JP3533265B2 - 多葉断面繊維、芯鞘複合繊維及び多葉断面繊維の製造方法 - Google Patents

多葉断面繊維、芯鞘複合繊維及び多葉断面繊維の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、毛羽を有していな
いにも関わらず、毛羽感のあるソフトな風合とドライ感
及び優雅な光沢を有するスパンシルク調織編物を得るこ
とのできる多葉断面繊維とその製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】一般に、合成繊維マルチフィラメント糸
はシルクに比較して、毛羽感のあるソフトな風合、軽量
感、嵩高性に欠けると共に、何よりもドライ感に欠けた
特有のヌメリ感を有している。従来、これらの欠点を解
消するために種々の提案がなされている。例えば、毛羽
感のあるソフトな風合の布帛を得る方法として、単糸繊
度の細いマルチフィラメント糸を用い、加工時に単糸の
一部を切断したり、あるいは布帛にした後に起毛したり
する方法が採用されている。しかしながら、この布帛
は、単糸繊度の細い糸条からなり、かつ、単糸の一部が
切断されているので、毛羽感のあるソフトな風合を有す
るが、濃染化が不可能であり、ヘタリが生じ、また、毛
羽部の先端同士が絡まり、ピリングが発生するという問
題がある。さらに、起毛した毛羽部が倒れてヌメリ感が
強調され、シルクには程遠い風合のものであった。
【0003】また、布帛にドライ感を付与することので
きる糸条として、特開平4-65506 号公報や特開平4-9121
3 号公報には、断面をよりシャープにした異形断面糸が
提案されている。しかしながら、これらの糸条は単糸断
面のエッジ部がシャープなために製編織した布帛は、ド
ライ感が強調され過ぎてペーパーライクな風合となり、
ソフト感に欠けたものとなる。
【0004】さらに、特公昭62-53606号公報には、布帛
にドライ感やシャリ感を付与することのできる糸条とし
て、単糸の断面が多葉形状で、多葉形状の各凸部の頂部
に先細り状の溝を1つ設けた異形断面糸が開示されてい
る。しかしながら、この糸条は、多葉形状の凸部の頂部
の先細り状の溝を、多葉形状の凹部と交互になるように
設けて、布帛にドライ感やシャリ感を付与するものであ
るため、この糸条ではソフトな風合の布帛を得ることは
できなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な問題点を解決し、毛羽感を有するソフトな風合とドラ
イ感という相反する風合が混然一体となった、スパンシ
ルク調織編物を得ることができる多葉断面繊維とその製
造方法を提供することを技術的な課題とするものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明に到
達したものである。すなわち、本発明の第一発明は、横
断面形状が3個以上の凸部を有する多葉断面繊維であっ
て、横断面形状において、凸部に全部で2〜30個の溝を
有し、これらの溝のうち、少なくとも1つの凸部の頂部
に、深さHが1〜15μmの溝Aを2個以上有しているこ
とを特徴とする多葉断面繊維を要旨とするものである。
また、第二発明は、横断面形状が3個以上の凸部を有
し、芯成分の周囲全体が鞘成分で囲まれた芯鞘複合繊維
であって、鞘成分を形成するポリマーが芯成分を形成す
るポリマーより溶剤に対する溶解性が大なるポリマーで
構成されており、芯成分は、凸部に全部で2〜 30 個の溝
を有し、これらの溝のうち、少なくとも1つの凸部の頂
部に、深さHが1〜 15 μmの溝Aを2個以上有している
断面形態を有することを特徴とする芯鞘複合繊維を要旨
とするものである。さらに、第三発明は、第二発明の芯
鞘複合繊維を製編織した後、減量処理を行うことを特徴
とする多葉断面繊維の製造方法を要旨とするものであ
る。ただし、第一発明と第二発明において、凸部とは、
横断面形状において、凹部と隣接する凹部との間で外側
に突出する部分であり、凸部の頂部とは、凸部の頂点よ
り引いた接線と、この接線と平行で接線との間隔が頂点
から重心Sまでの距離の1/3の長さである直線で挟ま
れる凸部をいう。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面を用いて詳細
に説明する。図1(a)、(b)、(c)、(d)は、
本発明の多葉断面繊維の一実施態様を示す断面図であ
り、少なくとも1つの凸部の頂部に深さHが1〜15μm
の溝Aを2個以上有しており、溝Aの存在する凸部の頂
部より基端側に存在する溝Bとを併せて、凸部に全部で
2〜30個の溝を有している。図1(a)、(b)は、各
凸部の頂部に3個の溝Aを有するとともに、各凸部の基
端側に2つの溝Bを有し、図1(c)、(d)は、各凸
部の頂部に3個の溝Aを有している。図2(a)、
(b)、(c)、(d)は、本発明の芯鞘複合繊維の実
施態様を示す断面図であり、減量処理によって鞘成分β
が溶出し、それぞれ図1の(a)、(b)、(c)、
(d)の多葉断面繊維となるものである。また、図3
は、溝の深さ、入口幅を説明するための図1(a)の凸
部の一部拡大模式図である
【0008】図2に示す芯鞘複合繊維は、芯成分αの周
囲全体が鞘成分βで囲まれており、芯鞘複合繊維の鞘成
分βを溶出させると、本発明の多葉断面繊維となるもの
である。まず、本発明の多葉断面繊維の溝及び溝の深さ
について、図2(a)を用いて以下に説明する。図2
(a)の芯鞘複合繊維において、各凸部X1 、X2 、X
3 の頂点x1 、x2 、x3 を結んだ三角形の重心をSと
する。さらに図3において、凸部の頂部に存在する溝A
(3個)及び溝B(2個)の最深部G、I、J、K、L
と重心Sとを結ぶ直線が、各突起部(6個)の最先端部
T−U、U−C、C−D、D−E、E−F間を結ぶ直線
と交差する点をM、O、P、Q、Rとしたとき、各溝の
深さH、各溝の入口幅Wを下記(1) 、(2) とする。 (1) 各溝の深さH(μm):線分G−M、I−O、J−
P、K−Q、L−Rの長さ。 (2) 各溝の入口幅W(μm):線分T−U、U−C、C
−D、D−E、E−Fの長さ。
【0009】なお、凸部の頂部とは、芯鞘複合繊維の凸
部の頂点より引いた接線と、この接線と平行で接線との
間隔が頂点から重心Sまでの距離の1/3の長さである
直線で挟まれる凸部をいう。図2(a)を用いて説明す
ると、凸部の頂点x1 より引いた接線m1 と、これと平
行に引いた重心S方向で接線m1 との間隔が頂点x1
ら重心Sまでの距離の1/3の長さである直線m2 で挟
まれる凸部を凸部の頂部という。そして、溝Aとは、上
記のように、凸部の頂部に存在する溝であって、溝の開
口部が凸部の頂部にあるものをいう。
【0010】本発明の多葉断面繊維は、横断面形状が、
重心を中心に回転対称の位置に、凸部Xと凹部Zを有し
ているものが好ましく、凸部Xを3個以上、好ましくは
3〜12個有している必要がある。凸部Xが3個未満であ
ると、得られる布帛は、シャリ感やドライ感が付与され
なくなり、また、特に上限は規定するものではないが、
13個以上であると、丸断面形状に近い繊維となり、シル
ク調の風合いが得にくくなり、好ましくない。
【0011】本発明の多葉断面繊維の横断面形状におい
て、溝Aと溝Bを合わせた、凸部に設ける溝の数Nは、
全部で2〜30個、好ましくは6〜25個とすることが必要
である。溝の数Nが2個未満では、溝と溝に挟まれた突
起部がないため、目的とする毛羽感の発現が乏しいもの
となり、布帛にスパンシルク調の風合を付与することが
できない。また、30個を超えると、得られる布帛は毛羽
感のある風合ではなく、ピーチフェース調やストーンウ
ォッシュ調となるため目的の風合を得ることができな
い。
【0012】そして、本発明の多葉断面繊維は、上記し
た溝のうち、少なくとも1つの凸部の頂部に、深さHが
1〜15μmの溝Aを2個以上有している。
【0013】溝Aの深さHは1〜15μm、好ましくは3
〜10μm、より好ましくは4〜6μmとすることが必要
である。溝Aの深さが1μm未満の場合、得られる布帛
は繊維と人間の肌とが接触した時に生じる突起部の波状
効果による毛羽感を有するソフトな風合が乏しいものと
なり、シャリ感やドライ感のみが強調される。また、溝
Aの深さが15μmを超えると、突起部が毛倒れを生じる
ため、得られる布帛はピーチフェース調やストーンウォ
ッシュ調のものとなる。
【0014】さらに、溝Aは、少なくとも1つの凸部の
頂部に2個以上存在していることが必要であり、好まし
くは2〜6個である。繊維を布帛にすると、布帛の表面
には凸部が主として存在し、布帛の風合を左右するた
め、少なくとも1つの凸部の頂部に存在する溝Aが2個
未満の場合は、得られる布帛は突起部の波状効果がなく
なり、毛羽感を有するソフトな風合を付与することがで
きない。
【0015】溝Aは少なくとも1つの凸部に2個以上存
在すればよいが、マルチ繊度、単糸繊度や後加工(仮
撚、追撚)及び織編組織等により、微妙な風合の差が生
じるため、目的用途によって溝Aを存在させる凸部の数
を適宜選択すればよい。なお、すべての凸部に溝Aを存
在させるほうが、繊維と人間の肌とが接触した時に生じ
る突起部の波状効果による毛羽感を有するソフトな風合
がさらに強調されるため好ましい。
【0016】また、溝Aは、溝の深さHと溝の入口幅W
の比であるW/Hが1以下であることが好ましく、W/
Hが1を超える場合は、溝に挟まれた突起部と突起部の
間隔が広くなりすぎるため、得られる布帛は、突起部の
波状効果による毛羽感を有するソフトな風合が乏しく、
シャリ感やドライ感のみが強調されやすくなる。
【0017】本発明の多葉断面繊維においては、上記し
た溝の数Nの2〜30個のすべてを溝Aとしてもよい。
【0018】次に、溝Bについて説明する。溝Bの深さ
は特に限定されるものではないが、15μm以下程度であ
ることが好ましい。深さが15μmを超えた場合は、突起
部が毛倒れを起こして、毛羽感のある風合ではなく、ス
トーンウォッシュ調やピーチフェース調となりやすいた
め、好ましくない。
【0019】また、溝Bは、凸部の頂部以外の凸部の基
端側に設けるが、多葉断面糸の凹部の最深部付近に設け
ると、糸中心部に近いために外力によって断面形状が破
損しやすくなり、この繊維を用いた布帛は、極細繊維か
らなる布帛のような、ヘタリ、ヌメリ感が生じ、好まし
くない。
【0020】上記したような溝Aと溝Bを形成すること
ができるのであれば、本発明の多葉断面繊維は、本発明
の芯鞘複合繊維に減量処理を施して得たものではなく、
凸部の溝を形成する部分のみ、易溶出成分で覆われた複
合繊維とし、この複合繊維に減量処理を施して得たもの
でもよい。
【0021】本発明の多葉断面繊維を構成するポリマー
としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリル等
が挙げられるが、中でもポリエステルが好ましい。ポリ
エステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)のようなホモポリエステルのほか、その性質を本質
的に変化させない範囲内で第3成分を混合あるいは共重
合したポリエステルでもよく、艶消し剤、制電剤、酸化
防止剤等の添加剤を少量含有しているものでもよい。
【0022】本発明の芯鞘複合繊維は、芯成分αについ
ては、上記のポリマーと同様であるが、鞘成分βのポリ
マーについては、溶剤に対する溶解速度が、芯成分αよ
りも2倍以上速いものが好ましく、さらに、4倍以上速
いものが好ましい。鞘成分βとしては、例えば、芯成分
αがPETの場合、スルホン酸金属塩を2.5 モル%以上
共重合したPETや、スルホン酸金属塩と比較的高分子
量のポリアルキレングリコールを所定量共重合したPE
T等を使用することができる。
【0023】また、本発明の芯鞘複合繊維は、図2に示
すように、芯成分αの周囲全体が鞘成分βで囲まれてい
るが、芯鞘複合繊維中の鞘成分βの重量比率が大きくな
り過ぎると、目的とする毛羽感のある風合が乏しくな
り、また、製造コストも上昇し、さらには、鞘成分βの
残渣物の回収、廃棄処理等の問題も生じるため、鞘成分
βは複合繊維全体の30重量%以下とするのが好ましい。
なお、上記したように、本発明の多葉断面繊維は、凸部
の溝を形成する部分のみ易溶出成分で覆われた複合繊維
を減量処理して得ることもできるが、本発明の芯鞘複合
繊維のほうが、このような複合繊維よりも紡糸時の糸切
れも少なく、製糸性よく得ることができ、好ましい。
【0024】次に、本発明の多葉断面繊維の製造方法に
ついて説明する。まず、アルカリ等の溶剤に対する溶解
性の異なるポリマーからなる芯成分αと鞘成分βを複合
紡糸し、そして下記〜に示す方法等を行い、図2に
示したような芯鞘複合繊維を得る。 複合紡糸した未延伸糸を一旦巻き取った後、常法によ
る延伸を行う方法(二工程法) 複合紡糸した未延伸糸を引き取った後、連続して延伸
を行い、巻き取る方法(スピンドロー法) 複合紡糸した未延伸糸を一旦冷却固化を行い、高温雰
囲気中で伸長処理を行った後、巻き取る方法(一括紡糸
延伸法) 複合紡糸した未延伸糸を5000m/分以上の高速で巻き
取る方法(高速紡糸法)
【0025】次いで、得られた芯鞘複合繊維を製編織し
た後、アルカリ等の溶剤で減量処理して鞘成分βを溶出
させて、図1(a)に示したような、多葉断面の凸部X
の頂部に溝Aと、凸部Xの頂部より基端側に存在する溝
B及び突起部1を有する本発明の多葉断面繊維を得る。
減量処理の条件としては、例えば、NaOH濃度4%、
処理温度95℃の溶液中に、織編物を組成や目的に合わせ
て処理時間を選定して浸漬させ、減量処理を行う。ま
た、織編組織についても特に限定されるものではなく、
織編物の一部もしくは全部を芯鞘複合繊維で構成すれば
よい。
【0026】また、本発明の多葉断面繊維及び芯鞘複合
繊維は、その風合を最も表現しやすい生糸で使用するの
が好ましいが、仮撚、強撚、空気交絡処理等の各種加工
処理を施したものや紡績糸、混繊糸、複合糸等の形態を
とってもよい。
【0027】
【実施例】次に、本発明を実施例により具体的に説明す
る。なお、実施例における各評価は次の方法で行った。 (1)極限粘度 フェノールと四塩化エタンの等重量混合溶媒を用い、20
℃で測定した。 (2)溝の数N及び溝の寸法 鞘成分除去前の芯鞘複合繊維を筒編みし(サンプル
A)、NaOH濃度0.5 %、処理温度95℃、処理時間30
分の条件でアルカリ減量して鞘成分を完全に除去した
後、水洗乾燥した筒編み地(サンプルB)を解編し、得
られた多葉断面繊維を走査型電子顕微鏡で写真に撮り、
写真上で、溝の数Nと溝A、Bの深さ及び溝Aの入口幅
Wを測定した。 (3)減量率 上記のサンプルA、Bの重量を温度20℃、湿度65%の条
件下で測定し、サンプルAの重量をwA 、サンプルBの
重量をwB として次の式で求めた。 減量率(%)=〔(wA −wB )/wA 〕×100 (4)スパンシルク調風合 得られた布帛を織、編、染色技術者からなるパネラー10
人に、布帛の毛羽感のあるスパンシルク調風合を10段階
で触感による評価をさせ、その合計点で評価した。(最
高点100 点) 86点以上 :極めて良好 76〜85点 :良好 75点以下 :不良
【0028】実施例1〜6、比較例1〜4 芯成分αとして極限粘度が0.65のPET、鞘成分βとし
て5-ナトリウムスルホイソフタル酸を2.5 モル%と平均
分子量が6000のポリエチレングリコールを12重量%共重
合した極限粘度が0.73の共重合PETを使用した。図2
(a)に示すような三葉断面形状となる吐出孔を48孔有
する紡糸口金を用い、芯成分αと鞘成分βが重量比率で
85/15となり、鞘成分βを溶剤で除去した後の繊維の繊
度が約75デニールとなるように吐出量を設定し、紡糸温
度290 ℃、紡糸速度3250m/分の条件で芯鞘複合繊維を
紡糸し、巻き取った。引き続いて、延伸速度 650m/
分、温度80℃で延伸した後、 135℃で熱処理し、75デニ
ール/48フィラメントの延伸糸を得た。なお、上記の複
合紡糸は、ニードルを吐出孔に挿入する紡糸口金を用い
て、ニードル内部に芯成分αを、ニードル外部に鞘成分
βを流入させることにより行った。紡糸時に用いるニー
ドルの形状を変えることにより、鞘成分βを溶出した後
に得られる三葉断面繊維の溝の数N及び溝の寸法を、種
々変更して紡糸を行った。なお、溝Bを設けたものにつ
いては、各凸部の基端側にそれぞれ等しい数となるよう
に設けた。得られた芯鞘複合繊維を経糸と緯糸に用い、
経糸密度85本/2.54cm、緯糸密度72本/2.54cmの条件で
平織に製織し、精練し、得られた織物をNaOH濃度4
%、処理温度95℃、処理時間40分の条件でアルカリ減量
処理して鞘成分βを完全に除去した(減量率32%) 。続
いて染色を施した後、乾燥して布帛を得た。得られた三
葉断面繊維の溝の数Nと溝の寸法を測定した結果、減量
率及び得られた布帛のスパンシルク調風合の評価結果を
表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】表1から明らかなように、実施例1〜6で
得られた三葉断面繊維からなる布帛は、ソフトな風合と
ドライ感及び優雅な光沢を有し、スパンシルク調風合の
評価も高かった。一方、比較例1の繊維は一つの凸部の
頂部に溝Aが1つしか存在しなかったため、比較例3の
繊維は凸部の頂部の溝Aの深さが1μm未満であったた
め、得られた布帛はドライ感の強調されすぎたペーパー
ライクなものであった。比較例2の繊維は溝の数が多す
ぎたため、比較例4の繊維は溝Aの深さが15μmを超え
たため、得られた布帛は毛ダオレを起こしピーチフェー
ス調の風合のものであった。
【0031】実施例7〜8、比較例5 実施例7は1つの凸部の頂部にのみ4個の溝Aと、凸部
の頂部以外の凸部の基端側に溝Bを14個有し、実施例8
は2つの凸部の頂部にそれぞれ4個の溝Aを、凸部の頂
部以外の凸部の基端側に溝Bを10個有し、比較例5は溝
Aを有さずに溝Bを18個有していた以外は、実施例5と
同様に行った。得られた繊維の溝の寸法を測定した結
果、減量率及び得られた布帛のスパンシルク調風合の評
価結果を表2に示す。
【0032】
【表2】
【0033】表2から明らかなように、実施例7、8で
得られた三葉断面繊維からなる布帛は、ソフトな風合と
ドライ感及び優雅な光沢を有し、スパンシルク調風合の
評価も高かった。一方、比較例5は凸部の頂部に溝Aを
有していない繊維であったため、得られた布帛はドライ
感のみが強調され、スパンシルク調風合に劣るものであ
った。
【0034】実施例9 図2(d)に示すような、六葉断面形状となる紡糸口金
を用いる以外は、実施例6と同様に行った。得られた六
葉断面繊維の溝の数Nは24個、各凸部の頂部に存在する
溝Aの数は2個、溝Aの深さH:5.2 〜6.4 μm、W/
H:0.6 〜1.0 、減量率16.1%であり、得られた布帛
は、ソフトな風合とドライ感及び優雅な光沢を有し、ス
パンシルク調風合の評価も92点と高得点であった。
【0035】
【発明の効果】本発明の芯鞘複合繊維は、減量処理を行
うことによって、容易に多葉形状の凸部の頂部に特定の
複数個の溝を有する多葉断面繊維とすることができる。
そして、本発明の多葉断面繊維からなる布帛は、毛羽感
を有するソフトな風合とドライ感が混然一体となり、さ
らには優雅な光沢をも有するスパンシルク調風合の織編
物を得ることが可能となる。さらに、本発明の多葉断面
繊維の製造方法によれば、製編織した後、減量処理を行
うことによって、容易に多葉断面繊維を得ることが可能
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)、(b)、(c)、(d)は、本発明の
多葉断面繊維の実施態様を示す断面図である。
【図2】(a)、(b)、(c)、(d)は、本発明の
芯鞘複合繊維の実施態様を示す断面図である。
【図3】図1(a)の凸部の一部拡大模式図である。
【符号の説明】
1 突起部 X 凸部 x 凸部の頂点 Z 凹部 α 芯成分 β 鞘成分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI D06M 101:32 D06M 101:32 (56)参考文献 特開 平8−127927(JP,A) 特開 平6−2234(JP,A) 特開 昭59−192709(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D01D 5/30 D01D 5/253 D01F 1/00 - 8/18 D06M 11/38

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 横断面形状が3個以上の凸部を有する多
    葉断面繊維であって、横断面形状において、凸部に全部
    で2〜30個の溝を有し、これらの溝のうち、少なくとも
    1つの凸部の頂部に、深さHが1〜15μmの溝Aを2個
    以上有していることを特徴とする多葉断面繊維。ただ
    し、凸部とは、横断面形状において、凹部と隣接する凹
    部との間で外側に突出する部分であり、凸部の頂部と
    は、凸部の頂点より引いた接線と、この接線と平行で接
    線との間隔が頂点から重心Sまでの距離の1/3の長さ
    である直線で挟まれる凸部をいう。
  2. 【請求項2】 横断面形状が3個以上の凸部を有し、芯
    成分の周囲全体が鞘成分で囲まれた芯鞘複合繊維であっ
    て、鞘成分を形成するポリマーが芯成分を形成するポリ
    マーより溶剤に対する溶解性が大なるポリマーで構成さ
    れており、芯成分は、凸部に全部で2〜 30 個の溝を有
    し、これらの溝のうち、少なくとも1つの凸部の頂部
    に、深さHが1〜 15 μmの溝Aを2個以上有している断
    面形態を有することを特徴とする芯鞘複合繊維。ただ
    し、凸部とは、横断面形状において、凹部と隣接する凹
    部との間で外側に突出する部分であり、凸部の頂部と
    は、凸部の頂点より引いた接線と、この接線と平行で接
    線との間隔が頂点から重心Sまでの距離の1/3の長さ
    である直線で挟まれる凸部をいう。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の芯鞘複合繊維を製編織し
    た後、減量処理を行うことを特徴とする多葉断面繊維の
    製造方法。
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