれ算出部73は、2つの応力センサ16から出力された各応力信号の正負の変化及び変化量に基づいて、押し当て位置からの位置ずれ量及び位置ずれ方向を算出することが可能とされている。
位置ずれ算出部73は、図3に示すように、手首表面S1に対してアタッチメントが垂直に押し当てられたときの、2つの応力センサ16から出力された応力信号を初期値としてメモリ41を介して記録する。この状態から、図11に示すように、例えば体動等によって脈波センサ1と手首Sとが交差方向M2に相対的に位置ずれした場合には、弾性体13は手首表面S1(皮膚)に引きずられるように径方向に湾曲するように弾性変形する。そのため、一方の応力センサ16が弾性体13の弾性変形に伴って圧縮するように変位すると共に、他方の応力センサ16が弾性体13の弾性変形に伴って引っ張られるように変位する。そのため、2つの応力センサ16が出力する各応力信号は、正負が逆の信号となる。
具体的には、図12及び図13に示すように、表示部42の画面42aには押し当て力の適正範囲、及び適正範囲に対する強弱を段階的に示す複数のライト窓80が形成されている。表示部42は、算出された押し当て力に対応して、複数のライト窓80のいずれか1つを点灯させる。このとき、表示部42は、算出された押し当て力が、適正範囲内である場合には、複数のライト窓80のうち2本の境界ラインで挟まれた3つのライト窓80のいずれか1つを点灯させ、適正範囲よりも押し当て力が強い場合には、適正範囲を示すライト窓80よりも画面42a上の上方に位置するライト窓80のいずれか1つを点灯させ、適正範囲よりも押し当て力が弱い場合には、適正範囲を示すライト窓80よりも画面42a上の下方に位置するライト窓80のいずれか1つを点灯させる。
なお、表示部42はライト窓80を点灯させる際に、異なる色を発色するように点灯させても構わない。例えば、適正範囲を示すライト窓80を点灯させる場合には緑色に点灯させ、適正範囲を示すライト窓80よりも画面42a上の下方に位置するライト窓80を点灯させる場合には、下方に向けて黄色、橙色、赤色の順に色が変化するように点灯させても構わない。
なお、図12及び図13では、色の変化を示す例として、異なるハッチングをライト窓80に図示している。
表示部42の画面42aには、押し当て位置を中心とした円形のガイドサークル83が同心円状に複数表示されている。複数のガイドサークル83の1つは、例えば太線表示され、その内側の領域が位置ずれ量の許容範囲内であることを示す許容サークル84とされている。
信頼性算出部74は、脈波検出部15におけるホイートストンブリッジ回路60からの出力信号Vに基づいて脈波が適切に検出されたか否かを判断すると共に、情報算出部46による押し当て情報に基づいて、脈波の測定中に脈波センサ1が適切に手首表面S1に押し当てられているか否かを判断する。そして、信頼性算出部74は、上記各判断に基づいて、脈波検出部15の検出結果の信頼性を算出する。
なお、図12及び図13では、ガイドサークル83に重なるように信頼性マーク85を表示している例を示す。
次に、上述のように構成された脈波センサ1を利用して、心臓の拍動に伴って伝わる橈骨動脈Rの脈波を測定する脈波測定方法について説明する。
特に、弾性体13が特定の角部を有さないリング状に形成されているので、弾性体13を全周に亘って均等に弾性変形させ易い。従って、センサ室11内を確実に密閉状態にすることが可能となる。
さらに、弾性体13が手首表面S1の弾性よりも低い弾性の弾性材料で形成されているので、大きな押し当て力を必要とせずに、弾性体13を弾性変形させながら、手首表面S1に対して弾性体13を密着させることができる。従って、ユーザに対してさらに不快感を与え難い。
そのため、応力センサ16からの応力信号をモニタすることで、弾性体13の変形状態を把握することができる。これにより、例えば弾性体13のどの部分が、どの程度、弾性変形しているか、或いは脈波の測定中に弾性体13の弾性変形がどのように変化したのか等の弾性体13の状態を把握することができる。
特に、応力センサ16を複数(2つ)有しているので、各応力センサ16からの応力信号に基づいて手首表面S1に対するアタッチメント部12の押し当て状態をより精度良く把握することができる。例えば、各応力センサ16からの応力信号の平均値に基づいて、押し当て力を精度良く把握することが可能となる。また、各応力センサ16からの応力信号の出力差に基づいて、アタッチメント部12が傾く等して押し当て方向が変化したことを精度良く把握することが可能となる。さらに、各応力センサ16からの応力信号の正負の変化及び変化量に基づいて、初期の押し当て位置から、どの方向にどの程度、位置ずれしたかを精度良く把握することが可能となる。
従って、手首Sに対する脈波センサ1の装着状態を、より精度良く把握することができ、安定した脈波の測定に繋げることができる。
すると押し当て力算出部71は、2つの応力センサ16から出力された応力信号を初期値としてメモリ41を介して記録する(ステップS2)。つまり、押し当て力算出部71は、弾性変形する前の弾性体13の初期状態における応力センサ16の応力信号を記録する。そして、押し当て力算出部71が応力信号の初期値を記録すると、表示部42は脈波センサ1を手首Sに押し当てる旨の表示を行う(ステップS3)。
脈波センサ1の装着後、脈波検出部15が、先に述べたようにカンチレバー50の撓み量に基づいたホイートストンブリッジ回路60からの出力信号Vの変化を検出する。すると、信頼性算出部74は、検出した出力信号Vの出力変動幅(脈波信号の振幅幅)が所定範囲内であるか否かを判断する(ステップS4)。
これにより、押し当て力算出部71は、手首表面S1に対する弾性体13を介したアタッチメント部12の押し当て力を算出する。そして表示部42が、押し当て力算出部71によって算出された押し当て力を表示する(ステップS6)。
従って、この場合には、CPU40が手首Sに対して脈波センサ1が適切な押し当て力で押し当てられ、且つ適切な押し当て方向で装着されていると判断する。
そしてCPU40が、手首Sに対して脈波センサ1が適切な押し当て力で押し当てられ、且つ適切な押し当て方向で装着されていると判断した場合には、脈波の検出を開始する測定工程を行う(ステップS11)。
そして、ユーザは、2つの応力センサ16から出力された応力信号の出力差が予め決められた所定範囲内であるか否かを判断する(ステップS13)と共に、範囲外である場合には、表示部42に表示された矢印82を参考に脈波センサ1の位置ずれを調整する(ステップS14)。
押し当て力が弱い場合には、センサ室11内の気密を維持することが難しくなり、センサ室11内の密閉性が低下する。そのため、検出できる脈波信号が小さくなり、S/N比が悪くなってしまう。これとは逆に押し当て力が強い場合には、橈骨動脈R周囲の生体組織を圧迫してしまい、血行を悪くしてしまう。そのため、脈波の検出結果の信頼性が低下するうえ、脈波センサ1が手首に強く押し当たって圧迫感を感じさせてしまうので、ユーザに対して装着時の不快感を与え易い。
しかしながら、本実施形態の脈波センサ1によれば、最適な押し当て力で脈波センサ1を装着できるので、上述した不都合が生じ難い。
図10に示すように、押し当て方向が手首表面S1に対して略垂直でない場合には、弾性体13が部分的に大きく弾性変形するので、手首表面S1に対して押し当て力が局所的に強く作用し易い。そのため、脈波センサ1が手首に対して局所的に強く押し当たることで、部分的な圧迫感を感じさせてしまうので、先ほどと同様にユーザに対して装着時の不快感を与え易い。さらに、手首表面S1に対してアタッチメント部12が傾いて押し当たるので、手首表面S1からアタッチメント部12が部分的に浮き易く、センサ室11内の気密が低下或いは損なわれるおそれがある。
しかしながら、本実施形態の脈波センサ1によれば、手首表面S1に対して略垂直に押し当たるように適切な姿勢で脈波センサ1を装着できるので、上述した不都合を生じさせることがない。
これにより、ユーザは、信頼性マーク85を視認することで、脈波の測定結果の信頼性を容易に把握することができる。従って、ユーザは、測定結果の信頼性を常に把握することができ、使い易く、利便性に優れた脈波センサ1とすることができる。
上述した第1実施形態では、応力センサ16を2つ設けた場合を例にして説明したが、応力センサ16の数は2つに限定されるものではない。例えば、弾性体13を介したアタッチメント部12の押し当て力だけを算出する場合には、応力センサ16が1つだけでも構わない。
ただし、本実施形態のように応力センサ16を2つ設けることで、押し当て力、押し当て方向、位置ずれ量及び位置ずれ方向をそれぞれ算出することができるので好ましい。
次に、本発明に係る脈波センサ及び脈波測定方法の第2実施形態について図面を参照して説明する。なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
・(外気圧)<(センサ室11の内圧)≦(外気圧+300mmHg(40KPa))
なお、高圧気体としては、例えば乾燥窒素ガス、アルゴンガス、圧縮空気等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
2つの応力センサ16は、第1実施形態と同様に、アタッチメント部12の中心軸線Oを中心として周方向に180度の間隔をあけて配置されるように取り付けられていると共に、交差方向M2に沿って並ぶように配置されている。これにより、2つの応力センサ16は、平面視で橈骨動脈Rを挟んで交差方向M2に向かい合うように配置されている。
次に、上述のように構成された脈波センサ90を利用して、心臓の拍動に伴って伝わる橈骨動脈Rの脈波を測定する脈波測定方法について説明する。
それに加え、本実施形態の場合には、図20に示すように、センサ室11を覆う蓋部材70と弾性体91とが協働してセンサ室11を囲んでおり、手首表面S1に対する弾性体91を介したアタッチメント部12の押し当てに関係なく、センサ室11内を常に密閉状態に維持している。しかも、センサ室11の内圧が外気圧よりも高い圧力に設定され、弾性体91が手首表面S1側に向けて凸状に膨らむように予め膨出している。
これにより、方向算出部72は、手首表面S1に対してアタッチメント部12が傾いた状態で押し当てられ、押し当て方向が手首表面S1に対して垂直ではないことを算出する。従って、方向算出部72は、大きな応力信号を出力している側に押し当て方向が傾いていることを算出することが可能である。
さらに、センサ室11内を常に密閉状態に維持できるので、手首表面S1との間に気密性を保つ必要性がない。そのため、例えば脈波の測定中に、傾きの修正作業や位置ずれの修正作業を容易に行い易い。さらに、弾性体91によってセンサ室11内が閉塞されているので、例えば手首表面S1から分泌される汗や皮脂、或いは塵埃等から圧力センサ14が影響を受けてしまうことを防止することができる。これにより、圧力センサ14の品質を維持し易く、さらに安定した脈波の測定を行うことができる。
上述した第2実施形態では、応力センサ16を2つ設けた場合を例にして説明したが、応力センサ16の数は2つに限定されるものではなく、第1実施形態の変形例と同様に、1つでも構わないし、3つ以上の応力センサ16を設けても構わない。
例えば、図23に示すように3つの応力センサ16を周方向に均等に配置しても構わないし、図24に示すように4つの応力センサ16を周方向に均等に配置しても構わない。
例えば、弾性体91の外表面に弱粘着層を形成することで、手首表面S1に対する吸着性を高めても構わない。さらに、弾性体91の外表面に、例えば微細な吸着孔を複数形成することで、自己吸着性を高めるいわゆる吸盤構造を形成しても構わない。
これらのことにより、手首表面S1に対する弾性体91の摩擦力を増大させることができ、手首表面S1に対して弾性体91を押し当てたときに、弾性体91が滑ってしまうことを防止し易い。従って、脈波をより安定して測定することができるうえ、手首表面S1に対する位置ずれをより効果的に検出し易くなる。
次に、本発明に係る脈波センサ及び脈波測定方法の第3実施形態について図面を参照して説明する。なお、この第3実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
本実施形態では、応力センサ16を利用することなく、測定状態検出部が手首表面S1に押し当てられたアタッチメント部12の押し当て状態に基づいて、脈波の測定状態、すなわち手首Sに対する脈波センサの装着状態を把握する場合を説明する。
受光部103は、光源102と同様にアタッチメント部12の内周面に取り付けられている。具体的には、受光部103は、光源102に対して、アタッチメント部12の中心軸線Oを中心として周方向に180度の間隔をあけて配置されるように取り付けられている。さらに光源102及び受光部103は、交差方向M2に沿って並ぶように配置されている。これにより、光源102及び受光部103は、平面視で橈骨動脈Rを挟んで交差方向M2に向かい合うように配置されている。
上述のように構成された本実施形態の脈波センサ100によれば、受光部103からの受光信号に基づいて、手首表面S1に対する弾性体13を介したアタッチメント部12の押し当て状態を把握することができ、手首Sに対する脈波センサ100の装着状態を把握することができる。
例えば、図25に示すように、手首表面S1に対して弾性体13を介してアタッチメント部12を所定の押し当て力で押し当て、且つ手首表面S1に対して略垂直にアタッチメント部12を押し当てた場合には、光源102から照射された検出光Kは、手首表面S1で反射した後に受光部103に入射する。これにより、受光部103は、検出光Kを受光すると共に受光信号をCPU40に出力する。従って、受光部103から受光信号が出力されてきたことを受けて、手首表面S1に対して適切な押し当て力、適切な押し当て方向でアタッチメント部12が押し当てられたことを検出(把握)することができる。
従って、手首表面S1に対する脈波センサ100の装着状態を一定の状態に維持し易く、脈波を精度良く測定することが可能である。
上記第3実施形態において、複数組の光源102及び受光部103をアタッチメント部12の内周面に設けても構わない。この場合には、複数の受光部103から出力された受光信号に基づいて、さらに精度良く脈波センサ100の装着状態を把握することが可能となる。それに加え、押し当て方向或いは位置ずれ方向の検出を行うことも可能になるので、好ましい。
次に、本発明に係る脈波センサ及び脈波測定方法の第4実施形態について図面を参照して説明する。なお、この第4実施形態においては、第2実施形態及び第3実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
本実施形態では、光源102から照射された検出光Kは、手首表面S1に密着した弾性体91の内面で反射した後に、受光部103に入射可能とされている。
上述のように構成された本実施形態の脈波センサ110によれば、第2実施形態及び第3実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
特に、手首Sに対する脈波センサ110の装着状態については、例えば図27に示すように、手首表面S1に対して弾性体91を介してアタッチメント部12を所定の押し当て力で押し当て、且つ手首表面S1に対して略垂直にアタッチメント部12を押し当てた場合には、光源102から照射された検出光Kは、手首表面S1に密着した弾性体91の内面で反射した後に受光部103に入射する。
上記第4実施形態において、弾性膜状の弾性体91の内面に、金属薄膜等を成膜して、検出光Kの反射率を向上させることが好ましい。この場合には、受光部103による受光精度が向上するので、受光信号に基づいて脈波センサ110の装着状態をより精度良く把握することが可能となる。
なお、反射率を向上させることができれば、金属薄膜等に限定されるものではない。
さらには、人体の脚部の巻回するように固定ベルトを取り付けることで、脚部に装着する脈波センサとしても構わない。この場合、測定対象血管としては、例えば大腿動脈であって構わない。さらには、本発明に係る脈波センサを、例えば家畜等の飼育動物或いは実験動物等に装着することも可能である。
例えば、センサ室の内圧変化に応じて変位する薄膜のダイヤフラムを有する圧力センサを採用しても構わない。この場合であっても、同様の作用効果を奏功することができる。ただし、カンチレバーを利用する場合には、センサ室の微小な内圧変化であってもカンチレバーを反応良く追従させながら変形させることができるので、脈波をより精度良く、且つ感度良く検出でき、好ましい。
S1…手首表面(生体表面)
1、90、100、110…脈波センサ
3…固定ベルト(固定部材)
11…センサ室
12…アタッチメント部
13、91…弾性体
14…圧力センサ
15…脈波検出部
16…応力センサ
17、101…測定状態検出部
31…SOI基板(基板)
35…連通孔
37…第1ギャップ(ギャップ)
42…表示部(報知部)
46…情報算出部(処理部)
50…カンチレバー
54…変位検出抵抗
60…ホイートストンブリッジ回路(抵抗値変化検出回路)
82…矢印
Claims (17)
- 生体表面に押し当てられる開口部及び内部にセンサ室を有するアタッチメント部と、
前記アタッチメント部が前記生体表面に押し当てられた際に、生体の脈動に対応して変化する前記センサ室の内圧変化に応じて変位する圧力センサと、
前記圧力センサの変位に基づいて脈波を検出する脈波検出部と、
前記生体表面に押し当てられた前記アタッチメント部の押し当て状態に基づいて、前記脈波の測定状態を検出する測定状態検出部と、を備えることを特徴とする脈波センサ。 - 請求項1に記載の脈波センサにおいて、
前記アタッチメント部における前記生体表面側に設けられ、前記生体表面に対する前記アタッチメント部の押し当て時に弾性変形可能な弾性体を備え、
前記測定状態検出部は、前記弾性体に取り付けられ、該弾性体の弾性変形に対応した応力信号を出力する応力センサを備えている、脈波センサ。 - 請求項2に記載の脈波センサにおいて、
前記弾性体は、前記生体表面側に開口したリング状に形成されている、脈波センサ。 - 請求項2に記載の脈波センサにおいて、
前記弾性体は、前記アタッチメント部の開口部を塞ぐ弾性膜状に形成され、
前記弾性体と協働して前記センサ室を覆う密閉部材を有し、
前記センサ室の内圧は、外気圧よりも高い圧力に設定され、前記弾性体を前記生体表面側に向けて予め膨出するように弾性変形させている、脈波センサ。 - 請求項2から4のいずれか1項に記載の脈波センサにおいて、
前記弾性体は、前記生体表面の弾性よりも低い弾性の弾性材料で形成されている、脈波センサ。 - 請求項2から5のいずれか1項に記載の脈波センサにおいて、
前記応力センサは、前記弾性体に対して、前記アタッチメント部の周方向に間隔をあけて複数取り付けられている、脈波センサ。 - 請求項2から6のいずれか1項に記載の脈波センサにおいて、
前記応力信号に基づいて、前記生体表面に対する前記弾性体を介した前記アタッチメント部の押し当てに関する押し当て情報を算出する処理部と、
前記押し当て情報を外部に報知する報知部と、を備えている、脈波センサ。 - 請求項7に記載の脈波センサにおいて、
前記報知部は、前記押し当て情報を表示する表示部である、脈波センサ。 - 請求項8に記載の脈波センサにおいて、
前記処理部は、前記押し当て情報として、前記生体表面に対する前記アタッチメント部の押し当て力を算出し、
前記表示部は、算出された前記押し当て力を表示するときに、予め決められた押し当て力の適正範囲と関連付けて表示を行う、脈波センサ。 - 請求項8又は9に記載の脈波センサにおいて、
前記処理部は、前記押し当て情報として、前記生体表面に対する前記アタッチメント部の押し当て方向を算出し、
前記表示部は、算出された前記押し当て方向を表示する、脈波センサ。 - 請求項8から10のいずれか1項に記載の脈波センサにおいて、
前記処理部は、前記押し当て情報として、前記生体表面に対する前記アタッチメント部の押し当て位置からの位置ずれ量及び位置ずれ方向を算出し、
前記表示部は、算出された前記位置ずれ量及び前記位置ずれ方向を表示するときに、前記押し当て位置を中心として、前記位置ずれ量に対応した矢印長さ、及び前記位置ずれ方向に対応した矢印方向で構成される矢印を表示する、脈波センサ。 - 請求項8から11のいずれか1項に記載の脈波センサにおいて、
前記処理部は、前記圧力センサの変位及び前記押し当て情報に基づいて、前記脈波検出部による検出結果の信頼性を算出し、
前記表示部は、算出した信頼性を表示する、脈波センサ。 - 請求項1から12のいずれか1項に記載の脈波センサにおいて、
前記アタッチメント部を前記生体に対して取り外し可能に固定する固定部材を備えている、脈波センサ。 - 請求項1から13のいずれか1項に記載の脈波センサにおいて、
前記圧力センサは、
前記センサ室内に連通する連通孔が形成された基板と、
前記連通孔を覆うように前記基板に片持ち状態で接続され、前記連通孔を通じた前記センサ室内の内圧変化に応じて撓み変形するカンチレバーと、を備え、
前記カンチレバーは、前記基板の平面視で、所定のギャップをあけた状態で前記連通孔の内側に配置されることで、前記連通孔を部分的に覆うように形成され、
前記脈波検出部は、前記カンチレバーの撓み変形に応じて抵抗値が変化する変位検出抵抗を含む抵抗値変化検出回路を有し、前記変位検出抵抗の抵抗値変化に対応した前記抵抗値変化検出回路からの出力信号に基づいて前記脈波を検出する、脈波センサ。 - 請求項1から14のいずれか1項に記載の脈波センサにおいて、
前記センサ室は、血管幅が2mm〜4mmの範囲内の動脈に起因する前記生体表面の変動に対応して内圧が変化する、脈波センサ。 - 生体表面に押し当て可能とされ、内部にセンサ室を有するアタッチメント部と、前記センサ室の内圧変化に応じて変位する圧力センサと、前記圧力センサの変位に基づいて脈波を検出する脈波検出部と、前記生体表面に押し当てられた前記アタッチメント部の押し当て状態に基づいて、前記脈波の測定状態を検出する測定状態検出部と、を備え、前記生体表面に対する前記アタッチメント部の押し当て時に、生体の脈動に対応して前記センサ室の内圧が変化する脈波センサを利用して、前記脈波を測定する脈波測定方法であって、
前記測定状態検出部による検出結果に基づいて、前記生体表面に対する前記脈波センサの装着状態を判断する判断工程と、
前記脈波センサの装着状態が予め決められた状態である場合に、前記脈波の検出を開始する測定工程と、を備えていることを特徴とする脈波測定方法。 - 請求項16に記載の脈波測定方法において、
前記測定工程の際、前記測定状態検出部による検出結果に基づいて、前記生体表面に対する前記アタッチメント部の押し当て位置からの位置ずれ方向及び位置ずれ量を算出する、脈波測定方法。
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