JPH09217736A - 動圧軸受装置 - Google Patents

動圧軸受装置

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JPH09217736A
JPH09217736A JP4808996A JP4808996A JPH09217736A JP H09217736 A JPH09217736 A JP H09217736A JP 4808996 A JP4808996 A JP 4808996A JP 4808996 A JP4808996 A JP 4808996A JP H09217736 A JPH09217736 A JP H09217736A
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保 能勢
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五明  正人
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正通 早川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡易で低コストな構造で、潤滑剤24の外部
漏れを良好に防止しつつ長寿命化を図り、しかも動圧軸
受装置の適用性を拡大することを可能とする。 【解決手段】 固定部材12と回転部材25,22bと
の間の狭い隙間からなる毛細管シール部31a,31b
を軸受空間の両端側に設けることによって、本来の毛細
管力による引戻し力に加えて、大きな慣性力Gが負荷さ
れた場合に潤滑剤24の流体粘性抵抗による動圧力によ
って潤滑剤24の外部拡散を防止するとともに、軸受空
間を画成する軸受構成部材25,21どうしの接合面に
毛細管案内手段30a,30bを設け、軸受構成部材2
5,21どうしを密閉接合する接着剤29a,29bを
接合面内の全周に良好に導くことによって、接合面にお
ける潤滑剤の外部拡散を防止し、加えて長寿命化を図
り、かつこのような漏れ防止作用を有する毛細管シール
部31a,31b及び細管案内手段30a,30bを、
簡易に構成することによって製作の容易化を図るように
構成したもの。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、潤滑剤に動圧を発
生させ、その動圧により固定部材に対して回転部材を支
持するように構成した動圧軸受装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、モータ等の各種装置において、特
に高速回転に対応し得るようにオイル等の潤滑剤の動圧
を利用した動圧軸受装置が種々検討され提案されてい
る。この動圧軸受装置においては、固定部材側の動圧面
と回転部材側の動圧面とが対向配置されているととも
に、これら両対向動圧面のうちの少なくとも一方側に動
圧発生用溝が形成されており、上記回転部材と固定部材
との両対向面間に介在された所定のオイル等の潤滑剤
が、回転部材の回転時に動圧発生用溝のポンピング作用
により昇圧され、当該潤滑剤の動圧によって回転部材の
回転支持が行われるようになっている。
【0003】このように動圧軸受装置は、オイル等の潤
滑剤(以下、単に潤滑剤という。)を軸受部内に有して
おり、その潤滑剤の保持構造によって次の3つの型式に
一般に大別することができる。 1)部分潤滑剤構造(例えば、特開平6−178492
号公報参照) これは、潤滑剤が軸受部分のみに充填されており、軸受
どうしの間に空気層を設けた構造であって、最も単純な
動圧軸受構造である。 2)潤滑剤循環構造(例えば、米国特許4,795,2
75参照) これは、軸受どうしの間も潤滑剤で満たしておき、軸受
端どうしを循環孔で繋げた構造であって、回転時に発生
する内部の圧力差(差圧)を解消するように潤滑剤を循
環移動させる構造である。この構造によれば、潤滑剤の
量を十分に確保して長寿命化を図ることが可能となると
ともに、潤滑剤の内部圧力差(差圧)を循環孔により常
に解消しているため、潤滑剤の外部漏れを防止する点に
おいても有利である。 3)片袋保持構造(例えば、米国特許5,427,45
6参照) 軸受部の軸方向一端側を壁で閉塞して袋状の軸受空間を
形成し、その軸受空間が外気と繋がる出口部を一個所と
した構造であって、潤滑剤の圧力差を片袋構造により支
えるように構成したものである。この構造によれば、潤
滑剤の移動が防止されるため、簡易で低コストな動圧軸
受構造を得ることができるとともに、長寿命化と潤滑剤
漏れ防止との双方が可能となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の各動圧軸受構造のうち、1)の「部分潤滑剤構
造」においては、潤滑剤の注入量管理が難しい上に、軸
受部内のスペースが小さいために潤滑剤の絶対量が少な
くなってしまい絶対寿命が短いという問題がある。ま
た、これを解消するために潤滑剤の充填スペースを拡大
して潤滑剤の量を増やすと、今度は潤滑剤が漏れ易くな
ってしまう。さらに、軸受どうしの間にある空気層が気
圧及び温度の変化によって体積膨張及び縮小することか
ら潤滑剤の移動・漏れが生じ易く、これを防止するため
に外部に繋がる孔を設ける等の対策が必要となる。
【0005】また、上述した2)の「潤滑剤循環構造」
においては、循環孔を設けるために構造が複雑化してし
まい、従って量産性に乏しく、製造コストも高くなると
いう問題がある。
【0006】さらに、上述した3)の「片袋保持構造」
では、片袋状の軸受部を作る結果として、いわゆる軸回
転型及び軸固定型のいずれの軸受構造であっても、軸部
材が片持ち構造に限られてしまい、そのため用途が限定
されるという問題がある。
【0007】そこで本発明は、簡易で低コストな構造
で、潤滑剤漏れを良好に防止しつつ長寿命化を図ること
ができ、しかも適用性の広い動圧軸受装置を提供するこ
とを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、まず、1)潤滑剤漏れを防止する条件、2)
長寿命化を可能とするための条件、及び3)低コストで
量産性を良好とするための条件のそれぞれについて必要
な点を考えてみる。
【0009】1)潤滑剤漏れを防止するための条件。 1-1. 潤滑剤の外部漏れを防止するためには、まず潤滑
剤の液面位置が固定部材と回転部材との間の狭い隙間内
にあることが必要である。これは、回転及び停止の双方
の状態を含むのは勿論、温度・気圧が変化した状態、全
ての姿勢状態、振動・衝撃が加わった状態、潤滑剤の注
入量のばらつき及び蒸発などによる量変化した状態等、
仕様内のあらゆる状態に対して必要な条件である。
【0010】特に、動圧軸受に対して大きな慣性力が負
荷された場合には、毛細管力や磁気力によるシール力だ
けでは潤滑剤を保持することが難しくなるため、その場
合には、潤滑剤の流体粘性抵抗による動圧力を潤滑剤保
持力の主とする必要がある。そしてこの潤滑剤の流体粘
性抵抗による動圧力を大きくするためには、潤滑剤の表
面位置における隙間を一定以下に狭くする必要である。
【0011】さらに、上述したように潤滑剤の液面位置
が常に狭い隙間内にあるためには、 a.潤滑剤の液面位置及び量が、上述したいずれの状態
にあっても大きく変動しないこと、 b.潤滑剤の注入時における液面位置を管理・調整する
ことができ、簡単に指定の位置内とすることができるこ
と、 c.狭い隙間内における液面指定位置の前後に、ある程
度の体積的余裕があること、 などが必要となる。
【0012】1-2. 潤滑剤の外部漏れを防止するための
次の条件としては、停止時において、毛細管シール力が
働く状態になっていることがある。つまり、潤滑剤を軸
受内部の所定の位置に維持する力としての毛細管力によ
る引戻力が、連続的に作用していることが必要である。
【0013】1-3. さらに潤滑剤の外部漏れを防止する
ためには、回転時において潤滑剤の内部差圧が解消され
ており、バランスがとれた状態であることを要する。つ
まり、回転時に発生する動圧力又は遠心力によって潤滑
剤内に圧力差が生じることとなるが、この圧力差は一般
にシール圧力よりもかなり大きくなってしまい、例え
ば、2つの出口部どうしの間で潤滑剤に圧力差がある
と、その圧力差が解消されるまで潤滑剤が移動して外部
漏れの原因となることがある。すなわち、潤滑剤の外部
漏れを防止するためには、潤滑剤の僅かな移動量だけで
上述した圧力差が解消され、バランスが取れるようにし
た構造、或は、片袋保持構造のように圧力差を支えられ
る構造とすることが必要である。
【0014】このようなことから、本発明にかかる動圧
軸受装置は、固定部材に対して回転部材を回転可能に支
承する少なくとも2つの動圧軸受部が設けられ、上記動
圧軸受部は、2体以上の軸受構成部品が接合されること
により画成された一連の軸受空間内に配置されていると
ともに、上記軸受空間から装置外部に至る前記軸受構成
部品どうしの接合面の途中位置に密閉接合用の接着剤が
充填され、かつ、上記各動圧軸受部を構成する固定部材
及び回転部材の少なくとも一方側に、前記軸受空間内に
充填された潤滑剤に動圧を発生させる動圧発生手段が設
けられた動圧軸受装置において、上記動圧軸受部を含む
軸受空間の端部には、前記固定部材と回転部材との間の
隙間を狭小にしてなる毛細管シール部が設けられている
とともに、前記潤滑剤は、動圧軸受部を含む軸受空間内
から毛細管シール部に至るまで連続して充填され、か
つ、前記軸受構成部材どうしの接合面には、当該接合面
の全周に連続して前記接着剤を導く毛細管案内手段が設
けられている構成になされている。
【0015】このような動圧軸受装置によれば、まず、
潤滑剤の液面位置が、固定部材と回転部材との間の狭い
隙間からなる毛細管シール部内に存在し、停止時におい
て、毛細管シール力が常時働く状態になっており、この
毛細管シール力に基づく引戻力によって潤滑剤が内部側
所定の位置に保持される。一方、大きな慣性力Gが負荷
された場合には、潤滑剤の流体粘性抵抗による動圧力が
狭い隙間からなる毛細管シール部に発生し、これにより
潤滑剤の外部拡散が防止される。
【0016】また、軸受空間を画成する軸受構成部材ど
うしの接合面においては、当該軸受構成部材どうしを密
閉接合する接着剤が、毛細管案内手段の毛細管力によっ
て上記接合面内の全周に良好に導かれていき、その結
果、接合面の全周にわたって軸受構成部材どうしが密閉
状態で接着されることとなり、これによって潤滑剤の外
部拡散が防止されるようになっている。
【0017】加えて、上述したような漏れ防止作用を有
する毛細管シール部及び毛細管案内手段が、固定部材と
回転部材との間に簡易な構造にて形成され、製作の容易
化が図られ生産性が向上されるようになっている。
【0018】さらに、本発明にかかる動圧軸受装置は、
上述した発明に加えて、毛細管シール部は、動圧軸受部
を含む軸受空間の両端部分に、動圧軸受部を両側から挟
むように2箇所設けられているとともに、潤滑剤は、上
記動圧軸受部を含む2箇所の毛細管シール部どうしの間
の軸受空間内に連続して充填され、動圧軸受部を構成す
る動圧発生手段は、動圧軸受部を構成する動圧発生手段
は、軸受空間の一方側に向かう所定の差圧を潤滑剤に生
じさせ、当該潤滑剤を軸受空間の一方側に移動させるよ
うに非対称な形状に形成され、2箇所の毛細管シール部
のうち、潤滑剤の移動方向下流側の毛細管シール部が、
潤滑剤の移動による偏位分を許容する隙間内容量に設定
されたものであって、前記回転部材が回転したときに動
圧軸受部により生じさせられる差圧によって潤滑剤が軸
方向に所定量移動され、前記動圧軸受部のいずれかの動
圧発生手段の一部から潤滑剤が消失することによって上
記差圧が解消されるとともに、潤滑剤の軸方向移動によ
る偏位分が、潤滑剤の移動方向下流側の毛細管シール部
によって受け入れられる構成になされている。
【0019】このような動圧軸受装置によれば、特に、
回転時において、動圧軸受部で潤滑剤に対して意図的に
差圧が生じさせられ、この潤滑剤の差圧を解消するよう
に潤滑剤の移動が僅かに行われてバランス状態になされ
るため、回転時における潤滑剤の外部拡散が防止される
ようになっている。
【0020】また、潤滑剤の移動方向下流側の毛細管シ
ール部の隙間内容量が、潤滑剤の移動による偏位分を許
容する容量に設定されているため、潤滑剤の漏れを防止
することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明を、いわゆる両端軸
固定型のHDDスピンドルモータに適用した実施形態に
ついて図面により詳細に説明する。まず、図1に示めさ
れたHDDスピンドルモータの全体構造を説明すると、
このHDDスピンドルモータは、固定部材としてのステ
ータ組1と、このステータ組1に対して図示上側から組
み付けられた回転部材としてのロータ組2とから構成さ
れている。このうちステータ組1は、図示省略した固定
基台側にネジ止めされるフレーム11を有しているとと
もに、このフレーム11の略中央部分に立設された固定
軸12が、図示上方に向かって延びている。この固定軸
12の先端部(図示上端部)は、図示を省略した固定基
台に対してネジ止めされる。
【0022】また、上記フレーム11は、中空円筒状の
支持ホルダー13を有しており、この支持ホルダー13
の外周にステータコア14が嵌着されており、当該ステ
ータコア14の突極部に対して巻線15が巻回されてい
る。
【0023】一方、前記ロータ組2は、図示を省略した
所定の記録媒体を支持するためのハブ21を有してお
り、このハブ21は、当該ハブ21の中心部分に配置さ
れた一対のラジアル動圧軸受部22a,22bを介して
上記固定軸12の外周側に回転自在に支承されている。
【0024】上記ハブ21は、磁気ディスク等の磁気記
録媒体を外周部に装着する略円筒形状の胴部21aを有
しているとともに、この胴部21aの内周側に、バック
ヨーク21bを介して駆動マグネット21cが環状に装
着されている。この駆動マグネット21cは、前述した
ステータコア14の外周端面に対して環状に対向するよ
うに近接配置されている。
【0025】また、上記一対のラジアル動圧軸受部22
a,22bは、ハブ21の内周側に当該ハブ21と一体
に形成されており、軸方向に所定間隔離して並列するよ
うに配置されている。これらの各ラジアル動圧軸受部2
2a,22bの内周面と、前記固定軸12の外周面と
は、数μmの隙間を介して対向配置されている。
【0026】そして、上記各ラジアル動圧軸受部22
a,22bと固定軸12との両対向面のうち、少なくと
も一方側には、図2に示されているようなヘリンボーン
形状のラジアル動圧発生用溝23a,23bが、環状に
並列するようにそれぞれ凹設されているとともに、上記
両対向面間には、オイルや磁性流体等からなる所定の潤
滑剤24(図3参照)が介在されており、前記ハブ21
の回転時に、ラジアル動圧発生用溝23a,23bのポ
ンピング作用によって潤滑剤24が昇圧されて動圧が生
じ、この潤滑剤24に生じさせられた動圧によって、ハ
ブ21がラジアル方向に軸支持されるように構成されて
いる。上記ラジアル動圧発生用溝23a,23bのヘリ
ンボーン形状については後述する。
【0027】本実施形態における上記潤滑剤24として
は、当該潤滑剤24の寿命と良好な軸受特性とを両立し
得るように、トリメチロールプロパン(TMP)又はペ
ンタエリスリトール(PE)と、炭素数5〜18の直鎖
又は分岐脂肪酸とをエステル化した構造のオイルが使用
されており、その中でも、特に、蒸発率が10-7g/h
・cm2(at 40℃)以下で、粘度が30cP(at 40℃)
以下のオイルが用いられている。
【0028】なお、このような潤滑剤24を軸受内部に
注入するにあたっては、組立が完了したモータを一旦真
空室内に入れ、その真空引きした状態で毛細管力又は外
部大気圧を利用して行う。このようにすれば、含有空気
率が低い状態で軸受内部全体に潤滑剤24を満たすこと
が可能となる。
【0029】さらに、上記固定軸12の先端側(図示上
端側)の途中部分には、2つのスラスト動圧軸受部16
a,16bを構成するリング状のスラスト板16が固着
されている。このスラスト板16により構成される2つ
のスラスト動圧軸受部16a,16bは、図示上側に配
置されたラジアル動圧軸受部22aの図示上側に隣接す
るように配置されている。
【0030】すなわち、上記スラスト板16の図示下面
側は、図示上側に配置されているラジアル動圧軸受部2
2aの端面(図示上端面)に対面するように配置されて
いるとともに、スラスト板16の図示上端面は、前記ハ
ブ21の中央部分にネジ止めされた軸受構成部品として
のスラスト押え板25の端面(図示下端面)に対面する
ように配置されており、当該スラスト動圧軸受部16
a,16bを構成するスラスト板16の軸方向両端面に
は、図4に示されているようなヘリンボーン形状のスラ
スト動圧発生用溝17がそれぞれ環状に形成されてい
る。
【0031】また、上記スラスト板16とラジアル動圧
軸受部22aとの対向面どうしの間、及びスラスト板1
6とスラスト押え板25と対向面どうし間の各隙間部分
には、上述したラジアル動圧軸受部22a,22b側の
潤滑剤24が連続するようにして充填されており、上記
ハブ21の回転時に、スラスト動圧発生用溝17のポン
ピング作用によって潤滑剤24が昇圧されて動圧が生
じ、この潤滑剤24に生じさせられた動圧によってハブ
21がスラスト方向に軸支持されるように構成されてい
る。
【0032】このように、ハブ21の図示上端面に対し
てスラスト押え板25が接合されることによって、軸方
向に延在する軸受空間が一連に画成されており、この軸
受空間内に、上述した4つの動圧軸受部16a,16
b,22a,22bが軸方向に並列するように配置され
ているとともに、その軸受空間内には、上述した潤滑剤
24が連続するようにして充填されている。このとき、
上記ハブ21とスラスト押え板25とは、前記軸受空間
から装置外部方向に延びる接合面を備えるように固定ネ
ジ28により締付け固定されており、これら両部材2
1,25どうしの接合面における上記軸受空間から装置
外部方向に延びる途中位置には、両部材21,25どう
しを密閉状態にて接合するように接着剤29a,29b
が2個所充填されている。
【0033】上記各接着剤29a,29bは、前記接合
面の半径方向外周側及び途中位置に設けられた毛細管案
内手段30a,30b内にそれぞれ充填されており、こ
れらの各毛細管案内手段30a,30bによって、上記
接着剤29a,29bが接合面の全周にわたって連続す
るように導かれ、完全な密閉構造が形成されるようにな
っている。
【0034】このうち、接合面の半径方向外周側に設け
られている毛細管案内手段30aは、スラスト押え板2
5の外周端面を面取りして形成された傾斜壁面と、ハブ
21の図示上端面側に薄板状に立設された環状フランジ
部21dの内周壁面との間を狭小とした隙間から形成さ
れている。この狭小隙間は、外方(図示上方)に向かっ
て隙間寸法が拡大するように形成されており、当該狭小
隙間の最外端部の隙間寸法が0.3mm以下に形成され
ていて、毛細管力によって接着剤29aを接合面の全周
に切れ目なく導く機能を有している。
【0035】また、前記接合面の半径方向途中位置に設
けられている他方の毛細管案内手段30bは、接合面を
構成しているハブ21の図示上面側に凹設された横断面
略V字状の環状溝から形成されている。この環状溝も、
同様な毛細管力を備えるように所定の浅い溝深さに設定
されており、当該環状溝によって、接合面の全周にわた
って切れ目なく連続するように接着剤29bが導かれる
ようになっている。
【0036】また、これら毛細管案内手段30a,30
bを構成する狭小隙間及び環状溝は、装置の組立時にお
いて装置外方(図示上方)に向かって開口するように設
けられており、外部側から接着剤29a,29bを直接
注入することができるように構成されている。
【0037】なお、上記スラスト押え板25は、上述し
た各動圧軸受部の組付後にハブ21に対して接合される
が、軸受空間すなわち潤滑剤24の充填部分に臨む接合
面は、このスラスト押え板25による接合面のみであっ
て、潤滑剤24の充填部分に対するその他の部位は一体
に成形されており、これにより密閉性が良好に確保され
るようになっている。また、上記スラスト押え板25と
ハブ21との接合面は、潤滑剤24の注入前に、上述し
た接着剤29a,29bによって完全密閉構造となるよ
うに接合され、これによっても潤滑剤24に対する密閉
性が良好に確保されている。
【0038】一方、上記スラスト押え板25には、外側
(図示上側)から吸収布26を介して薄板状のストッパ
ー板27が設けられており、これら吸収布26及びスト
ッパー板27によって、最悪の場合でも、潤滑剤24の
外部飛散が防止されるようになっている。
【0039】前述したように、前記2つのラジアル動圧
軸受部22a,22b、及び2つのスラスト動圧軸受部
16a,16bは、軸方向に延びる一連の軸受空間内に
併設されているが、これら4つの動圧軸受部16a,1
6b,22a,22bを含む軸受空間の軸方向両端部分
には、前記固定軸12と回転側の部材22b,25との
隙間を狭小にしてなる2箇所の毛細管シール部31a,
31bが、前記4つの動圧軸受部16a,16b,22
a,22bを軸方向両側から挟むように設けられてい
る。
【0040】これらの各毛細管シール部31a,31b
のうち、図示下側の毛細管シール部31bは、図示下側
に配置されたラジアル動圧軸受部22bの一部に設けら
れており、より具体的には、当該ラジアル動圧軸受部2
2bの軸方向外端部分(図示下端部分)の内周壁と、前
記固定軸12の外周面との隙間を狭小にすることによっ
て形成されている。従って、この図示下側の毛細管シー
ル部31bを構成する狭小隙間は、図示下側のラジアル
動圧軸受部22bの軸受部を構成する隙間に対して直接
的に連通されているとともに、この毛細管シール部31
bとラジアル動圧軸受部22bとの連通部分には、隙間
を拡大するような凹部は設けられていない。
【0041】一方、図示上側の毛細管シール部31a
は、スラスト動圧軸受部16aを構成するスラスト押え
板25と固定軸12との間の隙間により形成されてお
り、前述したスラスト押え板25の内周壁と固定軸12
の外周面との間の隙間を狭小にすることによって形成さ
れている。
【0042】これら図示上下両側の各毛細管シール部3
1a,31bは、当該毛細管シール部31a,31bを
構成する狭小隙間が図示上下の外方に開口するように軸
方向に沿って設けられている。そして、これらの各毛細
管シール部31a,31bの狭小隙間を構成するように
固定軸12側に各々対面しているスラスト押え板25の
内周壁、及び図示下側のラジアル動圧軸受部22bの内
周壁は、軸方向外方に向かって上記隙間の寸法を連続的
に拡大するように傾斜壁に形成されており、この連続的
に拡大している狭小隙間の寸法が、20μmから300
μmとなっている部位を毛細管シール部31a,31b
としている。また、これらの各毛細管シール部31a,
31bの外方部分には、潤滑剤24の外部拡散による漏
れを防止するための撥油が被着された部位がそれぞれ設
けられている。
【0043】前述したように、4つの動圧軸受部16
a,16b,22a,22bを含む上記2箇所の毛細管
シール部31a,31bどうしの間の軸受空間部分に
は、潤滑剤24が連続して充填されており、その潤滑剤
24の図示上下端における各液面位置が、モータ停止時
においては、図3及び図5中にそれぞれ実線A,Bで示
されているように、各毛細管シール部31a,31bの
内部所定位置となるように設定されている。
【0044】また、モータ回転時においては、潤滑剤2
4の両液面のうち、図示上端側の液面の位置が、図5中
の破線A’で示されているように、図示上側の毛細管シ
ール部31a内に保持されているとともに、図示下端側
の液面位置は、図3中の破線B’で示されているよう
に、図示下側に配置されているラジアル動圧軸受部22
b内に引き込まれた位置に設定されている。このような
潤滑剤24の移動については後述する。
【0045】一方、上述したラジアル動圧軸受部22
a,22bにおけるヘリンボーン形状の各動圧発生用溝
23a,23bは、図2に示されているように、当該ラ
ジアル動圧軸受部22a,22bの軸方向両端部から中
心側で合流するようにして「く」の字状に延びる一対の
傾斜溝を環状に並列することにより構成されている。各
動圧発生用溝23a,23bを構成する各傾斜溝は、数
μmの溝深さに形成されており、軸方向両端側から中心
側に向かって潤滑剤24を加圧するようなっている。
【0046】このとき、図示上側のラジアル動圧軸受部
22aでは、一対の動圧発生用溝23a,23aどうし
が、ほぼ同一の軸方向長さLaにそれぞれ設定されてお
り、これによって図示上側の動圧発生用溝23aによる
図示下側方向への加圧力と、図示下側の動圧発生用溝2
3aによる図示上側への加圧力とがほぼ等しくなって、
軸方向両端側から中心側に向かう加圧力がほぼバランス
するように構成されている。
【0047】これに対して、軸方向における最外部分に
配置された図示下側のラジアル動圧軸受部22bでは、
一対の動圧発生用溝23b,23bのうち、軸方向外側
(図示下側)の傾斜溝の軸方向長さLb1が、軸方向内
側(図示上側)の傾斜溝の軸方向長さLb2より長く設
定されている(Lb1>Lb2)。すなわち、このような
軸方向に非対称な溝形状に形成されていることによっ
て、図示下側の傾斜溝による上方加圧力が、図示上側の
傾斜溝による下方加圧力を上回り、軸方向一方側(図示
上側)に向かって所定の差圧を潤滑剤24に生じさせる
構造になされている。
【0048】このようにラジアル動圧軸受部22bによ
って潤滑剤24に生じさせられる差圧により、潤滑剤2
4は図示上側に向かって移動して偏位することとなる
が、この潤滑剤24の移動方向下流側(図示上側)の毛
細管シール部31aは、図5に示されているように、潤
滑剤24の移動による偏位分を許容する隙間内容量に設
定されており、上述したように、モータ回転時において
も潤滑剤24の液面位置が毛細管シール部31a内に保
持されるようになっている(図5中の破線A’参照)。
【0049】より具体的には、この潤滑剤24の移動方
向下流側(図示上側)の毛細管シール部31aは、0.
5mm以上の軸方向長さに設定されているとともに、当
該毛細管シール部31aの隙間内容量及び軸方向長さ
が、潤滑剤24の移動により当該潤滑剤24が減少する
側(図示下側)の毛細管シール部31bの隙間内容量及
び軸方向長さの3倍以上に設定されている。また、この
潤滑剤24の移動による当該潤滑剤24の偏位分を許容
する側の毛細管シール部31aにおける隙間寸法は、潤
滑剤24の移動により当該潤滑剤24が減少する側の毛
細管シール部31bの実質的な軸受隙間寸法、すなわち
ラジアル動圧軸受部22bにおける動圧発生用溝23b
を含めた軸受隙間寸法より大きく設定されている。これ
は、潤滑剤24の注入量の増減に対する余裕を持たせる
とともに、潤滑剤24の移動や蒸発による潤滑剤24の
減少に対して量的な余裕を持たせるためである。
【0050】一方、前述したように、潤滑剤24の移動
方向上流側(図示下側)の毛細管シール部31bは、ラ
ジアル動圧軸受部22bの軸方向外端部分(図示下端部
分)に設けられているため、潤滑剤24が上述した差圧
により図示上側に向かって移動して偏位した際には、図
3中の破線B’で示されているように、当該図示下側の
毛細管シール部31b内の潤滑剤24の全部が消失し、
かつラジアル動圧軸受部22b内の潤滑剤24における
図示下側の一部が消失するように構成されている。
【0051】より具体的には、ハブ21が回転したとき
の上述した差圧による潤滑剤24の移動により、図示下
側の動圧発生用溝23bの軸方向長さLb1の約1/4
の長さにわたって潤滑剤24が枯渇し、図示下側の動圧
発生用溝23bに残された潤滑剤24の軸方向長さLb
3が、図示上側の動圧発生用溝23bの軸方向長さLb2
とほぼ等しくなる位置まで液面が上昇する。そして、潤
滑剤が枯渇した分、図示下側の動圧発生用溝23bで発
生する動圧力が低下して差圧が解消するようになってい
る。
【0052】また、この軸方向最外部に配置されている
図示下側のラジアル動圧軸受部22bは、潤滑剤24が
枯渇・消失する部位に、当該部位における隙間を他の部
位の隙間より大きくする窪み部28が形成されており、
この窪み部28によって、潤滑剤24の枯渇・消失時に
おいても、衝撃等による急激な大負荷力によってラジア
ル動圧軸受部22bの内周面が固定軸12の外周面に接
触することのないように構成されている。この窪み部2
8としては、図3に示されているような段部形状とし
て、隙間を2μm程度大きしたものや、テーパ形状とし
て最外端部における隙間を0.5μmないし3μm程度
大きくなるようにしたもの等が考えられる。
【0053】図1に戻って、上述した図示上側の毛細管
シール部31aの軸方向外側(図示上側)には、当該毛
細管シール部31aに対して軸方向に連続するようにし
て潤滑剤注入部32が設けられている。この潤滑剤注入
部32は、毛細管シール部31aを構成している狭小隙
間に連続する拡大隙間から形成されており、前記固定軸
12側に対面しているスラスト押え板25の内周壁が、
毛細管シール部31aを構成している傾斜壁よりもさら
に大きい開角で傾斜させられている。
【0054】この潤滑剤注入部32を構成する傾斜壁
は、軸方向に向かって潤滑剤24が良好に進入して行く
ように、70度以下の開角に形成されているとともに、
当該潤滑剤注入部32の軸方向最外端における隙間が4
00μm以上となるように設定されている。また、この
潤滑剤注入部32の隙間内容量は、前述した2つの毛細
管シール部31a,31bどうしの間を結ぶ軸受空間の
内容量より大きく設定されており、これによって、潤滑
剤24の全量を、一旦、潤滑剤注入部32内に注入する
ことができ、以後は毛細管力によって内部側(図示下
側)に案内されていき、大気開放によって軸受空間の全
長にわたって潤滑剤24が満たされるようになってい
る。
【0055】また、前述したラジアル動圧軸受部22
a,22bどうしの軸方向間部分には、内周面を窪ませ
ることによって固定軸12との隙間を拡大してなる潤滑
剤溜り部33が設けられている。本実施形態における潤
滑剤溜り部33の隙間寸法は、ラジアル動圧軸受部22
a,22bにおける軸受隙間寸法の3倍以上又は40μ
m以上に設定されている。これは、軸受部に対して潤滑
剤24に量的余裕をもたせるように一定量以上の潤滑剤
24を潤滑剤溜り部33内に確保して長寿命化を図るた
めである。
【0056】このとき、上記潤滑剤溜り部33内の潤滑
剤24の圧力は、上述した動圧発生用溝23a,23a
の軸方向非対称な形状による軸方向に偏ったポンピング
作用によって、大気圧よりやや高い状態に維持されてお
り、これによって、潤滑剤24内に空気が多少含まれて
いても、空気の影響を小さくすることができるようにな
っている。
【0057】このような実施形態装置によれば、まず、
潤滑剤24からなる潤滑剤24の液面位置が、固定軸1
2と回転側の部材25,22bとの間の狭隙間からなる
毛細管シール部31a,31b内に存在するため、回転
時にはもちろん停止時においても毛細管シール力が常時
働く状態になっており、この毛細管シール力に基づく引
戻力によって、潤滑剤24が内部側の所定位置に保持さ
れる。
【0058】一方、大きな慣性力が負荷された場合に
は、潤滑剤24の流体粘性抵抗による動圧力が狭隙間か
らなる毛細管シール部31a,31bに生じ、その潤滑
剤24の流体粘性抵抗による動圧力が保持力の主となっ
て、潤滑剤24の外部拡散が防止される。
【0059】特に、回転時においては、ラジアル動圧軸
受部22bで潤滑剤24に対して意図的に差圧が生じさ
せられ、この潤滑剤24の差圧を解消するように潤滑剤
24の移動が僅かに行われてバランス状態になされる。
そしてこのようなバランスによって回転時における潤滑
剤24の外部拡散が防止される。
【0060】さらに、潤滑剤24の移動方向下流側の毛
細管シール部31aが、潤滑剤24の移動による偏位分
を許容する隙間内容量に設定されているため、潤滑剤2
4の漏れが防止される。
【0061】また、当該発明による毛細管シール部31
a,31bは、傾斜面による簡易な構成を有しているた
め、製作の容易化が図られ生産性が向上される。
【0062】さらにまた、軸受空間を画成している軸受
構成部材としてのスラスト押え板25とハブ21との接
合面においては、これらスラスト押え板25とハブ21
とを密閉接合する接着剤29a,29bが、毛細管案内
手段30a,30bの毛細管力によって接合面内の全周
に良好に導かれるように構成されており、これによっ
て、上記両部材25,21の接合面の全周にわたってス
ラスト押え板25とハブ21とが密閉状態で接着され、
潤滑剤の外部拡散が防止されるようになっている。
【0063】以上、本発明者によってなされた発明の実
施形態を具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に
限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で
種々変形可能であるというのはいうまでもない。
【0064】また、例えば、図6(a)に示されている
ように、スラスト動圧軸受部を構成するスラスト板46
を、2つのラジアル動圧軸受部42a,42bの軸方向
間部分に配置したり、図6(b)に示されているよう
に、上述した第1の実施形態とは反対側である図示下側
のラジアル動圧軸受部42bに隣接して配置することも
可能である。
【0065】そして、図6(a)の場合には、2つのラ
ジアル動圧軸受部42a,42bの軸方向間部分に、軸
受空間を画成するスペーサ40が接合されており、これ
ら2つのラジアル動圧軸受部42a,42bとスペーサ
40との接合面40a,40aに、溝や狭小隙間からな
る毛細管案内手段が設けられているとともに、この毛細
管案内手段内に、上記両部材42a,40どうしを密閉
状態に接合する接着剤がそれぞれ充填されている。
【0066】また、図6(b)の場合には、スラスト板
46が、上述した図1にかかる実施形態とは逆の図示下
端位置に配置されており、そのスラスト板46の図示下
端面が、軸受構成部品としてのスラスト押え板45の端
面(図示上端面)に対面するように配置されている。そ
して、このスラスト押え板46とハブ41との接合面4
5aに、溝や狭小隙間からなる毛細管案内手段が設けら
れているとともに、この毛細管案内手段内に、上記両部
材45,41どうしを密閉状態に接合する接着剤が充填
されている。
【0067】そして、これら図6(a),(b)の各毛
細管案内手段によっても、上記接着剤が接合面の全周に
わたって連続するように導かれ、これによって完全な密
閉構造が形成される。
【0068】また、図7及び図8に示されている実施形
態装置は、軸受空間の一端側(図示下端側)のみに、潤
滑剤の毛細管シール部31aを設けたものであって、図
1に表した実施形態装置に対応する構成物を同一符号で
示している。すなわち、本実施形態装置では、スラスト
押え板25の外周部がハブ21側にシール接合されてお
り、そのシール接合面に対して、溝や狭小隙間からなる
毛細管案内手段30が設けられているとともに、この毛
細管案内手段30内に、上記両部材25,21どうしを
密閉状態に接合する接着剤29が充填されている。この
ような各実施形態装置によっても、上述した第1実施形
態と同様な作用・効果を得ることができる。
【0069】また、本発明にかかる毛細管案内手段で
は、環状溝や狭小隙間等を複数設けることによって、上
述した作用・効果を一層高めることも可能であり、さら
に、毛細管案内手段は、上述したような環状溝や狭小隙
間に限定されることはなく、その他の毛細管力を備える
手段であれば種々のものを採用することができる。
【0070】さらにまた、本発明を適用する動圧発生用
溝は、上述した実施形態におけるようなヘリングボーン
形状のものに限定されることはなく、その他のあらゆる
形状の動圧発生用溝に対しても本発明は同様に適用する
ことができる。
【0071】一方、上述した実施形態は、いわゆる軸固
定型のモータに対して本発明を適用したものであるが、
軸回転型のモータに対しても本発明は同様に適用するこ
とができる。
【0072】また、本発明にかかる差圧発生用の動圧発
生用溝を、上述した実施形態のようにラジアル軸受部に
設けることに限定されることはなく、スラスト動圧軸受
部に設けたり、あるいは双方に設けることもできる。
【0073】さらにまた本発明は、上述したHDDモー
タ以外に用いられる動圧軸受装置に対しても同様に適用
することができる。
【0074】
【発明の効果】以上述べたように本発明は、固定部材と
回転部材との間の狭い隙間からなる毛細管シール部を軸
受空間の両端側に設けることによって、本来の毛細管力
による引戻し力に加えて、大きな慣性力が負荷された場
合に潤滑剤の流体粘性抵抗による動圧力によって潤滑剤
の外部拡散を防止するとともに、軸受空間を画成する軸
受構成部材どうしの接合面に毛細管案内手段を設け、軸
受構成部材どうしを密閉接合する接着剤を接合面内の全
周に良好に導くことによって、接合面における潤滑剤の
外部拡散を防止するように構成したものであるから、簡
易で低コストな構造で、潤滑剤漏れを良好に防止しつつ
長寿命化を図ることができ、しかも動圧軸受装置の適用
性を拡大することができる。
【0075】また、本発明は、動圧軸受部で潤滑剤に対
して意図的に差圧を生じさせ、この潤滑剤の差圧を解消
するように潤滑剤を僅かに移動させることによってバラ
ンス状態とし、これにより回転時における潤滑剤の外部
拡散を防止し、加えて、毛細管シール部の隙間内容量を
潤滑剤の移動による偏位分を許容する容量に設定するこ
とによって潤滑剤の漏れを防止し、かつこのような漏れ
防止作用を有する毛細管シール部を、簡易な隙間により
構成することによって製作の容易化を図るように構成し
たものであるから、上記効果を一層高めて、動圧軸受装
置の信頼性を飛躍的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる動圧軸受装置を備
えたHDDスピンドルモータの一例を表した横断面説明
図である。
【図2】ラジアル動圧発生用溝の一例を表した展開説明
図である。
【図3】上側の毛細管シール部の構造を表した部分拡大
横断面説明図である。
【図4】スラスト動圧発生用溝の一例を表した平面説明
図である。
【図5】下側の毛細管シール部の構造を表した部分拡大
横断面説明図である。
【図6】動圧軸受部の配置関係を変更した場合を模式的
に示した半横断面説明図である。
【図7】本発明の他の実施形態にかかる動圧軸受装置を
備えたHDDスピンドルモータの一例を表した横断面説
明図である。
【図8】図7に表されたモータの上部を拡大して表した
要部横断面説明図である。
【符号の説明】
12 固定軸 16a,16b スラスト動圧軸受部 21,41 ハブ 25,45 スラスト押え板 22a,22b,42a,42b ラジアル動圧軸受部 23a,23b ラジアル動圧発生用溝 24,44 潤滑剤 29a,29b,29 接着剤 30a,30b,30,40a,45a 毛細管案内手
段 31a,31b,41a,41b 毛細管シール部

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固定部材に対して回転部材を回転可能に
    支承する少なくとも2つの動圧軸受部が設けられ、 上記動圧軸受部は、2体以上の軸受構成部品が接合され
    ることにより画成された一連の軸受空間内に配置されて
    いるとともに、 上記軸受空間から装置外部方向に延びる前記軸受構成部
    品どうしの接合面の途中位置に、当該接合面を密閉接合
    する接着剤が充填され、かつ、 上記各動圧軸受部を構成する固定部材及び回転部材の少
    なくとも一方側に、前記軸受空間内に充填された潤滑剤
    に動圧を発生させる動圧発生手段が設けられた動圧軸受
    装置において、 上記動圧軸受部を含む軸受空間の端部には、前記固定部
    材と回転部材との間の隙間を狭小とした毛細管シール部
    が設けられているとともに、 前記潤滑剤は、動圧軸受部を含む軸受空間内に毛細管シ
    ール部に至るまで連続して充填され、かつ、 前記軸受構成部材どうしの接合面には、当該接合面の全
    周に連続して前記接着剤を導く毛細管案内手段が設けら
    れていることを特徴とする動圧軸受装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の固定部材又は回転部材
    は、動圧発生手段が設けられた2つの軸受構成部品から
    構成されていることを特徴とする動圧軸受装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の毛細管シール部は、動圧
    軸受部を含む軸受空間の両端部分に、動圧軸受部を両側
    から挟むように2箇所設けられているとともに、 潤滑剤は、上記動圧軸受部を含む2箇所の毛細管シール
    部どうしの間の軸受空間内に連続して充填され、 動圧軸受部を構成する動圧発生手段は、軸受空間の一方
    側に向かう所定の差圧を潤滑剤に生じさせ、当該潤滑剤
    を軸受空間の一方側に移動させる非対称な形状に形成さ
    れ、かつ、 前記2箇所の毛細管シール部のうち、潤滑剤の移動方向
    下流側の毛細管シール部が、潤滑剤の移動による偏位分
    を許容する隙間内容量に設定されたものであって、 前記回転部材が回転したときに動圧軸受部により生じさ
    せられる差圧によって潤滑剤が軸方向に所定量移動さ
    れ、前記動圧軸受部のいずれかの動圧発生手段の一部か
    ら潤滑剤が消失することによって上記差圧が解消される
    とともに、潤滑剤の軸方向移動による偏位分が、潤滑剤
    の移動方向下流側の毛細管シール部によって受け入れら
    れる構成になされていることを特徴とする動圧軸受装
    置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の毛細管案内手段は、軸受
    構成部品どうしの接合面の一部を面取りすることによっ
    て環状に形成された狭小隙間からなることを特徴とする
    動圧軸受装置。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の毛細管案内手段を構成す
    る狭小隙間は、0.3mm以下の隙間寸法に形成されて
    いることを特徴とする動圧軸受装置。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の毛細管案内手段は、軸受
    構成部品どうしの接合面に対して凹設された横断面略V
    字状の環状溝からなることを特徴とする動圧軸受装置。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の環状溝が、複数体設けら
    れていることを特徴とする動圧軸受装置。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の毛細管案内手段は、軸受
    構成部品の組立時において装置外方に開口するように設
    けられていることを特徴とする動圧軸受装置。
  9. 【請求項9】 請求項1記載の軸受構成部品のどうしの
    接合面が、最小の一個所だけ設けられていることを特徴
    とする動圧軸受装置。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の軸受構成部品どうしの
    接合面は、潤滑剤の注入前に接着剤によって密閉接合さ
    れた完全密閉構造に構成されていることを特徴とする動
    圧軸受装置。
  11. 【請求項11】 請求項1記載の毛細管シール部を構成
    する固定部材と回転部材の隙間が、装置外方に向かって
    連続的に拡大されていることを特徴とする動圧軸受装
    置。
  12. 【請求項12】 請求項1記載の毛細管シール部は、固
    定部材と回転部材との隙間が20μmから300μmに
    形成されている部位であることを特徴とする動圧軸受装
    置。
  13. 【請求項13】 請求項1記載の毛細管シール部は、当
    該毛細管シール部の長手方向が軸方向又は半径方向に沿
    って設けられて、一端部が軸方向又は半径方向の外方に
    向かって開口していることを特徴とする動圧軸受装置。
  14. 【請求項14】 請求項1記載の毛細管シール部のうち
    の一体が、ラジアル動圧軸受部の軸方向外方端部分に設
    けられ、ラジアル動圧軸受部の軸受部を構成する隙間と
    毛細管シール部を構成する隙間とが、直接的に連通され
    ていることを特徴とする動圧軸受装置。
  15. 【請求項15】 請求項1記載の毛細管シール部のうち
    の一体が、スラスト動圧軸受部を構成する固定部材と回
    転部材との間の隙間により形成されていることを特徴と
    する動圧軸受装置。
  16. 【請求項16】 請求項1記載の2箇所の毛細管シール
    部のうち、潤滑剤の移動による当該潤滑剤の偏位分を許
    容する側の毛細管シール部の隙間内容量又は長さが、潤
    滑剤の移動により当該潤滑剤が減少する側の毛細管シー
    ル部の隙間内容量又は長さの略3倍以上に設定されてい
    ることを特徴とする動圧軸受装置。
  17. 【請求項17】 請求項1記載の2箇所の毛細管シール
    部のうち、潤滑剤の移動による当該潤滑剤の偏位分を許
    容する側の毛細管シール部の隙間寸法が、潤滑剤の移動
    により当該潤滑剤が減少する側の動圧軸受部における動
    圧発生手段を含めた実質的な軸受隙間寸法より大きく設
    定されていることを特徴とする動圧軸受装置。
  18. 【請求項18】 請求項1記載の2箇所の毛細管シール
    部のうち、潤滑剤の移動による当該潤滑剤の偏位分を許
    容する側の毛細管シール部の長さが、0.5mm以上に
    設定されていることを特徴とする動圧軸受装置。
  19. 【請求項19】 請求項1記載の毛細管シール部の外方
    側に、当該毛細管シール部に対して軸方向に連続するよ
    うに拡大隙間を画成する傾斜壁を有する潤滑剤注入部が
    設けられているとともに、 当該潤滑剤注入部の傾斜壁は、外方側に向かって70度
    以下の開角に形成されているとともに、当該潤滑剤注入
    部の最外端における隙間寸法が400μm以上に設定さ
    れていることを特徴とする動圧軸受装置。
  20. 【請求項20】 請求項19記載の潤滑剤注入部の隙間
    内容量が、2つの毛細管シール部どうしの間の軸受空間
    の内容量より大きく設定されていることを特徴とする動
    圧軸受装置。
  21. 【請求項21】 請求項1記載の動圧発生手段は、一対
    の傾斜溝が、当該動圧発生手段の軸方向両端側から中心
    側で合流するように略「く」の字状に延びるヘリングボ
    ーン構造に形成され、 上記一対の傾斜溝は、差圧を発生するように片側の溝の
    長さが長く設定されていることを特徴とする動圧軸受装
    置。
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