JPH09228173A - 多葉断面異繊度混繊糸 - Google Patents

多葉断面異繊度混繊糸

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JPH09228173A
JPH09228173A JP8053884A JP5388496A JPH09228173A JP H09228173 A JPH09228173 A JP H09228173A JP 8053884 A JP8053884 A JP 8053884A JP 5388496 A JP5388496 A JP 5388496A JP H09228173 A JPH09228173 A JP H09228173A
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fineness
yarn
cross
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filaments
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JP8053884A
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Hiroshi Ishida
石田  央
Takashi Katagiri
孝 片桐
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Nippon Ester Co Ltd
Original Assignee
Nippon Ester Co Ltd
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  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)
  • Spinning Methods And Devices For Manufacturing Artificial Fibers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 毛羽感を有するソフトな風合とドライ感が混
然一体となり、さらに、優雅な光沢やふくらみ感を有す
るスパンシルク調風合の織編物を与える異繊度混繊糸を
提供する。 【解決手段】 単糸繊度が0.5 〜5デニールである2〜
5種類の異なる繊度の単糸群で構成された異繊度混繊糸
であって、単糸繊度が3〜5デニールの太繊度糸からな
る単糸群を20重量%以上、0.5 〜1.5 デニールの細繊度
糸からなる単糸群を5重量%以上含有し、かつ異繊度混
繊糸を構成する単糸のうち、少なくとも太繊度糸は、横
断面が下記〜の要件を満足する多葉断面繊維であ
る。 3個以上の凸部を有すること、 凸部に全部で2〜30個の溝を有すること、 少なくとも1つの凸部の頂部に、深さが1〜15μmの
溝を2個以上有すること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、毛羽を有していな
いにも関わらず、毛羽感のあるソフトな風合とドライ感
及び優雅な光沢を有するスパンシルク調織編物を与える
多葉断面異繊度混繊糸に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、合成繊維マルチフィラメント糸
はシルクに比較して、毛羽感のあるソフトな風合、軽量
感、嵩高性に欠けると共に、何よりもドライ感に欠けた
特有のヌメリ感を有している。従来、これらの欠点を解
消するために種々の提案がなされている。例えば、毛羽
感のあるソフトな風合の布帛を得る方法として、単糸繊
度の細いマルチフィラメント糸を用い、加工時に単糸の
一部を切断したり、あるいは布帛にした後に起毛したり
する方法が採用されている。しかしながら、この布帛
は、単糸繊度の細い糸条からなり、かつ、単糸の一部が
切断されているので、毛羽感のあるソフトな風合を有す
るが、濃染化が不可能であり、ヘタリが生じ、また、毛
羽部の先端同士が絡まり、ピリングが発生するという問
題がある。さらに、起毛した毛羽部が倒れてヌメリ感が
強調され、シルクには程遠い風合のものであった。
【0003】また、布帛にドライ感を付与することので
きる糸条として、特開平4-65506 号公報や特開平4-9121
3 号公報には、断面をよりシャープにした異形断面糸が
提案されている。しかしながら、これらの糸条は単糸断
面のエッジ部がシャープなため、製編織した布帛はドラ
イ感が強調され過ぎてペーパーライクな風合となり、ソ
フト感に欠けたものとなる。
【0004】さらに、特公昭62-53606号公報には、布帛
にドライ感やシャリ感を付与することのできる糸条とし
て、単糸の断面が多葉形状で、多葉形状の各凸部の頂部
に先細り状の溝を1つ設けた異形断面糸が開示されてい
る。しかしながら、この糸条は、多葉形状の凸部の頂部
の先細り状の溝を、多葉形状の凹部と交互になるように
設けて、布帛にドライ感やシャリ感を付与するものであ
るため、この糸条ではソフトな風合の布帛を得ることは
できなかった。
【0005】特公昭62-21827号公報には、布帛にドライ
感やふくらみ感を付与することのできる糸条として、単
糸の断面が異形である異繊度混繊糸が開示されている
が、単糸の断面が多葉形状でなく、表面がフラットなも
のであるため、この糸条では毛羽感を有するソフトな風
合の布帛を得ることはできなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な問題点を解決し、毛羽感を有するソフトな風合とドラ
イ感という相反する風合が混然一体となり、絹様の光沢
を有するスパンシルク調織編物を与える多葉断面異繊度
混繊糸を提供することを技術的な課題とするものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明に到
達したものである。すなわち、本発明は、単糸繊度が0.
5 〜5デニールである2〜5種類の異なる繊度の単糸群
で構成された異繊度混繊糸であって、単糸繊度が3〜5
デニールの太繊度糸からなる単糸群を20重量%以上、0.
5 〜1.5 デニールの細繊度糸からなる単糸群を5重量%
以上含有し、かつ異繊度混繊糸を構成する単糸のうち、
少なくとも太繊度糸は、横断面が下記〜の要件を満
足する多葉断面繊維であることを特徴とする多葉断面異
繊度混繊糸を要旨とするものである。 3個以上の凸部を有すること、 凸部に全部で2〜30個の溝を有すること、 少なくとも1つの凸部の頂部に、深さが1〜15μmの
溝を2個以上有すること。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面を用いて詳細
に説明する。まず、本発明の異繊度混繊糸の一部又は全
部を構成する多葉断面繊維について説明する。図1
(a)、(b)、(c)、(d)は、多葉断面繊維の一
実施態様を示す断面図であり、少なくとも1つの凸部の
頂部に深さHが1〜15μmの溝(以下、溝Aという)を
2個以上有しており、溝Aの存在する凸部の頂部より基
端側に存在する溝(以下、溝Bという)とを併せて、凸
部に全部で2〜30個の溝を有している。図1(a)、
(b)は、各凸部の頂部に3個の溝Aを有するととも
に、各凸部の基端側に2つの溝Bを有し、図1(c)、
(d)は、各凸部の頂部に3個の溝Aを有している。
【0009】図2に示す芯鞘複合繊維は、芯部の難溶出
成分βの周囲全体が鞘部の易溶出成分αで囲まれてお
り、易溶出成分αを溶出させると、図1(a)の多葉断
面繊維となるものである。また、図3は、溝の深さ、入
口幅を説明するための図1(a)の凸部の一部拡大模式
図であるまず、本発明の異繊度混繊糸を構成する多葉断
面繊維の溝及び溝の深さについて、図2、3を用いて以
下に説明する。図2の芯鞘複合繊維において、各凸部X
1 、X2 、X3 の頂点x1 、x2 、x3 を結んだ三角形
の重心をSとする。さらに図3において、凸部の頂部に
存在する溝A(3個)及び溝B(2個)の最深部G、
I、J、K、Lと重心Sとを結ぶ直線が、各突起部(6
個)の最先端部T−U、U−C、C−D、D−E、E−
F間を結ぶ直線と交差する点をM、O、P、Q、Rとし
たとき、各溝の深さH、各溝の入口幅Wを下記(1) 、
(2) とする。 (1) 各溝の深さH(μm):線分G−M、I−O、J−
P、K−Q、L−Rの長さ。 (2) 各溝の入口幅W(μm):線分T−U、U−C、C
−D、D−E、E−Fの長さ。
【0010】なお、凸部の頂部とは、複合繊維の凸部の
頂点より引いた接線と、この接線と平行で接線との間隔
が頂点から重心Sまでの距離の1/3の長さである直線
で挟まれる凸部をいう。図2を用いて説明すると、凸部
の頂点x1 より引いた接線m1 と、これと平行に引いた
重心S方向で接線m1 との間隔が頂点x1 から重心Sま
での距離の1/3の長さである直線m2 で挟まれる凸部
を凸部の頂部という。そして、溝Aとは、上記のよう
に、凸部の頂部に存在する溝であって、溝の開口部が凸
部の頂部にあるものをいう。
【0011】本発明の異繊度混繊糸を構成する多葉断面
繊維は、横断面形状が、重心を中心に回転対称の位置
に、凸部Xと凹部Zを有しているものが好ましく、凸部
Xを3個以上、好ましくは3〜12個有している必要があ
る。凸部Xが3個未満であると、得られる布帛は、シャ
リ感やドライ感が付与されなくなり、また、上限は特に
限定されるものではないが、13個以上であると、丸断面
形状に近い繊維となり、シルク調の風合が得にくくな
り、好ましくない。
【0012】多葉断面繊維の横断面形状において、溝A
と溝Bを合わせた、凸部に設ける溝の数Nは、全部で2
〜30個、好ましくは6〜25個とすることが必要である。
溝の数Nが2個未満では、溝と溝に挟まれた突起部3が
ないため、目的とする毛羽感を発現させることができ
ず、布帛にスパンシルク調の風合を付与することができ
ない。また、30個を超えると、得られる布帛は毛羽感の
ある風合ではなく、ピーチフェース調やストーンウォッ
シュ調となるため目的の風合を得ることができない。
【0013】そして、多葉断面繊維は、上記した溝のう
ち、少なくとも1つの凸部の頂部に、深さHが1〜15μ
mの溝Aを2個以上有している。
【0014】溝Aの深さHは1〜15μm、好ましくは3
〜10μm、より好ましくは4〜6μmとすることが必要
である。溝Aの深さが1μm未満の場合、得られる布帛
は繊維と人間の肌とが接触した時に生じる突起部の波状
効果による毛羽感を有するソフトな風合が乏しいものと
なり、シャリ感やドライ感のみが強調される。また、溝
Aの深さが15μmを超えると、突起部が毛倒れを生じる
ため、得られる布帛はピーチフェース調やストーンウォ
ッシュ調のものとなる。
【0015】さらに、溝Aは、少なくとも1つの凸部の
頂部に2個以上存在していることが必要であり、好まし
くは2〜6個である。繊維を布帛にすると、布帛の表面
には凸部が主として存在し、布帛の風合を左右するた
め、少なくとも1つの凸部の頂部に存在する溝Aが2個
未満の場合は、得られる布帛は突起部の波状効果がな
く、毛羽感を有するソフトな風合を有するものとはなら
ない。
【0016】溝Aは少なくとも1つの凸部に2個以上存
在すればよいが、糸条繊度、単糸繊度や後加工(仮撚、
追撚)及び織編組織等により、微妙な風合の差が生じる
ため、目的用途によって溝Aを存在させる凸部の数を適
宜選択すればよい。なお、すべての凸部に溝Aを存在さ
せるほうが、繊維と人間の肌とが接触した時に生じる突
起部の波状効果による毛羽感を有するソフトな風合がさ
らに強調されるため好ましい。
【0017】また、溝Aは、溝の深さHと溝の入口幅W
の比であるW/Hが1以下であることが好ましく、W/
Hが1を超える場合は、溝に挟まれた突起部と突起部の
間隔が広くなりすぎるため、得られる布帛は、突起部の
波状効果による毛羽感を有するソフトな風合が乏しく、
シャリ感やドライ感のみが強調されやすくなる。
【0018】本発明の異繊度混繊糸を構成する多葉断面
繊維においては、上記した溝の数Nの2〜30個のすべて
を溝Aとしてもよい。
【0019】次に、溝Bについて説明する。溝Bの深さ
は特に限定されるものではないが、15μm以下程度であ
ることが好ましい。深さが15μmを超えた場合は、突起
部が毛倒れを起こして、毛羽感のある風合ではなく、ス
トーンウォッシュ調やピーチフェース調となりやすいた
め、好ましくない。
【0020】また、溝Bは、凸部の頂部以外の凸部の基
端側に設けるが、多葉断面糸の凹部の最深部付近に設け
ると、糸中心部に近いために外力によって断面形状が破
損しやすくなり、この繊維を用いた布帛は、極細繊維か
らなる布帛のようなヘタリやヌメリ感が生じやすくなる
ので好ましくない。
【0021】上記したような溝Aと溝Bを形成すること
ができるものであれば、本発明の異繊度混繊糸を構成す
る多葉断面繊維は、図2に示すような複合繊維に減量処
理を施して得たものや、凸部の溝を形成する部分のみ、
易溶出成分で覆われた複合繊維とし、この複合繊維に減
量処理を施して得たものでもよい。
【0022】次に、本発明の異繊度混繊糸は、単糸繊度
が0.5 〜5デニールである2〜5種類の異なる繊度の単
糸群を有し、このうち、単糸繊度が3〜5デニールの太
繊度で上記のような形状を有する多葉断面繊維を20重量
%以上含有するものである。
【0023】単糸繊度が0.5 デニール未満であると、こ
のような細繊度糸を含む混繊糸を製編織して得られる布
帛は、ハリ、コシやふくらみ感にも乏しいものとなる。
単糸繊度が5デニールを超えると、このような太繊度糸
を含む混繊糸を製編織して得られる布帛はソフトな風合
に乏しいものとなる。そして、異なる繊度の単糸群の数
が5を超えると、近似した繊度の単糸群が多くなるた
め、この異繊度混繊糸を製編織して得られる布帛は、ふ
くらみ感に乏しいものとなる。
【0024】さらに、本発明の異繊度混繊糸において
は、単糸繊度が3〜5デニールで、多葉断面繊維である
太繊度糸を20重量%以上含有する必要がある。この多葉
断面繊維である太繊度糸の比率が20重量%未満である
と、この異繊度混繊糸を製編織して得られる布帛は、毛
羽感のあるソフトな風合や優雅な光沢に乏しいものとな
る。太繊度の多葉断面繊維を含有することによって得ら
れる、毛羽感のあるソフトな風合や優雅な光沢をより良
好なものとするためには、この太繊度糸の比率を35〜80
重量%、さらに好ましくは50〜70重量%とする。なお、
上記のように、単糸繊度が3〜5デニールで、多葉断面
繊維である太繊度糸が20重量%以上あれば、異繊度混繊
糸中には、単糸繊度が3〜5デニールの太繊度糸であっ
て、多葉断面繊維でない繊維を含んでいてもよい。
【0025】一方、細繊度糸の比率が5重量%未満であ
ると、この混繊糸を製編織して得られる布帛は、ソフト
な風合に乏しいものとなる。細繊度糸の比率の上限は特
に限定されるものではないが、好ましくは8〜20重量
%、さらに好ましくは10〜15重量%である。
【0026】本発明の異繊度混繊糸においては、太繊度
糸のみならず、混繊糸を構成するすべての単糸を多葉断
面繊維とすることが好ましく、スパンシルク調の風合や
ふくらみ感が増し、より良好な風合の布帛を得ることが
できる。
【0027】また、異繊度混繊糸を構成する多葉断面繊
維は、上記に示すような形状を有するものであれば、多
葉断面繊維からなる単糸群のうち、すべてが凸部の数の
異なる多葉断面繊維からなるものでも、いくつかの単糸
群が凸部の数の異なる多葉断面繊維からなるものでもよ
い。
【0028】異繊度混繊糸を構成する単糸のうち、多葉
断面繊維でない繊維については、丸や多角形状の断面を
有する繊維であったり、中空繊維等であってもよい。
【0029】また、本発明の異繊度混繊糸を構成するポ
リマーとしては、ポリエステル、ポリアミド、ポリアク
リルニトリル等が挙げられるが、中でもポリエステルが
好ましい。ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフ
タレート(PET)のようなホモポリエステルのほか、
その性質を本質的に変化させない範囲内で第3成分を混
合あるいは共重合したポリエステルでもよく、艶消し
剤、制電剤、酸化防止剤等の添加剤を少量含有している
ものでもよい。
【0030】次に、本発明の異繊度混繊糸の製法例につ
いて説明する。まず、異繊度混繊糸を構成する多葉断面
繊維を製造するには、アルカリ等の溶剤に対する溶解性
の異なる易溶出成分αと難溶出成分βからなる、図2に
示すような複合繊維を紡糸する。このとき、図4に示す
形状の吐出孔((a)は図1(a)、(b)は図1
(d)を得ることができる複合繊維を紡糸する吐出孔)
を有する口金を用いて溶融紡糸を行う。
【0031】このような溶融紡糸を行い、混繊糸を得る
に際し、混繊糸を構成する異なる繊度の糸条を1枚の紡
糸口金より吐出させて、紡糸工程において混繊糸とし、
後加工を行う紡糸混繊方法や、各繊度の糸条を別々の口
金よりに紡糸した後、後工程で混繊する方法を採用する
ことができるが、工程を簡略化できる紡糸混繊方法が好
ましい。
【0032】そして、紡糸混繊方法の場合、通常、上記
のように異なる繊度の繊維を易溶出成分と難溶出成分か
らなる複合繊維として1枚の紡糸口金より紡糸し、得ら
れた混繊糸を延伸して図2に示したような複合繊維から
なる異繊度混繊糸を得る。この異繊度混繊糸にアルカリ
等の溶剤で減量処理を施すことによって、すべての単糸
が多葉断面繊維からなる異繊度混繊糸を得ることができ
る。通常は、上記のような複合繊維からなる異繊度混繊
糸を用いて製編織し、その後、アルカリ等の溶剤で減量
処理を施し、複合繊維の易溶出成分を溶出させる。
【0033】なお、多葉断面繊維を易溶出成分αと難溶
出成分βからなる複合繊維として紡糸する場合、易溶出
成分αは、溶剤に対する溶解速度が、難溶出成分βより
も5倍以上速いものが望ましく、例えば、ポリエステル
の場合は、難溶出成分βとしてPETを用い、易溶出成
分αとしてスルホン酸金属塩を2.5 モル%以上共重合し
たPETや、スルホン酸金属塩と比較的高分子量のポリ
アルキレングリコールを共重合したPET等を使用する
ことができる。
【0034】また、上記のようなPETを使用する場
合、減量処理の条件としては、NaOH濃度0.5 〜4
%、処理温度95℃の溶液中に、織編物を組成や目的に合
わせて処理時間を選定して浸漬させる方法を採用するこ
とができる。
【0035】本発明の多葉断面異繊度混繊糸は、その風
合を最も表現しやすい生糸で使用するのが好ましいが、
仮撚、強撚、空気交絡処理等の各種加工処理を施した
り、本発明の糸条の効果を損なわない範囲であれば、紡
績糸、混繊糸、複合糸等の形態で使用してもよい。
【0036】
【実施例】次に、本発明を実施例により具体的に説明す
る。なお、実施例における各評価は次の方法で行った。 (1)極限粘度 フェノールと四塩化エタンの等重量混合溶媒を用い、20
℃で測定した。 (2)単糸繊度 各単糸を、デニールコンピュータ DC-11B (サーチ社
製)で測定し、繊度を求めた。 (3)溝の数N及び溝の寸法 易溶出成分除去前の複合繊維を筒編みし(サンプル
A)、NaOH濃度0.5 %、処理温度95℃、処理時間30
分の条件でアルカリ減量して易溶出成分を完全に除去し
た後、水洗乾燥した筒編み地(サンプルB)を解編し、
得られた多葉断面繊維の断面を走査型電子顕微鏡で写真
に撮り、写真上で溝の数Nと溝A、Bの深さ及び溝Aの
入口幅Wを測定した。 (4)減量率 上記のサンプルA、Bの重量を温度20℃、相対湿度65%
の条件下で測定し、サンプルAの重量をwA 、サンプル
Bの重量をwB として次の式で求めた。 減量率(%)=〔(wA −wB )/wA 〕×100 (5)スパンシルク調風合 得られた布帛を織、編、染色技術者からなるパネラー10
人に、布帛の毛羽感のあるスパンシルク調風合について
10段階で触感による評価をさせ、その合計点で評価し
た。(最高点100 点) 86点以上:極めて良好 76〜85点:良好 75点以下:不良
【0037】実施例1〜7、比較例1〜7 難溶出成分βとして極限粘度が0.65のPET、易溶出成
分αとして5-ナトリウムスルホイソフタル酸を4モル%
共重合した極限粘度が0.75の共重合PETを使用した。
図4(a)、(b)に示す形状の吐出孔を有する紡糸口
金を用いて紡糸混繊を行った。なお、異なる繊度の単糸
を得るため、口金の突起部の横幅Wa、長さLa、吐出
孔数を表1に示すように種々変更した口金とした。各吐
出孔で難溶出成分βと易溶出成分αが重量比率で85/15
の複合繊維となり、易溶出成分αを溶剤で除去した後の
混繊糸の繊度が約75デニールとなるように吐出量を調整
し、紡糸温度290 ℃、紡糸速度3500m/分の条件で複合
繊維からなる異繊度混繊糸を紡糸し、巻き取った。引き
続いて、この繊維に延伸、熱処理を行った。なお、上記
の複合紡糸は、ニードルを吐出孔に挿入する紡糸口金を
用いて、ニードル内部に難溶出成分αを、ニードル外部
に易溶出成分βを流入させることにより行った。紡糸時
に用いるニードルの形状を変えることにより、易溶出成
分βを溶出した後に得られる多葉断面繊維の溝の数N及
び溝の寸法を、種々変更して紡糸を行った。なお、溝B
を設けたものについては、各凸部の基端側にそれぞれ等
しい数となるように設けた。得られた複合繊維からなる
異繊度混繊糸を経糸と緯糸に用い、経糸密度85本/2.54
cm、緯糸密度72本/2.54cmの条件で平織に製織し、精練
し、得られた織物をNaOH濃度0.5 %、処理温度95
℃、処理時間40分の条件でアルカリ減量処理して易溶出
成分βを完全に除去した。続いて染色を施した後、乾燥
して布帛を得た。得られた布帛中の異繊度混繊糸を構成
する単糸(多葉断面繊維)の繊度と比率、多葉断面繊維
の溝の数Nと溝の寸法及び布帛の減量率とスパンシルク
調風合の評価結果を表2、3に示す。なお、各繊度の多
葉断面繊維の溝の数Nと凸部1個あたりの溝Aの数は等
しく、溝A、Bの深さは、異繊度混繊糸を構成する多葉
断面繊維全体としての範囲で示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】表2、3から明らかなように、実施例1〜
6の三葉断面繊維で構成された異繊度混繊糸、実施例7
の六葉断面繊維で構成された異繊度混繊糸からなる布帛
は、ソフトな風合とドライ感及び優雅な光沢を有し、ス
パンシルク調風合の評価も高かった。一方、比較例1の
異繊度混繊糸からなる布帛は、混繊糸を構成する三葉断
面繊維の一つの凸部の頂部に溝Aを1つしか有しなかっ
たため、比較例3の異繊度混繊糸からなる布帛は、混繊
糸を構成する三葉断面繊維の凸部の頂部の溝Aの深さが
1μm未満であったため、ドライ感の強調されすぎたペ
ーパーライクなものであった。比較例2の異繊度混繊糸
からなる布帛は、混繊糸を構成する三葉断面繊維の溝の
数が多すぎたため、比較例4の異繊度混繊糸からなる布
帛は、混繊糸を構成する三葉断面繊維の溝Aの深さが15
μmを超えたため、毛倒れを起こしピーチフェース調の
風合のものであった。比較例5の異繊度混繊糸からなる
布帛は、混繊糸中に細繊度の三葉断面繊維を含有しなか
ったため、ソフトな風合に乏しいものであった。比較例
6の異繊度混繊糸からなる布帛は、混繊糸中の太繊度の
三葉断面繊維の含有率が20%未満であったため、ドライ
感やふくらみ感に乏しいものであった。比較例7の異繊
度混繊糸からなる布帛は、混繊糸が繊度の異なる6種類
の単糸群で構成されたものであったため、ふくらみ感に
乏しいものであった。
【0042】実施例8、比較例8〜9 実施例1と同様の成分からなり、図4(a)に示す形状
の吐出孔を有し、かつ1種類の繊度の多葉断面繊維が得
られる紡糸口金を用いて、難溶出成分βと易溶出成分α
からなる複合繊維を紡糸し、他の口金を用いて、極限粘
度が0.65のPETを用いて丸断面形状の繊維を紡糸した
後、これらの繊維の比率を表4に示すように種々変更し
て混繊し、続いて延伸、熱処理を施し、異繊度混繊糸を
得た。得られた複合繊維からなる異繊度混繊糸を実施例
1と同様に、製織し、減量処理を施した。得られた布帛
中の異繊度混繊糸を構成する多葉断面繊維及び丸断面繊
維の繊度と比率、多葉断面繊維の溝の数Nと溝の寸法及
び布帛の減量率とスパンシルク調風合の評価結果を表4
に示す。
【0043】
【表4】
【0044】表4より明らかなように、実施例8の太繊
度の三葉断面繊維と細繊度の丸断面繊維で構成された異
繊度混繊糸からなる布帛は、ソフトな風合とドライ感及
び優雅な光沢を有し、スパンシルク調風合の評価も高か
った。比較例8の異繊度混繊糸からなる布帛は、混繊糸
中の太繊度の三葉断面繊維の含有率が20%未満であった
ため、ドライ感やふくらみ感に乏しいものであった。比
較例9の異繊度混繊糸からなる布帛は、混繊糸中の細繊
度の丸断面繊維の含有率が5%未満であったため、ソフ
トな風合に乏しいものであった。
【0045】
【発明の効果】本発明の多葉断面異繊度混繊糸は、毛羽
感を有するソフトな風合とドライ感が混然一体となり、
さらに、優雅な光沢やふくらみ感を有するスパンシルク
調風合の織編物を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)、(b)、(c)、(d)は、本発明の
異繊度混繊糸を構成する多葉断面繊維の実施態様を示す
断面図である。
【図2】減量処理を施すと、図1(a)の多葉断面繊維
となる複合繊維の一実施態様を示す断面図である。
【図3】図1(a)の凸部の一部拡大模式図である。
【図4】減量処理を施すと、図1(a)、(d)の多葉
断面繊維となる複合繊維を紡糸する紡糸口金の吐出孔の
上面図である。
【符号の説明】
3 突起部 X 凸部 x 凸部の頂点 Z 凹部 α 芯成分 β 鞘成分

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単糸繊度が0.5 〜5デニールである2〜
    5種類の異なる繊度の単糸群で構成された異繊度混繊糸
    であって、単糸繊度が3〜5デニールの太繊度糸からな
    る単糸群を20重量%以上、0.5 〜1.5 デニールの細繊度
    糸からなる単糸群を5重量%以上含有し、かつ異繊度混
    繊糸を構成する単糸のうち、少なくとも太繊度糸は、横
    断面が下記〜の要件を満足する多葉断面繊維である
    ことを特徴とする多葉断面異繊度混繊糸。 3個以上の凸部を有すること、 凸部に全部で2〜30個の溝を有すること、 少なくとも1つの凸部の頂部に、深さが1〜15μmの
    溝を2個以上有すること。
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