JPH09234065A - 新規なゲラン分解酵素とオリゴ糖 - Google Patents

新規なゲラン分解酵素とオリゴ糖

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JPH09234065A
JPH09234065A JP8046363A JP4636396A JPH09234065A JP H09234065 A JPH09234065 A JP H09234065A JP 8046363 A JP8046363 A JP 8046363A JP 4636396 A JP4636396 A JP 4636396A JP H09234065 A JPH09234065 A JP H09234065A
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gellan
lyase
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gelan
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JP8046363A
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Nobuyuki Sato
信行 佐藤
Hiroshi Nakajima
中島  浩
Shigeru Moriyama
茂 森山
Wataru Hashimoto
渉 橋本
Kosaku Murata
幸作 村田
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Maruha Corp
Original Assignee
Maruha Corp
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 Sphingobacterium multivorum とFlavob
acterium multivorum よりなる共生菌より単離精製され
た、新規なゲランリアーゼおよびゲラン分解物。 【効果】 本発明によれば、新規なゲランリアーゼが提
供され、該酵素をゲランに作用させて得られるゲランオ
リゴ糖は、ゲランの持つ生理機能を保持し、水に溶解し
易く、しかも水に溶解しても高粘性を示さないので、医
薬品や食品素材として好適に利用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規なゲランリアー
ゼ、及び食品または医薬品素材に好適な物性と生理機能
を持つゲラン分解物に関する。
【0002】
【従来の技術】Sphingomonas paucimobilis によって分
泌生産されるゲラン(スフィンガン)はD−グルコース
(Glc)、D−グルクロン酸(GlcA)、L−ラムノース
(Rha)を構成糖として、〔→3)-β-D-Glc-(1→4)-β-D-G
lcA-(1→4)-β-D-Glc-(1→4)-α-L-Rha-(1→〕を基本単
位としたポリマーである。一般にゲランのグルクロン酸
残基の隣に位置するD−グルコシル残基はO−アセチル
化またはグリセリン化されていて、これら側鎖が粘性以
外でもゲランの物理的性質を変化させている。脱アセチ
ル化したゲランはカラギーナン、寒天、アルギン酸等に
比べ非常に高いゲル化能を有していることから、食品ま
たは医薬品の分野においてゲル化・安定化剤として利用
され、商業化されている。
【0003】しかし、ゲランは非常に高粘性であるため
にその利用は制限を受けることが多く、その物性を改善
させた形、つまり低粘性で低分子サイズのゲラン分解物
として提供されることが有利であると考えられる。これ
までゲラン分解活性を有する微生物は、例えば Bacillu
s sp. [Mikolajczak, M.J.ら, Applied and Environmen
tal Microbiology, 60(2), 402-407 (1994)]、赤色色素
細菌(未同定)[Kennedy, L. and Sutherland, W., Mic
robiology, 140, 3007-3013 (1994)] は見いだされてい
たものの、その酵素は単離されておらず、未だゲラン分
解物の検討や開発には至っていないのが現状である。
【0004】ゲランリアーゼ、スフィンガナーゼに代表
されるゲラン分解酵素は一般には微生物菌体から分泌さ
れるゲラン(スフィンガン) 及びこの構成糖を基本骨格
としたウェランなどのゲラン関連物質を分解するエンド
グリカナーゼである。これまでゲランリアーゼとして
は、 Kennedy, L. and Sutherland, 1994, Microbiolog
y 140:3007-3013 、Schmedding, D.J.M.ら, 1987, Proc
eedings of Eurocarb IV, Darmstadt, Abstract B47
が、またスフィンガナーゼとしてはMikolajczak, M.J.
ら, 1994, Appl. Environ. Microbiol. 60:402-407等が
知られている。しかし、これらのゲラン分解酵素は基質
特異性が低く、ウェランやラムサンにも作用し、分子量
は110,000 (上記Mikolajczak et al.の報告) である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、新規
なゲランリアーゼを微生物より単離し、該酵素をゲラン
に作用させ、食品及び医薬品素材に好適に使用できるゲ
ラン分解物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、Sphingobacteriummu
ltivorum とFlavobacterium multivorum よりなる共生
菌より、新規なゲランリアーゼを見い出し、これを単離
精製して諸性質を明らかにするとともに、当該新規ゲラ
ンリアーゼを用いて食品または医薬品素材に好適な物性
を有するゲラン分解物を得、本発明を完成するに到っ
た。
【0007】すなわち、本発明は、下記の理化学的性質
を有する新規なゲランリアーゼ: (1) 作用及び基質特異性 ゲランの末端から四糖単位を切断する。 (2) 至適pHの範囲 7〜8 (3) 安定温度の範囲(pH7.5) 45℃以下 (4) 作用適温の範囲 25〜45℃ (5) 失活の条件(温度安定性) 50℃,10分で50%、70℃,10分で95%以上
の酵素活性が失活する。 (6) 金属イオン、阻害剤の影響 1mMのCa2+,Mo2+,Cu2+,Fe2+,Co2+,Zn
2+等の二価のカチオンによって活性が阻害されず、0.1m
M のHg2+で著しく活性が阻害される。1mMジチオスレ
イトール、1mM還元型グルタチオン、1mM 2−メルカプ
トエタノール、0.1mM N−エチルマレイミド等のスルフ
ヒドリル試薬に活性が影響されず、1mM EDTAで50%
の活性阻害を与える。 (7) 分子量 SDS-PAGEによる分子量 140,000 である。
【0008】本発明はまた、上記の新規ゲランリアーゼ
をゲランに作用させることにより得られるゲラン分解物
である。さらに、本発明は、下式:
【0009】
【化2】 Δ-4,5-GlcA-(1→4)-β-D-Glc-(1→4)-α-L-Rha-(1→3)-β-D-Glc (I)
【0010】(式中、Glc ; D-グルコース、GlcA ; D-
グルクロン酸、Rha ; L-ラムノースを示す。)表される
ゲラン分解物である。以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の新規なゲランリアーゼ
は、Sphingobacterium multivorum とFlavobacterium m
ultivorum よりなる共生菌を培地に培養し、菌体外にゲ
ランリアーゼを生産させ、これを採取することにより得
ることができる。
【0012】上記の共生菌のスクリーニングは、試料と
する土壌の生理食塩水懸濁液によるゲラン含有液体培地
(0.1%硫酸アンモニウム、0.1%リン酸カリウム、、0.2%
リン酸二ナトリウム、0.01% 硫酸マグネシウム、0.2%
ゲラン) の資化能、及びゲランプレート(ゲランを除い
た前記液体培地溶液に別途調製したゲラン溶液を1:1
の割合で混ぜ合わせて調製)の液状化とを観察し、これ
らを指標として行うことができる。
【0013】上記共生菌を構成する菌株のうちの一つ
(A菌株と称する)の菌学的性質を以下に示す。 A菌株の菌学的性質 ・培養温度 25℃ ・グラム染色 − ・胞子形成能 − ・運動性 − ・コロニー形態(ベンネットアガー) 円形、規則性、完全型、 クリーム色、酪酸発酵性 平滑、光沢、凸状、不透明 ・生育の範囲(℃) 37℃, + 41℃, − 45℃, − ・カタラーゼ + ・オキシダーゼ + ・グルコースOFテスト −(酸化) ・NO3 還元 − ・インドール生成 − ・グルコースからの酸生成 − ・アルギニンデヒドロラーゼ − ・ウレアーゼ + ・エスクリン加水分解 + ・β−ガラクトシダーゼ + ・ゼラチン加水分解 − ・グルコース資化性 + ・アラビノース資化性 + ・マンノース資化性 + ・マンニトール資化性 − ・N−アセチル−グルコサミン資化性 + ・マリオース資化性 + ・グルコン酸資化性 − ・カプロン酸資化性 − ・アジピン酸資化性 − ・マレイン酸資化性 − ・クエン酸資化性 − ・フェニルアセテート資化性 − ・チトクロームオキシダーゼ + ・残留硝酸塩 +
【0014】このA菌株の上記の菌学的性質について、
バージーズ マニュアル オブ デタミネイティブ バ
クテリオロジー第9改正(1994)を用いて検討した
結果、A菌株はSphingobacterium multivorum に属する
微生物であると同定された。そして、当該菌株は、工業
技術院生命工学工業技術研究所に平成8年2月15日に
寄託し、その寄託番号はFERM P−15441であ
る。
【0015】上記共生菌を構成する菌株のうちのもう一
つ(B菌株と称する)の菌学的性質を以下に示す。 B菌株の菌学的性質 ・グラム染色 − ・胞子形成能 − ・運動性 − ・コロニー形態 淡黄色(48時間培養) 、円形 低凹状、平滑、不透明 ・カタラーゼ生成 + ・オキシダーゼ生成 + ・リン酸塩生成 + ・アドニトール、ダルシトール、 − イノシトール、ソルビトール資化性 ・アルギニンデヒドロラーゼ − ・グリセロール、トレハロース、 + フルクトース、マルトース、 ラムノースからの嫌気下での酸生成 ・生育の範囲 5℃, − 37℃, + 42℃, − ・10% グルコースからの酸生成 + 10% ラクトースからの酸生成 + ・グルコースOFテスト + ・硝酸塩還元 − ・ポリ−β−ヒドロキシブチレート − 含有顆粒 ・グルコースからのガス発生 − ・グルコン酸の酸化 − ・H2 S生成 − ・リジンまたはオルニチンの − 脱炭酸反応 − ・マロン酸の利用 ・フェニルアラニンデアミナーゼ − ・β−ガラクトシダーゼ + ・インドール生産 −
【0016】このB菌株の上記の菌学的性質について、
バージーズ マニュアル オブ デタミネイティブ バ
クテリオロジー第9改正(1994)を用いて検討した
結果、B菌株はFlavobacterium multivorum に属する微
生物であると同定された。そして、当該菌株は、工業技
術院生命工学工業技術研究所に平成8年2月15日に寄
託し、その寄託番号はFERM P−15440であ
る。
【0017】上記共生菌の培養に使用する培地には該菌
が利用し得る炭素源、窒素源、無機源その他の栄養源が
添加される。すなわち、炭素源としては例えばグルコー
ス、可溶性デンプン、コーンミール、ゲラン及びその関
連物質等が挙げられ、窒素源としては、ペプトン、大豆
粕、綿実粕、酵母エキス、小麦ふすま、コーンスチープ
リカー、アンモニウム塩類、硝酸塩類、肉エキス等の有
機若しくは無機の窒素化合物が挙げられる。また、無機
塩としては、各種リン酸塩、硝酸塩、硫酸塩、マグネシ
ウム塩等の化合物、さらに菌の生育を促進する目的でビ
タミン、核酸等の物質を添加すると有効である。
【0018】培養に当たっては、通常25〜40℃で、
10〜100時間培養する。液体培養では酵素が培養液
中に生成されるので、それより抽出して精製する。
【0019】このようにして培地内に生成したゲランリ
アーゼは公知の精製方法を組み合わせて精製することが
できる。すなわち、培養後、常法により菌体を除去し、
濾液にイオン交換樹脂やゲル濾過クロマトグラフィー等
を組み合わせて行う。
【0020】かくして得られた酵素は、下記の理化学的
性質を有する新規なゲランリアーゼである。なお、本酵
素の活性測定は、0.05%ゲランを含む50mMリン酸バッフ
ァー(pH7.0)1mlに本酵素液を添加し、30℃、30分反応
を行い、反応終了後直ちに沸騰水中に5分間浸して酵素
反応を停止し、次いで、反応停止液0.2mlを用いてチオ
バルビツール酸法(Weissbach, A., and Hurwitz, J. 1
958, J.Biol.Chem., 234:705-709) にて行う。
【0021】(1)作用 ゲランの末端から四糖単位を切断する。
【0022】(2)基質特異性 (試験方法)反応は0.05%の各基質と50mM HEPES緩衝液
(pH7.5) 中に本発明のゲランリアーゼ10μg/mlを添加
し、30℃、1時間処理し、沸騰水中で5分さらすことで
反応停止し、反応停止後のそれぞれの分解産物を調べ
る。脱アセチル化したゲラン分解活性を100%とする。
【0023】(結果)結果は表1の通りである。脱アセ
チル化したゲランに非常に高い基質特異性がある。
【0024】
【表1】
【0025】(3)至適pHの範囲 図1、Aに示されるように、本酵素はpH7〜8におい
て至適pHの範囲を有する。酵素活性は、0.05%ゲ
ランとゲランリアーゼを30℃,60分,各pHで反応
を行うことにより測定する。測定に用いた各pHでの緩
衝液は50mMの酢酸ナトリウム(□)、リン酸カリウ
ム(▲)、HEPES(△)、トリス−塩酸(○)、及
びグリシン(■)である。各pHにおける相対活性はp
H7.5における酵素力価を100%として求める。
【0026】(4)至適温度 図1、Bに示されるように、45℃での酵素活性が最も
強い。反応条件は0.05%ゲランを含む50mMHE
PES(pH7.5)中で各温度条件のもと、30分酵
素反応を行い、その力価をプロットする。なお、相対活
性は45℃での酵素力価を100%として求める。
【0027】(5)安定温度の範囲及び失活の条件 図1、Cに示されるように、本酵素は45℃以下におい
て安定である。この評価は次の方法に従って行うことが
できる。すなわち、同図に示す各温度でゲランリアーゼ
を予め10分間インキュベートした酵素液を、0.05
%ゲランを含む50mMHEPES(pH7.5)に3
0℃で30分反応させて残存活性を測定する。なお、相
対活性は30℃での酵素力価を100%として求める。
また、pH7.5、反応時間10分の条件で50%残存
活性を示す温度は50℃であるが、同条件下70℃で反
応させると酵素活性はほとんど失活する。
【0028】(6)分子量 12.5%のSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供した
結果から分子量は140,000であることが明らかとなった
(図2)。
【0029】(7)二価金属イオンの存在下における基
質特異性 酵素反応時に以下に示す各物質を添加した場合と添加し
なかった場合の酵素活性の阻害を調べた。1mMのC
2+, Mo2+, Cu2+, Fe2+, Co2+, Zn2+等の二
価のカチオンは酵素活性に影響しなかったのに対して、
Hg2+は0.1mMの添加で100%の酵素活性の阻害があっ
た。EDTA(エチレンジアミン4酢酸)も1mM添加で
50%の活性低下が認められた。スルフヒドリル試薬であ
るジチオスレイトール(1mM) 、還元型グルタチオン
(1mM) 、2−メルカプトエタノール(1mM) 、N−エ
チルマレイミド(0.1mM) も活性に影響を与えなかっ
た。
【0030】本発明のゲランリアーゼによるゲランの分
解は一般的な多糖の酵素分解法と同様の方法で行える。
例えば、ゲランの水溶液に該酵素を添加すればよい。水
溶液のゲラン濃度は特に限定されないが、通常0.05〜3
%重量程度、好ましくは0.1〜2%重量程度とすればよ
い。ゲランリアーゼの添加量は特に制限されず、適宜選
択すればよい。反応温度は、ゲランリアーゼが作用しえ
る温度で有れば良く、通常20℃〜50℃、好適には30〜45
℃程度とすればよい。
【0031】かくして得られるゲラン分解物は、下式:
【0032】
【化3】 Δ-4,5-GlcA-(1→4)-β-D-Glc-(1→4)-α-L-Rha-(1→3)-β-D-Glc (I)
【0033】(式中、Glc ; D-グルコース、GlcA ; D-
グルクロン酸、Rha ; L-ラムノースを示す。)で表され
る四糖からなるゲランオリゴ糖である。0.5重量%のゲ
ランの水溶液は、通常20〜25cp程度の粘度を有している
が、本発明のゲランリアーゼを30℃、1時間程度ゲラン
に反応することによって1/10程度の粘度を示すゲラン
分解物にすることできる。また、このゲラン分解物は水
に溶解しやすく、しかも水に溶解しても高粘性を示さな
い。尚、本発明において粘度は、例えばヴィスコメータ
ー(Haake RV11,ドイツ製) を用い、25℃で測定する。
【0034】上記のような物性を有するゲラン分解物
は、水溶液のまま食品、医薬品等の素材として利用でき
るほか、粉末化して用いることもできる。粉末化は、通
常の分離・精製手段に従って行うことが出来る。例え
ば、まず該水溶液を遠心分離または濾過し、未分解のゲ
ラン及び不溶物を除去する。次いで、限外濾過、イオン
交換クロマトグラフィー、電気透析等を行って遊離イオ
ンと低分子画分を分画したりして、オリゴ糖画分を乾燥
すればよい。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、新規なゲランリアーゼ
が提供され、該酵素をゲランに作用させて得られるゲラ
ンオリゴ糖は、ゲランの持つ生理機能を保持し、水に溶
解し易く、しかも水に溶解しても高粘性を示さないの
で、医薬品や食品素材として好適に利用できる。以下に
実施例を挙げ、本発明を詳細に説明する。
【0036】
【実施例】
[実施例1] 本発明のゲランリアーゼの単離・精製 ゲラン分解菌のスクリーニング ゲラン分解微生物のスクリーニングは、京都府宇治市黄
檗の土壌を生理食塩水に懸濁して調製した懸濁液(10
0μl )による、0.1%硫酸アンモニウム、0.2%リン
酸二水素カリウム、0.2%リン酸水素二ナトリウム、0.
01%硫酸マグネシウム、0.01%酵母エキス、0.4%ゲラ
ン(和光純薬株式会社)からなる液体培地の28℃での資
化能、ならびに上記培地組成からゲランを除いた滅菌二
倍濃度溶液、及び別に2%濃度でオートクレーブして調
製したゲラン溶液を1:1の割合で混ぜ合わせて調製し
たゲランプレートで生育させてゲラン分解によるゲラン
プレートの液状化とを観察し、これらを指標として行っ
た。
【0037】 ゲランリアーゼの精製 共生菌をゲラン1%を含む前述した液体培地10Lで28
℃、72時間培養した。この液を−20℃で凍結後融解し、
6,500gで10分間遠心分離した。上清画分に対して再度同
様の操作を行って粗酵素画分とした。ついで、この粗酵
素画分を20mMのリン酸バッファーで平衡化したDEAE
セルロースカラムクロマトグラフィー(4.7×41cm) に
供した。溶出は0〜0.7M塩化ナトリウムのリニアグラ
ジェントにより行った。0.3〜0.4Mのあたりで溶出し
た活性画分を集め、30%飽和の硫酸アンモニウム溶液と
した。ついで、この酵素画分(420ml)を30%飽和硫酸ア
ンモニウムを含む20mMリン酸バッファーで平衡化したブ
チルトヨパール650M(2.7×17cm)に供した。溶出は
0〜30%飽和硫酸アンモニウムによるリニアグラジェン
トでおこなった。活性画分は15%飽和硫酸アンモニウム
濃度のあたりであった。この画分を集めアミコンモデル
8200(Amicon Co. 製)により3mlに濃縮した。この濃縮
した酵素液を20mMリン酸バッファーで平衡化したセファ
デックスG-150によるゲル濾過に供した。これら各精製
のステップを表1に示す。尚、酵素活性測定は前記の方
法により行った。
【0038】
【表2】
【0039】[実施例2] ゲラン分解菌によるゲラン
分解物の経時変化 0.5%のゲランを含む実施例1で示した培地中でのゲラ
ン分解菌によるゲラン分解物の経時変化を薄層クロマト
グラフィーで調べた。レーン1から4の順に培養後0、
20、40、60時間、レーン5は標準品のL−ラムノース、
レーン6はD−グルコース、レーン7はD−グルクロン
酸である。なお、培養液10μlを供した。結果を図3に
示す。
【0040】[実施例3] ゲランリアーゼ処理による
粘度低下とゲラン分解物の経時変化 市販のゲランの0.5%水溶液200ml に、本発明のゲラン
リアーゼ酵素液を加え、45℃で作用させた。粘度は、図
4に示すように経時的に低下した [25℃、ヴィスコメー
ター(Haake RV11, ドイツ製) にて測定;図4におい
て、白抜きの四角(□)はゲランリアーゼを加えない場
合、黒四角(■)はゲランリアーゼを10μg/mlの割合で
添加した場合を示す〕。また、図5は0(レーン4)、
1(レーン5)、2(レーン6)、3(レーン7)、4
(レーン8)、12(レーン9)、24(レーン10)時
間反応時のサンプル5μlを薄層クロマトグラフィーに
供したパターンを示す。レーン1〜3は標準品としての
L−ラムノース、D−グルコース、D−グルクロン酸を
サンプルとしたときのパターンである。この結果より該
酵素は末端より切断していくエキソ型の酵素であるとと
もに、ゲラン分解物に235nm での吸収極大が認められた
ことより、本酵素はリアーゼと判断され、ゲランリアー
ゼであることが判明した。
【0041】[実施例4] ゲラン分解物の構造解析 実施例3で調製した12時間後のゲランリアーゼ処理した
時点のゲラン分解物について構造解析を行った。オリゴ
糖鎖の質量分析はFAB−MS(Fast Atom Bombardmen
t Mass Spectrometry) 及びNMRで行った。その結果
から、酵素処理したオリゴ糖には中間体が存在せず、Δ
GlcA-Glc-Rha-Glcの配列を有するオリゴ糖であった。こ
れらの結果からも該酵素は末端から四糖ごとに切断して
いくエキソ型の酵素であることが証明された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のゲランリアーゼ活性に対するpH及び温
度の影響を示す。 A:至適pHの範囲 B:至適温度の範囲 C:安定温度の範囲及び失活の条件
【図2】本発明のゲランリアーゼのSDS-ポリアクリルア
ミドゲル電気泳動写真を示す。
【図3】ゲラン分解菌によるゲラン分解物の経時変化を
示す。
【図4】本発明ゲランリアーゼ処理による粘度低下の経
時変化を示す。
【図5】本発明ゲランリアーゼ処理によるゲラン分解物
の経時変化を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橋本 渉 京都府長岡京市梅が丘3丁目111 (72)発明者 村田 幸作 京都府京都市山科区北花山中道町84−8

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の理化学的性質を有する新規なゲラ
    ンリアーゼ: (1) 作用及び基質特異性 ゲランの末端から四糖単位を切断する。 (2) 至適pHの範囲 7〜8 (3) 安定温度の範囲(pH7.5) 45℃以下 (4) 作用適温の範囲 25〜45℃ (5) 失活の条件(温度安定性) 50℃,10分で50%、70℃,10分で95%以上
    の酵素活性が失活する。 (6) 金属イオン、阻害剤の影響 1mMのCa2+,Mo2+,Cu2+,Fe2+,Co2+,Zn
    2+等の二価のカチオンによって活性が阻害されず、0.1m
    M のHg2+で活性が100%阻害される。1mMジチオスレイ
    トール、1mM還元型グルタチオン、1mM 2−メルカプト
    エタノール、0.1mM N−エチルマレイミド等のスルフヒ
    ドリル試薬に活性が影響されず、1mM EDTAで50%の
    活性阻害を与える。 (7) 分子量 SDS-PAGEによる分子量 140,000
  2. 【請求項2】 請求項1記載をゲランリアーゼをゲラン
    に作用させることにより得られるゲラン分解物。
  3. 【請求項3】 下式: 【化1】 Δ-4,5-GlcA-(1→4)-β-D-Glc-(1→4)-α-L-Rha-(1→3)-β-D-Glc (I) (式中、Glc ; D-グルコース、GlcA ; D-グルクロン
    酸、Rha ; L-ラムノースを示す。)で表される請求項2
    記載のゲラン分解物。
JP8046363A 1996-03-04 1996-03-04 新規なゲラン分解酵素とオリゴ糖 Pending JPH09234065A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN112680435A (zh) * 2021-01-25 2021-04-20 中国石油大学(华东) 一种鞘氨醇胶裂解酶及酶解鞘氨醇胶的制备方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112680435A (zh) * 2021-01-25 2021-04-20 中国石油大学(华东) 一种鞘氨醇胶裂解酶及酶解鞘氨醇胶的制备方法
CN112680435B (zh) * 2021-01-25 2022-03-25 中国石油大学(华东) 一种鞘氨醇胶裂解酶及酶解鞘氨醇胶的制备方法

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