JPH09235440A - 艶消し性を有する熱可塑性樹脂組成物およびそれを用いた積層物 - Google Patents

艶消し性を有する熱可塑性樹脂組成物およびそれを用いた積層物

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JPH09235440A
JPH09235440A JP6892696A JP6892696A JPH09235440A JP H09235440 A JPH09235440 A JP H09235440A JP 6892696 A JP6892696 A JP 6892696A JP 6892696 A JP6892696 A JP 6892696A JP H09235440 A JPH09235440 A JP H09235440A
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alkyl group
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JP6892696A
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Yukio Kitaike
幸雄 北池
Hiroki Hatakeyama
宏毅 畠山
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐温水白化性の改良された艶消し性に優れた
フィルム、シート、積層物等を得るのに有用な熱可塑性
樹脂組成物の提供。 【解決手段】 (メタ)アクリル酸アルキルエステル系
の最内層重合体(A)、アクリル酸アルキルエステル系
の架橋弾性重合体(B)、(メタ)アクリル酸アルキル
エステル系の中間層重合体(D)、およびメタクリル酸
アルキルエステル系の最外層重合体(C)からなり、ゲ
ル含有量が50%である多層構造重合体[II]100重
量部に、メタクリル酸シクロヘキシル20〜90重量
%、C1 〜C13のメタクリル酸アルキルエステル10〜
80重量%、および他のビニル系単量体0〜40重量%
からなる直鎖状重合体[II]1〜30重量部を配合す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、艶消し性を有する
熱可塑性樹脂組成物およびそれを用いた積層物に関す
る。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従来
の熱可塑性樹脂の艶消し方法は、大別して(1)紋付け
加工、艶消し加工による方法と、(2)無機物または有
機物の艶消し剤を添加する方法とに分けられる。上記
(1)の方法は、一般に物性の低下が少ないという点は
あるものの生産性は悪く加工費がかさむ上、艶消し効果
も不十分であり、多くの場合二次加工をほどこす用途に
は不向きである。一方、上記(2)の方法は、生産性が
それほど低下せずに、艶消しの程度のコントロールも可
能であり、二次加工をほどこす用途にも適用できるが、
物性の低下という大きな問題を含んでいる。特にシリカ
ゲルなどの無機物を艶消し剤として用いた場合には、耐
衝撃性、強伸度、透明性などの物性の低下が著しい。
【0003】有機物、特に高分子系の艶消し剤を用いる
方法として、特開昭56−36535号公報に記載され
るように懸濁重合によって得られる平均粒子径が35〜
500μmの架橋ポリマーを用いる方法がある。この方
法では、耐衝撃性や強伸度の物性の低下は小さいが、艶
消し効果は不十分である。また、この方法で使用するポ
リマーは、半架橋構造を有する重合体であるために、フ
ィルム状に賦型した場合、比較的ブツが発生しやすい。
また、アクリル樹脂に使用してフィルム状にした場合、
透明性が劣るため透明性が要求される用途には使用でき
ない問題点があった。
【0004】さらに、高分子系の艶消し剤を用いる方法
として、ヨーロッパ公開特許EP−627469号明細
書にも提案されている。この方法では、艶消し性、外
観、透明性が大幅に改良されているが、水酸基を有する
モノマーを使用するため耐温水白化性が劣る問題点があ
った。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述した
如くの問題点を解決するために鋭意検討した結果、アク
リル樹脂系の多層構造重合体にメタクリル酸シクロヘキ
シル含有直鎖状重合体を配合することにより、艶消し効
果を損なうことなく耐温水白化性が改良されることを見
い出し本発明に到った。
【0006】すなわち、本発明は、下記の多層構造重合
体[I]100重量部に、メタクリル酸シクロヘキシル
20〜90重量%、アルキル基の炭素数が1〜13のメ
タクリル酸アルキルエステル10〜80重量%、および
共重合可能な他のビニル系単量体0〜40重量%からな
るメタクリル酸シクロヘキシル含有直鎖状重合体[II]
1〜30重量部を配合してなることを特徴とする艶消し
性を有する熱可塑性樹脂組成物にある。 記 多層構造重合体[I] (i)炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸ア
ルキルエステルまたは炭素数1〜4のアルキル基を有す
るメタクリル酸アルキルエステル(A1)80〜100
重量部、共重合可能な二重結合を有する他の単量体(A
2)0〜20重量部、多官能性単量体(A3)0〜10
重量部、および上記単量体(A1)〜(A3)の合計量
100重量部に対して0.1〜5重量部のグラフト交叉
剤(A4)を重合して得られる最内層重合体(A)、
(ii)炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸ア
ルキルエステル(B1)80〜100重量部、共重合可
能な二重結合を有する他の単量体(B2)0〜20重量
部、多官能性単量体(B3)0〜10重量部、および上
記単量体(B1)〜(B3)の合計量100重量部に対
して0.1〜5重量部のグラフト交叉剤(B4)を重合
して得られる架橋弾性重合体(B)、および(iii) 炭素
数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエ
ステル(C1)51〜100重量部、および共重合可能
な他の単量体(C2)0〜49重量部(合計100重量
部)を重合して得られる重合体のガラス転移温度が60
℃以上である最外層重合体(C)、を基本構造とし、上
記架橋弾性重合体(B)と上記最外層重合体(C)との
間に、(iv) 炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリ
ル酸アルキルエステル(D1)10〜90重量部、炭素
数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエ
ステル(D2)10〜90重量部、共重合可能な二重結
合を有する他の単量体(D3)0〜20重量部、多官能
性単量体(D4)0〜10重量部、および上記単量体
(D1)〜(D4)の合計量100重量部に対して0.
1〜5重量部のグラフト交叉剤(D5)を重合して得ら
れるアクリル酸アルキルエステル量が上記架橋弾性重合
体(B)から上記最外層重合体(C)に向って単調に減
少するような少なくとも1つの中間層重合体(D)の層
を有し、ゲル含有量が50%以上であることを特徴とす
る多層構造重合体。
【0007】さらに、本発明は、上記熱可塑性樹脂組成
物から得られるフィルム状物が少なくとも片面に設けら
れてなることを特徴とする艶消し性を有する積層物にあ
る。
【0008】
【発明の実施の態様】本発明の艶消し性を有する熱可塑
性樹脂組成物(以下、艶消し性樹脂組成物と略記す
る。)を構成する多層構造重合体[I]は、最内層重合
体(A)、架橋弾性重合体(B)、および最外層重合体
(C)を基本構造とし、上記架橋弾性重合体(B)と上
記最外層重合体(C)との間に、アクリル酸アルキルエ
ステル量が上記架橋性重合体(B)から上記最外層重合
体(C)に向って単調に減少するような少なくとも1つ
の中間層重合体(D)の層を有し、ゲル含有量が50%
以上であることを特徴とする多層構造重合体である。
【0009】本発明において、多層構造重合体[I]の
最内層重合体(A)を構成するのに使用されるアクリル
酸アルキルエステルまたはメタクリル酸アルキルエステ
ル(A1)としては、炭素数1〜8のアルキル基を有す
るアクリル酸アルキルエステル、例えばアクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル
酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸
n−オクチル等、および炭素数1〜4のアルキル基を有
するメタクリル酸アルキルエステル、例えばメタクリル
酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピ
ル、メタクリル酸ブチル等が挙げられ、アクリル酸アル
キルエステルとしてはガラス転移温度(以下、Tgと略
記する。)の低いものの使用が好ましい。これらのアク
リル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエ
ステルは、1種または2種以上を混合して用いられ、そ
の使用量は、単量体(A1)〜(A3)の合計量100
重量部中、80〜100重量部の範囲で用いられる。ま
た、これらのアクリル酸アルキルエステルまたはメタク
リル酸アルキルエステルは、その後に続いて重合される
各段の重合体において統一して用いる場合が最も好まし
いが、最終目的によっては2種以上の単量体を混合して
用いたり、別種のアクリル酸アルキルエステルまたはメ
タクリル酸アルキルエステルを用いることができる。
【0010】共重合可能な二重結合を有する他の単量体
(A2)としては、アクリル酸高級アルキルエステル、
アクリル酸低級アルコキシエステル、アクリル酸シアノ
エチルエステル、アクリルアミド、アクリル酸、メタク
リル酸等のアクリル系単量体の使用が好ましく、単量体
(A1)〜(A3)の合計量100重量部中、0〜20
重量部の範囲で用いられる。また、その他の単量体とし
て(A)成分中、20重量部を超えない範囲でスチレ
ン、アルキル置換スチレン、アクリロニトリル、メタク
リロニトリル等が使用できる。これらの単量体は、1種
または2種以上混合して用いられる。
【0011】多官能性単量体(A3)としては、ジメタ
クリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−
ブチレングリコール、ジメタクリル酸1,4−ブチレン
グリコール、およびメタクリル酸プロピレングリコール
等のジメタクリル酸アルキレングリコールエステルの使
用が好ましく、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン
等のポリビニルベンゼン、およびジアクリル酸アルキレ
ングリコールエステル等も使用可能である。これらの単
量体は、それらが含まれる層自体を橋架けするのに有効
に働き、他層との層間の結合には作用しない。多官能性
単量体(A3)は、全く使用しなくてもグラフト交叉剤
が存在する限りかなり安定な多層構造体を与えるが、熱
間強度等が厳しく要求される場合などその添加目的に応
じて任意に用いられる。その使用量は単量体(A1)〜
(A3)の合計量100重量部中、0〜10重量部であ
る。その使用量が10重量部を超える場合は、多層構造
重合体の物性の低下を招くようになる。
【0012】グラフト交叉剤(A4)としては、共重合
性のα,β−不飽和カルボン酸またはジカルボン酸のア
リル、メタリルまたはクロチルエステル、好ましくはア
クリル酸、メタクリル酸、マレイン酸およびフマル酸の
アリルエステルが挙げられる。特にメタクリル酸アリル
が優れた効果を有する。その他トリアリルシアヌレー
ト、トリアリルイソシアヌレート等も有効である。この
ようなグラフト交叉剤は、主としてそのエステルの共役
不飽和結合がアリル基、メタリル基またはクロチル基よ
りはるかに早く反応し、化学的に結合する。この間アリ
ル基、メタリル基またはクロチル基の実質上かなりの部
分は次層重合体の重合中に有効に働き隣接二層間にグラ
フト結合を与えるものである。
【0013】グラフト交叉剤の使用量は極めて重要であ
り、単量体(A1)〜(A3)の合計量100重量部に
対して0.1〜5重量部、好ましくは0.5〜2重量部
の範囲で用いられる。0.1重量部未満では、グラフト
結合の有効量が少なく、また、5重量部を超えると、次
の2段目に重合形成される架橋弾性重合体(B)との反
応量が大となり、本発明の特徴の1つである2層弾性体
構造からなる2層架橋ゴム弾性体(最内層重合体(A)
の外側に架橋弾性体(B)の層が形成されている)の弾
性低下を招くようになる。
【0014】多層構造重合体[I]における最内層重合
体(A)の含有量は5〜35重量%の範囲が好ましく、
より好ましくは5〜15重量%であり、架橋弾性重合体
(B)の含有量より低いことが好ましい。
【0015】次に、多層構造重合体[I]を構成する架
橋弾性重合体(B)は、多層構造重合体[I]にゴム弾
性を付与する重要な成分である。
【0016】架橋弾性重合体(B)を構成するのに使用
されるアクリル酸アルキルエステル(B1)としては、
上記最内層重合体(A)の(A1)で記載した炭素数1
〜8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル
が用いられる。アクリル酸アルキルエステル(B1)の
使用量は、単量体(B1)〜(B3)の合計量100重
量部中、80〜100重量部の範囲である。特に、架橋
弾性重合体(B)は、弾性体であるためTgが低い方が
好ましく、主成分であるアクリル酸アルキルエステル
(B1)としてはアクリル酸n−ブチルの使用が好まし
い。
【0017】共重合可能な二重結合を有する他の単量体
(B2)としては、上記最内層重合体(A)の(A1)
で記載した炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリ
ル酸アルキルエステルと、(A2)で記載した単量体が
用いられる。共重合可能な二重結合を有する他の単量体
(B2)の使用量は、単量体(B1)〜(B3)の合計
量100重量部中、0〜20重量部の範囲である。使用
量が20重量部を超えるとゴム弾性の低下を招くように
なる。
【0018】多官能性単量体(B3)としては、上記最
内層重合体(A)の(A3)で記載した単量体が用いら
れる。多官能性単量体(B3)の使用量は、単量体(B
1)〜(B3)の合計量100重量部中、0〜10重量
部の範囲である。使用量が10重量部を超えると多層構
造重合体の物性低下を招くようになる。
【0019】グラフト交叉剤(B4)としては、上記最
内層重合体(A)の(A4)で記載した化合物が用いら
れる。グラフト交叉剤(B4)の使用量は、単量体(B
1)〜(B3)の合計量100重量部に対して0.1〜
5重量部の範囲である。
【0020】多層構造重合体[I]における架橋弾性重
合体(B)の含量は10〜45重量%の範囲が好まし
く、上記最内層重合体(A)の含量より高いことがより
好ましい。
【0021】なお、最内層重合体(A)と架橋弾性重合
体(B)とからなる2層の架橋ゴム弾性体は、下記の測
定法で求めたゲル含量が85%以上、および膨潤度が3
〜13の範囲に設定されていることが優れた耐溶剤性お
よび耐温水白化性を得るために好ましい。
【0022】ゲル含量、膨潤度の測定法 JIS K−6388に準じ、2層架橋ゴム弾性重合体
を所定量採取し、25℃で、48時間メチルエチルケト
ン(以下、MEKと略記する。)中に浸透し膨潤させた
後引き上げ、付着したMEKを拭き取った後その重量を
測定し、その後減圧乾燥機中でMEKを除去し恒量にな
った絶乾重量を測定し次式により算出した。
【0023】 膨潤度=(MEK膨潤後の重量−絶乾重量)/絶乾重量
【0024】ゲル含量(%)=(絶乾重量/採取サンプ
ルの重量)×100
【0025】さらに、多層構造重合体[I]を構成する
最外層重合体(C)は、多層構造重合体[I]に成形
性、機械的性質を付与する成分である。
【0026】最外層重合体(C)を構成するのに使用さ
れるメタクリル酸アルキルエステル(C1)としては、
上記最内層重合体(A)の(A1)で記載した炭素数1
〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステ
ルが用いられるが、外観の点からメタクリル酸メチルの
使用が好ましい。メタクリル酸アルキルエステルの使用
量は、単量体(C1)〜(C2)の合計量100重量部
中、51〜100重量部(合計100重量部)の範囲で
ある。使用量が51重量部未満では、Tgが低くなり、
以下に記す通りの物性の低下を招くようになる。
【0027】共重合可能な二重結合を有する他の単量体
(C2)としては、上記最内層重合体(A)の(A1)
で記載した炭素数が1〜8のアルキル基を有するアクリ
ル酸アルキルエステルと、(A2)で記載した単量体が
用いられる。共重合可能な二重結合を有する他の単量体
(C2)の使用量は、単量体(C1)〜(C2)の合計
量100重量部中、0〜49重量部の範囲である。使用
量が49重量部を超えるとTgが低くなり、以下に記す
通りの物性の低下を招くようになる。
【0028】最外層重合体(C)は、上記の単量体(C
1)および(C2)で構成されるが、優れた耐溶剤性、
耐温水白化性を得るためには、最外層重合体(C)単独
のTgが60℃以上、好ましくは80℃以上となるよう
にすることが必要である。最外層重合体(C)単独のT
gが60℃未満では、多層構造重合体[I]のゲル含有
量が、例え50%以上であっても、耐溶剤性、耐温水白
化性に優れたものを得ることが困難となる。
【0029】多層構造弾性重合体[I]における最外層
重合体(C)の含有量は10〜80重量%の範囲が好ま
しく、より好ましくは40〜60重量%である。
【0030】本発明の多層構造重合体[I]は上記最内
層重合体(A)、架橋弾性重合体(B)、および最外層
重合体(C)を基本構造とし、さらに、最内層重合体
(B)と最外層重合体(C)との間に、中間層重合体
(D)の層が設けられている。
【0031】中間層重合体(D)は、炭素数1〜8のア
ルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル(D
1)、炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸
アルキルエステル(D2)、共重合可能な二重結合を有
する単量体(D3)、多官能性単量体(D4)、および
グラフト交叉剤(D5)から構成される。中間層重合体
(D)は、架橋弾性重合体(B)層と最外層重合体
(C)層とをつなぐ層であり、温水白化性に影響するた
め、中間層重合体(D)を構成するアクリル酸アルキル
エステル(D1)の量が架橋弾性重合体(B)から最外
層重合体(C)に向って単調に減少するように少なくと
も1つの層が配設されていることが必要である。
【0032】中間層重合体(D)を構成するのに使用さ
れるアクリル酸アルキルエステル(D1)としては、上
記最内層重合体(A)の(A1)および上記架橋弾性重
合体(B)の(B1)で記載した炭素数が1〜8のアル
キル基を有するアクリル酸アルキルエステルが用いられ
る。その使用量は単量体(D1)〜(D4)の合計量1
00重量部中、10〜90重量部の範囲である。
【0033】メタクリル酸アルキルエステル(D2)と
しては、上記最内層重合体(A)の(A1)および上記
最外層重合体(C)の(C1)で記載した炭素数が1〜
4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル
が用いられる。その使用量は、単量体(D1)〜(D
4)の合計量100重量部中、10〜90重量部の範囲
である。
【0034】共重合可能な二重結合を有する単量体(D
3)および多官能単量体(D4)としては、上記最内層
重合体(A)の(A2)および(A3)で記載した単量
体を用いることができる。その使用量は、それぞれ単量
体(D1)〜(D4)の合計量100重量部中、0〜2
0重量部および0〜10重量部の範囲である。
【0035】グラフト交叉剤(D5)としては、上記最
内層重合体(A)の(A4)で記載した化合物が用いら
れる。その使用量は単量体(D1)〜(D4)の合計量
100重量部に対して0.1〜5重量部の範囲である。
中間層重合体(D)において使用されるグラフト交叉剤
(D5)は、架橋弾性重合体(B)と最外層重合体
(C)とを密に結合させて優れた諸性を得るための必須
成分である。
【0036】多層構造重合体[I]における中間層重合
体(D)の含有量は5〜35重量%の範囲が好ましく、
より好ましくは7〜25重量%である。5重量%未満で
は中間層としての機能を失い、一方、35重量%を超え
ると多層構造重合体のバランスが損なわれるようにな
る。
【0037】本発明の多層構造重合体[I]は、上記の
最内層重合体(A)、架橋弾性重合体(B)、最外層重
合体(C)、および中間層重合体(D)の重合体層から
構成されるものであるが、多層構造重合体[I]とメタ
クリル酸シクロヘキシル含有直鎖状重合体[II]からな
る熱可塑性樹脂組成物に優れた艶消し性を発現させるた
めには、多層構造重合体[I]のゲル含有量が50%以
上であることが必要であり、さらにこの多層構造重合体
[I]が優れた耐溶剤性、耐温水白化性を得るために
も、ゲル含有量が60%以上であることが好ましい。
【0038】なお、この場合のゲル含有量とは、2層架
橋ゴム弾性体自体と、中間層重合体(D)、および最外
層重合体(C)の上記2層架橋ゴム弾性体へのグラフト
成分を含むものである。ここで云うゲル含有量は、多層
構造重合体の[I]の1重量%MEK溶液を調製し、2
5℃にて一昼夜放置後、16000r.p.mで90分
間遠心分離を施した後の不溶分の重量%である。成分と
しては2層架橋ゴム弾性体とグラフト層との加算重量で
あり、グラフト率で置き換えることもできるが、本発明
では特殊な構造を有するのでゲル含有量をもってグラフ
ト量の目安とした。
【0039】本発明の多層構造重合体[I]の製造方法
としては、乳化重合法による逐次多段重合法が最も適し
た重合法であるが、特にこれに制限されることはなく、
例えば乳化重合後最外層重合体(C)の重合時に懸濁重
合系に転換させる乳化懸濁重合によって行うことができ
る。
【0040】本発明の艶消し性樹脂組成物を得るのに使
用されるメタクリル酸シクロヘキシ含有直鎖状重合体
[II](以下、直鎖状重合体[II]と略記する。)は、
メタクリル酸シクロヘキシル20〜90重量%、アルキ
ル基の炭素数が1〜13のメタクリル酸アルキルエステ
ル10〜80重量%、および共重合可能な他のビニル系
単量体0〜40重量%からなる直鎖状重合体である。
【0041】上記直鎖状重合体[II]におけるメタクリ
ル酸シクロヘキシルの含有量は、20〜90重量%の範
囲であり、その含有量が20重量%未満では分散性の関
係上、艶消し効果は不十分である。一方、90重量%を
超えると伸度の低下あるいは表面状態が不良となる場合
がある。艶消し性発現のために好ましい使用範囲は、3
0〜80重量%である。
【0042】メタクリル酸アルキルエステルとしては、
アルキル基の炭素数が1〜13のメタクリル酸が用いら
れるが、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メ
タクリル酸ブチル等のメタクリル酸低級アルキルエステ
ルが好適であり、中でもメタクリル酸メチルの使用が好
ましい。メタクリル酸アルキルエステルの含有量は10
〜80重量%の範囲であり、好ましくは20〜70重量
%の範囲である。その含有量が10重量%未満では伸度
の低下、表面状態の不良を招き、80重量%を超えると
艶消し効果が不十分となる。
【0043】さらに、本発明の直鎖状重合体[II]にお
いて使用される。その他のビニル系単量体としては、公
知の単量体が使用可能であり、例えばアルキル基の炭素
数が1〜8のアクリル酸アルキルエステル;スチレン、
ビニルトルエン、α−メチルスチレン、ハロゲン化スチ
レン等の芳香族ビニル化合物;メタクリル酸、フマール
酸、マレイン酸および共重合可能なカルボン酸とそのエ
ステル類のうちアルキル基の炭素数が1〜13のメタク
リル酸アルキルエステルを除いたもの;シクロヘキシル
マレイミド、イソプロピルマレイミド等のマレイミド化
合物;塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル;
酢酸ビニル等のビニルエステル類;アクリロニトリル等
が挙げられる。
【0044】これらのビニル系単量体は、分散性の関係
上、多層構造重合体[I]の種類によっては使用した方
が艶消し性が良好になる場合があり、また、透明性を維
持するために、添加量を調節して多層構造重合体[I]
の屈折率に合わせる必要がある場合に用いられる。直鎖
状重合体[II]における上記の他のビニル系単量体の含
有量は0〜40重量%の範囲であり、好ましくは0〜3
0重量%である。
【0045】本発明の直鎖状重合体[II]の製造方法
は、特に限定されないが、コスト面から懸濁重合による
方法が好ましい。
【0046】懸濁重合において使用される重合開始剤と
しては、特に限定されず通常の懸濁重合に使用されるも
のが用いられ、その例として、ベンゾイルパーオキサイ
ド、ラウロイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオ
キサイド等の有機過酸化物、アゾビスバレロニトリル、
アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。
【0047】また、懸濁重合において使用される懸濁安
定剤としては、通常用いられるものが用いられ、有機コ
ロイド性高分子物質、無機コロイド性高分子物質、無機
微粒子およびこれらと界面活性剤との組み合わせを挙げ
ることができる。
【0048】また、懸濁重合においては、重合体の重合
度を調節するために、メルカプタン等の重合度調節剤を
用いることは可能であり、むしろそれらを用いて分子量
分布を調節する方が好ましい場合が多い。良好な艶消し
性発現のためには、直鎖状重合体[II]の固有粘度は
0.06 l/g以上であることが望ましい。
【0049】懸濁重合は、通常懸濁安定剤の存在下に上
記の単量体を重合開始剤とともに水性懸濁して行われ
る。重合温度は、使用する重合開始剤の種類等により一
概には決められないが、50〜130℃の範囲で行われ
る。
【0050】本発明の艶消し性樹脂組成物は、上記のよ
うにして得られる多層構造重合体[I]に、直鎖状重合
体[II]を配合することにより得られる。直鎖状重合体
[II]の配合量は、多層構造重合体[I]100重量部
に対して1〜30重量部の範囲であるが、さらには良好
な艶消し性を得るためには3〜30重量部の範囲とする
のが好ましい。
【0051】多層構造重合体[I]への直鎖状重合体
[II]の配合方法としては、例えば重合体混合物が同時
にせん断圧縮される様なスクリュー型押出機に通すと
か、加熱ロール間での混練、バーバリー型ミキサーの如
き加熱高せん断混合装置中での混合等の方法が一般に用
いられる。
【0052】本発明の艶消し性樹脂組成物には、必要に
応じて一般の配合剤、例えば安定剤、滑剤、加工助剤、
耐衝撃助剤、可塑剤、発泡剤、充填剤、着色剤などを含
有させることができる。
【0053】このようにして得られる本発明の艶消し性
樹脂組成物は、通常の方法、例えばT−ダイ法、インフ
レーション法、カレンダー法、押出成形法などの成形法
により容易に艶消し性を有するフィルム、シート等に成
形することが出来る。
【0054】さらに、本発明の艶消し性樹脂組成物は、
この艶消し性樹脂組成物の樹脂層を少なくとも片面に有
する耐温水白化性が改良された艶消し性を有する積層物
を製造することができる。艶消し性樹脂組成物が積層さ
れる基材としては、公知の熱可塑性樹脂が使用できる
が、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル
樹脂、ABS樹脂等が熱融着性の点から好ましく、積層
方法としては、公知の方法で形成することができる。た
だし、熱融着しない樹脂や木材、鋼板等の基材でも接着
剤を使用して貼り合わせることは可能である。
【0055】耐温水白化性が改良された艶消し性を有す
る積層物の製造法としては、一方のフィルムを形成した
後他の重合体を含む溶液を流延して溶剤を除去する方法
など、特に制限なく公知の積層方法が採用できるが、押
出機を用いての共押出法、押出ラミネーション法、およ
び加熱ロールを使用しての熱ラミネーション法が好まし
い。
【0056】また、本発明の積層物においては、必要に
応じて表面層の艶消し性樹脂組成物層と基材との間に中
間層を設けることもできる。さらに、この耐温水白化性
が改良された艶消し性を有するフィルム、シートおよび
積層物は容易に印刷を施すことが可能であるので、意匠
効果を著しく高めることができる。
【0057】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。なお、下記実施例における部数はすべて重量基
準である。また、実施例中で用いた評価方法は下記の通
りである。
【0058】(1)艶消し性 ASTM−D523に準拠して村上色彩技術研究所製、
光沢計GM−26Dを使用して60度表面光沢度の測定
をした。
【0059】(2)温水白化性 90℃の温水に2時間浸漬後、JIS L 1015に
従って、スガ試験機(株)製、SM−4を使用して白色
度W(Lab)の測定を行った。
【0060】(3)透明性 ASTM−D1003に準拠して村上色彩技術研究所
製、反射・透過率計、HR−100を使用して曇り価の
測定を行った。
【0061】(4)表面状態 分散性の評価の目安として表面状態(粗さ、均一性)を
下記の基準で目視評価した。 ○:非常に良好 △:普通 ×:不良
【0062】(5)固有粘度、還元粘度 固有粘度、還元粘度の測定は、サン電子工業(株)製、
AVL−2C自動粘度計を使用して溶媒にクロロホルム
を用いて測定した。なお、還元粘度の測定はクロロホル
ム100mlにサンプルを0.1gを溶かしたものを使
用した。
【0063】[実施例1] (1)多層構造重合体[I]の製造 冷却器を備えた重合容器内に、イオン交換水250部、
スルホコハク酸のエステルソーダ塩2部、ナトリウムホ
ルムアルデヒドスルホキシレート0.05部を仕込み、
窒素下で撹拌した後メタクリル酸メチル1.6部、アク
リル酸n−ブチル8部、ジメタクリル酸1,3−ブチレ
ングリコール0.4部、メタクリル酸アリル0.1部、
およびクメンハイドロパーオキサイド0.04部からな
る混合物を仕込んだ。そして70℃に昇温した後60分
間反応を継続させ最内層重合体(A)の重合を完結し
た。
【0064】続いて、上記最内層重合体(A)の存在下
に架橋弾性重合体(B)を形成するメタクリル酸メチル
1.5部、アクリル酸n−ブチル22.5部、ジメタク
リル酸1,3−ブチレングリコール1.0部、メタクリ
ル酸アリル0.25部、およびクメンハイドロパーオキ
サイド0.05部からなる混合物を60分間で添加し重
合して2層架橋ゴム弾性体を得た。得られた2層架橋ゴ
ム弾性体の膨潤度およびゲル含量を上述した方法により
測定したところ、それぞれ、10%および90%であっ
た。
【0065】続いて中間層重合体(D)としてメタクリ
ル酸メチル5部、アクリル酸n−ブチル5部、メタクリ
ル酸アリル0.1部の混合物を、上記の最内層重合体
(A)および架橋弾性重合体(B)の存在下で反応させ
た。
【0066】最後に、最外層重合体(C)としてメタク
リル酸メチル52.25部、アクリル酸n−ブチル2.
75部の組成からなる混合物を、上記の最内層重合体
(A)、架橋弾性重合体(B)、および中間層重合体
(D)の存在下で反応させて重合を完了した。
【0067】得られた重合体エマルジョンを重合体10
0重量部に対して5部の塩化カルシウムを用いて塩析
し、洗浄した後、乾燥させて多層構造重合体[I]を得
た。得られた多層構造重合体[I]のゲル含有量を上述
した方法で測定したところ60%であった。
【0068】(2)直鎖状重合体[II]の製造 撹拌機、還流冷却器、窒素ガス導入口を備えた反応容器
に下記の混合物を仕込んだ。 メタクリル酸シクロヘキシル 65部 メタクリル酸メチル 20部 スチレン 5部 シクロヘキシルマレイミド 10部 n−オクチルメルカプタン 0.05部 ラウロイルパーオキサイド 0.1部 第三リン酸カルシウム 5部 フォスファノールGB520(日光ケミカル製、界面活性剤) 0.01部 イオン交換水 250部
【0069】次いで、その反応容器内を十分に窒素ガス
で置換した後、上記混合物を撹拌しながら75℃まで加
熱し、窒素ガス気流中で重合を進めた。2時間後に90
℃に昇温し、さらに45分保持して重合を完了し、脱
水、乾燥して直鎖状重合体[II]を得た。得られた直鎖
状重合体[II]の固有粘度は0.081 l/gであっ
た。
【0070】(3)艶消し性樹脂組成物の製造 上記実施例1(1)で得られた多層構造重合体[I]1
00部に対して、上記実施例1(2)で得られた直鎖状
重合体[II]を10部配合して混合し、2軸押出機で、
240℃で押出してペレット化した。得られたペレット
を乾燥後T−ダイ法で240℃で押出して、50μmの
厚みを有するフィルムを得た。得られたフィルムについ
ての評価結果を表2に示す。
【0071】[実施例2〜3]直鎖状重合体[II]の重
合仕込み組成を表1に示すように変更した以外は、実施
例1(3)と同様な操作を行ってフィルムを作製し、そ
の物性を評価した。評価結果を表2に示す。
【0072】[実施例4〜5]多層構造重合体[I]に
配合する直鎖状重合体[II]を表2に示すように変更し
た以外は、実施例1(3)と同様な操作を行ってフィル
ムを作製し、その物性を評価した。評価結果を表2に示
す。
【0073】[実施例6]実施例1(1)で得られた多
層構造重合体[I]100部に対して、実施例1(2)
で得られた直鎖状重合体[II]10部を配合して混合
し、2軸押出機で、240℃で押出してペレット化し
た。次いで、その得られたペレットを乾燥した後、アク
リル樹脂ペレット(三菱レイヨン(株)製、アクリペッ
トVH)と共に、240℃で共押出成形して艶消し性樹
脂組成物の層が100μm、アクリル樹脂の層が2mm
である積層物を得た。得られた積層物について評価結果
を表2に示す。
【0074】[実施例7]実施例6の艶消し性樹脂組成
物が積層される樹脂を、ポリカーボネート樹脂(GE社
製、レキサンML−5500)に変更し、280℃で成
形する以外は、実施例6と同様な操作を行って積層物を
得た。得られた積層物についての評価結果を表2に示
す。
【0075】[実施例8]実施例6の艶消し性樹脂組成
物が積層される樹脂を、塩化ビニル樹脂(P=720)
100部、安定剤(ジブチルスズマレエート)3部、耐
衝撃助剤(三菱レイヨン(株)製、メタブレンC−10
2)10部、加工助剤(三菱レイヨン(株)製、メタブ
レンP−551)1部、滑剤(ブチルステアレート)1
部から成る硬質塩化ビニル樹脂に変更し、200℃で共
押出成形する以外は、実施例6と同様な操作を行って積
層物を得た。得られた積層物についての評価結果を表2
に示す。
【0076】[実施例9]実施例6の艶消し性樹脂組成
物が積層される樹脂を、ABS樹脂(三菱レイヨン
(株)製、ダイヤペットABS、3001M)に変更
し、240℃で共押出成形する以外は、実施例6と同様
な操作を行って積層物を得た。得られた積層物について
の評価結果を表2に示す。
【0077】[実施例10]実施例1(1)で得られた
多層構造重合体[I]100部に対して、実施例1
(2)で得られた直鎖状重合体[II]を10部配合して
混合し、2軸押出機で、240℃で押出してペレット化
した。次いで、その得られたペレットを乾燥した後、T
−ダイ法で240℃で製膜し厚さ50μmのフィルムを
得た。次いで、このフィルムを、アクリル樹脂(アクリ
ペットVH)を240℃で押出成形して厚さ2mmのシ
ート状物に成形する際に、この溶融アクリル樹脂と共に
梨地状冷却ロールの間に導入して押出ラミネーションを
行って積層物を得た。得られた積層物についての評価結
果を表2に示す。
【0078】[実施例11]エンボス付きラミネートロ
ールを用い、実施例1(3)で得られたフィルムを、厚
さ100μmの軟質塩化ビニルフィルムと150℃、3
0kg/cm2 の条件で熱ラミネーションを行って積層
フィルムを得た。得られた積層フィルムについての評価
結果を表2に示す。
【0079】[比較例1]実施例1(1)で得られた多
層構造重合体[I]のみを用い、実施例1(3)と同様
にして厚さ50μmのフィルムを作製し、その物性を評
価した。評価結果は表2に示す。
【0080】[比較例2]実施例1(1)で得られた多
層構造重合体[I]100部に、架橋艶消し剤(三菱レ
イヨン(株)製、メタブレンF410)10部を用いて
配合し、以下、実施例1(3)と同様にして厚さ50μ
mのフィルムを作製し、その物性を評価した。評価結果
を表2に示す。
【0081】[比較例3] (1)水酸基含有重合体の製造 撹拌機、還流冷却器、窒素ガス導入口を備えた反応容器
に次の混合物を仕込んだ。 アクリル酸メチル 20部 メタクリル酸メチル 60部 メタクリル酸2−ヒドロキシエチル 20部 t−ドデシルメルカプタン 0.5部 ラウロイルパーオキサイド 1部 第三リン酸カルシウム 5部 イオン交換水 250部 次いで、容器内を十分に窒素ガスで置換した後、上記混
合物を撹拌しながら75℃まで加熱し、窒素ガス気流中
で重合を進めた。3時間後に90℃に昇温して、さらに
45分保持して重合を完了し、脱水、乾燥して水酸基含
有重合体を得た。
【0082】(2)実施例1(1)で得られた多層構造
重合体[I]100部に、上記の水酸基含有重合体10
部を用いて配合し、以下、実施例1(3)と同様にして
厚さ50μmのフィルムを作製し、その物性を評価し
た。評価結果を表2に示す。
【0083】[比較例4〜5]直鎖状重合体[II] の重
合仕込み組成を表1の如くに変更し、そして多層構造重
合体[II]への配合量を表2に示すようにした以外は、
実施例1(3)と同様な方法を繰り返してフィルムを作
製し、その物性を評価した。評価結果を表2に示す。
【0084】[比較例6〜7]実施例1(1)で得られ
た多層構造重合体[I]100部に、配合する実施例1
(2)で得られた直鎖状重合体[II]の量を表2に示す
ように変更した以外は、実施例1(3)と同様な方法を
繰り返してフィルムを作製し、その物性を評価した。評
価結果を表2に示す。
【0085】[比較例8]実施例1(2)の直鎖状重合
体[II]の製造において、n−オクチルメルカプタンの
量を0.05部から0.4部に変更する以外は、実施例
1と同様方法を繰り返してフィルムを作製し、その物性
を評価した。評価結果を表2に示す。なお、この例で得
られた直鎖状重合体[II]の固有粘度は0.04 l/
gであった。
【0086】[比較例9]積層用フィルムとして比較例
1で得られた多層構造重合体のみからなるフィルムを用
いた以外は、実施例6と同様な操作を行って積層物を得
た。得られた積層物についての評価結果を表2に示す。
【0087】[比較例10]積層用フィルムとして比較
例2で得られたフィルムを用いた以外は、実施例6と同
様な操作を行って積層物を得た。得られた積層物につい
て評価結果を表2に示す。
【0088】[比較例11]積層用フィルムとして比較
例3で得られたフィルムを用いた以外は、実施例6と同
様な操作を行って積層物を得た。得られた積層物につい
て評価結果を表2に示す。
【0089】
【表1】
【0090】
【表2】
【0091】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、アクリ
ル樹脂系の多層構造重合体に、メタクリル酸シクロヘキ
シル含有直鎖状重合体の特定量を配合してあるために、
耐温水白化性が改良され、かつ優れた艶消し性を有して
いるので、フィルム、シート、積層体等に成形されて、
車輌内装材、家具、電気機器のハウジング、壁紙、建材
等の用途に用いることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 33:10)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の多層構造重合体[I]100重量
    部に、メタクリル酸シクロヘキシル20〜90重量%、
    アルキル基の炭素数が1〜13のメタクリル酸アルキル
    エステル10〜80重量%、および共重合可能な他のビ
    ニル系単量体0〜40重量%からなるメタクリル酸シク
    ロヘキシル含有直鎖状重合体[II]1〜30重量部を配
    合してなることを特徴とする艶消し性を有する熱可塑性
    樹脂組成物。 記 多層構造重合体[I] (i)炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸ア
    ルキルエステルまたは炭素数1〜4のアルキル基を有す
    るメタクリル酸アルキルエステル(A1)80〜100
    重量部、共重合可能な二重結合を有する他の単量体(A
    2)0〜20重量部、多官能性単量体(A3)0〜10
    重量部、および上記単量体(A1)〜(A3)の合計量
    100重量部に対して0.1〜5重量部のグラフト交叉
    剤(A4)を重合して得られる最内層重合体(A)、 (ii)炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸ア
    ルキルエステル(B1)80〜100重量部、共重合可
    能な二重結合を有する他の単量体(B2)0〜20重量
    部、多官能性単量体(B3)0〜10重量部、および上
    記単量体(B1)〜(B3)の合計量100重量部に対
    して0.1〜5重量部のグラフト交叉剤(B4)を重合
    して得られる架橋弾性重合体(B)、および (iii) 炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸
    アルキルエステル(C1)51〜100重量部、および
    共重合可能な他の単量体(C2)0〜49重量部(合計
    100重量部)を重合して得られる重合体のガラス転移
    温度が60℃以上である最外層重合体(C)、を基本構
    造とし、上記架橋弾性重合体(B)と上記最外層重合体
    (C)との間に、 (iv) 炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸ア
    ルキルエステル(D1)10〜90重量部、炭素数1〜
    4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル
    (D2)10〜90重量部、共重合可能な二重結合を有
    する他の単量体(D3)0〜20重量部、多官能性単量
    体(D4)0〜10重量部、および上記単量体(D1)
    〜(D4)の合計量100重量部に対して0.1〜5重
    量部のグラフト交叉剤を重合して得られるアクリル酸ア
    ルキルエステル量が上記架橋弾性重合体(B)から上記
    最外層重合体(C)に向って単調に減少するような少な
    くとも1つの中間層重合体(D)の層を有し、ゲル含有
    量が50%以上であることを特徴とする多層構造重合
    体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物から
    得られるフィルム状物が少なくとも片面に設けられてな
    ることを特徴とする艶消し性を有する積層物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007177059A (ja) * 2005-12-27 2007-07-12 Techno Polymer Co Ltd ランプハウジング用成形材料
JP2007177060A (ja) * 2005-12-27 2007-07-12 Techno Polymer Co Ltd 溶着用成形材料

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JP2007177059A (ja) * 2005-12-27 2007-07-12 Techno Polymer Co Ltd ランプハウジング用成形材料
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