JPH09235505A - 塗料用組成物および多層塗膜 - Google Patents

塗料用組成物および多層塗膜

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JPH09235505A
JPH09235505A JP7116596A JP7116596A JPH09235505A JP H09235505 A JPH09235505 A JP H09235505A JP 7116596 A JP7116596 A JP 7116596A JP 7116596 A JP7116596 A JP 7116596A JP H09235505 A JPH09235505 A JP H09235505A
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忠文 宮園
Yasuhiro Ito
康博 伊藤
Naosumi Sakagami
直住 坂上
Shuhei Numata
収平 沼田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 既存の塗膜との密着性が良好でありかつ再補
修性が良好な塗膜を実現する。 【解決手段】 塗料用組成物は、樹脂固形分換算で5重
量%以上のセルロースアセテートブチレートと、樹脂固
形分換算で2.5重量%以上のニトロセルロースと、樹
脂固形分換算で25重量%以上のアクリル系樹脂とを含
んでいる。ここで、セルロースアセテートブチレートと
ニトロセルロースとの合計量は、樹脂固形分換算で55
重量%以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塗料用組成物およ
び多層塗膜、特に、セルロース系の樹脂成分を含む塗料
用組成物およびそれを用いた多層塗膜に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車などの傷ついた塗膜を補修する際
には、補修用塗料が用いられている。補修用塗料として
は、2液型のウレタン樹脂塗料が主に用いられている
が、このような2液型塗料は、塗装前に硬化剤を混合す
る手間がかかり、作業性が良好ではない。また、硬化剤
を混合した塗料は、限られた時間内に塗装する必要があ
り、保存しにくい。このため、補修用塗料として、この
ような問題点を有する2液型塗料に代えて1液型の塗料
の開発が進められている。
【0003】補修用塗料として用いられる1液型の塗料
としては、セルロースアセテートブチレートまたはニト
ロセルロースのいずれかと、アクリル系樹脂、ポリエス
テル系樹脂、エポキシ系樹脂またはメラミン樹脂とを含
むラッカータイプのものが提案されている。このような
セルロース系樹脂を含む1液型のラッカータイプの塗料
は、上述の2液型のウレタン樹脂塗料に比べて乾燥性に
優れ、また、塗りムラが少ないなどの点で塗装作業性が
良好であり、結果として外観の良好な塗膜を形成するこ
とができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述の1液型のラッカ
ータイプの補修用塗料は、通常、既に形成されている塗
膜(以下、旧塗膜という)の上に重ねて適用されるた
め、上述の塗装作業性の他に、旧塗膜との密着性などが
要求される。ところが、このような補修用塗料による補
修塗膜は、旧塗膜との密着性が不十分であり、旧塗膜か
ら剥離し易い。また、当該補修塗膜は、同様の補修塗膜
上に重ねて適用されるとちぢみやフクレを生じ易く、再
補修性が良好でない。
【0005】本発明の目的は、既存の塗膜との密着性が
良好でありかつ再補修性が良好な塗膜を実現することに
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る塗料用組成
物は、樹脂固形分換算で5重量%以上のセルロースアセ
テートブチレートと、樹脂固形分換算で2.5重量%以
上のニトロセルロースと、樹脂固形分換算で25重量%
以上のアクリル系樹脂とを含んでいる。ここで、セルロ
ースアセテートブチレートとニトロセルロースとの合計
量は、樹脂固形分換算で55重量%以下である。
【0007】なお、この塗料用組成物は、例えば、さら
に顔料を含んでいる。また、セルロースアセテートブチ
レートは、例えば、ブチリル基含有量が38%以上であ
りかつ粘度が0.01秒以上である。さらに、ニトロセ
ルロースは、例えば、粘度が1秒以上である。さらに、
アクリル系樹脂は、例えば、重量平均分子量が50,0
00以上でありかつガラス転移温度が25℃以下であ
る。
【0008】また、本発明に係る多層塗膜は、樹脂固形
分換算で5重量%以上のセルロースアセテートブチレー
トと、樹脂固形分換算で2.5重量%以上のニトロセル
ロースと、樹脂固形分換算で25重量%以上のアクリル
系樹脂と、顔料とを含み、セルロースアセテートブチレ
ートとニトロセルロースとの合計が樹脂固形分換算で5
5重量%以下である塗料用組成物により形成された塗膜
基層と、当該塗膜基層上に形成されたクリヤー塗膜層と
を備えている。
【0009】なお、この多層塗膜において、クリヤー塗
膜層は、例えば、水酸基含有アクリル樹脂、フッ素樹
脂、フッ化アクリル樹脂、セルロースアセテートブチレ
ート変性アクリル樹脂からなる群から選ばれた少なくと
も1種と、ポリイソシアネート化合物とを含むクリヤー
塗料を用いて形成されている。
【0010】
【発明の実施の形態】塗料用組成物 本発明に係る塗料用組成物は、セルロースアセテートブ
チレートとニトロセルロースとアクリル系樹脂とを必須
成分として含んでいる。
【0011】本発明で用いられるセルロースアセテート
ブチレートは、特に限定されるものではなく、塗料用途
に通常用いられるものである。但し、ブチリル基含有量
が38%以上でありかつ粘度が0.01秒以上のものが
好ましい。ブチリル基含有量が38%未満或いは粘度が
0.01秒未満の場合は、本発明の目的が達成されにく
い場合がある。なお、ここでの粘度は、ASTM D8
17およびD1343に従って測定した値である。
【0012】本発明で用いられるセルロースアセテート
ブチレートとしては、例えば、イーストマンケミカルジ
ャパン社製の商品名CAB−551−0.01(粘度=
0.01秒、ブチリル基含有量=53%)、同CAB−
551−0.2(粘度=0.20秒、ブチリル基含有量
=52%)、同CAB−531−1(粘度=1.90
秒、ブチリル基含有量=50%)、同CAB−500−
5(粘度=5.00秒、ブチリル基含有量=51%)、
同CAB−553−0.4(粘度=0.30秒、ブチリ
ル基含有量=46%)、同CAB−381−0.1(粘
度=0.10秒、ブチリル基含有量=38%)、同CA
B−381−0.5(粘度=0.50秒、ブチリル基含
有量=38%)、同CAB−381−2(粘度=2.0
0秒、ブチリル基含有量=38%)、同CAB−381
−2BP(粘度=2.20秒、ブチリル基含有量=3
5.5%)、同CAB−381−20(粘度=20.0
0秒、ブチリル基含有量=37%)、同CAB−381
−20BP(粘度=16.00秒、ブチリル基含有量=
35.5%)、同CAB−321−0.1(粘度=0.
10秒、ブチリル基含有量=31.2%)、同CAB−
171−15S(粘度=15.00秒、ブチリル基含有
量=17%)を挙げることができる。
【0013】なお、セルロースアセテートブチレート
は、2種以上のものが併用されてもよい。
【0014】本発明で用いられるニトロセルロースは、
特に限定されるものではなく、従来から塗料分野で用い
られている周知のものを用いることができる。但し、粘
度が1秒以上のもの、特に2〜60秒のものが好まし
い。ニトロセルロースの粘度が1秒未満の場合は、本発
明の目的が達成されにくい場合がある。逆に、粘度が6
0秒を超える場合は、本発明に係る塗料用組成物の粘度
が高くなり過ぎ、塗装作業性が低下する。なお、ここで
の粘度は、JIS−K−6703に従って測定した値で
ある。
【0015】本発明で用いられるニトロセルロースとし
ては、例えば、旭化成工業株式会社製の商品名HIG1
/16(粘度=1.0〜1.5秒:固形分25.0%に
て測定)、同HIG1/8(粘度=2.0〜2.9秒:
固形分25.0%にて測定)、同HIG1/4(粘度=
3.0〜6.0秒:固形分25.0%にて測定)、同H
IG1/2(粘度=3.0〜4.9秒:固形分20.0
%にて測定)、同HIG1(粘度=6.0〜8.0秒:
固形分20.0%にて測定)、同HIG2(粘度=1.
5〜2.5秒:固形分12.2%にて測定)、同HIG
7(粘度=6.0〜7.9秒:固形分12.2%にて測
定)、同HIG20(粘度=16.0〜24.0秒:固
形分12.2%にて測定)、同HIG60(粘度=5
2.0〜67.0秒:固形分12.2%にて測定)を挙
げることができる。
【0016】なお、ニトロセルロースは、2種以上のも
のが併用されてもよい。
【0017】本発明で用いられるアクリル系樹脂は、ス
チレン系モノマー、(メタ)アクリル酸エステル系モノ
マー、水酸基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマ
ーおよびその他のモノマーをアゾ系やパーオキサイド系
の重合開始剤を用いて周知の方法により重合することに
より得られるものである。なお、アクリル系樹脂は、2
種以上のものが併用されてもよい。
【0018】ここで、スチレン系モノマーとしては、例
えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルケトン、
t−ブチルスチレン、パラクロロスチレンおよびビニル
ナフタレンを挙げることができる。(メタ)アクリル酸
エステル系モノマーとしては、例えば、メチルアクリレ
ート、メチルメタアクリレート、エチルアクリレート、
エチルメタアクリレート、n−ブチルアクリレート、n
−ブチルメタアクリレート、イソブチルアクリレート、
t−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレ
ート、2−エチルヘキシルメタアクリレート、ラウリル
メタアクリレート、フェニルアクリレート、イソボルニ
ルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロ
ヘキシルメタクリレート、t−ブチルシクロヘキシルア
クリレート、t−ブチルシクロヘキシルメタクリレー
ト、ジシクロペンタジエニルアクリレート、ジシクロペ
ンタジエニルメタクリレート、ジヒドロジシクロペンタ
ジエニルアクリレートおよびジヒドロジシクロペンタジ
エニルメタクリレートを挙げることができる。水酸基含
有モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルア
クリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2
−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプ
ロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレ
ートを挙げることができる。カルボキシル基含有モノマ
ーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロ
トン酸、イソクロトン酸、アクリル酸二量体を挙げるこ
とができる。その他のモノマーとしては、例えば、重合
性アミド(例えば、アクリルアミド、メタクリルアミ
ド、N−メチロールメタクリルアミドおよびN−メトキ
シメチルアクリルアミドなど)、重合性ニトリル(例え
ば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど)、ビ
ニルハライド(例えば、塩化ビニル、臭化ビニル、フッ
化ビニルなど)、α−オレフィン(例えば、エチレン、
プロピレンなど)、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニルなど)およびジエン(例えば、
ブタジエン、イソプレンなど)を挙げることができる。
【0019】一方、アゾ系の重合開始剤としては、例え
ば、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス
(2−メチルブチロニトリル)および2,2’−アゾビ
ス(2,4−ジメチルバレロニトリル)が挙げられる。
また、パーオキサイド系の重合開始剤としては、例え
ば、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイル
パーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドおよびt−
ブチルパーベンゾエートが挙げられる。
【0020】アクリル系樹脂の重量平均分子量は、5
0,000以上、特に、50,000〜100,000
が好ましい。重量平均分子量が50,000未満の場合
は、本発明の塗料用組成物により得られる塗膜の耐水性
が低下する場合がある。具体的には、当該塗膜を水に浸
漬すると、当該塗膜が下地または旧塗膜から剥離し易く
なり、また、塗膜が白化したり、ちぢみやフクレを生じ
易くなる。一方、重量平均分子量が100,000を超
えると、本発明の塗料用組成物の粘度が高くなり、当該
塗料用組成物の塗装作業性が低下する。
【0021】また、アクリル系樹脂のガラス転移温度
は、常温以下、特に25℃以下が好ましい。ガラス転移
温度が25℃を超える場合は、本発明の塗料用組成物に
よる塗膜の密着性が不十分になる場合があり、具体的に
は、当該塗膜がその下地または旧塗膜から剥離し易くな
る。なお、ここでのガラス転移温度は、アクリル系樹脂
を製造する際に用いるモノマーの固有のガラス転移点と
配合比とから、加重平均により求めることができる。
【0022】なお、アクリル系樹脂は、上述のセルロー
スアセテートブチレートおよびニトロセルロースと相溶
性を示すものを用いるのが好ましい。相溶性が乏しい場
合は、本発明の塗料用組成物の安定性が低下し、その結
果、当該塗料用組成物にブツが発生したり、当該塗料用
組成物による塗膜に艶引けなどが起って塗膜外観が損な
われるおそれがある。
【0023】本発明の塗料用組成物は、上述の必須成分
の他に、顔料、有機溶剤系樹脂、各種添加剤、溶剤など
を含んでいてもよい。顔料としては、塗料分野で通常用
いられているものを使用することができ、例えば、アル
ミニウムペースト、パールマイカ粉、グラファイト、雲
母状酸化鉄、フタロシアニンフレーク、カーボンブラッ
ク、チタン白、フタロシアニンブルーなどのアルミ顔料
や着色顔料などが用いられる。
【0024】また、有機溶剤系樹脂としては、アルキド
樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹
脂、シリル基含有樹脂、セルロースアセテートブチレー
ト変性アクリル樹脂、ニトロセルロース変性アクリル樹
脂などを例示することができる。但し、このような有機
溶剤系樹脂は、上述のセルロースアセテートブチレー
ト、ニトロセルロースおよびアクリル系樹脂と相溶性を
有するものを用いるのが好ましい。相溶性を有さない有
機溶剤系樹脂を用いた場合は、本発明の塗料用組成物の
安定性が低下し、その結果、当該塗料用組成物にブツが
発生したり、当該塗料用組成物による塗膜に艶引けなど
が起って塗膜外観が損なわれるおそれがある。
【0025】さらに、各種添加剤としては、表面調整
剤、紫外線吸収剤、アルミ顔料沈降防止剤、レオロジー
コントロール剤などが例示できる。また、溶剤として
は、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メ
チルイソブチルケトン、ブチルアルコールなどの、塗料
用として通常用いられているものが用いられる。
【0026】なお、上述の顔料、有機溶剤系樹脂、各種
添加剤および溶剤などは、それぞれ2種類以上が併用さ
れてもよい。
【0027】本発明の塗料用組成物において、上述のセ
ルロースアセテートブチレートは、樹脂固形分換算で5
重量%以上、また、ニトロセルロースは樹脂固形分換算
で2.5重量%以上含まれている。セルロースアセテー
トブチレートが樹脂固形分換算で5重量%未満でありか
つニトロセルロースが樹脂固形分換算で2.5重量%未
満の場合は、本発明の塗料用組成物による塗膜にちぢみ
が発生し易くなり、当該塗膜による再補修性が不十分に
なる。
【0028】なお、セルロースアセテートブチレートと
ニトロセルロースとの合計量は、樹脂固形分換算で55
重量%以下に設定される。当該合計量が55重量%を超
える場合は、本発明の塗料用組成物の粘度が高くなり、
塗装作業性が低下する。また、塗膜の密着性および耐水
性が低下し、この結果、塗膜の剥離が起こりやすくな
り、また、塗膜にブリスターが発生し易くなる。
【0029】一方、アクリル系樹脂の含有量は、樹脂固
形分換算で25重量%以上、好ましくは25〜75重量
%に設定される。アクリル系樹脂の含有量が樹脂固形分
換算で25重量%未満の場合は、本発明の塗料用組成物
による塗膜が十分な密着性を示さない場合がある。
【0030】なお、ここで云う「樹脂固形分換算」での
重量%は、本発明の塗料組成物中に含まれる全樹脂成分
の固形分の合計量を基準として換算した重量%の意味で
ある。
【0031】上述の必須成分以外の成分の含有量は、本
発明の目的を阻害しない範囲で適宜設定することができ
る。
【0032】本発明に係る塗料用組成物は、通常の塗料
用組成物と同様に公知の塗装方法により塗布されると塗
膜を形成する。この塗膜は、既存の塗膜との密着性が良
好であり、また、既存の補修塗膜上、例えば本発明に係
る塗料用組成物を用いて形成した補修塗膜上に重ねて形
成されてもちぢみなどを起こしにくい。このため、本発
明の塗料用組成物は、自動車などの補修用塗料として特
に好ましく用いられる。
【0033】多層塗膜 図1に、本発明に係る多層塗膜の実施の一形態を示す。
図において、多層塗膜1は、自動車の塗装面S上に形成
されており、塗膜基層2と、当該塗膜基層2上に形成さ
れたクリヤー層3とを備えている。
【0034】多層塗膜1が形成されている塗装面Sは、
自動車のボディを構成する鋼板やプラスチック板などの
基材S1上に設けられたものであり、例えば、基材S1
側から順に電着塗膜、中塗塗膜およびクリヤー塗膜を備
えた3層構造(図示せず)を有している。
【0035】塗膜基層2は、本発明に係る上述の塗料用
組成物のうち、顔料を含むものからなる着色塗膜であ
り、通常、厚さが10〜35μmに設定されている。
【0036】クリヤー層3は、塗膜基層2を保護するた
めの塗膜層であり、クリヤー塗料を用いて形成されてい
る。ここで用いられるクリヤー塗料は、主に有機溶剤系
塗料である。このようなクリヤー塗料としては、常温で
目的とする機能を有する架橋塗膜を形成するために、水
酸基などの活性水素基を有する樹脂、例えば水酸基含有
アクリル樹脂、フッ素樹脂、フッ化アクリル樹脂および
セルロースアセテートブチレート変性アクリル樹脂のう
ちの少なくとも1種と、ポリイソシアネート化合物とを
含むウレタン硬化系塗料を用いるのが好ましい。このク
リヤー塗料には、必要に応じて、トルエン、キシレン、
酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトンなど
の有機溶剤、表面調整剤、紫外線吸収剤、硬化触媒およ
び顔料などの各種添加剤が含まれていてもよい。なお、
クリヤー層3の厚さは、通常、30〜150μmに設定
されている。
【0037】上述の多層塗膜1を形成する場合は、先
ず、顔料を含む本発明に係る塗料用組成物を塗装面S上
に塗装して常温で乾燥し、塗膜基層2を形成する。塗装
方法としては、例えば、スプレー塗装法や静電塗装法な
どを採用することができる。次に、塗膜基層2上に上述
のクリヤー塗料を塗装し、クリヤー層3を形成する。ク
リヤー塗料の塗装方法としては、塗膜基層2を形成する
場合と同様の方法を採用することができる。
【0038】上述の多層塗膜1は、塗膜基層2が本発明
に係る塗料用組成物を用いて形成されているため、塗装
面Sとの密着性が良好であり、塗装面Sから剥離しにく
い。
【0039】
【実施例】製造例(アクリル系樹脂の合成) 溶剤を所定温度に加熱し、これにモノマーと重合開始剤
との混合物を4時間かけて滴下して同温度で1時間熟成
した。その後、重合率を高めるために、同温度で重合開
始剤と溶剤との混合物を1時間かけて滴下し、さらに同
温度で2時間熟成させた。これを必要に応じて希釈溶剤
により希釈し、アクリル系樹脂A、B、CおよびDを得
た。なお、使用した溶剤やモノマー組成などの詳細は表
1の通りである。
【0040】
【表1】
【0041】実施例1〜5および比較例1〜4(メタリ
ックベース塗料の調製) 製造例で得られたアクリル系樹脂を用い、表2に示す配
合のメタリックベース塗料を調製した。
【0042】
【表2】
【0043】なお、表2中、*1〜*7は下記の通りで
ある。また、表2中の「固形分換算の配合割合」は、
「固形分で換算した樹脂成分の配合割合」の意味であ
る。 *1:旭化成工業株式会社製のアルミペースト *2:共栄化学株式会社製のアルミ顔料沈降防止剤 *3:イーストマンケミカルジャパン社製のセルロース
アセテートブチレートCAB−551−0.01を固形
分が30重量%になるよう酢酸ブチルに溶解したもの。 *4:イーストマンケミカルジャパン社製のセルロース
アセテートブチレートCAB−551−0.2を固形分
が30重量%になるよう酢酸ブチルに溶解したもの。 *5:旭化成工業株式会社製のニトロセルロースHIG
2(粘度=2秒)を固形分が15重量%になるよう酢酸
エチル/酢酸ブチル/メチルイソブチルケトン/ブタノ
ール/トルエン/=20/40/10/15/15(重
量部)の組成の溶剤に溶解したもの。 *6:旭化成工業株式会社製のニトロセルロースHIG
20(粘度=20秒)を固形分が10重量%になるよう
酢酸エチル/酢酸ブチル/メチルイソブチルケトン/ブ
タノール/トルエン/=20/40/10/15/15
(重量部)の組成の溶剤に溶解したもの。 *7:三井東圧化学株式会社製のブチル化メラミン樹脂
(固形分=60重量%)
【0044】評価 リン酸亜鉛を用いて化成処理した0.8mm×100m
m×300mmのダル鋼板にカチオン電着塗料(日本ペ
イント株式会社製のパワートップU−30)、自動車中
塗塗料(日本ペイント株式会社製のOP−2グレー)、
自動車用上塗メタリック塗料(日本ペイント株式会社製
のアクリルメラミン樹脂系塗料であるスーパーラックM
−155メタリックベース)およびクリヤー塗料(日本
ペイント株式会社製のアクリルメラミン樹脂系塗料であ
るスーパーラックO−150クリヤー)をこの順に塗布
して硬化塗膜を形成した。この硬化塗膜を#2,000
の耐水研磨紙を用いて研磨し、被塗板を得た。
【0045】次に、実施例1〜5および比較例1〜4で
得られたメタリックベース塗料を酢酸エチル/酢酸ブチ
ル/プロピレングリコールモノメチルエーテル/キシレ
ン/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテー
ト=10/50/25/15(重量部)の組成の溶剤を
用いて希釈し、粘度がNo.4フォードカップで12秒
になるよう調整した。そして、このメタリックベース塗
料を乾燥膜厚が15μmになるようスプレーガンを用い
て上述の被塗板に塗布し、10分間静置した。さらに、
その上にウレタン樹脂クリヤー塗料(日本ペイント株式
会社製のスペリオ3200クリヤー)を乾燥膜厚が50
〜60μmになるようスプレーガンを用いて塗装し、室
温で1週間乾燥させて積層塗膜試料を得た。
【0046】得られた積層塗膜試料について、仕上がり
性、速乾性、密着性、耐水性、再補修性を評価した。評
価の方法は下記の通りである。結果を表3に示す。
【0047】(仕上がり性)積層塗膜試料の形成時に、
メタリックベース塗料の吹きムラ、およびクリヤー塗料
の塗装後の戻りムラを目視により評価した。評価の基準
は次の通りである。 ○:ムラなし。 △:ムラが発生。 ×:ムラが著しい。
【0048】(速乾性)メタリックベース塗料を塗布し
た10秒後に、指で塗膜に触れてべたつきの有無を調べ
た。評価の基準は次の通りである。 ○:べたつき無し。 ×:べたつき有り。
【0049】(密着性)積層塗膜試料を2mm×2mm
のゴバン目が100個形成されるようにカットし、粘着
セロハンテープを用いて剥離試験を行った。40℃の温
水に10日間浸漬した後の積層塗膜試料についても同様
に剥離試験を行った。評価の基準は次の通りである。 ○:剥離したゴバン目が20個以下。 △:剥離したゴバン目が21〜69個。 ×:剥離したゴバン目が70以上。
【0050】(耐水性)40℃の温水に10日間浸漬し
た後の積層塗膜試料について、塗膜の状態を目視により
評価した。評価の基準は次の通りである。 ○:異常無し。 ×:艶引けやフクレなどの異常有り。
【0051】(再補修性)積層塗膜試料の中央部を#3
20の研磨紙を用いて円状に研磨し、積層塗膜試料が形
成された被塗板のメタリック塗膜層を出現させた。出現
したこのメタリック塗膜層を#800の研磨紙を用いて
さらに軽く研磨した後、研磨面に上述の手順と同様にメ
タリックベース塗料とクリヤー塗料とを塗装して積層塗
膜を形成し、当該研磨面を補修した。この積層塗膜を次
に基準により目視により評価した。 ○:異常無し。 ×:ちぢみ、フクレなどの異常有り。
【0052】
【表3】
【0053】
【発明の効果】本発明に係る塗料用組成物は、上述のよ
うにセルロースアセテートブチレートとニトロセルロー
スとを併用し、さらにアクリル系樹脂を含んでいるの
で、既存の塗膜との密着性が良好でありかつ再補修性が
良好な塗膜を形成することができる。
【0054】また、本発明に係る多層塗膜は、上述の塗
料用組成物による塗膜基層を有しているため、既存の塗
膜との密着性が良好であり、また、再補修性も良好であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る多層塗膜の実施の一形態を示す縦
断面図。
【符号の説明】
1 多層塗膜 2 塗膜基層 3 クリヤー層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 沼田 収平 大阪府寝屋川市池田中町19番17号 日本ペ イント株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】樹脂固形分換算で5重量%以上のセルロー
    スアセテートブチレートと、 樹脂固形分換算で2.5重量%以上のニトロセルロース
    と、 樹脂固形分換算で25重量%以上のアクリル系樹脂とを
    含み、 前記セルロースアセテートブチレートと前記ニトロセル
    ロースとの合計量が樹脂固形分換算で55重量%以下で
    ある、塗料用組成物。
  2. 【請求項2】顔料をさらに含む、請求項1に記載の塗料
    用組成物。
  3. 【請求項3】前記セルロースアセテートブチレートは、
    ブチリル基含有量が38%以上でありかつ粘度が0.0
    1秒以上である、請求項1または2に記載の塗料用組成
    物。
  4. 【請求項4】前記ニトロセルロースは、粘度が1秒以上
    である、請求項1、2または3に記載の塗料用組成物。
  5. 【請求項5】前記アクリル系樹脂は、重量平均分子量が
    50,000以上でありかつガラス転移温度が25℃以
    下である、請求項1、2、3または4に記載の塗料用組
    成物。
  6. 【請求項6】樹脂固形分換算で5重量%以上のセルロー
    スアセテートブチレートと、樹脂固形分換算で2.5重
    量%以上のニトロセルロースと、樹脂固形分換算で25
    重量%以上のアクリル系樹脂と、顔料とを含み、前記セ
    ルロースアセテートブチレートと前記ニトロセルロース
    との合計量が樹脂固形分換算で55重量%以下である塗
    料用組成物により形成された塗膜基層と、 前記塗膜基層上に形成されたクリヤー塗膜層と、を備え
    た多層塗膜。
  7. 【請求項7】前記クリヤー塗膜層が、水酸基含有アクリ
    ル樹脂、フッ素樹脂、フッ化アクリル樹脂、セルロース
    アセテートブチレート変性アクリル樹脂からなる群から
    選ばれた少なくとも1種と、ポリイソシアネート化合物
    とを含むクリヤー塗料を用いて形成されている、請求項
    6に記載の多層塗膜。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006176609A (ja) * 2004-12-22 2006-07-06 Kansai Paint Co Ltd 被覆用樹脂組成物
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CN102912673A (zh) * 2012-09-25 2013-02-06 汕头市鑫瑞纸品有限公司 一种可转移到复合金属表面的模压涂层及含有该模压涂层的镭射膜
JP2014181338A (ja) * 2013-12-20 2014-09-29 Dainippon Toryo Co Ltd 樹脂組成物及びそれを用いた塗装体

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