JPH09222382A - 光学部材検査装置 - Google Patents

光学部材検査装置

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JPH09222382A
JPH09222382A JP18255896A JP18255896A JPH09222382A JP H09222382 A JPH09222382 A JP H09222382A JP 18255896 A JP18255896 A JP 18255896A JP 18255896 A JP18255896 A JP 18255896A JP H09222382 A JPH09222382 A JP H09222382A
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敦 木田
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正人 原
Masayuki Sugiura
正之 杉浦
Toshihiro Nakayama
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 光学部材全体の複屈折状態及び屈折力異常や
ゴミ,キズ等の不良原因を示すデータを出力できる光学
部材検査装置を提供する。 【解決手段】ライトガイドケーブル1から出射された白
色光は、ナイフエッジ2aが形成された拡散板2にて拡
散されて、照明側偏光フィルタ3に入射する。この照明
側偏光フィルタ3は、ある一定方向の直線偏光光のみを
透過し、光学部材Aに入射される。この光学部材A内の
複屈折を生じている箇所を透過した直線偏光光は、その
振動方向が旋光される。カメラ側偏光フィルタ4は、照
明側偏光フィルタ3によって透過される直線偏光と同方
向に振動する直線偏光のみを透過する。従って、光学部
材A内の複屈折を生じている箇所を透過した光はその光
量が減衰する。一方、屈折力異常が生じると、撮像装置
5によって撮像されるナイフエッジ2aの像の状態が乱
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、レンズ等の光学部
材の光学的欠陥を検出するための光学部材検査装置に関
し、特に、光学部材の複屈折状態の異常を検出するため
の光学部材検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】レンズ,プリズム等の光学部材は、入射
した光束が規則正しく屈折して、平行に進行したり、一
点又は線状に収束したり発散するように設計されてい
る。しかしながら、光学部材の成形異常や外力により複
屈折が生じていると、所望の性能を得ることができなく
なる。特に、樹脂を射出成形する事によって作成される
レンズやプリズム等の光学部材では、ゲート近傍におけ
る高分子の配向歪みによって、複屈折が生じてしまうこ
とがある。従って、このような欠陥を効率良く検出する
ことが必要となっている。
【0003】そのため、従来より、このような複屈折状
態の異常を検出するために、歪計を用いた人間の目によ
る官能検査が行われていた。この歪計は、2枚の偏光格
子を、それらが透過させる光の直線偏向方向が互いに直
交するように設けて構成したものである。この歪計によ
ると、各偏光格子の間に配置された被検査物(光学部
材)の複屈折状態の乱れに応じた光線透過が、観察され
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、歪計に
よって直接観察される映像は、その時々における偏光格
子方向に従った方向に偏光している異常光のみによって
形成された映像である。従って、歪計によると、瞬間的
には被検査物の一部のみの状態しか観察できない。な
お、このような歪計において被検査物全体の複屈折分布
を把握するためには、歪計内において被検査物を回転さ
せて、各方向における異常光の状態を見ながら全体の複
屈折状態を推測するといった手順を踏まなければならな
い。従って、歪計によって被検査物全体の複屈折状態を
把握することは、事実上非常に困難である。
【0005】また、歪計による検査では、その特性上、
被検査物内部の屈折率異常,ヒケやキズのような被検査
物の表面の形状異常,又は被検査物の表面に付着したゴ
ミ等に起因して生じる屈折力異常を検出することができ
ない。
【0006】さらに、歪計による検査は、観察された映
像に基づいて検査者が良品であるか不良品であるかの判
定を行う官能検査であるので、良品と不良品との客観的
な判定基準を定めることができない。従って、複数の人
間によって検査を行う場合、検査する人毎に良否の判定
基準がばらついてしまうので、検査する人によっては、
良品の中に不良品を含めてしまって製品全体の品質を落
としてしまったり、良品を不良品として破棄して無駄を
生じさせてしまっていた。また、同一人が検査する場合
であっても、慣れが生じるにつれて判定基準が厳しくな
る傾向があり、良品を不良品と判定してしまうことが多
々あった。
【0007】そこで、本発明の第1の課題は、被検査物
たる光学部材全体の複屈折状態及び屈折力異常を示すデ
ータを出力することができる光学部材検査装置を提供す
ることである。
【0008】また、本発明の第2の課題は、客観的基準
に従って良品と不良品との合否判定を行うことができる
光学部材検査装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
上記第1の課題を解決するためになされたものであり、
光学部材の光学的欠陥を検出する光学部材検査装置であ
って、照明光によって照明される拡散板と、前記光学部
材を含む光学系の焦点位置に配置されるとともに、前記
拡散板によって拡散された光を部分的に通過させる遮光
手段と、前記光学系の光軸上における前記光学部材の前
後に夫々位置する一組の偏光子と、この一組の偏光子を
前記光軸に交わる面内において相互の回転位相差を一定
に保ちつつ回転させる偏光子回転手段と、この偏光子回
転手段によって回転させられた前記一組の偏光子の複数
の回転位置において、前記光学系及び前記一組の偏光子
を透過した光を撮像する撮像手段と、前記一組の偏光子
が一回転する間に前記撮像手段によって撮像された画像
を合成する合成手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】光学部材とは、凸レンズ及び凹レンズ,プ
リズム,平行平面板等、光を透過させる透明な光学部材
であり、ガラスからなる光学部材及び樹脂成形による光
学部材を含む。光学部材の光学的欠陥とは、複屈折異
常,屈折力の異常,光学部材の表面の欠陥等を言う。複
屈折異常とは、複屈折を生じないように設計された光学
部材に複屈折が生じていること,所定の条件に従った複
屈折を生じるように設計された光学部材の複屈折の状態
が乱れていること,等を言う。また、屈折力の異常と
は、屈折率の部分的異常や光学部材の表面形状の異常に
より、屈折力が部分的に乱れていることを言う。また、
光学部材の表面の欠陥としては、表面のキズや汚れやゴ
ミ,等が列挙される。
【0011】拡散板は、背後から照明される透光部材で
あっても良いし、表面側から照明される反射部材であっ
ても良い。拡散光を照明する照明光は、あらゆる方向に
偏光した偏光光を重畳したものであることが望ましい。
但し、一方向に振動する直線偏光光を照射するものとし
ても良い。この場合には、この直線偏光光を円偏光又は
楕円偏光に変換する旋光素子(λ/4板等)を透過させ
てから、拡散板を照明するようにすれば良い。
【0012】遮光手段は、拡散板の表面に直接印刷され
た遮光パターンであっても良いし、板状の不透明部材を
適宜切り出して拡散板に貼り付けたものであっても良い
し、拡散板とは別個の透明部材表面上に遮光パターンを
印刷したものであっても良い。この遮光手段における光
を部分的に透過させる部分と遮光させる部分との境界線
は、直線状であっても良いし、曲線状であっても良い。
また、境界線は一本のみであっても良いし、縞状に複数
本あっても良い。さらに、境界線は、複数の方向を向い
ていても良い。この遮光手段は、境界線が複数の方向を
向いている場合には固定されていても良いが、境界線が
一本のみの場合又は境界線が全て同じ方向を向いている
場合にはこの境界線に接する回転軸を中心に回転するこ
とが望ましい。なお、遮光手段が回転する際、拡散板が
一体に回転しても良いし、拡散板が固定された状態で遮
光手段のみが回転しても良い。
【0013】「光学部材を含む光学系」とは、凸レンズ
又は凹面鏡である光学部材そのもの,若しくは、凹レン
ズ,凸面鏡,平行平面板,又はプリズムである光学部材
を含む正レンズ群のことである。この光学系の全体とし
ての焦点位置が遮光手段の位置に一致するように、各部
材が配置される。
【0014】偏光子としては、シートポラライザー,ニ
コルプリズム,等の偏光子を用いることができる。請求
項2記載の発明は、請求項1における一組の偏光子の前
記相互の回転位相差が、各々の偏光子によって透過され
る光の偏光方向が互いに平行になるように設定されてい
ることで、特定したものである。この場合、光学部材中
の複屈折を生じている箇所を透過することによって生じ
た異常光は、撮像手段側の偏光子によって撮像手段への
入射が阻止されることになる。
【0015】請求項3記載の発明は、請求項1における
遮光手段が、直線状の境界線を有し且つこの境界線の片
側において光を遮光する遮光部材であるとともに、この
遮光部材を前記光軸と直交する面内において前記境界線
に接する回転軸を中心に回転させる遮光部材回転手段を
更に設けたことで特定したものである。
【0016】請求項4記載の発明は、請求項3における
光学部材を含む光学系の光軸が、前記遮光部材の回転軸
と一致していることで特定したものである。請求項5記
載の発明は、偏光子回転手段による前記一組の偏光子の
回転位相と前記遮光部材回転手段による前記遮光手段の
回転位相とが同位相であることで特定したものである。
【0017】請求項6記載の発明は、請求項1又は5の
撮像手段によって撮像された画像内における濃淡変化が
大きい部位を強調する強調手段を更に備えたことで、特
定したものである。このようにすることで、光学的欠陥
を生じている箇所を明確に示すことができる。
【0018】請求項7記載の発明は、請求項6の強調手
段が、前記画像を多数の画素に分け、隣接する各画素の
輝度同士を比較して微分処理し、この微分処理の結果得
られた画像を前記強調がなされた画像とすることで、特
定したものである。
【0019】請求項8記載の発明は、請求項1,6,又
は7の撮像手段によって撮像された画像中に現れる像の
形状を数値化する数値化手段と、この数値化手段によっ
て数値化された数値が所定の判定基準値を超えたか否か
を判定する判定手段とを、更に備えたことで、特定した
ものである。このようにしたことで、光学的欠陥を客観
的基準に従って評価できるので、上述の第2の課題が解
決されるのである。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて、本発明の
実施の形態を説明する。
【0021】
【実施形態1】 <光学部材検査装置の光学構成>図1は、本発明による
光学部材検査装置の実施の形態を示す概略構成図(斜視
図)であり、図2は、その更に詳しい構成を示すブロッ
ク図(光学構成図)である。
【0022】各図に示すように、この光学部材検査装置
は、共通の光軸l上において光の進行方向に沿って順番
に配置された照明ユニット14,照明側偏光フィルタ
3,カメラ側偏光フィルタ4,及び撮像装置5,撮像装
置5に接続された表示装置8及び画像処理部6,並び
に、この画像処理部6に接続された偏光フィルタ及びナ
イフエッジ回転制御部7から、構成されている。
【0023】撮像手段としての撮像装置5は、全体とし
て正レンズ系である撮像レンズ15と、この撮像レンズ
15によって収束された光による像を撮像するCCDエ
リアセンサからなる撮像素子16とから、構成されてい
る。この撮像素子16によって撮像された画像は、表示
装置8及び画像処理部6に入力される。
【0024】表示装置8は、この光学部材検査装置の初
期調整時(即ち、後述する照明ユニット14の位置調整
時)に用いられる画像モニタ装置である。合成手段,強
調手段,数値化手段,及び判定手段としての画像処理部
6は、検査対象光学部材Aが良品であるか不良品である
かの判定を行うプロセッサであり、撮像素子16から入
力された画像データに対して所定の画像処理を行い、検
査対象光学部材Aの光学的欠陥(複屈折状態,及び屈折
力異常)の程度を数値化するとともに、この数値を一定
の判定基準値(許容値)と比較し、この数値が判定基準
値内に収まっているか超えているかの判定を行う。この
画像処理部6は、この判定処理を行うため、その内部
に、第1メモリ6a,第2メモリ6b,及び第3メモリ
6cを有している。また、上述した判定処理を行うのに
伴い、偏向フィルタ及びナイフエッジ回転制御部7に対
して、各モータ13a〜13cの回転指示を行う。
【0025】一方、照明ユニット14は、全体として、
光軸l上を撮像装置5に向けて進退移動することができ
る。この照明ユニット14の内部には、その中心を光軸
lと同軸にした円盤状の拡散板2が、光軸lに直交する
面内において光軸lを中心に回転自在に保持されてい
る。この拡散板2は、光軸lに直交する線(ナイフエッ
ジ)2aによって2つの領域2b,2cに分けられ、そ
の片側の領域2bが不透明な黒色塗料(遮光部材,遮光
手段)で着色された遮光領域となっており、他方の領域
2cが透光領域となっている。このような構成を備えた
結果、拡散板2に入力した光は、遮光領域2bにおいて
部分的に遮光されるとともに、透光領域2cにおいて部
分的に拡散・通過される。
【0026】拡散板2の周縁部には、この拡散板2と同
軸の環状ギア11aが固着されている。この環状ギア1
1aは、ピニオンギア12aと噛合しており、このピニ
オンギア12aは、照明ユニット4内に固定されている
モータ13aの回転軸に取り付けられている。従って、
モータ13aが回転駆動されると、拡散板2は、両ギア
12a,11aを介して回転駆動を受け、光軸lに直交
する面(即ち、拡散板2の出射面)内において回転駆動
される。なお、この場合の回転方向は、図1に示すよう
に、撮像装置5側から見て時計方向である。この回転の
結果、拡散板2のナイフエッジ(弦)2aも、光軸lを
中心に回転することになる。
【0027】拡散板2の裏面側において、照明ユニット
14には、光ファイバー束1の先端1aが固着されてい
る。この光ファイバー束1の基端1bには、白色ランプ
9と集光レンズ10とからなる光源装置が配置されてい
る。そして、白色ランプ9から出射された白色光が、集
光レンズ10によって集光されて、その基端1bからこ
の光ファイバー束1内に入射される。この白色光は、光
ファイバー束1内を伝送され、その先端1aから拡散板
2に向けて照射される。即ち、拡散板2のナイフエッジ
2aが背後から照明されるのである。なお、光ファイバ
ー束1の長さは、照明ユニット14の移動可能距離より
も十分長くとってある。従って、照明ユニット14が移
動しても、この光ファイバー束1が追従して、常に拡散
板2のナイフエッジ2aを照明することができる。
【0028】検査対象光学部材Aは、光軸lと同軸に、
両偏光フィルタ3,4の間に配置される。具体的に説明
すると、図1に示すように検査対象光学部材Aが凸レン
ズである場合には、検査対象光学部材Aの焦点位置が拡
散板2のナイフエッジ2aと一致する位置に、検査対象
光学部材Aが配置される。なお、検査対象光学部材が凹
レンズである場合には、照明側偏光フィルタ3と照明ユ
ニット14との間に、この光学部材のパワー(絶対値)
よりも大きいパワー(絶対値)を有する凸レンズである
補正レンズ(図示略)が配置される。これら検査対象光
学部材及び補正レンズからなるレンズ群は全体的に正レ
ンズ群であり、その合成焦点位置が拡散板2のナイフエ
ッジ2aと一致するように、これら検査対象光学部材及
び補正レンズが配置されている。即ち、検査対象光学部
材を含む光学系の焦点位置を遮光手段の位置と一致させ
ているのである。
【0029】照明側偏光フィルタ3は、特定の直線偏光
成分のみを透過させる偏光子であり、撮像装置5に対し
て光軸l方向に移動不能となっている。但し、照明ユニ
ット14内の拡散板2と同様に、この照明側偏光フィル
タ3の周縁部には、この照明側偏光フィルタ3と同軸の
環状ギア11bが固着されている。この環状ギア11b
は、モータ13bの回転軸に取り付けられているビニオ
ンギア12bと噛み合っている。従って、モータ13b
が回転駆動されると、照明側偏光フィルタ3は、光軸l
に直交する面内において回転駆動される。なお、この場
合の回転方向は、図1に示すように、撮像装置5側から
見て時計方向である。この回転の結果、拡散板2によっ
て拡散された光に含まれる各成分のうち、この照明側偏
光フィルタ3の回転位置如何によって定まる特定の方向
の直線偏光成分のみが、この照明側偏光フィルタ3を透
過することになる。
【0030】同様に、カメラ側偏光フィルタ4も、特定
の直線偏光成分のみを透過させる偏光子であり、各ギヤ
12c,11cを介して、モータ13cによって回転駆
動される。この場合の回転方向も、図1に示すように、
撮像装置5側から見て時計方向である。
【0031】偏光フィルタ及びナイフエッジ回転制御部
7は、画像処理部6からの回転指示に従い、各モータ1
3a〜13cの回転制御を行う。この際、偏光フィルタ
及びナイフエッジ回転制御部7は、両偏光フィルタ3,
4,及び拡散板2がそれらの相互の回転位相差を一定に
保ちながら一定角度(例えば22.5度)づつ回転する
ように、回転制御する。なお、照明側偏光フィルタ3と
カメラ側偏光フィルタ4とは、標準状態においては、照
明側偏光フィルタ3が透過する直線偏光方向とレンズ側
偏光フィルタ4が透過する直線偏光方向とが互いに平行
となるような回転位相差にセットされている。但し、検
査目的如何に依っては、それらが互いに直交するような
回転位差にセットされる。即ち、これら偏光フィルタ及
びナイフエッジ回転制御部7,各ギヤ11a,12a,
及びモータ13aが遮光部材回転手段を構成し、これら
偏光フィルタ及びナイフエッジ回転制御部7,各ギヤ1
1b,11c,12b,12c,及びモータ13b,1
3cが偏光子回転手段を構成する。 <屈折力異常検知の原理>上述した構成において、い
ま、仮に、検査対象光学部材Aの焦点位置がナイフエッ
ジ2aの位置よりも撮像装置5側にずれると、検査対象
光学部材Aと撮像装置5の撮像レンズ15との間の空間
に、ナイフエッジ2aの倒立像(実像)が形成される。
このナイフエッジ2aの倒立像(実像)は撮像レンズ1
5によってリレーされるので、撮像レンズ15の撮像素
子16側の空間に、ナイフエッジ2aの正立像(実像)
が形成されることになる。逆に、検査対象光学部材Aの
焦点位置がナイフエッジ2aの位置よりも光ファイバー
束1側にずれると、拡散板2の光ファイバー束1側の空
間に、ナイフエッジ2aの正立像(虚像)が形成され
る。このナイフエッジ2aの正立像(虚像)は撮像レン
ズ15によってリレーされるので、撮像レンズ15の撮
像素子16側の空間に、ナイフエッジ2aの倒立像(実
像)が形成されることになる。即ち、検査対象光学部材
Aの焦点位置とは、この位置に存在する物体(ナイフエ
ッジ2a)の像が、撮像レンズ15の撮像素子16側の
空間において正立像として結像されるか倒立像として結
像されるかの境界点であり、光学的に不安定な状態とな
る位置である。
【0032】なお、検査対象光学部材Aと撮像レンズ1
5との間隔は、検査対象光学部材Aの焦点位置がナイフ
エッジ2aの位置よりも撮像装置5側に僅かにずれただ
けであってもそれらの間(正確には、両者の焦点位置同
士の間)にナイフエッジ2aの倒立像(実像)が形成さ
れるように、可能な限り長くとってある。また、撮像素
子16は、撮像レンズ15によって正立像が形成されて
も倒立像が形成されてもこれらの像をある程度明瞭に撮
像できるように、正立像の形成位置(平均位置)と倒立
像の形成位置(平均位置)との中間点に配置される。こ
の位置とは、撮像レンズ15に関して検査対象光学部材
Aの表面と光学的に等価な位置である。
【0033】従って、図6に示すように、撮像素子16
上には、常に、検査対象光学部材Aの外縁の実像(倒立
像)αが結像されるとともに、この検査対象光学部材の
外縁の実像αの周囲には、検査対象光学部材Aを通さず
に直接見えるナイフエッジ2aの実像(倒立像)βがや
やぼけて結像される。なお、図6は、両偏光フィルタ
3,4を外した状態において撮像素子16にて撮像され
た映像を示している。
【0034】そして、検査対象光学部材Aの焦点位置が
ナイフエッジ2aの位置よりも撮像装置5側にずれてい
る場合には、この検査対象光学部材Aの外縁の実像αの
内側に、ナイフエッジ2aの実像(正立像)γがややぼ
けて結像される(図6(d),図6(e)参照)。この
ナイフエッジ2aの実像(正立像)γは、焦点位置のず
れ量が少なくなる程ぼけ量が大きくなり(図6(d)参
照)、ずれ量が大きくなる程ぼけ量が少なくなって明確
になる(図6(e)参照)。
【0035】これとは逆に、検査対象光学部材Aの焦点
位置がナイフエッジ2aの位置よりも光ファイバー束1
側にずれている場合には、検査対象光学部材Aの外縁の
実像αの内側には、ナイフエッジ2aの実像(倒立像)
γが、ややぼけて結像される(図6(b),図6(a)
参照)。ナイフエッジ2aの実像(倒立像)γは、焦点
位置のずれ量が少なくなる程ぼけ量が大きくなり(図6
(b)参照)、ずれ量が大きくなる程ぼけ量が少なくな
って明確になる(図6(a)参照)。
【0036】また、検査対象光学部材Aの焦点位置がナ
イフエッジ2aの位置と一致すると、検査対象光学部材
Aの外縁の実像αの内側におけるぼけ量が最大となり、
全体に均一な明度で光線が照射されるようになる(図6
(c)参照)。
【0037】従って、表示装置8及び画像処理部6に入
力される画像データ中における検査対象光学部材Aの外
縁αの内側部分は、検査対象光学部材Aの焦点位置がナ
イフエッジ2aの位置と一致している時には、検査対象
光学部材A,Bに光学的欠陥がない限り、ナイフエッジ
2aの黒色部分(白色光が遮られている部分)と白色部
分(白色光が透過する部分)とが完全に混合して、均一
濃度の灰色の平面となる(球面レンズの場合)。なお、
検査対象光学部材Aとして非球面レンズを検査する場合
には、焦点位置が一点のみではなく緩やかに変化してい
るので、輝度変化が非常に穏やかな画像となる。
【0038】これに対して、検査対象光学部材A内に屈
折率異常が生じている部分やその表面の形状欠陥によっ
て屈折力異常が生じている部分がある場合には、その異
常部分のみ正常部分とは異なった焦点距離を有している
のと等価になる。従って、図7に示すように、その異常
部分にだけ、ナイフエッジ2aの像γが現れる。この異
常部分の屈折率(屈折力)異常の程度(焦点距離のずれ
量)は、ナイフエッジ2aの像γの現れ方に反映され
る。即ち、屈折率(屈折力)異常の程度(焦点距離のず
れ量)が大きくなればなる程、ナイフエッジ2aの像の
濃淡が明確に現れるのである。なお、図7は、樹脂成形
によって成形された光学部材の中央にヒケ(樹脂が金型
表面から離間して生じる陥没)が生じているときの画像
である。 <複屈折状態検知の原理>いま、上述したように、照明
側偏光フィルタ3が透過する直線偏光方向とカメラ側偏
光フィルタ4が透過する直線偏光方向とが互いに平行と
なるように各偏光フィルタ3,4がセットされると、両
偏光フィルタ3,4に挟まれた検査対象光学部材Aに複
屈折が生じていない限り、照明側偏光フィルタ3を透過
した全ての光がレンズ側偏光フィルタ4を透過する。し
かしながら、検査対象光学部材Aの一部に複屈折の異常
が生じている場合には、その部分を透過した光のうちの
一部が異常光となり、カメラ側偏光フィルタ4での透過
が阻止される。従って、カメラ側偏光フィルタ4の撮影
装置5側の空間においては、この複屈折の異常が生じて
いる部分を透過する光の光量が低下する。そのため、撮
像素子16にて撮像される画像上では、複屈折を生じて
いる部分のみが暗くなっている。 <光学部材表面のゴミ及びキズ検知の原理>上述したよ
うに、検査対象光学部材Aの表面は、撮像装置5の撮像
レンズ15に関して撮像素子16の位置と光学的に等価
となっている。従って、検査対象光学部材Aの表面にゴ
ミや汚れが付着していたり、キズがついている場合に
は、画像データ中における検査対象光学部材Aの外縁α
の内側部分に、これらゴミ,汚れ,又はキズの像が撮像
レンズ15によって結像される。即ち、ゴミや汚れによ
って光が遮断されている場合には周囲より暗い影が形成
され、キズによって光線の発散が生じている場合には輝
点が形成されるのである。 <画像処理>次に、検査対象光学部材Aが良品であるか
不良品であるかの判定を行うために画像処理部6におい
て実行される画像処理の内容を、図3乃至図5のフロー
チャートを用いて説明する。
【0039】この画像処理は、画像処理部6に接続され
た図示せぬ検査開始ボタンが押下されることによりスタ
ートする。そして、S01乃至S05のループ処理が実
行される。
【0040】このループ処理に入って最初のS01で
は、撮像素子16から入力された画像データを構成する
各画素(ピクセル)の輝度を256階調の数値情報に変
換し、夫々第1メモリ6aに書き込む。
【0041】次のS02では、第1メモリ6aに書き込
まれた各数値情報を順番に走査して、微分処理を行う
(強調手段に相当)。即ち、画像中における左上の画素
から右下の画素に向けて順番に各画素の数値をチェック
する。そして、チェック対象画素の数値とこれの左隣の
画素の数値及び上側に隣接する画素の数値とを比較し、
それら数値の差の絶対値を、このチェック対象画素の微
分値[0〜255]とする。このようにして微分値に変
換された画像データでは、被検対象光学部材Aの周囲の
輪郭,検査対象光学部材Aの屈折力異常が生じている部
分の輪郭,複屈折に起因してカメラ側偏光フィルタ4で
の透過量が減衰した領域の輪郭及び、光学部材Aの表面
のゴミ,キズ等の像の輪郭だけが、濃度の高い画像とな
る。
【0042】次のS03では、画像合成処理を実行する
(合成手段に相当)。即ち、S02において得られた各
微分値を、第2メモリ6bに書き込む。この際、前回の
ループ処理でのS03の結果として前回の画像の微分値
が第2メモリ6bに書き込まれている場合には、第2メ
モリ6bに既に書き込まれている各微分値を取り出し、
今回のループ処理でのS02において得られた各微分値
を加算した後に、第2メモリ6bに上書きする。
【0043】次のS04では、処理を開始した後に拡散
板2及び両偏光フィルタ3,4が360度回転したか否
かをチェックする。そして、未だ360度回転していな
い場合には、S05において、偏光フィルタ及びナイフ
エッジ回転制御部7に対して、拡散板2及び両偏光フィ
ルタ3,4を22.5度回転させる命令をする。この回
転命令を受けると、偏光フィルタ及びナイフエッジ回転
制御部7は、拡散板2及び両偏光フィルタ3,4を、そ
れら相互間の回転位相差を保ちつつ、撮像装置5側から
見て時計方向に22.5度回転させる。この回転後の画
像データが撮像装置5から入力された場合には、処理を
S01に戻し、この新たな画像データに対する処理を実
行する。
【0044】このように拡散板2及び両偏光フィルタ
3,4を若干量づつ回転させて(S05)得られた画像
データを累積する(S03)ようにしたのは、次の理由
による。 即ち、第1に、ある時点々々において撮像さ
れる画像は、屈折力異常が生じている部分の輪郭に関す
る限り、従来の歪計の場合と同じく、ある一定方向に振
動している異常光の透過阻止位置を示すものでしかな
く、全ての異常光の透過阻止位置を示しているものでは
ない。そのため、両偏光フィルタ3,4を光軸lに直交
する面内で回転させ、あらゆる方向における異常光の位
置を全て検出し、同一の画像上に合成するようにしたの
である。このようにすることにより、異常光の偏光方向
如何を問わず、複屈折を生じている箇所を明確にするこ
とができるのである。また、この結果、次の効果も得ら
れる。即ち、検査対象光学部材Aがレンズである場合に
は、光軸lから偏った部分においては、偏光主軸(直線
偏光の振動方向)の回転という現象が生じる。この現象
が生じると、複屈折が生じていなくても、その部分を透
過した光の一部が、カメラ側偏光フィルタ4において透
過を阻止される。但し、この偏光主軸の回転が生じる箇
所は、照明側偏光フィルタ3の回転に伴って回転する。
従って、両偏光フィルタ3,4の各回転位置において撮
像された画像を同一の画像上に合成することにより、偏
光主軸の回転によって生じた光量減衰部分を平均化し
て、その輪郭を目立たなくさせることができるのであ
る。
【0045】第2に、直線状のナイフエッジ2aを光路
lに挿入すると、ナイフエッジ2aの方向と平行な方向
における屈折力異常成分は最も良く検出され得るが、ナ
イフエッジ2aの方向と直交する方向における屈折力異
常成分はあまり良く検出されない。そのため、ナイフエ
ッジ2a自体を光軸lに直交する面内で回転させて、あ
らゆる方向における異常成分を全て検出して、同一の画
像上に合成しているのである。<図7の説明を削除しま
した> 以上のようにループ処理を繰り返した結果拡散板2及び
両偏光フィルタ3,4が360度回転すると(即ち、両
偏光フィルタ3,4の22.5度づつの回転を16回繰
り返すと)、S04からこのループ処理を抜けて、処理
はS06に進む。
【0046】S06では、良否判定処理を実行する。図
4は、このS06において実行される良否判定処理サブ
ルーチンを示すフローチャートである。このサブルーチ
ンに入って最初のS11では、検査対象領域抽出処理を
実行する。
【0047】図5は、このS11において実行される検
査対象領域抽出処理サブルーチンの内容を示すフローチ
ャートである。このサブルーチンに入って最初のS31
では、二値化処理を行う。この二値化処理とは、第2メ
モリ6b内の画像データの各画素に対応する数値情報が
所定の閾値を超えていればその数値情報を255(白)
に置き換え、超えていなければ0(黒)に置き換える処
理である。この閾値は、光学部材Aの外縁を途中で途切
れることなく白(255)の閉曲線として残し得るよう
な値に、設定されている。
【0048】次のS32では、閉領域抽出処理が実行さ
れる。この閉領域抽出処理とは、閉じた白線によって囲
まれている領域のみを抽出する処理である。具体的に
は、S31により二値化された画像データを構成する黒
い画素[0]のうち、白い画素[255]によって取り
囲まれているものを閉領域内の画素とみなす。そして、
この閉領域内のものと見なされた全画素の数値を255
とし、それ以外の全画素の数値を0とする。
【0049】次のS33では、穴埋め処理が実行され
る。この穴埋め処理とは、白い画素[255]の中に残
された黒い画素[0]を消去するための処理である。具
体的には、S12によって得られた画像データを構成す
る黒い画素[0]のうち、白い画素[255]によって
取り囲まれているものの数値を255とする。
【0050】次のS34では、領域選択処理が実行され
る。この領域選択処理とは、本来必要とされる領域のみ
を有効とするとともに、それ以外の閉領域を削除するた
めの処理である。具体的には、S33によって得られた
画像データに含まれる各閉領域のうち、画面中心を取り
囲んでいる閉領域はそのままとし、それ以外の全閉領域
を構成する全画素の数値を0とする。このS34の処理
の結果得られた画像における白い画素[255]の領域
は、検査対象光学部材の画像の領域に対応しているの
で、この画像のことを以下「マスク画像」という。
【0051】次のS35では、マスク画像NOT(反
転)が実行される。これは、マスク画像を構成する各画
素の数値を反転するための処理である。具体的には、2
値化されたマスク画像を構成する各画素の数値(8ピッ
トパラレルのデジタル値)のうち、白い画素[255]
を黒い画素[0]に、黒い画素[0]を白い画素[25
5]に変換するための処理である。
【0052】次のS36では、第2メモリ(6b)に書
き込まれている各画素の数値(8ピットパラレルのデジ
タル値)から、S35での反転処理の結果得られた反転
マスク画像の各画素の値(8ピットパラレルのデジタル
値)を減算する。この減算の結果、反転マスク画像の画
素の数値が0であれば、画像データの対応する画素の数
値がそのまま残り、また、反転マスク画像の画素の数値
が255であれば、画像データの対応する画素の数値が
0となる。なお、減算の結果、画素の数値が0以下にな
る場合でも、画素の数値を0とする。
【0053】以上により、良品又は不良品の判定に用い
られる画像データが得られるので、このサブルーチンを
終了して、図4の良否判定処理サブルーチンに処理が戻
る。図4においてS11の次に実行されるS12では、
S11によって抽出された画像データを構成する各画素
の数値を閾値と比較し、二値化(255:白,又は、
0:黒)する。即ち、閾値を127と設定し、数値0〜
127を数値0に置き換えるとともに、数値128〜2
55を数値255に置き換える。なお、閾値を255と
設定し、数値255を数値255のままにしておくとと
もに、それ以外の数値を数値0に置き換えるようにして
も良い。
【0054】次のS13では、S12にて二値化された
結果得られた画像データ中に表れた全ての図形につい
て、その図形的特徴量(白い部分の面積,最大幅,重
心,フィレ径,等)を算出する。例えば、白い[255
の]画素の数を数えて面積量とする。なお、判定に用い
られる図形的特徴量のうちどれを合否判定に用いるか
は、検査対象光学部材の種類に依って定まる。
【0055】次のS14では、図形データに含まれる全
ての図形について、S13にて算出された全種類の図形
的特徴量を、予め設定されている各合否判定基準値と比
較する。そして、対応する合否判定基準値を超過してい
る図形的特徴量を有する抽出図形が一つでもあれば不合
格(不良品)と判定し、S16においてNG(不良品)
である場合の処理(図示せぬ表示装置により不良品であ
る旨の表示を行う等)を行い、このサブルーチンを終了
して、図3のメインルーチンに処理を戻す。
【0056】これに対して、全ての抽出図形の全ての図
形的特徴量が夫々に対応する合否判定基準値内に収まっ
ていれば合格(良品)と判定し、S15においてOK
(良品)である場合の処理(図示せぬ表示装置により良
品である旨の表示を行う等)を行い、このサブルーチン
を終了して、図3のメインルーチンに処理を戻す。
【0057】図3のメインルーチンでは、図4のサブル
ーチンから処理が戻されてS06が完了すると、画像処
理を終了する。 <光学部材検査装置による検査手順>本実施形態による
光学部材検査装置によって光学部材を検査する時には、
検査者は、両偏光フィルタ3,4を外した状態におい
て、検査対象光学部材Aを図示せぬホルダに固着して光
軸lと同軸に配置する。なお、検査対象光学部材Aが凸
レンズA以外である場合には、照明側偏光フィルタ3と
照明ユニット14との間に、補正レンズを挿入する。
【0058】検査者は、次に、白色ランプ9を点灯し
て、拡散板2のナイフエッジ2aを照明させる。する
と、表示装置8上に、撮像素子16によって撮像された
映像が映し出される。
【0059】検査者は、表示装置8に映し出される映像
を見ながら、照明ユニット14を移動させる。そして、
図6(a)又は(b)のように、検査対象光学部材Aの
外縁αの内側において、検査対象光学部材Aの外縁αの
外側に見えるナイフエッジβと同じ方向にナイフエッジ
γが見える時には、照明ユニット14が検査対象光学部
材Aに近過ぎる場合であるので、照明ユニット14を検
査対象光学部材Aから遠ざける。逆に、図6(d)又は
(e)のように、検査対象光学部材Aの外縁αの内側に
おいて、検査対象光学部材Aの外縁αの外側に見えるナ
イフエッジβと逆の方向にナイフエッジγが見える時に
は、照明ユニット14が検査対象光学部材Aから遠すぎ
る場合であるので、照明ユニット14を検査対象光学部
材Aに近付ける。このような照明ユニット14の進退調
整を行った結果、図6(c)のように、ナイフエッジγ
が検査対象光学部材Aの外縁α内の大部分において消え
た時には、照明ユニット14が適正位置にある場合であ
るので、調整を停止する。このように、本実施形態で
は、照明ユニット14が光軸方向に移動可能となってい
るので、焦点距離の違う複数種類の光学部材を検査する
ことができる。
【0060】次に、検査者は、両偏光フィルタ3,4を
装着するとともに、図示せぬ検査開始ボタンを押下し
て、図3の画像処理を開始させる。すると、偏光フィル
タ回転制御部7によって、拡散板2及び各偏光フィルタ
3,4が22.5度づつ回転駆動されるとともに(S0
5)、各回転位置において検査対象光学素子A及び両偏
光フィルタ3,4を通過した光によって形成される画像
が、撮像装置5によって撮像される(S01)。画像処
理部6は、撮像した各画像の濃淡変化箇所を微分処理に
よって強調し(S02)、360度回転分にわたって加
算する(S03,S04)。
【0061】その結果、検査対象光学部材Aにおいて生
じたいかなる振動方向の複屈折に関しても、それが生じ
た領域(カメラ側偏光フィルタ4において透過が阻止さ
れる異常光を生じる領域)が抽出され、それらが一つの
画像データにまとめ上げられる。同時に、検査対象光学
部材Aのいかなる方向における屈折力異常成分(屈折率
異常,表面欠陥,等)に関しても、それを有している領
域が抽出され、一つの画像データにまとめ上げられる。
【0062】そして、図形データに含まれる全ての図形
の図形的特徴量が数値として算出され、一定の判定基準
値と比較され、この比較結果に応じて良品であるか不良
品であるかの判定が客観的になされるのである。
【0063】
【実施例】次に、本実施形態による光学部材検査装置に
よって実際に得られた微分・合成後の画像データを、図
8に示す。
【0064】図8は、樹脂の射出成形によって形成され
たレンズを検査対象光学部材Aとした場合おいて得られ
た画像データであり、S06の良否判定処理の対象とさ
れる画像データ自体である。図9は、この図8の画像デ
ータに含まれる図形α,β,δ〜ηを抽出して描いた略
図である。
【0065】各図形のうち検査対象光学部材Aの外縁α
の内側に現れた太い円δは、検査対象光学部材Aに生じ
たヒケであると考えられる。この円δは、面積もフィレ
径も非常に大きいので、それらの値がともに合否判定基
準値を上回り、不良品であると判定される。また、外縁
αに繋がるηの線は検査対象光学部材Aのゲートの輪郭
であるので、外縁αの内側に生じたζの部分は、ゲート
部分における高分子の配向歪みによって生じた複屈折に
よるものであると判断することができる。このζの部分
については、その面積又はフィレ径の値如何によって
は、不良品であるとの判定要因となる。
【0066】さらに、外縁αの内側に多数表れた白点ε
は、検査対象光学部材Aの表面に付着したゴミやキズで
あると考えられる。これらに付いては、それらの面積又
はフィレ径の値,あるいはそれらの個数如何によって
は、不良品であるとの判定要因となる。
【0067】なお、外縁αの外側に現れた放射状の線β
は、ナイフエッジ2aを示している。しかしながら、こ
のナイフエッジの線β及びゲートの輪郭ηは、S11の
検査対象領域抽出処理によって、判定対象から除外され
るので、判定結果に影響を及ぼすことはない。
【0068】
【比較例1】図10は、本実施形態から両偏光フィルタ
3,4を外すとともにその他の条件を上記実施例の場合
と同じにした状態で得られた画像データを示す。
【0069】この図10から明らかなように、偏光フィ
ルタ3,4を用いない場合は、偏光フィルタ3,4を併
用した場合と比較して、屈折力の異常部分(ヒケが生じ
ている部分)が若干強調されるが、複屈折を生じている
部分が示されないことが解る。
【0070】
【比較例2】図11は、本実施形態における拡散板2を
無着色のものと交換するとともにその他の条件を上記実
施例の場合と同じにした状態で得られた画像データを示
す。
【0071】この図11から明らかなように、ナイフエ
ッジ2aがない場合は、ナイフエッジ2aがある場合と
比較して、屈折力の異常部分(ヒケが生じている部分)
が示されないことが解る。
【0072】
【比較例3】図12は、比較例2の状態から、更に、両
偏光フィルタ3,4の相対回転位相を90度ずらした状
態(各偏光フィルタ3,4を透過する直線偏光の振動方
向が互いに直交するように各偏光フィルタ3,4を配置
した状態)で得られた画像データを示す。
【0073】この図12から明らかなように、各偏光フ
ィルタ3,4を透過する直線偏光の振動方向が互いに直
交する状態では、それが平行となっている場合と比較し
て、複屈折を生じている部分が強調されるが、検査対象
光学部材の表面に付着したゴミやキズが示されないこと
が解る。
【0074】以上説明したように、本実施形態による光
学部材検査装置では、被検査物たる光学部材A全体にお
ける複屈折及び屈折力異常の分布が静止画像データとし
て確認できる。また、一定の判断基準値を用いて良否判
定を行うので、安定した検査を行うことができる。さら
に、光学部材Aの表面のゴミ,キズも検査することがで
きる。
【0075】
【発明の効果】以上のように構成された本発明の光学部
材検査装置によれば、被検査物たる光学部材全体の複屈
折状態及び屈折力異常を示すデータを出力することがで
きる。
【0076】また、撮像手段によって撮像された画像中
に現れる像の形状を数値化する数値化手段と、この数値
化手段によって数値化された数値が所定の判定基準値を
超えたか否かを判定する判定手段とを設ければ、客観的
基準に従って良品と不良品との合否判定を行うことがで
きる。従って、良品として用いる製品の品質を安定させ
ることができるとともに、良品を誤判定により廃棄して
しまうといった無駄を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態による光学部材検査装置
の概略図
【図2】 図1の光学部材検査装置の光学構成及び回路
構成を示すブロック図
【図3】 図1の画像処理部6において実行される画像
処理の内容を示すフローチャート
【図4】 図3のS06において実行される良否判定処
理サブルーチンの内容を示すフローチャート
【図5】 図4のS11において実行される検査対象領
域抽出処理サブルーチンの内容を示すフローチャート
【図6】 図1における照明ユニットの移動調整時にお
ける表示装置上の画像を示す図
【図7】 ヒケを有する光学部材を検査した場合におけ
る表示装置上の画像を示す図
【図8】 実施例によって得られた微分合成処理後の画
像データを示す図
【図9】 図8の画像データ中に含まれる各図形を描い
た略図
【図10】 比較例1によって得られた画像データを示
す図
【図11】 比較例2によって得られた画像データを示
す図
【図12】 比較例3によって得られた画像データを示
す図
【符号の説明】
1 ライトガイドケーブル 2 拡散板 3 照明側偏光フィルタ 4 レンズ側偏光フィルタ 5 撮像装置 6 画像処理部 7 偏光フィルタ及びナイフエッジ回転制御部 A 光学部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中山 利宏 東京都板橋区前野町2丁目36番9号旭光学 工業株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光学部材の光学的欠陥を検出する光学部材
    検査装置であって、 照明光によって照明される拡散板と、 前記光学部材を含む光学系の焦点位置に配置されるとと
    もに、前記拡散板によって拡散された光を部分的に通過
    させる遮光手段と、 前記光学系の光軸上における前記光学部材の前後に夫々
    位置する一組の偏光子と、 この一組の偏光子を前記光軸に交わる面内において相互
    の回転位相差を一定に保ちつつ回転させる偏光子回転手
    段と、 この偏光子回転手段によって回転させられた前記一組の
    偏光子の複数の回転位置において、前記光学系及び前記
    一組の偏光子を透過した光を撮像する撮像手段と、 前記一組の偏光子が一回転する間に前記撮像手段によっ
    て撮像された画像を合成する合成手段とを備えたことを
    特徴とする光学部材検査装置。
  2. 【請求項2】前記一組の偏光子の前記相互の回転位相差
    は、各々の偏光子によって透過される光の偏光方向が互
    いに平行になるように設定されていることを特徴とする
    請求項1記載の光学部材検査装置。
  3. 【請求項3】前記遮光手段は、直線状の境界線を有し且
    つこの境界線の片側において光を遮光する遮光部材であ
    るとともに、 この遮光部材を前記光軸と直交する面内において前記境
    界線に接する回転軸を中心に回転させる遮光部材回転手
    段を更に設けたことを特徴とする請求項1記載の光学部
    材検査装置。
  4. 【請求項4】前記光学部材を含む光学系の光軸は、前記
    遮光部材の回転軸と一致していることを特徴とする請求
    項3記載の光学部材検査装置。
  5. 【請求項5】前記偏光子回転手段による前記一組の偏光
    子の回転位相と前記遮光部材回転手段による前記遮光手
    段の回転位相とが同位相であることを特徴とする請求項
    4記載の光学部材検査装置。
  6. 【請求項6】前記撮像手段によって撮像された画像内に
    おける濃淡変化が大きい部位を強調する強調手段を更に
    備えたことを特徴とする請求項1又は5記載の光学部材
    検査装置。
  7. 【請求項7】前記強調手段は、前記画像を多数の画素に
    分け、隣接する各画素の輝度同士を比較して微分処理
    し、この微分処理の結果得られた画像を前記強調がなさ
    れた画像とすることを特徴とする請求項6記載の光学部
    材検査装置。
  8. 【請求項8】前記撮像手段によって撮像された画像中に
    現れる像の形状を数値化する数値化手段と、 この数値化手段によって数値化された数値が所定の判定
    基準値を超えたか否かを判定する判定手段とを、更に備
    えたことを特徴とする請求項1,6,又は7記載の光学
    部材検査装置。
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