JPH09228378A - 止水壁構築工法、及び該工法において使用する掘削装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、止水性に優れた止水壁を効
率良く地中に構築することができる止水壁構築工法、及
び溝孔の掘削と止水シートの張設とを同時に行なうこと
ができる掘削装置を提供することにある。 【解決手段】 先ず地中の鉛直方向に所定深度の溝孔を
先行掘削した後、この先行掘削された所定深度の上記溝
孔に対して直交する水平方向に連続して更に所定深度の
溝孔を掘削しながら、これに追従して止水シートを繰り
出して張設するようにした止水壁構築工法、及び、地中
の鉛直方向に先行掘削した所定深度の溝孔に対して直交
する水平方向に連続して更に所定深度の溝孔を掘削する
水平方向掘削手段と、該水平方向掘削手段による掘削の
進行に追従して止水シートを繰り出して張設する止水シ
ート張設手段とを備える掘削装置。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は止水壁構築工法、及
び該工法において使用する掘削装置、更に詳細には掘削
した溝孔の崩壊による不都合を防止し、止水性に優れた
止水壁を効率良く地中に構築することができる止水壁構
築工法、及び溝孔の掘削と止水シートの張設とを同時に
行なうことができる掘削装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来から、地下水汚染の防止対策として
地中に止水壁を構築するにあたっては、図１（ａ）〜
（ｃ）に示すように、従来の掘削装置によって地中の鉛
直方向Ａに所定深度の溝孔９を掘削する鉛直方向掘削工
程を複数回繰り返して行なうことにより所望深度の溝孔
９を掘削し（図１（ａ）及び（ｂ）参照）、そして当該
掘削装置１０を撤去した後、この溝孔９内に複数枚の止
水シート１２を重錘１３等によって張設し（図１（ｃ）
参照）、セメントミルク等の固化材を充填する（図示せ
ず）といった工法が採用されている。

【０００３】また、上記工法において使用される従来の
掘削装置としては、図１（ａ）及び（ｂ）に示されるよ
うに、地中の鉛直方向Ａに所定深度の溝孔９を掘削する
ために、例えば回転駆動される一対のカッター１１を下
方先端部に備える掘削装置１０等が提案されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の工法にあっては、上述した溝孔９の掘削が完了した
後に止水シート１２を張設するようにしているものの、
掘削後に溝孔９の内側面が崩壊し、掘削した溝孔９の一
部が埋め戻されてしまうことが度々あり、止水シート１
２の張設が不可能になってしまうといった欠点がある。
また、掘削された溝孔９内に設置される止水シート１２
が複数枚になるため、その重ね合わせ部分おける確実な
止水性が得ることが困難であるといった問題がある。し
かも、上記従来の掘削装置１０は、下方先端部に備えた
回転駆動される一対のカッター１１のみによって溝孔９
を単に地中の鉛直方向Ａに繰返し掘削する態様のもので
あり、現時点においては上述した従来の工法における欠
点について一切考慮されておらず、その欠点を解決する
手段等についても何ら備えられていないというのが実状
である。

【０００５】本発明は上述の従来の技術の欠点に着目
し、これを解決せんとしたものであり、その目的は、掘
削した溝孔の崩壊による不都合を防止し、止水性に優れ
た止水壁を効率良く地中に構築することができる止水壁
構築工法を提供することにある。

【０００６】本発明の他の目的は、上記止水壁構築工法
において使用する掘削装置であって、溝孔の掘削と止水
シートの張設とを同時に行なうことができる掘削装置を
提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は上記の目的に鑑
みてなされたものであり、その要旨とするところは、地
中に止水壁を構築するにあたり、地中の鉛直方向に所定
深度の溝孔を先行掘削する鉛直方向掘削工程と、該鉛直
方向掘削工程にて先行掘削された所定深度の上記溝孔に
対して直交する水平方向に連続して更に所定深度の溝孔
を掘削する水平方向掘削工程と、該水平方向掘削工程に
よる掘削の進行に追従して止水シートを繰り出して張設
する止水シート張設工程と、止水シートが張設された溝
孔内に固化材を充填する固化材充填工程と、を含むこと
を特徴とする止水壁構築工法にある。この態様によれ
ば、先ず地中の鉛直方向に所定深度の溝孔を先行掘削し
た後、この先行掘削された所定深度の上記溝孔に対して
直交する水平方向に連続して更に所定深度の溝孔を掘削
しながら、これに追従して止水シートを繰り出して張設
するようにしたので、掘削した溝孔の崩壊による不都合
を防止し、止水性に優れた止水壁を効率良く地中に構築
することができる。

【０００８】本発明の他の要旨は、上記止水壁構築工法
において使用する掘削装置であって、地中の鉛直方向に
所定深度の溝孔を先行掘削する鉛直方向掘削手段と、該
鉛直方向掘削手段にて先行掘削された所定深度の上記溝
孔に対して直交する水平方向に連続して更に所定深度の
溝孔を掘削する水平方向掘削手段と、該水平方向掘削手
段による掘削の進行に追従して止水シートを繰り出して
張設する止水シート張設手段と、を備えてなることを特
徴とする掘削装置にある。この態様によれば、当該装置
に、地中の鉛直方向に先行掘削した所定深度の溝孔に対
して直交する水平方向に連続して更に所定深度の溝孔を
掘削する水平方向掘削手段と、該水平方向掘削手段によ
る掘削の進行に追従して止水シートを繰り出して張設す
る止水シート張設手段とを備えたことにより、溝孔の掘
削と止水シートの張設とを同時に行なうことができる。

【０００９】

【発明の実施の形態】本発明の止水壁構築工法、及び掘
削装置において、掘削される溝孔の所定深度とは、掘削
作業に先立って予め決定された溝孔の深さをいい、掘削
の対象となっている地質等に応じて、或いは構築の目的
に応じてに任意に決定される溝孔の深さをいう。

【００１０】止水壁構築工法において、止水シートが張
設された溝孔内に充填される固化材としては、例えばセ
メントミルクや、セメントミルクとベントナイトの混合
物等、適当なものを採用することができる。

【００１１】また、本発明の掘削装置において、鉛直方
向掘削手段、及び水平方向掘削手段としては、例えばチ
ェーンカッターや、回転駆動される複数のカッターや、
往復動する櫛型カッター等の中から適当な機構のものを
採用することができる。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて
説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
ここで、図２は本発明の掘削装置の実施例を示す概略透
視斜視図であり、また図３は（ａ）及び（ｂ）は図２の
掘削装置を使用した本発明の止水壁構築工法の実施例を
示す概略工程図である。

【００１３】図１に示す本発明にかかる掘削装置２０
は、地中に止水壁を構築するにあたって使用する装置で
あって、地中の鉛直方向Ａに所定深度の溝孔９を先行掘
削するチェーンカッター２１（鉛直方向掘削手段）と、
該チェーンカッター２１にて先行掘削された所定深度の
上記溝孔９に対して直交する水平方向Ｂに連続して更に
所定深度の溝孔９を掘削する複数のカッター２２（水平
方向掘削手段）と、該複数のカッター２２による掘削の
進行に追従して止水シート２４を繰り出して張設するシ
ートドラム２３（止水シート張設手段）とを備えてお
り、図３（ａ）及び（ｂ）に示すように、上記複数のカ
ッター２２による水平方向Ｂの掘削時における掘削方向
への移動を容易に行なうための移動手段として、地上に
敷設された歯付レール２５に沿って移動し得る歯付駆動
車輪２６（水平方向掘削手段を構成する一部）を更に備
えている。

【００１４】上記チェーンカッター２１は、地中の鉛直
方向Ａに所定深度の溝孔９を先行掘削するために回転駆
動されるものであって、当該装置の下方先端部に配設さ
れている。また、上記複数のカッター２２は、先行掘削
された所定深度の上記溝孔９に対して直交する水平方向
Ｂに連続して更に所定深度の溝孔９を掘削するために回
転駆動されるものであって、当該装置の前方において鉛
直方向一列に配設されている。尚、チェーンカッター２
１は、水平方向Ｂの掘削時において掘削方向へ移動する
際の補助的な移動手段を兼ねている。

【００１５】シートドラム２３は、同方向に回動するよ
うに対峙された一対の回転駆動ドラムからなっており、
その周囲には、これら一対の回転駆動ドラム２３ａを包
囲するように止水シート２４が繰り出し可能に巻回され
ている。

【００１６】また、シートドラム２３から最初に繰り出
される止水シート２４の鉛直方向の縁部は、当該止水シ
ート２４を確実に張設するために準備された鋼棒２７に
対して張設されており、この鋼棒２７を先行掘削された
溝孔９に固定することにより、その側面に沿って支持さ
れる。そして、先行掘削された溝孔９の側面に沿って支
持された止水シート２４は、水平方向Ｂの掘削の進行に
従って繰り出され、溝孔９の掘削と同時に張設されてい
く。

【００１７】このように、本発明にかかる上記掘削装置
２０では、地中の鉛直方向Ａに先行掘削した所定深度の
溝孔９に対して直交する水平方向Ｂに連続して更に所定
深度の溝孔９を掘削する水平方向掘削手段としての複数
のカッター２２、歯付レール２５、及び歯付駆動車輪２
６と、該水平方向掘削手段としての各部材２２、２５、
及び２６による掘削の進行に追従して止水シート２４を
繰り出して張設する止水シート張設手段としてのシート
ドラム２３とを備える態様としたことにより、溝孔９の
掘削と止水シートの張設とを同時に行なうことができ
る。

【００１８】上述した掘削装置２０を使用して地中に止
水壁を構築するにあたっては、図３（ａ）及び（ｂ）に
示すように、先ずチェーンカッター２１によって地中の
鉛直方向Ａに所定深度の溝孔９を先行掘削し（図３
（ａ）参照）、次いで先行掘削された所定深度の上記溝
孔９に対して直交する水平方向Ｂに連続して更に所定深
度の溝孔９を掘削しながら、水平方向Ｂの掘削の進行に
追従して止水シート２４を繰り出して張設する（図３
（ｂ）参照）。そして、当該掘削装置２０を撤去した
後、止水シート２４が張設された溝孔９内にセメントミ
ルク等の固化材を充填することにより、止水壁が完成す
る（図示せず）。

【００１９】このように、本発明にかかる止水壁構築工
法では、溝孔９の掘削と止水シート２４の張設とを同時
に行なう態様としたことにより、掘削した溝孔９が崩壊
により埋め戻されてしまうため止水シートを張設できな
い等といった不都合を防止し、止水性に優れた止水壁を
効率良く地中に構築することができる。

【００２０】

【発明の効果】本発明の止水壁構築工法は、先ず地中の
鉛直方向に所定深度の溝孔を先行掘削した後、この先行
掘削された所定深度の上記溝孔に対して直交する水平方
向に連続して更に所定深度の溝孔を掘削しながら、これ
に追従して止水シートを繰り出して張設する態様とした
ことにより、掘削した溝孔が崩壊により埋め戻されてし
まうため止水シートを張設できない等といった不都合を
防止し、止水性に優れた止水壁を効率良く地中に構築す
ることができるといった顕著な効果を奏する。

【００２１】本発明の掘削装置は、地中の鉛直方向に先
行掘削した所定深度の溝孔に対して直交する水平方向に
連続して更に所定深度の溝孔を掘削する水平方向掘削手
段と、該水平方向掘削手段による掘削の進行に追従して
止水シートを繰り出して張設する止水シート張設手段と
を備える態様としたことにより、溝孔の掘削と止水シー
トの張設とを同時に行なうことができるといった顕著な
効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）〜（ｃ）は従来の止水壁構築工法を示す
概略工程図である。

【図２】本発明の掘削装置の実施例を示す概略透視斜視
図である。

【図３】（ａ）及び（ｂ）は図２の掘削装置を使用した
本発明の止水壁構築工法の実施例を示す概略工程図であ
る。

【符号の説明】

９ 溝孔 １０ 従来の掘削装置 １１ カッター（従来の鉛直方向掘削手段） １２ 止水シート １３ 重錘 ２０ 本発明にかかる掘削装置 ２１ チェーンカッター（鉛直方向掘削手段） ２２ カッター（水平方向掘削手段） ２３ シートドラム（止水シート張設手段） ２４ 止水シート ２５ 歯付レール（水平方向掘削手段を構成する一部） ２６ 歯付駆動車輪（水平方向掘削手段を構成する一
部） ２７ 鋼棒 Ａ 鉛直方向 Ｂ 水平方向

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 地中に止水壁を構築するにあたり、地中
   の鉛直方向に所定深度の溝孔を先行掘削する鉛直方向掘
   削工程と、該鉛直方向掘削工程にて先行掘削された所定
   深度の上記溝孔に対して直交する水平方向に連続して更
   に所定深度の溝孔を掘削する水平方向掘削工程と、該水
   平方向掘削工程による掘削の進行に追従して止水シート
   を繰り出して張設する止水シート張設工程と、止水シー
   トが張設された溝孔内に固化材を充填する固化材充填工
   程と、を含むことを特徴とする止水壁構築工法。
2. 【請求項２】 上記止水壁構築工法において使用する掘
   削装置であって、地中の鉛直方向に所定深度の溝孔を先
   行掘削する鉛直方向掘削手段と、該鉛直方向掘削手段に
   て先行掘削された所定深度の上記溝孔に対して直交する
   水平方向に連続して更に所定深度の溝孔を掘削する水平
   方向掘削手段と、該水平方向掘削手段による掘削の進行
   に追従して止水シートを繰り出して張設する止水シート
   張設手段と、を備えてなることを特徴とする掘削装置。