JPH09237567A - 冷陰極素子及びその製造方法 - Google Patents

冷陰極素子及びその製造方法

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JPH09237567A
JPH09237567A JP4298496A JP4298496A JPH09237567A JP H09237567 A JPH09237567 A JP H09237567A JP 4298496 A JP4298496 A JP 4298496A JP 4298496 A JP4298496 A JP 4298496A JP H09237567 A JPH09237567 A JP H09237567A
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cold cathode
film
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cathode device
insulating film
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JP4298496A
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English (en)
Inventor
Hirotsugu Harada
昿嗣 原田
Soichiro Okuda
莊一郎 奥田
Shinsuke Yura
信介 由良
Akihiko Hosono
彰彦 細野
Kazutoshi Morikawa
和敏 森川
Shinji Kawabuchi
真嗣 川渕
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ノイズの少ない高性能の冷陰極素子と、その
製造方法とを提供する。 【解決手段】 基板1と、基板1と一体の冷陰極4と
は、冷陰極4の先端部以外の表面がSiO2膜3によっ
て被覆されている。SiO2膜3上に順に積層された絶
縁膜5b及び電極膜6bは、冷陰極4の周辺において不
連続となっており、この不連続な部分によって開口部7
が形成されている。電極膜6bは冷陰極素子のゲート電
極となる。以上の構造を有する冷陰極素子においては、
残留ガスによる冷陰極4への影響を、冷陰極4の先端部
以外の部分をSiO2膜3によって被覆することによっ
て軽減することが可能となる。また、冷陰極4の先端部
の表面部分は多孔質の陽極化成層10であるので、冷陰
極素子の電界電子放出特性は優れる。さらに、冷陰極4
の先端部が表面コート膜9によって被覆されているの
で、冷陰極4を構成するSiの表面の電子状態は安定し
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は主として真空マイク
ロエレクトロニクスにおける冷陰極素子の構造とその製
造方法とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】図9〜図13は、従来技術による冷陰極
素子の製造方法を工程順に示す断面図である。まず図9
においては、主面の一部にSiO2から成るSiO2マス
ク20が積層されているSi基板1が図示されている。
SiO2マスク20は通常、Si基板1上に熱酸化膜を
形成し、これを半導体集積回路製造における周知の写真
製版技術とエッチング技術を用いて所望のパターンに形
成することによって得られる。
【0003】次いで、SiO2マスク20をマスクとし
てSi基板1表面を選択的にエッチングすることによっ
て、図10に示されるような、断面が三角あるいは台形
状の錐台4aをSiO2マスク20下に形成する。次い
で、酸化雰囲気中でSi基板1の表面を熱酸化すること
によって図11に示されるように、SiO2膜3によっ
て取り囲まれた冷陰極4をSiO2マスク20の直下に
おいて形成する。
【0004】次いで、SiOから成る電極下地絶縁膜5
と金属から成る電極膜6とを順次真空蒸着法によって図
12に示すように積層する。このとき、真空蒸着法にお
いては被着粒子となる蒸発粒子の平均自由工程は大きい
ので、蒸発粒子は直進する。従って、条件を適切に設定
することによって、冷陰極4と、冷陰極4の形成されて
いない部分のシリコン基板1との境界の上方において、
電極下地絶縁膜5及び電極膜6は図示されるようにそれ
ぞれ不連続となる。これによって、電極下地絶縁膜5
は、冷陰極4の上方に形成された電極下地絶縁膜5a
と、冷陰極4の形成されない部分のシリコン基板1の上
方に形成された電極下地絶縁膜5bとから成る。同様
に、電極膜6は、電極下地用絶縁膜5a上に形成された
電極膜6aと電極下地絶縁膜5b上に形成された電極膜
6bとから成る。
【0005】次いで、電極下地絶縁膜5及び電極膜6の
それぞれの不連続部によって形成される、冷陰極4周辺
の開口部7からSiO2のエッチング液を侵入させる。
これによってSiO2マスク20をエッチングして除去
する。この工程によって、電極下地絶縁膜5a及び電極
膜6aは支持基盤を失うことになり、図13に示される
ようにSiO2マスク20とともに除去される。これが
いわゆるリフトオフと呼ばれる方法であり、SiO2
スク20はスペーサと呼ばれる。なお、リフトオフを行
う工程において、冷陰極4の側面に形成されたSiO2
膜3も同時にエッチングされる。
【0006】なお、SiO2マスク20及びSiO2膜3
を形成するSiO2の除去のためのエッチング液として
例えば弗酸を用いることによって、電極下地絶縁膜6を
形成するSiO等の他の材料のエッチングを少なく抑え
ることが可能となる。このことによって、SiO2のみ
を選択的に除去することが可能となる。
【0007】以上の工程によって目的とする冷陰極素子
を得る。残存する電極膜6bが冷陰極素子のゲート電極
となる。また、リフトオフを施すためのエッチングの際
にSiO2膜3が除去されたので、冷陰極4の側面は剥
き出しとなっている。冷陰極4と電極膜6bとの間に印
加される電界が107V/cmを越えると電界電子放出
が生じ、図13に示される構造物は冷陰極素子として動
作する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来技術による冷陰極
素子の電流の時間変化は図14に例示されるようなもの
であり、ノイズの大きい電流が一般に観測されるという
問題点があった。
【0009】冷陰極素子のノイズの原因については諸説
が存在するので、ノイズ発生機構が確定されているとは
言い難い。しかし、冷陰極素子の動作雰囲気の真空度が
低下するにつれてノイズが大きくなることから、冷陰極
4への残留ガスの吸着及び離脱によって、あるいは電離
した残留ガスによる衝撃によって上述のノイズが生ずる
と考えられる。さらに、Siによって形成されるような
半導体の場合、表面の電子状態がその界面状態によって
極めて鋭敏に影響を受けることは周知である。従って、
従来の冷陰極4は表面全体が剥き出しとなっているの
で、ノイズが大きくなると考えることは極めて妥当であ
る。
【0010】本発明は上記のような問題点を解決するた
めになされたもので、ノイズの少ない高性能の冷陰極素
子とその製造方法を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の冷陰極
素子は、先端部は絶縁膜によって覆われておらず、先端
部以外は絶縁膜によって覆われている表面を有する冷陰
極を含んで成ることを特徴とする。
【0012】請求項2に記載の冷陰極素子は、先端部の
表面の電子状態を安定させる処理が施されていることを
特徴とする。
【0013】請求項3に記載の冷陰極素子は、先端部に
多孔質化処理が施されていることを特徴とする。
【0014】請求項4に記載の冷陰極素子は、多孔質化
処理は冷陰極を陽極として行う陽極化成処理であること
を特徴とする。
【0015】請求項5に記載の冷陰極素子は、冷陰極が
シリコンから成り、絶縁膜は二酸化シリコンから成るこ
とを特徴とする。
【0016】請求項6に記載の冷陰極素子の製造方法
は、冷陰極の表面に絶縁膜を形成する工程を含んで成る
冷陰極素子の製造方法において、絶縁膜への選択的な不
純物の拡散を起こすことによって、冷陰極の電界電子放
出領域上の絶縁膜に不純物混入領域を形成し、不純物混
入領域を除去することを特徴とする。
【0017】請求項7に記載の冷陰極素子の製造方法
は、(a)第1の絶縁膜が先端部に載置された、冷陰極
たる突起を有するシリコン基板を準備する工程と、
(b)シリコン基板の表面のうちの露出されている部分
に二酸化シリコン膜を形成する工程と、(c)第1の絶
縁膜と、二酸化シリコン膜のうちの第1の絶縁膜に近接
する近接部分とをエッチングによって選択的に除去する
ことによって突起の先端部を選択的に露出させる工程と
を含むことを特徴とする。
【0018】請求項8に記載の冷陰極素子の製造方法
は、第1の絶縁膜は不純物の存在するシリケートガラス
から成り、不純物は3族あるいは5族の元素を少なくと
も一つは含み、工程(b)の開始から(c)の開始まで
の間に、近接部分に不純物が拡散され、工程(c)にお
けるエッチングは弗酸を含む溶液を用いるウェットエッ
チングであることを特徴とする。
【0019】請求項9に記載の冷陰極素子の製造方法
は、工程(b)において、二酸化シリコン膜は熱酸化処
理によって形成されることを特徴とする。
【0020】請求項10に記載の冷陰極素子の製造方法
は、工程(b)に引き続き、工程(c)以前になされ
る、(d)二酸化シリコン膜を成長させることなく、不
純物の二酸化シリコン膜への拡散処理を行う工程がさら
に含まれることを特徴とする。
【0021】請求項11に記載の冷陰極素子の製造方法
は、拡散処理は非酸化雰囲気において熱を加える処理を
含んで成ることを特徴とする。
【0022】請求項12に記載の冷陰極素子の製造方法
は、請求項7に記載の製造方法において、工程(c)に
引き続き、(d)工程(c)において得られた構造のう
ち、突起の存在する側に第1の導電膜を形成する工程
と、(e)二酸化シリコン膜の表面をエッチングするこ
とによって、二酸化シリコン膜上の第1の導電膜を選択
的に除去する工程とがさらに含まれることを特徴とす
る。
【0023】請求項13に記載の冷陰極素子の製造方法
は、請求項7に記載の製造方法において、工程(c)に
引き続き、(d)工程(c)において露出された突起の
表面部分を多孔質化する工程がさらに含まれることを特
徴とする。
【0024】請求項14に記載の冷陰極素子の製造方法
は、請求項13に記載の製造方法において、工程(d)
は陽極化成を行う工程であることを特徴とする。
【0025】請求項15に記載の冷陰極素子の製造方法
は、請求項13に記載の製造方法において、(d)の工
程に引き続き、(e)工程(d)において得られた構造
のうち、突起の存在する側に第1の導電膜を形成する工
程と、(f)二酸化シリコン膜の表面をエッチングする
ことによって、二酸化シリコン膜上の第1の導電膜を選
択的に除去する工程とがさらに含まれることを特徴とす
る。
【0026】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.以下、本発明の実施の形態1を図1〜図
4を用いて説明する。図1〜図4は本実施の形態に従う
冷陰極素子の製造方法を工程順に例示する断面図であ
る。従来技術と同一の構成には同一の参照符号を付し、
説明は省略する。
【0027】図1は、所望の形状にパターンニングされ
たPSGマスク2aの載置された、断面が三角あるいは
台形状の錐台4aを有するSi基板1の構造を例示する
断面図である。図1に示される構造は、従来技術による
冷陰極素子の製造方法の工程に関する図9,10に示さ
れる方法と同様にして形成されたものである。図1に示
される構造と図10に示される構造との違いとは、PS
Gマスク2aとSiO2マスク20との違いのみであ
る。
【0028】図1に示される構造を得る方法について説
明を行う。PSGマスク2aはP(リン)を含むシリケ
ートガラスであるPSG(Phospho-Silicate Glass)か
ら成る。PSGマスク2aを形成するための準備として
PSG膜をシリコン基板1上に形成するには、CVD
(Chemical Vapor Deposition)法、真空蒸着法、ある
いはスパッタリング法等を用いることができる。その後
に周知のエッチング技術を用いて、所望の形状をしたP
SGマスク2aを得る。
【0029】次いで、図11に示される方法と同様にし
て酸化雰囲気中でSi基板1表面を熱酸化することによ
って、図2に示されるように、PSGマスク2aの直下
において、SiO2膜3によって被覆された冷陰極4を
形成する。このとき、PSGマスク2aに含まれるPの
一部はPSGマスク2aに接して成長するSiO2膜3
中へと熱拡散される。従って、図2に示される方法にお
いては、冷陰極4先端部近傍のSiO2膜3はPSG化
膜2bに変換されていることが特徴となっている。
【0030】次いで、図12において示された方法と同
様にして、SiOと導電体とを順次真空蒸着法によって
堆積する。このことによって、図3に例示されるように
不連続な電極下地絶縁膜5及び電極膜6を備える構造を
有する冷陰極素子を得る。
【0031】次いで、図13においてSiO2マスク2
0をエッチングしてリフトオフを行ったのと同様に、P
SGマスク2aをエッチングして電極下地絶縁膜5a及
び電極膜6aをリフトオフによって除去する。このと
き、PSGはSiO2に比べてエッチング速度が大きい
(電子通信学会編、「LSIハンドブック」263〜2
64頁、オーム社)ので、PSGマスク2a及びPSG
化膜2bのみが選択的にエッチングされる。従って、図
4に例示されるように、先端部のみが露出し、他の部分
はSiO2膜3で被覆された冷陰極4を備える構造を有
する冷陰極素子を得ることができる。
【0032】尚、SiO2膜3形成後に、更にN2あるい
はArのような不活性なガス雰囲気中における熱処理を
追加しても良い。これによって、SiO2膜3の成長を
回避しながらPの拡散のみを行うことが可能となり、P
SG化膜2bのPの濃度を適切に設定できる。
【0033】また、PSGマスク2aに使用されるPS
Gの代わりに、B(ほう素)を含むBSG(Boro-Silic
ate Glass)、BとPの両者を含むBPSG(Boro-Phos
pho-Silicate Glass)、あるいはAs(砒素)を含むA
sSG(Arseno-Silicate Glass)のような、不純物を
含むシリケートガラス等の材料を用いても良い。B、P
及びAsは周知の通り、半導体素子製造において不純物
として添加される3族あるいは5族の元素に属する。す
なわち、不純物としてSiO2膜3の中に拡散されるこ
とによって、拡散された部分のみが選択的にエッチング
され易くなるような元素ならば、本発明の製造方法にお
いて使用することが可能である。
【0034】SiOの代わりに、SiO2、Al23
Si34等のように、シリケートガラスよりもエッチン
グ速度の小さい絶縁物を電極下地絶縁膜5として用いて
もよい。同様に、電極膜6として、Mo、W、Nb、A
uあるいはMoSi2、WSi2等各種の金属、あるいは
その化合物,合金等を用いることができる。
【0035】従来技術による冷陰極素子の製造方法にお
いては、SiO2膜3のうち、冷陰極4の表面上に存在
するものはリフトオフの際に全て除去された。しかし、
本実施の形態においては、冷陰極4の先端部分に存在す
る部分のSiO2膜3、すなわちPSG化膜2bのみを
リフトオフの際に除去し、他の部分のSiO2膜3を有
意に残存させることが可能となる。これを以下に記すよ
うにして利用することが、本実施の形態の特徴となって
いる。
【0036】本実施の形態の冷陰極素子においては、冷
陰極4の露出された先端部は電界電子放出部として機能
し、その他の部分はSiO2膜3で覆われている。この
SiO2膜3によって、残留ガスの吸着及び離脱、ある
いは電離した残留ガスによる衝撃から冷陰極4が保護さ
れる。従って、本実施の形態の冷陰極素子は、ノイズの
少ない高性能の冷陰極素子となる。
【0037】また、本実施の形態の製造方法において
は、SiO2膜3を形成する熱酸化を行う際にPの拡散
も同時に起こり、エッチングによって有意に除去される
PSG化膜2bが形成される。従って、マスクの材料と
してPSGを用いるという簡単な置換によって、従来の
製造方法と同じ処理を行うだけで本実施の形態に従う冷
陰極素子を得ることが可能となる。
【0038】実施の形態2.Siは半導体であるため、
その表面には表面準位等のような電子の捕獲中心となる
欠陥が形成される。このために、Siを冷陰極として備
える冷陰極素子においては、残留ガスの付着等があると
特性変動が起こり易い。そこで、本実施の形態において
は、冷陰極の表面の電子状態を安定させる処理を施すこ
とによって、実施の形態1において得られる冷陰極素子
をさらに高性能とする製造方法を開示する。
【0039】図5,6は、本実施の形態に従う冷陰極素
子の製造方法を工程順にそれぞれ示す断面図である。図
5に示される工程は図4にて示される工程に引き続いて
なされるものである。
【0040】まず、図5に示されるように、下地となる
図4に示される冷陰極素子上に表面コート膜9を、CV
D(Chemical Vapor Deposition)法、真空蒸着法、あ
るいはスパッタリング法等を用いることによって、例え
ば5〜50nm程度に薄く形成する。表面コート膜9と
しては、導電性を有しつつ電子状態を安定させるような
物質を用いればよく、例えば金属を用いれば良い。次
に、SiO2膜3及び電極下地絶縁膜5bの表面をそれ
ぞれ、弗酸のようなエッチング液を用いて軽いエッチン
グによって除去する。
【0041】表面コート膜9によって被覆された、Si
2膜3及び電極下地絶縁膜5bのそれぞれの表面をエ
ッチングすることが可能である理由について説明を行
う。図5において、冷陰極素子上の表面コート膜9は薄
く形成されている。従って、下地の表面に一様に形成さ
れた状態ではなく、島上に凝集して形成された状態の表
面コート膜9を得ることがある。この場合、下地が部分
的に露出されているので、表面コート膜9によって覆わ
れているSiO2膜3及び電極下地絶縁膜5bのそれぞ
れの表面をエッチングすることは容易に実現可能であ
る。また、表面コート膜9が一様に形成され、これによ
って下地が露出されていない場合でも、表面コート膜9
が薄膜であるので、表面コート膜9を構成する物質の結
晶粒の界面に沿ってエッチング剤が侵入可能である。従
ってこの場合にも、表面コート膜9によって覆われてい
るSiO2膜3及び電極下地絶縁膜5bのそれぞれの表
面をエッチングすることは可能である。
【0042】このエッチングと同時に、SiO2膜3と
電極下地絶縁膜5bとの表面に存在する表面コート膜9
をも選択的に除去する。これによって、冷陰極4の先端
部、及び電極膜6bのそれぞれの表面のみに表面コート
膜9を残存させる。
【0043】以上の工程によって、図6において例示さ
れる、表面コート膜9によって選択的に被覆された冷陰
極素子を得ることが可能となる。
【0044】さらに、図6にて示される工程の前あるい
は後に熱処理を追加して、冷陰極4を構成するSiと表
面コート膜9との合金化処理を行ってもよい。この処理
によって、Siと表面コート膜9との接触をより強固な
ものとすることが可能となる。すなわち、密着性を上げ
ることによって電気的特性を向上させて、冷陰極素子の
性能をさらに優れたものとする。
【0045】本実施の形態の目的は、表面準位等が存在
しない物質を用いて冷陰極の先端部に被覆を施すことに
よって、冷陰極の先端部表面における電子状態を安定さ
せることである。従って、表面コート膜9として、M
o,W,Nb,Au,TiあるいはMoSi2、WS
2、TiN等各種の金属あるいはその化合物,合金等
を用いることが可能である。
【0046】本実施の形態においては、表面の電子状態
を安定させる物質によって、Siにて構成される冷陰極
4を被覆する。従って、実施の形態1の冷陰極素子より
も性能の安定した冷陰極素子を得ることが可能となる。
【0047】実施の形態3.本実施の形態においては、
冷陰極4の先端部分に多孔質化処理を施すことによって
電界電子放出特性を向上する、冷陰極素子の製造方法を
開示する。図7は図4に引き続く図であり、本実施の形
態に従う処理のなされた冷陰極素子を例示する断面図で
ある。
【0048】図4に示される冷陰極素子に対して、弗
酸、あるいは弗酸及びアルコールと、水等との混合溶液
を用いるSiの陽極化成処理を行う。陽極化成処理を行
うには、Si基板1を陽極として混合溶液中にて通電を
行えば良い。
【0049】Si基板1を陽極として用いる陽極化成処
理における化学反応は、
【0050】
【化1】
【0051】
【化2】
【0052】
【化3】
【0053】のように進行する。化1にて示されるe+
は正孔を表す。化3において示されるように、可溶性の
2SiF6が溶液中に溶出し、化2の残ったSiの表面
部分が多孔質化され、陽極化成層10が形成される。
【0054】以上の処理によって、冷陰極4の先端部分
のみが選択的に、多孔質である陽極化成層10に変換さ
れた構造を得ることが可能となる。
【0055】Siによって形成される冷陰極4の表面を
多孔質化することによって、電界電子放出特性を著しく
向上できることは、既に本発明の発明者等の実験によっ
て確認されている(M.Takai et al., App.Phys.Lett.,V
ol.66,No.4,pp.422-423,1995)。
【0056】以上のように、本実施の形態の製造方法を
用いることによって、冷陰極素子の電界電子放出特性を
著しく向上することが可能となる。
【0057】実施の形態4.本実施の形態においては、
実施の形態2及び実施の形態3において記載されたそれ
ぞれの製造方法を組み合わせることによって、性能の優
れる冷陰極素子を得る。
【0058】まず、実施の形態3に記載の方法によっ
て、冷陰極4の先端部の表面部分が陽極化成層10に変
換された冷陰極素子を用意する。次に、実施の形態2に
記載の方法、すなわち冷陰極素子全体に導電性の膜を堆
積させ、エッチングによってSiO2膜3の表面あるい
は電極下地絶縁膜5の表面に存在する部分の表面コート
膜9を選択的に取り除くという方法によって、陽極化成
層10を表面コート膜9によって被覆する。以上の処理
によって、図8に例示される冷陰極素子が得られる。
【0059】上述の一連の処理を施された冷陰極素子に
おいては、多孔質の陽極化成層10を損なうことなく、
表面コート膜9による被覆が冷陰極4の先端部に施され
ている。従って、実施の形態2と実施の形態3とにそれ
ぞれ記載の方法を併用することによって、電界電子放出
特性が著しく向上され、性能が安定したノイズの少ない
高性能の冷陰極素子を得ることが可能となる。
【0060】
【発明の効果】請求項1に記載の構成によれば、冷陰極
の先端部が絶縁膜で覆われていないので冷陰極の電界電
子放出は妨げられない。一方、残留ガスの吸着及び離脱
による、あるいは電離した残留ガスの衝撃による冷陰極
素子のノイズの発生を先端部以外を覆う絶縁膜によって
回避することが可能となる。これによって、信頼性が高
く性能の良い冷陰極素子が得られる。
【0061】請求項2に記載の構成によれば、冷陰極の
表面の電子状態を安定させることによって冷陰極の電界
電子放出を安定させることが可能である。
【0062】請求項3に記載の構成によれば、冷陰極素
子の電界電子放出特性を向上することが可能である。こ
れによって、請求項1,2に記載の構成による効果に加
え、さらに冷陰極素子の信頼性と性能とが向上する。
【0063】請求項4に記載の構成によれば、陽極化成
処理を施すことによって多孔質化を行うことが可能とな
る。陽極化成処理は一般に容易に行うことが可能である
ので、本発明の実施が容易となる。
【0064】請求項5に記載の構成によれば、冷陰極を
形成するシリコンを酸化することによって、二酸化シリ
コンからなる絶縁膜を容易に得ることが可能である。
【0065】請求項6に記載の構成によれば、絶縁膜の
うち、不純物混入領域のみを選択的に除去することが可
能となる。従って、冷陰極の表面のうち、電界電子放出
領域以外の部分に絶縁膜の一部が残留する。この残留し
た絶縁膜によって、冷陰極素子のノイズの発生が回避さ
れる。
【0066】請求項7に記載の構成によれば、工程
(b)にて形成された二酸化シリコン膜のうち、第1の
絶縁膜に近接する近接部分のみを工程(c)において選
択的に除去することによって、請求項1に記載の冷陰極
素子を得ることが可能となる。
【0067】請求項8に記載の構成によれば、弗酸を含
む溶液が3族または5族の元素を含むシリケートガラス
をエッチングする速度は二酸化シリコン膜をエッチング
する速度よりも速いことを利用して、シリケートガラス
のみを選択的に除去して冷陰極素子を製造することが可
能となる。これによって、請求項7に記載の工程(c)
における選択的な除去が容易に実施される。
【0068】請求項9に記載の構成によれば、熱酸化処
理によって二酸化シリコン膜を形成する際に第1の絶縁
膜に含まれる不純物が二酸化シリコン膜へと拡散され
る。これによって、請求項8に記載の構成のうち、不純
物の拡散が満足される。したがって、請求項8に記載の
製造方法によって請求項7の工程(c)に記載されるよ
うに第1の絶縁膜と近接部分とを同時に選択的に除去す
ることが可能となる。すなわち、請求項7に記載の製造
方法の実施を容易に行うことが可能となる。
【0069】請求項10に記載の構成によれば、二酸化
シリコンの成長を伴うことなく不純物の拡散のみを行う
ことが可能となり、不純物の濃度を適切に設定すること
が可能となる。これによって、請求項8に記載の製造方
法によって選択的に除去される二酸化シリコン膜の領域
の範囲を制御することが可能となり、所望の大きさの露
出表面を有する冷陰極素子が得られる。
【0070】請求項11に記載の構成によれば、例えば
不活性ガス雰囲気にて熱を加えるという簡易な方法によ
って請求項10に記載の製造方法が実施可能となる。
【0071】請求項12に記載の構成によれば、二酸化
シリコン膜の表面上に存在する導電膜を除去し、工程
(c)にて露出された突起の表面上に存在する導電膜は
残存する。従って、請求項3に記載の冷陰極素子が容易
に得られる。
【0072】請求項13に記載の構成によれば、請求項
3に記載の冷陰極素子が得られる。
【0073】請求項14に記載の構成によれば、陽極化
成処理によって請求項13に記載の製造方法を容易に提
供可能となる。
【0074】請求項15に記載の構成によれば、突起の
表面を導電膜にて被覆することによって、請求項13に
記載の構成による効果を損なうことなく、冷陰極の表面
の電子状態を安定させることが容易に可能である。これ
によって、安定した性能を持つ、請求項3に記載され、
特に請求項2にも記載されている冷陰極素子が得られ
る。
【0075】本発明によれば、冷陰極の表面部分のうち
電界電流放出に関与しない部分を絶縁膜によって被覆す
るので、残留ガスの影響を少なくでき、冷陰極素子のノ
イズ特性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1の製造方法を工程順に示す断面
図である。
【図2】 実施の形態1の製造方法を工程順に示す断面
図である。
【図3】 実施の形態1の製造方法を工程順に示す断面
図である。
【図4】 実施の形態1の冷陰極素子を例示する断面図
である。
【図5】 実施の形態2の製造方法を工程順に示す断面
図である。
【図6】 実施の形態2の製造方法を工程順に示す断面
図である。
【図7】 実施の形態3の冷陰極素子を例示する断面図
である。
【図8】 実施の形態4の冷陰極素子を例示する断面図
である。
【図9】 従来の冷陰極素子の製造方法を工程順に示す
断面図である。
【図10】 従来の冷陰極素子の製造方法を工程順に示
す断面図である。
【図11】 従来の冷陰極素子の製造方法を工程順に示
す断面図である。
【図12】 従来の冷陰極素子の製造方法を工程順に示
す断面図である。
【図13】 従来の冷陰極素子を示す断面図である。
【図14】 従来の冷陰極素子における電流の時間変化
を例示するグラフである。
【符号の説明】
1 Si基板、2a PSGマスク、2b PSG化
膜、3 SiO2膜、4冷陰極、4a 錐台、5 Si
O膜、6 電極膜、7 開口部、9 表面コート膜、1
0 陽極化成層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 細野 彰彦 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 森川 和敏 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 川渕 真嗣 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 先端部は絶縁膜によって覆われておら
    ず、該先端部以外は該絶縁膜によって覆われている表面
    を有する冷陰極を含んで成ることを特徴とする冷陰極素
    子。
  2. 【請求項2】 上記先端部の上記表面の電子状態を安定
    させる処理が施されていることを特徴とする請求項1に
    記載の冷陰極素子。
  3. 【請求項3】 上記先端部に多孔質化処理が施されてい
    ることを特徴とする請求項1または2に記載の冷陰極素
    子。
  4. 【請求項4】 上記多孔質化処理は上記冷陰極を陽極と
    して行う陽極化成処理であることを特徴とする請求項3
    に記載の冷陰極素子。
  5. 【請求項5】 上記冷陰極がシリコンから成り、上記絶
    縁膜は二酸化シリコンをから成ることを特徴とする請求
    項1乃至4のうちのいずれか一つに記載の冷陰極素子。
  6. 【請求項6】 冷陰極の表面に絶縁膜を形成する工程を
    含んで成る冷陰極素子の製造方法において、前記絶縁膜
    への選択的な不純物の拡散を起こすことによって、前記
    冷陰極の電界電子放出領域上の該絶縁膜に不純物混入領
    域を形成し、前記不純物混入領域を除去することを特徴
    とする冷陰極素子の製造方法。
  7. 【請求項7】 (a)第1の絶縁膜が先端部に載置され
    た、冷陰極たる突起を有するシリコン基板を準備する工
    程と、 (b)前記シリコン基板の表面のうちの露出されている
    部分に二酸化シリコン膜を形成する工程と、 (c)前記第1の絶縁膜と、前記二酸化シリコン膜のう
    ちの該第1の絶縁膜に近接する近接部分とをエッチング
    によって選択的に除去することによって前記突起の前記
    先端部を選択的に露出させる工程とを含むことを特徴と
    する冷陰極素子の製造方法。
  8. 【請求項8】 上記第1の絶縁膜は不純物の存在するシ
    リケートガラスから成り、 前記不純物は3族あるいは5族の元素を少なくとも一つ
    は含み、 上記工程(b)の開始から(c)の開始までの間に、上
    記近接部分に前記不純物が拡散され、 上記工程(c)における上記エッチングは弗酸を含む溶
    液を用いるウェットエッチングであることを特徴とする
    請求項7に記載の冷陰極素子の製造方法。
  9. 【請求項9】 上記工程(b)において、上記二酸化シ
    リコン膜は熱酸化処理によって形成されることを特徴と
    する請求項8に記載の冷陰極素子の製造方法。
  10. 【請求項10】 上記工程(b)に引き続き、上記工程
    (c)以前になされる、 (d)該二酸化シリコン膜を成長させることなく、上記
    不純物の上記二酸化シリコン膜への拡散処理を行う工程
    がさらに含まれることを特徴とする請求項8に記載の冷
    陰極素子の製造方法。
  11. 【請求項11】 上記拡散処理は非酸化雰囲気において
    熱を加える処理を含んで成ることを特徴とする請求項1
    0に記載の冷陰極素子の製造方法。
  12. 【請求項12】 上記工程(c)に引き続き、 (d)前記工程(c)において得られた構造のうち、上
    記突起の存在する側に第1の導電膜を形成する工程と、 (e)前記二酸化シリコン膜の前記表面をエッチングす
    ることによって、該二酸化シリコン膜上の前記第1の導
    電膜を選択的に除去する工程とがさらに含まれることを
    特徴とする請求項7に記載の冷陰極素子の製造方法。
  13. 【請求項13】 上記工程(c)に引き続き、 (d)前記工程(c)において露出された上記突起の表
    面部分を多孔質化する工程がさらに含まれることを特徴
    とする請求項7に記載の冷陰極素子の製造方法。
  14. 【請求項14】 上記工程(d)は陽極化成を行う工程
    であることを特徴とする請求項13に記載の冷陰極素子
    の製造方法。
  15. 【請求項15】 上記(d)の工程に引き続き、 (e)前記工程(d)において得られた構造のうち、上
    記突起の存在する側に第1の導電膜を形成する工程と、 (f)前記二酸化シリコン膜の前記表面をエッチングす
    ることによって、該二酸化シリコン膜上の前記第1の導
    電膜を選択的に除去する工程とがさらに含まれることを
    特徴とする請求項13に記載の冷陰極素子の製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6340425B2 (en) 1999-04-08 2002-01-22 Nec Corporation Method of manufacturing cold cathode device having porous emitter
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JP2007128851A (ja) * 2005-10-31 2007-05-24 Samsung Sdi Co Ltd 電子放出源およびそれを含む電子放出素子

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