JPH0921901A - 硬化膜付き光学部材 - Google Patents

硬化膜付き光学部材

Info

Publication number
JPH0921901A
JPH0921901A JP7172259A JP17225995A JPH0921901A JP H0921901 A JPH0921901 A JP H0921901A JP 7172259 A JP7172259 A JP 7172259A JP 17225995 A JP17225995 A JP 17225995A JP H0921901 A JPH0921901 A JP H0921901A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
cured film
fine particles
oxide
optical member
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP7172259A
Other languages
English (en)
Inventor
Hidekazu Yajima
英一 矢嶋
Takeshi Ujiie
氏家  健
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hoya Corp
Hoya Lens Corp
Original Assignee
Hoya Corp
Hoya Lens Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hoya Corp, Hoya Lens Corp filed Critical Hoya Corp
Priority to JP7172259A priority Critical patent/JPH0921901A/ja
Publication of JPH0921901A publication Critical patent/JPH0921901A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【目的】 干渉縞の発生を防止し得るとともに耐候性、
耐水性などの化学的性質に優れた硬化膜付き光学部材を
提供する。 【構成】 基材の表面に、(A)有機ケイ素化合物およ
び/またはその加水分解物と、(B)酸化チタンと酸化
ジルコニウムと酸化ケイ素を主体とする平均粒子径1〜
200mμの複合体微粒子と、を含むコーティング組成
物を塗布硬化してなる硬化膜を有することを特徴とする
硬化膜付き光学部材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、硬化膜付き光学部材に
関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】プラ
スチックレンズなどのプラスチック成形品の耐擦傷性を
向上させるために、その表面に硬化被膜を施すことは良
く知られている。例えば、特開昭57−2735号公報
には、プラスチックレンズの表面に、エポキシ基および
シラノール、シロキサン基などのケイ素含有基の両者又
は一方を含有する化合物と、粒径1ないし100mμの
シリカ微粒子と、アルミニウムキレート化合物とからな
るコーティング組成物をプラスチックレンズ基材上に塗
布硬化して硬化膜を形成する方法が開示されている。
【0003】ところで近年プラスチックレンズはレンズ
厚を薄くできるというメリットを有するため、高屈折率
のものが主流を占めているが、高屈折率プラスチックレ
ンズ基材に上記シリカ微粒子含有コーティング組成物を
塗布硬化して得られた硬化膜付きプラスチックレンズで
は、プラスチックレンズ基材の屈折率と硬化膜の屈折率
が相違するため干渉縞が発生しやすいという欠点があ
る。
【0004】そこで、上記シリカ微粒子含有硬化膜付き
プラスチックレンズの欠点である干渉縞の発生を防止す
るため、特公昭63−37142号公報には、シリカ微
粒子よりも高屈折率物質である酸化チタン微粒子を含有
する硬化膜を有するプラスチックレンズが開示されてい
る。
【0005】しかしこの特公昭63−37142号公報
に記載の酸化チタン微粒子含有硬化膜付きプラスチック
レンズは、干渉縞の問題を解消するが、耐候性、耐水性
などの化学的性質に劣るという欠点がある。
【0006】従って本発明の目的は、干渉縞の発生を防
止し得るとともに耐候性、耐水性などの化学的性質に優
れた硬化膜付き光学部材を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上述の目的
を達成するため検討を加えた結果、基材表面に塗布硬化
されて硬化膜を形成するコーティング組成物の成分とし
て、有機ケイ素化合物および/またはその加水分解物と
ともに、酸化チタンと酸化ジルコニウムと酸化ケイ素を
主体とする平均粒子径1〜200mμの複合体微粒子を
用いることによって、干渉縞の発生を防止し得るととも
に、耐候性、耐水性などの化学的性質に優れた硬化膜付
き光学部材が得られることを見い出した。
【0008】従って本発明は、基材の表面に、(A)有
機ケイ素化合物および/またはその加水分解物と、
(B)酸化チタンと酸化ジルコニウムと酸化ケイ素を主
体とする平均粒子径1〜200mμの複合体微粒子と、
を含むコーティング組成物を塗布硬化してなる硬化膜を
有することを特徴とする硬化膜付き光学部材を要旨とす
る。
【0009】以下本発明を詳説する。
【0010】本発明の硬化膜付き光学部材は、基材の表
面にコーティング組成物を塗布硬化してなる硬化膜を有
することを特徴とするものであり、コーティング組成物
は、上述の(A)成分と(B)成分とを含むものであ
る。
【0011】(A)成分として用いられる一般式 (R1 a (R3 b Si(OR2 4-(a+b) (I) (ここで、R1 、R3 はそれぞれアルキル基、アルケニ
ル基、アリール基、アシル基、ハロゲン原子、グリシド
キシ基、エポキシ基、アミノ基、フェニル基、メルカプ
ト基、メタクリルオキシ基およびシアノ基からなる群よ
り選ばれた有機基を示し、R2 はアルキル基、アルコキ
シルキル基、アシル基およびフェニル基からなる群より
選ばれる有機基を示し、aおよびbは0または1の整数
である)で示される有機ケイ素化合物としては、公知の
ものが用いられ、その例としては、γ−グリシドキシプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピル
トリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメト
キシエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリア
セトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)
エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピル
ジメチルモノメトキシシラン、メチルトリメトキシシラ
ンなどが挙げられる。
【0012】(A)成分としては、有機ケイ素化合物の
加水分解物を用いることもでき、このような有機ケイ素
化合物の加水分解物は、上記有機ケイ素化合物を部分的
にまたは完全に加水分解して得られる。この加水分解
は、塩酸、硫酸などの無機酸や酢酸などの有機酸の存在
下に行なうのが好ましい。加水分解を均一に行なうため
有機溶媒を用いてもよい。(A)成分としての有機ケイ
素化合物またはその加水分解物は単独または混合して用
いられる。また(A)成分として、上記有機ケイ素化合
物とその加水分解物を併用することもできる。
【0013】コーティング組成物において、上記(A)
成分とともに用いられる(B)成分は、本発明における
中核的成分であり、酸化チタンと酸化ジルコニウムと酸
化ケイ素を主体とする平均粒子径1〜200mμの複合
体微粒子からなる。この複合体微粒子において、酸化チ
タンは主として硬化膜の高屈折率化に寄与し、一方酸化
ジルコニウムと酸化ケイ素は、主として耐候性、耐水性
などの化学的性質に寄与する。また酸化ケイ素は複合体
微粒子が(A)成分の有機ケイ素化合物またはその加水
分解物と結合して凝集するのを防止し、コーティング組
成物の分散均一性の向上に寄与する。
【0014】(B)成分の複合体微粒子としては、酸化
チタンにケイ素化合物をドープした核微粒子と、その周
囲に被覆された酸化ジルコニウムと酸化ケイ素の混合微
粒子とからなるものが好ましい。なおこの「酸化ジルコ
ニウムと酸化ケイ素の混合微粒子」とは、酸化ジルコニ
ウム微粒子と酸化ケイ素微粒子との混合物以外に酸化ジ
ルコニウムを核にし、これに酸化ケイ素が被覆されてい
るものも含むものとする。
【0015】好ましい複合体微粒子を構成する核微粒子
は、酸化チタンにケイ素化合物をドープしたものであ
る。ここに「ドープ」とは、最広義に解し、酸化チタン
にケイ素化合物を添加することを意味する。添加された
ケイ素化合物は、酸化チタンと物理的に混合されている
状態でもよく、また原子置換などの化学的反応によって
ケイ素原子が酸化チタン分子鎖内に入り込んだ状態でも
よい。ケイ素化合物としては酸化ケイ素、水酸化ケイ素
などのケイ素化合物が挙げられる。
【0016】核微粒子において酸化チタンにケイ素化合
物をドープした理由は、硬化膜における耐候性(非着色
性)、耐水性などの化学的性質を改良するためである。
【0017】好ましい複合体微粒子においては、上記の
核微粒子の周囲に酸化ジルコニウムと酸化ケイ素の混合
微粒子が被覆されている。核微粒子の周囲に被覆される
混合微粒子を構成する成分として、酸化ジルコニウムを
用いた理由は、最終的に得られる硬化膜の耐候性(非着
色性)、耐水性などの化学的性質をさらに改善するため
である。また酸化ジルコニウムとともに酸化ケイ素を用
いた理由は、酸化ジルコニウムのみであると、複合体微
粒子が(A)成分の有機ケイ素化合物またはその加水分
解物と混合したときに結合して凝集しやすく、得られる
硬化膜にくもりが発生しやすいのに対し、酸化ケイ素を
用いると、このような凝集の問題が防止され、コーティ
ング組成物の分散均一性が確保されるからである。
【0018】複合体微粒子は、上述のような核微粒子
と、その周囲に被覆された混合微粒子とからなるが、前
者の核微粒子におけるチタンとケイ素の原子比(Ti/
Si)は0.1〜1000が好ましく、1〜10が特に
好ましい。また前者の核微粒子の重量(W1 )に対する
後者の被覆微粒子の重量(W2 )の比率(W2 /W1
は、0.001〜100が好ましく、0.01〜1が特
に好ましい。しかしながら、本発明の目的が達成される
のであれば、Ti/SiおよびW2 /W1 は上記範囲に
限定されるものではなく、上記範囲をはずれてもよい。
【0019】(B)成分の複合体微粒子の平均粒子径
は、1〜200mμに限定される。その理由は1mμ未
満では微粒子が凝集しやすく、一方200mμを超える
と透明な硬化膜が得られないからである。平均粒子径は
1〜100mμが好ましく、1〜20mμが特に好まし
い。
【0020】(B)成分の複合体微粒子は、その分散状
態を安定に維持するため、また耐水性の向上のため、そ
の表面を各種有機酸、アルカリ、有機ケイ素化合物、酸
化ケイ素などで処理してもよい。処理に用いる有機酸と
しては、クエン酸や酒石酸などが挙げられる。アルカリ
としては、NaやK等のアルカリ金属の水酸化物または
塩の水溶液やアンモニア、有機アミン等が挙げられる。
有機ケイ素化合物としては、γ−グリシドキシプロピル
トリメトキシシランやγ−メタクリロキシプロピルトリ
メトキシシラン等のシランカップリング剤、あるいはメ
チルトリクロロシランやテトラメトキシシラン等の有機
シラン等が挙げられる。
【0021】(B)成分の複合体微粒子は、粉砕法、気
相法、イオン交換法、加水分解法などの公知の方法で製
造することができる。
【0022】コーティング組成物において(B)成分の
複合体微粒子は、水または有機溶媒に分散したコロイド
溶液として存在するのが好ましい。分散媒として用いる
有機溶媒としては、メタノール、エタノールなどのアル
コール類やメチルセロソルブ、エチルセロソルブなどの
セロソルブ類が挙げられる。
【0023】以上、コーティング組成物を構成する
(A)成分と(B)成分について個別に説明してきた
が、コーティング組成物における(A)成分の有機ケイ
素化合物またはその加水分解物と(B)成分の複合体微
粒子との割合は、使用する基材との相性、硬化膜の所望
屈折率などから適宜決定されるべきであるが、(A)成
分100重量部に対し、(B)成分が10〜500重量
部とするのが好ましい。その理由は(B)成分が10重
量部未満であると硬化膜の屈折率が低くなり、500重
量部を超えると硬化膜の透明性が低下するからである。
(B)成分は20〜100重量部とするのが特に好まし
い。
【0024】コーティング組成物には、上記(A)成分
および(B)成分以外に、得られる硬化膜の物性を損な
わない限り、他の成分を添加できる。例えば、反応を促
進するために硬化剤を、種々の基材との屈折率を合わせ
るために微粒子状無機物を、また塗布時における濡れ性
や硬化膜の平滑性を向上させる目的で各種の界面活性剤
を含有させることができる。さらに紫外線吸収剤、酸化
防止剤の添加も可能である。
【0025】前記硬化剤の例としてアリルアミン、エチ
ルアミン等のアミン類、ルイス酸、ルイス塩基などの各
種酸や塩基、例えば有機カルボン酸、クロム酸、次亜塩
素酸、ホウ酸、過塩素酸、臭素酸、亜セレン酸、アルミ
ン酸、炭酸などの酸およびその塩、さらにアルミニウ
ム、ジルコニウム、チタニウム、マグネシウム等の金属
アルコキシド、アルミニウムアセチルアセトナートなど
の金属キレート化合物が挙げられる。また、微粒子状無
機物の例としては、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化
アンチモン、酸化スズ、酸化タングステン、酸化スズと
酸化タングステンの複合体微粒子、酸化スズと酸化ジル
コニウムと酸化タングステンの複合体微粒子等が挙げら
れる。膜性能を改良するため、(A)成分および(B)
成分以外の他の成分の添加も可能である。例えば染色
性、可とう性を向上させるためにエポキシ、アクリル、
ウレタン樹脂等を加えることができる。
【0026】コーティング組成物が塗布される基材とし
ては、特に制限はないが、ガラスまたはプラスチックが
用いられる。プラスチックの例としては、メチルメタク
リレート重合体、メチルメタクリレートと1種以上のモ
ノマーとの共重合体、ジエチレングリコールビスアリル
カーボネート重合体、ジエチレングリコールビスアクリ
カーボネートと1種以上のモノマーとの共重合体、硫黄
含有(共)重合体、ハロゲン含有(共)重合体、ポリカ
ーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、不飽和ポ
リエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタ
ンなどが挙げられる。基材の屈折率は1.55〜1.7
5であるのが好ましい。
【0027】基材は、基材と硬化膜または硬化膜と反射
防止膜との密着性向上や、清浄化を目的として、各種の
前処理を行うことができる。例えば、酸、アルカリ、有
機溶媒などによる化学的処理、プラズマ、紫外線などの
物理的処理、各種の洗剤を用いる洗浄処理、更には各種
樹脂を用いたプライマー処理を必要に応じて適用するこ
とが可能である。コーティング組成物の基材への塗布手
段としてはディッピング法、スピン法、スプレー法等通
常行なわれる方法が適用できるが、面精度等の面から特
にディッピング法、スピン法が好ましい。
【0028】基材に塗布されたコーティング組成物の硬
化は熱風乾燥、活性エネルギー線照射によって行なう
が、好適には、50〜200℃の熱風中で行なうのが良
く、特に好ましくは70〜130℃の熱風中で行なうの
が望ましい。活性エネルギー線としては遠赤外線等があ
り熱による損傷を低く抑えることが出来る。
【0029】このようにして基材上に硬化膜を有する本
発明の光学部材が得られるが、本発明の硬化膜付き光学
部材は、従来の酸化ケイ素含有硬化膜付き光学部材の欠
点である干渉縞の発生を防止し、かつ従来の酸化チタン
含有硬化膜付き光学部材の欠点である耐候性、耐水性な
どの化学的性質が劣る点を解消したものであり、特に眼
鏡レンズとして好ましく用いられる。
【0030】本発明の硬化膜付き光学部材は、硬化膜上
に反射防止膜を有していても良い。反射防止膜は単層ま
たは多層であり、その構成成分としては、無機酸化物、
フッ化物、窒化物等の従来から公知のものが用いられ
る。具体的には、二酸化珪素、一酸化珪素、酸化ジルコ
ニウム、酸化タンタル、酸化イットリウム、酸化アルミ
ニウム、酸化チタン、フッ化マグネシウム、窒化珪素等
が挙げられる。その形成方法は、真空蒸着や、スパッタ
リング、イオンプレーティング等が挙げられる。この反
射防止膜を設けることにより、反射防止性能が向上す
る。
【0031】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。なお、実施例および比較例で得られた硬化膜付きプ
ラスチックレンズは、以下に示す測定法により諸物性を
測定した。
【0032】(1)耐擦傷性試験 スチールウール#0000でプラスチックレンズ表面を
擦って傷のつきにくさを目視で判断した。判断基準は次
のようにした。
【0033】A…強く擦っても太い傷が殆んどつかない B…強く擦るとかなり太い傷がつく C…強く擦ると表面が白く濁る (2)密着性試験 表面を約1mm間隔でゴバン目に100目クロスカット
し、このクロスカットした所に粘着テープ(商品名“セ
ロテープ”ニチバン(株)製品)を強く貼りつけた後、
急速に粘着テープを剥がし、粘着テープを剥がした後の
剥離の有無を調べた。
【0034】(3)高屈折率性能 硬化膜の分光反射率を分光光度計で測定し、得られた値
から屈折率を計算した。1.55以上のものを○とし、
それ未満のものを×とした。
【0035】(4)初期外観 目視で黄色味がなく、透明性の良いものを○とし、そう
でないものを×とした。
【0036】(5)耐光性試験(光照射後の外観) キセノンロングライフウェザーメーター(スガ試験機
(株))にて240時間照射を行い、照射後の外観の変
化を目視判定して、良好なものを○、そうでないものを
×とした。
【0037】(6)耐水性試験 25℃の水に1週間浸漬した後、耐擦傷性、密着性に問
題ないものを○とし、そうでないものを×とした。
【0038】(7)反射防止性能 分光光度計(日立製作所(株)製)で分光透過率を測定
し、96%以上のものを○とし、96%未満のものを×
とした。
【0039】[実施例1] (コーティング液の作製)ガラス製容器に(A)成分の
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン100重
量部を加え、撹拌しながら0.01規定塩酸1.4重量
部、水23重量部を添加した。その後、24時間撹拌を
行いγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの加
水分解物を得た。次に(B)成分として、酸化チタン、
酸化ジルコニウム、酸化ケイ素を主体とする複合体微粒
子ゾル(メタノール分散、全固形分20重量%、平均粒
子径5〜15ミリミクロン、核微粒子の原子比Ti/S
i=10、被覆部分の核部分に対する重量比0.25)
を用い、その200重量部をエチルセロソルブ100重
量部、滑剤としてのシリコーン系界面活性剤0.5重量
部、硬化剤としてのアルミニウムアセチルアセトネート
3.0重量部と混合した後、前述したγ−グリシドキシ
プロピルトリメトキシシランの加水分解物に加え、充分
に撹拌した後、濾過を行ってコーティング液を作製し
た。
【0040】(硬化膜及び反射防止膜の形成)アルカリ
水溶液で前処理したプラスチックレンズ基材(HOYA
(株)製、眼鏡用プラスチックレンズ、屈折率1.6
0)を、前述の方法で作製したコーティング液の中に浸
漬させ、浸漬終了後、引き上げ速度20cm/分で引き
上げたプラスチックレンズを120℃で2時間加熱して
硬化膜を形成した。
【0041】さらに、上記の硬化膜を施したプラスチッ
ク基材を蒸着装置に入れ、排気しながら85℃に加熱
し、2×10-5Torrまで排気した後、電子ビーム加
熱法にて蒸着原料を蒸着させて、SiO2 からなる膜厚
0.6λの下地層、この下地層の上にTa2 5 、Zr
2 、Y2 3 からなる混合層(nd=2.05、nλ
=0.075λ)とSiO2 層(nd=1.46、nλ
=0.056λ)からなる第1屈折率層、Ta2 5
ZrO2 、Y2 3 からなる混合層(nd=2.05、
nλ=0.46λ)とSiO2 層からなる第2低屈折率
層(nd=1.46、nλ=0.25λ)を形成して反
射防止膜を施した。得られた硬化膜付きプラスチックレ
ンズの物性測定結果を表1に示す。
【0042】[実施例2]実施例1のγ−グリシドキシ
プロピルトリメトキシシラン100重量部の代わりにγ
−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン70重量部
及びメチルトリエトキシシラン30重量部を用いた以外
は実施例1と同様にして硬化膜付きプラスチックレンズ
を得た。得られた硬化膜付きプラスチックレンズの物性
測定結果を表1に示す。
【0043】[実施例3]γ−グリシドキシプロピルメ
チルジエトキシシラン70重量部及びテトラエトキシシ
ラン30重量部を用いた以外はすべて実施例1と同様に
行った。得られた製品の物性測定結果を表1に示す。
【0044】[実施例4]γ−グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン50重量部及びγ−グリシドキシプロ
ピルメチルジエトキシシラン45重量部を用いた以外は
すべて実施例1と同様に行った。得られた製品の物性測
定結果を表1に示す。
【0045】[実施例5]硬化剤としてアルミニウムア
セチルアセトネートの代わりに過塩素酸アルミニウムを
用いた以外は実施例1と同様に行った。得られた製品の
物性測定結果を表1に示す。
【0046】[実施例6]反射防止膜を設けなかったこ
と以外は実施例1と同様に行った。得られた製品の物性
測定結果を表1に示す。
【0047】[比較例1]酸化チタン、酸化ジルコニウ
ム、酸化ケイ素を主体とする複合体微粒子を用いなかっ
た以外は実施例1と同様に行った。得られた製品の物性
測定結果を表1に示す。
【0048】[比較例2]酸化チタン、酸化ジルコニウ
ム、酸化ケイ素を主体とする複合体微粒子の代わりに酸
化チタン、酸化セリウムの複合酸化物(メタノール分
散、固形分20重量%)200重量部を用いた以外は実
施例1と同様に行った。得られた製品の物性測定結果を
表1に示す。
【0049】[比較例3]酸化チタン、酸化ジルコニウ
ム、酸化ケイ素を主体とする複合体微粒子の代わりに酸
化アンチモン(メタノール分散、固形分30重量%)1
33重量部を用いた以外は実施例2と同様に行った。得
られた製品の物性測定結果を表1に示す。
【0050】[比較例4]酸化チタン、酸化ジルコニウ
ム、酸化ケイ素を主体とする複合体微粒子の代わりに酸
化珪素(メタノール分散、固形分30重量%)133重
量部を用いた以外は実施例2と同様に行った。得られた
製品の物性測定結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】表1より以下のことが判明した。基材上に
硬化膜および反射防止膜を設けた実施例1〜5の製品
は、耐擦傷性、密着性に優れているだけでなく、硬化膜
の高屈折率性能に優れ、干渉縞の発生がない。また初期
外観および耐光性試験による光照射後の外観ともに良好
であり、耐候性に優れ、かつ耐水性にも優れていた。さ
らに反射防止性能を有していた。
【0053】また反射防止膜を設けない以外は実施例1
と同様にして得られた実施例6の製品は、反射防止性能
を有しない以外は実施例1の製品と同様の性能を有し、
硬化膜の高屈折率性能、耐候性、耐水性などに優れてい
た。
【0054】一方、比較例1〜4で得られた製品は、い
ずれも本発明で用いた(B)成分の複合体微粒子を用い
ていないため、硬化膜の高屈折率性能、初期外観、光照
射後の外観(耐候性)、耐水性の少なくとも1つにおい
て劣っていた。
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、(i) 耐擦傷性、密着性
に優れている、(ii)硬化膜の高屈折性能により干渉縞の
発生もない、(iii) 耐候性、耐水性などの化学的性能に
も優れているなど種々の利点を有する硬化膜付き光学部
材が提供された。この硬化膜付き光学部材は、眼鏡レン
ズ等のコバ厚の薄い度付きレンズとして特に適してい
る。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材の表面に、(A)有機ケイ素化合物
    および/またはその加水分解物と、(B)酸化チタンと
    酸化ジルコニウムと酸化ケイ素を主体とする平均粒子径
    1〜200mμの複合体微粒子と、を含むコーティング
    組成物を塗布硬化してなる硬化膜を有することを特徴と
    する硬化膜付き光学部材。
  2. 【請求項2】 成分(A)の有機ケイ素化合物またはそ
    の加水分解物が、一般式(I) (R1 a (R3 b Si(OR2 4-(a+b) (I) (ここで、R1 、R3 はそれぞれアルキル基、アルケニ
    ル基、アリール基、アシル基、ハロゲン原子、グリシド
    キシ基、エポキシ基、アミノ基、フェニル基、メルカプ
    ト基、メタクリルオキシ基およびシアノ基からなる群よ
    り選ばれた有機基を示し、R2 はアルキル基、アルコキ
    シルキル基、アシル基およびフェニル基からなる群より
    選ばれる有機基を示し、aおよびbは0または1の整数
    である)で表される有機ケイ素化合物またはその加水分
    解物である、請求項1に記載の硬化膜付き光学部材。
  3. 【請求項3】 成分(B)の複合体微粒子が、酸化チタ
    ンにケイ素化合物をドープした核微粒子と、その周囲に
    被覆された酸化ジルコニウムと酸化ケイ素の混合微粒子
    とからなる、請求項1に記載の硬化膜付き光学部材。
  4. 【請求項4】 基材がガラスまたはプラスチックレンズ
    である、請求項1に記載の硬化膜付き光学部材。
  5. 【請求項5】 硬化膜上に反射防止膜を有する、請求項
    1〜4のいずれか一項に記載の硬化膜付き光学部材。
JP7172259A 1995-07-07 1995-07-07 硬化膜付き光学部材 Withdrawn JPH0921901A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7172259A JPH0921901A (ja) 1995-07-07 1995-07-07 硬化膜付き光学部材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7172259A JPH0921901A (ja) 1995-07-07 1995-07-07 硬化膜付き光学部材

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0921901A true JPH0921901A (ja) 1997-01-21

Family

ID=15938586

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7172259A Withdrawn JPH0921901A (ja) 1995-07-07 1995-07-07 硬化膜付き光学部材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0921901A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6605361B2 (en) 2000-09-29 2003-08-12 Hoya Corporation Coating composition for lenses and method for producing the same
US6635352B2 (en) 2001-04-24 2003-10-21 Hoya Corporation Coating composition, process for producing optical element using the same, and optical element produced thereby
JP2007079276A (ja) * 2005-09-15 2007-03-29 Hoya Corp 光学部材
JP2007079277A (ja) * 2005-09-15 2007-03-29 Hoya Corp 光学部材
US7241472B2 (en) 2001-12-25 2007-07-10 Hoya Corporation Method for producing antireflection film-coated plastic lens, and antireflection film-coated plastic lens

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6605361B2 (en) 2000-09-29 2003-08-12 Hoya Corporation Coating composition for lenses and method for producing the same
US6635352B2 (en) 2001-04-24 2003-10-21 Hoya Corporation Coating composition, process for producing optical element using the same, and optical element produced thereby
US7241472B2 (en) 2001-12-25 2007-07-10 Hoya Corporation Method for producing antireflection film-coated plastic lens, and antireflection film-coated plastic lens
JP2007079276A (ja) * 2005-09-15 2007-03-29 Hoya Corp 光学部材
JP2007079277A (ja) * 2005-09-15 2007-03-29 Hoya Corp 光学部材

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA1324539C (en) Anti-reflection optical article and process of producing the same
JP3956043B2 (ja) コーティング組成物およびその製造方法ならびに耐擦傷性プラスチックレンズ
JP3938636B2 (ja) 高屈折率プラスチックレンズ及びその製造方法
JPH08295846A (ja) コーティング用組成物および積層体
JPH0251163B2 (ja)
JPH08113760A (ja) コーティング用組成物
JP3852100B2 (ja) コーティング用組成物およびその積層体
JPH05339541A (ja) コーティング組成物
JPS6321601A (ja) 反射防止性物品およびその製造方法
JPH011527A (ja) 反射防止性物品およびその製造方法
JPH0698703B2 (ja) 反射防止性物品およびその製造方法
JP2805877B2 (ja) コーティング用組成物
JPH0921901A (ja) 硬化膜付き光学部材
JPH03172369A (ja) 硬化膜およびその硬化膜を有する光学部材
JPH05331304A (ja) コーティング組成物およびそれで被覆されたレンズ
JPH0461326B2 (ja)
JPH1026703A (ja) 撥水処理されたレンズ
JPH08311240A (ja) コーティング用組成物および積層体
JPH08198985A (ja) 硬化被覆膜を有する光学部材
JPS624060B2 (ja)
JPH08311401A (ja) コーティング用組成物およびその製造方法および積層体
JPH0625599A (ja) スピンコート可能な反射防止組成物
JP3220906B2 (ja) コーティング用組成物
JP2003292896A (ja) コーティング用組成物および積層体
JPH07166131A (ja) コーティング組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20021001