JP7199187B2 - 脈波センサ - Google Patents
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Description
図1は、第1の実施形態による脈波センサ1の一例を示す構成図である。
図1(a)に示すように、本実施形態による脈波センサ1は、使用者の手首WR(生体の一例)に装着されて使用され、心臓の拍動に伴って伝わる橈骨動脈BV(測定対象血管の一例)の圧力波を脈波として測定するセンサである。具体的には、脈波センサ1は、主に手首WRの裏側(手の平側)に装着される。
図1(b)に示すように、脈波センサ1は、圧力センサ10と、センサ基板20と、キャビティ筐体21と、アタッチメント部30と、脈波検出部40とを備えている。
なお、本実施形態では、皮膚SKからセンサ基板20に向かう方向を上方といい、その反対方向を下方という。
また、本実施形態では、橈骨動脈BVの走行方向M1にセンサ基板20の左右方向L2が一致し、且つ交差方向M2にセンサ基板20の前後方向L1が一致するように、脈波センサ1が手首WRに固定されるものとする。
また、アタッチメント部30は、筒状(例えば、円筒状)に形成されており、第1層31と、第2層32とを備えている。
キャビティ筐体21は、SOI基板50を覆うように、センサ基板20の上側に配置され、底箱状に形成されている筐体である。すなわち、キャビティ筐体21は、センサ基板20によりキャビティ筐体21の開口面(キャビティ5の開口面)を覆うように、センサ基板20の上側主面に配置されている。キャビティ筐体21は、例えば、四角形状(立方形状)の有底箱状に形成されている。
ここで、図2及び図3を参照して、圧力センサ10の構成の詳細について説明する。
カンチレバー3は、センサ基板20の上面に対して重なった状態で接合された半導体基板によって形成されている。本実施形態では、半導体基板として、シリコン支持層51、シリコン酸化膜等の絶縁層52及びシリコン活性層53を、下方からこの順番で配置されたSOI基板50を例に挙げて説明している。従って、カンチレバー3は、SOI基板50によって形成されている。
なお、本実施形態では、前後方向L1に沿ってレバー支持部4からレバー本体2に向かう方向を前方といい、その反対方向を後方という。
カンチレバー3の基端部3bには、当該カンチレバー3を厚さ方向に貫通する平面視コ形状(C形状)のギャップG2(区画溝)が形成されている。ギャップG2は、左右方向L2に間隔をあけて、前後方向L1に互いに平行に配置された2つの直線ギャップのうちの1つに後述するギャップG3に接続されて形成されている。このギャップG2は、カンチレバー3の基端部3bにおいて圧力センサ10の左右方向L2の中央部に配置されている。これにより、カンチレバー3は基端部3bを中心として撓み変形し易い構造とされている。
なお、2つのレバー支持部4の左右方向L2に沿った支持幅は、同等とされている。従って、カンチレバー3が撓み変形した際、一方のレバー支持部4に作用する応力と、他方のレバー支持部4に作用する応力とは同等とされている。
また、ドープ層6の上面には、ドープ層6よりも電気抵抗率が小さい導電性材料(例えば、Au(金)等)からなる外部電極7が形成されている。この外部電極7は、抵抗R1(変位検出抵抗)の第1端(例えば、外部電極7A)及び第2端(例えば、外部電極7B)として機能する。
ギャップG1は、前後方向L1に沿って直線状に延びるように形成されている。ギャップG1は、前端部がSOI基板50の前方側の側面に達し、且つ後端部が連通孔として連通するように形成されている。これにより、ドープ層6(ピエゾ抵抗)及び外部電極7のうち、前方側に位置する部分は、ギャップG1によって左右方向L2に分断されている。
上述したギャップG1及びギャップG3によって、外部電極7は、外部電極7A及び外部電極7Bに区画されている。従って、外部電極7A及び外部電極7Bは、後述する変位検出抵抗(抵抗R1)を経由する通電経路を除き、直接的な相互の電気的接続は切り離されている。
図4は、本実施形態における脈波検出部40の一例を示す回路図である。
図4に示すように、脈波検出部40は、ホイートストンブリッジ回路41と、差動増幅回路42とを備えている。
抵抗R1(変位検出抵抗)は、第1端が電圧Vccの供給線に、第2端がノードN1に接続されており、キャビティ5内と空気室33内の差圧に応じて抵抗値が変化する。抵抗R1は、例えば、ピエゾ抵抗(ドープ層6)である。また、抵抗R2は、第1端がノードN1に、第2端が電源GNDに接続されている。
なお、外部電極7Aは、抵抗R1の第1端として機能し、電圧Vccの供給線が接続される。外部電極7Bは、抵抗R1の第2端及び抵抗R2の第1端として機能し、ノードN1を介して差動増幅回路42の反転入力端子(-端子)が接続される。
図1に示すように、アタッチメント部30の開口部34を、手首WRの測定箇所(例えば、橈骨動脈BVの位置)の皮膚SKに押し当てると、アタッチメント部30の第2層32が弾性変形して、アタッチメント部30が皮膚SKに密着される。これにより、空気室33の気密性が確保され、橈骨動脈BVの脈動によって生じる動脈上部の皮膚変位が、空気室33の内部の圧力変化に変換される。
この図において、グラフの縦軸は、検出信号の電圧[V]を示し、横軸は、時間[sec(秒)]を示している。また、波形W1は、脈波センサ1による脈波の検出結果を示している。脈波センサ1は、図5の波形W1に示すような、脈波の検出結果を出力する。
これにより、本実施形態による脈波センサ1は、さらにアタッチメント部30の密着度を向上させることができるため、空気室33の気密性をさらに向上させることができる。また、第2層32の弾性が、皮膚SKの弾性と同等であるため、皮膚SKに過度の負担を与えずに、脈波を検出することができる。
これにより、本実施形態による脈波センサ1は、空気室33の内部の圧力変化をカンチレバー3の撓み変形に応じて抵抗値を変化として検出できるため、ホイートストンブリッジ回路41という簡易な構成により、高感度(高精度)に脈波を検出することができる。
これにより、圧力センサ10が、空気室33の微小な圧力変化をカンチレバー3により検出することができるため、本実施形態による脈波センサ1は、さらに高感度(高精度)に脈波を検出することができる。
上述した第1層31の厚み(a)が薄すぎる(短すぎる)と、空気室33内に皮膚SKの一部が入り込み検出感度が低下する場合がある。また、第2層32の厚み(b)が薄い(短い)と、空気室33の気密性が確保できなくなる場合がある。また、第1層31の厚み(a)及び第2層32の厚み(b)が厚すぎる(長すぎる)と、空気室33の体積が大きくなることで、皮膚SKの変位に対する空気室33の内部の圧力変化が小さくなるため、検出感度が低下する場合がある。そのため、本実施形態による脈波センサ1は、第1層31の厚み(a)及び第2層32の厚み(b)を上述した範囲になるように構成することで、脈波の検出を感度よく最適に行うことができる。
一般に、例えば、橈骨動脈BVの血管幅が、2mm~4mmの範囲内とされているため、上述した範囲になるように構成することで、本実施形態による脈波センサ1は、例えば、橈骨動脈BVに対して、脈波の検出を感度よく適切に行うことができる。
次に、図面を参照して、第2の実施形態による脈波センサ1aについて説明する。
脈波を検出する際に、血管の周辺に、筋肉や腱などの皮下組織(生体組織)が存在すると、皮膚SKと、アタッチメント部30の第2層32との間に隙間が生じて、アタッチメント部30の密着性が低下する場合がある。そこで、本実施形態では、筋肉や腱などの皮下組織(生体組織)が存在する場合の変形例について説明する。
なお、図6において、図1に示す構成と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
また、アタッチメント部30aは、筒状に形成されており、第1層31と、第2層32aとを備えている。本実施形態では、第2層32aの構成が異なる点を除いて、基本的には、第1の実施形態の構成と同様である。
なお、橈骨動脈BVの周辺には、長掌筋腱TNが存在し、皮膚SKの表面に長掌筋腱TNによる凸部が生じることがある。第2層32aは、この長掌筋腱TNによる皮膚SKの凸部を覆うように、窪み状の部分である凹部35を皮膚SK側に備えている。
これにより、本実施形態による脈波センサ1aは、例えば、筋肉や腱などの周辺の生体組織(皮下組織)による凸部を第2層32aの凹部35により覆うことで、例えば、橈骨動脈BV(測定対象血管)の周辺に筋肉や腱などの生体組織がある場合であっても、第2層32aと皮膚SKとの密着性を維持することができる。これにより、本実施形態による脈波センサ1aは、上述した第1の実施形態と同様の効果を奏するとともに、空気室33の気密性をさらに向上させることができる。また、本実施形態による脈波センサ1aは、筋肉や腱などの生体組織(皮下組織)がアタッチメント部30aによって圧迫されることによる利用者の不快感や苦痛を低減することができる。
次に、図面を参照して、第3の実施形態による脈波センサ1bについて説明する。
本実施形態では、筋肉や腱などの皮下組織(生体組織)が存在する場合における、上述した第2の実施形態とは別の変形例について説明する。
なお、図7において、図1に示す構成と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
また、アタッチメント部30bは、筒状に形成されており、第1層31と、第2層32bとを備えている。本実施形態では、第2層32bの構成が異なる点を除いて、基本的には、第1の実施形態の構成と同様である。
図7(b)に示すように、第2層32bを平面視した場合に、第2層32bには、長掌筋腱TNを覆うように、アタッチメント部30bの緩和部分32b-2が配置されている。
これにより、本実施形態による脈波センサ1bは、例えば、筋肉や腱などの周辺の生体組織(皮下組織)による凸部を第2層32bの緩和部分32b-2により覆うことで、例えば、橈骨動脈BV(測定対象血管)の周辺に筋肉や腱などの生体組織がある場合であっても、第2層32bと皮膚SKとの密着性を維持することができる。これにより、本実施形態による脈波センサ1bは、上述した第1の実施形態と同様の効果を奏するとともに、空気室33の気密性をさらに向上させることができる。また、本実施形態による脈波センサ1bは、筋肉や腱などの生体組織(皮下組織)がアタッチメント部30bによって圧迫されることによる利用者の不快感や苦痛を低減することができる。
次に、図面を参照して、第4の実施形態による脈波センサ1cについて説明する。
本実施形態では、使用者の体動などにより、開口部34を皮膚SKに押し当てる圧力が低下した場合でも、空気室33の気密性を保持するための変形例について説明する。
なお、図8において、図1に示す構成と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
また、アタッチメント部30cは、筒状に形成されており、第1層31と、第2層32cとを備えている。本実施形態では、第2層32cの構成が異なる点を除いて、基本的には、第1の実施形態の構成と同様である。
これにより、アタッチメント部30cは、開口部34を皮膚SKに押し当てた際に、内側の開口面が外側の開口面よりも押圧が高くなるため、開口部34の内側がより高くなる。そのため、本実施形態による脈波センサ1cは、弱い力でより高い密着度をえることができる。よって、本実施形態による脈波センサ1cは、上述した第1の実施形態と同様の効果を奏するとともに、例えば、使用者の体動などにより、開口部34を皮膚SKに押し当てる圧力が低下した場合でも、空気室33の気密性を保持することができる。
次に、図面を参照して、第5の実施形態による脈波センサ1dについて説明する。
本実施形態では、アタッチメント部30の第2層32を、付け替え可能(開口部34を皮膚SKに押し当てる圧力が低下した場合でも、空気室33の気密性を保持するための変形例について説明する。
なお、図9において、図1に示す構成と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
また、アタッチメント部30dは、筒状に形成されており、第1層31と、第2層32と、支持層36と、粘着層37とを備えている。本実施形態では、第1層31と第2層32と間に、支持層36及び粘着層37を備えている点が異なる点を除いて、基本的には、第1の実施形態の構成と同様である。
粘着層37は、第1層31と支持層36とを空気室33の気密を保持しつつ着脱可能に固定する。
なお、本実施形態における第2層32は、粘着層37の部分から取り外し可能(着脱可能)であり、必要に応じて、第2層32を付け替えることができる。
次に、図面を参照して、第6の実施形態による脈波センサ1eについて説明する。
本実施形態では、アタッチメント部30の第2層32の形状の変形例について説明する。
図10(a)は、本実施形態の第1の変形例である第2層32eの平面図を示している。
なお、本実施形態において、脈波センサ1eの構成は、第2層32eの平面視の形状が異なる点を除いて、第1の実施形態の脈波センサ1と同様であるため、ここではその説明を省略する。
第2層32eの開口部34の内側形状は、図10(a)に示すように、平面視で角丸四角形状(角丸長方形状)になるように構成されている。この開口部34の内側形状は、4辺のうちの対抗する2辺が、交差方向M2と平行に配置され、走行方向M1の辺の長さが、交差方向M2の辺の長さよりも長い長方形状となっている。なお、開口部34の内側形状は、角丸長方形状の代わりに、長方形状であってもよい。
図11は、本実施形態における効果を説明する図である。この図において、比較のために、第1の実施形態のアタッチメント部30(第2層32)の平面図を併記している。
図11に示すように、使用者の体動によって、測定対象血管の位置が、橈骨動脈BV1の位置から橈骨動脈BV2の位置にずれた場合に、第1の実施形態のアタッチメント部30(第2層32)では、空気室33に接する血管の面積が、面積S1から面積S2に減少する。そのため、第1の実施形態の脈波センサ1では、検出感度が低下することがある。
これにより、本実施形態による脈波センサ1eは、例えば、使用者の体動やアタッチメント部30eの位置ずれによる検出不具合を低減することができ、安定して脈波を検出することができる。
例えば、上記の各実施形態は、単独で実施される例を説明したが、各実施形態の一部又は全部を組み合わせて実施するようにしてもよい。
また、脈波センサ1(1a~1e)は、例えば、人体の脚部の巻回するように固定ベルトを取り付けることで、脚部により脈波を検出するようにしてもよい。この場合、測定対象血管としては、例えば、大腿動脈であってもよい。また、脈波センサ1(1a~1e)は、例えば、家畜等の飼育動物或いは実験動物等に装着して、脈波を検出するようにしてもよい。
例えば、空気室33の内部の圧力変化に応じて変位する薄膜のダイヤフラムを有する圧力センサを採用してもよい。
また、上記の各実施形態において、圧力センサ10は、キャビティ筐体21を備える例(キャビティ5を有する例)について説明したが、これに限定されるものではなく、キャビティ筐体21を備えていない(キャビティ5を有していない)構成であってもよい。
2 レバー本体
3 カンチレバー
3a 先端部
3b 基端部
4 レバー支持部
5 キャビティ
6 ドープ層(ピエゾ抵抗)
7、7A、7B 外部電極
10 圧力センサ
20 センサ基板
21 キャビティ筐体
22 貫通孔
30、30a、30b、30c、30d、30e、30f アタッチメント部
31 第1層
32、32a、32b、32c、32e、32f 第2層
32b-1 主部材部分
32b-2 緩和部分
33 空気室
34 開口部
35 凹部
36 支持層
37 粘着層
40 脈波検出部
41 ホイートストンブリッジ回路
42 差動増幅回路
50 SOI基板
51 シリコン支持層
52 絶縁層
53 シリコン活性層
BV、BV1、BV2 橈骨動脈
R1、R2、R3、R4 抵抗
G1、G2、G3 ギャップ
SK 皮膚
TN 長掌筋腱
TP テーパ部
WR 手首
Claims (6)
- 生体表面に押し当てられる開口部と、内部に空気室を保持する第1層と、前記第1層の前記開口部側に配置され前記第1層よりも柔らかい弾性体で構成された第2層と、からなるアタッチメント部と、
前記空気室の内部の圧力変化に応じて変位する圧力センサと、
前記圧力センサの変位に基づいて測定対象血管の脈波を検出する脈波検出部と
を備え、
前記第2層は、前記生体表面側の先端に向かって内側に細くなるテーパ部を備える
ことを特徴とする脈波センサ。 - 前記アタッチメント部は、
前記第1層と前記第2層との間に、前記第2層を支持する支持層と、前記第1層と前記支持層とを前記空気室の気密を保持しつつ着脱可能に固定する粘着層と、を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の脈波センサ。 - 前記第2層は、前記生体表面の弾性と等しい弾性になるように形成されている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の脈波センサ。 - 前記圧力センサは、
前記空気室内に連通する連通孔が形成された基板と、
前記連通孔を覆うように前記基板に片持ち状態で接続され、前記連通孔を通じた前記空気室の内部の内圧変化に応じて撓み変形するカンチレバーと、
を備え、
前記カンチレバーは、前記基板の平面視で、所定のギャップをあけた状態で前記連通孔の内側に配置されることで、前記連通孔を部分的に覆うように形成され、
前記脈波検出部は、前記カンチレバーの撓み変形に応じて抵抗値が変化する変位検出抵抗を含む抵抗値変化検出回路を有し、前記変位検出抵抗の抵抗値変化に対応した前記抵抗値変化検出回路からの出力信号に基づいて前記脈波を検出する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の脈波センサ。 - 前記生体表面と直交方向の前記第1層の厚みが2mm以上であり、前記直交方向の前記第2層の厚みが1mm以上10mm以下であり、前記直交方向の前記第1層と前記第2層との合計の厚みが15mm以下である
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の脈波センサ。 - 前記開口部の開口面における前記空気室の幅が、4mm以上30mm以下である
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の脈波センサ。
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