JPH08134732A - 特殊混繊糸 - Google Patents

特殊混繊糸

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JPH08134732A
JPH08134732A JP30024994A JP30024994A JPH08134732A JP H08134732 A JPH08134732 A JP H08134732A JP 30024994 A JP30024994 A JP 30024994A JP 30024994 A JP30024994 A JP 30024994A JP H08134732 A JPH08134732 A JP H08134732A
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yarn
grooves
cross
section
feeling
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JP30024994A
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English (en)
Inventor
Haruhiko Kanda
晴彦 神田
Hitoshi Otsubo
人志 大坪
Takashi Katagiri
孝 片桐
Keizo Tsujimoto
啓三 辻本
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Nippon Ester Co Ltd
Original Assignee
Nippon Ester Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 糸条sと潜在捲縮性の複合繊維糸条tが混繊
された合成繊維マルチフイラメント糸条であって、糸条
sを構成する単糸は、減量処理によって、横断面が下記
〜の要件を満足する多葉断面糸となるものであるこ
とを特徴とする特殊混繊糸。 3個以上の凸部を有すること、 凸部に全部で2〜30個の溝を有すること、 少なくとも1つの凸部の頂点付近に、深さが1〜15μ
mの溝を2個以上有すること。 【効果】 本発明の特殊混繊糸は、潜在捲縮性能を有す
る糸条と減量処理によって凸部頂点付近に複数個の溝A
を有する多葉断面糸からなる糸条とが混繊されているの
で、布帛にして熱処理と減量処理を行うことによって、
毛羽感を有するソフトな風合とドライ感が混然一体とな
り、優雅な光沢を有するスパンシルク調風合を有し、さ
らに、嵩高性や伸縮性にも富んだ布帛とすることが可能
となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、織編物にして熱処理と
減量処理を行うことによって、毛羽を有していないにも
関わらず、毛羽感のあるソフトな風合とドライ感及び優
雅な光沢を有し、嵩高性や伸縮性を有するスパンシルク
調織編物が得られる特殊混繊糸に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、合成繊維マルチフィラメント糸
はシルクに比較して、毛羽感のあるソフトな風合、軽量
感、嵩高性に欠けると共に、何よりもドライ感に欠けた
特有のヌメリ感を有している。従来より、これらの欠点
を解消するために種々の提案がなされている。例えば、
毛羽感のあるソフトな風合の布帛を得るための方法とし
て、単糸繊度の細いマルチフィラメント糸を用い、加工
時に単糸の一部を切断したり、あるいは布帛にした後に
起毛したりする方法が採用されている。しかしながら、
この布帛は、単糸繊度の細い糸条からなり、かつ、単糸
の一部が切断されているので、毛羽感のあるソフトな風
合を有するが、濃染化が不可能であり、ヘタリが生じ、
また、毛羽部の先端同士が絡まりピリングが発生すると
いう問題がある。さらに、起毛した毛羽部が倒れてヌメ
リ感が強調され、シルクには程遠い風合のものであっ
た。
【0003】また、布帛にドライ感を付与することので
きる糸条として、特開平4-65506 号公報や特開平4-9121
3 号公報には、断面をよりシャープにした異形断面糸が
提案されている。しかしながら、これらの糸条は単糸断
面のエッジ部がシャープなために製編織して得られる布
帛は、ドライ感が強調され過ぎるためペーパーライクな
風合となり、ソフト感に欠けたものとなる。
【0004】さらに、特公昭62-53606号公報には、布帛
にドライ感やシャリ感を付与することのできる糸条とし
て、単糸の断面が多葉形状で、多葉形状の各凸部頂点付
近に先細り状の溝を1つ設けた異形断面糸が開示されて
いる。しかしながら、この糸条は、多葉形状の凸部頂点
付近の先細り状の溝を、多葉形状の凹部と交互になるよ
うに設けて、布帛にドライ感やシャリ感を付与するもの
であって、この糸条ではソフトな風合の布帛を得ること
はできなかった。
【0005】上記の糸条の欠点を補うものとして、布帛
に軽量感と嵩高性によりソフト感を付与できる糸条と、
ドライ感を付与できる糸条を同時に流体撹乱処理して得
られる、ループや絡みを有する嵩高糸が知られている。
このような嵩高糸は、流体撹乱処理によって単糸間に空
隙が形成されると、得られる布帛の軽量感や嵩高性は向
上する。しかしながら、糸条の繊度や断面を考慮するこ
となく単に流体撹乱処理しただけでは、得られる糸条
は、単糸間に空隙が形成されず、流体の旋回によって単
糸同士が最密充填される場合もあり、このような糸条か
ら得られる布帛は、嵩高性が付与されなかったり、どち
らか一方の糸条の風合が強調され過ぎて、毛羽感のある
ソフトな風合とドライ感という相反する性能が混然一体
となった風合が得られないという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な問題点を解決し、織編物にして熱処理と減量処理を行
うことによって、毛羽感を有するソフトな風合とドライ
感という相反する風合が混然一体となり、かつ嵩高性と
伸縮性の有するスパンシルク調織編物とすることができ
る特殊混繊糸を提供することを技術的な課題とするもの
である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明に到
達した。
【0008】すなわち、本発明は、糸条sと潜在捲縮性
の複合繊維糸条tが混繊された合成繊維マルチフイラメ
ント糸条であって、糸条sを構成する単糸は、減量処理
によって、横断面が下記〜の要件を満足する多葉断
面糸となるものであることを特徴とする特殊混繊糸を要
旨とするものである。 3個以上の凸部を有すること、 凸部に全部で2〜30個の溝を有すること、 少なくとも1つの凸部の頂点付近に、深さが1〜15μ
mの溝を2個以上有すること。
【0009】以下、本発明を図面を用いて詳細に説明す
る。本発明の特殊混繊糸の糸条sを構成する単糸は、減
量処理を行うと、横断面において、凸部の頂点付近に存
在する溝(以下、溝Aという)を少なくとも1つの凸部
に2個以上有し、そして、溝Aの存在する凸部の頂点付
近より側部に存在する溝(以下、溝Bという)と溝Aと
を合わせて、凸部に全部で2〜30個の溝を有するものと
なるものである。図1は、減量処理後の糸条sを構成す
る単糸の実施態様を示す横断面図であり、(a)、
(b)は、溝Aを3個と溝Bを2個有し、(c)、
(d)は、溝Aを3個有しているものを示す。図2は、
減量処理して図1(a)の単糸を得る前の、易溶出成分
αと難溶出成分βからなる複合繊維糸条の単糸の横断面
図である。また、図3は、減量処理した後の糸条sの単
糸の形状を説明するための図1(a)の凸部の一部拡大
模式図である
【0010】まず、本発明の特殊混繊糸を構成する糸条
sの単糸の減量処理後の、溝及び溝の深さについて以下
に説明する。図2の易溶出成分αを除去する前の複合繊
維において、各凸部X1 、X2 、X3 の頂点x1
2 、x3 を結んだ三角形の重心をSとする。さらに図
3において、凸部の頂点付近に存在する溝A(3個)及
び溝B(2個)の最深部G、I、J、K、Lと重心Sと
を結ぶ直線が、各突起部3(6個)の最先端部T−U、
U−C、C−D、D−E、E−F間を結ぶ直線と交差す
る点をM、O、P、Q、Rとしたとき、各溝の深さH、
各溝の入口幅Wを下記(1) 、(2) とする。 (1) 各溝の深さH(μm):線分G−M、I−O、J−
P、K−Q、L−R間の距離。 (2) 各溝の入口幅W(μm):線分T−U、U−C、C
−D、D−E、E−F間の距離。
【0011】また、減量処理後の糸条sを構成する単糸
は、横断面が、例えば図2で示したように、重心Sを中
心に回転対称位置に、凸部Xと凹部Zを有しているもの
が好ましく、凸部Xを3個以上、好ましくは3〜12個有
している必要がある。凸部Xが3個未満であると、得ら
れる布帛は、シャリ感やドライ感が付与されず、また、
上限は特に限定されるものではないが、13個以上である
と、丸断面に近い糸条となり、シルク調の風合が得にく
くなり、好ましくない。
【0012】減量処理後の糸条sを構成する単糸の横断
面において、溝Aと溝Bを合わせた、凸部に設ける溝の
数Nは、全部で2〜30個、好ましくは6〜25個とするこ
とが必要である。溝の数Nが2個未満では、溝と溝に挟
まれた突起部がないため、目的とする毛羽感の発現が乏
しいものとなり、布帛にスパンシルク調の風合を付与す
ることができない。また、30個を超えると、得られる布
帛は毛羽感のある風合ではなく、ピーチフェース調やス
トーンウォッシュ調となるため目的の風合を得ることが
できない。
【0013】そして、減量処理後の糸条sを構成する単
糸は、横断面において、少なくとも1つの凸部の頂点付
近に、深さHが1〜15μmの溝Aを2個以上有している
ことが必要で、深さHは、好ましくは3〜10μm、より
好ましくは4〜6μmである。
【0014】溝Aの深さが1μm未満の場合、得られる
布帛は繊維と人間の肌とが接触した時に生じる突起部の
波状効果による毛羽感を有するソフトな風合が乏しいも
のとなり、シャリ感やドライ感のみが強調される。ま
た、溝Aの深さが15μmを超えると、突起部が毛倒れを
生じるため、得られる布帛はピーチフェース調やストー
ンウォッシュ調のものとなる。
【0015】さらに、溝Aは、少なくとも1つの凸部の
頂点付近に2個以上存在していることが必要であり、好
ましくは2〜6個である。糸条を布帛にすると、布帛の
表面には繊維の凸部が主として存在し、布帛の風合を左
右するため、少なくとも1つの凸部頂点付近に存在する
溝Aが2個未満の場合は、得られる布帛は隣接する溝A
間に形成される突起部3の波状効果がなくなり、毛羽感
を有するソフトな風合を付与することができない。
【0016】溝Aは少なくとも1つの凸部に2個以上存
在すればよいが、マルチ繊度、単糸繊度や後加工(仮
撚、追撚)及び織編組織等により、微妙な風合の差が生
じるため、目的用途によって溝Aを存在させる凸部の数
を適宜選択すればよい。なお、すべての凸部に溝Aを存
在させるほうが、繊維と人間の肌とが接触した時に生じ
る突起部の波状効果による毛羽感を有するソフトな風合
がさらに強調されるため好ましい。
【0017】また、溝Aは、溝の深さHと溝の入口幅W
の比であるW/Hが1以下であることが好ましく、W/
Hが1を超える場合は、溝に挟まれた突起部と突起部の
間隔が広くなりすぎるため、得られる布帛は、突起部の
波状効果による毛羽感を有するソフトな風合が乏しく、
シャリ感やドライ感のみが強調されやすくなる。
【0018】減量処理後の糸条sの単糸においては、凸
部の側部に存在する溝Bを設けずに、上記した溝の数N
の2〜30個のすべてを溝Aとしてもよい。
【0019】次に、溝Bについて説明する。溝Bの深さ
は特に限定されるものではないが、15μm以下程度であ
ることが好ましい。深さが15μmを超えた場合は、突起
部が毛倒れを起こして、毛羽感のある風合ではなく、ス
トーンウォッシュ調やピーチフェース調となりやすいた
め、好ましくない。
【0020】溝Bの数は、ストーンウォッシュ調やピー
チフェース調が強調されるのを抑止するために、多くて
も、溝Aの数の約3倍、全体で20個以下とすることが好
ましい。
【0021】また、溝Bは、凸部頂点付近を除く側部に
設けるが、多葉断面糸の凹部の最深部付近に溝が存在す
ると、糸中心部に近いために、外力によって、断面形状
が破損しやすくなり、この糸条を用いた布帛は、極細繊
維からなる布帛のような、ヘタリ、ヌメリ感が生じ、好
ましくない。
【0022】次に、潜在捲縮性の複合繊維糸条tについ
て説明する。糸条tが潜在捲縮性を有することで、布帛
にした後の熱処理によって糸条tに捲縮が付与され、得
られる布帛に嵩高性と伸縮性が付与される。
【0023】さらに、糸条tを構成する複合繊維の断面
は、特に限定されるものではないが、三角断面又は多葉
断面とすれば、混繊処理で単糸間に空隙が形成され、製
編織したときに、布帛に一層優れた軽量感と嵩高性を付
与することができる。
【0024】本発明の特殊混繊糸は、上記したように、
糸条sと潜在捲縮性の複合繊維糸条tにより構成された
ものであるが、糸条sは、特殊混繊糸全体の20重量%以
上を占めることが好ましい。糸条sが20重量%未満にな
ると、糸条tの影響が強くなって、製編織して得られる
布帛に、目的とする毛羽感を有するソフトな風合とドラ
イ感が混然一体となった風合を付与しにくくなるため好
ましくない。
【0025】また、本発明の特殊混繊糸は、本発明の効
果を阻害しない範囲内であれば、交絡が施されたり、熱
収縮性差を付与した異収縮混繊糸としたり、あらかじめ
交絡が付与された糸条sとtを混繊したものでもよい。
【0026】本発明の特殊混繊糸のマルチフイラメント
糸条s、tを構成するポリマーとしては、ポリエステ
ル、ポリアミド、ポリアクリルニトリル等が挙げられる
が、中でもポリエステルが好ましい。ポリエステルとし
ては、ポリエチレンテレフタレート(PET)のような
ホモポリエステルのほか、その性質を本質的に変化させ
ない範囲内で第3成分を混合あるいは共重合したポリエ
ステルでもよく、艶消し剤、制電剤、酸化防止剤等の添
加剤等を少量含有しているものでもよい。また、糸条s
が減量処理後に多葉断面形状となり、糸条tが潜在捲縮
性能を保持していれば、糸条s、tの両方を同じポリマ
ーで構成されたものとしても、異なるポリマーで構成さ
れたものとしてもよい。
【0027】次に、本発明の特殊混繊糸の製法例につい
て説明する。まず、糸条sを構成する繊維として、アル
カリ等の溶剤に対する溶解性の異なるポリマーである易
溶出成分αと難溶出成分βの2成分を複合紡糸し、図2
に示したような難溶出成分βと易溶出成分αからなり、
難溶出成分βの凸部Xの頂点n付近に易溶出成分αによ
り複数個(図2では3つの凸部頂点x1 、x2 、x3
近に各3個)の溝A及び溝B(図2では3つの凸部
1 、X2 、X3 に各2個)を形成する成分が配置され
た多葉断面複合繊維を得る。
【0028】得られた複合繊維を織編物とし、アルカリ
等の溶剤で減量処理して易溶出成分αを溶出させると、
図1(a)に示したような、多葉断面の凸部Xの頂点x
付近に溝Aと、凸部Xの側部に存在する溝B及び突起部
3を有する難溶出成分βからなる多葉断面糸が得られ
る。
【0029】なお、上記で使用する易溶出成分αは、溶
剤に対する溶解速度が、難溶出成分βよりも5倍以上速
いものが望ましく、例えば、ポリエステル繊維の場合
は、難溶出成分βとしてPETを用い、易溶出成分αと
してスルホン酸金属塩を2.5 モル%以上共重合したPE
Tや、スルホン酸金属塩と比較的高分子量のポリアルキ
レングリコールを所定量共重合したPET等を使用する
ことができる。複合繊維中の易溶出成分αの配分比率が
大きくなり過ぎると、目的とする毛羽感のある風合が乏
しくなり、また、製造コストも上昇し、さらには、易溶
出成分αの残渣物の回収、廃棄処理等の問題も生じるた
め、易溶出成分αは複合繊維糸条全体の30重量%以下と
するのが好ましい。
【0030】一方、糸条tを構成する潜在捲縮性の複合
繊維は、溶融粘度の異なるポリマーや熱収縮差の異なる
ポリマーを用い、サイドバイサイド型や偏心芯鞘型に配
する方法や、溶融紡出直後に片面を急冷却して、配向差
を付与する方法等により得ることができる。潜在捲縮性
能の程度は、製編織した布帛にソフトな風合とドライ感
という相反する風合が混然一体となった風合が得られれ
ば、特に限定されるものではなく、目的や用途に合わせ
て、適宜前記ポリマーの配合比、粘度差及び付与する配
向差等を選択すればよい。
【0031】上記の方法で得られた糸条sと糸条tの混
繊方法としては、特に限定されるものではなく、延伸混
繊、引き揃え、流体交絡処理等を採用することができ
る。また、本発明の特殊混繊糸に施す減量処理は、製編
織し、次いでリラックス精練で糸条tの捲縮を発現させ
た後、施されることが好ましい。
【0032】
【実施例】次に、本発明を実施例により具体的に説明す
る。なお、実施例における各評価は次の方法で行った。 (1)固有粘度 フェノールと四塩化エタンの等重量混合溶媒を用い、20
℃にて測定した。 (2)溝の数N及び溝の寸法 易溶出成分除去前の複合繊維を筒編みし(サンプル
A)、NaOH濃度0.5 %、処理温度95℃、処理時間30
分の条件でアルカリ減量して易溶出成分を完全に除去し
た後、水洗、乾燥した筒編み地(サンプルB)を解編
し、得られた多葉断面糸の断面を走査型電子顕微鏡で写
真に撮り、写真上で、溝の数Nと溝A、Bの深さ及び溝
Aの入口幅Wを測定した。 (3)減量率 上記のサンプルA、Bの重量を温度20℃、湿度65%の条
件下で測定し、サンプルAの重量をwA 、サンプルBの
重量をwB として次の式で求めた。 減量率(%)=〔(wA −wB )/wA 〕×100 (4)スパンシルク調風合 得られた布帛を織、編、染色技術者からなるパネラー10
人に、布帛の毛羽感のあるスパンシルク調風合を10段階
で触感による評価をさせ、その合計点で評価した。(最
高点100 点) 86点以上 :極めて良好 76〜85点 :良好 75点以下 :不良 (5)伸縮性と嵩高性 得られた布帛を織、編、染色技術者からなるパネラー10
人に、伸縮性及び嵩高性の風合を10段階で触感による評
価をさせ、その合計点で評価した。(最高点100 点) 86点以上 :極めて良好 76〜85点 :良好 75点以下 :不良 (6)総合評価 スパンシルク調風合(4)と伸縮性と嵩高性(5)の効
果を加味して評価し、3段階にランクづけを行った。 A:(4)、(5)ともに86点以上である。 B:(4)、(5)ともに76〜85点、又は(4)、
(5)の一方が76〜85点、もう一方が86点以上である。 C:(4)、(5)ともに75点以下、又は(4)、
(5)の一方が76〜85点、もう一方が75点以下である。
【0033】実施例1〜6、比較例1〜4 まず、難溶出成分とし、固有粘度が0.65のPET、易溶
出成分として5-ナトリウムスルホイソフタル酸を4モル
%共重合した固有粘度が0.75の共重合PETを使用し、
図2に示すような三葉断面形状の凸部の頂点付近を中心
にして、易溶出成分と難溶出成分で形成された複合繊維
が得られるような紡糸口金(紡糸孔24)を用いて複合紡
糸し、糸条sの前段階の糸条s0 を得た。このとき、難
溶出成分と易溶出成分は重量比率で85/15の複合比率
で、紡糸温度290 ℃、吐出量41g/分、紡糸速度3500m
/分の条件で紡糸を行い、半未延伸糸の糸条s0 を巻き
取った。なお、上記の複合紡糸は、ニードルを吐出孔に
挿入する紡糸口金を用いて、ニードル内部に芯部を形成
する難溶出成分を、ニードル外部に溝を形成する易溶出
成分を流入させることにより行い、得られる繊維の溝の
数N及び溝の寸法を、紡糸時に用いるニードルの形状を
変えることにより、種々変更して行った。
【0034】一方、糸条tとなる糸条t0 として、固有
粘度0.65と固有粘度0.46のPETを用い、両者のポリマ
ーを吐出口金で重量比率で50/50の複合比率で複合さ
せ、三角断面形状になるように設計した紡糸口金(紡糸
孔24)を用い、紡糸温度295 ℃、吐出量28g/分、紡糸
速度3500m/分で紡糸し、半未延伸糸の糸条t0 を巻き
取った。
【0035】次に、得られた半未延伸糸の糸条s0 と糸
条t0 を引き揃えて、速度700 m/分、温度80℃、延伸
倍率1.51倍で同時に延伸した後、加熱板で160 ℃で熱処
理し、およそ120 dの糸条sとtが混繊された(糸条
s:72d、糸条t:48d)混繊糸を得た。
【0036】得られた混繊糸を経糸と緯糸に用い、経糸
密度71本/2.54cm、緯糸密度66本/2.54cmで平織に
製織し、織物を精練した。次に、この織物をNaOH濃
度0.5 %、処理温度95℃、処理時間30分の条件でアルカ
リ減量処理して易溶出成分を完全に除去した後、染色し
た。
【0037】特殊混繊糸織物を減量処理した後の糸条s
の単糸の溝の数N、溝の寸法と減量率及び得られた布帛
のスパンシルク調風合、伸縮性と嵩高性の評価及び総合
評価の結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】表1から明らかなように、実施例1〜6で
得られた特殊混繊糸を用いた布帛は、ソフトな風合とド
ライ感及び優雅な光沢を有し、スパンシルク調風合と伸
縮性と嵩高性の評価も高く、総合評価も実施例6を除い
て全てAであった。一方、比較例1の糸条から得られた
布帛は、減量処理後の糸条sを構成する単糸が一つの凸
部頂点付近に溝Aが1つしか存在しない多葉断面糸であ
ったため、比較例3の糸条から得られた布帛は、減量処
理後の糸条sを構成する単糸が溝Aの深さが1μm未満
の多葉断面糸であったため、ドライ感の強調され過ぎた
ペーパーライクなものであった。比較例2の糸条から得
られた布帛は、減量処理後の糸条sを構成する単糸が溝
の数が多すぎる多葉断面糸であったため、比較例4の糸
条から得られた布帛は、減量処理後の糸条sを構成する
単糸が溝Aの深さが15μmを超えた多葉断面糸であった
ため、毛倒れを起こしピーチフェース調の風合のもので
あった。
【0040】比較例5 固有粘度0.65のPETを単成分で、形状が三角断面形状
になるように設計した紡糸口金(紡糸孔24)を使用し、
紡糸温度295 ℃、吐出量28g/分、紡糸速度3500m/分
で紡糸し、半未延伸糸を巻き取った。糸条tの代わり
に、この単成分からなる潜在捲縮性能を有しない糸条を
用い、糸条sとして減量処理後の断面形状が、1つの凸
部にのみ4個の溝Aと溝Bを14個有する多葉断面となる
糸条を用いた以外は、実施例1と同様に行った。得られ
た布帛のスパンシルク調風合は、93点と高かったが、伸
縮性と嵩高性は乏しく、評価も65点と低く、総合評価の
結果はCであり、本発明の目的とする風合は得られなか
った。
【0041】実施例7〜8、比較例6 実施例7は、減量処理後の糸条sを構成する単糸が1つ
の凸部にのみ4個の溝Aと溝Bを14個有し、実施例8
は、減量処理後の糸条sを構成する単糸が2つの凸部に
それぞれ4個の溝Aと溝Bを10個有し、比較例6は、減
量処理後の糸条sを構成する単糸が溝Aを有さずに溝B
を18個有しているものとした以外は、実施例1と同様に
行った。特殊混繊糸織物を減量処理した後の糸条sの単
糸の溝の数N、溝の寸法と減量率及び得られた布帛のス
パンシルク調風合、伸縮性と嵩高性の評価及び総合評価
の結果を表2に示す。
【0042】
【表2】
【0043】表2から明らかなように、実施例7、8の
糸条から得られた布帛は、豊かなふくらみ感と微妙な凹
凸感に富み、ソフトな風合とドライ感及び優雅な光沢を
有し、スパンシルク調風合、伸縮性と嵩高性の評価、総
合評価も高いものであった。一方、比較例6の糸条から
得られた布帛は、減量処理後の糸条sを構成する単糸が
凸部頂点付近に溝Aを有していなかったため、ドライ感
のみが強調され、スパンシルク調風合に劣るものであっ
た。
【0044】実施例9 糸条sとして、減量処理後の単糸の横断面が図1(d)
に示す、ヘキサローバル形状となるような紡糸口金を用
いた以外は、実施例1と同様に行った。特殊混繊糸織物
を減量処理した後の糸条sの単糸の溝の数Nは18個、各
凸部頂点付近に存在する溝Aの数は3個、溝Aの深さ
H:5.3 〜 6.5μm、W/H:0.6 〜1.0 、減量率16.3
%であり、この糸条より得られた布帛は、ソフトな風合
とドライ感及び優雅な光沢を有し、スパンシルク調風合
の評価が92点、伸縮性と嵩高性の評価が95点と高得点で
あり、総合評価もAであった。
【0045】
【発明の効果】本発明の特殊混繊糸は、潜在捲縮性能を
有する糸条と減量処理によって凸部頂点付近に複数個の
溝Aを有する多葉断面糸からなる糸条とが混繊されてい
るので、布帛にして熱処理や減量処理を施すことによっ
て、毛羽感を有するソフトな風合とドライ感が混然一体
となり、優雅な光沢を有するスパンシルク調風合を有
し、さらに、嵩高性や伸縮性にも富んだ布帛とすること
が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)、(b)、(c)、(d)は、本発明の
特殊混繊糸の減量処理後の糸条sを構成する単糸の実施
態様を示す横断面図である。
【図2】易溶出成分を除去して、図1(a)の単糸を得
る前の複合繊維糸条の単糸の横断面図である。
【図3】図1(a)の凸部の一部拡大模式図である。
【符号の説明】
3 突起部 X 凸部 x 凸部の頂点 Z 凹部 α 易溶出成分 β 難溶出成分

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 糸条sと潜在捲縮性の複合繊維糸条tが
    混繊された合成繊維マルチフイラメント糸条であって、
    糸条sを構成する単糸は、減量処理によって、横断面が
    下記〜の要件を満足する多葉断面糸となるものであ
    ることを特徴とする特殊混繊糸。 3個以上の凸部を有すること、 凸部に全部で2〜30個の溝を有すること、 少なくとも1つの凸部の頂点付近に、深さが1〜15μ
    mの溝を2個以上有すること。
  2. 【請求項2】 潜在捲縮性の複合繊維糸条tの横断面
    が、三角形ないし多葉形である請求項1記載の特殊混繊
    糸。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006322095A (ja) * 2005-05-17 2006-11-30 Mitsubishi Rayon Co Ltd 編地
CN111118685A (zh) * 2019-12-29 2020-05-08 江苏恒力化纤股份有限公司 一种包芯纱的制备方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006322095A (ja) * 2005-05-17 2006-11-30 Mitsubishi Rayon Co Ltd 編地
CN111118685A (zh) * 2019-12-29 2020-05-08 江苏恒力化纤股份有限公司 一种包芯纱的制备方法
CN111118685B (zh) * 2019-12-29 2021-08-13 江苏恒力化纤股份有限公司 一种包芯纱的制备方法

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