JP2014181338A - 樹脂組成物及びそれを用いた塗装体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】セルロース誘導体にアクリル成分をグラフト重合又は単に結合させて得られるアクリル変性セルロース誘導体以外のセルロース誘導体(B)とアクリル樹脂(C)との混合物であって、該混合物中の組成、該セルロース誘導体(B)の重量平均分子量及び該アクリル樹脂(C)のガラス転移温度を特定の範囲で有する混合物を樹脂成分として含み、該樹脂成分は、酸価と水酸基価の合計が7〜100mgKOH/gであることを特徴とする樹脂組成物である。
【選択図】なし
Description
セルロース誘導体にアクリル成分をグラフト重合又は単に結合させて得られるアクリル変性セルロース誘導体(A)であって、該アクリル変性セルロース誘導体中におけるアクリル成分のグラフト量又は結合量が10〜70質量%であり(但し、アクリル変性セルロース誘導体以外のセルロース誘導体(B)とアクリル樹脂(C)との混合物と併用する場合は除く)、該アクリル変性セルロース誘導体の重量平均分子量(Mw)が20000〜500000であり且つ該アクリル変性セルロース誘導体を構成するアクリル成分のガラス転移温度が50℃以上であるアクリル変性セルロース誘導体(A)、及び
前記アクリル変性セルロース誘導体以外のセルロース誘導体(B)とアクリル樹脂(C)との混合物であって、該セルロース誘導体(B)と該アクリル樹脂(C)の質量比(B/C)が90/10〜30/70(質量%/質量%)であり(但し、アクリル変性セルロース誘導体(A)と併用する場合は除く)、該セルロース誘導体(B)の重量平均分子量(Mw)が20000〜500000であり且つ該アクリル樹脂(C)のガラス転移温度が50℃以上である混合物
の内の少なくとも一方を樹脂成分として含み、該樹脂成分は、酸価と水酸基価の合計が7〜100mgKOH/gであり、但し、前記樹脂成分が、前記アクリル変性セルロース誘導体(A)及び前記アクリル変性セルロース誘導体以外のセルロース誘導体(B)とアクリル樹脂(C)との混合物の両方を含む場合、アクリル変性セルロース誘導体(A)、アクリル変性セルロース誘導体以外のセルロース誘導体(B)及びアクリル樹脂(C)の合計に占めるアクリル変性セルロース誘導体中におけるアクリル成分のグラフト量又は結合量及びアクリル樹脂(C)の合計割合は、10〜70質量%であることを特徴とする。
X−Y = ΔH ≦ 2等級 ・・・ (I)
[式中、Xは、薬品処理前の鉛筆硬度であり、Yは、薬品処理後の鉛筆硬度であり、ΔHは、薬品処理前後での鉛筆硬度の等級差であり、ここで、薬品処理とは、塗装体の塗膜表面に紫外線吸収剤を含む日焼け止め剤を2.0g/100cm2の割合で塗布し、その後、60±2℃の温度にて5時間放置する処理であり、鉛筆硬度とは、JIS K 5600−5−4:1999(ISO/DIS 15184:1996)に準拠して測定される鉛筆硬度である]の関係を満たすことを特徴とする。
セルロース誘導体にアクリル成分をグラフト重合又は単に結合させて得られるアクリル変性セルロース誘導体(A)であって、該アクリル変性セルロース誘導体中におけるアクリル成分のグラフト量又は結合量が10〜70質量%であり(但し、アクリル変性セルロース誘導体以外のセルロース誘導体(B)とアクリル樹脂(C)との混合物と併用する場合は除く)、該アクリル変性セルロース誘導体の重量平均分子量(Mw)が20000〜500000であり且つ該アクリル変性セルロース誘導体を構成するアクリル成分のガラス転移温度が50℃以上であるアクリル変性セルロース誘導体(A)、及び
前記アクリル変性セルロース誘導体以外のセルロース誘導体(B)とアクリル樹脂(C)との混合物であって、該セルロース誘導体(B)と該アクリル樹脂(C)の質量比(B/C)が90/10〜30/70(質量%/質量%)であり(但し、アクリル変性セルロース誘導体(A)と併用する場合は除く)、該セルロース誘導体(B)の重量平均分子量(Mw)が20000〜500000であり且つ該アクリル樹脂(C)のガラス転移温度が50℃以上である混合物
の内の少なくとも一方を樹脂成分として含み、該樹脂成分は、酸価と水酸基価の合計が7〜100mgKOH/gであり、但し、前記樹脂成分が、前記アクリル変性セルロース誘導体(A)及び前記アクリル変性セルロース誘導体以外のセルロース誘導体(B)とアクリル樹脂(C)との混合物の両方を含む場合、アクリル変性セルロース誘導体(A)、アクリル変性セルロース誘導体以外のセルロース誘導体(B)及びアクリル樹脂(C)の合計に占めるアクリル変性セルロース誘導体中におけるアクリル成分のグラフト量又は結合量及びアクリル樹脂(C)の合計割合は、10〜70質量%であることを特徴とする。なお、本発明の樹脂組成物は、プラスチック基材への付着性、耐水性及び耐薬品性に優れた塗膜を形成することが可能であるため、塗料として好適である。
例えば、メチルメタクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等が挙げられる。
例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドメチルエーテル、N−メチロールアクリルアミドブチルエーテル等が挙げられる。
例えば、(メタ)アクリロニトリル、3−アミノ(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・+Wi/Tgi+・・・+Wn/Tgn
上記FOX式において、Tgは、n種類のモノマー(アクリル成分)からなるポリマーのガラス転移温度(K)であり、Tg(1、2、i、n)は、各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度(K)であり、W(1、2、i、n)は、各モノマーの質量分率であり、W1+W2+・・・+Wi+・・・+Wn=1である。
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・+Wi/Tgi+・・・+Wn/Tgn
上記FOX式において、Tgは、n種類のモノマーからなるポリマーのガラス転移温度(K)であり、Tg(1、2、i、n)は、各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度(K)であり、W(1、2、i、n)は、各モノマーの質量分率であり、W1+W2+・・・+Wi+・・・+Wn=1である。
X−Y = ΔH ≦ 2等級 ・・・ (I)
[式中、Xは、薬品処理前の鉛筆硬度であり、Yは、薬品処理後の鉛筆硬度であり、ΔHは、薬品処理前後での鉛筆硬度の等級差であり、ここで、薬品処理とは、塗装体の塗膜表面に紫外線吸収剤を含む日焼け止め剤を2.0g/100cm2の割合で塗布し、その後、60±2℃の温度にて5時間放置する処理であり、鉛筆硬度とは、JIS K 5600−5−4:1999(ISO/DIS 15184:1996)に準拠して測定される鉛筆硬度である]の関係を満たすことを特徴とする。ここで、本発明の塗装体は、耐薬品性、特に日焼け止め剤に対する耐性に優れるため、人の肌・手が長時間接触するようなプラスチック成形品、具体的には、自動車及び二輪車の内装部材及び外装部材、オーディオ、ビデオ、テレビ等の家電製品用部材、携帯電話、プリンター、パソコン等の事務機器用部材に有用である。
X ≧ Y ・・・ (II)
[式中、X及びYは、上記式(I)において定義した通りである]の関係を満たす。ここで、薬品処理前後における塗膜の鉛筆硬度の等級差が2等級以下であれば、薬品処理後においても塗膜の硬度を高度に維持できるため、塗装体に優れた耐薬品性、特には日焼け止め剤に対する耐性を付与することができる。なお、薬品処理前後における塗膜の鉛筆硬度の等級差を2等級以下に抑えるためには、塗膜を形成する塗料に上記樹脂組成物を用いることが好ましい。
樹脂固形分1g中の遊離カルボン酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数を定量した。
樹脂固形分1g中の遊離水酸基を無水酢酸で完全にアセチル化した後、それを中和するのに要する水酸化カリウムのmg数を定量した。
1.0gの樹脂溶液、前駆体溶液又は樹脂組成物をアルミカップに精秤し、これを105℃オーブンで60分乾燥させた。乾燥後、残留物の質量を精秤し、元の質量に対する残留物の質量の割合を加熱残分(質量%)として求めた。
重量平均分子量(Mw)の測定は、TSKgelカラム(東ソー(株)社製)を用い、RIを装備したGPC(東ソー(株)社製;HLC−8220GPC)により求めた。GPCの条件として、展開溶媒にテトラヒドロフランを用い、流速0.35ml/分、温度40℃にて測定を行った。なお、TSK標準ポリスチレン(東ソー(株)社製)を標準物質として用いた。
下記に示す調製例に従い、アクリル樹脂を合成した。
(第1工程)
攪拌機、温度計、還流冷却器等を備えた反応容器中に、酢酸ブチル(溶剤)40.0質量部を入れ、これを加熱撹拌し、110℃に達してから、メチルメタクリレート(モノマー)28.6質量部、ブチルメタクリレート(モノマー)11.5質量部、2−エチルヘキシルアクリレート(モノマー)2.5質量部、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート(モノマー)1.2質量部及びターシャリーブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(重合開始剤)0.8質量部を予め混合して得た混合物を3時間かけて滴下しつつ加熱撹拌し、第1混合物を得た。
滴下終了後、110℃を保持したまま、第1混合物中に、ターシャリーブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(重合開始剤)0.4質量部及び酢酸ブチル(溶剤)3.0質量部を予め混合して得た混合物を1時間かけて滴下し、第2混合物を得た。さらに110℃で1.5時間撹拌を続けた後、冷却した。第2混合物に酢酸ブチル(溶剤)12.0質量部を加えて攪拌し、樹脂溶液Aを得た。なお、樹脂溶液Aの加熱残分は、45.0質量%であり、樹脂溶液A中に含まれる水酸基含有アクリル樹脂(アクリルポリオール)は、水酸基価が11.8mgKOH/gであり、重量平均分子量が48200であり、ガラス転移温度が64.8℃(FOX式により計算)であった。
表1に示す化合物を用いる以外は、樹脂溶液Aと同様の方法により、樹脂溶液B〜Hを調製した。なお、樹脂溶液の加熱残分、酸価、水酸基価、重量平均分子量及びガラス転移温度を表1に示す。
下記に示す調製例に従い、アクリル変性セルロース誘導体及びポリウレタン/アクリル変性セルロース誘導体を合成した。
2−1−1.樹脂溶液I
(第1工程)
攪拌機、温度計、還流冷却器等を備えた反応容器中に、酢酸ブチル16.0質量部、及びセルロースエステル[酢酸ブチルで希釈したRS1/8(KOREA CNC LTD.製,ニトロセルロース)を用いた。なお、希釈後のRS1/8中における加熱残分は、38質量%である。]63質量部を入れ、これらを加熱撹拌し、75℃に達してから、2−イソシアナトエチルメタクリレート0.1質量部を加え、第1混合物を得た。第1混合物をさらに75℃で1時間攪拌させ、次いで、該第1混合物中に、メチルメタクリレート(モノマー)2.5質量部、ブチルメタクリレート(モノマー)1.7質量部、2−エチルヘキシルアクリレート(モノマー)0.1質量部、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート(モノマー)0.1質量部及びターシャリーブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(重合開始剤)1.0質量部を予め混合して得た混合物を3時間かけて滴下し、第2混合物を得た。
滴下終了後、75℃を保持したまま、第2混合物中に、ターシャリーブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(重合開始剤)0.5質量部及び酢酸ブチル3.0質量部を予め混合して得た混合物を1時間かけて滴下し、第3混合物を得た。さらに75℃で3時間撹拌を続けた後、冷却した。第3混合物に酢酸ブチル12.0質量部を加えて、攪拌し、樹脂溶液Iを得た。なお、樹脂溶液Iの加熱残分は、29.9質量%であり、樹脂溶液I中に含まれるアクリル変性セルロース誘導体は、水酸基価が33.2mgKOH/gであり、重量平均分子量が36300であり、樹脂溶液の固形分中に含まれる窒素原子含有量は、9.5質量%であった。また、アクリル変性セルロース誘導体中におけるアクリル成分のグラフト量は、20質量%であり、更に、上記アクリル変性セルロース誘導体を構成するアクリル成分のガラス転移温度(Tg)は、上記FOX式により、61.1℃であった。結果を表2に示す。なお、表2中、樹脂溶液の配合処方は、質量部で示される。
2−2−1.前駆体溶液Xの調製例
攪拌機、温度計、還流冷却器等を備えた反応容器中に、樹脂溶液A100質量部を入れ、これを加熱撹拌し、100℃に達してから、ここに、ヘキサメチレンジイソシアネート(ポリイソシアネート)1.2質量部、及び酢酸ブチル(溶剤)1.5質量部を予め混合して得た混合物を1時間かけて滴下した。滴下終了後、100℃で5時間撹拌を続けた後、冷却し、前駆体溶液Xを得た。なお、前駆体溶液Xの加熱残分は45質量%であり、前駆体溶液X中に含まれるイソシアネートプレポリマーの重量平均分子量は52000であった。
(第1工程)
攪拌機、温度計、還流冷却器等を備えた反応容器中に、メチルエチルケトン15.00質量部、及びセルロースエステル[酢酸ブチルで希釈したRS1/8(KOREA CNC LTD.製,ニトロセルロース)を用いた。なお、希釈後のRS1/8中における加熱残分は、38質量%である。]61.20質量部を入れ、これらを加熱撹拌し、75℃に達してから、ここに、前駆体溶液X12.90質量部を3時間かけて滴下した。滴下終了後、IRによりイソシアネート基が確認できなくなるまで反応させ、次いで冷却し、反応混合物を得た。
冷却後、反応混合物にメチルエチルケトン10.90質量部を加えて、攪拌し、樹脂溶液Jを得た。なお、樹脂溶液Jの加熱残分は、29.1質量%であり、樹脂溶液J中に含まれるポリウレタン/アクリル変性セルロース誘導体は、水酸基価が31.8mgKOH/gであり、重量平均分子量が130500であり、樹脂溶液の固形分中に含まれる窒素原子含有量は、9.6質量%であった。また、ポリウレタン/アクリル変性セルロース誘導体中におけるアクリル成分の結合量は、20質量%であり、更に、ポリウレタン/アクリル変性セルロース誘導体を構成するアクリル成分のガラス転移温度(Tg)は、上記FOX式により、64.8℃であった。結果を表3に示す。なお、表3中、樹脂溶液の配合処方は、質量部で示される。
表3に示す化合物を用いる以外は、樹脂溶液Jと同様の方法により、樹脂溶液K〜Mを調製した。なお、これら樹脂溶液の特性を表3に示す。
下記に示す調製例に従い、ポリウレタン/ポリエステル変性セルロース誘導体を合成した。
3−1−1.前駆体溶液Yの調製例
攪拌機、温度計、還流冷却器等を備えた反応容器中に、酢酸ブチル(溶剤)123質量部を入れ、これを攪拌し、次いで、バイロン200(東洋紡製ポリエステルポリオール、水酸基価:9mgKOH/g、ガラス転移温度:67℃)100質量部を入れ、これを溶解し、第1混合物を得た。第1混合物を加熱撹拌し、100℃に達してから、ここに、ヘキサメチレンジイソシアネート(ポリイソシアネート)1.8質量部、及び酢酸ブチル(溶剤)1.4質量部を予め混合して得た混合物を1時間かけて滴下した。滴下終了後、100℃で5時間撹拌を続けた後、冷却し、前駆体溶液Yを得た。なお、前駆体溶液Yの加熱残分は45質量%であり、前駆体溶液Y中に含まれるイソシアネートプレポリマーの重量平均分子量は49000であった。
(第1工程)
攪拌機、温度計、還流冷却器等を備えた反応容器中に、メチルエチルケトン15.00質量部、及びセルロースエステル[酢酸ブチルで希釈したRS1/8(KOREA CNC LTD.製,ニトロセルロース)を用いた。なお、希釈後のRS1/8中における加熱残分は、38質量%である。]61.20質量部を入れ、これらを加熱撹拌し、75℃に達してから、ここに、前駆体溶液Y12.90質量部を3時間かけて滴下した。滴下終了後、IRによりイソシアネート基が確認できなくなるまで反応させ、次いで冷却し、反応混合物を得た。
冷却後、反応混合物にメチルエチルケトン10.90質量部を加えて、攪拌し、樹脂溶液Nを得た。なお、樹脂溶液Nの加熱残分は、29.1質量%であり、樹脂溶液N中に含まれるポリウレタン/ポリエステル変性セルロース誘導体は、水酸基価が31.8mgKOH/gであり、重量平均分子量が129200であり、樹脂溶液の固形分中に含まれる窒素原子含有量は、9.5質量%であった。結果を表4に示す。なお、表4中、樹脂溶液の配合処方は、質量部で示される。
表4に示す化合物を用いる以外は、樹脂溶液Nと同様の方法により、樹脂溶液O及びPを調製した。なお、これら樹脂溶液の特性を表4に示す。
表5〜12に示す配合処方に従って、攪拌機、温度計、還流冷却器等を備えた反応容器中に、原料を混合し、その後、75℃にて溶解させて、樹脂組成物を調製した。なお、表5〜12中、樹脂組成物の配合処方は、質量部で示される。
表13に示す配合処方に従って、攪拌機、温度計、還流冷却器等を備えた反応容器中に、セルロース誘導体及びアクリル樹脂を混合し、その後、75℃にて溶解させて、樹脂組成物を調製した。得られた樹脂組成物を室温まで冷却した後、該樹脂組成物に、顔料、表面調整剤等の添加剤を混合し、公知の手法によって分散させ、樹脂組成物を調製した。なお、表13中、樹脂組成物の配合処方は、質量部で示される。
4milアプリケーターを用いて、乾燥膜厚が30〜40μmになるような塗布量にて、上記樹脂組成物をABS樹脂板に塗装し、10分間放置させ、その後、60℃にて30分間乾燥させ、ABS樹脂板上に塗膜を形成させた。得られた塗膜に関し、塗膜外観、耐薬品性評価(薬品処理後の塗膜外観及び薬品処理前後の鉛筆硬度)、付着性及び耐水性、並びに塗膜(樹脂組成物の固形分)中に含まれる窒素原子含有量を下記の方法で測定・評価した。結果を表5〜13に示す。なお、比較例3、4及び15の樹脂組成物は、塗装作業性が悪く、塗装が困難であったため、塗膜特性の評価を行わなかった。
塗膜の外観について、以下の評価基準にて目視で判定した。
○:平滑な塗膜であり、塗膜欠陥は認められない。
△:レベリング性が十分でなく、膜厚が不均一である。
×:塗装作業性が悪く、塗装が困難である。
塗膜の表面に、日焼け止め剤[商品名:ウルトラシアードライタッチ・サンブロックSPF45,ニュートロジーナ社製,紫外線吸収剤:サリチル酸エステル誘導体(10質量%)及びベンゾフェノン誘導体(5質量%)]を2.0g/100cm2の割合で塗布し、その後、強制対流のない乾燥機に60±2℃の温度にて5時間放置し、薬品処理を行った。その後、水洗して日焼け止め剤を除去し、最後に、薬品処理後の塗膜の外観を以下の評価基準にて目視で判定した。
◎:塗膜外観に変化が全くない。
○:塗膜のツヤがわずかに低下する。
△:塗膜のツヤが顕著に低下する。
×:塗膜が白化する。
まず、JIS K 5600−5−4:1999(ISO/DIS 15184:1996)に準拠して、薬品処理前の塗膜の鉛筆硬度を引っかき硬度試験用鉛筆(Uni MITSUBISHI、三菱鉛筆社製)で判定した。次いで、塗装体の塗膜表面に、薬品処理後の塗膜外観評価と同一の薬品処理を行った。その後、水洗して日焼け止め剤を除去し、最後に、薬品処理後の塗膜の鉛筆硬度を同一の手法で判定した。
ABS樹脂板に水平な塗膜表面に、切込み角60°でカッターナイフにより直線の切れ込みを入れ、その切れ込みに対して角度60°で再び切れ込みを入れる。その後、切れ込みを覆うようにセロハンテープをしっかりと貼り付け、セロハンテープを塗膜表面に対して45°に引き剥がす。セロハンテープ剥離後、塗膜の剥がれの程度を以下の評価基準にて目視で判定した。
○:塗膜の剥離がない。
△:切れ込み部分の塗膜表面の1/3が剥離する。
×:切れ込み部分の塗膜表面が完全に剥離する。
まず、塗膜表面に外観不良がないことを目視で確認した。その塗膜表面を3×5cmの短冊状に切り出し、これを試験片とし、80℃で5時間乾燥させ、次いで、純水に浸漬させたまま25℃で24時間放置し、その後、試験片を取り出し、その表面をよく拭き取り、塗膜の外観を以下の評価基準にて目視で判定した。
○:塗膜外観に変化がない。
×:塗膜のフクレや白化が認められる。
塗膜中の窒素原子含有量は、JIS M8819:1997に準拠し、全自動元素分析装置(PerkinElmer社製2400II)を使用し、以下の測定手順で行った。
まず、2mg〜3mgの試料を用意し、キャリアガスとしてのヘリウム雰囲気下、約950℃の燃焼管に純粋な酸素を送り込み、該試料を構成する化合物を完全に燃焼させ、該化合物の炭素原子(C)をCO2に、窒素原子(N)をN2に、水素原子(H)をH2Oに変換させる。余分な酸素は、還元管の還元銅により酸化銅に変換し、ハロゲンと硫黄は、銀粒カラムを通してハロゲン化銀、硫化銀に変換し、それぞれトラップされる。よって、完全燃焼後に残る気体は、CO2、N2、H2O及びヘリウムの混合気体である。該混合気体は、測定セル中を順に通り抜ける。なお、測定セルにはフィラメントが置かれている。H2Oの吸収管を混合気体が通り、H2Oを取り除く。その前後には測定セルがあり、抵抗値の差が計数に変換され出力される。次いで、CO2の吸収管を気体が通り、CO2を取り除く。同様に、その前後の抵抗値の差が計数に変換され出力される。また、N2の計数を求める際には、ディレイコイル中のヘリウムが先に測定セルに送られ、ヘリウムの抵抗値が測定され、その後、混合気体が測定セルに送られ、混合気体の抵抗値が測定される。この抵抗値の差が変換され、N2の計数値を算出する。既知の組成比を持つ標準物質によって得られた計数を用い、気圧による補正を行い、元素ごとの感度係数を決定する。得られた感度係数を用いて、試料中の窒素含有量を計算する。
*3 加熱残分が20質量%となるように、EastmanTM Cellulose Acetate Butyrate(CAB−321−0.1)をメチルエチルケトンにより希釈したもの[ここで、EastmanTM Cellulose Acetate Butyrate(CAB−321−0.1)は、イーストマンケミカル社製の酢酸酪酸セルロースである。]
*4 加熱残分が20質量%となるように、EastmanTM Cellulose Acetate Butyrate(CAB−551−0.01)をメチルエチルケトンにより希釈したもの[ここで、EastmanTM Cellulose Acetate Butyrate(CAB−551−0.01)は、イーストマンケミカル社製の酢酸酪酸セルロースである。]
*5 加熱残分が20質量%となるように、EastmanTM Cellulose Acetate Butyrate(CAB−553−0.4)をメチルエチルケトンにより希釈したもの[ここで、EastmanTM Cellulose Acetate Butyrate(CAB−553−0.4)は、イーストマンケミカル社製の酢酸酪酸セルロースである。]
*6 加熱残分が38質量%となるように、RS1/16を酢酸ブチルにより希釈したもの[ここで、RS1/16は、KOREA CNC LTD.製のニトロセルロースであり、ニトロセルロース中における窒素含有量が12.2質量%であり、RS1/16中におけるイソブロピルアルコール含有量が30質量%である。]
*7 加熱残分が38質量%となるように、RS20を酢酸ブチルにより希釈したもの[ここで、RS20は、KOREA CNC LTD.製のニトロセルロースであり、ニトロセルロース中における窒素含有量が12.2質量%であり、RS20中におけるイソブロピルアルコール含有量が30質量%である。]
*8 加熱残分が38質量%となるように、RS500を酢酸ブチルにより希釈したもの[ここで、RS500は、KOREA CNC LTD.製のニトロセルロースであり、ニトロセルロース中における窒素含有量が12.2質量%であり、RS500中におけるイソブロピルアルコール含有量が30質量%である。]
*9 表面調整剤,DISPERBYK−161,BYK−Chemie社製,固形分:30%.
*10 顔料,TI−PURE R−960,デュポン(株)社製,二酸化チタン.
*11 顔料,MA−100,三菱化学(株)社製,カーボンブラック.
*12 顔料,F.X1690,東洋アルミニウム(株)社製,有機物により表面処理されたアルミニウムペースト.
Claims (6)
- セルロース誘導体にアクリル成分をグラフト重合又は単に結合させて得られるアクリル変性セルロース誘導体以外のセルロース誘導体(B)とアクリル樹脂(C)との混合物であって、該セルロース誘導体(B)と該アクリル樹脂(C)の質量比(B/C)が90/10〜30/70(質量%/質量%)であり、該セルロース誘導体(B)の重量平均分子量(Mw)が20000〜500000であり且つ該アクリル樹脂(C)のガラス転移温度が50℃以上である混合物を樹脂成分として含み、該樹脂成分は、酸価と水酸基価の合計が7〜100mgKOH/gであり、
前記セルロース誘導体(B)が、(i)ニトロセルロース及び酢酸酪酸セルロースを含むか又は(ii)ポリエステル変性セルロース誘導体及びポリウレタン変性セルロース誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種のセルロース誘導体を含み、
前記ポリエステル変性セルロース誘導体が、ニトロセルロース及び酢酸酪酸セルロースの内の少なくとも一方のセルロース誘導体にポリエステル成分をグラフト重合又は単に結合させて得られる化合物であり、
前記ポリウレタン変性セルロース誘導体が、ニトロセルロース及び酢酸酪酸セルロースの内の少なくとも一方のセルロース誘導体の水酸基にイソシアネートプレポリマーを反応させて得られる化合物であることを特徴とする樹脂組成物。 - 更に、セルロース誘導体にアクリル成分をグラフト重合又は単に結合させて得られるアクリル変性セルロース誘導体(A)であって、該アクリル変性セルロース誘導体の重量平均分子量(Mw)が20000〜500000であり且つ該アクリル変性セルロース誘導体を構成するアクリル成分のガラス転移温度が50℃以上であるアクリル変性セルロース誘導体(A)を樹脂成分として含み、
但し、前記樹脂成分が、前記アクリル変性セルロース誘導体(A)及び前記アクリル変性セルロース誘導体以外のセルロース誘導体(B)とアクリル樹脂(C)との混合物の両方を含む場合、セルロース誘導体(B)とアクリル樹脂(C)の質量比(B/C)が90/10〜30/70(質量%/質量%)であるのではなく、アクリル変性セルロース誘導体(A)、アクリル変性セルロース誘導体以外のセルロース誘導体(B)及びアクリル樹脂(C)の合計に占めるアクリル変性セルロース誘導体(A)中におけるアクリル成分のグラフト量又は結合量及びアクリル樹脂(C)の合計割合が10〜70質量%であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。 - 前記樹脂組成物の固形分に対して窒素原子を0.2〜13質量%含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
- 前記アクリル変性セルロース誘導体(A)を構成するセルロース誘導体が、セルロースエーテル、セルロースエステル、ポリエステル変性セルロース誘導体及びポリウレタン変性セルロース誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項2に記載の樹脂組成物。
- 顔料を更に含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- プラスチック基材と該プラスチック基材の表面に形成された塗膜とを有する塗装体であって、該塗膜が、請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物により得られ、且つ下記式(I):
X−Y = ΔH ≦ 2等級 ・・・ (I)
[式中、Xは、薬品処理前の鉛筆硬度であり、Yは、薬品処理後の鉛筆硬度であり、ΔHは、薬品処理前後での鉛筆硬度の等級差であり、ここで、薬品処理とは、塗装体の塗膜表面に紫外線吸収剤を含む日焼け止め剤を2.0g/100cm2の割合で塗布し、その後、60±2℃の温度にて5時間放置する処理であり、鉛筆硬度とは、JIS K 5600−5−4:1999(ISO/DIS 15184:1996)に準拠して測定される鉛筆硬度である]の関係を満たすことを特徴とする塗装体。
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