JPH0923197A - 音声品質改善装置 - Google Patents

音声品質改善装置

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JPH0923197A
JPH0923197A JP7173557A JP17355795A JPH0923197A JP H0923197 A JPH0923197 A JP H0923197A JP 7173557 A JP7173557 A JP 7173557A JP 17355795 A JP17355795 A JP 17355795A JP H0923197 A JPH0923197 A JP H0923197A
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Masanobu Suzuki
正延 鈴木
Shuji Kubota
周治 久保田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ADPCM符号に単一ビット誤りが付加され
た場合に、符号誤差が小さくなるようなADPCM符号
マッピングを実現し、フェージングによる音声劣化を最
小限に抑える。 【解決手段】 差分値の絶対値が大きくなるに従って、
差分値0のADPCM符号に対する符号間距離を大きく
したADPCM符号にマッピング変換を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ディジタル回線
(伝送路)で通信を行うシステムにおいて、無線区間で
フェージングや他チャネルの干渉により瞬時に変動する
音声品質の改善を図る音声品質改善装置に関する。
【0002】
【従来の技術】音声信号は隣接標本間だけではなく、こ
れより離れた点の間でも相関がある。そのため、隣接標
本間の差分信号、あるいはその相関を利用して予測した
値と実際の標本値との差分信号を符号化する予測符号化
により、音声情報の圧縮が行われている。たとえば、適
応差分PCM(ADPCM)方式では、音声信号の相関
を利用して過去の音声波形から現時点の音声波形を予測
する適応予測と、予測した音声波形の大きさに合わせて
量子化器のステップサイズを更新する適応量子化が用い
られている。
【0003】従来の32kbit/s のADPCM音声符号化
方式では、均一量子化されたPCM信号Sl(k)と予測信
号Se(k)より、差分信号d(k) d(k) =Sl(k)−Se(k) …(1) を算出する。次に、この差分信号d(k) を2を底とする
対数に変換し、スケールファクタ適応部により算出され
るスケールファクタy(k) を用いて、正規化された差分
信号d'(k) d'(k)=log2|d(k)|−y(k) …(2) を求める。次に、この正規化された差分信号d'(k)を表
1に示す量子化器の変換テーブルに従って4ビットで符
号化する。
【0004】
【表1】
【0005】ここで、第1ビットが極性を表し、第2〜
第4ビットが振幅を表し、4ビットの出力I(k) が32k
bit/s の出力信号となる。従来のADPCM音声符号化
方式では、−7から+7までの15通りの整数値をとるI
(k) に対して、表2に示すマッピングが行われていた。
【0006】
【表2】
【0007】図2は、有音時の音声信号を伝送する場合
の差分値(ADPCM符号)の確率分布を示す。この分
布は、話者の年齢、性別、声の大きさ等にはほとんど左
右されないことが確認されている。差分値0を示すAD
PCM符号(1111)の生起確率が最も高く36.7%を占め
ており、差分値の絶対値が大きくなるに従って生起確率
は小さくなっている。
【0008】図3は、無音時の音声信号を伝送する場合
の差分値(ADPCM符号)の確率分布を示す。差分値
0を示すADPCM符号(1111)の生起確率が有音時よ
りも高くなり、68%に達している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】図4は、無線回線で付
加されるADPCM符号の誤りパターンの確率分布を示
す。本確率分布は、誤り符号に占める各誤りパターンの
割合を示している。フェージング条件は、2波レイリー
フェージング、1ビット当たりの信号電力対1Hz当たり
の雑音電力比の平均を10dB、最大ドップラー周波数を15
Hz、遅延分散を 250nsとした。このようなフェージング
条件下で、第1ビット〜第4ビットの1ビットに誤りが
付加される確率は、それぞれ17〜18%でほぼ均等に生起
していることがわかる。
【0010】ところで、表2に示す従来のADPCM符
号マッピングでは、第1ビットに誤りが付加されると、
本来送りたい符号情報(ADPCM符号器出力)と誤り
付加後の符号情報(ADPCM復号器入力)との符号誤
差は、元符号がいかなる場合であっても常に7となる。
また、第2ビットに誤りが付加されると符号誤差は常に
4となる。なお、差分値−7のADPCM符号の第1ビ
ットまたは差分値4のADPCM符号の第2ビットに誤
りが付加されると“0000”となるが、ADPCM復号器
では“1111”として扱われるので符号誤差は7または4
となる。
【0011】このように、従来のADPCM符号マッピ
ングでは、第1ビットまたは第2ビットのみに誤りが付
加されると大きな符号誤差が生じ、著しい音声劣化をも
たらす。一方、想定したフェージング条件下では、第1
ビットまたは第2ビットのみに誤りが付加される確率は
それぞれ全誤り符号中の17〜18%であり、両方で約35%
に達するので、音声劣化に大きな影響を及ぼす符号誤り
が比較的頻繁に発生すると言える。
【0012】本発明は、ADPCM符号に単一ビット誤
りが付加された場合に、符号誤差が小さくなるようなA
DPCM符号マッピングを実現し、フェージングによる
音声劣化を最小限に抑えることができる音声品質改善装
置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】図2および図3に示すよ
うに、差分値0のADPCM符号を中心に差分値の絶対
値が大きくなるに従って生起確率が減少する。本発明の
音声品質改善装置ではこの点に着目し、差分値の絶対値
が大きくなるに従って差分値0のADPCM符号に対す
る符号間距離を大きくしたADPCM符号にマッピング
変換を行う。
【0014】すなわち、生起確率の高い差分値0のAD
PCM符号に対して、単一ビット誤りが付加されても符
号誤差が2以下となるようにし、最大差分を示すADP
CM符号とは大きな符号間距離を確保するようにADP
CM符号のマッピング変換を行う。これにより、生起確
率の高い差分値0を示すADPCM符号に単一ビット誤
りが生じても符号誤差を小さく抑えることができ、また
3ビット以上の誤りが付加されない限り符号誤差が7と
ならないので、符号誤りが音声劣化に与える影響を大幅
に緩和することができる。したがって、フェージング条
件下で誤りがバースト的に発生する無線回線において
も、本発明の音声品質改善装置を用いることにより異音
を低減して音声品質を高めることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の音声品質改善装
置の実施形態を示す。図において、送信側には、アナロ
グ音声信号をディジタル音声信号に変換するアナログ/
ディジタル変換器11と、ディジタル音声信号をADP
CM符号(差分信号)に符号化するADPCM符号器1
2と、ADPCM符号のマッピングを変換するマッピン
グ変換回路13とを備える。受信側には、マッピング変
換回路13で変換されたADPCM符号を逆変換するマ
ッピング逆変換回路21と、マッピング変換されたAD
PCM符号を復号化してディジタル音声信号を再生する
ADPCM復号器22と、ディジタル音声信号をアナロ
グ音声信号に変換するディジタル/アナログ変換器23
とを備える。送信側と受信側との間の無線区間では、回
線状態に応じた誤りが付加される。
【0016】
【実施例】本発明の音声品質改善装置のマッピング変換
回路13およびマッピング逆変換回路21におけるAD
PCM符号のマッピング変換例を表3に示す。
【0017】
【表3】
【0018】ここでは、ADPCM符号器12およびA
DPCM復号器22で用いられるADPCM符号マッピ
ング(表2)との区別を容易にするために、変換後の差
分値0のADPCM符号を“0000”とするが、一般的に
は任意の4ビットでよい。差分値の絶対値が2以下のA
DPCM符号として、差分値0のADPCM符号(000
0)との符号間距離が1となる4ビット符号(0001, 001
0, 0100, 1000)のいずれかを割り当てる。表3に示す
例では、差分値0のADPCM符号(0000)の第1ビッ
ト誤り(1000)および第4ビット誤り(0001)の場合に
は、それぞれ−1,+1を示す符号となり、元符号との
符号誤差は1となる。また、第2ビット誤り(0100)お
よび第3ビット誤り(0010)の場合には、それぞれ−
2,+2を示す符号となり、元符号との符号誤差は2と
なる。これにより、生起確率が高い差分値0のADPC
M符号(0000)の単一ビット誤りに対して、符号誤差を
1または2に抑えることができる。
【0019】差分値の絶対値が7のADPCM符号とし
て、表3に示す例では差分値0のADPCM符号(000
0)との符号間距離が3となる4ビット符号(0111, 111
0)を割り当てる。これにより、差分値0のADPCM
符号(0000)に3ビット以上の誤りが付加されない限り
符号誤差が7になることはない。差分値の絶対値が3以
上6以下のADPCM符号として、上記以外の4ビット
符号で、1ADPCM符号当たりの符号誤差の期待値E
を最小にする4ビット符号を割り当てる。なお、符号誤
差の期待値Eは、一定期間中に送信されたADPCM符
号数をN、k番目に送信されたADPCM符号の差分値
をS(k) 、k番目に受信されたADPCM符号の差分値
をS'(k)とすると、
【0020】
【数1】
【0021】と表される。
【0022】
【発明の効果】符号誤差の期待値Eおよび音声劣化の大
きな原因となる符号誤差7以上の符号数Sについて、表
2の従来方式による場合と表3の本発明方式による場合
とを比較した結果を図5に示す。なお、図5では期待値
Eおよび符号数Sについて、従来方式(無処理)で送信
した場合を 100として正規化した。本発明方式によれ
ば、従来方式(無処理)で送信した場合と比較して期待
値Eで32%、符号数Sで65%低減できる。さらに、従来
方式に受信側における音声品質改善処理としてミューテ
ィングを行った場合と比較しても、期待値Eで16%、符
号数Sで47%低減できる。
【0023】このように、本発明の音声品質改善装置を
用いることにより、従来方式よりもノイズの少ない優れ
た音声品質を実現することができる。また、本発明の音
声品質改善装置と、受信側における音声品質改善処理と
を組み合わせることにより、さらに音声品質の改善が可
能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の音声品質改善装置の実施形態を示すブ
ロック図。
【図2】有音時の音声信号を伝送する場合の差分値(A
DPCM符号)の確率分布を示す図。
【図3】無音時の音声信号を伝送する場合の差分値(A
DPCM符号)の確率分布を示す図。
【図4】無線回線で付加されるADPCM符号の誤りパ
ターンの確率分布を示す図。
【図5】本発明方式と従来方式との比較を示す図。
【符号の説明】
11 アナログ/ディジタル変換器 12 ADPCM符号器 13 マッピング変換回路 21 マッピング逆変換回路 22 ADPCM復号器 23 ディジタル/アナログ変換器

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 送信側に、ディジタル音声信号をADP
    CM符号化するADPCM符号器を備え、 受信側に、ADPCM符号を復号化するADPCM復号
    器を備えた音声品質改善装置において、 送信側の前記ADPCM符号器の後段に、差分値の絶対
    値が大きくなるに従って差分値0のADPCM符号に対
    する符号間距離を大きくしたADPCM符号にマッピン
    グ変換するマッピング変換回路を備え、 受信側の前記ADPCM復号器の前段に、前記マッピン
    グ変換回路で変換されたADPCM符号を逆変換するマ
    ッピング逆変換回路を備えたことを特徴とする音声品質
    改善装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の音声品質改善装置にお
    いて、 マッピング変換回路およびマッピング逆変換回路では、 差分値の絶対値が2以下のADPCM符号として、差分
    値0のADPCM符号との符号間距離が1となる4ビッ
    ト符号を割り当て、 差分値の絶対値が7(最大差分値)のADPCM符号と
    して、差分値0のADPCM符号との符号間距離が3ま
    たは4となる4ビット符号を割り当て、 差分値の絶対値が3以上6以下のADPCM符号とし
    て、差分値の絶対値が2以下および7に割り当てた4ビ
    ット符号以外で、ADPCM符号器の出力特性および伝
    送路で付加される誤りパターン特性に応じて符号誤差の
    期待値を最小にする4ビット符号を割り当てることを特
    徴とする音声品質改善装置。
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