JP7199187B2 - 脈波センサ - Google Patents

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Description

本発明は、脈波センサに関する。
近年、圧力センサを利用して、心臓の拍動に伴って伝わる血管(動脈)の圧力波を脈波として測定する脈波センサが知られている(例えば、特許文献1)。このよう脈波センサでは、血管の脈動に起因した皮膚の変動を、シール部材の開口部を皮膚に押し当てることで形成される密閉空間(空気室)の内部の圧力変化として、圧力センサが検出することで、脈波を検出している。
特開2016-63936号公報
しかしながら、上述した従来の脈波センサでは、例えば、被測定部位の表面形状や、腱及び筋肉どなどの皮下組織の体動、等によって、シール部材と皮膚の間に隙間が生じて、空気室の気密が保てない場合があった。そのため、従来の脈波センサでは、感度よく脈波を検出することが困難であった。
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、感度よく脈波を検出することができる脈波センサを提供することにある。
上記問題を解決するために、本発明の一態様は、生体表面に押し当てられる開口部と、内部に空気室を保持する第1層と、前記第1層の前記開口部側に配置され前記第1層よりも柔らかい弾性体で構成された第2層と、からなるアタッチメント部と、前記空気室の内部の圧力変化に応じて変位する圧力センサと、前記圧力センサの変位に基づいて測定対象血管の脈波を検出する脈波検出部とを備え、前記第2層は、前記生体表面側の先端に向かって内側に細くなるテーパ部を備えることを特徴とする脈波センサである。
また、本発明の一態様は、上記の脈波センサにおいて、前記第2層は、前記測定対象血管の周辺の生体組織による前記生体表面の凸部を覆うように配置された凹部を前記生体表面側に備えることを特徴とする。
また、本発明の一態様は、上記の脈波センサにおいて、前記第2層は、前記測定対象血管の周辺の生体組織による前記生体表面の凸部を覆うように配置された、前記第2層の主部材よりも柔らかい部材の緩和部分を備えることを特徴とする。
また、本発明の一態様は、上記の脈波センサにおいて、前記アタッチメント部は、前記第1層と前記第2層との間に、前記第2層を支持する支持層と、前記第1層と前記支持層とを前記空気室の気密を保持しつつ着脱可能に固定する粘着層と、を備えることを特徴とする。
また、本発明の一態様は、上記の脈波センサにおいて、前記アタッチメント部の開口部の内側形状は、平面視で四角形状又は角丸四角形状になるように構成されていることを特徴とする。
また、本発明の一態様は、上記の脈波センサにおいて、前記第2層は、前記生体表面の弾性と等しい弾性になるように形成されていることを特徴とする。
また、本発明の一態様は、上記の脈波センサにおいて、前記圧力センサは、前記空気室内に連通する連通孔が形成された基板と、前記連通孔を覆うように前記基板に片持ち状態で接続され、前記連通孔を通じた前記空気室の内部の内圧変化に応じて撓み変形するカンチレバーと、を備え、前記カンチレバーは、前記基板の平面視で、所定のギャップをあけた状態で前記連通孔の内側に配置されることで、前記連通孔を部分的に覆うように形成され、前記脈波検出部は、前記カンチレバーの撓み変形に応じて抵抗値が変化する変位検出抵抗を含む抵抗値変化検出回路を有し、前記変位検出抵抗の抵抗値変化に対応した前記抵抗値変化検出回路からの出力信号に基づいて前記脈波を検出することを特徴とする。
また、本発明の一態様は、上記の脈波センサにおいて、前記生体表面と直交方向の前記第1層の厚みが2mm以上であり、前記直交方向の前記第2層の厚みが1mm以上10mm以下であり、前記直交方向の前記第1層と前記第2層との合計の厚みが15mm以下であることを特徴とする。
また、本発明の一態様は、上記の脈波センサにおいて、前記開口部の開口面における前記空気室の幅が、4mm以上30mm以下であることを特徴とする。
本発明によれば、感度よく脈波を検出することができる。
第1の実施形態による脈波センサの一例を示す構成図である。 第1の実施形態における圧力センサの一例を示す断面図である。 第1の実施形態における圧力センサの一例を示す平面図である。 第1の実施形態における脈波検出部の一例を示す回路図である。 第1の実施形態における脈波センサの検出結果の一例を示す図である。 第2の実施形態による脈波センサの一例を示す構成図である。 第3の実施形態による脈波センサの一例を示す構成図である。 第4の実施形態による脈波センサの一例を示す構成図である。 第5の実施形態による脈波センサの一例を示す構成図である。 第6の実施形態における第2層の一例を示す平面図である。 第6の実施形態における効果を説明する図である。
以下、本発明の実施形態による脈波センサについて図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態による脈波センサ1の一例を示す構成図である。
図1(a)に示すように、本実施形態による脈波センサ1は、使用者の手首WR(生体の一例)に装着されて使用され、心臓の拍動に伴って伝わる橈骨動脈BV(測定対象血管の一例)の圧力波を脈波として測定するセンサである。具体的には、脈波センサ1は、主に手首WRの裏側(手の平側)に装着される。
なお、橈骨動脈BVは、人体の腕部の長さ方向に沿って延びる動脈であり、橈骨動脈BVの血管幅は、一般的に2mm~4mmの範囲内とされている。本実施形態では、橈骨動脈BVが延びる方向を走行方向M1(本発明に係る第1方向)といい、手首WRの裏側の平面視で走行方向M1に対して直交するように交差する方向を交差方向M2(本発明に係る第2方向)という。
また、図1(b)は、本実施形態による脈波センサ1の図1のA-Aに沿った断面図である。また、図1(c)は、本実施形態におけるアタッチメント部30の開口部34の一例を示す平面図である。
図1(b)に示すように、脈波センサ1は、圧力センサ10と、センサ基板20と、キャビティ筐体21と、アタッチメント部30と、脈波検出部40とを備えている。
なお、本実施形態では、皮膚SKからセンサ基板20に向かう方向を上方といい、その反対方向を下方という。
センサ基板20は、例えば、回路基板であり、センサ基板20の上側主面(第1主面)には、後述するSOI基板50、キャビティ筐体21、及び脈波検出部40が実装されている。また、センサ基板20には、当該センサ基板20を厚み方向に貫通する貫通孔22が形成されている。センサ基板20は、皮膚SK(手首WR表面)に対して対向配置された状態で手首WRに固定される。
なお、センサ基板20の平面視で、互いに直交する2方向のうちの一方の方向を前後方向L1といい、他方向を左右方向L2という。センサ基板20は、前後方向L1に沿った長さが左右方向L2に沿った長さよりも長い平面視長方形状に形成されている。ただし、センサ基板20の形状はこの場合に限定されるものではなく、適宜変更して構わない。
また、本実施形態では、橈骨動脈BVの走行方向M1にセンサ基板20の左右方向L2が一致し、且つ交差方向M2にセンサ基板20の前後方向L1が一致するように、脈波センサ1が手首WRに固定されるものとする。
アタッチメント部30は、センサ基板20から下方に向けて(皮膚SK(手首WR表面)に向けて突出するように形成されている。アタッチメント部30は、センサ基板20に対して一体に組み合わされるとともに、皮膚SK側に開口した開口部34を皮膚SKに押し当てることで密閉される空気室33を内部に有する。すなわち、アタッチメント部30の内側に位置する内部空間が空気室33に対応する。
また、アタッチメント部30は、筒状(例えば、円筒状)に形成されており、第1層31と、第2層32とを備えている。
第1層31は、センサ基板20を支持するとともに、開口部34を皮膚SKに押し当てた際に空気室33を保持する。例えば、センサ基板20と直交方向の第1層31の長さa(厚み方向の長さ)が2mm(ミリメートル)以上20mm以下であることが好ましい。
第2層32は、第1層31の開口部34側に配置され、開口部34を皮膚SKに押し当てた際に弾性変形し、第1層31よりも柔らかい弾性体で構成される。第2層32は、例えば、ゴム、シリコン、ウレタン樹脂のゲルなどであり、皮膚SKと同程度に柔らかさを有している。すなわち、第2層32は、皮膚SKの弾性と等しい弾性になるように形成されている。第2層32は、弾性変形して、皮膚SKと密着することで、空気室33の気密性を保つように機能する。例えば、センサ基板20と直交方向の第2層32の長さb(厚み方向の長さ)が1mm以上10mm以下であることが好ましい。また、例えば、直交方向の第1層31と第2層32との合計の長さ(a+b)が15mm以下であることが好ましい。
なお、本実施形態では、アタッチメント部30及び空気室33は、円筒状に形成されており、図1(c)に示すように、アタッチメント部30の開口部34の形状は、外周形状が円形状、且つ、内側形状が円形状のドーナツ形状になっている。また、開口部34の開口面における空気室33の幅cは、4mm以上30mm以下であることが好ましい。また、第2層32の開口面の幅eは、1mm以上であり、アタッチメント部30の開口面の外周の円形状の幅dは、6mm以上であることが好ましい。
圧力センサ10は、センサ基板20に支持されるとともに、空気室33の内部の圧力変化に応じて変位する。圧力センサ10は、キャビティ筐体21と、SOI基板50とを備える。
キャビティ筐体21は、SOI基板50を覆うように、センサ基板20の上側に配置され、底箱状に形成されている筐体である。すなわち、キャビティ筐体21は、センサ基板20によりキャビティ筐体21の開口面(キャビティ5の開口面)を覆うように、センサ基板20の上側主面に配置されている。キャビティ筐体21は、例えば、四角形状(立方形状)の有底箱状に形成されている。
ここで、図2及び図3を参照して、圧力センサ10の構成の詳細について説明する。
図2は、本実施形態における圧力センサ10の一例を示す断面図である。また、図3は、本実施形態における圧力センサ10の一例を示す平面図である。なお、図2に示す圧力センサ10の断面図は、図2に示すB-B線に沿った縦断面図に相当する。
図2及び図3に示すように、圧力センサ10は、空気室33の内部の圧力変化に応じて撓み変形可能なカンチレバー3とキャビティ5とを備えている。
カンチレバー3は、センサ基板20の上面に対して重なった状態で接合された半導体基板によって形成されている。本実施形態では、半導体基板として、シリコン支持層51、シリコン酸化膜等の絶縁層52及びシリコン活性層53を、下方からこの順番で配置されたSOI基板50を例に挙げて説明している。従って、カンチレバー3は、SOI基板50によって形成されている。
ただし、カンチレバー3はSOI基板50によって形成される場合に限定されるものではない。なお、シリコン支持層51を一定電位に維持する(例えば、シリコン支持層51をセンサ基板20のグラウンド等に接続)等して、SOI基板50に厚さ方向の電位差の変動が生じることを抑制することが好ましい。
また、SOI基板50は、センサ基板20と同様に、前後方向L1に沿った長さが左右方向L2に沿った長さよりも長い平面視長方形状に形成されている。シリコン支持層51及び絶縁層52には、これらシリコン支持層51及び絶縁層52を厚み方向に貫通するとともに、センサ基板20と同様に貫通孔22が形成されている。
貫通孔22は、空気室33内に貫通しているとともに、後述するギャップG1及びギャップG2を通じてカンチレバー3の上方に位置するキャビティ5に連通している。これにより、ギャップG1及びギャップG2と、貫通孔22を通じて、空気室33内とキャビティ5とは互いに連通している。すなわち、圧力センサ10は、キャビティ5の内部と外部とを連通する連通孔(ギャップG1及びギャップG2)と、カンチレバー3とを備えている。
カンチレバー3は、片持ち状に支持された状態でSOI基板50に形成されている。カンチレバー3は、基端部3bが片持ち支持されており、基端部3bが半導体基板に接続され、且つ先端部3aが自由端とされた片持ち梁構造とされ、キャビティ5を覆うように配置されている。また、カンチレバー3は、基端部3bから先端部3aに向けて一方向に延びる板状であり、キャビティ5の内部と外部(空気室33の内部)との圧力差に応じて撓み変形する。また、カンチレバー3は、レバー本体2と、レバー本体2を片持ち状態で支持する複数のレバー支持部4とを有し、キャビティ5を覆うように配置される。
なお、本実施形態では、前後方向L1に沿ってレバー支持部4からレバー本体2に向かう方向を前方といい、その反対方向を後方という。
ギャップG1は、平面視でキャビティ5の内部に連通する領域内に形成され、空気をキャビティ5の内外に流通させる連通孔として機能する。
カンチレバー3の基端部3bには、当該カンチレバー3を厚さ方向に貫通する平面視コ形状(C形状)のギャップG2(区画溝)が形成されている。ギャップG2は、左右方向L2に間隔をあけて、前後方向L1に互いに平行に配置された2つの直線ギャップのうちの1つに後述するギャップG3に接続されて形成されている。このギャップG2は、カンチレバー3の基端部3bにおいて圧力センサ10の左右方向L2の中央部に配置されている。これにより、カンチレバー3は基端部3bを中心として撓み変形し易い構造とされている。
2つのレバー支持部4は、ギャップG2を挟んで左右方向L2に並ぶように配置され、レバー本体2と半導体基板とを接続するとともにレバー本体2を片持ち状態で支持している。従って、カンチレバー3は、これらレバー支持部4を中心に撓み変形する。
なお、2つのレバー支持部4の左右方向L2に沿った支持幅は、同等とされている。従って、カンチレバー3が撓み変形した際、一方のレバー支持部4に作用する応力と、他方のレバー支持部4に作用する応力とは同等とされている。
上述したカンチレバー3には、ピエゾ抵抗(抵抗素子)であるドープ層6(不純物半導体層)が全面に亘って形成されている。このドープ層6は、例えばリン等のドープ材(不純物)がイオン注入法や拡散法等の各種の方法によりドーピングされることで形成されている。
ドープ層6のうち、カンチレバー3が形成された部分(レバー支持部4に形成されている部分を含む)は、上述した抵抗R1(変位検出抵抗)として機能する。抵抗R1は、レバー支持部4の撓み量に応じて抵抗値が変化する。
また、ドープ層6の上面には、ドープ層6よりも電気抵抗率が小さい導電性材料(例えば、Au(金)等)からなる外部電極7が形成されている。この外部電極7は、抵抗R1(変位検出抵抗)の第1端(例えば、外部電極7A)及び第2端(例えば、外部電極7B)として機能する。
シリコン活性層53には、当該シリコン活性層53を複数の領域に区画する複数の溝部が形成されている。本実施形態では、ギャップG1及びギャップG3が、シリコン活性層53の上面から絶縁層52に達する深さで形成されている。
ギャップG1は、前後方向L1に沿って直線状に延びるように形成されている。ギャップG1は、前端部がSOI基板50の前方側の側面に達し、且つ後端部が連通孔として連通するように形成されている。これにより、ドープ層6(ピエゾ抵抗)及び外部電極7のうち、前方側に位置する部分は、ギャップG1によって左右方向L2に分断されている。
ギャップG3は、シリコン活性層53のうちギャップG2よりも後方側に位置する領域に、ギャップG2に接続されて形成されているとともに、前後方向L1に沿って直線状に延びるように形成されている。ギャップG3は、前端部がギャップG2に連通し、且つ後端部がSOI基板50の後方側の側面に達するように形成されている。これにより、ドープ層6(ピエゾ抵抗)及び外部電極7のうち、ギャップG3によって左右方向L2に分断されている。
上述したギャップG1及びギャップG3によって、外部電極7は、外部電極7A及び外部電極7Bに区画されている。従って、外部電極7A及び外部電極7Bは、後述する変位検出抵抗(抵抗R1)を経由する通電経路を除き、直接的な相互の電気的接続は切り離されている。
図1の説明に戻り、脈波検出部40は、圧力センサ10の変位に基づいて橈骨動脈BV(測定対象血管)の脈波を検出する。ここで、図4を参照して、脈波検出部40の詳細な構成について説明する。
図4は、本実施形態における脈波検出部40の一例を示す回路図である。
図4に示すように、脈波検出部40は、ホイートストンブリッジ回路41と、差動増幅回路42とを備えている。
ホイートストンブリッジ回路41は、圧力センサ10が有する抵抗R1(変位検出抵抗)と、抵抗R2と、抵抗R3と、抵抗R4とを備えている。
抵抗R1(変位検出抵抗)は、第1端が電圧Vccの供給線に、第2端がノードN1に接続されており、キャビティ5内と空気室33内の差圧に応じて抵抗値が変化する。抵抗R1は、例えば、ピエゾ抵抗(ドープ層6)である。また、抵抗R2は、第1端がノードN1に、第2端が電源GNDに接続されている。
また、抵抗R3は、第1端が電圧Vccの供給線に、第2端がノードN2に接続され、抵抗R4は、第1端がノードN2に、第2端が電源GNDに接続されている。抵抗R1は、圧力センサ10内に構成されており、抵抗R3及び抵抗R4は、圧力センサ10の外部に備えられた外付け抵抗である。また、抵抗R2は、例えば、抵抗R1と温度特性が同一になるように形成された抵抗であり、圧力センサ10内に構成されてもよいし、圧力センサ10の近傍の外部に備えられてもよい。なお、抵抗R1と抵抗R2との温度特性を一致させることにより、脈波検出部40は、温度変動による検出結果への影響を低減することができる。
差動増幅回路42は、例えば、計測アンプ(インスツルメンテーションアンプ)であり、ノードN1とノードN2との電位差を増幅して出力信号Sとして出力する。なお、この電位差は、ドープ層6(ピエゾ抵抗)の抵抗値変化に応じた値、すなわちカンチレバー3の変位に基づいた値となる。差動増幅回路42は、反転入力端子(-端子)がノードN1に接続され、非反転入力端子(+端子)がノードN2に接続されている。
なお、外部電極7Aは、抵抗R1の第1端として機能し、電圧Vccの供給線が接続される。外部電極7Bは、抵抗R1の第2端及び抵抗R2の第1端として機能し、ノードN1を介して差動増幅回路42の反転入力端子(-端子)が接続される。
次に、本実施形態による脈波センサ1の動作について説明する。
図1に示すように、アタッチメント部30の開口部34を、手首WRの測定箇所(例えば、橈骨動脈BVの位置)の皮膚SKに押し当てると、アタッチメント部30の第2層32が弾性変形して、アタッチメント部30が皮膚SKに密着される。これにより、空気室33の気密性が確保され、橈骨動脈BVの脈動によって生じる動脈上部の皮膚変位が、空気室33の内部の圧力変化に変換される。
次に、圧力センサ10のカンチレバー3は、空気室33の内部の圧力変化に応じて撓み変形する。これにより、カンチレバー3に形成された抵抗R1が、カンチレバー3の撓み変形に応じて抵抗値が変化する。そして、脈波検出部40のホイートストンブリッジ回路41は、抵抗R1の抵抗値の変化を検出し、差動増幅回路42が、当該抵抗値の変化を増幅して出力する。その結果、脈波検出部40は、図5に示すような、脈波の検出結果を出力する。
図5は、本実施形態における脈波センサ1の検出結果の一例を示す図である。
この図において、グラフの縦軸は、検出信号の電圧[V]を示し、横軸は、時間[sec(秒)]を示している。また、波形W1は、脈波センサ1による脈波の検出結果を示している。脈波センサ1は、図5の波形W1に示すような、脈波の検出結果を出力する。
以上説明したように、本実施形態による脈波センサ1は、センサ基板20と、アタッチメント部30と、圧力センサ10と、脈波検出部40とを備える。センサ基板20は、皮膚SK(生体表面)に対して対向配置された状態で手首WRに固定される。アタッチメント部30は、センサ基板20に対して一体に組み合わされるとともに、皮膚SK側(生体表面側)に開口した開口部34を皮膚SKに押し当てることで密閉される空気室33を内部に有する。圧力センサ10は、センサ基板20に支持されるとともに、空気室33の内部の圧力変化に応じて変位する。脈波検出部40は、圧力センサ10の変位に基づいて橈骨動脈BV(測定対象血管)の脈波を検出する。そして、アタッチメント部30は、第1層31と、第2層32とを備える。第1層31は、センサ基板20を支持するとともに、開口部34を皮膚SKに押し当てた際に空気室33を保持する。第2層32は、第1層31の開口部34側に配置され、開口部34を皮膚SKに押し当てた際に弾性変形し、第1層31よりも柔らかい弾性体で構成されている。
すなわち、本実施形態による脈波センサ1は、アタッチメント部30と、圧力センサ10と、脈波検出部40とを備える。アタッチメント部30は、生体表面に押し当てられる開口部34と、内部に空気室33を保持する第1層31と、第1層31の開口部34側に配置され第1層31よりも柔らかい弾性体で構成された第2層32と、からなる。圧力センサ10は、空気室33の内部の圧力変化に応じて変位する。脈波検出部40は、圧力センサ10の変位に基づいて測定対象血管(例えば、橈骨動脈BV)の脈波を検出する。
これにより、本実施形態による脈波センサ1は、開口部34を皮膚SKに押し当てる際にアタッチメント部30の第2層32が弾性変形するため、例えば、被測定部位の表面形状や、腱及び筋肉どなどの皮下組織の体動などが生じた場合であっても、空気室33の気密性を確保することができる。また、これにより、空気室33の気密性が向上するため、本実施形態による脈波センサ1は、使用者に負担をかけず、且つ、脈動に影響を与えるような圧力を血管にかけない、弱い皮膚SKへの押し当てにより、脈波を検出することができる。また、本実施形態による脈波センサ1は、アタッチメント部30の第1層31が、開口部34を皮膚SKに押し当てた際に空気室33を保持するため、空気室33内の体積が一定になり、例えば、橈骨動脈BVの脈動によって生じる動脈上部の皮膚変位による空気室33の内部の圧力変化を感度よく検出することができる。よって、本実施形態による脈波センサ1は、長時間感度よく脈波を検出することができる。
また、本実施形態では、第2層32は、皮膚SKの弾性と等しい弾性になるように形成されている。なお、ここでの皮膚SKの弾性と等しい弾性とは、皮膚SKの弾性と略等しい弾性も含まれる。
これにより、本実施形態による脈波センサ1は、さらにアタッチメント部30の密着度を向上させることができるため、空気室33の気密性をさらに向上させることができる。また、第2層32の弾性が、皮膚SKの弾性と同等であるため、皮膚SKに過度の負担を与えずに、脈波を検出することができる。
また、本実施形態では、圧力センサ10は、空気室33内に連通する連通孔(貫通孔22)が形成されたSOI基板50と、連通孔(貫通孔22)を覆うようにSOI基板50に片持ち状態で接続され、連通孔(貫通孔22)を通じた空気室33の内部の内圧変化に応じて撓み変形するカンチレバー3と、を備える。カンチレバー3は、基板の平面視で、所定のギャップ(例えば、ギャップG1)をあけた状態で連通孔(貫通孔22)の内側に配置されることで、連通孔(貫通孔22)を部分的に覆うように形成されている。脈波検出部40は、カンチレバー3の撓み変形に応じて抵抗値が変化する変位検出抵抗を含む抵抗値変化検出回路(例えば、ホイートストンブリッジ回路41)を有し、変位検出抵抗(抵抗R1)の抵抗値変化に対応した抵抗値変化検出回路からの出力信号に基づいて脈波を検出する。すなわち、圧力センサ10は、空気室33の内部の圧力変化に応じて撓み変形するカンチレバー3を備える。脈波検出部40は、カンチレバー3の撓み変形に応じて抵抗値が変化する抵抗R1(変位検出抵抗)を含むホイートストンブリッジ回路41を有し、抵抗R1(変位検出抵抗)の抵抗値変化に対応したホイートストンブリッジ回路41からの出力信号に基づいて脈波を検出する。
これにより、本実施形態による脈波センサ1は、空気室33の内部の圧力変化をカンチレバー3の撓み変形に応じて抵抗値を変化として検出できるため、ホイートストンブリッジ回路41という簡易な構成により、高感度(高精度)に脈波を検出することができる。
また、本実施形態では、圧力センサ10は、内部にキャビティ5が形成されるキャビティ筐体21と、キャビティ5の内部と空気室33とを連通する連通孔(例えば、ギャップG1)と、カンチレバー3とを備える。カンチレバー3は、連通孔を除いてキャビティ5の開口面を塞ぐように基端部3bから先端部3aに向けて一方向に延びる板状であり、キャビティ5の内部と外部(空気室33)との圧力差に応じて撓み変形する。
これにより、圧力センサ10が、空気室33の微小な圧力変化をカンチレバー3により検出することができるため、本実施形態による脈波センサ1は、さらに高感度(高精度)に脈波を検出することができる。
また、本実施形態では、皮膚SK(生体表面)と直交方向の第1層31の厚み(図1に示す長さa)が2mm以上であり、直交方向の第2層32の厚み(図1に示す長さb)が1mm以上10mm以下であり、直交方向の第1層31と第2層32との合計の厚み(a+b)が15mm以下である。
上述した第1層31の厚み(a)が薄すぎる(短すぎる)と、空気室33内に皮膚SKの一部が入り込み検出感度が低下する場合がある。また、第2層32の厚み(b)が薄い(短い)と、空気室33の気密性が確保できなくなる場合がある。また、第1層31の厚み(a)及び第2層32の厚み(b)が厚すぎる(長すぎる)と、空気室33の体積が大きくなることで、皮膚SKの変位に対する空気室33の内部の圧力変化が小さくなるため、検出感度が低下する場合がある。そのため、本実施形態による脈波センサ1は、第1層31の厚み(a)及び第2層32の厚み(b)を上述した範囲になるように構成することで、脈波の検出を感度よく最適に行うことができる。
また、本実施形態では、開口部34の開口面における空気室33の幅(図1に示す長さc)が、4mm以上30mm以下である。
一般に、例えば、橈骨動脈BVの血管幅が、2mm~4mmの範囲内とされているため、上述した範囲になるように構成することで、本実施形態による脈波センサ1は、例えば、橈骨動脈BVに対して、脈波の検出を感度よく適切に行うことができる。
[第2の実施形態]
次に、図面を参照して、第2の実施形態による脈波センサ1aについて説明する。
脈波を検出する際に、血管の周辺に、筋肉や腱などの皮下組織(生体組織)が存在すると、皮膚SKと、アタッチメント部30の第2層32との間に隙間が生じて、アタッチメント部30の密着性が低下する場合がある。そこで、本実施形態では、筋肉や腱などの皮下組織(生体組織)が存在する場合の変形例について説明する。
図6は、本実施形態による脈波センサ1aの一例を示す構成図である。図6(a)は、本実施形態による脈波センサ1aの断面図であり、図6(b)は、本実施形態におけるアタッチメント部30aの第2層32aの一例を示す平面図である。
なお、図6において、図1に示す構成と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
図6(a)に示すように、脈波センサ1aは、圧力センサ10と、センサ基板20と、アタッチメント部30aと、脈波検出部40とを備えている。
また、アタッチメント部30aは、筒状に形成されており、第1層31と、第2層32aとを備えている。本実施形態では、第2層32aの構成が異なる点を除いて、基本的には、第1の実施形態の構成と同様である。
第2層32aは、第1層31の開口部34側に配置され、開口部34を皮膚SKに押し当てた際に弾性変形し、第1層31よりも柔らかい弾性体で構成される。第2層32aは、例えば、ゴム、シリコン、ウレタン樹脂のゲルなどであり、皮膚SKと同程度に柔らかさを有している。第2層32aは、橈骨動脈BVの周辺の生体組織(例えば、筋肉や腱)による皮膚SKの凸部を覆うように配置された凹部35を皮膚SK側に備えている。
なお、橈骨動脈BVの周辺には、長掌筋腱TNが存在し、皮膚SKの表面に長掌筋腱TNによる凸部が生じることがある。第2層32aは、この長掌筋腱TNによる皮膚SKの凸部を覆うように、窪み状の部分である凹部35を皮膚SK側に備えている。
以上説明したように、本実施形態による脈波センサ1aは、センサ基板20と、圧力センサ10と、脈波検出部40と、アタッチメント部30aとを備え、アタッチメント部30aは、第1層31と、第2層32aとを備える。第2層32aは、長掌筋腱TNによる皮膚SKの凸部を覆うように、窪み状の部分である凹部35を皮膚SK側に備える。
これにより、本実施形態による脈波センサ1aは、例えば、筋肉や腱などの周辺の生体組織(皮下組織)による凸部を第2層32aの凹部35により覆うことで、例えば、橈骨動脈BV(測定対象血管)の周辺に筋肉や腱などの生体組織がある場合であっても、第2層32aと皮膚SKとの密着性を維持することができる。これにより、本実施形態による脈波センサ1aは、上述した第1の実施形態と同様の効果を奏するとともに、空気室33の気密性をさらに向上させることができる。また、本実施形態による脈波センサ1aは、筋肉や腱などの生体組織(皮下組織)がアタッチメント部30aによって圧迫されることによる利用者の不快感や苦痛を低減することができる。
[第3の実施形態]
次に、図面を参照して、第3の実施形態による脈波センサ1bについて説明する。
本実施形態では、筋肉や腱などの皮下組織(生体組織)が存在する場合における、上述した第2の実施形態とは別の変形例について説明する。
図7は、本実施形態による脈波センサ1bの一例を示す構成図である。図7(a)は、本実施形態による脈波センサ1bの断面図であり、図7(b)は、本実施形態におけるアタッチメント部30bの第2層32bの一例を示す平面図である。
なお、図7において、図1に示す構成と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
図7(a)に示すように、脈波センサ1bは、圧力センサ10と、センサ基板20と、アタッチメント部30bと、脈波検出部40とを備えている。
また、アタッチメント部30bは、筒状に形成されており、第1層31と、第2層32bとを備えている。本実施形態では、第2層32bの構成が異なる点を除いて、基本的には、第1の実施形態の構成と同様である。
第2層32bは、第1層31の開口部34側に配置され、開口部34を皮膚SKに押し当てた際に弾性変形し、第1層31よりも柔らかい弾性体で構成される。第2層32bは、橈骨動脈BVの周辺の生体組織(例えば、筋肉や腱)による皮膚SKの凸部を覆うように配置された、第2層32bの主部材(主部材部分32b-1)よりも柔らかい部材の緩和部分32b-2を備えている。すなわち、第2層32bは、主部材部分32b-1と、緩和部分32b-2とを備え、緩和部分32b-2の弾性は、主部材部分32b-1の弾性よりも低くなるように構成されている。
図7(b)に示すように、第2層32bを平面視した場合に、第2層32bには、長掌筋腱TNを覆うように、アタッチメント部30bの緩和部分32b-2が配置されている。
以上説明したように、本実施形態による脈波センサ1bは、センサ基板20と、圧力センサ10と、脈波検出部40と、アタッチメント部30bを備え、アタッチメント部30bは、第1層31と、第2層32bとを備える。第2層32bは、橈骨動脈BVの周辺の生体組織(例えば、長掌筋腱TN)による皮膚SKの凸部を覆うように配置された、第2層32bの主部材(主部材部分32b-1の部材)よりも柔らかい部材の緩和部分32b-2を備える。
これにより、本実施形態による脈波センサ1bは、例えば、筋肉や腱などの周辺の生体組織(皮下組織)による凸部を第2層32bの緩和部分32b-2により覆うことで、例えば、橈骨動脈BV(測定対象血管)の周辺に筋肉や腱などの生体組織がある場合であっても、第2層32bと皮膚SKとの密着性を維持することができる。これにより、本実施形態による脈波センサ1bは、上述した第1の実施形態と同様の効果を奏するとともに、空気室33の気密性をさらに向上させることができる。また、本実施形態による脈波センサ1bは、筋肉や腱などの生体組織(皮下組織)がアタッチメント部30bによって圧迫されることによる利用者の不快感や苦痛を低減することができる。
[第4の実施形態]
次に、図面を参照して、第4の実施形態による脈波センサ1cについて説明する。
本実施形態では、使用者の体動などにより、開口部34を皮膚SKに押し当てる圧力が低下した場合でも、空気室33の気密性を保持するための変形例について説明する。
図8は、本実施形態による脈波センサ1cの一例を示す構成図である。
なお、図8において、図1に示す構成と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
図8に示すように、脈波センサ1cは、圧力センサ10と、センサ基板20と、アタッチメント部30cと、脈波検出部40とを備えている。
また、アタッチメント部30cは、筒状に形成されており、第1層31と、第2層32cとを備えている。本実施形態では、第2層32cの構成が異なる点を除いて、基本的には、第1の実施形態の構成と同様である。
第2層32cは、第1層31の開口部34側に配置され、開口部34を皮膚SKに押し当てた際に弾性変形し、第1層31よりも柔らかい弾性体で構成される。第2層32cは、皮膚SK側の先端に向かって内側に細くなるテーパ部TPを備えている。
以上説明したように、本実施形態による脈波センサ1cは、センサ基板20と、圧力センサ10と、脈波検出部40と、アタッチメント部30cを備え、アタッチメント部30cは、第1層31と、第2層32cとを備える。第2層32cは、皮膚SK側の先端に向かって内側に細くなるテーパ部TPを備えている。
これにより、アタッチメント部30cは、開口部34を皮膚SKに押し当てた際に、内側の開口面が外側の開口面よりも押圧が高くなるため、開口部34の内側がより高くなる。そのため、本実施形態による脈波センサ1cは、弱い力でより高い密着度をえることができる。よって、本実施形態による脈波センサ1cは、上述した第1の実施形態と同様の効果を奏するとともに、例えば、使用者の体動などにより、開口部34を皮膚SKに押し当てる圧力が低下した場合でも、空気室33の気密性を保持することができる。
[第5の実施形態]
次に、図面を参照して、第5の実施形態による脈波センサ1dについて説明する。
本実施形態では、アタッチメント部30の第2層32を、付け替え可能(開口部34を皮膚SKに押し当てる圧力が低下した場合でも、空気室33の気密性を保持するための変形例について説明する。
図9は、本実施形態による脈波センサ1dの一例を示す構成図である。
なお、図9において、図1に示す構成と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
図9に示すように、脈波センサ1dは、圧力センサ10と、センサ基板20と、アタッチメント部30dと、脈波検出部40とを備えている。
また、アタッチメント部30dは、筒状に形成されており、第1層31と、第2層32と、支持層36と、粘着層37とを備えている。本実施形態では、第1層31と第2層32と間に、支持層36及び粘着層37を備えている点が異なる点を除いて、基本的には、第1の実施形態の構成と同様である。
支持層36は、第2層32の第1層31側の面に配置され、第2層32を支持する。支持層36は、皮膚SKと同等程度に柔らかい弾性体である第2層32を支持するために、第2層32よりも固い部材(弾性の低い部材)で構成されている。
粘着層37は、第1層31と支持層36とを空気室33の気密を保持しつつ着脱可能に固定する。
なお、本実施形態における第2層32は、粘着層37の部分から取り外し可能(着脱可能)であり、必要に応じて、第2層32を付け替えることができる。
以上説明したように、本実施形態による脈波センサ1dは、センサ基板20と、圧力センサ10と、脈波検出部40と、アタッチメント部30dとを備え、アタッチメント部30dは、第1層31と、第2層32とを備えるとともに、第1層31と第2層32との間に、第2層32を支持する支持層36と、第1層31と支持層36とを空気室33の気密を保持しつつ着脱可能に固定する粘着層37とを備える。
これにより、本実施形態による脈波センサ1dは、第2層32を付け替えることができるため、例えば、複数の柔らかさの第2層32を用意しておいて、使用者の皮膚SKの柔らかさや好みに応じて、第2層32を付け替えて脈波を検出することができる。また、本実施形態による脈波センサ1dは、使用者ごとに毎回、第2層32を付け替えることで、感染症などのリスクを低減しつつ、脈波を検出することができる。よって、本実施形態による脈波センサ1dは、利便性を向上させることができる。
なお、上述した実施形態では、アタッチメント部30dが、支持層36を備える例を説明したが、これに限定されるものではなく、粘着層37と第2層32との間で、取り外しできる構成が可能であれば、支持層36を備ない形態であってもよい。
[第6の実施形態]
次に、図面を参照して、第6の実施形態による脈波センサ1eについて説明する。
本実施形態では、アタッチメント部30の第2層32の形状の変形例について説明する。
図10は、本実施形態における第2層32e(32f)の一例を示す平面図である。
図10(a)は、本実施形態の第1の変形例である第2層32eの平面図を示している。
なお、本実施形態において、脈波センサ1eの構成は、第2層32eの平面視の形状が異なる点を除いて、第1の実施形態の脈波センサ1と同様であるため、ここではその説明を省略する。
本実施形態による脈波センサ1eは、センサ基板20と、圧力センサ10と、脈波検出部40と、アタッチメント部30eとを備え、アタッチメント部30eは、第1層31と第2層32eを備えている。
第2層32eの開口部34の内側形状は、図10(a)に示すように、平面視で角丸四角形状(角丸長方形状)になるように構成されている。この開口部34の内側形状は、4辺のうちの対抗する2辺が、交差方向M2と平行に配置され、走行方向M1の辺の長さが、交差方向M2の辺の長さよりも長い長方形状となっている。なお、開口部34の内側形状は、角丸長方形状の代わりに、長方形状であってもよい。
また、本実施形態による脈波センサ1eは、アタッチメント部30eの代わりにアタッチメント部30fを備え、アタッチメント部30fは、第2層32eの代わりに、第2層32fを備えている。第2層32fの開口部34の内側形状は、図10(b)に示すように、正方形(角丸正方形)であってもよい。なお、図10(b)は、本実施形態の第2の変形例である第2層32fの平面図を示している。
次に、図11を参照して、本実施形態による脈波センサ1eの効果について説明する。
図11は、本実施形態における効果を説明する図である。この図において、比較のために、第1の実施形態のアタッチメント部30(第2層32)の平面図を併記している。
図11に示すように、使用者の体動によって、測定対象血管の位置が、橈骨動脈BV1の位置から橈骨動脈BV2の位置にずれた場合に、第1の実施形態のアタッチメント部30(第2層32)では、空気室33に接する血管の面積が、面積S1から面積S2に減少する。そのため、第1の実施形態の脈波センサ1では、検出感度が低下することがある。
これに対して、本実施形態によるアタッチメント部30e(第2層32e)では、測定対象血管の位置が、橈骨動脈BV1の位置から橈骨動脈BV2の位置にずれた場合に、空気室33に接する血管の面積が、面積S3から面積S4になる。しかしながら、面積S3と面積S4とはほぼ等しいため、第1の実施形態の脈波センサ1では、検出感度が低下することはなく、安定して脈波を検出することができる。
以上説明したように、本実施形態による脈波センサ1eは、センサ基板20と、圧力センサ10と、脈波検出部40と、アタッチメント部30eとを備える。アタッチメント部30eの開口部34の内側形状は、平面視で四角形状又は角丸四角形状になるように構成されている。
これにより、本実施形態による脈波センサ1eは、例えば、使用者の体動やアタッチメント部30eの位置ずれによる検出不具合を低減することができ、安定して脈波を検出することができる。
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記の各実施形態は、単独で実施される例を説明したが、各実施形態の一部又は全部を組み合わせて実施するようにしてもよい。
また、上記の各実施形態において、アタッチメント部30(30a~30e)が円筒状に形成されている例を説明したが、これに限定されるものではなく、四角形状(立方形状)の有底箱状に形成されてもよい。また、キャビティ筐体21は、四角形状(立方形状)の有底箱状に形成される例を説明したが、これに限定されるものではなく、円筒状の有底箱状に形成されていてもよい。
また、上記の各実施形態において、人体の腕部を走行する橈骨動脈BVを測定対象血管として、手首WRに装着する脈波センサ1(1a~1e)を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。脈波センサ1(1a~1e)は、例えば、腕部を巻回するように固定ベルトを取り付けることで、腕部により脈波を検出するようにしてもよい。この場合、測定対象血管としては、橈骨動脈BVに限定されるものではなく、例えば尺骨動脈或いは上腕動脈であってもよい。
また、脈波センサ1(1a~1e)は、例えば、人体の脚部の巻回するように固定ベルトを取り付けることで、脚部により脈波を検出するようにしてもよい。この場合、測定対象血管としては、例えば、大腿動脈であってもよい。また、脈波センサ1(1a~1e)は、例えば、家畜等の飼育動物或いは実験動物等に装着して、脈波を検出するようにしてもよい。
また、上記の第2及び第3の実施形態において、筋肉や腱などの生体組織の一例として、長掌筋腱TNに対応する凹部35又は緩和部分32b-2を適用する例を説明したが、これに限定されるものではなく、他の筋肉や腱などの生体組織に対応した凹部35又は緩和部分32b-2を適用するようにしてもよい。
また、上記の各実施形態において、圧力センサ10の一例として、カンチレバー3を利用したセンサを例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、空気室33の内部の圧力変化に応じて変位するセンサであれば、その他の構造を採用してもよい。
例えば、空気室33の内部の圧力変化に応じて変位する薄膜のダイヤフラムを有する圧力センサを採用してもよい。
また、上記の各実施形態において、圧力センサ10は、キャビティ筐体21を備える例(キャビティ5を有する例)について説明したが、これに限定されるものではなく、キャビティ筐体21を備えていない(キャビティ5を有していない)構成であってもよい。
1、1a、1b、1c、1d、1e 脈波センサ
2 レバー本体
3 カンチレバー
3a 先端部
3b 基端部
4 レバー支持部
5 キャビティ
6 ドープ層(ピエゾ抵抗)
7、7A、7B 外部電極
10 圧力センサ
20 センサ基板
21 キャビティ筐体
22 貫通孔
30、30a、30b、30c、30d、30e、30f アタッチメント部
31 第1層
32、32a、32b、32c、32e、32f 第2層
32b-1 主部材部分
32b-2 緩和部分
33 空気室
34 開口部
35 凹部
36 支持層
37 粘着層
40 脈波検出部
41 ホイートストンブリッジ回路
42 差動増幅回路
50 SOI基板
51 シリコン支持層
52 絶縁層
53 シリコン活性層
BV、BV1、BV2 橈骨動脈
R1、R2、R3、R4 抵抗
G1、G2、G3 ギャップ
SK 皮膚
TN 長掌筋腱
TP テーパ部
WR 手首

Claims (6)

  1. 生体表面に押し当てられる開口部と、内部に空気室を保持する第1層と、前記第1層の前記開口部側に配置され前記第1層よりも柔らかい弾性体で構成された第2層と、からなるアタッチメント部と、
    前記空気室の内部の圧力変化に応じて変位する圧力センサと、
    前記圧力センサの変位に基づいて測定対象血管の脈波を検出する脈波検出部と
    を備え、
    前記第2層は、前記生体表面側の先端に向かって内側に細くなるテーパ部を備える
    ことを特徴とする脈波センサ。
  2. 前記アタッチメント部は、
    前記第1層と前記第2層との間に、前記第2層を支持する支持層と、前記第1層と前記支持層とを前記空気室の気密を保持しつつ着脱可能に固定する粘着層と、を備える
    ことを特徴とする請求項1記載の脈波センサ。
  3. 前記第2層は、前記生体表面の弾性と等しい弾性になるように形成されている
    ことを特徴とする請求項1又は請求項に記載の脈波センサ。
  4. 前記圧力センサは、
    前記空気室内に連通する連通孔が形成された基板と、
    前記連通孔を覆うように前記基板に片持ち状態で接続され、前記連通孔を通じた前記空気室の内部の内圧変化に応じて撓み変形するカンチレバーと、
    を備え、
    前記カンチレバーは、前記基板の平面視で、所定のギャップをあけた状態で前記連通孔の内側に配置されることで、前記連通孔を部分的に覆うように形成され、
    前記脈波検出部は、前記カンチレバーの撓み変形に応じて抵抗値が変化する変位検出抵抗を含む抵抗値変化検出回路を有し、前記変位検出抵抗の抵抗値変化に対応した前記抵抗値変化検出回路からの出力信号に基づいて前記脈波を検出する
    ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の脈波センサ。
  5. 前記生体表面と直交方向の前記第1層の厚みが2mm以上であり、前記直交方向の前記第2層の厚みが1mm以上10mm以下であり、前記直交方向の前記第1層と前記第2層との合計の厚みが15mm以下である
    ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の脈波センサ。
  6. 前記開口部の開口面における前記空気室の幅が、4mm以上30mm以下である
    ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の脈波センサ。
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