JP3559392B2 - 光学部材検査装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、レンズ等の光学部材の屈折率異常等の光学的欠陥を検出するための光学部材検査装置に関し、特に、光学的欠陥の種類をも判定することができる光学部材検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
レンズ,プリズム等の光学部材は、入射した光束が規則正しく屈折して、平行に進行したり、一点又は線状に収束したり発散するように設計されている。しかしながら、光学部材の成形異常により屈折力(屈折率)が不規則に変化していたり、形成後の人的取り扱いによって光学部材の表面上にゴミ,キズ等が生じていると、入射した光束が乱れてしまうので、所望の性能を得ることができなくなる。特に、樹脂を金型に注入して成形する事によって作成されるレンズやプリズム等の光学部材では、上述した表面上のゴミ,キズ等の他、成形異常によってヒケ(樹脂が金型表面から離間して生じる陥没),ジェッティング(光学部材内において樹脂密度が部分的に変化している箇所),フローマーク(樹脂の収縮に伴って光学部材表面に生じるW字状の皺)が生じ易いので、このような欠陥を効率良く検出することが必要となっている。
【0003】
そのため、本発明者は、セットされた光学部材の光学的欠陥を自動的に検出することができる光学部材検査装置を、特願平7−229242号として出願した。この光学部材検査装置は、光学部材の焦点位置において回転自在に配置されたナイフエッジと、ナイフエッジの背後に配置されて照明光を発散するための拡散板と、光学部材を透過した光を撮像するための撮像装置とにより、構成される。このような構成の光学部材検査装置によると、光学部材表面又は内部における屈折力(屈折率)異常箇所が、撮像された画像中において明暗濃度の急激な変化部位として表れる。また、光学部材の表面に生じたキズや微細なごみ等は、それ自体が撮像装置によって撮像されるので、同様に、明暗濃度の変化部位として表れる。そして、これらの明暗濃度の急激な変化部位の形状又は面積が数値化されて、合否判断に用いられるのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した出願に係る発明においては、光学部材の表面の照明は、ナイフエッジを照明する照明光によってなされる。そして、この照明光は、その裏面側から略垂直に、検査対象光学部材に入射している。従って、キズやゴミでの乱反射によって輝点が生じたとしても、この輝点は、その周囲を通る拡散板からの照明光の中に埋もれてしまうことになる。従って、光学部材表面のキズやゴミは、画像中において、あまり急激な明暗濃度変化箇所としては表れなかった。
【0005】
また、キズやゴミが、明暗濃度の変化箇所として画像中に表れたとしても、上述したように、ナイフエッジを照明する照明光と検査対象光学部材を照明する照明光とは、同じ照明光である。従って、キズやゴミによる明暗濃度変化箇所と屈折力(屈折率)異常による明暗濃度変化箇所とは、画像中において同色によって表される。そのため、これらの欠陥の種類を画像に基づいて区別するのが困難であった。
【0006】
そこで、本発明の課題は、以上の問題に鑑み、検査対象光学部材の表面欠陥を屈折力(屈折率)異常と一緒に明確に検出することができるとともに、両欠陥の種類をも容易に判定することができる光学部材検査装置を、提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
各請求項記載の発明は、上記課題を解決するためになされたものである。
請求項1記載の発明は、光学部材の光学的欠陥を検出する光学部材検査装置であって、第1の光を出射する第1照明装置と、この第1照明装置から出射された前記第1の光によって照明される拡散板と、前記光学部材を含む光学系の焦点位置に配置されるとともに、前記拡散板によって拡散された前記第1の光を部分的に透過させる遮光手段と、前記第1の光とは異なった方向から、前記光学部材の表面に対して、第2の光を照射する第2照明装置と、前記光学系を透過した前記第1の光及び前記光学部材の表面にて拡散された前記第2の光とを夫々撮像する撮像手段と、この撮像手段によって前記第1の光を撮像して得られた第1画像及び前記第2の光を撮像して得られた第2画像に基づいて、前記光学部材の光学的欠陥の有無及び光学的欠陥の種類を判定する判定手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
光学部材とは、凸レンズ及び凹レンズ,プリズム,凹面鏡及び凸面鏡,並びに、平行平面板を含む。また、ガラスからなる光学部材及び樹脂成形による光学部材を含む。光学部材の光学的欠陥とは、屈折率や屈折力の部分的異常や光学部材の表面の欠陥を言う。屈折率や屈折力の異常としては、樹脂成形の光学部材におけるヒケやジェッティングやフローマーク,ガラスからなる光学部材における面加工の不良,等が例示される。また、光学部材の表面の欠陥としては、表面のキズや汚れやゴミ,等が列挙される。
【0009】
拡散板は、背後から照明される透光部材であっても良いし、表面側から照明される反射部材であっても良い。
遮光手段は、拡散板の表面に直接印刷された遮光パターンであっても良いし、板状の不透明部材を適宜切り出して拡散板に貼り付けたものであっても良いし、拡散板とは別個の透明部材表面上に遮光パターンを印刷したものであっても良い。この遮光手段における光を部分的に透過させる部分と遮光させる部分との境界線は、直線状であっても良いし、曲線状であっても良い。また、境界線は一本のみであっても良いし、縞状に複数本あっても良い。さらに、境界線は、複数の方向を向いていても良い。この遮光手段は、境界線が複数の方向を向いている場合には固定されていても良いが、境界線が一本のみの場合又は境界線が全て同じ方向を向いている場合にはこの境界線に接する回転軸を中心に回転することが望ましい。なお、遮光手段が回転する際、拡散板が一体に回転しても良いし、拡散板が固定された状態で遮光手段のみが回転しても良い。
【0010】
「光学部材を含む光学系」とは、凸レンズ又は凹面鏡である光学部材そのもの,若しくは、凹レンズ,凸面鏡,平行平面板,又はプリズムである光学部材を含む正レンズ群のことである。この光学系の全体としての焦点位置が遮光手段の位置に一致するように、各部材が配置される。
【0011】
第2照明手段は、第2の光学部材に対して第2の光を表面側から照射しても良いし、裏面側から照射しても良い。この第2照明手段は、1箇所からのみ第2の光を照射しても良いし、面状に広がった拡散板を介して第2の光を照射しても良い。第2照明手段によって照射される第2の光の波長は、第1照明手段によって出射される第1の光と異なっていても良いし、同じであっても良い。後者の場合には、第1の光の出射タイミングと第2の光の照射タイミングをずらすことによって、一つの撮像手段によって第1画像及び第2画像を得ることができる。前者の場合、撮像手段がカラー撮像が可能な構造を有していれば、第1の光の出射タイミングと第2の光の照射タイミングを同時にしても、第1の画像と第2の画像を得ることができる。この場合、撮像手段は、撮像前に光を波長毎に分離して夫々別の撮像素子又は撮像管によって撮像しても良い。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1の遮光部材が、直線状の境界線によって夫々分けられた前記光を部分的に透過させる部分と前記光を部分的に遮光する部分とからなることで、特定したものである。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項2の遮光手段を前記撮像手段の撮像光軸に直交する面内において前記直線状の境界線に接する回転軸を中心に回転させる回転手段を更に備えたことで、特定したものである。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項3の光学部材を含む光学系の光軸が、前記遮光部材の回転軸と一致していることで、特定したものである。
請求項5記載の発明は、請求項1の第1の光の波長と前記第2の光の波長とが互いに異なることで、特定したものである。
【0015】
請求項6記載の発明は、請求項1の第2照明装置が、前記第2の光を、前記撮像手段の撮像光軸に対して斜めの方向から、前記光学部材の表面に対して照射することで、特定したものである。
【0016】
請求項7記載の発明は、請求項6の第2照明装置が、前記撮像手段の撮像光軸をその中心とした環状の拡散板を介して前記第2の光を照射することで、特定したものである。
【0017】
請求項8記載の発明は、請求項7の環状の拡散板が、前記撮像手段の画角の外側に位置していることで、特定したものである。
請求項9記載の発明は、請求項5の撮像手段が、前記第1の光と前記第2の光とを同時に撮像することで、特定したものである。
【0018】
請求項10記載の発明は、請求項9の撮像手段が、前記第1の光と前記第2の光とを夫々個別に撮像する2種類のピクセルを包含する撮像素子を有していることで、特定したものである。
【0019】
請求項11記載の発明は、請求項1の判定手段が、前記第1画像の前記光学部材の光学的欠陥を示す部位を夫々数値化するとともに前記第2画像の前記光学部材の光学的欠陥を示す部位を夫々数値化する数値化手段と、この数値化手段によって数値化された数値が所定の判定基準値を超えたか否かを比較する第1の比較手段とを有し、この第1の比較手段によって前記数値が前記所定の判定基準値を超えたと認定された場合に、前記光学部材が光学的欠陥を有していると判定することで、特定したものである。
【0020】
請求項12記載の発明は、請求項11の第1の比較手段が、前記数値化手段によって数値化された何れかの数値が前記所定の判定基準値を超えたか否かを比較することで、特定したものである。
【0021】
請求項13記載の発明は、請求項1の判定手段が、個々の前記光学的欠陥を示す部位毎に、前記第1画像に基づいて数値化された数値と前記第2画像に基づいて数値化された数値とを比較する第2の比較手段を更に有し、個々の前記光学的欠陥を示す部位毎に、前記第1画像に基づいて数値化された数値が前記第2画像に基づいて数値化された数値よりも所定量以上大きいと前記第2の比較手段によって認定された場合には当該光学的欠陥が屈折力異常に因るものであると判定し、前記第1画像に基づいて数値化された数値が前記第2画像に基づいて数値化された数値よりも前記所定量以上小さいと前記第2の比較手段によって認定された場合には当該光学的欠陥がキズに因るものであると判定し、前記第1画像に基づいて数値化された数値と前記第2画像に基づいて数値化された数値との差が前記所定量以内であると前記第2の比較手段によって認定された場合には当該光学的欠陥がゴミに因るものであると判定することで、特定したものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。
【0023】
【実施形態1】
<光学部材検査装置の全体構成>
図1は、本発明による光学部材検査装置の実施の形態を示す概略構成図(斜視図)であり、図2は、その光学系の更に詳しい構成及び機械構成を示す光学構成図であり、図3は、その回路構成の更に詳しい構成を示すブロック図である。
【0024】
各図に示すように、この光学部材検査装置は、ナイフエッジユニット4,照明リング24,リング状拡散照明板25,及びカラーCCDカメラ7を、共通の装置光軸l上において光の進行方向に沿って順番に配置して、構成されている。また、カラーCCDカメラ7は、CPU14に接続され、このCPU14は、キーボード31,外部メモリ30,モニタ装置10,X/Yステージ制御回路17,斜入射光照明駆動回路19,ナイフエッジ回転制御回路15,及びナイフエッジ照明駆動回路16に接続されている。このX/Yステージ制御回路17は、X/Yステージ18のX方向用パルスモータ20及びY方向用パルスモータ21に接続されている。また、斜入射光照明駆動回路19は、リング照明装置27の照明ランプ28に接続されている。また、ナイフエッジ回転制御回路15は、ナイフエッジユニット4のモータ13に接続されている。また、ナイフエッジ照明駆動回路16は、ナイフエッジ照明装置26の照明ランプ1に接続されている。そして、検査対象光学部材(図1及び図2においては、正レンズ)Aは、X/Yステージ18によって保持されて、リング状拡散照明板25とカラーCCDカメラ7との間の装置光軸l上に配置されている。
【0025】
この撮像手段としてのカラーCCDカメラ7は、全体として正レンズ系である撮像レンズ8と、この撮像レンズ8によって集束される光による像をカラー撮像するカラーCCDエリアセンサからなる撮像素子9とから、構成されている。この撮像素子9は、撮像レンズ8によって集束された光に含まれる赤,緑及び青の三原色を夫々個別に撮像する3種類のピクセルを包含し、赤色光を撮像するピクセルからの画像データ(第2画像,R)及び青色光を撮像するピクセルからの画像データ(第1画像,B)を、夫々CPU14に入力する。
【0026】
モニタ装置10は、撮像素子9から入力された画像データに基づく画像を表示する画像モニタ装置である。
また、外部メモリ30は、各検査対象光学部材Aの種類毎に作成されるデータを登録するための不揮発メモリである。
【0027】
また、キーボード31は、検査対象光学部材Aの種類を示す識別番号,レンズの手動芯出しの完了通知,検査を終了するか否か,等の情報をCPU14に入力するための入力装置である。また、キーボード31には、装置全体への主電源投入を指示するための主電源投入キー(図示略)も、設けられている。
【0028】
CPU14は、図4乃至図10の処理を実行することにより、画像処理部32及び制御部33の機能を生じる。この画像処理部32は、カラーCCDカメラ7から入力される画像に対して様々な画像処理を施す部分であり、制御部33は、この画像処理結果に基づいて各部の制御を行う部分である。
【0029】
判定手段(数値化手段,第1の比較手段,第2の比較手段)としての画像処理部32には、カラーCCDカメラ7が接続されているとともに、第1画像メモリ34〜第4画像メモリ37が内蔵されている。この画像処理部32は、具体的には、検査者によるナイフエッジユニット4の装置光軸l上での位置調整に際して、カラーCCDカメラ7から入力された各画像データ(B)を、制御部33に受け渡す。また、画像処理部32は、検査対象光学部材Aに欠陥が生じているか否か及びその欠陥の種類の判定を行う(判定手段に相当)。この判定のために、画像処理部32は、カラーCCDカメラ7から入力された画像データ(R),(B)から、検査対象光学部材Aの外縁α(図13)よりも内側の領域を、検査対象領域として抽出する。そして、この抽出した検査対象領域の画像データに対して所定の画像処理を行い、検査対象光学部材Aに生じている各光学的欠陥箇所における欠陥の程度を数値化する(数値化手段に相当)。そして、この数値を一定の判定基準値(許容値)と比較し(第1の比較手段に相当)、この数値が判定基準値内に収まっているか超えているかの判定を行う。さらに、この数値が判定基準値を越えている場合には、その欠陥の部位に対応する第1画像に基づく数値と第2画像に基づく数値とを比較し(第2の比較手段に相当)、この欠陥が光学部材の屈折力(屈折率)異常に因るものであるか表面欠陥に因るものであるかを判定する。この判定結果は、画像処理部32より制御部33へ通知される。
【0030】
制御部33には、上述のキーボード31,外部メモリ30及びモニタ装置10が接続されている。この制御部33は、具体的には、画像処理部32から画像データを受け取った場合には、その画像データをモニタ装置10に表示させる。また、この制御部33は、画像処理部32による上述の判定処理に先立って、X/Yステージ制御回路17に対して、X/Yステージ18によって検査対象光学部材Aの光軸を装置光軸lに合致させる様、指示を行う。即ち、検査対象光学部材Aの芯出処理を実行する。また、制御部33は、画像処理部32が上述した判定処理を行うのに伴って、ナイフエッジ照明駆動回路16及び斜入射光照明駆動回路19に対して夫々照明ランプ1,28の点灯を指示し、ナイフエッジ回転制御回路15に対してナイフエッジ6aの回転指示を行う。また、制御部33は、画像処理部32から通知された判定結果に基づいて、モニタ装置10に判定結果を表示させる。
【0031】
ナイフエッジ照明駆動回路16は、CPU14の制御部33からの指示に応じて、撮像素子9によって撮像される画像データの輝度値が所定値になるように、適切な量の駆動電流を、ナイフエッジ照明装置26の照明ランプ1に供給する。
【0032】
第1照明装置としてのナイフエッジ照明装置26は、光学部材検査装置内に固設されており、ナイフエッジ照明駆動回路16からの駆動電流によって青色に発光する照明ランプ1と、この照明ランプ1から出射された青色光(第1の光)を集光する集光レンズ2とから、構成されている。この集光レンズ2によって集光された青色光は、このナイフエッジ照明装置26とナイフエッジユニット4との間をフレキシブルに結ぶ光ファイバー束3の入射端面3bに、入射する。
【0033】
このナイフエッジユニット4は、全体として装置光軸l上をカラーCCDカメラ7に向けて進退できるように、光学部材検査装置内に設けられている。このナイフエッジユニット4の内部には、その中心を装置光軸lと同軸にした円盤状の拡散板5が、装置光軸lに直交する面内において装置光軸lを中心に回転自在に保持されている。この拡散板5のカラーCCDカメラ7側の面には、遮光手段としての遮光板6が一体に貼り付けられている。この遮光板6は、図1に示すように、不透明部材からなる半円形の板であり、拡散板5の中心を通る径方向の直線を弦(ナイフエッジ)6aとするとともに、拡散板5と同一半径の円弧を有している。上述したナイフエッジ照明装置26からの光を伝送する光ファイバー束3の出射端3aは、このナイフエッジユニット4内において、装置光軸lに沿って拡散板5の背面(遮光板6が貼り付けられている面とは反対側の面)に向けて配置されている。このような構成を備えた結果、光ファイバー束3の出射端3aから出射された青色光は、拡散板5によって拡散され、遮光板6により部分的に遮光されるとともに、遮光板6に覆われていない部分により部分的に透過される。
【0034】
拡散板5の周縁部には、この拡散板5と同軸の環状ギア11が固着されている。この環状ギア11は、ピニオンギア12と噛合しており、このピニオンギア12は、ナイフエッジユニット4内に固定されているモータ13の回転軸に取り付けられている。このモータ13は、制御部33によって制御されるナイフエッジ回転制御装置15によって、回転駆動される。このようにしてモータ13が回転駆動されると、両ギア12,11を介して拡散板5が装置光軸lに直交する面内で回転され、遮光板6のナイフエッジ(弦)6aも装置光軸lを中心に回転する。これら制御部33,ナイフエッジ回転制御回路15,モータ13,ギア12,11が回転手段に相当する。
【0035】
斜入射光照明駆動回路19は、CPU14の制御部33からの指示に応じて、撮像素子9によって撮像される画像データの輝度値が所定値になるように、適切な量の駆動電流を、リング照明装置27の照明ランプ28に供給する。
【0036】
第2照明装置を構成するリング照明装置27は、斜入射光照明駆動回路19から供給される駆動電流によって赤色に発光する照明ランプ28と、この照明ランプ28から出射された赤色光(第2の光)を集光する集光レンズ29とから、構成されている。この集光レンズ29によって集光された赤色光は、このリング照明装置27と照明リング24との間をフレキシブルに結ぶ光ファイバー束23の入射端面23bに、入射する。
【0037】
第2照明装置を構成するリング照明24は、装置光軸(撮像光軸)lを中心としてリング状に構成されており、光ファイバー束23の先端を、リング状拡散照明板25に向けた状態で装置光軸lの周囲に保持している。
【0038】
第2照明装置を構成する環状の拡散板としてのリング状拡散照明板25は、リング照明24から出射された光をランダムな方向に拡散させつつ透過する拡散板であり、装置光軸(撮像光軸)lを中心としてリング状に構成されている。従って、このリング状拡散照明板25は、検査対象光学部材Aを、装置光軸(撮像光軸)lに対して斜めの方向(第1の光とは異なった方向)から照明することになる。なお、リング照明24及びリング状拡散照明板25の内径は、何れも同径であり、カラーCCDカメラ7の画角よりも大きく形成されている。従って、このリング状拡散照明板25から出射された光がカラーCCDカメラ7によって直接撮像されることはない。
【0039】
X/Yステージ18は、検査対象光学部材Aから径方向に向けて一体に延びているランナー0を掴むことにより、装置光軸lに直交する面内で移動可能に検査対象光学部材Aを保持する。即ち、このX/Yステージ18は、装置内の固定部に対してX方向(図2の左右方向)にスライドするXステージ18a,及び、このXステージ18aに対してY方向(図2の紙面に直交する方向)にスライドするYステージ18bと、ランナー0を掴むためにYステージ18b上に固設されているホルダ部22とから、構成されている。このXステージ18aには、このXステージ18aをX方向にスライド駆動するためのX方向用パルスモータ20が取り付けられており、Yステージ18bには、このYステージ18bをY方向にスライド駆動するためのY方向用パルスモータ21が取り付けられている。
【0040】
X/Yステージ制御回路17は、CPU14の制御部33からの制御に応じて各パルスモータ20,21に駆動パルスを供給してX/Yステージ18を駆動し、検査対象光学部材Aの光軸が装置光軸lに合致する様にこの検査対象光学部材Aを移動させる装置である。
【0041】
上述のナイフエッジユニット4は、検査対象光学部材Aが正レンズである場合には、そのナイフエッジ6aの装置光軸l上の位置がX/Yステージ18に保持された検査対象光学部材Aの焦点位置と一致するように、その装置光軸l上の位置が調整される。
【0042】
一方、この検査対象光学部材Aが負レンズである場合には、この検査対象光学部材Aとリング状拡散照明板25との間に、この検査対象光学部材のパワー(絶対値)よりも大きいパワー(絶対値)を有する補正レンズ(正レンズ)が配置される。この検査対象光学部材(負レンズ)A及び補正レンズ(正レンズ)からなるレンズ群は、全体として正のパワーを持つレンズ群である。この場合、上述のナイフエッジユニット4は、そのナイフエッジ6aの装置光軸l上の位置が検査対象光学部材Aと補正レンズの合成焦点位置と一致するように、その装置光軸l上の位置が調整される。
<屈折力(屈折率)欠陥表示の原理>
以上のように被検査光学部材A(及び補正レンズ)が配置されると、ナイフエッジユニット4から出射されて検査対象光学部材Aを透過した青色光は、この検査対象光学部材Aが良品である限り、平行光となる。従って、カラーCCDカメラ7側から見ると、遮光板6のナイフエッジ6aが無限遠上に位置しているのと等価になる。
【0043】
ところで、仮に、検査対象光学部材Aの焦点位置(又は、検査対象光学部材Aと補正レンズとからなる光学系の合成焦点位置,以下同様とする)がナイフエッジ6aの装置光軸l上の位置よりもカラーCCDカメラ7側にずれると、検査対象光学部材AとカラーCCDカメラ7の撮像レンズ8との間の空間に、ナイフエッジ6aの倒立像(実像)が形成される。このナイフエッジ6aの倒立像(実像)は撮像レンズ8によってリレーされ、撮像レンズ8の撮像素子9側の空間に、ナイフエッジ6aの正立像(実像)が形成される。逆に、検査対象光学部材Aの焦点位置がナイフエッジ6aの装置光軸l上の位置よりも光ファイバー束3側にずれると、遮光板6の光ファイバー束3側の空間に、ナイフエッジ6aの正立像(虚像)が形成される。このナイフエッジ6aの正立像(虚像)は撮像レンズ8によってリレーされ、撮像レンズ8の撮像素子9側の空間に、ナイフエッジ6aの倒立像(実像)が形成される。即ち、検査対象光学部材Aの焦点位置とは、この位置に存在する物体(ナイフエッジ6a)の像が、撮像レンズ8の撮像素子9側の空間において正立像として結像されるか倒立像として結像されるかの境界点であり、光学的に不安定な状態となる位置である。
【0044】
なお、検査対象光学部材Aと撮像レンズ8との間隔は、検査対象光学部材Aの焦点位置がナイフエッジ6aの装置光軸l上の位置よりもカラーCCDカメラ7側に僅かにずれただけであってもそれらの間(正確には、両者の焦点位置同士の間)にナイフエッジ6aの倒立像(実像)が形成されるように、可能な限り長くとってある。また、撮像素子9は、撮像レンズ8によって正立像が形成されても倒立像が形成されてもこれらの像をある程度明瞭に撮像できるように、正立像の形成位置(平均位置)と倒立像の形成位置(平均位置)との中間点に配置される。この位置とは、撮像レンズ8に関して検査対象光学部材Aの表面と光学的に等価な位置である。
【0045】
従って、撮像素子9上には、常に、検査対象光学部材Aの外縁の実像(倒立像)αが結像されるとともに、この検査対象光学部材の外縁の実像αの周囲には、検査対象光学部材Aを通さずに直接見えるナイフエッジ6aの実像(倒立像)がややぼけて結像される(図11(a)〜(e)参照)。
【0046】
そして、この検査対象光学部材の外縁の実像αの内側には、検査対象光学部材Aの焦点位置(検査対象光学部材Bと補正レンズCとからなる光学系の合成焦点位置)がナイフエッジ6aの装置光軸l上の位置よりもカラーCCDカメラ7側にずれている場合には、ナイフエッジ6aの実像(正立像)が、ややぼけて結像される(図11(d),(e)参照)。このナイフエッジ6aの実像(正立像)は、焦点位置のずれ量が少なくなる程ぼけ量が大きくなり(図11(d)参照)、ずれ量が大きくなる程ぼけ量が少なくなって明確になる(図11(e)参照)。
【0047】
これとは逆に、検査対象光学部材Aの焦点位置(検査対象光学部材Bと補正レンズCとからなる光学系の合成焦点位置)がナイフエッジ6aの装置光軸l上の位置よりも光ファイバー束3側にずれている場合には、検査対象光学部材の外縁の実像αの内側には、ナイフエッジ6aの実像(倒立像)が、ややぼけて結像される(図11(b),(a)参照)。ナイフエッジ6aの実像(倒立像)は、焦点位置のずれ量が少なくなる程ぼけ量が大きくなり(図11(b)参照)、ずれ量が大きくなる程ぼけ量が少なくなって明確になる(図11(a)参照)。
【0048】
また、検査対象光学部材Aの焦点位置がナイフエッジ6aの装置光軸l上の位置と一致すると、検査対象光学部材Aの外縁の実像αの内側におけるぼけ量が最大となり、全体に均一な明度で光線が照射されるようになる(図11(c)参照)。
【0049】
モニタ装置10及び画像処理部32に入力される画像データ中において、検査対象光学部材の外縁αの内側部分は、検査対象光学部材Aの焦点位置が拡散板5の表面の位置と一致した時には、検査対象光学部材Aに光学的欠陥がない限り、ナイフエッジ6aの黒色部分(白色光が遮られている部分)と白色部分(白色光が透過する部分)とが完全に混合して、均一濃度の灰色の平面として表示される(球面レンズの場合)。なお、検査対象光学部材Aとして非球面レンズを検査する場合には、焦点位置が一点のみではなく緩やかに変化しているので、輝度変化が非常に穏やかな画像となる。
【0050】
これに対して、検査対象光学部材A内に屈折率異常が生じている部分や表面の形状欠陥によって屈折力異常が生じている部分がある場合には、その異常部分のみ、正常な部分の焦点距離と異なる焦点距離を有することと等価になっている。従って、図12に示すように、その異常部分にだけ、ナイフエッジの像γが現れる。この異常部分の屈折率(屈折力)異常の程度(焦点距離のずれ量)は、ナイフエッジの像γの現れ方に反映される。即ち、ナイフエッジの像の濃淡が明確に現れれば現れるほど、屈折率(屈折力)異常の程度(焦点距離のずれ量)が大きくなる。
<表面欠陥表示の原理>
一方、リング状拡散照明板25の全域からは、あらゆる方向に向けて赤色光が出射されている。従って、検査対象光学部材Aの表面にゴミが付着していたり、キズがついている場合には、これらゴミやキズは、リング状拡散照明板25の全域からの赤色光によって、斜方向から照明される。このように照明されたゴミやキズは、照明光である赤色光を、再度拡散させる。このようにしてゴミ又はキズによって再度拡散された赤色光のうち、カラーCCDカメラ7の撮像レンズ8に入射した光は、この撮像レンズ8によって収束されて、これらゴミ又はキズの赤色光による像を撮像素子9上に結像する。なお、検査対象光学部材Aの表面にゴミが付着している場合には、ナイフエッジユニット4からの青色光もこのゴミによって拡散し、拡散した青色光が撮像レンズ8によって収束されるので、撮像素子9上には青色光による像も結像される。
【0051】
このように、赤色光が撮像素子9によって受光されるのは、主として検査対象光学部材Aの表面にゴミが付着されていたりキズがついている場合である。従って、カラーCCDカメラ7によって撮像される赤色の像は、検査対象光学部材Aの表面欠陥の位置及び形状並びに大きさを示している。
<自動芯出の原理>
制御部33によって制御される自動芯出の原理を、以下に説明する。図13は、カラーCCDカメラ7の撮像素子9によって撮像されるフィールドを示す。この図13に示されるように、撮像素子9によって撮像されるフィールドには、このフィールドの中心位置を原点“0”として、X方向に伸びるX方向中心軸,及びY方向に伸びるY方向中心軸が、夫々定義されている。また、X方向中心軸上には、原点“0”を中心とした一定範囲を規定するための座標点x及びxが、定義されている。同様に、Y方向中心軸上には、原点“0”を中心とした一定範囲を規定するための座標点y及びyが、定義されている。これらの座標点x,x,y,及びyは、検査対象レンズAの外縁像αの内側に存する座標点である。
【0052】
ところで、検査対象レンズAの光軸が装置光軸lと一致している場合,即ち、検査対象レンズAの光軸及び焦点位置が遮光板6のナイフエッジ6aの回転中心と合致している場合には、そのナイフエッジ6aがぼかされつつ拡大されるので、ナイフエッジ6aの方向に拘わらず、撮像素子9によって撮像された外縁α内の輝度は一定である。図16は、この状態にてナイフエッジ28aをX方向に向けるとともに拡散板6を図2の手前側に配置した時(0°)のY軸上の輝度分布,及び、ナイフエッジ6aをそこから180度回転させた時(180°)のY軸上の輝度分布を、夫々プロットしたグラフである。
【0053】
ところが、検査対象レンズAの光軸が装置光軸lからズレた場合には、ナイフエッジ6aが0°である時と180°である時とでは、検査対象レンズAの焦点と遮光板6との相対位置関係が変化する。即ち、ナイフエッジ6aが或る方向を向いている場合には検査対象レンズAの光軸が遮光板6上に位置するのに対してナイフエッジ6aが180°回転すると検査対象レンズAの光軸が拡散板5上に位置するように、なるのである。従って、検査対象レンズAの光軸が遮光板6上に位置している時には、遮光板6自体が拡大されるので、撮像素子9によって撮像された外縁α内の輝度が低くなる。一方、検査対象レンズAの光軸が拡散板5上に位置している時には、拡散板5自体が拡大されるので、撮像素子9によって撮像された外縁α内の輝度が高くなる。図14は、図16の状態に比して、検査対象レンズAの光軸がY方向に−0.2mmズレた場合における輝度分布を示している。また、図15は、図16の状態に比して、検査対象レンズAの光軸がY方向に−0.1mmズレた場合における輝度分布を示している。また、図17は、図16の状態に比して、検査対象レンズAの光軸がY方向に+0.1mmズレた場合における輝度分布を示している。また、図18は、図16の状態に比して、検査対象レンズAの光軸がY方向に+0.2mmズレた場合における輝度分布を示している。
【0054】
画像処理部32は、制御部33からの指示に応じ、ナイフエッジ6aの方向を0°とした場合の画像におけるy〜y(x〜x)の範囲内の輝度の積分値(輝度断面積)から、ナイフエッジ6aの方向を180°とした場合の画像におけるy〜y(x〜x)の範囲内の輝度の積分値(輝度断面積)を減算することにより、「輝度差」を算出する。図19は、図14乃至図18の各図から算出された輝度差をプロットしたものである。この図19から明らかなように、検査対象レンズAの光軸の装置光軸lに対するズレ量が大きくなる程、「輝度差」の絶対値が、大きくなる。また、ナイフエッジ6aの基準方向(0°の方向)を一定とした場合、ズレの向きによって輝度差の極性が逆転する。つまり、検査対象レンズAの光軸の装置光軸lに対するズレ量と「輝度差」とは、正比例関係にあるのである。従って、現時点における画像から「輝度差」を算出し、算出された「輝度差」に基づいて図19のグラフを逆に辿れば、現時点における検査対象レンズAの装置光軸lに対するズレ量及びズレ方向を知ることができる。制御部33は、このようにして得られたX,Y各方向におけるズレ量を相殺する距離だけ光学部材Aを移動させる様、X/Yステージ制御回路17に対して指示することによって、検査対象光学部材Aの芯出しを行うのである。なお、制御部33は、実際には、画像処理部32から通知された輝度差に基づいて、図20に示すような輝度差と移動量とを精密に対応させたナイフエッジ芯出テーブルを作成して外部メモリ30に格納しておくとともに、画像処理部32から輝度値の通知がある毎に、この輝度差に基づいてこのナイフエッジ芯出テーブルを参照して移動量を求める。なお、このナイフエッジ芯出テーブルは、Y方向用のナイフエッジ芯出テーブルとX方向用のナイフエッジ芯出テーブルとから構成されており、検査対象光学部材Aの種類毎に夫々作成・記憶されている。そして、制御部33は、X/Yステージ18上に保持された検査対象光学部材Aの種類に対応する識別番号がキーボード31を介して入力された場合には、その識別番号に対応するナイフエッジ芯出テーブルを、外部メモリ30から読み出して使用する。
<制御処理>
次に、制御部33及び画像処理部32において実行される光学部材検査のための制御処理の内容を、図4乃至図10のフローチャートを用いて説明する。
【0055】
図4に示す制御処理のメインルーチンは、当該光学部材検査装置に主電源を投入することにより、スタートする。そして、スタート後最初のS001において、制御部33は、検査対象光学部材(被検査物)Aをセットするための処理を実行する。即ち、制御部33は、ナイフエッジ照明駆動回路16に対してナイフエッジ照明装置26の照明ランプ1を点灯させる指示を行うとともに、モニタ装置10上に検査対象光学部材Aのセットを促す旨の表示を行い、検査対象光学部材Aのセットが完了した旨,及び、検査対象光学部材Aの整理番号がキーボード43を介して入力された場合には、処理をS002に進める。
【0056】
S002では、ナイフエッジ芯出し処理を実行する。図5及び図6は、このS002にて実行されるナイフエッジ芯出し処理サブルーチンを示すフローチャートである。このサブルーチンに入って最初のS101では、制御部33は、ナイフエッジ回転制御回路15に対して原点復帰命令を発行する。この原点とは、ナイフエッジ6aを図2の左右方向(X方向)に向けた状態で遮光板6自体が図2の手前側に来るナイフエッジ6a及び遮光板6の回転位置である。ナイフエッジ回転制御回路15は、この原点復帰命令を受けると、モータ13を駆動して、ナイフエッジ6aの回転位置を原点に復帰させる。
【0057】
次のS102では、制御部33は、S101での原点復帰命令に応じたナイフエッジ6aの回転が終了するのを待つ。
次のS103では、画像処理部32は、この時点においてカラーCCDカメラ7によって撮像された青色光に基づく画像データを入力する。
【0058】
次のS104では、制御部33は、ナイフエッジ回転制御回路15に対して90度回転命令を発行する。ナイフエッジ回転制御回路15は、この90度回転命令を受けると、モータ13を駆動して、ナイフエッジ6aを時計方向に90度回転させ始める。
【0059】
次のS105では、画像処理部32は、S103にて入力した画像データに基づいて、座標位置yと座標位置yとの間でY方向に並んだ全ての画素の輝度値の総和(積分値)Yを求める。
【0060】
次のS106では、制御部33は、S104での90度回転命令に応じたナイフエッジ6aの回転が終了するのを待つ。この回転が終了すると、ナイフエッジ1aが図2の紙面に直交する方向(Y方向)を向き、遮光板6自体が図2の左側に位置するようになる。
【0061】
次のS107では、画像処理部32は、この時点においてカラーCCDカメラ7によって撮像された青色光に基づく画像データを入力する。
次のS108では、制御部33は、ナイフエッジ回転制御回路15に対して90度回転命令を発行する。
【0062】
次のS109では、画像処理部32は、S107にて入力した画像データに基づいて、座標位置xと座標位置xとの間でX方向に並んだ全ての画素の輝度値の総和(積分値)Xを求める。
【0063】
次のS110では、制御部33は、S108での90度回転命令に応じたナイフエッジ6aの回転が終了するのを待つ。この回転が終了すると、ナイフエッジ6aが図2の紙面の左右方向(X方向)を向き、遮光板6自体が図2の奥側に位置するようになる。
【0064】
次のS111では、画像処理部32は、この時点においてカラーCCDカメラ7によって撮像された青色光に基づく画像データを入力する。
次のS112では、制御部33は、ナイフエッジ回転制御回路15に対して90度回転命令を発行する。
【0065】
次のS113では、画像処理部32は、S111にて入力した画像データに基づいて、座標位置yと座標位置yとの間でY方向に並んだ全ての画素の輝度値の総和(積分値)Yを求める。
【0066】
次のS114では、画像処理部32は、S105にて算出した輝度値総和YからS113にて算出した輝度値総和Yを減算することによって「輝度差」を算出し、算出された「輝度差」を制御部33に通知する。
【0067】
S115では、制御部33は、画像処理部32から通知された「輝度差」の絶対値に基づいて、S001にて入力された識別番号に対応するものとして外部メモリ30から読み出したY方向用のナイフエッジ芯出テーブルを参照して、対応する移動量(パルス数)ΔYを求める。それとともに、その「輝度差」の極性を反転した極性をこの移動量ΔYに付す。このように求めた値+/−ΔYは、Y方向の光軸ズレを相殺するための移動量(パルス数)及び移動方向を示す。なお、S113乃至S115までの処理の実行中でも、ナイフエッジ回転制御回路15はモータ13の駆動を継続する。
【0068】
次のS116では、制御部33は、S112の90度回転命令に応じたナイフエッジ6aの回転が終了するのを待つ。この回転が終了すると、ナイフエッジ6aが図2の紙面に直交する方向(Y方向)を向き、遮光板6自体が図2の右側に位置するようになる。
【0069】
次のS117では、画像処理部32は、この時点においてカラーCCDカメラ17によって撮像された青色光に基づく画像データを入力する。
次のS118では、画像処理部32は、S117にて入力した画像データに基づいて、座標位置xと座標位置xとの間でX方向に並んだ全ての画素の輝度値の総和(積分値)Xを求める。
【0070】
次のS119では、画像処理部32は、S109にて算出した輝度値総和XからS118にて算出した輝度値総和Xを減算することによって「輝度差」を算出し、算出された「輝度差」を制御部33に通知する。
【0071】
次のS120では、制御部33は、画像処理部32から通知された「輝度差」の絶対値に基づいて、S001にて入力された識別番号に対応するものとして外部メモリ20から読み出したX方向用のナイフエッジ芯出テーブルを参照して、対応する移動量(パルス数)ΔXを求める。それとともに、その「輝度差」の極性を反転した極性をこの移動量ΔXに付す。このように求めた値+/−ΔXは、X方向の光軸ズレを相殺するための移動量(パルス数)及び移動方向を示す。
【0072】
次のS121では、制御部33は、X/Yステージ制御回路17に対して、光学部材A,BをX方向にΔXだけ移動させるとともにY方向にΔYだけ移動させるよう、命令する。この命令に応じてX/Yステージ制御回路17が作業テーブル11を光軸lに直交する面内で移動させると、検査対象レンズAの芯出しがなされるのである。このステップが完了すると、処理が図4のメインルーチンに戻される。
【0073】
図4のメインルーチンでは、制御部33は、次のS003において、画像入力処理を実行する。図7は、このS003にて実行される画像入力処理サブルーチンを示すフローチャートである。このサブルーチンに入って最初のS201では、制御部33は、ナイフエッジ回転制御回路15に対して原点復帰命令を発行する。ナイフエッジ回転制御回路15は、この原点復帰命令を受けると、モータ13を駆動して、ナイフエッジ6aの回転位置を原点に復帰させる。
【0074】
次に、制御部33は、処理をS202乃至S205のループに進める。このループに入って最初のS202では、制御部33は、射入射光照明駆動回路19に対してリング照明装置27の照明ランプ28を点灯させる指示を行い、画像処理部32は、カラーCCDカメラ7から入力した赤色光に基づく画像データ(R)に含まれる各画素の輝度に対応する数値[0〜255]に対して微分処理を施した後に、この微分の結果得られたデータマトリックスを画像データとして第1画像メモリ34に書き込む。このような微分の結果得られた画像データにおいては、検査対象光学部材Aの表面のキズやゴミがある部分の輪郭,及びナイフエッジ6aの縁だけが濃度の高い画像となる。なお、この際、処理が最初にこのループに入ってきた場合には、微分の結果得られたデータマトリックスを、画像データとして第1画像メモリ34に上書きする。また、2回目以降にこのループが実行される場合には、それまでに第1画像メモリ34に書き込まれているデータマトリックスを読み出して、この読み出したデータマトリックスと微分の結果得られたデータマトリックスとの対応する画素の値同士を加算した上で、この加算結果を画像データとして第1画像メモリ34に上書きする。
【0075】
次のS203では、画像処理部32は、カラーCCDカメラ7から入力した青色光に基づく画像データ(B)に含まれる各画素の輝度に対応する数値[0〜255]に対して微分処理を施した後に、この微分の結果得られたデータマトリックスを画像データとして第2画像メモリ35へ書き込む。このような微分の結果得られた画像データにおいては、検査対象光学部材Aの屈折力(屈折力)異常がある部分の輪郭,及びナイフエッジ6aの縁だけが濃度の高い画像となる。なお、この際、処理が最初にこのループに入ってきた場合には、微分の結果得られたデータマトリックスを、画像データとして第2画像メモリ35に上書きする。また、2回目以降にこのループが実行される場合には、それまでに第2画像メモリ35に書き込まれているデータマトリックスを読み出して、この読み出したデータマトリックスと微分の結果得られたデータマトリックスとの対応する画素の値同士を加算した上で、この加算結果を画像データとして第2画像メモリ35に上書きする。
【0076】
次のS204では、制御部33は、この図7に入ってからのS202及びS203の実行回数が16回に達したかどうかをチェックする。そして、未だ16回に達していない場合には、S205において、ナイフエッジ回転制御回路15に対してナイフエッジ6aを22.5度回転させる命令をする。この回転後の画像データがカラーCCDカメラ7によって撮像された場合には、処理がS202に戻されて、この新たな画像データに対するループ処理が実行される。
【0077】
このようにナイフエッジ6aを若干量づつ回転させて(S205)得られた画像データを累積する(S202)ようにしたのは、次の理由による。即ち、直線状のナイフエッジ6aを光路に挿入すると、ナイフエッジ6aの方向と平行な方向における屈折力(屈折率)異常成分は最も良く画像データ中に表れるが、ナイフエッジ6aの方向と直交する方向における屈折力(屈折率)異常成分はあまり良く表れない。そのため、ナイフエッジ6a自体を装置光軸lに直交する面内で回転させて、あらゆる方向における異常成分を全て検出して、同一の画像上に合成しているのである。また、この結果、次の効果も得られる。即ち、ナイフエッジ6aを停止させた場合の画像では、図12に示すように、屈折力(屈折率)異常部分の縁(図4中央の円弧部分)の他にナイフエッジ6aの縁(図12中央の左右に延びる白黒の境界線)も、濃淡が急激に変化している箇所として映し出される。このナイフエッジ6aの縁は、本来検出が求められている屈折力(屈折率)異常部分の縁自体ではないので、検出されないことが望ましい。そこで、ナイフエッジ6aを回転させると、屈折力(屈折率)異常部分の縁の位置が不動であるのに対して、ナイフエッジ6aの縁は回転する。従って、画像合成処理をすると、屈折力(屈折率)異常部分の縁が益々強調されるのに対して、ナイフエッジ6aの縁は屈折力(屈折率)異常部分の閉領域(縁によって囲まれている部分)内において面状に平均化されるので、境界線としては認識されなくなるのである。
【0078】
以上のようにループ処理を繰り返した結果ナイフエッジ6aが1回転すると(即ち、ナイフエッジ6aの22.5度づつの回転を16回繰り返すと)、制御部33はS204においてループ処理を終了し、処理を図4のメインルーチンに戻す。
【0079】
図4のメインルーチンでは、画像処理部32は、次のS004において、検査領域抽出処理を実行する。図8は、このS004にて実行される検査領域抽出処理サブルーチンを示すフローチャートである。このサブルーチンに入って最初のS301では、画像処理部32は、2値化処理を行う。この2値化処理とは、第2画像メモリ35内の画像データの各画素に対応する数値情報が所定の閾値を超えていればその数値情報を255(白)に置き換え、超えていなければ0(黒)に置き換える処理である。この閾値は、検査対象レンズAの外縁αが途切れることなく白(255)の閉曲線として残し得るような値に、設定されている。
【0080】
次のS302では、画像処理部32は、閉領域抽出処理を実行する。この閉領域抽出処理とは、閉じた白線によって囲まれている領域のみを抽出する処理である。具体的には、S301により2値化された画像データを構成する黒い画素[0]のうち、白い画素[255]によって取り囲まれているものを閉領域内の画素とみなす。そして、この閉領域内のものと見なされた全画素の数値を255とし、それ以外の全画素の数値を0とする。
【0081】
次のS303では、画像処理部32は、穴埋め処理を実行する。この穴埋め処理とは、白い画素[255]の中に残された黒い画素[0]を消去するための処理である。具体的には、S302によって得られた画像データを構成する黒い画素[0]のうち、白い画素[255]によって取り囲まれているものの数値を255とする。
【0082】
次のS304では、画像処理部32は、領域選択処理を実行する。この領域選択処理とは、本来必要とされる領域のみを有効とするとともに、ランナー0の一部等に基づいて抽出されたそれ以外の閉領域を削除するための処理である。具体的には、画像処理部32は、S303によって得られた画像データに含まれる各閉領域のうち、画面中央に位置する閉領域はそのままとし、それ以外の全閉領域を構成する全画素の数値を0とする。この領域選択処理の結果得られる画像データのことを、以下「マスク画像」という。
【0083】
次のS305では、画像処理部32は、S304の結果得られたマスク画像を、第3画像メモリ36へ格納する。制御部33は、このS305の実行後、処理を図4のメインルーチンに戻す。
【0084】
図4のメインルーチンでは、制御部33は、次のS005において、2値化・良否判定処理を実行する(判定手段に相当)。図9は、このS005にて実行される2値化・良否判定処理サブルーチンを示すフローチャートである。このサブルーチンに入って最初のS401では、画像処理部32は、第1画像メモリ34内の画像データを構成する各画素の数値を、引き目ノイズが抽出されないレベルに設定された閾値と比較し、2値化(255:白,又は、0:黒)する。即ち、画像データを構成する各画素の数値が閾値よりも大きければ(明るければ)その数値を255に置き換え、画像データを構成する各画素の数値が閾値よりも小さければ(暗ければ)数値を0に置き換える。そして、画像処理部32は、このようにして2値化した画像データを、第4画像メモリ37へ書き込む。
【0085】
次のS402では、画像処理部32は、第3画像メモリ36内に書き込まれているマスク画像を構成する各画素の値(8ビットパラレルのデジタル値)の各ビットと第4画像メモリ37内に書き込まれている各画素の値(8ビットパラレルのデジタル値)の各ビットとをAND演算して、第4画像メモリ37に書き込まれた画像データのうちマスク画像の白い画素[255]の領域に対応する部分のみを抽出する。そして、画像処理部32は、このようにして検査対象領域内のみの数値が抽出された赤色光に基づく画像データを、第1画像メモリ34へ上書きする。
【0086】
次のS403では、画像処理部32は、第2画像メモリ35内の画像データを構成する各画素の数値を、引き目ノイズが抽出されないレベルに設定された閾値と比較し、2値化(255:白,又は、0:黒)する。この場合における2値化の手法は、S401におけるのと全く同じである。そして、画像処理部32は、このようにして2値化した画像データを、第4画像メモリ37へ上書きする。
【0087】
次のS404では、画像処理部32は、第3画像メモリ36内に書き込まれているマスク画像を構成する各画素の値(8ビットパラレルのデジタル値)の各ビットと第4画像メモリ37内に書き込まれている各画素の値(8ビットパラレルのデジタル値)の各ビットとをAND演算して、第4画像メモリ37に書き込まれた画像データのうちマスク画像の白い画素[255]の領域に対応する部分のみを抽出する。そして、画像処理部32は、このようにして検査対象領域内のみの数値が抽出された青色光に基づく画像データを、第2画像メモリ35へ上書きする。
【0088】
次のS405では、画像処理部32は、第1画像メモリ34内に書き込まれている画像データを構成する各画素の値(8ビットパラレルのデジタル値)の各ビットと第2画像メモリ35内に書き込まれている各画素の値(8ビットパラレルのデジタル値)の各ビットとをOR演算して、赤色光に基づく画像データと青色光に基づく画像データとを合成する。そして、画像処理部32は、このようにして合成した画像データを第3画像メモリ36へ上書きする。
【0089】
次のS406では、画像処理装置32は、S405によって得られた画像データ中の各閉領域(白い画素[255]からなる領域)毎に、その閉領域の面積を算出する(数値化手段に相当)。即ち、その閉領域内に含まれる白い[255の]画素の数を数えて、面積量とする。
【0090】
次のS407では、画像処理部32は、個々の閉領域の面積を夫々所定の判定基準値と比較し、何れの閉領域の面積もこの判定基準値の範囲(良品範囲)内に収まっているか否かをチェックする(第1の比較手段に相当)。そして、何れの閉領域の面積も上述の判定基準値の範囲内に収まっている場合には、画像処理部32は、S410において、検査対象光学部材Aが良品であると判定し、その判定結果を制御部33へ通知する。制御部33は、その後で、処理を図4のメインルーチンへ戻す。
【0091】
これに対して、上述の判定基準値よりも広い面積を有する閉領域がある場合には、画像処理部32は、S408において、図21に示すような不良種別判別用分類テーブルを作成する。即ち、S405によって得られた画像データ中の各閉領域(白い画素[255]からなる領域)に対して、画像の中心に位置するものから外側に位置するものへの順番で、夫々番号(不良抽出物番号)を指定するとともに、各抽出番号毎に、その抽出番号によって示される閉領域と同じ範囲内における第1画像メモリ34内の画像データ中の白い[255の]画素の面積(数)及び第2画像メモリ35内の画像データ中の白い[255の]画素の面積(数)を夫々算出して、それらの算出結果を一つのテーブルとしてまとめあげる。そして、画像処理部32は、次のS409において、検査対象光学部材Aが不良品であると判定し、その判定結果及び不良種別判別用分類テーブルを制御部33へ通知する。制御部33は、その後で、処理を図4のメインルーチンへ戻す
図4のメインルーチンでは、制御部33は、次のS006において、画像処理部32から通知された判定結果が「良品」であるか「不良品」であるかをチェックする(判定手段に相当)。そして、判定結果が「良品」である場合には、制御部33は、検査対象光学部材が良品である事を、モニタ装置10上に表示する。これに対して、判定結果が「不良品」である場合には、制御部33は、次のS007において、不良種別判別処理を実行する(判定手段に相当)。
【0092】
図10は、このS007にて実行される不良種別判別処理サブルーチンを示すフローチャートである。このサブルーチンに入って最初のS501では、制御部33は、不良種別判別対象の不良抽出番号を“1”と初期設定し、不良種別判別用分類テーブルから不良抽出番号1に対応する第1画像メモリ34側の面積及び第2画像メモリ35側の面積を読み出す。
【0093】
次のS502では、制御部33は、第2画像メモリ35側の面積値が“0”であるかどうかを判定する(判定1,第2の比較手段に相当)。そして、第2画像メモリ35側の面積値が“0”である場合(リング照明装置27からの赤色光のみからなる画像である場合)には、制御部33は、次のS503において、その時点での不良抽出番号に対応する領域の不良種別を「(検査対象光学部材表面の)微細なキズ」と判定し、処理をS512へ進める。
【0094】
これに対して、第2画像メモリ35側の面積値が“0”でない場合には、制御部33は、次のS504において、第1画像メモリ34側の面積値に比して第2画像メモリ35側の面積値が“5”以上小さいか否かを判定する(判定2,第2の比較手段に相当)。そして、第1画像メモリ34側の面積値に比して第2画像メモリ35側の面積値が“5”以上小さい場合(リング照明装置27からの赤色光の中にナイフエッジ照明装置26からの青色光が僅かに混入してなる画像である場合)には、制御部33は、次のS505において、その時点での不良抽出番号に対応する領域の不良種別を「(検査対象光学部材表面の)キズ」と判定し、処理をS512へ進める。
【0095】
これに対して、第1画像メモリ34側の面積値に比して第2画像メモリ35側の面積値が“5”以上小さいのではない場合には、制御部33は、次のS506において、第1画像メモリ34側の面積値と第2画像メモリ35側の面積値との差が“5”未満であるか否かを判定する(判定3,第2の比較手段に相当)。そして、第1画像メモリ34側の面積値と第2画像メモリ35側の面積値との差が“5”未満である場合(リング照明装置27からの赤色光とナイフエッジ照明装置26からの青色光とが略均等に混在してなる画像である場合)には、制御部33は、次のS507において、その時点での不良抽出番号に対応する領域の不良種別を「(検査対象光学部材表面の)ゴミ」と判定し、処理をS512へ進める。
【0096】
これに対して、第1画像メモリ34側の面積値と第2画像メモリ35側の面積値との差が“5”以上である場合には、制御部33は、次のS508において、第1画像メモリ34側の面積値が“1”以上であり且つ第2画像メモリ35側の面積値に比して“5”以上小さいか否かを判定する(判定4,第2の比較手段に相当)。そして、第1画像メモリ34側の面積値が“1”以上であり且つ第2画像メモリ35側の面積値に比して“5”以上小さい場合(ナイフエッジ照明装置26からの青色光の中にリング照明装置27からの赤色光が僅かに混入してなる画像である場合)には、制御部33は、次のS509において、その時点での不良抽出番号に対応する領域の不良種別を「ヒケ」と判定し、処理をS512へ進める。
【0097】
これに対して、第1画像メモリ34側の面積値が“0”である場合又は第1画像メモリ34側の面積値が第2画像メモリ35側の面積値に比して“5”以上小さいのではない場合には、制御部33は、次のS510において、第1画像メモリ34側の面積値が“0”であるか否かを判定する(判定5,第2の比較手段に相当)。そして、第1画像メモリ34側の面積値が“0”である場合(ナイフエッジ照明装置26からの青色光のみからなる画像である場合)には、制御部33は、次のS511において、その時点での不良抽出番号に対応する領域の不良種別を「微細なヒケ」と判定し、処理をS512へ進める。
【0098】
これに対して、第1画像メモリ34側の面積値が“0”でない場合には、制御部33は、何らかのエラーが生じたものとして、処理をそのままS512へ進める。
【0099】
S512では、制御部33は、不良種別判別用分類テーブル中に未読み出しのデータが残っているか否かをチェックする。そして、未読み出しのデータが残っている場合には、制御部33は、S513において、次の不良抽出番号を不良種別判別対象として設定し、不良種別判別用分類テーブルからその不良抽出番号に対応する第1画像メモリ34側の面積及び第2画像メモリ35側の面積を読み出す。そして、制御部33は、読み出したデータに対して上述の判定処理を実行するために処理を、S502へ戻す。
【0100】
これに対して、以上の判定処理を繰り返した結果、不良種別判別用分類テーブルから全てのデータを読み出した場合には、制御部33は、処理をS512からS514へ進め、各不良抽出番号の閉領域に対応させて、それらについてのS503、S505,S507,S509,又はS511での判定結果を、モニタ装置10上に表示させる。その後で、制御部33は、処理を図4のメインルーチンへ戻す。
【0101】
図4のメインルーチンでは、制御部33は、処理をS009へ進める。このS009では、制御部42は、検査者に対して検査を終了させるか否かを問う文字をモニタ装置10上に表示する。これに応じて、検査者が検査を終了させない旨をキーボード31によって入力してきた場合には、次の光学部材に対する検査を実行すべく、処理をS001に戻す。これに対して、検査者が検査を終了させる旨をキーボード31によって入力してきた場合には、制御部33は、この検査処理を終了する。
<光学部材検査装置による検査手順>
本実施形態による光学部材検査装置によって光学部材Aを検査する時には、検査者は、良品の光学部材AをX/Yステージ18にセットして、手動で芯出しを行う。なお、光学部材Aが負レンズである場合には、光学部材Aとリング状拡散照明板25との間に、補正レンズを挿入する。
【0102】
次に、検査者は、モニタ装置10に映し出される映像を見ながら、ナイフエッジユニット4を装置光軸l方向へ移動させる。そして、図11(a)又は(b)のように、光学部材Aの外縁αの内側において、光学部材Aの外縁αの外側に見えるナイフエッジβと同じ方向にナイフエッジγが見える時には、ナイフエッジユニット4が光学部材Aに近過ぎる場合であるので、検査者は、ナイフエッジユニット4を光学部材Aから遠ざける。逆に、図11(d)又は(e)のように、光学部材Aの外縁αの内側において、光学部材Aの外縁αの外側に見えるナイフエッジβと逆の方向にナイフエッジγが見える時には、ナイフエッジユニット4が光学部材Aから遠すぎる場合であるので、検査者は、ナイフエッジユニット4を光学部材Aに近付ける。このようなナイフエッジユニット4の進退調整を行った結果、図11(c)のように、ナイフエッジγが光学部材Aの外縁α内の大部分において消えた時には、ナイフエッジユニット4が適正位置にある場合であるので、検査者は、調整を停止する。このように、本実施形態では、ナイフエッジユニット4が装置光軸l方向に移動可能となっているので、焦点距離の違う複数種類の光学部材Aを検査することができる。
【0103】
次に、検査者は、X/Yステージ18にセットされている良品の光学部材Aを検査対象光学部材Aへ交換して、キーボード31によって検査対象光学部材Aをセットした旨を入力する(S001)。
【0104】
すると、制御部33は、ナイフエッジ6aの自動芯出しを実行する(S002)。即ち、検査対象光学部材Aの光軸と装置光軸l(ナイフエッジ6aの回転中心)とが合致する様に、X/Yステージ制御回路17を制御して、X/Yステージ18を駆動する。
【0105】
このようにして芯出しが完了すると、ナイフエッジ回転制御回路15によってナイフエッジ6aが22.5度づつ回転駆動されるとともに(S205)、各回転位置において、ナイフエッジ照明装置26から供給されて検査対象光学部材Aを透過した青色光及びリング照明装置27から供給されて検査対象光学部材Aの表面で拡散された赤色光が、夫々カラーCCDカメラ7によって撮像される。画像処理部32は、撮像した各色の画像に対して、夫々別々に、画像の濃淡変化箇所の微分処理による強調,一回転分にわたる加算(S202,S203),及び検査領域の抽出(S004)を実行する。その結果、検査対象光学部材Aの屈折力(屈折率)異常箇所が主として青色光い基づく画像データ上において白く浮き上がった領域として示されるともに、検査対象光学部材Aの表面のキズ又はゴミが主として赤色光に基づく画像データ上において白く浮き上がった領域として示される。そして、各異常部分の面積が夫々数値化され、一定の判断基準値と比較され、この比較結果に応じて良品であるか不良品であるかの判定が客観的になされるのである。さらに、不良品であると判別された場合には、各異常部分毎に、その異常部分の各色の画像データ中での面積が比較される。そして、各色毎の面積比に基づいて、不良種別が判定されるのである。
【0106】
なお、本実施の形態においては、良否判定及び不良種別判別を行うために、不良箇所を示す閉領域を、その面積に基づいて評価したが、そのフィレ径や周囲長やコントラストに基づいて評価しても良いし、これら評価基準を複合して用いても良い。
【0107】
また、本実施形態においては、各閉領域に対応する各色の面積値の差を直接用いて不良種別判別を行ったが(S504,S506,S508)、より大きく抽出された方の色の面積に対して他の色の面積が何%の差を有しているかに基づいて不良種別判別を行っても良い。
【0108】
また、本実施の形態においては、S202及びS203での格納時において各画像メモリ34,35に既に画像データが書き込まれていた場合には、書き込まれていた画像データと新たな微分によって得られた画像データとの加算結果を上書きするようにしていたが、両者の平均値を上書きするようにしても良いし、両者に対するMAX演算結果を上書きするようにしても良い。
【0109】
【発明の効果】
以上のように構成された本発明の光学部材検査装置によれば、検査対象光学部材の表面欠陥を屈折力(屈折率)異常と一緒に明確に検出することができるとともに、両欠陥の種類をも容易に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による光学部材検査装置の概略図
【図2】図1の光学部材検査装置の光学構成及び機械構成を示す構成図
【図3】図1の光学部材検査装置の回路構成を示すブロック図
【図4】図3の画像処理部32及び制御部33において実行される制御処理の内容を示すフローチャート
【図5】図4のS002にて実行されるナイフエッジ芯出し処理サブルーチンを示すフローチャート
【図6】図4のS002にて実行されるナイフエッジ芯出し処理サブルーチンを示すフローチャート
【図7】図4のS003にて実行される画像入力処理サブルーチンを示すフローチャート
【図8】図4のS004にて実行される検査領域抽出処理サブルーチンを示すフローチャート
【図9】図4のS005にて実行される2値化・良否判定処理サブルーチンを示すフローチャート
【図10】図4のS007にて実行される不良種別判別処理サブルーチンを示すフローチャート
【図11】図1におけるナイフエッジユニットの移動調整時におけるモニタ装置上の画像を示す図
【図12】ヒケを有する光学部材を検査した場合におけるモニタ装置上の画像を示す図
【図13】画像データ上に定義された座標軸及び座標位置の説明図
【図14】Y方向におけるズレ量が−0.2μmである場合における画像データ中のY方向中心軸上の輝度分布を示すグラフ
【図15】Y方向におけるズレ量が−0.1μmである場合における画像データ中のY方向中心軸上の輝度分布を示すグラフ
【図16】Y方向において芯出しされた状態における画像データ中のY方向中心軸上の輝度分布を示すグラフ
【図17】Y方向におけるズレ量が+0.1μmである場合における画像データ中のY方向中心軸上の輝度分布を示すグラフ
【図18】Y方向におけるズレ量が+0.2μmである場合における画像データ中のY方向中心軸上の輝度分布を示すグラフ
【図19】図14乃至図18から算出された輝度差をプロットしたグラフ
【図20】ナイフエッジ芯出テーブルを示す表
【図21】不良種別判別用分類テーブルを示す表
【符号の説明】
1 照明ランプ
2 集光レンズ
3 光ファイバー束
5 拡散板
6 遮光板
7 カラーCCDカメラ
8 撮像レンズ
9 撮像素子
14 CPU
16 ナイフエッジ照明駆動回路
19 斜入射光照明駆動回路
23 光ファイバー束
24 リング照明
25 リング状拡散照明板
27 リング照明ユニット
28 照明ランプ
29 集光レンズ
32 画像処理部
33 制御部
A 検査対象光学部材

Claims (13)

  1. 光学部材の光学的欠陥を検出する光学部材検査装置であって、
    第1の光を出射する第1照明装置と、
    この第1照明装置から出射された前記第1の光によって照明される拡散板と、前記光学部材を含む光学系の焦点位置に配置されるとともに、前記拡散板によって拡散された前記第1の光を部分的に透過させる遮光手段と、
    前記第1の光とは異なった方向から、前記光学部材の表面に対して、第2の光を照射する第2照明装置と、
    前記光学系を透過した前記第1の光及び前記光学部材の表面にて拡散された前記第2の光とを夫々撮像する撮像手段と、
    この撮像手段によって前記第1の光を撮像して得られた第1画像及び前記第2の光を撮像して得られた第2画像に基づいて、前記光学部材の光学的欠陥の有無及び光学的欠陥の種類を判定する判定手段と
    を備えたことを特徴とする光学部材検査装置。
  2. 前記遮光部材は、直線状の境界線によって夫々分けられた前記光を部分的に透過させる部分と前記光を部分的に遮光する部分とからなる
    ことを特徴とする請求項1記載の光学部材検査装置。
  3. 前記遮光手段を前記撮像手段の撮像光軸に直交する面内において前記直線状の境界線に接する回転軸を中心に回転させる回転手段を
    更に備えることを特徴とする請求項2記載の光学部材検査装置。
  4. 前記光学部材を含む光学系の光軸は、前記遮光部材の回転軸と一致している
    ことを特徴とする請求項3記載の光学部材検査装置。
  5. 前記第1の光の波長と前記第2の光の波長とは互いに異なる
    ことを特徴とする請求項1記載の光学部材検査装置。
  6. 前記第2照明装置は、前記第2の光を、前記撮像手段の撮像光軸に対して斜めの方向から、前記光学部材の表面に対して照射する
    ことを特徴とする請求項1記載の光学部材検査装置。
  7. 前記第2照明装置は、前記撮像手段の撮像光軸をその中心とした環状の拡散板を介して前記第2の光を照射する
    ことを特徴とする請求項6記載の光学部材検査装置。
  8. 前記環状の拡散板は、前記撮像手段の画角の外側に位置している
    ことを特徴とする請求項7記載の光学部材検査装置。
  9. 前記撮像手段は、前記第1の光と前記第2の光とを同時に撮像する
    ことを特徴とする請求項5記載の光学部材検査装置。
  10. 前記撮像手段は、前記第1の光と前記第2の光とを夫々個別に撮像する2種類のピクセルを包含する撮像素子を有している
    ことを特徴とする請求項9記載の光学部材検査装置。
  11. 前記判定手段は、
    前記第1画像の前記光学部材の光学的欠陥を示す部位を夫々数値化するとともに前記第2画像の前記光学部材の光学的欠陥を示す部位を夫々数値化する数値化手段と、
    この数値化手段によって数値化された数値が所定の判定基準値を超えたか否かを比較する第1の比較手段とを有し、
    この第1の比較手段によって前記数値が前記所定の判定基準値を超えたと認定された場合に、前記光学部材が光学的欠陥を有していると判定する
    ことを特徴とする請求項1記載の光学部材検査装置。
  12. 前記第1の比較手段は、前記数値化手段によって数値化された何れかの数値が前記所定の判定基準値を超えたか否かを比較する
    ことを特徴とする請求項11記載の光学部材検査装置。
  13. 前記判定手段は、
    個々の前記光学的欠陥を示す部位毎に、前記第1画像に基づいて数値化された数値と前記第2画像に基づいて数値化された数値とを比較する第2の比較手段を更に有し、
    個々の前記光学的欠陥を示す部位毎に、前記第1画像に基づいて数値化された数値が前記第2画像に基づいて数値化された数値よりも所定量以上大きいと前記第2の比較手段によって認定された場合には当該光学的欠陥が屈折力異常に因るものであると判定し、前記第1画像に基づいて数値化された数値が前記第2画像に基づいて数値化された数値よりも所定量以上小さいと前記第2の比較手段よって認定された場合には当該光学的欠陥がキズに因るものであると判定し、前記第1画像に基づいて数値化された数値と前記第2画像に基づいて数値化された数値との差が所定量以内であると前記第2の比較手段によって認定された場合には当該光学的欠陥がゴミに因るものであると判定する
    ことを特徴とする請求項1記載の光学部材検査装置。
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