JPH0347603Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［技術分野］ 本考案は血圧計のカフ帯、殊に可撓性を有する
湾曲板を収納しているカフ帯に関するものであ
る。

［背景技術］ 可撓性を有する湾曲板をカフ帯内に収納するこ
とによつて、カフ帯の腕への装着を容易に行なえ
るようにしたものが、特開昭59−232533号公報な
どに示されている。ところが従来の湾曲板は、略
円筒状に形成されていたことから、筋肉質で上腕
筋が盛り上がつている人の場合、第９図に示すよ
うにカフ帯１と腕との間に隙間ができてしまい、
このためにカフ帯１を膨張させることによる阻血
を確実に行なえなかつたり、集音センサー３が腕
に密着しなかつたりして、血圧の測定値に大きな
誤差を与えてしまうことがあつた。

［考案の目的］ 本考案はこのような点に鑑み為されたものであ
り、その目的とするところは腕への装着が容易で
あるとともに、正確な血圧測定を行なうことがで
きる血圧計のカフ帯を提供するにある。

［考案の開示］ しかして本考案に係る血圧計のカフ帯は、筒状
であり且つ腕の挿入方向である軸方向の両端が先
細りになつているとともに、両端に軸方向のスリ
ツトが複数個形成されてこの両端が複数片に分割
されている可撓性を備えた湾曲板を収納している
ことを要旨とし、両端の径を中央部の径より小さ
くするとともに、中央部よりも両端の方がばね定
数が小さくなるようにすることで、腕へのフイツ
ト性を高めたことに特徴を有するものである。

以下本考案を図示の実施例に基づいて詳述する
と、湾曲板１０は、第２図に示すように、その軸
方向の両端が共に先細りとなる筒状に成形された
合成樹脂よりなる可撓性を備えたものであつて、
両端は夫々軸方向のスリツト１１が複数個設けら
れることによつて、複数片に分割されている。そ
してこの湾曲板１０は、第４図に示すように、カ
フ帯１における外布１５と外布１６との間に阻血
袋１７とともに収納されている。尚、阻血袋１７
は湾曲板１０の内周面側に配設されている。また
内周面側の外布１６は、伸縮性を有する布地によ
つて形成されたもので、外布１５との高周波熱溶
着は、引き伸ばされた状態で行なわれている。こ
れは腕に接する内周面側となる外布１６にしわが
生じないようにしているためである。

そしてこの外布１６には、集音センサー３のた
めのポケツト１９が設けられているのであるが、
ポケツト１９は外布１６の外周面に布地２０の周
部を熱溶着することにより形成されたもので、第
３図から明らかなように、集音センサー３が湾曲
板１０の複数片に分割されている端部内面に位置
するように設けられており、また第５図に示すよ
うに、布地２０の溶着にあたつて、溶着部２１の
一部をポケツト１９内に突出させることで集音セ
ンサー３の収納部の入り口を狭くし、これによつ
て集音センサー３の抜け落ちが生じないようにし
ており、更にポケツト１９の入り口のところにポ
ケツト１９内に突出する溶着部２１の先端と小間
隙を介するように金具２２をかしめており、集音
センサー３から導出されているリード線３０を上
記小間隙に通すことで、張力に対する保護を行な
つている。第４図中の２３，２４は互いに係合す
る面状フアスナー、２５は阻血袋１７に設けられ
たポンプノズルである。

以上のように構成されたカフ帯１は、第１図に
示すように、上記ポンプノズル２５に接続された
エアパイプ２６と、集音センサー３から導出され
たリード線３０とによつて血圧計本体４につなが
れている。血圧計本体４は、第６図に示すよう
に、阻血袋１７の圧力を検出する圧力センサー４
１、集音センサー３の出力を増幅する増幅回路４
２、増幅出力の中から脈波に重畳するコロトコフ
音を分離抽出するコロトコフ音弁別フイルター４
３、レベル検出回路４４、動作制御回路４５、ア
ナログ・デイジタル変換回路４６、最高血圧値及
び最低血圧値を記憶する記憶回路４７、そして両
血圧値を表示する表示部４８を備えたものであ
る。また、上記エアパイプ２６の途中には急速排
気弁４９及び定速排気弁５０を備えた加圧ポンプ
４０が設けられている。

しかして、カフ帯１を腕に巻き、そして加圧ポ
ンプ４０によつて阻血袋１７を膨張させた後、定
速排気弁５０を開いて徐々に圧力を下げながら、
コロトコフ音の出現を監視することで、血圧値の
測定を行なうわけであるが、カフ帯１を腕に装着
するにあたつては、湾曲板１０の弾性を利用して
腕に仮止めし、その後面状フアスナー２３，２４
により腕に巻装するものである。この時、湾曲板
１０は前述のような形状となつていることから、
腕の太さの変化が大きくとも、腕の太さの変化の
大小に応じて両端が拡径あるいは縮径するため
に、カフ帯１は腕に確実にフイツトし、腕との間
に隙間が生じるようなことがなく、また集音セン
サー３を確実に腕に密着させるものである。

尚、血圧計本体４内に設けられたコロトコフ音
弁別フイルター４３であるが、これは第７図に示
すように、スルーレートの低いオペアンプOPを
備えたハイパスフイルター回路で構成されてい
る。コロトコフ音弁別フイルター４３は、20〜30
Hzのコロトコフ音を2.5〜10Hzの脈波から分離す
るとともに高周波ノイズを除去するために、バン
ドパスフイルターではその帯域が狭すぎることか
ら、通常ハイパスフイルターとローパスフイルタ
ーとを組み合わせているのであるが、ここでは
0.5V／μs程度の低スルーレートのオペアンプOP
を用いて、これの大振幅電圧利得特性が低い（限
界周波数が低い）点を利用し、第８図に示すよう
に、オペアンプOP自体がローパスフイルターを
構成するようにしている。汎用として一般に使用
されている安価な低スルーレートのオペアンプ
OPを用いることで、回路構成の簡素化と、部品
点数の削減による回路特性のばらつきの低減とを
図つているわけである。

［考案の効果］ 以上のように本考案においては、可撓性を有す
る湾曲板を収納しているために、腕への装着が容
易であり、しかもこの湾曲板は軸方向両端が先細
りとなつた筒状であるとともに、両端が軸方向の
スリツトで複数片に分割されたものとなつてお
り、両端の径が中央部より小さく、そして複数片
に分割されることで中央部よりも両端の方がばね
定数が小さくなつているために、腕の太さの変化
によく追従して腕へのフイツト性が高くなつてい
るものであり、腕との間に隙間が生じたりするこ
とがなく、また集音センサーの腕への密着性も高
めるために、正確な血圧測定を行なえるものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案一実施例の斜視図、第２図は同
上の湾曲板の斜視図、第３図は同上の正面図、第
４図は同上の断面図、第５図は同上の集音センサ
ーを納めたポケツトの平面図、第６図は同上のブ
ロツク回路図、第７図は同上のコロトコフ音弁別
フイルターの回路図、第８図は同上のコロトコフ
音弁別フイルターの特性図、第９図は従来例の正
面図であつて、１はカフ帯、３は集音センサー、
１０は湾曲板、１１はスリツトを示す。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 筒状であり且つ腕の挿入方向である軸方向の
   両端が先細りになつているとともに、両端に軸
   方向のスリツトが複数個形成されてこの両端が
   複数片に分割されている可撓性を備えた湾曲板
   を収納して成る血圧計のカフ帯。 (2) 湾曲板の一端部に集音センサーを配設して成
   る実用新案登録請求の範囲第１項記載の血圧計
   のカフ帯。