JPH09219577A - セラミック配線板の製造方法 - Google Patents

セラミック配線板の製造方法

Info

Publication number
JPH09219577A
JPH09219577A JP2431296A JP2431296A JPH09219577A JP H09219577 A JPH09219577 A JP H09219577A JP 2431296 A JP2431296 A JP 2431296A JP 2431296 A JP2431296 A JP 2431296A JP H09219577 A JPH09219577 A JP H09219577A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
conductor
groove
paste
conductor paste
insulating layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2431296A
Other languages
English (en)
Inventor
Mamoru Mori
護 毛利
Motoharu Miyakoshi
基晴 宮越
Takashi Kato
崇志 加戸
Kiyoshi Mizushima
清 水島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nikko Co Ltd
Nikko KK
Original Assignee
Nikko Co Ltd
Nikko KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nikko Co Ltd, Nikko KK filed Critical Nikko Co Ltd
Priority to JP2431296A priority Critical patent/JPH09219577A/ja
Publication of JPH09219577A publication Critical patent/JPH09219577A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Parts Printed On Printed Circuit Boards (AREA)
  • Manufacturing Of Printed Wiring (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 セラミック基板上に、従来に比べて、微細幅
の導体回路を狭いピッチで歩留り良く製造し、しかも、
導体回路が、絶縁性に優れ、均一な高さで、平坦な表面
を持っている、セラミック配線板を製造する。 【解決手段】 このセラミック配線板の製造方法は、導
体回路パターンとなる溝が設けられている絶縁層を表面
に有するセラミック基板を準備する工程と、溝に、金属
粉末と膨張剤と展色剤とを含む導体ペーストを充填する
工程と、溝に充填された導体ペーストの表面を平坦化す
る工程と、平坦化された導体ペーストを焼成して導体回
路を形成する工程とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セラミック配線板
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的なセラミック配線板は、96%の
アルミナを代表例とするセラミック基板に、Ag、Ag
/Pd、Ag/Pt、Au、Cu等の導電粉末を含むペ
ーストで導体回路パターンをスクリーン印刷し、この基
板を約800〜900℃で焼成して配線回路を形成する
方法により作られる。
【0003】近年、電子機器の小型化・高性能化が進む
につれて電子回路において使用するICの数やICのピ
ン数が増大してきており、これらのICを実装する基板
の配線ルールを、いかにして半導体に使われる設計ルー
ルに近づけられるかが大きな課題となっている。通常の
スクリーン印刷では、導体幅125μm程度までが量産
レベルの下限とされている。AuやCuのように耐マイ
グレーション性の良い導体材料では最低75μm幅でス
クリーン印刷が行われている。しかしながら、印刷条件
・印刷環境などを厳密に制御しなければ、歩留りが大き
く低下する。
【0004】導体ペーストを微細配線パターンでセラミ
ック基板にスクリーン印刷すると、導体ペーストは山型
になる。これはスクリーン印刷マスクからペーストがセ
ラミック基板に移行していく際にマスク側との密着力が
あるために印刷直後で平坦でないばかりでなく、その後
の表面張力でも平坦性が悪くなるためと考えられる。こ
れらの理由によりセラミック基板への厚膜導体ペースト
を用いた製造方法では多ピンIC・フリップチップ実装
で求められるライン/スペース=75/75μm以下の
設計ルールの回路基板の製造が非常に困難とされてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、セラミック基板上に、従来に比べて、微細
幅の導体回路を狭いピッチで歩留り良く製造でき、しか
も、導体回路が、絶縁性に優れ、均一な高さで、平坦な
表面を持っている、セラミック配線板の製造方法を提供
することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のセラミック配線
板の製造方法は、セラミック基板の表面に導体回路を有
するセラミック配線板を製造する方法であって、導体回
路パターンとなる溝が設けられている絶縁層を表面に有
するセラミック基板を準備する工程と、溝に、金属粉末
と膨張剤と展色剤とを含む導体ペーストを充填する工程
と、溝に充填された導体ペーストの表面を平坦化する工
程と、平坦化された導体ペーストを焼成して導体回路を
形成する工程とを有する。
【0007】なお、絶縁層は、セラミック基板表面に感
光性絶縁ペーストを塗布し乾燥して薄層を形成した後、
薄層を露光し現像して溝を掘ることにより形成されても
よい。また、絶縁層は、セラミック基板表面に感光性絶
縁ペーストを塗布し乾燥して薄層を形成した後、薄層を
露光し現像して溝を掘った後に薄層を焼成して得られる
焼成物であってもよい。
【0008】また、導体ペーストを溝に充填する工程
は、導体ペーストを少なくとも溝に印刷する工程と、印
刷された導体ペーストに等方圧を加える工程とを有する
のが好ましい。導体ペーストに含まれる金属粉末は、た
とえば、平均粒径3μm以上のものである。
【0009】なお、導体ペーストに含まれる膨張剤は、
固結性を有する化合物であることが好ましい。固結性を
有する膨張剤は、たとえば、アルミノケイ酸塩系化合
物、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸
鉛、ジルコニウム酸鉛、フェライト、PTZ、およびP
TFからなる群から選ばれる少なくとも1つである。ア
ルミノケイ酸塩系化合物は、たとえば、一般式RO−A
2 3 −SiO2 (Rはアルカリ金属又はアルカリ土
類金属を表す)で示される化合物である。
【0010】また、導体ペーストは密着性改善剤をさら
に含むことが好ましい。密着性改善剤は、たとえば、軟
化点500〜1000℃のガラスである。導体ペースト
が密着性改善剤を含む場合、導体ペーストは密着性改善
助剤をさらに含むことが好ましい。密着性改善助剤は、
たとえば、TiO2 、CuO、Cr2 3 、Bi
2 3 、およびNiOからなる群から選択される少なく
とも1つである。
【0011】なお、導体ペーストに含まれる金属粉末
は、金粉末、銀粉末、および銅粉末からなる群から選択
される少なくとも1つであることが好ましい。また、導
体ペーストに含まれる金属粉末は、ロジウム粉末0.1
〜3.0重量%を含むことが好ましい。
【0012】
【作用】本発明のセラミック配線板の製造方法では、絶
縁層に設けた導体回路パターンとなる溝に導体ペースト
を充填するので、導体ペーストが横に流れ広がるのが防
がれ、導体ペーストで微細な幅の導体回路パターンを描
くことができる。溝が複数設けられている場合には溝の
間に介在する絶縁層によって隣同士の溝の導体ペースト
が互いに隔てられる。溝に充填された導体ペーストの表
面を平坦化するので、導体ペーストは均一な高さと平坦
な表面を有する。仮に導体ペーストが溝からあふれ出た
としても、あふれ出た導体ペーストは平坦化のときに除
去されるため、不良品を生じにくく歩留りが高くなる。
しかも、導体ペーストは、膨張剤を含んでいるので、導
体ペースト焼成時に、膨張剤が膨張して導体ペーストの
収縮を抑え、溝にぴったりまたはほぼぴったりの導体回
路を形成する。この導体回路は、均一な高さと平坦な表
面を有する。導体回路が複数形成される場合には、複数
の導体回路は間に介在する絶縁層によって確実に電気絶
縁される。
【0013】
【発明の実施の形態】図1および2はそれぞれ、本発明
の1実施例によるセラミック配線板の製造方法を示す模
式断面図である。図1および2にみるように、本発明の
セラミック配線板の製造方法は、セラミック基板の表面
に導体回路を有するセラミック配線板を製造する方法で
あって、準備工程Aと充填工程Bと平坦化工程Cと焼成
工程Dとを有する。
【0014】準備工程Aは、導体回路パターンとなる溝
1が設けられている絶縁層2を表面に有するセラミック
基板3を準備する工程である。絶縁層2は、たとえば、
図3にみるように、セラミック基板3表面に絶縁ペース
トを塗布して乾燥し、薄層6を形成する工程(図3のA
1 〜A2 )と、薄層6を露光し現像して導体回路パター
ンとなる溝1を形成する工程(図3のA3 〜A 4 )とを
含む方法により製造される。露光(下向きの矢印で露光
のために照射する光を示している)は、導体回路パター
ンのポジ7で薄層6をマスクして行われる。また、溝1
を形成した後に薄層6を焼成する工程をさらに含む方法
により製造されてもよい。薄層6を焼成しておく場合、
後で行う導体ペーストの焼成時に絶縁層2と導体回路5
の厚みがほとんどまたは全く減少しないため、絶縁層2
の表面は、導体回路5の表面とほとんど同じまたは同じ
高さとなる(図1のD参照)。薄層6を焼成しておかな
い場合、後で行う導体ペーストの焼成時に絶縁層2の厚
みが大きく減少する(たとえば、高さ方向(厚み方向)
に約50%焼成収縮する)が導体回路5の厚みはほとん
どまたは全く減少しないため、導体回路5の表面が絶縁
層2の表面よりも突き出る(図2のD参照)。しかし、
導体ペーストは、保形性を有するので、焼成後に絶縁層
2の表面よりも突き出ていても、研磨時の平坦性・高さ
方向の均一性を保つことができる。絶縁ペーストで絶縁
層2を形成する場合、最小の露光サイズは厚みとほぼ1
対1の関係があり、例えば50μm幅の導体回路5(溝
1の幅50μm)を形成する場合、絶縁ペーストの印刷
乾燥厚みを50μmとする。絶縁層2は2、3回の重ね
作業が可能であるため、導体回路5の表面が絶縁層2の
表面よりも突き出ている場合には、絶縁層2の重ね作業
を行えば、絶縁層2の表面が導体回路5の表面とほとん
ど同じまたは同じ高さとなるようにすることができる。
このため、微細でアスペクト比の高い導体回路5(幅が
狭く、高さの高い導体回路5)を作ることができる。こ
のような導体回路は、微細だが導体抵抗を小さくする場
合に特に効果がある。
【0015】以上に説明したように、薄層6の露光・現
像後で導体ペースト充填前に薄層6の焼成を行うか否か
で、得られるセラミック配線板の形態が制御されうる。
セラミック基板3としては、たとえば、アルミナ基板、
低温焼結基板(例えばアルミナ50重量%、ガラス50
重量%の組成)などの通常のセラミック配線板に使用さ
れるセラミック基板が使用される。セラミック基板3
は、常法に従って前処理されていてもよく、前処理を全
くされていなくてもよい。
【0016】絶縁層2を形成するための絶縁ペーストと
しては、多層配線板用に解像度の高いもの(たとえば、
50μm幅のエッチングが可能なもの)が市販されてお
り、感光性絶縁ペースト(たとえば、アルミナとホウケ
イ酸鉛ガラスの複合成分からなるセラミック粉末が、メ
チルメタクリレート共重合体と光重合開始剤と熱重合禁
止剤と光架橋剤と溶媒とを含む感光性ビヒクルに分散さ
れている光硬化性絶縁セラミックペースト:日本電気社
製NTPペースト、デュポン社製6050などの市販品
が入手できる)などが使用される。
【0017】セラミック基板3表面に絶縁ペーストを塗
布するには、たとえば、スクリーン印刷を利用する。セ
ラミック基板3表面全体に絶縁ペーストを塗布した後、
必要に応じて絶縁ペーストをレベリングし、絶縁ペース
トを乾燥させ、絶縁層2となる薄層6を形成する。レベ
リングは、絶縁ペーストの流動性により平坦化するもの
である。レベリングや乾燥の方法および条件は使用した
絶縁ペーストに応じて適宜採用すればよい。薄層6の厚
みは、たとえば、10〜100μmである。次にマスク
を使用して導体回路パターンで薄層6を露光し現像して
導体回路パターンとなる溝1を形成する。導体回路パタ
ーンにおいて、導体回路の幅は、たとえば、30〜10
0μmであり、導体回路間のピッチは、たとえば、30
〜100μmであり、従来の厚膜法により作製可能なも
のに比べて微細幅で狭いピッチである。露光や現像の方
法および条件は使用した絶縁ペーストに応じて適宜採用
すればよい。溝1を形成した後に、薄層6を焼成しても
よい。焼成の方法および条件は使用した絶縁ペーストに
応じて適宜採用すればよい。
【0018】準備工程Aは、セラミック基板3表面に溝
1と絶縁層2を形成する、上記の方法あるいは他の方法
(たとえば、導体回路パターンを残して絶縁ペーストで
セラミック基板にスクリーン印刷し乾燥して導体回路パ
ターンとなる溝を設けた薄層を形成する方法)であって
もよいし、これらのいずれかの方法により溝1と絶縁層
2を予めセラミック基板3表面に形成したものを次工程
で使うように用意することであってもよい。
【0019】充填工程Bは、絶縁層2の溝1に、金属粉
末と膨張剤と展色剤とを含む導体ペースト4を充填する
工程である。導体ペースト4は、金属粉末と膨張剤と展
色剤とを含んでいるので、密着性、保形性にすぐれてお
り、低焼成収縮性であり、溝内に隙間のない導体回路を
形成することができる。
【0020】本発明の方法によれば、導体ペーストを溝
に充填し、乾燥させ、焼成する。ところが、一般に市販
されている導体ペーストは、焼成時に乾燥膜厚の約50
〜60%に収縮するため、本発明の方法に用いられた場
合、導体回路と溝の内面との間に隙間を生じて好ましく
ない。本発明に使用される導体ペーストは、低焼成収縮
性のものであり、好ましくは焼成収縮がほとんどないも
のである。
【0021】金属粉末の材質としては、通常、セラミッ
ク基板上に印刷される配線回路を構成する材料が使用さ
れる。具体的には、金、銀、銅等の単体金属や、銀/パ
ラジウム、銀/白金等の合金があげられ、これら2種以
上を混合して用いてもよい。金属粉末は、金粉末、銀粉
末、および銅粉末からなる群から選択される少なくとも
1つであることが好ましい。これは、これらの粉末が導
電性に優れており、しかも導電性の経時的な悪化を生じ
にくいからである。
【0022】金属粉末の形状は、球状、塊状、針状、鱗
片状等があげられる。焼成時の熱収縮をより低く抑える
ためには、金属粉末の平均粒径は、好ましくは3μm以
上、より好ましくは5μm以上である。また、金属粉末
の充填率が向上して焼成体(または焼結体)がより緻密
質になることを考慮すると、金属粉末の平均粒径は、好
ましくは10μm以下、より好ましくは7μm以下であ
る。金属粉末の平均粒径は、たとえば1〜10μm、好
ましくは2〜7μmであり、金属粉末の充填率をより向
上させることと焼成時の熱収縮をより低く抑えることと
のバランスを考慮すると、より好ましくは3〜7μm、
さらに好ましくは5〜7μmである。焼成体(または焼
結体)をより緻密質とする目的やあるいは印刷性を向上
させる目的で、上記範囲内の平均粒径の金属粉末の他に
該範囲よりも小さい平均粒径の金属粉末を併用すること
ができる。
【0023】また、金属粉末は、焼成による収縮を抑制
する目的でロジウム(Rh)粉末をさらに含んでいるの
が好ましい。ロジウム粉末の添加量は、ロジウムも含め
た金属粉末全体に対して0.1〜3.0重量%であるこ
とが好ましく、0.6〜3.0重量%であることがさら
に好ましい。添加量が0.1重量%より少ない場合に
は、焼成による収縮を抑制する効果が少ないことがあ
る。また、添加量が3.0重量%より多い場合には、導
体ペースト中の他の金属粉末の量が相対的に低下するの
で導体抵抗値が増加することがある。また、ロジウムは
非常に高価であるため過剰な使用はコスト上昇に見合っ
た性能向上に寄与しないことがある。
【0024】ロジウム粉末は、球状、塊状、針状、鱗片
状等の任意の形状のものを用いることができ、その平均
粒径は、0.1〜2.0μm であることが好ましく、
0.5〜1.2μm であることがさらに好ましい。平均
粒径が0.1μm より小さい場合には、焼成による熱収
縮抑制効果が薄れてしまうことがある。また、平均粒径
が2.0μm より大きい場合には、焼成による熱収縮の
抑制が均一に行われないおそれがある。
【0025】導体ペーストに含まれる膨張剤は、焼成時
に膨張性を示す物質であれば特に制限はないが、本発明
において特に好適に使用される膨張剤は、膨張性に加え
て固結性をも示す物質である。具体的には、焼成時に膨
張性を示した後、単調に収縮し固結性を示す焼結体であ
る。なお、本発明でいう「固結性」とは、焼結時に結晶
相が出現してそれ以上には膨張性を示さなくなって安定
し、保形性が発現するという性質をいう。
【0026】このような固結性を有する膨張剤とは、例
えば、アルミノケイ酸塩系化合物、チタン酸バリウム、
チタン酸カルシウム、チタン酸鉛、ジルコニウム酸鉛、
フェライト(ZnFe2 4 、CdFe2 4 等)、P
TZ、PTF等があげられる。ここで、PTZ、PTF
とはそれぞれ(1)、(2)の反応の結果得られる焼結
体をいう。
【0027】 (1)PbO+0.55ZrO3 +0.45TiO2 →Pb(Zr0.55Fe0.45)O3 :PTZ (2)4PbO+Ta2 6 +Fe2 3 →4Pb(Ta0.5 Fe0.5 )O2 :PTF アルミノケイ酸塩系化合物は、例えば、一般式RO−A
2 3 −SiO2 (Rはアルカリ金属又はアルカリ土
類金属を表す)で示される化合物であり、具体的にはア
ノーサイト(CaO ・Al2O3 ・2SiO2)、セルシアン(BaO
・Al2O3 ・2SiO 2)等である。
【0028】アルミノケイ酸塩系化合物は、例えば、次
のような方法で得られる仮焼物である。まず、カオリン
とII族金属元素の酸化物および/または焼成により酸
化物になりうる塩(炭酸塩など)とを仮焼する。これら
を仮焼すると、再焼成時に粘性流動を示す反応性に富ん
だ非晶質の混合物となる。この混合物を本焼すると、混
合物は粘性流動域で(Ag存在下で)膨張性を示し、結
晶相が析出するとともに粘性が高くなり、最終的に固結
する。固結すると、それ以上には膨張性を示さなくなっ
て保形性を有する焼結体となる。
【0029】膨張剤の使用割合は、金属粉末100重量
部に対して0.5〜15重量部であることが好ましく、
1.0〜7.0重量部であることがさらに好ましい。膨
張剤の使用割合が0.5重量部より少ない場合には、導
体の収縮を抑制する作用が弱く、溝内に隙間ができるこ
とがある。また、15重量部より多い場合には、焼結体
が粗密な構造となり、導体抵抗値の上昇を引き起こすこ
とがある。
【0030】膨張剤は、粒子状で導体ペースト中に含ま
れる。膨張剤の平均粒径は、好ましくは10μm 以下、
より好ましくは7μm 以下である。平均粒径が前記範囲
より大きい場合には、導体ペーストが充填される溝に膨
張剤粒子が入り込めなかったり、あるいは導体回路の切
断を引き起こすおそれがある。展色剤は結合剤および溶
剤からなる。結合剤および溶剤としては、導体ペースト
の焼成の際に、気体となって離散しうるものであればよ
く、たとえば、従来の導体ペーストの展色剤に用いられ
ているものが挙げられ、結合剤としては、エチルセルロ
ース、アクリル樹脂などが用いられ、溶剤としては、エ
チルカルビトールアセテート、テルピネオール等が用い
られる。結合剤の使用量は、例えば、金属粉末100重
量部に対して、2〜10重量部程度である。また、溶剤
の使用量は、使用する結合剤の種類によっても異なる
が、例えば、結合剤100重量部に対して、300〜2
000重量部程度である。具体的な展色剤としては、田
中貴金属インターナショナル社製TRD−1等が好適に
使用される。展色剤の使用量は、例えば、原料粉末全体
100重量部に対して、10〜45重量部程度である。
【0031】導体ペースト4は、セラミック基板との密
着性を向上させる目的で密着性改善剤をさらに含むこと
が好ましい。本発明で好適に使用される密着性改善剤
は、PbO、B2 3 、ZnO、CaO、SiO2 、A
2 3 等の一般的なガラス成分から構成され、好まし
くは軟化点500〜1000℃のガラスであり、さらに
好ましくは軟化点600〜900℃のガラスである。軟
化点が500℃未満のガラスを使用する場合には、導体
ペーストの焼成時にこの密着性改善剤の粘度が下がり過
ぎて溝壁面への移行量が少なくなり、導体と溝壁面との
接合に寄与しなくなるばかりでなく、導体の収縮を増大
させ溝から導体を剥離させる原因となる。また、軟化点
が1000℃を越えるガラスを使用する場合には、導体
ペーストを焼成する際の熱ではガラスが良好に軟化せ
ず、接着性に影響を及ぼす。
【0032】密着性改善剤は、粒子状で導体ペースト中
に含まれる。密着性改善剤の平均粒径は、好ましくは1
0μm 以下、より好ましくは7μm 以下である。平均粒
径が前記範囲より大きい場合には、導体ペーストが充填
される溝に密着性改善剤粒子が入り込めなかったり、あ
るいは導体回路の切断を引き起こすおそれがある。導体
ペースト4は、密着性改善剤を含む場合、セラミック基
板との密着性をより向上させる目的で、密着性改善助剤
をさらに含むことが好ましい。密着性改善助剤として
は、密着性改善剤と同様の作用を示すガラス成分とも成
りうるとともに、セラミック基板との密着性をより向上
させることができるという理由で、TiO2 、CuO、
Cr2 3 、Bi2 3 、NiOの中から選択される少
なくとも1種であることが好ましいが、セラミック基板
との密着性をより向上させるものであれば、これらの酸
化物に限定されない。
【0033】密着性改善助剤は、粒子状で導体ペースト
中に含まれる。密着性改善助剤の平均粒径は、好ましく
は10μm 以下、より好ましくは7μm 以下である。平
均粒径が前記範囲より大きい場合には、導体ペーストが
充填される溝に密着性改善助剤粒子が入り込めなかった
り、あるいは導体回路の切断を引き起こすおそれがあ
る。
【0034】導体ペースト4は、焼成前の混練物に適度
の流動性を付与する等の目的で、脂肪族エステル等の添
加剤を含んでいてもよい。導体ペースト4は、たとえ
ば、金属粉末および膨張剤を含む原料粉末と展色剤とを
混練する方法、金属粉末と展色剤との混練物に膨張剤等
の添加物と展色剤との混練物を加えて混練する方法など
により得られる。混練する際には、3本ロールミル等の
混合機を用いたり、擂潰機を使用することが好ましい。
【0035】セラミック基板3表面に形成された絶縁層
2の溝1に導体ペースト4を充填する際には、メタルマ
スクなどのマスクで絶縁層2表面(上面)を覆って導体
ペースト4を溝1に充填したり、マスクで絶縁層2表面
を覆わずに全体的に導体ペースト4を塗布して溝1に充
填したりすることができる。絶縁層2表面上にも塗布さ
れた導体ペースト4が隣同士の溝1に充填された導体ペ
ースト4を繋げても問題でない。なお、メタルマスク
は、溝1に相当する位置に溝1の幅以上の幅の孔を有す
る金属板である。導体ペーストの充填は、厚膜印刷技術
で一般的に行われているスクリーン印刷やメタルマスク
印刷によって導体ペーストが溝1に入り込むように行う
のがよい。導体ペースト4を溝1に充填するために、こ
れらの印刷を利用する場合には、印刷後、図4のB1
2 にみるように、導体ペースト4に温水等方圧プレス
などのプレス板8で圧力をかけ、導体ペースト4とセラ
ミック基板3との接着を確実なものにし、また、溝1内
に残存している空気を外部に逃がして充填を確実なもの
にすることができる。
【0036】平坦化工程Cは、溝1に充填された導体ペ
ースト4の表面を平坦化する工程である。導体ペースト
4表面の平坦化は、たとえば、溝1に充填された導体ペ
ースト4を乾燥させた後、乾燥した導体ペーストだけ
を、あるいは、乾燥した導体ペーストと絶縁層2とをラ
ッピングなどの方法で平面研磨することにより行うこと
ができる。平面研磨により、乾燥した導体ペーストの表
面が、あるいは、乾燥した導体ペーストの表面と絶縁層
2の表面とが同じ高さになって平坦になり、絶縁層2表
面上の導体ペーストは完全に除去され、短絡のおそれは
なくなる。
【0037】焼成工程Dは、平坦化された導体ペースト
4を焼成して導体回路5を形成する工程である。導体ペ
ースト4の焼成温度は750〜1000℃であることが
好ましく、800〜950℃であることがさらに好まし
い。導体ペースト4が密着性改善剤を含む場合には、焼
成温度は密着性改善剤の軟化点以上の温度である。焼成
温度が750℃より低い場合には、金属粉末の焼結が不
充分となるため、得られる焼結体が粗密になって導体抵
抗値の上昇をまねくことがある。また、焼結体の結晶化
が行われないため、固結性が損なわれることがある。焼
成温度が1000℃より高い場合には、密着性改善助剤
であるガラス成分の発泡や金属粉末の過焼結を引き起こ
すことがある。なお、導体ペーストの焼成は、連続焼成
炉やバッチ炉を用いて最高温度で約5〜120分間行う
のがよい。焼成後に、上述の方法で平坦化を行ってもよ
い。
【0038】本発明のセラミック配線板の製造方法で
は、上記のようにして導体回路5を形成した後、さらに
その上に図1または2の各Aにみるように溝1と絶縁層
2とを形成し、上記充填工程B→平坦化工程C→焼成工
程Dを行うという操作を1回以上繰り返すことにより、
導体回路5を上下に2層以上備えた多層配線板を得るこ
とができる。多層配線板の場合、上下の導体回路を電気
的に接続するバイアホール配線は常法(たとえば、光技
術でエッチングし、抜いた部分に導体を形成する方法が
その1例である)に従って設けることができる。多層配
線板の層間接続にも上述の導体ペースト4を用いること
ができる。
【0039】
【実施例】以下に、本発明の実施例と、本発明の範囲を
外れた比較例とを示すが、本発明は下記実施例に限定さ
れない。 〔製造例1:導体ペーストの製造〕金属粉末として銀粉
末(平均粒径=5.0μm)を用いた。まず、この銀粉
末100重量部に対してビヒクル(展色剤)を20重量
部加えて混合し、更に3本ロールミルで混練して銀ペー
ストを得た。ビヒクルは、テルピネオール100重量部
に対してエチルセルロースを15重量部溶解させたもの
を使用した。
【0040】次に、膨張剤、密着性改善剤、密着性改善
助剤と前述のビヒクルとを混合し、更に3本ロールミル
で混練して添加剤ペーストを得た。添加剤ペーストを調
製する際の各原料の使用量は、金属粉末100重量部に
対し、膨張剤が3.9重量部、密着性改善剤が6.7重
量部、密着性改善助剤が0.6重量部、ビヒクルが20
重量部とした。膨張剤としては、カオリン(平均粒径=
0.25μm)と炭酸カルシウム(平均粒径=0.3μ
m)を混合した粉末を約870℃で仮焼した粉末を用い
た。仮焼粉末の組成は、CaO、Al2 3 、SiO2
の各成分に換算して、CaO:Al2 3 :SiO2
1.1:1.0:2.4であった。密着性改善剤として
は平均粒径3.5μmのB2 3 −Zn0−PbO系ガ
ラス粉末(旭硝子社製、ASF−1440:軟化点63
5℃)を使用し、密着性改善助剤は、平均粒径0.3μ
mのTiO2 粉末(石原産業社製)を使用した。
【0041】上記銀ペーストと添加剤ペーストを混合
し、混練することによって導体ペースト(1)を得た。 〔製造例2〕密着性改善助剤を混合しなかったこと以外
は、製造例1と同様にして導体ペースト(2)を得た。
【0042】〔製造例3〕密着性改善剤と密着性改善助
剤とを混合しなかったこと以外は、製造例1と同様にし
て導体ペースト(3)を得た。 〔製造例4〕膨張剤の量を銀粉末100重量部に対して
1.0重量部に変えたこと以外は、製造例1と同様にし
て導体ペースト(4)を得た。
【0043】〔製造例5〕膨張剤の量を銀粉末100重
量部に対して7.0重量部に変えたこと以外は、製造例
1と同様にして導体ペースト(5)を得た。 〔実施例1〕図1と図3に示す方法でセラミック配線板
を製造した。
【0044】純度96%アルミナ基板(3インチ×3イ
ンチ、厚み0.635インチ)上に感光性絶縁ペースト
(日本電気社製商品名NTPペースト)でスクリーン印
刷し(200メッシュのステンレススチール(SUS)
スクリーンを使用)、室温で10分間程度レベリングさ
せた後、100℃で20分程度乾燥させた。これによ
り、セラミック基板3であるアルミナ基板表面全面に厚
み約30μmの薄層6が形成された。導体回路パターン
のポジ7(幅75μm、長さ30mmのラインが間隔75
μmで横に50個並列したポジを使用)を薄層6の上に
合わせて30mJ/cm2 の紫外線(UV)で露光し、現
像液(旭硝子社製商品名AK−225)を約1分間スプ
レーすることにより現像し、幅75μm、長さ30mmの
溝が75μmの間隔で横に50本並列して設けられた絶
縁層2を表面に有するアルミナ基板を得、連続焼成炉で
30分かけて850℃まで昇温し、同温度で10分間保
持し、同温度から30分かけて室温まで冷却することに
より焼成した。表面の溝に製造例1で得られた導体ペー
スト(1)をゴムヘラを用いて押し込むようにして充填
した。充填後、150℃で10分間クリーンオーブン中
で乾燥した後、アルミナ砥粒を用いてアルミナ基板上の
導体ペースト(1)と絶縁層2との表面を平面研削して
平坦化し、連続焼成炉で25分かけて850℃まで昇温
し、同温度で10分間保持し、同温度から25分かけて
室温まで冷却することにより焼成し、導体回路の厚みが
絶縁層の厚みと等しく両者の表面が同じ高さのセラミッ
ク配線板を得た。なお、この時の絶縁層の厚みは約18
μmであった。
【0045】〔実施例2〕導体ペースト(1)の代わり
に導体ペースト(2)を用いたこと以外は実施例1と同
様にしてセラミック配線板を得た。 〔実施例3〕導体ペースト(1)の代わりに導体ペース
ト(3)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてセラ
ミック配線板を得た。
【0046】〔実施例4〕導体ペースト(1)の代わり
に導体ペースト(4)を用いたこと以外は実施例1と同
様にしてセラミック配線板を得た。 〔実施例5〕導体ペースト(1)の代わりに導体ペース
ト(5)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてセラ
ミック配線板を得た。
【0047】〔比較例1〕導体ペースト(1)の代わり
に市販されているAgペースト(田中貴金属インターナ
ショナル社製TR3026)を用いたこと以外は実施例
1と同様にして比較用セラミック配線板を得た。 〔実施例6〕図2と図3と図4に示す方法でセラミック
配線板を製造した。
【0048】純度96%アルミナ基板(3インチ×3イ
ンチ、厚み0.635インチ)上に感光性絶縁ペースト
(日本電気社製商品名NTPペースト)でスクリーン印
刷し(200メッシュのステンレススチール(SUS)
スクリーンを使用)、室温で10分間程度レベリングさ
せた後、100℃で20分程度乾燥させた。これによ
り、セラミック基板3であるアルミナ基板表面全面に厚
み約30μmの薄層6が形成された。導体回路パターン
のポジ7(幅75μm、長さ30mmのラインが間隔75
μmで横に50個並列したポジを使用)を薄層6の上に
合わせて30mJ/cm2 のUVで露光し、現像液(旭硝
子社製商品名AK−225)を約1分間スプレーするこ
とにより現像し、幅75μm、長さ30mmの溝が75μ
mの間隔で横に50本並列して設けられた絶縁層2を表
面に有するアルミナ基板を得た。表面の溝に製造例1で
得られた導体ペースト(1)をゴムヘラを用いて押し込
むようにして充填した。充填後、温水等方圧プレスによ
り95℃、450kg/cm2 、3分間の条件で導体ペース
トに圧力をかけた後、150℃で10分間クリーンオー
ブン中で乾燥し、アルミナ砥粒を用いてアルミナ基板上
の導体ペースト(1)と絶縁層2との表面を平面研削し
て平坦化し、連続焼成炉で25分かけて850℃まで昇
温し、同温度で10分間保持し、同温度から25分かけ
て室温まで冷却することにより焼成し、導体回路の厚み
が絶縁層の厚みよりも約2倍大きいセラミック配線板を
得た。なお、この時の絶縁層の厚みは約18μmであっ
た。
【0049】〔比較例2〕導体ペースト(1)の代わり
に市販されているAgペースト(田中貴金属インターナ
ショナル社製TR3026)を用いたこと以外は実施例
6と同様にして比較用セラミック配線板を得た。実施例
および比較例で得られたセラミック配線板について下記
の評価を行った。
【0050】(絶縁層と導体回路との間の隙間)実施例
および比較例で得られたセラミック配線板の実体鏡観察
により、絶縁層と導体回路との間に隙間が、全く見られ
ないものを「なし」、導体回路の長さ方向のごく一部に
しか見られないものを「ほとんどなし」、導体回路の長
さ方向の一部に少し見られるものを「若干有」、導体回
路の長さ方向に目立って見られるものを「有」、と評価
した。
【0051】(導体回路の高さと高さの均一性)実施例
および比較例で得られたセラミック配線板の導体回路の
表面と絶縁層を接触式表面粗さ計で調査して、導体回路
の表面における山頂と谷底の標高を絶縁層表面と比較し
た。数字の前の記号+は、導体回路表面の山頂が絶縁層
表面よりも高くなっていることを表し、記号−は、導体
回路表面の谷底が絶縁層表面よりも低くなっていること
を表す。
【0052】(接着強度)200メッシュのステンレス
スクリーンを使用して、純度96%アルミナ基板(3イ
ンチ×3インチ、厚み0.635インチ)上に2mm×2
mmのパッドが多数個配列するように、実施例および比較
例で使用した導体ペーストをそれぞれ印刷した。これを
150℃で10分間クリーンオーブン中で乾燥した後、
連続焼成炉で各実施例および比較例と同じ条件で焼成し
た。この基板上の2mm×2mmのパッドに0.6mmφ錫メ
ッキ軟銅線を共晶半田(銀2%含有)で半田付けした
後、錫メッキ軟銅線を基板と90°になるように折り曲
げて引っ張り強度(ピール強度)を測定し、各導体ペー
ストについて20個のパッドの平均接着強度(20ポイ
ントの平均接着強度)を計算した。
【0053】(導体抵抗値)実施例および比較例で得ら
れたセラミック配線板の導体回路について、サーペンタ
インラインの膜厚、ライン幅及び抵抗値を測定し、これ
らの値から導体抵抗値を算出した。各セラミック配線板
について、5試料の平均導体抵抗値を計算した。
【0054】結果を表1に示した。
【0055】
【表1】
【0056】表1にみるとおり、実施例で得られたセラ
ミック配線板は、膨張剤を含む導体ペーストを用いて形
成した導体回路を有するので、絶縁層と導体回路との隙
間が全くないかほとんどないものとなっている。実施例
1〜5では、焼成物からなる絶縁層の溝に導体ペースト
を充填したので、導体回路と絶縁層の表面が同じかまた
はほぼ同じ高さになっている。実施例6では、未焼成物
からなる絶縁層の溝に導体ペーストを充填したので、導
体回路の表面が絶縁層の表面よりも高く突き出ている。
また、溝に充填された導体ペーストの表面を平坦化した
ので、導体回路の表面が全体的にほぼ同じ高さであっ
た。なお、実施例では導体抵抗値が、市販の導体ペース
トを使った比較例1、2よりも大きくなっているが、比
較例1、2で使った導体ペーストは焼成収縮を起こして
断面積が小さくなっているため、実質的な抵抗値(Ω)
は実施例と比較例1、2とではあまり変わらないものと
なっている。
【0057】
【発明の効果】本発明のセラミック配線板の製造方法
は、セラミック基板の表面に導体回路を有するセラミッ
ク配線板を製造する方法であって、導体回路パターンと
なる溝が設けられている絶縁層を表面に有するセラミッ
ク基板を準備する工程と、溝に、金属粉末と膨張剤と展
色剤とを含む導体ペーストを充填する工程と、溝に充填
された導体ペーストの表面を平坦化する工程と、平坦化
された導体ペーストを焼成して導体回路を形成する工程
とを有するので、セラミック基板上に、従来に比べて、
微細幅の導体回路を狭いピッチで歩留り良く製造でき、
しかも、導体回路が、絶縁性に優れ、均一な高さで、平
坦な表面を持っている、セラミック配線板を製造でき
る。このセラミック配線板は、導体回路の表面が平坦で
あるため、電子部品などの回路素子のマウント性が良
く、ICのフリップチップ実装での搭載を確実なものに
することができる。また、本発明の方法で得られたセラ
ミック配線板は、微細でアスペクト比の高い配線を有す
ることが可能であり、導体抵抗が問題となる用途に効果
的に使用できる。
【0058】なお、絶縁層が、セラミック基板表面に感
光性絶縁ペーストを塗布し乾燥して薄層を形成した後、
薄層を露光し現像して溝を掘ることにより形成された場
合には、導体回路の表面が絶縁層の表面よりも高く突き
出たセラミック配線板が得られる。また、絶縁層が、セ
ラミック基板表面に感光性絶縁ペーストを塗布し乾燥し
て薄層を形成した後、薄層を露光し現像して溝を掘った
後に薄層を焼成して得られる焼成物である場合には、導
体回路と絶縁層の表面が同じかまたはほぼ同じ高さのセ
ラミック配線板が得られる。
【0059】また、導体ペーストを溝に充填する工程
が、導体ペーストを少なくとも溝に印刷する工程と、印
刷された導体ペーストに等方圧を加える工程を有すると
きには、導体ペーストのセラミック基板への密着性が向
上し、しかも、溝内に空気が残存するのが防がれる。導
体ペーストに含まれる金属粉末が平均粒径3μm以上の
ものであるときには、形成される導体回路と絶縁層との
間に隙間がより生じにくくなる。
【0060】なお、導体ペーストに含まれる膨張剤は、
固結性を有する化合物であることが好ましい。固結性を
有する膨張剤が、アルミノケイ酸塩系化合物、チタン酸
バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸鉛、ジルコニ
ウム酸鉛、フェライト、PTZ、およびPTFからなる
群から選ばれる少なくとも1つである場合には、導体ペ
ーストの焼成後の収縮を抑制する効果がより向上し、絶
縁体と導体との密着性もより向上する。アルミノケイ酸
塩系化合物が、一般式RO−Al2 3 −SiO2 (R
はアルカリ金属又はアルカリ土類金属を表す)で示され
る化合物である場合には、導体ペーストの焼成後の収縮
を抑制する効果がさらに向上し、絶縁体と導体との密着
性もさらに向上する。
【0061】また、導体ペーストが密着性改善剤をさら
に含む場合には、導体と絶縁層およびセラミック基板と
の接着力を増大させ、導体と絶縁体との密着性を向上さ
せることができる。密着性改善剤は、たとえば、軟化点
500〜1000℃のガラスである。導体ペーストが密
着性改善剤と密着性改善助剤をさらに含む場合には、そ
の密着性をより向上させることができる。密着性改善助
剤は、たとえば、TiO2 、CuO、Cr2 3 、Bi
2 3 、およびNiOからなる群から選択される少なく
とも1つである。
【0062】なお、導体ペーストが、金属粉末に対して
0.1〜3.0重量%のロジウム粉末を含む場合には、
導体ペーストの焼成後の収縮を抑制する効果が向上す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例の模式断面図。
【図2】本発明の別の1実施例の模式断面図。
【図3】絶縁層を製造する方法の1例の模式断面図。
【図4】充填工程の1例の模式断面図。
【符号の説明】
1 溝 2 絶縁層 3 セラミック基板 4 導体ペースト 5 導体回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 水島 清 石川県松任市相木町383番地 ニッコー株 式会社内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セラミック基板の表面に導体回路を有する
    セラミック配線板の製造方法において、導体回路パター
    ンとなる溝が設けられている絶縁層を表面に有するセラ
    ミック基板を準備する工程と、前記溝に、金属粉末と膨
    張剤と展色剤とを含む導体ペーストを充填する工程と、
    前記溝に充填された導体ペーストの表面を平坦化する工
    程と、平坦化された前記導体ペーストを焼成して導体回
    路を形成する工程と、を有するセラミック配線板の製造
    方法。
  2. 【請求項2】前記絶縁層が、前記セラミック基板表面に
    感光性絶縁ペーストを塗布し乾燥して薄層を形成した
    後、前記薄層を露光し現像して前記溝を掘ることにより
    形成される、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】前記絶縁層が、前記溝を掘った後に前記薄
    層を焼成して得られる焼成物である、請求項2に記載の
    方法。
  4. 【請求項4】前記導体ペーストを前記溝に充填する工程
    が、前記導体ペーストを少なくとも前記溝に印刷する工
    程と、印刷された前記導体ペーストに等方圧を加える工
    程を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 【請求項5】前記金属粉末の平均粒径が3μm以上であ
    る、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 【請求項6】前記膨張剤が、固結性を有する化合物であ
    る、請求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】前記膨張剤が、アルミノケイ酸塩系化合
    物、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸
    鉛、ジルコニウム酸鉛、フェライト、PTZ、およびP
    TFからなる群から選ばれる少なくとも1つである、請
    求項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】前記アルミノケイ酸塩系化合物が、一般式
    RO−Al2 3 −SiO2 (Rはアルカリ金属又はア
    ルカリ土類金属を表す)で示される化合物である、請求
    項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】前記導体ペーストが密着性改善剤をさらに
    含む、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
  10. 【請求項10】前記密着性改善剤が軟化点500〜10
    00℃のガラスである、請求項9に記載の方法。
  11. 【請求項11】前記導体ペーストが密着性改善助剤をさ
    らに含む、請求項9または10に記載の方法。
  12. 【請求項12】前記密着性改善助剤が、TiO2 、Cu
    O、Cr2 3 、Bi2 3 、およびNiOからなる群
    から選択される少なくとも1つである、請求項11に記
    載の方法。
  13. 【請求項13】前記金属粉末が、金粉末、銀粉末、およ
    び銅粉末からなる群から選択される少なくとも1つであ
    る、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
  14. 【請求項14】前記金属粉末が、ロジウム粉末0.1〜
    3.0重量%を含む、請求項13に記載の方法。
JP2431296A 1996-02-09 1996-02-09 セラミック配線板の製造方法 Pending JPH09219577A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2431296A JPH09219577A (ja) 1996-02-09 1996-02-09 セラミック配線板の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2431296A JPH09219577A (ja) 1996-02-09 1996-02-09 セラミック配線板の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09219577A true JPH09219577A (ja) 1997-08-19

Family

ID=12134670

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2431296A Pending JPH09219577A (ja) 1996-02-09 1996-02-09 セラミック配線板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09219577A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003084297A1 (en) * 2002-03-28 2003-10-09 Shinko Electric Industries Co., Ltd. Wiring structure and its manufacturing method
JP2005013984A (ja) * 2003-05-30 2005-01-20 Seiko Epson Corp 薄膜パターン形成方法、デバイスとその製造方法、液晶表示装置の製造方法、液晶表示装置、アクティブマトリクス基板の製造方法、電気光学装置及び電子機器
US7049223B2 (en) 1998-06-01 2006-05-23 Kabushiki Kaisha Toshiba Paste including a mixture of powders, connection plug, burying method, and semiconductor device manufacturing method
JP2010087254A (ja) * 2008-09-30 2010-04-15 Brother Ind Ltd 配線部材の製造方法、配線部材及び液体移送装置
JP2012119380A (ja) * 2010-11-29 2012-06-21 Kyocera Corp ガラスセラミック配線基板
KR20160099245A (ko) * 2015-02-12 2016-08-22 전자부품연구원 전극 기판 및 그의 전극 형성 방법
WO2017169749A1 (ja) * 2016-03-29 2017-10-05 株式会社東芝 セラミック回路基板およびそれを用いた半導体装置

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7049223B2 (en) 1998-06-01 2006-05-23 Kabushiki Kaisha Toshiba Paste including a mixture of powders, connection plug, burying method, and semiconductor device manufacturing method
WO2003084297A1 (en) * 2002-03-28 2003-10-09 Shinko Electric Industries Co., Ltd. Wiring structure and its manufacturing method
JP2005013984A (ja) * 2003-05-30 2005-01-20 Seiko Epson Corp 薄膜パターン形成方法、デバイスとその製造方法、液晶表示装置の製造方法、液晶表示装置、アクティブマトリクス基板の製造方法、電気光学装置及び電子機器
US7410905B2 (en) 2003-05-30 2008-08-12 Seiko Epson Corporation Method for fabricating thin film pattern, device and fabricating method therefor, method for fabricating liquid crystal display, liquid crystal display, method for fabricating active matrix substrate, electro-optical apparatus, and electrical apparatus
JP2010087254A (ja) * 2008-09-30 2010-04-15 Brother Ind Ltd 配線部材の製造方法、配線部材及び液体移送装置
JP2012119380A (ja) * 2010-11-29 2012-06-21 Kyocera Corp ガラスセラミック配線基板
KR20160099245A (ko) * 2015-02-12 2016-08-22 전자부품연구원 전극 기판 및 그의 전극 형성 방법
WO2017169749A1 (ja) * 2016-03-29 2017-10-05 株式会社東芝 セラミック回路基板およびそれを用いた半導体装置
JPWO2017169749A1 (ja) * 2016-03-29 2019-02-07 株式会社東芝 セラミック回路基板およびそれを用いた半導体装置
US10674603B2 (en) 2016-03-29 2020-06-02 Kabushiki Kaisha Toshiba Ceramic circuit board and semiconductor device using the same

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2002198660A (ja) 回路基板及びその製造方法
JP3754748B2 (ja) スルーホール充填用導体ペースト、セラミック回路基板及びパッケージ基板
JPH09219577A (ja) セラミック配線板の製造方法
JP3401102B2 (ja) 回路基板およびその製造方法、電子デバイス実装体、グリーンシート
JP3416044B2 (ja) 低温焼成基板用導電ペースト
JP2004228410A (ja) 配線基板
JP3064047B2 (ja) 多層セラミック回路基板
JP2002362987A (ja) 電子部品およびその製造方法
JP4789443B2 (ja) 複合シートの製造方法、積層体の製造方法および積層部品の製造方法
JP2004075534A (ja) 絶縁性組成物
JPH10275979A (ja) セラミック基板および分割回路基板
JP4433583B2 (ja) 配線基板
JP4666950B2 (ja) 複合体及び複合体の製造方法並びに積層部品の製造方法
JP2003224338A (ja) ガラスセラミック配線基板
JP3130914B2 (ja) 多層回路基板
JP2005085995A (ja) セラミック基板の製造方法
JPH11163487A (ja) セラミック多層回路基板用導電ペースト
JP2004088019A (ja) 電極組成物および電子部品
JPH0787226B2 (ja) 低誘電率絶縁体基板
JPH03285965A (ja) グリーンシート用導体ペースト組成物
KR102543291B1 (ko) 도체 형성용 조성물, 도체와 그 제조 방법, 및, 칩 저항기
JP2760035B2 (ja) 厚膜回路基板
JP2005086017A (ja) セラミック基板の製造方法
JP2005191307A (ja) 配線基板
JP4497533B2 (ja) セラミック基板の製造方法