JPH09235870A - 目地底へのボンドブレーカー貼着方法及びその貼着用治具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】パネル１の小口面２同士が合わさって凹条に形
成される目地部３の目地底４に、片面接着テープからな
るボンドブレーカー５を貼着する際に、その貼着作業効
率がよく、しかもボンドブレーカー５は真っ直ぐにかつ
十分に貼着されるボンドブレーカー貼着方法及びその貼
着用治具を提供すること。 【解決手段】目地底４の幅よりやや小さい幅を有し、回
転自在な転圧ローラ７を用い、ボンドブレーカー５を転
圧ローラ７により転圧しながら貼着するボンドブレーカ
ー貼着方法及びその貼着用治具。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は目地底へのボンドブ
レーカー貼着方法及びその貼着用治具に関する。詳しく
は、コンクリート系パネル等の小口面同士が合わさって
凹条に形成される目地部における目地底に、片面接着テ
ープからなるボンドブレーカーを貼着する際、容易にか
つ能率良く、また均一に貼着できるボンドブレーカー貼
着方法及びその貼着用治具に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】通常、パネル間には凹条に形成された目
地部があり、その構造としては、特に地震に起因する変
位を中心としてその他温度・湿度の変化、風圧等に起因
するパネル間変位に追従するワーキングジョイントの構
造とそれらの変位に追従しないノンワーキングジョイン
トの構造とがある。そして、その目地部には主として防
水性、防火性等を付与する目的でシーリング材とその他
の部材が充填される。

【０００３】このような目地部の構造のうち主にワーキ
ングジョイントでは、パネル間変位の後に充填したシー
リング材が剥離しないように、シーリング材に局部的な
応力またはひずみを生じさせない構造にしなければなら
ない。そのために、シーリング材は目地部の両側面のみ
と接着し目地底では接着しない構造、すなわち３面接着
を防止するように配慮する必要がある。したがって、ワ
ーキングジョイント構造の目地底等には、シーリング材
と接着しないボンドブレーカーと称される片面接着テー
プがシーリング材の充填前に貼着される。

【０００４】このようなボンドブレーカーを凹条に形成
された目地部の目地底に貼着する際、従来は一方の手で
そのボンドブレーカーを真っ直ぐに緊張させて他方の手
でそのボンドブレーカーを押しながら目地底に貼着する
方法、あるいは目地部の幅が狭くて目地底まで指が入ら
ない場合は棒状のものでボンドブレーカーを押しながら
貼るという方法を採っていた。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】このように、ボンドブ
レーカーを指や棒状のもので押しながら徐々に接着して
いく方法では作業効率が悪く、しかもボンドブレーカー
が真っ直ぐに接着され難いとともに、ボンドブレーカー
を押す圧力も一定にならないためボンドブレーカーの貼
着が均一にならず、貼着が不十分な部分も生ずるという
問題点があった。その結果目地のシーリングが不十分に
なるという問題点も生ずる場合があった。また、貼着後
のボンドブレーカーの切断に際してはハサミ等を別に用
意しておかなければならず、たいへん面倒なものであっ
た。

【０００６】そこで、本発明の目的はパネルの小口面同
士が合わさって凹条に形成される目地部の目地底に、片
面接着テープからなるボンドブレーカーを貼着する方法
において、その貼着作業効率がよく、しかもボンドブレ
ーカーが真っ直ぐにかつ十分に貼着される目地底へのボ
ンドブレーカー貼着方法及びその貼着用治具を提供する
ことにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
る本発明の目地底へのボンドブレーカー貼着方法は、パ
ネルの小口面同士が合わさって凹条に形成される目地部
の目地底に、片面接着テープからなるボンドブレーカー
を貼着する方法において、目地部に挿入可能で回転自在
な転圧ローラとボンドブレーカーロールを装着したボン
ドブレーカーロール装着部と切断刃とから構成されたボ
ンドブレーカー貼着用治具を使用し、先ずボンドブレー
カーの先端部を目地部端部に貼着させ、次に目地部に転
圧ローラを挿入し、しかる後にボンドブレーカーロール
から供給されるボンドブレーカーを転圧ローラで目地底
に押圧しかつ転がしながら貼着し、貼着後に切断刃で切
断する方法である。

【０００８】また、本発明のボンドブレーカー貼着用治
具は、パネルの小口面同士が合わさって凹条に形成され
る目地部の目地底に、片面接着テープからなるボンドブ
レーカーを貼着する目地底へのボンドブレーカー貼着用
治具であって、ボンドブレーカーロール装着部と、その
装着部と剛体により連結された転圧ローラ支持部と、該
転圧ローラ支持部に支持され目地部に挿入可能で回転自
在な転圧ローラと、該転圧ローラと前記ボンドブレーカ
ーロール装着部との間に設けられたボンドブレーカー横
ずれ防止体と、前記転圧ローラ近房に設けられた切断刃
とから構成されている。

【０００９】次に本発明の作用について説明する。請求
項１の貼着方法においては、目地部に挿入可能な回転自
在な転圧ローラを用いるため、ボンドブレーカーは転圧
ローラによって目地底にほぼ一定の圧力で押圧され、ま
た転圧ローラに導かれながらすばやくかつひっ掛かりな
くしかも均一に連続して貼着されていく。また、ボンド
ブレーカーはそのボンドブレーカーロール（以下、単に
ロールという）から絶えず供給されるため、ボンドブレ
ーカーの先端部を目地部端に貼着した後は、片手で容易
に所望長さまで連続して貼着することができ、貼着後は
切断刃で容易にかつ奇麗に切断される。

【００１０】また、請求項２の貼着用治具においては、
ボンドブレーカーロール装着部（以下、ロール装着部と
いう）と転圧ローラ支持部とが剛体で連結されている。
そのため本貼着用治具のロール装着部を把持して転圧ロ
ーラを目地底に押しつけた際に、転圧ローラが揺れたり
しないため目地底に対する転圧ローラの押圧力を安定し
てかつ十分に作用させることができ、手の押圧力が転圧
ローラに完全に伝わる。そして、ボンドブレーカー上に
転圧ローラを転がすと、ボンドブレーカーは転圧ローラ
に導かれながら貼着される。

【００１１】さらに、ボンドブレーカー横ずれ防止板が
設けられているので、貼着途中に転圧ローラからボンド
ブレーカーが外れることがなくなる。請求項３の貼着用
治具を用いれば、ボンドブレーカーガイド（以下、単に
ガイドという）が設けられているので、転圧ローラへの
ボンドブレーカーの供給がスムーズになる。請求項４の
貼着用治具を用いれば、ボンドブレーカーはハサミ等を
用いることなく片手で容易にかつ奇麗に切断される。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、本発明に係る目地底へのボ
ンドブレーカー貼着方法の実施の形態について詳述す
る。本発明の貼着方法においては、図１に示すようにコ
ンクリート系パネル１の小口面２同士が合わされて凹条
に形成される目地部３の目地底４に、ボンドブレーカー
５を貼着用治具６を用いて貼着する。その貼着用治具６
は少なくとも目地部３に挿入可能で回転自在な転圧ロー
ラ７とその転圧ローラ７にボンドブレーカー５を連続し
て供給可能なようにボンドブレーカーロール８を装着し
たロール装着部９と切断刃１０とを具備している必要が
ある。

【００１３】転圧ローラ７の直径及び横幅は、適用する
目地部３およびその目地底４の深さと幅に応じて適宜変
更するが、転圧ローラ７の直径は目地部３深さの１．３
〜２倍、その幅は目地部３幅の０．８〜０．９５倍が好
ましい。また、目地底４の形状が図１のように水平の場
合は、転圧ローラ７表面も水平なものが適用され、目地
部３がＵ字あるいはＶ字のような場合は表面形状もそれ
らに適合した形状であることが好ましい。転圧ローラ７
の素材は特に限定されないが、若干柔軟なゴムやプラス
チックが押圧性の面で好ましい。

【００１４】ボンドブレーカー５は、シリコーンテー
プ、ポリエチレンテープあるいはクラフトテープなどの
材質からなる片面接着の薄型テープであるが、その材質
は特に限定されず、適用する目地部３を構成する材質に
より適宜選択する。また、その幅は目地底４の幅に応じ
て適宜選択するが、一般的には４ｍｍから３０ｍｍであ
る。

【００１５】ボンドブレーカー５を目地底４に貼着する
際は、先ず、ロール装着部９に装着されているロール８
からボンドブレーカー５の先端部を引き出して目地部４
の端部１１に貼着させる。次にそのボンドブレーカー５
表面に転圧ローラ７の下面を当てながらその転圧ローラ
７を目地部３に挿入する。

【００１６】しかる後に、ロール装着部９を把持してボ
ンドブレーカー５を転圧ローラ７で目地底４に押圧しな
がらかつその転圧ローラ７を転がすようにすれば、ボン
ドブレーカー５はそのロール８から連続して供給され、
その転圧ローラ７に導かれながら貼着される。そして転
圧ローラ７の軸を回転軸として貼着用治具６を反転さ
せ、ボンドブレーカー５表面に切断刃１０を当てて引っ
張ることによりボンドブレーカー５を切断する。

【００１７】次に、本発明に係る貼着用治具について図
２に基づいて詳細に説明する。貼着用治具６は、基本構
成としてロール装着部９、剛体１２、転圧ローラ支持部
１３、転圧ローラ７、ボンドブレーカー５の横ずれ防止
体１４、ボンドブレーカーガイド１５、切断刃１０とか
ら構成されている。

【００１８】ロール装着部９は、ロール８の片側面を保
持するための略扇形板状の剛体１２と、ロール８の他方
側面からカバーするための円板形の蓋部１６とから構成
されている。そして剛体１２および蓋部１６はロール８
が安定して装着されるようにロール８の直径幅よりやや
大きく、またそれらのほぼ中央に円形の開口部１７、１
８がそれぞれ設けられている。そして、剛体１２の開口
部１７の周囲にはロール巻心１９を装着するためのリン
グ体２０が突設されており、さらに蓋部１６の開口部１
８の周囲には剛体１２のリング体２０に内接するリング
体２１が突設されている。また、剛体１２および蓋部１
６の周囲にはロール８を保護するための外周カバー２２
が設けられている。

【００１９】さらに、剛体１２の内側部分のロール巻心
１９が当たる部分には、環状の突起（図示せず）が設け
られており、一方の蓋部１６内側部分はリング体２０、
２１がロール８側面より突設しており、それらによりロ
ール８と剛体１２および蓋部１６との間に隙間が形成さ
れて、ロール８側面の糊が付着することを防止できるよ
うになっている。また、剛体１２と蓋部１６とはネジで
固定されているとともに互いに容易に取り外し可能なよ
うに構成されている。

【００２０】なお、蓋部１６の一部には長円状の切欠穴
２３が設けられていることが、ボンドブレーカー５を切
断し易くするという面でより好ましい。すなわち、ボン
ドブレーカー５を切断刃１０で切断する際、その切欠穴
２３から指を挿入してロール８を押圧してその回転を防
止するようにすれば、ボンドブレーカー５は緊張されて
切断刃１０による切断が容易になる。この剛体１２の素
材は３ｍｍ〜１ｃｍのプラスチック製板、ステンレス鋼
板、アルミ鋼板などが用いられる。蓋部１６の素材も特
に限定されないが、透明なプラスチック製板とすること
がロール８の残量が判別でき、かつ軽量となるためより
好ましい。また、剛体１２は略扇形板状を形成している
が、その鋭角部２４が転圧ローラ支持部１３と連結され
ており、転圧ローラ７を押圧した際にその揺れを防止で
きるようになっている。

【００２１】転圧ローラ支持部１３は、転圧ローラ７を
挟持するようにその両側面に設けられ、厚さ０．２〜１
ｍｍ程度のステンレス製等の薄鋼板２５，２６から成
り、転圧ローラ軸２７に固定されている。図２では一方
の薄鋼板２５は逆三角形状を成しており、他方の薄鋼板
２６が広幅の略台形を成していて、その薄鋼板２６と剛
体１２の鋭角部２４とが連結され固定されている。ま
た、この薄鋼板２６は転圧ローラ７とほぼ同じ幅を有す
るスペーサーを挟んで片方の薄鋼板２５とねじ止めされ
ている。そして、一対の薄鋼板２５，２６の間から転圧
ローラ７の一部が露出しており、その部分がボンドフレ
ーカー５を転圧する部位となる。

【００２２】転圧ローラ支持部１３を構成している薄鋼
板２６におけるロール装着部９と転圧ローラ７との間に
は、ボンドブレーカー５を転圧ローラ７面に導くための
ローラ状のボンドブレーカーガイド１５が３個設けられ
ている。また、ガイド１５の側面はボンドブレーカー５
の糊が容易に付かないようにローレット加工が施されて
いる。さらに、このガイド１５の位置にはボンドブレー
カー５がガイド１５から外れないように薄鋼板のボンド
ブレーカー横ずれ防止体１４が設けられており、その防
止体１４はボンドブレーカー５をガイド１５等にセット
する時のために解放可能になっている。なおガイド１５
が設けられている薄鋼板２６もボンドブレーカー５の横
ずれ防止作用を有し、転圧ローラ支持部と兼ねている。
従って、それらの両薄鋼板がボンドブレーカー横ずれ防
止体１４を構成している。そして、このような横ずれ防
止体１４の存在により、ボンドブレーカー５は、転圧ロ
ーラ７の転圧面から横にずれることなく転圧されて目地
底４に貼着される。

【００２３】なお、転圧ローラ７の詳細については前述
の通りであるため省略する。転圧ローラ支持部１３の上
部先端には、ボンドブレーカー５を切断するための切断
刃１０が設けられている。この切断刃１０は転圧ローラ
７の中心より前方かつ上方に位置していると、貼着用治
具６を立てる方向に回転するのみで貼着されたボンドブ
レーカー５を容易に切断できる。さらに、この切断刃１
０の形状は楔型になっていることがボンドブレーカー５
をひっ掛けやすく、簡単に切断できるためより望まし
い。

【００２４】

【発明の効果】以上のように本発明の貼着方法によれ
ば、転圧ローラを目地部に挿入してボンドブレーカー上
に転圧ローラを転がす方法であるため、指や棒体で押圧
しながら貼着する方法に比較して、貼着作業効率が大幅
に向上する。また、ボンドブレーカーは転圧ローラに導
かれながら貼着されるためまっすぐに貼着され、かつ転
圧ローラで転圧するためボンドブレーカーは一定の力で
押されるようになり均一にかつ十分に貼着されるように
なる。さらに、貼着されたボンドブレーカーを無理に引
っ張る力がかからないのでボンドブレーカーが脆弱な場
合でも貼着中にボンドブレーカーを引きちぎってしまう
ことはない。その上、貼着されたボンドブレーカーを切
断刃で切断するのでハサミ等を別に用意しておく必要も
なくなる。

【００２５】また、本発明の貼着用治具を用いた場合
は、ボンドブレーカーロール装着部と転圧ローラ支持部
とが剛体で連結されているため、そのロール装着部を把
持して転圧ローラを目地底に押しつけた際に、目地底に
対する転圧ローラの押圧力を安定してかつ十分に作用さ
せることができ、この時手の押圧力が転圧ローラに完全
に伝わる。また、ボンドブレーカーの横ずれ防止板が設
けられているので、貼着途中に転圧ローラからボンドブ
レーカーが外れることがなくなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の目地底へのボンドブレーカー貼着用方
法を示す斜視図

【図２】本発明の目地底へのボンドブレーカー貼着用治
具を示す斜視図

【符号の説明】

１ パネル ２ 小口面 ３ 目地部 ４ 目地底 ５ ボンドブレーカー ６ 貼着用治具 ７ 転圧ローラ ８ ボンドブレーカーロール ９ ボンドブレーカーロール装着部 １０ 切断刃 １２ 剛体 １３ 転圧ローラ支持部 １４ ボンドブレーカー横ずれ防止体 １５ ボンドブレーカーガイド １６ 蓋部 １７ 開口部 １８ 開口部 ２０ リング体 ２１ リング体 ２３ 長円状の穴

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】パネル（１）の小口面（２）同士が合わさ
   って凹条に形成される目地部（３）の目地底（４）に、
   片面接着テープからなるボンドブレーカー（５）を貼着
   する方法において、 目地部（３）に挿入可能で回転自在な転圧ローラ（７）
   とボンドブレーカーロール（８）を装着したボンドブレ
   ーカーロール装着部（９）と切断刃（１０）とから構成
   されたボンドブレーカー貼着用治具（６）を使用し、先
   ずボンドブレーカー（５）の先端部を目地部端部（１
   １）に貼着させ、次に目地部（３）に転圧ローラ（７）
   を挿入し、しかる後にボンドブレーカーロール（８）か
   ら供給されるボンドブレーカー（５）を転圧ローラ
   （７）で目地底（４）に押圧しかつ転がしながら貼着
   し、貼着後に切断刃で切断することを特徴とする目地底
   へのボンドブレーカー貼着方法。
2. 【請求項２】パネル（１）の小口面（２）同士が合わさ
   って凹条に形成される目地部（３）の目地底（４）に、
   片面接着テープからなるボンドブレーカー（５）を貼着
   する目地底へのボンドブレーカー貼着用治具であって、 ボンドブレーカーロール装着部（９）と、その装着部
   （９）と剛体（１２）により連結された転圧ローラ支持
   部（１３）と、該転圧ローラ支持部（１３）に支持され
   目地部（３）に挿入可能で回転自在な転圧ローラ（７）
   と、該転圧ローラ（７）と前記ボンドブレーカーロール
   装着部（９）との間に設けられたボンドブレーカー横ず
   れ防止体（１４）と、前記転圧ローラ（７）近房に設け
   られた切断刃（１０）とから構成されていることを特徴
   とする目地底へのボンドブレーカー貼着用治具。
3. 【請求項３】前記転圧ローラ（７）と前記ボンドブレー
   カーロール装着部（９）との間にボンドブレーカーガイ
   ド（１５）が設けられていることを特徴とする請求項２
   記載の目地底へのボンドブレーカー貼着用治具。
4. 【請求項４】前記切断刃（１０）は前記転圧ローラ
   （７）の中心より前方上方に設けられており、かつその
   先端が楔形を成していることを特徴とする請求項２また
   は３記載の目地底へのボンドブレーカー貼着用治具。