JP2527486B2 - 地下構造物用土留壁の構築工法 - Google Patents

地下構造物用土留壁の構築工法

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JP2527486B2
JP2527486B2 JP1318834A JP31883489A JP2527486B2 JP 2527486 B2 JP2527486 B2 JP 2527486B2 JP 1318834 A JP1318834 A JP 1318834A JP 31883489 A JP31883489 A JP 31883489A JP 2527486 B2 JP2527486 B2 JP 2527486B2
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Description

【発明の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 この発明は、地下構造物用土留壁の構築工法に関し、
特に、軟岩中に構築される地下構造物用土留壁の構築工
法に関する。
《従来の技術》 周知のように、タンク,シールド掘削機の発進立坑、
建築物などの構造物を地下に構築する場合に、構造物の
構築に先だって土留壁を構築する方法がある。
この種の土留壁が構築される地盤は、各種各様であ
り、例えば、土丹層などの軟岩中にも構築される。
軟岩中に構築される土留壁の構築工法では、まず、軟
岩が油圧式ブレーカー,リッパーなどを用いて切り崩さ
れ、次いで、バックホウ,ツインヘッダーなどを使用し
て掘削壁面の整形作業が行われる。
そして、掘削壁面の整形が終了すると、整形された壁
面にコンクリートもしくはモルタルを吹き付けて保護層
を形成し、この保護層上からロックボルトを打設して定
着することにより土留壁として機能させていた。
しかしながら、このような従来の土留壁の構築工法に
は、以下に説明する技術的課題があった。
《発明が解決しようとする課題》 すなわち、上述した従来工法では、軟岩の切り崩しに
油圧式ブレーカ,リッパーなどが使用されているが、こ
の種の掘削機械では掘削壁面の凹凸が大きく、また、掘
削周辺地盤に損傷を与えるので、一般的には、土留壁の
構築予定個所からかなり内側までしか掘削することがで
きず、かなりの幅の堀残し部分を設ける必要があった。
ところが、このような堀残し部分を設けると、この部
分をバックホウ,ツインヘッダーなどで掘削し、最終壁
面の整形作業を行うことになるので、整形作業に時間が
かかり工期,工費の両面で不利なものとなっていた。
この発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされ
たものであり、この目的とするところは、経済的に有利
に、しかも工期を短縮できる地下構造物用土留壁の構築
工法を提供することにある。
《課題を解決するための手段》 上記目的を達成するために、本発明は、地下構造物の
構築予定個所の周囲に土留壁を構築する工法において、
構築予定個所の周囲に、先行掘削孔をチェーンカッター
でほぼ垂直状に且つ該チェーンカッターの長さにほぼ対
応した深度まで掘削し、この先行掘削孔によって囲まれ
た地盤を掘削し、この掘削により露出した壁面にコンク
リートもしくはモルタルを吹き付けて保護層を形成する
とともに、この保護層を貫通させてロックボルトを打設
し、その後該保護層の下方を該チェーンカッターでほぼ
垂直状に且つ該チェーンカッタの長さにほぼ対応した深
度まで掘削するといった上記作業を繰り返すことにより
保護層を鉛直方向に順次継ぎ足しつつ前記土留壁を構築
するものである。
《発明の作用効果》 上記構成の地下構造物用土留壁の構築工法によれば、
地下構造物の構築予定個所の周囲に予め先行掘削孔を掘
削することにより、その後の地盤の掘削作業を容易なも
のとすることができる。殊に、係る先行掘削孔の掘削
は、チェーンカッターにより行うため、このチェーンカ
ッターを構築予定個所の周囲に沿って移動させるだけで
一定深度の溝状の先行掘削孔を容易に掘削することがで
きる。
さらに、掘削により露出した壁面にコンクリートを吹
き付けて保護層を形成するとともに、これにロックボル
トを打設することによって、壁面の安定を図ることがで
きる。殊に、かかる土留壁の構築は、既に構築された保
護層の下方にチェーンカッターで先行掘削孔を掘削する
ことによって保護層を鉛直方向に順次打継ぎつつ行うの
で、作業を繰り返す際に、先行掘削孔の掘削後直ちに保
護層の構築を開始でき、土留壁の構築と地下構造物の構
築予定個所の地盤の掘削を併行して行うことができる。
その結果、工事の安全性を向上させつつ、工期を短縮す
ることができる。
しかも、かかる先行掘削孔の掘削は、チェーンカッタ
ーで行うため作業性を向上させることができ、既に構築
された保護層の下方という比較的作業が困難な個所にお
いても容易に掘削作業を行うことができる。
《実施例》 以下、この発明の好適の実施例について添付図面を参
照にして詳細に説明する。
第1図から第5図は、この発明にかかる地下構造物用
土留壁の構築工法の一実施例を示している。
同図に示す構築工法は、地表から数m程度まではシル
ト層Sがあり、その下方が土丹層(軟岩層)Gとなって
いる地盤E中に地下構造物としてのタンクTを構築する
場合に適用したものを示している。
同図に示す土留壁の構築工法では、まず、シルト層S
が存在する深度までは、鋼矢板10による円環状の土留壁
が構築される。
そして、鋼矢板10の打設が終了すると、土丹層Gが露
出するまで内部の掘削が行われる。
土丹層Gが露出すると、地下構造物Tの構築予定個所
から外方に所定の間隔をおいて土丹層Gの掘削が行われ
る。
土丹層Gの掘削では、第3図から第5図に示すチェー
ンカッター12が使用される。
チェーンカッター12は、外周に鋸歯状部が設けられた
ガイド板12aと、ガイド板12aの側方に設けられたスプロ
ケット12bと、前記ガイド板12aとスプロケット12bとの
間に捲回されたチェーン12cと、チェーン12cに装着され
た多数の掘削ビット12dと、前記スプロケット12bを回転
駆動する油圧モータ12eとから構成されている。
掘削ビット12dは、一対の掘削歯を有しており、掘削
歯は外方に向けて相互に離間するように傾斜させて設け
られている。
チェーンカッター12は、アタッチメント14を介してク
ローラ式のベースマシン16のアーム16aに取付けられ、
油圧モータ12eを駆動することにより、第5図に示すよ
うにして、土丹層Gの掘削に用いられる。
チェーンカッター12による土丹層Gの掘削では、第2
図に示すように、土留壁の形成予定個所の円18に沿っ
て、溝状の先行掘削孔18aが、チェーンカッター12のほ
ぼ長さに対応した深度まで掘削される。
このとき、先行掘削孔18aは、まず、チェーンカッタ
ー12を土丹層Gの直上から垂直に降下させた後、ベース
マシン16を円18の内側に沿って移動させることにより形
成され、これにより先行掘削孔18aは円18に沿って、か
つ、掘削ビット12dの幅に対応した幅を有する円弧状に
形成される。
また、先行掘削孔18aの幅方向の表面は、掘削ビット1
2dの走行方向の両側になる。
先行掘削孔18aの一部ないしは全部が形成された後
に、先行掘削孔18aの内部の掘削が行われ、このとき用
いられる掘削装置はブレーカー,リッパー等である。
以上のようにして掘削され、かつ、内部を根切りする
ことにより露出した先行掘削孔18aの外方に位置する壁
面20は、ほぼ垂直状になっていて、チェーンカッター12
の掘削ビット12dが走行する方向に対して一方の側面側
になるので、整形をしなくても平滑な面になる。
壁面20が露出すると、その表面にコンクリートないし
はモルタルが吹き付けけられ、所定の厚みの保護層22が
形成される。
そして、保護層22の一部または全部が完成すると、そ
の上面側からロックボルト24が水平方向に多段状に打設
され、各ロックボルト24は、その先端部が土丹層G中に
定着されるとともに、後端部は保護層22上に定着され
る。
以上のようにして一段分の土留壁が土丹層Gに構築さ
れると、以後は上述した作業を順次繰り返すことによ
り、各段の土留壁を鉛直方向に継ぎ足すようにして土丹
層G中の所定深度まで土留壁が構築される。このとき、
作業を繰り返す際に、既に構築された保護層22の下方を
チェーンカッター12でほぼ垂直状に且つチェーンカッタ
12の長さにほぼ対応した深度まで掘削する。
土留壁の構築が終了すると、その内部に地下タンクT
の底版26,側壁28の順に構築され、側壁28の構築が完了
すると、側壁28と土留壁との間は埋め戻され、工事が完
了する。
さて、以上のような方法で形成される土留壁において
は、土丹層Gが自立性とかなりの強度とを有しているの
で、保護層22をロックボルト24で土丹層Gに定着固定す
ることでかなりの深度まで土留壁として機能させること
ができる。
殊に、土留壁の構築は、既に構築された保護層22の下
方にチェーンカッター12で先行掘削孔18aを掘削するこ
とにより、保護層22を鉛直方向に順次打継ぎつつ行うの
で、作業を繰り返す際、先行掘削孔18aの掘削後直ちに
保護層22の構築を開始できる。よって、土留壁の構築
と、内部の根切りすなわちタンクTの構築予定個所の地
盤Eの掘削を併行して行うことができ、工事の安全性を
向上させつつ、工期を短縮することができる。
しかも、かかる先行掘削孔18aの掘削をチェーンカッ
ター12で行うため作業性を向上させることができ、既に
構築された保護層22の下方という比較的作業が困難な個
所においても容易に掘削作業を行うことができる。
なお、本実施例では、本発明の先行掘削孔18aは、チ
ェーンカッター12により行われ、しかも、その掘削ビッ
ト12dの走行方向の一側面が保護層22を形成する露出壁
面20となるので、壁面20の整形が殆ど必要としない程度
に平滑になり、工期,工費の面で極めて有利になる。
【図面の簡単な説明】
第1図から第5図は本発明にかかる地下構造物用土留壁
の構築工法の一実施例を示しており、第1図はその施工
工程を順に示す断面説明図、第2図は掘削孔の形成状態
の説明図、第3図は同工法に用いられるチェーンカッタ
ーの正面図、第4図は同チェーンカッターの側面図、第
5図は同チェーンカッターによる掘削孔の形成状態の説
明図である。 12……チェーンカッター 18a……先行掘削孔 20……壁面 22……保護層 24……ロックボルト S……シルト層 G……土丹層 T……地下構造物

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】地下構造物の構築予定個所の周囲に土留壁
    を構築する工法において、前記構築予定個所の周囲に、
    先行掘削孔をチェーンカッターでほぼ垂直状に且つ該チ
    ェーンカッターの長さにほぼ対応した深度まで掘削し、
    この先行掘削孔によって囲まれた地盤を掘削し、この掘
    削により露出した壁面にコンクリートもしくはモルタル
    を吹き付けて保護層を形成するとともに、この保護層を
    貫通させてロックボルトを打設し、その後該保護層の下
    方を該チェーンカッターでほぼ垂直状に且つ該チェーン
    カッタの長さにほぼ対応した深度まで掘削するといった
    上記作業を繰り返すことにより前記保護層を鉛直方向に
    順次継ぎ足しつつ前記土留壁を構築することを特徴とす
    る地下構造物用土留壁の構築工法。
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