JPH09226078A - ポリエステルフイルム - Google Patents

ポリエステルフイルム

Info

Publication number
JPH09226078A
JPH09226078A JP3345496A JP3345496A JPH09226078A JP H09226078 A JPH09226078 A JP H09226078A JP 3345496 A JP3345496 A JP 3345496A JP 3345496 A JP3345496 A JP 3345496A JP H09226078 A JPH09226078 A JP H09226078A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
acid
polyester
resistance
heat
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP3345496A
Other languages
English (en)
Inventor
Seizo Aoki
精三 青木
Yukichi Deguchi
雄吉 出口
Takuya Kumagai
拓也 熊谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP3345496A priority Critical patent/JPH09226078A/ja
Publication of JPH09226078A publication Critical patent/JPH09226078A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】ポリエステルフイルムの少なくとも片面に
被膜を形成したフイルムであって、該被膜の表面カルボ
ン酸濃度が0.003以上であり、かつリン化合物を含
むことを特徴とするポリエステルフイルム。 【効果】本発明のポリエステルフイルムは、従来フイル
ムに比べ、被覆層にリン化合物を含有することにより、
耐湿熱ライフ性に優れ、かつ、さらなる高温下での耐湿
熱ライフ性に優れたポリエステルフルムガ得られた。ま
た、この結果、各種電気特性を維持し、特に高温下での
絶縁抵抗が高く、接着性、耐電圧に優れたフイルムが得
られ、その結果、高温高湿下における寿命が大幅に改良
され、かつコンデンサ破壊の無い優れたコンデンサ用ポ
リエステルフイルムが得られたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はコンデンサ用に好適
なポリエステルフイルムに関するものであり、さらに詳
しくは耐電圧、低誘電損失、滑り性や巻取性などの取り
扱い性に優れ、かつ耐湿熱ライフ性に優れたポリエステ
ルフイルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、コンデンサ用ポリエステルフイル
ムなどにおいてはその表面に各種被覆材料をコーティン
グすることが特開平5−275276号公報などで知ら
れており、さらに、ガラス転移温度が70℃以下の被覆
材料をコートすることが特開平4−338620号公報
などで知られており、特定物質をコートすることにより
耐湿熱特性を改良させることなどが知られている。さら
に、特公昭60−23983号公報ではカルボキシル基
濃度を特定量以上のものを複合し接着性を改良すること
が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記手法では
その目的に対してはそれなりの効果が期待できるが、耐
湿熱ライフ性のさらなる向上が求められ、かつ使用条件
の過酷からさらに高温下における耐湿熱ライフ特性の改
良が求められている。本発明においては、前述したコン
デンサ用途においてさらなる耐湿熱ライフ特性に優れ、
かつ、さらなる高温下の耐湿熱ライフ特性の向上(以下
耐湿熱ライフ性は両者を含めたものとして言う)を目的
とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するために、次ぎの構成すなわち、ポリエステルフ
イルムの少なくとも片面に被膜を形成したフイルムであ
って、該被膜の表面カルボン酸濃度が0.003以上で
あり、かつリン化合物を含むことを特徴とするポリエス
テルフイルムである。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明におけるポリエステルフイ
ルムに用いられるポリエステルとは、エステル化によっ
て高分子化されている結晶性の熱可塑性樹脂組成物であ
り、このようなポリエステルはジカルボン酸成分とグリ
コール成分を重縮合することによって得られる。
【0006】ジカルボン酸成分としては、テレフタル
酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘ
キサンジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸な
どが挙げられ、グリコール成分としては、エチレングリ
コール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコ
ール、シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。
これらのうち酸成分としてはテレフタル酸、ナフタレン
−2,6−ジカルボン酸が好ましく、グリコール成分と
してはエチレングリコールが好ましい。
【0007】該ポリエステルの融点は250℃以上であ
るのが耐熱性の点から好ましく、また、300℃以下で
あるのが生産性の点から好ましい。このような好ましい
ポリエステルとしてはポリエチレンテレフタレート、ポ
リエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ−1,4−シ
クロヘキシレンジメチレンテレフタレートを挙げること
ができる。
【0008】これらのポリマには他の成分が共重合、ブ
レンドされていることは差し支えない。
【0009】また、本発明のポリエステルの全ポリマー
量に対する金属元素量(M)とリン元素量(P)との比
(M/P)は、1.8以下が好ましく、より好ましくは
1.4以下、さらに好ましくは1.2以下、特に好まし
くは1以下であるのが常温及び高温における絶縁抵抗が
向上し好ましい。また、耐湿熱ライフ特性をも向上させ
るため好ましい。
【0010】本発明のポリエステルは、その極限粘度
[η]が0.5dl/g以上が好ましく、させに好まし
くは0.6dl/g以上、より好ましくは0.65dl
/g以上、特に好ましくは0.7dl/g以上がコンデ
ンサ用においては耐圧性、機械特性、耐湿熱ライフ特性
の点で好ましく、回収性の点からも好ましい。
【0011】このポリエステルフイルムは、少なくとも
一軸または二軸延伸(配向)を行なう必要があり、ま
た、機械的特性、熱的特性、電気的特性からも好まし
い。被覆層については配向状態であっても未配向状態で
あってもよい。
【0012】本発明の被膜を形成する樹脂は、特に限定
されるものではなくポリエステル系樹脂、ポリウレタン
系樹脂、アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂などいかな
るものであってもよい。しかし、回収性(再使用)の観
点からポリエステル系樹脂やアクリル系樹脂が好まし
く、より好ましくはポリエステル系樹脂がよい。
【0013】このポリエステル系樹脂は、ジカルボン酸
成分とグリコール成分を重縮合することにより得られる
が、シカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフ
タル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン
酸、トリメチルアジピン酸、セバシン酸、マロン酸、ジ
メチルマロン酸、コハク酸、グルタール酸、ピメリン
酸、2,2−ジメチルグルタール酸、アゼライン酸、フ
マール酸、マレイン酸、イタコン酸、1,3−シクロペ
ンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボ
ン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−
ナフタール酸、ジフェニン酸、4,4’−オキシ安息香
酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ
る。このカルボン酸は酸無水物、エステル、クロライド
などであってもよく、例えば、1,4−シクロヘキサン
ジカルボン酸ジメチル、2,6−ナフタレンジカルボン
酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジメ
チル、テレフタル酸ジフェニルなどが挙げられる。なか
でもテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレン
ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸成分などが好ま
しく用いられる。
【0014】グリコール成分としては、エチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオー
ル、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオ
ール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオ
ール、1,10−デカンジオール、2,4−ジメチル−
2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、ネオペンチル
グリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパ
ンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プ
ロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオー
ル、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオー
ル、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シ
クロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジ
メタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−
シクロブタンジオール、4,4’−チオジフェノール、
ビスフェノールA、4,4’−メチレンジフェノール、
4,4’−(2−ノルボルニリデン)ジフェノール、
4,4’−ジヒドロキシビフェノール、o−,m−,お
よびp−ジヒドロキシベンゼン、4,4’−イソプロピ
リデンフェノール、4,4’−イソプロピリデンビス
(2,6−ジクロロフェノール)、2,5−ナフタレン
ジオール、p−キシレンジオール、シクロペンタン−
1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオー
ル、シクロヘキサン−1,4−ジオールなどが挙げられ
る。なかでもエチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールAなどが
好ましく用いられる。
【0015】ポリウレタン系樹脂としては、水溶性およ
び/または水分散性樹脂が挙げられ、そのその具体例と
してはポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウ
レタンなどが挙げられ、この側鎖にカルボン酸を有する
ものとする具体例としては2,2−ジメチロールプロピ
オン酸、2,2−ジメチロール酪酸,2,2−ジメチロ
ール吉草酸などが挙げられる。この製造方法としては特
開昭61−228030などの方法で製造される。
【0016】本発明の被膜を形成する樹脂は、少なくと
もその1種の樹脂のガラス転移温度が70℃を超えるこ
とが好ましく、さらに好ましくは75℃、より好ましく
は75〜160℃であるのが好ましい。70℃以下では
誘電損失の増大や耐電圧が低下し、コンデンサとして使
用した場合、破壊を起こすなどの問題を生じる。特に高
温領域において誘電損失が大きくなり、低周波領域で著
しく悪化する。また、セルフヒール性も悪化する方向に
なり好ましくない。また、160℃を超える温度におい
ては延伸性が悪化し安定してフイルムが得られなかった
り、表面欠点などの問題を生じる。また接着性の不良を
招き耐湿熱ライフ性の悪化を起こしたり、積層コンデン
サとしたとき、形態保持性が悪く、積層が崩れやすくな
り生産時の取扱いが難しく収率の低下をきたすなどの問
題がある。
【0017】このガラス転移温度を得るには、前述した
被覆樹脂のポリエステル系樹脂やポリエステルウレタン
系樹脂の場合、そのジカルボン酸成分として2,6−ナ
フタレンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン
酸、ベンゾフェノンジカルボン酸、グリコール成分とし
ては1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シ
クロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジ
メタノール、ビスフェノールA、ジヒドロキシベンゾフ
ェノン、キシリレングリコールなどを適宜組み合わせて
共重合することや後述する多価カルボン酸のピロメリッ
ト酸、ナフタレンテトラカルボン酸、5,(2,5−ジ
オキソテトラヒドロフルフリル)−3−メチル−3−シ
クロヘキセン−1,2−ジカルボン酸などを共重合する
方法などにより得られる。また、これら以外の酸および
グリコール成分を適宜組み合わせることによっても得ら
れる。
【0018】本発明においては、被覆層に少なくともリ
ン化合物を有する必要があり、好ましくは1〜3000
ppm以上、さらに好ましくは10〜2000ppm、
より好ましくは100〜1000ppmである。リン化
合物を有することにより、耐湿熱ライフ性や常温や高温
時の絶縁抵抗が向上する。また、このリン化合物の効果
は、金属化合物を有するときにも、耐湿熱ライフ性や常
温や高温時の絶縁抵抗が向上する。この場合全被覆ポリ
マーに対する金属元素量(M)とリン元素量の比(M/
P)が0.1〜1.8が好ましく、さらに好ましくは
0.2〜1.4、より好ましくは0.3〜1が耐湿熱ラ
イフ性、絶縁抵抗の向上する点で好ましい。
【0019】このリン化合物としては、リン酸、亜リン
酸、ホスホン酸、ホスフィン酸およびこれらのエステル
もしくは部分エステルから選ばれた少なくとも1種のリ
ン化合物である。
【0020】これらのリン化合物は、重合時(反応完了
前に)添加したり、溶融押し出し前にポリマーを溶融さ
せ添加し、溶融押し出し時や塗布溶液において添加して
もよい。また、事前に高濃度のマスターチップを作成
し、製膜時に薄めてもよく、使用濃度に合わせたポリマ
ーで直接使用してもよい。
【0021】本発明においては、このガラス転移温度が
70℃を超える樹脂のみであってもよく、2種以上の混
合物であってもよく、この場合、ガラス転移温度が70
℃を越える樹脂が50%以上、好ましく75%以上、よ
り好ましくは90%以上が良い。接着性と耐湿熱ライフ
性、誘電損失、耐電圧などを満足させるためには本手法
が好ましい場合もある。
【0022】本発明のポリエステルフイルムにおいては
その表面のカルボン酸濃度が0.003以上必要であ
り、好ましくは0.005以上、より好ましくは0.0
08以上、さらに好ましくは0.015〜0.07であ
る。0.003未満ではコンデンサにおける耐湿熱ライ
フ性や易接着性の改良が不十分となる。また、必要以上
に多くなると耐湿熱ライフ性、回収性などが悪化する方
向になるため好ましくない。
【0023】このカルボン酸は、特公昭60−2398
3号公報のように末端カルボン酸を利用したものでは耐
湿熱ライフ特性、易接着性は十分でなく、側鎖またはペ
ンダントにカルボン酸を有するものが、優れており好ま
しい。
【0024】また、この側鎖にカルボン酸を有するポリ
エステル系樹脂は、特開昭54−46294号公報、特
開昭60−209073号公報、特開昭62−2403
18号公報、特開昭53−26828号公報、特開昭5
3−26829号公報、特開昭53−98336号公
報、特開昭56−116718号公報、特開昭61−1
24684号公報などに記載の3価以上の多価カルボン
酸を共重合した樹脂により製造することができる。ま
た、これら以外の方法であってもよい。
【0025】この3価以上の多価カルボン酸としては、
例えばトリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリ
ット酸、無水ピロメリット酸、4−メチルシクロヘキセ
ン−1,2,3−トリカルボン酸、トリメシン酸、1,
2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4
−ペンタンテトラカルボン酸、3,3‘,4,4’−ベ
ンゾフェノンテトラカルボン酸、5,(2,5−ジオキ
ソテトラヒドロフルフリル)−3−メチル−3−シクロ
ヘキセン−1,2−ジカルボン酸、5−(2,5−ジオ
キソテトラヒドロフルフリル)−3−シクロヘキセン−
1,2−ジカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテ
トラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカ
ルボン酸、エチレングリコールビストリメリテート、
2,2’,3,3’−ジフェニルテトラカルボン酸、チ
オフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸、エチレ
ンテトラカルボン酸などが挙げられる。これらの中で特
に好ましいものとしては、ポリエステル共重合体とした
時、昇温とともに分子量が増加するが、降温とともに分
子量が増加する(元の分子量である必要はない)、すな
わち、分子量が可逆的に変化をするものが再使用時の溶
融粘度低下、着色、ゲル化による異物の発生、発泡など
が起こり難いため好ましい。この具体例としては、5,
(2,5−ジオキソテトラヒドロフルフリル)−3−メ
チル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸など
が挙げられる。
【0026】本発明の被膜を形成された配向ポリエステ
ルフイルムはその表面粗さRaが0.008〜0.8μ
mが好ましく、より好ましくは0.01〜0.6μmで
あるのが好ましい。0.008μm未満では、滑り性が
悪化し、材料によってはブロッキングを起こし、取り扱
いが困難となったり巻取性が悪化する。また0.8μm
を超えるものでは平滑性が悪く耐湿熱ライフ性、耐電圧
などの点で問題を生じる場合がある。
【0027】この被覆層は、二軸延伸製膜における延伸
前や一軸延伸後二軸目の延伸前に前述した被覆樹脂の水
分散性樹脂及び/または水溶性樹脂をコートし、延伸す
る方法によって得られるが、ホットメルト、水以外の溶
媒を用いて、オフライン、インラインコートなどであっ
てもよく、溶融押し出し法で前述の押し出しや他樹脂と
のブレンドなどによっても良い。
【0028】本発明における被膜層の厚みは少なくとも
片面に、0.01〜5μm、好ましくは0.02〜2μ
mである。0.01μm未満では、滑り性、素子巻性な
どが悪く、耐湿熱ライフ性の改良効果も不十分となり好
ましくない。また、5μmを超えるものではコンデンサ
用途においては、耐電圧性、コロナ放電破壊など各種電
気特性の悪化やセルフヒール性などが悪化する。
【0029】フイルムの巻取り性や滑り性、コンデンサ
素子巻性をよくするために、基材ポリエステル層や被膜
層に微粒子の添加をおこなってもよく、この粒子として
は無機粒子や有機粒子などいかなるものであってもよ
く、無機粒子としては、シリカ、アルミナ、ジルコニ
ア、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、燐酸カルシウ
ム、酸化チタンなど、有機粒子としては、アクリル酸
類、スチレン、ポリエステル等を構成成分とするものな
どが挙げられる。前述した表面粗さを構成する粒子サイ
ズや添加量で合わせるのがよい。
【0030】次に本発明のポリエステルフィルムの製造
方法について説明するが必ずしもこれに限定されるもの
ではない。
【0031】まず、基材となるポリエステルを押出機に
て溶融押出し、冷却ロール上でガラス転移点以下に冷
却、キャストし、ガラス転移点以上に加熱したのち、長
手方向に2.8〜7.5倍延伸し、前述の被覆樹脂をコ
ート(必要により基材表面をコロナ放電処理を行ない)
し、さらにステンタにて基材ポリエステルのTg〜17
0℃に予熱した後、3〜12倍に幅方向に延伸し、必要
により弛緩しながら基材ポリエステルの融点未満の温
度、好ましくは235℃以下、より好ましくは225
℃、さらに好ましくは220〜200℃で熱固定するの
が誘電損失を低減させるために好ましい。
【0032】次にコンデンサの場合の内部電極となる金
属蒸着は真空、蒸着法によって得られ、蒸発源から金属
を蒸発させ、本発明のポリエステルフイルム上に蒸着膜
を形成する。この蒸発源としては抵抗加熱方式のボート
形式や、輻射あるいは高周波加熱によるルツボ形式や、
電子ビーム加熱による方式などがあるが、特に限定され
ない。
【0033】この蒸着に用いる金属としては、Al、Z
n、Mg、Snなどの金属が好ましいが、Ti、In、
Cr、Ni、Cu、Pb、Feなども使用できる。これ
らの金属はその純度が99%以上、望ましくは99.5
%以上の粒状、ロッド状、タブレット状、ワイヤー状あ
るいはルツボの形状に加工したものが好ましい。
【0034】また、この蒸着の場合は、特にアルミニウ
ムが生産性、コスト面から好ましく、少なくとも片面に
アルミニウムを蒸着して、アルミニウム蒸着膜を設ける
が、この時アルミニウムと同時あるいは逐次にたとえば
ニッケル、銅、金、銀、クロム、亜鉛などの他の金属成
分も蒸着することができる。
【0035】また、該アルミニウムの厚さは、使用目的
により異なるが2〜100nmであることがコンデンサ
特性特にセルフヒール性の点で好ましい。
【0036】また、コンデンサ用途においては、さらに
アルミニウムの蒸着膜表面のアルミニウム酸化指数が
1.65以下が好ましく、より好ましくは1.45〜
1.6が耐湿熱ライフ性がより一層向上するため好まし
い。
【0037】また、本発明のポリエステルフイルムは1
50℃、30分の加熱収縮率が、コンデンサとしたのち
少なくとも長手方向で2%以下が好ましく、より好まし
くは1.5%以下、さらに好ましくは1%以下であるの
が蒸着後の加熱によるシワ防止の点から好ましい。
【0038】
【特性の評価方法】
(1)ポリエステルの極限粘度[η] ポリエステルフイルムをオルソクロロフェノールに溶解
し、25℃において測定した。
【0039】(2)フイルムの表面粗さRa JIS−B0601に準じて測定する。
【0040】(3)アルミニウム蒸着膜表面のアルミニ
ウム酸化指数 蒸着膜表面を軟X線光電子分光法で分析する。試料がコ
ンデンサとなっている時は解体して蒸着面を空気中に暴
露して試料とする。測定によって得られるピーク面積比
を各原子の相対感度因子で補正して得られる原子数比お
よび各原子の結合状態によりシフトしたピークを分割し
て求められる成分割合より、アルミニウム酸化指数O/
Alを次式によって求める。
【0041】O/Al=[O(Al oxide)/Al(Tota
l )]/[Al(III )/Al(Total )] ここで[Al(III )/Al(Total )]はアルミニウ
ム原子のピークを分割して得られたAl(III )の存在
比、また[O(Al oxide)/Al(Total )]はアルミ
ニウムに対する全酸素濃度から酸素単体およびアルミニ
ウム以外の元素と結合した酸素濃度を差し引いて求めら
れる。すなわち、例えば炭素と結合した酸素の濃度は、
炭素のピークを分割して求められる。このとき、酸素を
含む官能基がいくつか考えられたり、あるいは結合エネ
ルギーが接近しているため分離ができない等、酸素の量
が特定できない場合には最も多くの酸素が炭素と結合し
ているものと見積もる。同様にして、他の元素に結合し
た酸素についても結合酸素量を求め、合計した値を全酸
素濃度から差し引く。測定条件を以下に示す。
【0042】 装置 :島津製作所製 ESCA750 励起X線 :MgKα1.2線(1253.6e
V) エネルギー補正:C1Sメインピークの結合エネルギーを
284.6eVとする 光電子脱出角度:90度
【0043】(4)コンデンサの耐湿熱ライフ性 コンデンサを60℃、95%RHの雰囲気下で400V
DCを印加し、エージングして静電容量変化率を測定し
た。この静電容量変化率ΔC/Cが10%低下するまで
の時間で示し、耐湿ライフ試験結果とした。この時間が
長いほど耐湿熱ライフ性が良い。ここで、Cはエージン
グ前の静電容量、ΔCはエージング前後の静電容量変化
量である。高温下の耐湿熱ライフ性は雰囲気温度を85
℃にした以外はすべて同一条件とした。
【0044】(5)シート平均耐電圧 JIS−2110に準じ、シートBDV(絶縁破壊電
圧)DCにて測定した。陰極に厚み100μm、10c
m角アルミ箔電極、陽極に真鋳製25mmφ、500g
の電極を用い、この間にフイルムをはさみ、春日製高電
圧直流電源を用いて、100V/secの割合で昇圧し
ながら印加し、10mA以上の電流が流れた場合を絶縁
破壊したものとし、これを30回測定し、その平均値の
電圧で示した。
【0045】(6)コンデンサの製造 フイルムの片面に表面抵抗値が2Ωとなるようにアルミ
ニウムを真空蒸着した。その際、長手方向に走るマージ
ン部を有するストライプ状に蒸着した(蒸着部の幅8m
m、マージン部の幅1mmの繰り返し)。次に各蒸着部
の中央と各マージン部の中央に刃を入れてスリットし、
左もしくは右に0.5mmのマージンを有する全幅4.
5mmのテープ状に巻取リールにした。
【0046】得られたリールの左マージンおよび右マー
ジンのもの各1枚づつを重ね合わせて巻回し、静電容量
約0.047μFの巻回体を得た。その際、幅方向に蒸
着部分がマージン部より0.5mmはみだすように2枚
のフイルムをずらして巻回した。この巻回体から芯材を
抜いて、そのまま150℃、1MPaの温度、圧力で5
分間プレスした。これに両端面にメタリコンを溶射して
外部電極とし、メタリコンにリード線を溶接して巻回型
コンデンサ素子を得た。
【0047】(8)ガラス転移温度(Tg) セイコー電子工業(株)製“ロボット”DSC、RDC
220、SSC5200HDISK STATIONを
用い、2〜5mmgをサンプリングし、昇温速度20℃
/minで測定し、求めた。また、この測定で検出され
ない場合は昇温を250℃まで行い、液体窒素で急冷
し、再度前述条件で昇温測定した。また、両方にガラス
転移温度が認められる場合、高く出る方を使用した。
【0048】被覆層を基材から溶剤で溶解し、溶剤を飛
ばし、被覆樹脂のみを取り出し、困難場合は被覆層のみ
掻き削り測定サンプルとした。基材、被覆層の樹脂が明
らかな場合は、その素材をサンプルとした。
【0049】(9)表面のカルボン酸濃度 島津製作所製 ESCA750を使用し、次ぎの条件で
測定した。
【0050】励起X線:MgKα1,2線(1253.6eV) 光電子脱出角度θ:90゜ 標準サンプルは、ポリアクリル酸(PAA)フイルムを
使用した。標準サンプル、測定サンプル共に以下の気相
化学修飾反応を実施した。
【0051】
【化1】 試料フイルムと標準試料であるPAAフイルムを約1c
m角に切り、デシケータ中で空気雰囲気下、ピリジンと
ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を触媒と
し、トリフルオロエタノール(TFE)により、フイル
ム表面カルボン酸のエステル化を行なった(試料フイル
ムとPAAフイルムは同一バッチでおこなった)。
【0052】PAA標準試料からTFEとの反応率
(r)と反応触媒として用いたDCCの残留率(m)を
求め、各試料のC1S、F1Sのピーク面積にrとmを配慮
してフイルム表面カルボン酸濃度(−COOH/C[to
tal ])を求めた。
【0053】(10)素子巻性 前述のコンデンサ製造方法において、素子巻を終えたも
のをプレス工程に入る前に解体し、2枚のフイルムの蛇
行状態で判断した。蛇行が0.5mm未満を良好として
○で示し、1mm以上は使用負荷として×で示した。ま
た、その中間のものを△で示した。
【0054】(11)滑り性 摩擦係数にて評価した。摩擦係数の評価法としてはAS
TM−D1894に準じた。
【0055】(12)リン化合物の検出方法 蛍光X線法(ガイガーフレックス社製IKF3064
型)、検出不可能なものについては原子吸光法で測定
し、全ポリマー量に対するリン元素量(P)で求めた。
【0056】(13)金属元素の検出方法とM/P (12)と同様の測定方法を用い、全ポリマー量に対す
る金属元素量(M)を求める。M/Pは(12)で求め
たPとの量比で示した。
【0057】
【実施例】以下本発明を実施例に基づき説明する。
【0058】比較例1 ポリエステル樹脂としてポリエチレンテレフタレート
(IV=0.65)を用い、180℃で真空乾燥し、押
出機に供給し、285℃で溶融させたのちTダイよりシ
ートを吐出させ、冷却ドラムにてキャストした。このフ
イルムを90℃に加熱し、長手方向に3.3倍延伸し、
下記被覆剤を両面に被覆したのち、幅方向に延伸し、2
15℃で3.5%弛緩処理を行い、5.4μmの二軸延
伸フイルムを得た。
【0059】比較例2 被覆剤としてテレフタル酸0.14mol、イソフタル
酸0.86molとジエチレングリコール0.35mo
l、ネオペンチルグリコール0.67molを触媒の存
在下、190〜220℃で溜出する水を除去しながら6
時間反応し、その後、250℃減圧下にて1時間縮合反
応させ、プレポリマを得、次に5−(2,5−ジオキソ
テトラヒドロフルフリル)−3−メチル−3−シクロヘ
キセン−1,2−ジカルボン酸無水物0.14molを
仕込み、140℃、3時間選択的モノエステル化反応
し、ポリマを得た。このポリマーは酸化が66KOHm
g/gであった。さらにこのポリマーをアンモニアで中
和したものを水溶液とした。この被覆剤を比較例1と同
様の条件で製膜し、このさい、長手方向に延伸したあ
と、本被覆剤を被膜厚み0.1μmとなるように両面に
塗布した。全フイルム厚み5.4μmの二軸延伸フイル
ムを得た。
【0060】実施例1〜3 被覆剤として比較例2と同様のポリマに、亜リン酸をリ
ン元素量が全被膜ポリマー量の10、100、500p
pmになるよう添加し、減圧下250℃で15分間混合
し、このポリマーを比較例1と同様にアンモニアで中和
したものを水溶液としたものを用いた以外は比較例2と
同様に製膜し、全フイルム厚み5.4μmの二軸延伸フ
イルムを得た。
【0061】実施例4 被覆剤として“ハイドラン”AP−40(大日本インキ
化学工業(株)製)に全被膜ポリマー当たりリン酸をリ
ン元素量で100ppmとなるよう添加したものを用い
た以外は比較例2と同様に製膜し、全フイルム厚み5.
4μmの二軸延伸フイルムを得た。
【0062】実施例5 被覆剤として“ハイドラン”HW−350(大日本イン
キ化学工業(株)製)に全被膜ポリマー当たりリン酸を
リン元素量で100ppmとなるよう添加したものを用
いた以外は比較例2と同様に製膜し、全フイルム厚み
5.4μmの二軸延伸フイルムを得た。
【0063】これらの結果を表1に示したが、被膜の表
面カルボン酸濃度が0.003以上で、かつリン化合物
を含有するより、耐湿熱ライフ性に優れ、かつ、さらな
る高温下での耐湿熱ライフ性に優れたポリエステルフル
ムが得られた。
【0064】
【表1】
【0065】
【発明の効果】本発明のポリエステルフイルムは、従来
フイルムに比べ、被覆層にリン化合物を含有することに
より、耐湿熱ライフ性に優れ、かつ、さらなる高温下で
の耐湿熱ライフ性に優れたポリエステルフルムが得られ
た。
【0066】また、この結果、各種電気特性を維持し、
特に高温下での絶縁抵抗が高く、接着性、耐電圧に優れ
たフイルムが得られ、その結果、高温高湿下における寿
命が大幅に改良され、かつコンデンサ破壊の無い優れた
コンデンサ用ポリエステルフイルムが得られたものであ
る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルフイルムの少なくとも片面
    に被膜を形成したフイルムであって、該被膜の表面カル
    ボン酸濃度が0.003以上であり、かつリン化合物を
    含むことを特徴とするポリエステルフイルム。
  2. 【請求項2】 被膜のガラス転移温度が70℃を超える
    ことを特徴とする請求項1に記載のポリエステルフイル
    ム。
JP3345496A 1996-02-21 1996-02-21 ポリエステルフイルム Pending JPH09226078A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3345496A JPH09226078A (ja) 1996-02-21 1996-02-21 ポリエステルフイルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3345496A JPH09226078A (ja) 1996-02-21 1996-02-21 ポリエステルフイルム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09226078A true JPH09226078A (ja) 1997-09-02

Family

ID=12386992

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3345496A Pending JPH09226078A (ja) 1996-02-21 1996-02-21 ポリエステルフイルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09226078A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20040022264A (ko) * 2002-09-03 2004-03-12 에스케이씨 주식회사 이축배향 폴리에틸렌나프탈레이트 필름
JP2012182910A (ja) * 2011-03-01 2012-09-20 Nitto Shinko Kk モータ用絶縁シート

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20040022264A (ko) * 2002-09-03 2004-03-12 에스케이씨 주식회사 이축배향 폴리에틸렌나프탈레이트 필름
JP2012182910A (ja) * 2011-03-01 2012-09-20 Nitto Shinko Kk モータ用絶縁シート

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2006104116A1 (ja) 二軸配向ポリエステルフィルムおよび金属調積層フィルム
JP2005229104A (ja) コンデンサ用二軸配向ポリエステルフィルム、金属化ポリエステルフィルムおよびフィルムコンデンサ
JP4706680B2 (ja) 複合フィルム
JP4208055B2 (ja) 容器成形用二軸延伸ポリエステルフイルム
JP3757488B2 (ja) 金属板ラミネート用積層フイルム
JPH09226078A (ja) ポリエステルフイルム
JP3693457B2 (ja) コンデンサー用フィルム
JP3873334B2 (ja) ラミネート用二軸延伸ポリエステルフイルム
JP4069717B2 (ja) 積層フィルム
JPH09302111A (ja) コンデンサー用ポリエステルフイルム
JP3031301U (ja) ポリエステルフイルムコンデンサー
JPH0919991A (ja) ポリエステルフイルム、金属化ポリエステルフイルムおよびフイルムコンデンサ
JP3546510B2 (ja) 金属板ラミネート用積層フイルム
JPH09306780A (ja) コンデンサー用ポリエステルフイルム、コンデンサー用金属化ポリエステルフイルムおよびフイルムコンデンサー
JP2001072841A (ja) 成形加工用二軸延伸ポリエステルフィルムおよび成形加工積層体
JP2002273844A (ja) 電気絶縁用二軸配向積層ポリエステルフィルム
JPH106461A (ja) ポリエステルフィルム、金属化ポリエステルフィルムおよびフィルムコンデンサー
JP2000129008A (ja) 金属板貼合わせ成形加工用ポリエステルフィルム
JP3829424B2 (ja) コンデンサ用ポリエステルフィルムおよびフィルムコンデンサ
JP3018543B2 (ja) ポリフェニレンスルフィド積層フィルムおよびそれを用いてなるコンデンサ
JPH07178885A (ja) 熱可塑性樹脂フイルム
JPH08267684A (ja) ポリエステルフイルム
JP2006007423A (ja) バックグラインドテープ用ポリエステルフィルム
JPH0970934A (ja) ラミネート用積層ポリエステルフイルム
JP2864673B2 (ja) 金属化ポリエステルフィルムコンデンサ