JPH0919991A - ポリエステルフイルム、金属化ポリエステルフイルムおよびフイルムコンデンサ - Google Patents

ポリエステルフイルム、金属化ポリエステルフイルムおよびフイルムコンデンサ

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JPH0919991A
JPH0919991A JP17342395A JP17342395A JPH0919991A JP H0919991 A JPH0919991 A JP H0919991A JP 17342395 A JP17342395 A JP 17342395A JP 17342395 A JP17342395 A JP 17342395A JP H0919991 A JPH0919991 A JP H0919991A
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film
acid
polyester
polyester film
capacitor
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JP17342395A
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Seizo Aoki
精三 青木
Yukichi Deguchi
雄吉 出口
Takashi Ueda
隆司 上田
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Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】ポリエステルフイルムの少なくとも片面に被膜
を形成したフイルムであって、該被膜の表面カルボン酸
濃度が0.003以上であり、かつその被膜のガラス転
移温度が80℃を超えることを特徴とするポリエステル
フイルム。 【効果】従来フイルムに比べ、表面カルボン酸濃度を
0.003以上とし、かつ被覆層のガラス転移温度を7
5℃以上とすることにより、耐湿熱ライフ性に優れ、か
つ誘電損失の小さいフイルムが得られ、その結果、高温
高湿下における寿命が大幅に改良され、かつ誘電損失増
加によるコンデンサ破壊の無い優れたコンデンサ用ポリ
エステルフイルムが得られたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はコンデンサ用に好適
なポリエステルフイルムに関するものであり、さらに詳
しくは耐電圧、低誘電損失、滑り性や巻取性などの取り
扱い性に優れ、かつ耐湿熱ライフ性に優れたポリエステ
ルフイルムに関するものである。さらには、そのような
フイルムを用いた金属化ポリエステルフイルムおよびフ
イルムコンデンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、コンデンサ用ポリエステルフイル
ムなどにおいてはその表面に各種被覆材料をコーティン
グすることが特開平5−275276号公報などで知ら
れており、さらに、ガラス転移温度が70℃以下の被覆
材料をコートすることが特開平4−338620号公報
などで知られており、特定物質をコートすることにより
耐湿熱特性を改良させることなどが知られている。さら
に、特公昭60−23983号公報ではカルボキシル基
濃度を特定量以上のものを複合し接着性を改良すること
が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記手法では
その目的に対してはそれなりの効果が期待できるが、被
覆物質の影響で電気特性すなわち誘電損失や耐電圧が悪
化する問題点を有する。誘電損失の悪化は低温領域でも
悪く、高温時に特に悪い、また低周波域での高温時誘電
損失は著しく悪化するなどの問題を生じる。
【0004】本発明においては、前述したコンデンサ用
途において耐湿熱ライフ特性に優れ、誘電損失が小さ
く、接着性、耐電圧性にも優れたポリエステルフイルム
を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するために、ポリエステルフイルムの少なくとも片
面に被膜を形成したフイルムであって、該被膜の表面カ
ルボン酸濃度が0.003以上であり、かつその被膜の
ガラス転移温度が80℃を超えることを特徴とするポリ
エステルフイルムである。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明におけるポリエステルフイ
ルムに用いられるポリエステルとは、エステル化によっ
て高分子化されている結晶性の熱可塑性樹脂組成物であ
り、このようなポリエステルはジカルボン酸成分とグリ
コール成分を重縮合することによって得られる。
【0007】ジカルボン酸成分としては、テレフタル
酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘ
キサンジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸な
どが挙げられ、グリコール成分としては、エチレングリ
コール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコ
ール、シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。
これらのうち酸成分としてはテレフタル酸、ナフタレン
−2,6−ジカルボン酸が好ましく、グリコール成分と
してはエチレングリコールが好ましい。
【0008】該ポリエステルの融点は250℃以上であ
るのが耐熱性の点から好ましく、また、300℃以下で
あるのが生産性の点から好ましい。このような好ましい
ポリエステルとしてはポリエチレンテレフタレート、ポ
リエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ−1,4−シ
クロヘキシレンジメチレンテレフタレートを挙げること
ができる。
【0009】これらのポリマには他の成分が共重合、ブ
レンドされていることは差し支えない。
【0010】本発明のポリエステルは、その極限粘度
[η]が0.5dl/g以上、好ましくは0.6dl/
g以上、より好ましくは0.65dl/g以上、さらに
好ましくは0.7dl/g以上がコンデンサ用において
は耐圧性、機械特性、耐湿熱ライフ特性の点で好まし
く、回収性の点からも好ましい。
【0011】このポリエステルフイルムは、少なくとも
一軸または二軸延伸(配向)を行なう必要があり、ま
た、機械的特性、熱的特性、電気的特性からも好まし
い。被覆層については配向状態であっても未配向状態で
あってもよい。
【0012】本発明の被膜を形成する樹脂は、特に限定
されるものではなくポリエステル系樹脂、ポリウレタン
系樹脂、アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂などいかな
るものであってもよい。しかし、回収性(再使用)の観
点からポリエステル系樹脂やアクリル系樹脂が好まし
く、より好ましくはポリエステル系樹脂がよい。
【0013】このポリエステル系樹脂は、ジカルボン酸
成分とグリコール成分を重縮合することにより得られる
が、シカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフ
タル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン
酸、トリメチルアジピン酸、セバシン酸、マロン酸、ジ
メチルマロン酸、コハク酸、グルタール酸、ピメリン
酸、2,2−ジメチルグルタール酸、アゼライン酸、フ
マール酸、マレイン酸、イタコン酸、1,3−シクロペ
ンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボ
ン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−
ナフタール酸、ジフェニン酸、4,4’−オキシ安息香
酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ
る。このカルボン酸は酸無水物、エステル、クロライド
などであってもよく、例えば、1,4−シクロヘキサン
ジカルボン酸ジメチル、2,6−ナフタレンジカルボン
酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジメ
チル、テレフタル酸ジフェニルなどが挙げられる。なか
でもテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレン
ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸成分などが好ま
しく用いられる。
【0014】グリコール成分としては、エチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオー
ル、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオ
ール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオ
ール、1,10−デカンジオール、2,4−ジメチル−
2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、ネオペンチル
グリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパ
ンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プ
ロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオー
ル、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオー
ル、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シ
クロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジ
メタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−
シクロブタンジオール、4,4’−チオジフェノール、
ビスフェノールA、4,4’−メチレンジフェノール、
4,4’−(2−ノルボルニリデン)ジフェノール、
4,4’−ジヒドロキシビフェノール、o−,m−,お
よびp−ジヒドロキシベンゼン、4,4’−イソプロピ
リデンフェノール、4,4’−イソプロピリデンビス
(2,6−ジクロロフェノール)、2,5−ナフタレン
ジオール、p−キシレンジオール、シクロペンタン−
1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオー
ル、シクロヘキサン−1,4−ジオールなどが挙げられ
る。なかでもエチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールAなどが
好ましく用いられる。
【0015】ポリウレタン系樹脂としては、水溶性およ
び/または水分散性樹脂が挙げられ、そのその具体例と
してはポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウ
レタンなどが挙げられ、この側鎖にカルボン酸を有する
ものとする具体例としては2,2−ジメチロールプロピ
オン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロ
ール吉草酸などが挙げられる。この製造方法としては特
開昭61−228030号公報などの方法で製造され
る。
【0016】また、アクリル系樹脂としてはアルキルア
クリレートやこれを主成分としたものなどが挙げられ
る。
【0017】本発明の被膜を形成する樹脂は、少なくと
もその1種の樹脂のガラス転移温度が80℃を超えるこ
とが必要であり、好ましくはガラス転移温度が85℃以
上、より好ましくは85〜160℃である。80℃以下
では誘電損失の増大や耐電圧が低下し、コンデンサとし
て使用した場合、破壊を起こすなどの問題を生じる。特
に高温領域において誘電損失が大きくなり、低周波領域
で著しく悪化する。また、セルフヒール性も悪化する方
向になり好ましくない。また、160℃を超える温度に
おいては延伸性が悪化し安定してフイルムが得られなか
ったり、表面欠点などの問題を生じる。また接着性の不
良を招き耐湿熱ライフ性の悪化を起こしたり、積層コン
デンサとしたとき、形態保持性が悪く、積層が崩れやす
くなり生産時の取扱いが難しく収率の低下をきたすなど
の問題がある。
【0018】このガラス転移温度を得るには、前述した
被覆樹脂のポリエステル系樹脂やポリエステルウレタン
系樹脂の場合、そのジカルボン酸成分として2,6−ナ
フタレンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン
酸、ベンゾフェノンジカルボン酸、グリコール成分とし
ては1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シ
クロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジ
メタノール、ビスフェノールA、ジヒドロキシベンゾフ
ェノン、キシリレングリコールなどを適宜組み合わせて
共重合することや後述する多価カルボン酸のピロメリッ
ト酸、ナフタレンテトラカルボン酸、5,(2,5−ジ
オキソテトラヒドロフルフリル)−3−メチル−3−シ
クロヘキセン−1,2−ジカルボン酸などを共重合する
方法などにより得られる。また、これら以外の酸および
グリコール成分を適宜組み合わせることによっても得ら
れる。
【0019】本発明においては、このガラス転移温度が
80℃を超える樹脂のみであってもよく、2種以上の混
合物であってもよく、この場合、ガラス転移温度が80
℃を超える樹脂が50%以上、好ましく75%以上、よ
り好ましくは90%以上が良い。接着性と耐湿熱ライフ
性、誘電損失、耐電圧などを満足させるためには本手法
が好ましい場合もある。
【0020】本発明のポリエステルフイルムにおいては
その表面のカルボン酸濃度が0.003以上、好ましく
は0.005以上、より好ましくは0.008以上、さ
らに好ましくは0.015〜0.07である必要がであ
る。0.003未満ではコンデンサにおける耐湿熱ライ
フ性や易接着性の改良が不十分となる。また、必要以上
に多くなると耐湿熱ライフ性、回収性などが悪化する方
向になるため好ましくない。
【0021】このカルボン酸は、特公昭60−2398
3号公報のように末端カルボン酸を利用したものでは耐
湿熱ライフ特性、易接着性は十分でなく、側鎖またはペ
ンダントにカルボン酸を有するものが、優れており好ま
しい。
【0022】また、この側鎖にカルボン酸を有するポリ
エステル系樹脂は、特開昭54−46294号公報、特
開昭60−209073号公報、特開昭62−2403
18号公報、特開昭53−26828号公報、特開昭5
3−26829号公報、特開昭53−98336号公
報、特開昭56−116718号公報、特開昭61−1
24684号公報などに記載の3価以上の多価カルボン
酸を共重合した樹脂により製造することができる。ま
た、これら以外の方法であってもよい。
【0023】この3価以上の多価カルボン酸としては、
例えばトリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリ
ット酸、無水ピロメリット酸、4−メチルシクロヘキセ
ン−1,2,3−トリカルボン酸、トリメシン酸、1,
2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4
−ペンタンテトラカルボン酸、3,3‘,4,4’−ベ
ンゾフェノンテトラカルボン酸、5,(2,5−ジオキ
ソテトラヒドロフルフリル)−3−メチル−3−シクロ
ヘキセン−1,2−ジカルボン酸、5−(2,5−ジオ
キソテトラヒドロフルフリル)−3−シクロヘキセン−
1,2−ジカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテ
トラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカ
ルボン酸、エチレングリコールビストリメリテート、
2,2’,3,3’−ジフェニルテトラカルボン酸、チ
オフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸、エチレ
ンテトラカルボン酸などが挙げられる。これらの中で特
に好ましいものとしては、ポリエステル共重合体とした
とき、昇温とともに分子量が増加するが、降温とともに
分子量が増加する(元の分子量である必要はない)、す
なわち、分子量が可逆的に変化をするものが再使用時の
溶融粘度低下、着色、ゲル化による異物の発生、発泡な
どが起こり難いため好ましい。この具体例としては、
5,(2,5−ジオキソテトラヒドロフルフリル)−3
−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸
などが挙げられる。
【0024】本発明の被膜を形成された配向ポリエステ
ルフイルムはその表面粗さRaが0.008〜0.8μ
mが好ましく、さらに好ましくは0.01〜0.6μm
である。0.008μm未満では、滑り性が悪化し、材
料によってはブロッキングを起こし、取り扱いが困難と
なったり巻取性が悪化する。また0.8μmを超えるも
のでは平滑性が悪く耐湿熱ライフ性、耐電圧などの点で
問題を生じる場合がある。
【0025】この被覆層は、二軸延伸製膜における延伸
前や一軸延伸後二軸目の延伸前に前述した被覆樹脂の水
分散性樹脂及び/または水溶性樹脂をコートし、延伸す
る方法によって得られるが、ホットメルト、水以外の溶
媒を用いて、オフライン、インラインコートなどであっ
てもよく、溶融押し出し法で前述の押し出しや他樹脂と
のブレンドなどによってもよい。
【0026】本発明における被膜層の厚みは少なくとも
片面に、0.01〜5μmが好ましく、さらに好ましく
は0.02〜2μmである。0.01μm未満では本発
明の表面粗さが得られず、滑り性、素子巻性などが悪
く、耐湿熱ライフ性の改良効果も不十分となり好ましく
ない。また、5μmを超えるものではコンデンサ用途に
おいては、耐電圧性、コロナ放電破壊など各種電気特性
の悪化やセルフヒール性などが悪化する。
【0027】次に本発明の製造方法について説明するが
必ずしもこれに限定されるものではない。
【0028】まず、基材となるポリエステルを押出機に
て溶融押出し、冷却ロール上でガラス転移点以下に冷
却、キャストし、ガラス転移点以上に加熱したのち、長
手方向に2.8〜7.5倍延伸し(1段階または2段階
以上の延伸方法であってもよい。)、前述の被覆樹脂を
コート(必要により基材表面をコロナ放電処理を行な
い)し、さらにステンタにて基材ポリエステルのTg〜
170℃に予熱した後、3〜12倍に幅方向に延伸し、
必要により弛緩しながら基材ポリエステルの融点未満の
温度、好ましくは235℃以下、より好ましくは225
℃、さらに好ましくは220〜200℃で熱固定するの
が誘電損失を低減させるために好ましい。また、この熱
固定前に再度長手方向に延伸することや、再度幅方向に
延伸してもよい。
【0029】次にコンデンサの場合の内部電極となる金
属蒸着は真空、蒸着法によって得られ、蒸発源から金属
を蒸着させ、本発明のポリエステルフイルム上に蒸着膜
を形成する。
【0030】この蒸発源としては抵抗加熱方式のボート
形式や、輻射あるいは高周波加熱によるルツボ形式や、
電子ビーム加熱による方式などがあるが、特に限定され
ない。この蒸着に用いる金属としては、Al、Zn、M
g、Snなどの金属が好ましいが、Ti、In、Cr、
Ni、Cu、Pb、Feなども使用できる。これらの金
属はその純度が99%以上、望ましくは99.5%以上
の粒状、ロッド状、タブレット状、ワイヤー状あるいは
ルツボの形状に加工したものが好ましい。
【0031】また、この蒸着の場合は、特にアルミニウ
ムが生産性、コスト面から好ましく、少なくとも片面に
アルミニウムを蒸着して、アルミニウム蒸着膜を設ける
が、この時アルミニウムと同時あるいは逐次にたとえば
ニッケル、銅、金、銀、クロム、亜鉛などの他の金属成
分も蒸着することができる。
【0032】また、該アルミニウムの厚さは、使用目的
により異なるが20〜1000オングストロームである
ことがコンデンサ特性、特にセルフヒール性の点で好ま
しい。
【0033】また、コンデンサ用途においては、さらに
アルミニウムの蒸着膜表面のアルミニウム酸化指数が
1.65以下が好ましく、さらに好ましくは1.45〜
1.6が耐湿熱ライフ性がより一層向上する。
【0034】また、本発明のポリエステルフイルムは1
50℃、30分の加熱収縮率が、コンデンサとしたのち
少なくとも長手方向で2%以下が好ましく、さらに好ま
しくは1.5%以下、より好ましくは1%以下である。
【0035】
【特性の評価方法】
(1)ポリエステルの極限粘度[η] ポリエステルをオルソクロロフェノールに溶解し、25
℃において測定した。
【0036】(2)フイルムの表面粗さRa JIS−B0601に準じて測定する。
【0037】(3)アルミニウム蒸着膜表面のアルミニ
ウム酸化指数 蒸着膜表面を軟X線光電子分光法で分析する。試料がコ
ンデンサとなっている時は解体して蒸着面を空気中に暴
露して試料とする。測定によって得られるピーク面積比
を各原子の相対感度因子で補正して得られる原子数比お
よび各原子の結合状態によりシフトしたピークを分割し
て求められる成分割合より、アルミニウム酸化指数O/
Alを次式によって求める。
【0038】O/Al=[O(Al oxide)/Al(Tota
l )]/[Al(III )/Al(Total )] ここで[Al(III )/Al(Total )]はアルミニウ
ム原子のピークを分割して得られたAl(III )の存在
比、また[O(Al oxide)/Al(Total )]はアルミ
ニウムに対する全酸素濃度から酸素単体およびアルミニ
ウム以外の元素と結合した酸素濃度を差し引いて求めら
れる。すなわち、例えば炭素と結合した酸素の濃度は、
炭素のピークを分割して求められる。このとき、酸素を
含む官能基がいくつか考えられたり、あるいは結合エネ
ルギーが接近しているため分離ができない等、酸素の量
が特定できない場合には最も多くの酸素が炭素と結合し
ているものと見積もる。同様にして、他の元素に結合し
た酸素についても結合酸素量を求め、合計した値を全酸
素濃度から差し引く。測定条件を以下に示す。
【0039】 装置 :島津製作所製 ESCA750 励起X線 :MgKα1.2線(1253.6e
V) エネルギー補正:C1Sメインピークの結合エネルギーを
284.6eVとする 光電子脱出角度:90度
【0040】(4)コンデンサの耐湿熱ライフ性 コンデンサを60℃、95%RHの雰囲気下で400V
DCを印加し、エージングして静電容量変化率を測定し
た。この静電容量変化率ΔC/Cが10%低下するまで
の時間で示し、耐湿ライフ試験結果とした。この時間が
長いほど耐湿熱ライフ性が良い。ここで、Cはエージン
グ前の静電容量、ΔCはエージング前後の静電容量変化
量である。
【0041】(5)シート平均耐電圧 JIS−2110に準じ、シートBDV(絶縁破壊電
圧)DCにて測定した。陰極に厚み100μm、10c
m角アルミ箔電極、陽極に真鋳製25mmφ、500g
の電極を用い、この間にフイルムをはさみ、春日製高電
圧直流電源を用いて、100V/secの割合で昇圧し
ながら印加し、10mA以上の電流が流れた場合を絶縁
破壊したものとし、これを30回測定し、その平均値の
電圧で示した。
【0042】(6)コンデンサの製造 フイルムの片面に表面抵抗値が2Ωとなるようにアルミ
ニウムを真空蒸着した。その際、長手方向に走るマージ
ン部を有するストライプ状に蒸着した(蒸着部の幅8m
m、マージン部の幅1mmの繰り返し)。次に各蒸着部
の中央と各マージン部の中央に刃を入れてスリットし、
左もしくは右に0.5mmのマージンを有する全幅4.
5mmのテープ状に巻取リールにした。
【0043】得られたリールの左マージンおよび右マー
ジンのもの各1枚づつを重ね合わせて巻回し、静電容量
約0.047μFの巻回体を得た。その際、幅方向に蒸
着部分がマージン部より0.5mmはみだすように2枚
のフイルムをずらして巻回した。この巻回体から芯材を
抜いて、そのまま150℃、10kg/cm2 の温度、
圧力で5分間プレスした。これに両端面にメタリコンを
溶射して外部電極とし、メタリコンにリード線を溶接し
て巻回型コンデンサ素子を得た。
【0044】(8)ガラス転移温度(Tg) セイコー電子工業(株)製ロボットDSC、RDC22
0、SSC5200HDISK STATIONを用
い、2〜5mmgをサンプリングし、昇温速度20℃/
minで測定し、求めた。また、この測定で検出されな
い場合は昇温を250℃まで行い、液体窒素で急冷し、
再度前述条件で昇温測定した。また、両方にガラス転移
温度が認められる場合、高く出る方を使用した。
【0045】被覆層を基材から溶剤で溶解し、溶剤を飛
ばし、被覆樹脂のみを取り出し、困難場合は被覆層のみ
掻き削り測定サンプルとした。基材、被覆層の樹脂が明
らかな場合は、その素材をサンプルとした。
【0046】(9)表面のカルボン酸濃度 島津製作所製 ESCA750を使用し、次ぎの条件で
測定した。
【0047】励起X線:MgKα1,2線(1253.6eV) 光電子脱出角度θ:90゜ 標準サンプルは、ポリアクリル酸(PAA)フイルムを
使用した。標準サンプル、測定サンプル共に以下の気相
化学修飾反応を実施した。
【0048】
【化1】 試料フイルムと標準試料であるPAAフイルムを約1c
m角に切り、デシケータ中で空気雰囲気下、ピリジンと
ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を触媒と
し、トリフルオロエタノール(TFE)により、フイル
ム表面カルボン酸のエステル化を行なった(試料フイル
ムとPAAフイルムは同一バッチでおこなった)。
【0049】PAA標準試料からTFEとの反応率
(r)と反応触媒として用いたDCCの残留率(m)を
求め、各試料のC1S、F1Sのピーク面積にrとmを配慮
してフイルム表面カルボン酸濃度(−COOH/C[to
tal ])を求めた。
【0050】(10)素子巻性 前述のコンデンサ製造方法において、素子巻を終えたも
のをプレス工程に入る前に解体し、2枚のフイルムの蛇
行状態で判断した。蛇行が0.5mm未満を良好として
○で示し、1mm以上は使用負荷として×で示した。ま
た、その中間のものを△で示した。
【0051】(11)滑り性 摩擦係数にて評価した。摩擦係数の評価法としてはAS
TM−D1894に準じた。
【0052】
【実施例】以下本発明を実施例に基づき説明する。
【0053】実施例1 ポリエステル樹脂としてポリエチレンテレフタレート
(IV=0.65)を用い、180℃で真空乾燥し、押
出機に供給し、285℃で溶融させたのちTダイよりシ
ートを吐出させ、冷却ドラムにてキャストした。
【0054】このフイルムを90℃に加熱し、長手方向
に3.3倍延伸し、下記被覆剤を両面に被覆したのち、
幅方向に延伸し、215℃で3.5%弛緩処理を行い、
5.4μmの二軸延伸フイルムを得た。被覆の厚みは
0.1μmとした。
【0055】被覆剤としてテレフタル酸18mol%、
イソフタル酸18mol%と2,2−ビス(ヒドロキシ
メチル)プロピオン酸14mol%およびエチレングリ
コール19mol%、ネオペンチルグリコール31mo
l%、トリレンジイソシアネート13mol%からなる
ポリエステルウレタン水分散性樹脂を用いた。このフイ
ルムの被覆層の樹脂のガラス転移温度は85℃を示し、
表面カルボン酸濃度は0.011を示した。
【0056】比較例1 実施例1と同様に被覆層を設けないで5.4μmの二軸
延伸フイルムを得た。この表面カルボン酸濃度は0.0
02を示した。
【0057】比較例2 被覆層として“ハイドラン”AP−40を用いた以外は
実施例1と同様の二軸延伸フイルムを得た。この被覆層
のガラス転移温度は、45℃を示し、表面カルボン酸濃
度は0.007を示した。
【0058】比較例3 被覆層として“ハイドラン”HW−350を用いた以外
は実施例1と同様の二軸延伸フイルムを得た。この被覆
層のガラス転移温度は、60℃を示し、表面カルボン酸
濃度は0.011を示した。
【0059】実施例2 被覆剤として、ナフタレンジカルボン酸36mol%、
ピロメリット酸14mol%とエチレングリコール13
mol%、ネオペンチルグリコール37mol%からな
るポリエステル水分散性樹脂を用いた以外は実施例1と
同様の二軸延伸フイルムを得た。この被覆層のガラス転
移温度は、110℃を示し、表面カルボン酸濃度は0.
040を示した。
【0060】実施例3 被覆剤として、実施例2と同様組成でピロメリット酸に
変わり、5,(2,5−ジオキソテトラヒドロフルフリ
ル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカ
ルボン酸を用いた以外は同様とした。この被覆層のガラ
ス転移温度は、95℃を示し、表面カルボン酸濃度は
0.045を示した。
【0061】これらの結果を表1に示したが特定の表面
カルボン酸濃度と特定ガラス転移温度を有することによ
り、耐湿熱ライフ性に優れ、かつ誘電損失の小さいフイ
ルムが得られる。
【0062】
【表1】
【0063】
【発明の効果】本発明のポリエステルフイルムは、従来
フイルムに比べ、表面カルボン酸濃度を0.003以上
とし、かつ被覆層のガラス転移温度を75℃以上とする
ことにより、耐湿熱ライフ性に優れ、かつ誘電損失の小
さいフイルムが得られ、その結果、高温高湿下における
寿命が大幅に改良され、かつ誘電損失増加によるコンデ
ンサ破壊の無い優れたコンデンサ用ポリエステルフイル
ムが得られたものである。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルフイルムの少なくとも片面
    に被膜を形成したフイルムであって、該被膜の表面カル
    ボン酸濃度が0.003以上であり、かつその被膜のガ
    ラス転移温度が80℃を超えることを特徴とするポリエ
    ステルフイルム。
  2. 【請求項2】 被膜の成分のカルボン酸が少なくとも側
    鎖および/またはペンダント形態であることを特徴とす
    る請求項1に記載のポリエステルフイルム。
  3. 【請求項3】 被膜の成分がポリエステル系樹脂からな
    ることを特徴とする請求項1に記載のポリエステルフイ
    ルム。
  4. 【請求項4】 少なくとも片面の被膜厚みが0.01〜
    5μmの被膜を形成してなることを特徴とする請求項1
    〜請求項3のいずれかに記載のポリエステルフイルム。
  5. 【請求項5】 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の
    ポリエステルフイルムの少なくとも片面に金属層を形成
    してなることを特徴とする金属化ポリエステルフイル
    ム。
  6. 【請求項6】 請求項5の金属化ポリエステルフイルム
    を用いてなることを特徴とするフイルムコンデンサ。
JP17342395A 1995-07-10 1995-07-10 ポリエステルフイルム、金属化ポリエステルフイルムおよびフイルムコンデンサ Pending JPH0919991A (ja)

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