JPH09231513A - 複合型磁気ヘッド及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、記録再生用ヘッドと消去用ヘッド
とを接合した複合型磁気ヘッドの消去用ギャップを形成
する工程を簡略化することを課題とする。 【解決手段】 磁気ヘッドコア１０は、記録再生用コア
１１と消去用コア１２とから構成されている。記録再生
用コア１１は、Ｉ型コア１３及びＣ型コア１４の突き合
わせ部分により、記録再生用ギャップ１５が形成されて
いる。また、消去用コア１２は、記録再生用コア１１と
同様にＩ型コア１６及びＣ型コア１７からなり、これら
Ｉ型コア１６とＣ型コア１７の突き合わせ部分により、
消去用ギャップ１８が形成されている。消去用ギャップ
１８は、Ｉ型コア１６とＣ型コア１７の突き合わせ面の
間隙にエポキシ系の接着剤を注入させ、この接着層によ
り形成される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は複合型磁気ヘッド及
びその製造方法に係り、特に記録再生用ギャップにより
記録された記録トラックの両側を規制するように消去す
る消去用ギャップを有する複合型磁気ヘッド及びその製
造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】磁気ディスクに磁気ヘッドを摺接させて
磁気記録再生を行う磁気ディスク装置では、記録再生用
ギャップを有する記録再生用コアと、記録再生用ギャッ
プにより記録された記録トラックの両側を規制するよう
に消去する消去用ギャップを有する消去用コアとを一体
的に接合させた複合型磁気ヘッドが使用されている。

【０００３】この種の複合型磁気ヘッドとしては、例え
ば図８に示すような構成とされたものがある。磁気ヘッ
ド１は磁気ヘッドコア２と、磁気ヘッドコア２を保持す
るスライダ３と、磁気ヘッドコア２に巻回されたコイル
４，５と、磁気ヘッドコア２に固着されて磁気回路を形
成するバックバー９とより構成されている。スライダ３
は、断面がほぼＬ字状に形成された非磁性体（例えば、
セラミック等）よりなるスライダ半体３ａ，３ｂから構
成されている。

【０００４】ここで、上記構成の磁気ヘッド１を組み立
てる際の工程について説明する。先ず、磁気ヘッドコア
２に対してスライダ半体３ａ，３ｂをエポキシ樹脂ある
いはガラスにより接合し、続いて磁気ディスクに対向す
る接触面Ａを研磨する。次に、磁気回路を構成すべきコ
イル４，５を磁気ヘッドコア２のコイル取付部８に取り
付ける。その後、バックバー９をコイル取付部８の一面
に固着させて磁気ヘッド１が完成する。

【０００５】図９は磁気ヘッドコア２のギャップ部分を
拡大して示す図である。磁気ヘッドコア２は、記録再生
用の記録再生用ギャップ６と、記録再生用ギャップ６に
より記録された記録トラックの両側を規制するように消
去する消去用ギャップ７とを有する複合型磁気ヘッドで
ある。記録再生用ギャップ６は、Ｉ型コア２ａとＣ型コ
ア２ｂとの突き合わせ面の離間距離（間隙）により形成
され、消去用ギャップ７はＩ型コア２ｃとＣ型コア２ｄ
との突き合わせ面の離間距離（間隙）により形成されて
いる。

【０００６】このように、記録再生用ギャップ６と消去
用ギャップ７とが一体的に組み合わされた複合型磁気ヘ
ッドを構成する上記のような磁気ヘッドコア２の場合、
一般に、コア材の特性を考慮して消去用ギャップ７のギ
ャップ長が記録再生用ギャップ６のギャップ長の２〜３
倍に設定されている。例えば、磁気ヘッドコア２では、
記録再生用ギャップ６のギャップ長は１±０．１μｍで
あり、消去用ギャップ７のギャップ長は２．５±１μｍ
である。これにより、例えば−４０ｄＢの消去率が得ら
れる。

【０００７】また、磁気ヘッドのギャップを形成する方
法としては、コアの突き合わせ面にエッチングにより
絶縁材の薄膜を形成して間隙にガラス材を注入する方
法、コアの突き合わせ面にスパッタリングにより絶縁
膜を付着させて接合する方法、絶縁材よりなるスペー
サにより間隙を形成し、間隙にガラス材を注入する方法
等がある。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
の方法では、薄膜を形成するための高価な装置等の膨
大な設備が必要であり、磁気ヘッドの製造コストを下げ
ることが難しいという問題がある。また、の方法で
は、スペーサ組み込み時の工数が多く手間がかかるので
歩留りが悪いといった問題がある。

【０００９】また、複合型磁気ヘッドを製造する工程
で、比較的ギャップ長が大きい消去用ギャップ７を形成
する場合も高精度が要求される記録再生用ギャップ６と
同様にスパッタリングによりギャップ長を規制してい
る。そのため、記録再生用ギャップ６のギャップ長は１
±０．１μｍであるので、より精密な加工が要求されて
いるが、消去用ギャップ７のギャップ長が２．５±１μ
ｍであるので、消去用ギャップ７は記録再生用ギャップ
６よりもギャップ長の誤差範囲に余裕があり、記録再生
用ギャップ６ほどの精度が要求されていない。従って、
消去用ギャップ７をスパッタリングにより付着させた薄
膜により形成する必要はなく、スパッタリングのための
高価なスパッタ装置等が過剰な設備となっていた。

【００１０】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、ギャップ長の精度に応じた工程により消去用ギャ
ップを形成することにより生産性が向上しうる複合型磁
気ヘッド及びその製造方法を提供することを目的とす
る。

【００１１】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明では下記の種々の手段を講じた事を特徴とす
るものである。上記請求項１記載の発明では、記録再生
用ギャップを有する記録再生用コアと、該記録再生用ギ
ャップにより記録された記録トラックの両側を規制する
ように消去する消去用ギャップを有する消去用コアとを
一体的に接合させてなる複合型磁気ヘッドにおいて、前
記消去用ギャップのギャップ長を前記消去用コアの間隙
に注入した接着剤により形成したことを特徴とするもの
である。

【００１２】また、請求項２記載の発明では、記録再生
用ギャップを有する記録再生用コアと、該記録再生用ギ
ャップにより記録された記録トラックの両側を規制する
ように消去する消去用ギャップを有する消去用コアとを
一体的に接合させてなる複合型磁気ヘッドの製造方法に
おいて、前記消去用コアの間隙に接着剤を注入して消去
用ギャップを形成したことを特徴とするものである。

【００１３】上記した各手段は、下記のように作用す
る。上記請求項１記載の発明によれば、消去用ギャップ
のギャップ長を消去用コアの間隙に注入した接着剤によ
り形成することにより、大掛かりな設備が不要となり、
安価に製作することができる。

【００１４】また、請求項２記載の発明によれば、消去
用コアの間隙に接着剤を注入して消去用ギャップを形成
するため、消去用ギャップを形成する工程が簡略化でき
ると共に大掛かりな設備が不要となり、安価に製作する
ことができる。

【００１５】

【発明の実施の形態】つぎに本発明の実施例について図
面と共に説明する。図１は本発明になる複合型磁気ヘッ
ドに組み込まれる磁気ヘッドコアの一実施例の斜視図、
図２は磁気ヘッドコアの平面図である。

【００１６】磁気ヘッドコア１０は、記録再生用コア１
１と消去用コア１２とから構成されている。記録再生用
コア１１は、Ｉ型コア１３及びＣ型コア１４の突き合わ
せ部分により、記録再生用ギャップ１５が形成されてい
る。また、消去用コア１２は、記録再生用コア１１と同
様にＩ型コア１６及びＣ型コア１７からなり、これらＩ
型コア１６とＣ型コア１７の突き合わせ部分により、消
去用ギャップ１８が形成されている。

【００１７】以上の構成は、図８に示した従来の磁気ヘ
ッド１の磁気ヘッドコア２と同様の構成であるが、本発
明の実施形態による磁気ヘッドコア１０においては、上
記記録再生用ギャップ１５のギャップ長は１±０．１μ
ｍであり、消去用ギャップ７のギャップ長は２．５±１
μｍである。

【００１８】記録再生用ギャップ１５は、ギャップ長が
小さくより高い精度が要求されるため、Ｉ型コア１３及
びＣ型コア１４の突き合わせ面にスパッタリングにより
絶縁膜を付着させて接合する方法により加工される。ま
た、消去用ギャップ１８は、ギャップ長が記録再生用ギ
ャップ１５よりも大きいので、記録再生用ギャップ１５
ほど高い精度が要求されない。そのため、消去用ギャッ
プ１８は、後述するようにＩ型コア１６とＣ型コア１７
の突き合わせ面の間隙にエポキシ系の接着剤を注入さ
せ、この接着層により形成される。

【００１９】そのため、消去用ギャップ１８を形成する
ためにＩ型コア１６とＣ型コア１７の突き合わせ面にス
パッタリングにより絶縁膜を付着させる工程が不要であ
り、高価なスパッタ装置等の設備を不要にできる。この
ように構成された磁気ヘッドコア２は、以下のような製
造方法により製造されるようになっている。

【００２０】先ず、記録再生用ギャップバーの製造工程
について説明する。図３（Ａ）において、フェライト等
の磁性体材料からなる第１の基板２１及び第２の基板２
２を用意する。第１の基板２１はＩ型コアを形成するも
のであり、比較的薄くなっている。また、第２の基板２
２はＣ型コアを形成するものであり、比較的厚くなって
いる。

【００２１】次に、図３（Ｂ）に示すように、第２の基
板２２の第１の基板２１に対向する接合面２２ａに長手
方向に沿って延びる巻線溝２２ｂが形成された後、第１
の基板２１の突き合わせ面２１ａ又は第２の基板２２の
突き合わせ面２２ｃにスパッタリングにより絶縁膜２３
（ハッチングで示す）を付着させる。

【００２２】そして、図３（Ｃ）に示すように、絶縁膜
２３を介在させた状態で第１の基板２１及び第２の基板
２２を互いに接合させる。従って、第１の基板２１と第
２の基板２２との間の間隙が絶縁膜２３の膜厚により形
成される。すなわち、本実施例では、絶縁膜２３の膜厚
により記録再生用ギャップ１５のギャップ長が１±０．
１μｍに規制される。

【００２３】よって、第１の基板２１と第２の基板２２
とを突き合わせることにより、記録再生用ギャップ１５
が高精度に形成された状態の記録再生用ヘッドコアブロ
ック２４が構成されることになる。このようにして得ら
れた記録再生用ヘッドコアブロック２４に対して、図４
に示すように記録再生トラック幅を規制するように、上
面から第１の基板２１の側面にかけて記録再生トラック
幅規制溝２５が切削加工される。

【００２４】また、記録再生トラック幅規制溝２５間の
間隔が記録再生用ギャップ１５のギャップ幅となる。そ
のため、記録再生トラック幅規制溝２５は、記録再生用
ギャップ１５が、所定の記録再生用ギャップ幅Ｔ１とな
るように加工される。これで、記録再生用ギャップバー
２６が形成される。

【００２５】次に消去用ギャップバーの製造工程につい
て説明する。図５（Ａ）において、上記記録再生用ギャ
ップバー２６の場合と同様にフェライト等の磁性体材料
からなる第１の基板２７及び第２の基板２８を用意す
る。第１の基板２７はＩ型コアを形成するものであり、
第２の基板２８はＣ型コアを形成するものである。

【００２６】次に、図５（Ｂ）に示すように、第２の基
板２８の第１の基板２７に対向する接合面２８ａに長手
方向に沿って延びる巻線溝２８ｂを形成する。そして、
図５（Ｃ）に示すように、第１の基板２７の突き合わせ
面２７ａと第２の基板２８の突き合わせ面２８ｃとを突
き合わせた状態で第１の基板２１及び第２の基板２２を
互いに接合させる。

【００２７】このように、第１の基板２１と第２の基板
２２とを突き合わせることにより、記録再生用ギャップ
１５が形成される接合部分には、微小な隙間が形成され
る。この突き合わせ面２７ａと２８ｃとの間に絶縁性を
有する接着剤２９を注入する。本実施形態においては、
接着剤２９には、例えばエポキシ樹脂よりなる粘性の低
い液状の接着剤を使用するものとする。

【００２８】尚、突き合わせ面２７ａと２８ｃとの間に
形成された間隙は、２．５±１μｍ程度である。そのた
め、ブロック上面に液状の接着剤２９を塗布するだけ
で、毛細管現象により接着剤２９が第１の基板２１と第
２の基板２２との突き合わせ部分の隙間に流入する。

【００２９】そして、接着剤２９が硬化することにより
突き合わせ面２７ａと２８ｃとの間が接着されると共
に、消去用ギャップ１８が形成される。よって、従来の
ようにスパッタリングにより消去用ギャップを形成する
方法に比べて、液状の接着剤２９を塗布するだけで簡単
に消去用ギャップ１８を形成することができ、高価なス
パッタ装置等の膨大な設備が不要となり、設備費の償却
が軽減されて製造コストを安価に抑えることができる。

【００３０】しかも、消去用コアの工数が減少するた
め、その分消去用コアの製造工程での生産効率を高める
ことが可能になる。このように第１の基板２７と第２の
基板２８とを突き合わせることにより、消去用ギャップ
１８が形成された状態の消去用ヘッドコアブロック３０
が構成されることになる。

【００３１】次に消去用ヘッドコアブロック３０に対し
て、記録再生用ヘッドコアブロック２４の場合と同様、
図６に示すように記録再生トラック幅を規制するよう
に、上面から第１の基板２７の側面にかけて消去トラッ
ク幅規制溝３１が切削加工される。

【００３２】また、消去トラック幅規制溝３１間の間隔
が消去用ギャップ１８のギャップ幅となる。そのため、
消去トラック幅規制溝３１は、消去用ギャップ１８が、
所定の消去用ギャップ幅Ｔ２となるように加工される。
これで、消去用ギャップバー３２が形成される。

【００３３】その後、図７（Ａ）に示すように上記記録
再生用ギャップバー２６及び消去用ギャップバー３２
は、夫々トラック幅規制溝２５，３１内に接合用ガラス
３３（梨地模様で示す）が充填された後、その上面が研
磨されると共に、互いに第１の基板２１，２７が対向す
る向きで接合される。

【００３４】そして、図７（Ｂ）に示すように記録再生
用ギャップバー２６及び消去用ギャップバー３２のコア
足部分３４が加工される。これで、磁気ヘッドブロック
３５が完成する。次に、図７（Ｃ）に示すように、磁気
ヘッドブロック３５から記録再生用ギャップ１５の両側
に一対の消去用ギャップ１８が配される幅寸法毎に長手
方向と垂直な方向にスライス加工する。その結果、個々
の磁気ヘッドコア１０が完成する。

【００３５】尚、上記各実施例では、エポキシ樹脂より
なる接着剤２９を第１の基板２１と第２の基板２２との
突き合わせ部分の隙間に注入させたが、これに限らず、
絶縁性を有すると共に粘性の低い液状の接着剤であれば
他の種類の接着剤を使用するようにしても良いのは勿論
である。

【００３６】

【発明の効果】上述の如く本発明によれば、下記の種々
の効果を実現することができる。請求項１記載の発明に
よれば、消去用ギャップのギャップ長を消去用コアの間
隙に注入した接着剤により形成することにより、従来の
ようにスパッタリングにより消去用ギャップを形成する
方法に比べて、接着剤を塗布するだけで簡単に消去用ギ
ャップを形成することができ、高価なスパッタ装置等の
膨大な設備が不要となり、設備費の償却が軽減されて製
造コストを安価に抑えることができる。しかも、消去用
コアの工数が減少するため、その分消去用コアの製造工
程での生産効率を高めることが可能になる。

【００３７】また、請求項２記載の発明によれば、消去
用コアの間隙に接着剤を注入して消去用ギャップを形成
するため、消去用ギャップを形成する工程が簡略化でき
ると共に大掛かりな設備が不要となり、安価に製作する
ことができる等の上記請求項１と同様な効果が得られ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例である磁気ヘッドを示す斜視
図である。

【図２】磁気ヘッドコアの平面図である。

【図３】記録再生用ギャップバーの製造工程を説明する
ための工程図である。

【図４】記録再生トラック幅規制溝が切削加工した状態
を示す工程図である。

【図５】消去用ギャップバーの製造工程を説明するため
の工程図である。

【図６】消去トラック幅規制溝が切削加工した状態を示
す工程図である。

【図７】記録再生用ギャップバーと消去用ギャップバー
とを接合させて磁気ヘッドをスライス加工する工程を説
明するための工程図である。

【図８】従来の磁気ヘッドを示す分解斜視図である。

【図９】従来の磁気ヘッドコアの平面図である。

【符号の説明】

１０ 磁気ヘッドコア １１ 記録再生用コア １２ 消去用コア １５ 記録再生用ギャップ １８ 消去用ギャップ ２１，２７ 第１の基板 ２２，２８ 第２の基板 ２３ 絶縁膜 ２４ 記録再生用ヘッドコアブロック ２５ 記録再生トラック幅規制溝 ２６ 記録再生用ギャップバー ２９ 接着剤 ３０ 消去用ヘッドコアブロック ３１ 消去トラック幅規制溝 ３２ 消去用ギャップバー ３３ 接合用ガラス

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 記録再生用ギャップを有する記録再生用
   コアと、該記録再生用ギャップにより記録された記録ト
   ラックの両側を規制するように消去する消去用ギャップ
   を有する消去用コアとを一体的に接合させてなる複合型
   磁気ヘッドにおいて、 前記消去用ギャップのギャップ長を前記消去用コアの間
   隙に注入した接着剤により形成したことを特徴とする複
   合型磁気ヘッド。
2. 【請求項２】 記録再生用ギャップを有する記録再生用
   コアと、該記録再生用ギャップにより記録された記録ト
   ラックの両側を規制するように消去する消去用ギャップ
   を有する消去用コアとを一体的に接合させてなる複合型
   磁気ヘッドの製造方法において、 前記消去用コアの間隙に接着剤を注入して消去用ギャッ
   プを形成したことを特徴とする複合型磁気ヘッドの製造
   方法。