JPH09229122A - 二輪車の倒立型フロントフォーク - Google Patents

二輪車の倒立型フロントフォーク

Info

Publication number
JPH09229122A
JPH09229122A JP5534696A JP5534696A JPH09229122A JP H09229122 A JPH09229122 A JP H09229122A JP 5534696 A JP5534696 A JP 5534696A JP 5534696 A JP5534696 A JP 5534696A JP H09229122 A JPH09229122 A JP H09229122A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
inner tube
outer tube
front fork
tube
bush
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP5534696A
Other languages
English (en)
Inventor
Osamu Nagai
修 永井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
SHOWA AUTO ENG
Showa Corp
Original Assignee
SHOWA AUTO ENG
Showa Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by SHOWA AUTO ENG, Showa Corp filed Critical SHOWA AUTO ENG
Priority to JP5534696A priority Critical patent/JPH09229122A/ja
Publication of JPH09229122A publication Critical patent/JPH09229122A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 倒立型フロントフォークの強度を高めるよう
にすること。 【解決手段】 アッパブラケット28A及びロアブラケ
ット28Bを介して車体側に保持されるアウタチューブ
21と、車軸を保持するインナチューブ22とが、アウ
タチューブの開口端部30の内周に固定した第1ガイド
ブッシュ26及びアウタチューブの内周に固定した第2
ガイドブッシュ27を介して摺動自在に嵌合され、これ
らのアウタチューブ及びインナチューブ内に懸架スプリ
ング及びダンパ装置が配設された自動二輪車の倒立型フ
ロントフォーク20において、インナチューブにおける
第1ガイドブッシュと第2ガイドブッシュとの間には、
肉厚が第2ガイドブッシュ側へ向って漸次減少する薄肉
部82が形成されたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インナチューブと
アウタチューブとがテレスコピックに摺動自在に嵌合さ
れた二輪車の倒立型フロントフォークに関する。
【0002】
【従来の技術】図5に示すように、自動二輪車の倒立型
フロントフォーク10は、アウタチューブ11内にイン
ナチューブ12が摺動自在に挿通され、これらのアウタ
チューブ11及びインナチューブ12内に、懸架スプリ
ング及びダンパ装置(共に図示せず)が配設されて構成
される。一対のフロントフォーク10のアウタチューブ
11がアッパブラケット13及びロアブラケット14を
介して車体側に保持される。また、一対のフロントフォ
ーク10のインナチューブ12に、車軸ブラケット18
を介して前輪15が軸支される。このフロントフォーク
10により、路面19からの衝撃が上記懸架スプリング
にて吸収され、フロントフォーク10の伸縮振動が上記
ダンパ装置にて抑制される。
【0003】ところで、近年、前輪15及び後輪のタイ
ヤのグリップ性能が向上した結果、自動二輪車のコーナ
リング走行時にバンク角θが小さくなってきた。このた
め、コーナリング走行時には、路面19から自動二輪車
へ作用する外力Fのうち、フロントフォーク10の軸方
向の分力Fa に対し、フロントフォーク10の軸に直角
方向の分力Fb が大きくなってしまう。この分力Fb
が、フロントフォーク10に対し曲げ荷重として作用
し、フロントフォーク10に曲げモーメントを生じさせ
る。
【0004】この曲げモーメントは、フロントフォーク
10のアウタチューブ11においては、ロアブラケット
14に取り付けられた位置にて最大になり、この位置か
らアッパブラケット13側及びアウタチューブの開口端
部16側へ向って漸次減少する。この点を考慮して、十
分な強度を有するフロントフォーク10が実公昭58-199
93号公報に開示されている(第1従来技術)。
【0005】この第1従来技術の倒立型フロントフォー
ク10は、アウタチューブ11の肉厚が、アウタチュー
ブ11のロアブラケット14取付位置において最も厚
く、内径を一定にしたままその外径を、ロアブラケット
14取付位置からアッパブラケット13側及び開口端部
16側へ向って漸次減少させて、漸次薄く構成されたも
のである。ロアブラケット14取付位置においてアウタ
チューブ11の肉厚を増加させることにより、この部分
の断面係数を増大させて、曲げ強度を高めている。ま
た、アウタチューブ11の肉厚をロアブラケット14取
付位置からアッパブラケット13側及び開口端部16側
へ向って漸次減少させることにより、曲げ荷重Fb に対
してアウタチューブ11に発生する曲げ応力の均一化が
図られている。
【0006】一方、実開平 1-161997 号公報記載の倒立
型フロントフォーク10には、アウタチューブ11に摺
動自在に挿入されるインナチューブ12において、その
挿入先端部側に薄肉部を形成して低剛性とし、アウタチ
ューブ11に作用する曲げ荷重Fb によってこのアウタ
チューブ11が変形したときにも、インナチューブ12
の薄肉部が変形して、アウタチューブ11内へインナチ
ューブ12が深く侵入できるようにし、これにより、フ
ロントフォーク10の衝撃吸収性を良好にしたものが提
案されている(第2従来技術)。
【0007】ところが、この第2従来技術のフロントフ
ォーク10では、インナチューブ12における薄肉部と
他の部分との境界部において、断面積が急激に変化する
ため、この境界部で応力集中が発生し易い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】請求項1〜3に記載の
発明の課題は、特にインナチューブが受ける曲げモーメ
ントに応じてインナチューブに発生する曲げ応力を均一
化し、応力集中を回避して、強度を高めることができる
二輪車の倒立型フロントフォークを提供することにあ
る。
【0009】特に、請求項3に記載の発明の課題は、ア
ウタチューブの曲げ応力も均一化して応力集中を避け、
強度を高めることができる二輪車の倒立型フロントフォ
ークを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、一対のブラケットを介して車体側に保持されるアウ
タチューブと、車軸を保持するインナチューブとが、上
記アウタチューブの開口端部内周に固定した下部ブッシ
ュ、及び上記アウタチューブの内周、又は上記インナチ
ューブの先端部外周に固定した上部ブッシュを介して摺
動自在に嵌合され、これらのアウタチューブ及びインナ
チューブ内に懸架スプリング及びダンパ装置が配設され
た二輪車の倒立型フロントフォークにおいて、上記イン
ナチューブにおける上記上部ブッシュと上記下部ブッシ
ュとの間には、肉厚が上記上部ブッシュ側へ向って漸次
減少する薄肉部が形成されたものである。
【0011】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において、上記インナチューブの薄肉部は、上部
ブッシュと下部ブッシュとの間に位置するインナチュー
ブの外周が上記上部ブッシュ側へ向って漸次縮径して形
成されたものである。
【0012】請求項3に記載の発明は、請求項1又は2
に記載の発明において、上記アウタチューブには、下側
のブラケットと上記アウタチューブの開口端部との間
に、外周が上記開口端部側へ向って漸次縮径する薄肉部
が形成されたものである。
【0013】請求項1〜3に記載の発明には、次の作用
がある。インナチューブが受ける曲げモーメントは、ア
ウタチューブの開口端部に固定された下部ブッシュに対
応する位置において最も大きく、この位置から上部ブッ
シュ側及びインナチューブの車軸取付部側へ向うに従い
漸次減少する。請求項1〜3に記載の発明では、インナ
チューブにおける上部ブラケットと下部ブラケットの間
に、インナチューブが受ける上記曲げモーメントの大き
さに応じて、肉厚が上部ブッシュ側へ向って漸次減少す
る薄肉部が形成されたので、インナチューブが受ける曲
げ荷重に対し、インナチューブに発生する曲げ応力を均
一化でき、応力集中を回避できる。このため、二輪車の
倒立型フロントフォークの強度を高めることができる。
然も、インナチューブを全体として薄肉化できるので、
フロントフォークの軽量化にも寄与できる。
【0014】特に、請求項3に記載の発明には、次の作
用がある。アウタチューブが受ける曲げモーメントは、
下側のブラケットに対応する位置が最も大きく、この位
置から上側のブラケット側及びアウタチューブの開口端
部側へ向うに従い漸次減少する。請求項3に記載の発明
では、アウタチューブの下側ブラケットと開口端部との
間において、アウタチューブが受ける上記曲げモーメン
トの大きさに応じ、アウタチューブの外周が開口端部側
へ向って漸次縮径する薄肉部が形成されたので、アウタ
チューブが受ける曲げ荷重に対して、アウタチューブに
発生する曲げ応力を均一化でき、応力集中を回避でき
る。このため、二輪車の倒立型フロントフォークの強度
を高めることができる。この場合も、アウタチューブが
全体として薄肉化されたので、倒立型フロントフォーク
の軽量化を図ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る二輪車の
倒立型フロントフォークの一つの実施の形態を示す縦断
面図である。図2は、図1のインナチューブを示す縦断
面図である。図3は、図1のアウタチューブを示す縦断
面図である。図4は、図1の倒立型フロントフォークに
作用する曲げモーメント図である。
【0016】図1に示すように、自動2輪車の倒立型の
フロントフォーク20は、アウタチューブ21内にイン
ナチューブ22が挿通され、両チューブ21及び22間
に懸架スプリング23及びダンパ装置24が内蔵して構
成されたものであり、アウタチューブ21がアッパブラ
ケット28A及びロアブラケット28Bを介して車体側
に支持され、インナチューブ22の軸受ブラケット25
に車軸が支持される。
【0017】アウタチューブ21の開口端部30内周に
下部ブッシュとしての第1ガイドブッシュ26が、更
に、この第1ガイドブッシュ26と離間したアウタチュ
ーブ21の内周に、上部ブッシュとしての第2ガイドブ
ッシュ27がそれぞれ固着される。第1ガイドブッシュ
26及び第2ガイドブッシュ27のそれぞれの内周面が
インナチューブ22の外周面に摺接することにより、ア
ウタチューブ21及びインナチューブ22が摺動自在に
構成される。
【0018】懸架スプリング23の下端部は、ワッシャ
29、並びに後述のオイルロックカラー67、ダンパシ
リンダ41及び車軸ブラケット25を介してインナチュ
ーブ22に支持される。また、懸架スプリング23の上
端はスプリングジョイント32、懸架アッパカラー33
及びスプリングアジャスタ機構34を介してアウタチュ
ーブ21に支持される。この懸架スプリング23によ
り、路面からの衝撃力が吸収される。
【0019】上記スプリングアジャスタ機構34は、ス
プリングアジャスタ35、アジャストピース36、ワッ
シャ37及びアジャストスライダ38を有して構成され
る。一方、アウタチューブ21の上端部にはフォークボ
ルト39が螺合され(螺合部a)、このフォークボルト
39の内周にアジャストケース40が螺合される(螺合
部b)。このアジャストケース40の外周に上記スプリ
ングアジャスタ35が螺合されて(螺合部c)、このス
プリングアジャスタ35は軸方向に移動可能とされる。
また、アジャストピース36はフォークボルト39を貫
通し、アジャストスライド38は、アジャストケース4
0に軸方向移動可能に嵌合されると共に、懸架アッパカ
ラー33を装着する。従って、スプリングアジャスタ3
5を回転調整することにより、アジャストピース36及
びアジャストスライダ38が軸方向に移動し、懸架アッ
パカラー33及びスプリングジョイント32を介して、
懸架スプリング23の初期荷重が変更される。尚、上記
螺合部a及びbの締付トルクは、螺合部cのねじ摩擦力
以上に設定される。
【0020】上記ダンパ装置装置24は、インナチュー
ブ22から立設されたダンパシリンダ41と、ピストン
42及びニードル弁43を備えたピストンバルブ機構4
4と、ボトムピストン45及びボトムニードル弁ユニッ
ト46を備えたベースバルブ機構47と、を有して構成
される。これらのピストンバルブ機構44及びベースバ
ルブ機構47により発生する減衰力によって、懸架スプ
リング23による衝撃力の吸収に伴い発生するアウタチ
ューブ21及びインナチューブ22の伸縮摺動が抑制さ
れる。
【0021】ダンパシリンダ41は、インナチューブ2
2内に配置されて、インナチューブ22との間にリザー
バ室48を形成する。このダンパシリンダ41には貫通
孔49が開設されて、この貫通孔49により、ダンパシ
リンダ41の内部(ベースバルブ室55C)とリザーバ
室48とが連通される。
【0022】ピストンバルブ機構44におけるピストン
42は、上記アジャストケース40の下端部に螺合され
た中空形状のピストンロッド50に、ピストンホルダ5
1を介して固着される。このピストン42により、ダン
パシリンダ41内が上室55Aと下室55Bとに固着さ
れる。このピストン42に、伸側流路52及び圧側流路
(図示せず)が軸方向に貫通して形成され、また軸方向
両端面に伸側バルブ53及び圧側バルブ(チェックバル
ブ)54が配設される。
【0023】また、ピストンバルブ機構44におけるニ
ードル弁43は、アジャストロッド56を介してニード
ル弁アジャスタ57に連結される。このニードル弁アジ
ャスタ57はアジャストケース40に螺合され、このニ
ードル弁アジャスタ57を回転させることにより、ニー
ドル弁43は、ピストンホルダ41との間で流路面積を
変更するものである。このニードル弁43により、ピス
トンホルダ51の通路58を経て、上室55Aと下室5
5Bとが連通可能とされる。また、上記ニードル弁アジ
ャスタ57は、クリック機構58Aを介して、アジャス
トケース40に対する停止位置が保持される。
【0024】上記ピストンバルブ機構44の伸側バルブ
53及び圧側バルブ54並びにニードル弁43によっ
て、インナチューブ22がアウタチューブ21内へ侵入
するフロントフォーク20の圧縮時に、下室55Bから
のオイル(オイル面H)が、圧側流路を通り圧側バルブ
54を開いて上室55Aへ導かれる。また、インナチュ
ーブ22がアウタチューブ21内から進出するフロント
フォーク20の伸長時には、ダンパシリンダ41とピス
トン42との相対速度が低速のときに、上室55Aから
のオイルが通路58を経て、ニードル弁43とピストン
ホルダ51との流路を通り下室55Bへ導かれ、この間
に伸側の減衰力が発生する。また、フロントフォーク2
0の伸長時で、ダンパシリンダ41に対するピストン4
2の相対速度が中高速である場合には、上室55Aから
のオイルが伸側流路52を経て、伸側バルブ53を撓み
変形させて下室55Bへ流れ、この間に伸側の減衰力が
発生する。
【0025】ダンパシリンダ41とピストン42との相
対速度が低速度のとき、ニードル弁43とピストンホル
ダ51との流路をオイルが通るときに発生する伸側減衰
力は、ニードル弁アジャスタ57を回転して上記流路面
積を変更することにより調整される。
【0026】一方、上記ベースバルブ機構47における
ボトムピストン45は、中空形状のボトムホルダ59に
固着される。このボトムピストン45には、軸方向に貫
通して圧側流路60及び伸側流路65が形成され、ま
た、軸方向両端面に圧側バルブ61及び伸側バルブ(チ
ェックバルブ)62が装着される。このボトムピストン
45によりベースバルブ室55Cが、下室55Bに区画
して形成される。前記軸受ブランケット25には、セン
タボルト63を介して中空形状のボトムピース64が螺
合され、このボトムピース64に上記ボトムホルダ59
が固着される。
【0027】また、ベースバルブ機構47におけるボト
ムニードル弁ユニット46は車軸ブラケット25に設置
され、連通路66Bを経てリザーバ室48に連通され
る。更に、このボトムニードル弁ユニット46は、連通
路66A、ボトム流路70、ボトムピース64の中空部
71及びボトムホルダ59の中空部72を経て下室55
Bに連通される。上記連通路66A及び66Bは車軸ブ
ラケット25に形成され、ボトム流路70はセンタボル
ト63に形成される。このボトムニードル弁ユニット4
6には図示しないボトムニードル弁が内蔵されて、ダン
パシリンダ41とピストン42との相対速度が低速度の
ときに、圧側減衰力を発生する。この圧側減衰力は、ボ
トムニードル弁ユニット46のボトムニードル弁アジャ
スタ73を回転することにより調整される。
【0028】フロントフォーク20の圧縮時には、図1
に示すように、ダンパシリンダ41の上室55A内にピ
ストンロッド50が侵入してダンパシリンダ41の上室
55Aの容積が減少するので、ピストンロッド50の侵
入体積分のオイルが、上記ベ−スバルブ機構47の作用
で、下室55Bからリザーバ室48へ排出される。つま
り、ダンパシリンダ41とピストン42との相対速度が
低速のときには、下室55Bからのオイルは、ボトムホ
ルダ59の中空部72、ボトムピース64の中空部7
1、センタボルト63のボトム流路70、及び連通路6
6Aを介してボトムニードル弁ユニット46へ導かれ、
更に連通路66Bを介してリザーバ室48へ導かれる。
オイルがボトムニードル弁ユニット46を流れる間に圧
側の減衰力が発生する。また、ダンパシリンダ41とピ
ストン42との相対速度が中速度のときには、下室55
Bからのオイルは、圧側流路60を通り圧側バルブ61
を撓み変形させて、ベースバルブ室55C及び連通孔4
9を介しリザーバ室48へ導かれる。オイルが圧側バル
ブ61を変形させる間に、圧側の減衰力が発生する。
【0029】フロントフォーク20の伸長時には、ダン
パシリンダ41の上室55Aからピストンロッド50が
抜け出て、その分ダンパシリンダ41の上室55A内の
容積が増大するので、リザーバ室48内のオイルが連通
孔49、ベースバルブ室55C及びボトムピストン45
の伸側通路65を経て、伸側バルブ62を開き、下室5
5Bへ導かれる。
【0030】従って、フロントフォーク20の圧縮時に
は、ベースバルブ機構47において、ボトムニードル弁
46或いは圧側バルブ61を流れるオイルにより圧側の
減衰力が発生し、ピストンバルブ機構44においては減
衰力が発生しない。また、フロントフォーク20の伸長
時には、ピストンバルブ機構44において、ニードル弁
43或いは伸側バルブ53を流れるオイルにより伸側の
減衰力が発生し、ベースバルブ機構47においては減衰
力がほとんど発生しない。これらの圧側及び伸側の減衰
力によって、フロントフォーク20の伸縮摺動が抑制さ
れる。
【0031】ところで、ダンパシリンダ41の上端部に
は、オイルロックカラー67が装着され、このオイルロ
ックカラー67にロッドガイド68が収容される。符号
69はOリングである。ロッドガイド68の内周に第3
ガイドブッシュ74が固着され、この第3ガイドブッシ
ュ74の内周面がピストンロッド50の外周面に摺接可
能とされる。ここで、符号75はリバウンドスプリング
を示す。
【0032】また、ピストンロッド50にオイルロック
ピース76が固着され、このオイルロックピース76
は、フロントフォーク20の最圧縮状態でオイルロック
カラー67に緊密状態で嵌合可能に設けられる。従っ
て、フロントフォーク20の最圧縮時に、オイルロック
カラー67とオイルロックピース76との間で圧縮され
たオイルによりオイルロック作用が発生し、インナチュ
ーブ22の上端部とフォークボルト39との衝突が回避
される。
【0033】更に、アウタチューブ21の開口端部30
には、第1ガイドブッシュ26に対し軸方向に隣接して
オイルシール77が装着される。このオイルシール77
は、ワッシャ78及びストッパリング79によってアウ
タチューブ21に装着され、このオイルシール77に隣
接して更にダストシール80が装着されている。
【0034】さて、上述のようなフロントフォーク20
では、前輪及び後輪におけるタイヤのグリップ性の向上
により、コ−ナリング走行時にバンク角θ(図5)が小
さくなり、この結果、フロントフォーク20に大きな曲
げ荷重Fb が作用して、フロントフォーク20に曲げモ
ーメントが作用する。
【0035】フロントフォーク20のインナチューブ2
2に作用する曲げモーメントAは、図4に示すように、
インナチューブ22において、アウタチューブ21の開
口端部30に固定の第1ガイドブッシュ26に対応する
位置Gb で最も大きく(最大曲げモーメントMI )、こ
の位置から第2ガイドブッシュ27側及び軸受ブラケッ
ト25側へ向うに従って漸次減少する。ここで、図4中
の符号Gt は、インナチューブ22における第2ガイド
ブッシュ27に対応する位置を示し、符号AXは、軸受
ブラケット25に軸支された車軸に対応する位置を示
す。
【0036】また、フロントフォーク20のアウタチュ
ーブに作用する曲げモーメントBは、アウタチューブ2
1において、ロアブラケット28Bに取り付けられた位
置Bb で最も大きく(最大曲げモーメントMO )、この
位置からアッパブラケット28A側及び開口端部30側
へ向うに従って漸次減少する。ここで、図4中の符号B
t は、アウタチューブ21におけるアッパブラケット2
8Aに対応する位置を示し、符号Gb は、アウタチュー
ブ21の開口端部30に対応する位置を示す。
【0037】更に、フロントフォーク20の全体に作用
する曲げモーメントCは、インナチューブ22に作用す
る曲げモーメントAとアウタチューブ21に作用する曲
げモーメントBとの加算値であり、アウタチューブ21
がロアブラケット28Bに取り付けられた位置Bb で最
大となる。尚、図4中の符号81は路面を示す。
【0038】上述のインナチューブ22に作用する曲げ
モーメントAと、アウタチューブ21に作用する曲げモ
ーメントBとを考慮して、それぞれインナチューブ22
及びアウタチューブ21の肉厚が設計される。
【0039】つまり、図1、図2及び図4に示すよう
に、インナチューブ22の外周形状は、インナチューブ
22に固定の第1ガイドブッシュ26と第2ガイドブッ
シュ27とに対応する範囲において、第1ガイドブッシ
ュ26が摺接する領域Yと、第2ガイドブッシュ27が
摺接する領域Xとが同一の外径に形成され、これらの領
域X及びYを除く領域Zが、インナチューブ22が受け
る上記曲げモーメントAの大きさに応じて、領域Xへ向
い即ち第2ガイドブッシュ27側へ向い漸次縮径して形
成される。これにより、インナチューブ22の領域Xに
テーパ形状の薄肉部82が設けられる。
【0040】また、図1、図3及び図4に示すように、
アウタチューブ21の外周形状は、アウタチューブ21
が受ける上記曲げモーメントBの大きさに応じて、ロア
ブラケット28Bが取り付けられた部分で最も厚く、こ
の部分から開口端部30へ向う領域Wが漸次縮径して形
成されて、アウタチューブ21の領域Wにテーパ形状の
薄肉部83が設けられる。尚、図4中の符号Rは前輪8
4の半径を示す。
【0041】上記実施の形態によれば、インナチューブ
22に、このインナチューブ22に作用する曲げモーメ
ントAの大きさに応じて、その外径が第2ガイドブッシ
ュ27側へ向い漸次縮径するテーパ形状の薄肉部82が
設けられたので、このインナチューブ22に作用する曲
げ荷重Fb に対して、インナチューブ22に発生する曲
げ応力を均一化でき、応力集中を回避できる。このた
め、フロントフォーク20の強度を高めることができ
る。更に、インナチューブ22に薄肉部82が形成され
て薄肉化されたので、このインナチーブ22、従ってフ
ロントフォーク20の軽量化を達成できる。
【0042】また、アウタチューブ21は、ロアブラケ
ット28Bに取り付けられる部分が最も厚く形成され
て、断面形状が増大したので、アウタチューブ21の曲
げ強度を高めることができる。更に、このアウタチュー
ブ21には、アウタチューブ21に作用する曲げモーメ
ントBの大きさに応じて、その外径が開口端部30へ向
い漸次縮径するテーパ形状の薄肉部83が設けられたの
で、このアウタチューブ21に作用する曲げ荷重Fb
対しても、アウタチューブ21に発生する曲げ応力を均
一化でき、応力集中を回避できる。これらのことから、
フロントフォーク20の強度を一層高めることができ
る。また、このアウタチューブ21においても薄肉部8
3が形成されて薄肉化されたので、アウタチューブ2
1、従ってフロントフォーク20を軽量化できる。
【0043】尚、上記実施の形態では、第2ガイドブッ
シュ27がアウタチューブ21の内周に固着されるもの
を述べたが、この第2ガイドブッシュ27がインナチュ
ーブ22の外周に固着されるものでも良い。この場合に
は、インナチューブ22の外周に第2ガイドブッシュ2
7との摺接領域Xを設ける必要がないので、インナチュ
ーブの前記領域Zと領域Xに、外周が第2ガイドブッシ
ュ27側へ向って縮径するテーパ形状の薄肉部を形成で
きる。
【0044】また、上記実施の形態では、インナチュー
ブ22のテーパ形状の薄肉部82は、インナチューブ2
2の外周が第2ガイドブッシュ27側へ向い漸次縮径し
て形成されるものであったが、インナチューブ22の内
周を第2ガイドブッシュ27側へ向い漸次拡径して形成
しても良い。
【0045】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る二輪車の倒
立型フロントフォークによれば、インナチューブが受け
る曲げ荷重に対して、インナチューブに発生する曲げ応
力を均一化でき、応力集中を回避して、フロントフォー
クの強度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係る二輪車の倒立型フロント
フォークの一つの実施の形態を示す縦断面図である。
【図2】図2は、図1のインナチューブを示す縦断面図
である。
【図3】図3は、図1のアウタチューブを示す縦断面図
である。
【図4】図4は、図1の倒立型フロントフォークに作用
する曲げモーメント図である。
【図5】図5は、自動二輪車のコーナリング走行時にお
ける一般的な倒立型フロントフォークを一部を断面状態
で示す正面図である。
【符号の説明】
20 フロントフォーク 21 アウタチューブ 22 インナチューブ 23 懸架スプリング 24 ダンパ装置 26 第1ガイドブッシュ(下部ブッシュ) 27 第2ガイドブッシュ(上部ブッシュ) 28A アッパブラケット 28B ロアブラケット 30 アウタチューブの開口端部 82 インナチューブの薄肉部 83 アウタチューブの薄肉部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対のブラケットを介して車体側に保持
    されるアウタチューブと、車軸を保持するインナチュー
    ブとが、上記アウタチューブの開口端部内周に固定した
    下部ブッシュ、及び上記アウタチューブの内周、又は上
    記インナチューブの先端部外周に固定した上部ブッシュ
    を介して摺動自在に嵌合され、これらのアウタチューブ
    及びインナチューブ内に懸架スプリング及びダンパ装置
    が配設された二輪車の倒立型フロントフォークにおい
    て、 上記インナチューブにおける上記上部ブッシュと上記下
    部ブッシュとの間には、肉厚が上記上部ブッシュ側へ向
    って漸次減少する薄肉部が形成されたことを特徴とする
    二輪車の倒立型フロントフォーク。
  2. 【請求項2】 上記インナチューブの薄肉部は、上部ブ
    ッシュと下部ブッシュとの間に位置するインナチューブ
    の外周が上記上部ブッシュ側へ向って漸次縮径して形成
    された請求項1に記載の二輪車の倒立型フロントフォー
    ク。
  3. 【請求項3】 上記アウタチューブには、下側のブラケ
    ットと上記アウタチューブの開口端部との間に、外周が
    上記開口端部側へ向って漸次縮径する薄肉部が形成され
    た請求項1又は2に記載の二輪車の倒立型フロントフォ
    ーク。
JP5534696A 1996-02-20 1996-02-20 二輪車の倒立型フロントフォーク Pending JPH09229122A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5534696A JPH09229122A (ja) 1996-02-20 1996-02-20 二輪車の倒立型フロントフォーク

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5534696A JPH09229122A (ja) 1996-02-20 1996-02-20 二輪車の倒立型フロントフォーク

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09229122A true JPH09229122A (ja) 1997-09-02

Family

ID=12995955

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5534696A Pending JPH09229122A (ja) 1996-02-20 1996-02-20 二輪車の倒立型フロントフォーク

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09229122A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003090381A (ja) * 2001-09-20 2003-03-28 Kayaba Ind Co Ltd ダンパー構造
EP1486410A2 (en) * 2003-06-10 2004-12-15 Showa Corporation Front fork for a two-wheeled vehicle or the like
JP2008265534A (ja) * 2007-04-20 2008-11-06 Honda Motor Co Ltd サスペンション構造

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003090381A (ja) * 2001-09-20 2003-03-28 Kayaba Ind Co Ltd ダンパー構造
EP1486410A2 (en) * 2003-06-10 2004-12-15 Showa Corporation Front fork for a two-wheeled vehicle or the like
EP1486410A3 (en) * 2003-06-10 2005-10-19 Showa Corporation Front fork for a two-wheeled vehicle or the like
JP2008265534A (ja) * 2007-04-20 2008-11-06 Honda Motor Co Ltd サスペンション構造

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6918605B2 (en) Inverted type front fork in two-wheeled vehicle or the like
JP2006182183A (ja) 二輪車等のフロントフォーク装置
JPH08233018A (ja) 可変油圧減衰装置付きフォーク
JPH09229122A (ja) 二輪車の倒立型フロントフォーク
JPH1111374A (ja) 自転車
JP4454712B2 (ja) フロントフォーク
JPH11280826A (ja) フロントフォーク
US20050127587A1 (en) Hydraulic shock absorbing apparatus of vehicle
JP4454788B2 (ja) フロントフォーク
JPH09291959A (ja) 二輪車の倒立型フロントフォーク
JP2529993Y2 (ja) 倒立型フロントフォーク
JPH07133838A (ja) 二輪車等のフロントフォーク
JP2601010Y2 (ja) 自転車用フロントフォークのダンパ装置
JP2518483Y2 (ja) 油圧緩衝器
JP4159691B2 (ja) エアサスペンション
JP2001349367A (ja) フロントフォーク
JP2001082529A (ja) 自動二輪車等のサスペンション装置
KR100445986B1 (ko) 쇽 업소버
JP3719538B2 (ja) 二輪車等のフロントフォーク
JP2529994Y2 (ja) 倒立型フロントフォーク
JPH09196105A (ja) 油圧緩衝器の減衰力発生調整装置
JP2591796Y2 (ja) 自動二輪車用倒立型フロントフォーク
JPH0225941Y2 (ja)
JPH075307Y2 (ja) 倒立型緩衝器の懸架スプリング配置構造
JPH0558373A (ja) 自動二輪車

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060316

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060322

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060517

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20060726