JP3495569B2 - 動圧軸受装置 - Google Patents
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Description
部材との間に2つの動圧軸受部を形成し、これらの2つ
の動圧軸受部の間に潤滑剤を連続充填して相対回転可能
とした動圧軸受装置に関する。
に高速回転に対応し得るようにオイル等の潤滑剤の動圧
を利用した動圧軸受装置が種々検討され提案されてい
る。この動圧軸受装置においては、固定部材側の動圧面
と回転部材側の動圧面とが対向配置されていると共に、
これら両対向動圧面のうちの少なくとも一方側に動圧発
生用溝が形成されており、上記回転部材と固定部材との
両対向面間に介在された所定のオイル等の潤滑剤が、回
転部材の回転時に動圧発生用溝のポンピング作用により
昇圧され、当該潤滑剤の動圧によって回転部材の回転支
持が行われるようになっている。
滑剤(以下、単に潤滑剤という)を軸受部内に有してお
り、その潤滑剤の保持構造によって次の3つの型式に一
般に大別することができる。 1)部分潤滑剤構造(例えば、特開平6−178492
号公報参照) これは、潤滑剤が軸受部分のみに充填されており、軸受
同士の間に空気層を設けた構造であって、最も単純な動
圧軸受構造である。 2)潤滑剤循環構造(例えば、米国特許4,795,2
75参照) これは、軸受同士の間も潤滑剤で満たしておき、軸受端
同士を循環孔で繋げた構造であって、回転時に発生する
内部の圧力差(差圧)を解消するように潤滑剤を循環移
動させる構造である。この構造によれば、潤滑剤の量を
十分に確保して長寿命化を図ることが可能となると共
に、潤滑剤の内部圧力差(差圧)を循環孔により常に解
消しているため、潤滑剤の外部漏れを防止する点におい
ても有利である。 3)片袋保持構造(例えば、米国特許5,427,45
6参照) 軸受部の軸方向一端側を壁で閉塞して袋状の軸受空間を
形成し、その軸受空間が外気と繋がる出口部を一個所と
した構造であって、潤滑剤の圧力差を片袋構造により支
えるように構成したものである。この構造によれば、潤
滑剤の移動が防止されるため、簡易で低コストな動圧軸
受構造を得ることができると共に、長寿命化と潤滑剤漏
れ防止との双方が可能となる。
た従来の各動圧軸受構造のうち、1)の「部分潤滑剤構
造」においては、潤滑剤の注入量管理が難しい上に、軸
受部内のスペースが小さいために潤滑剤の絶対量が少な
くなってしまい、以下の問題を生じる。すなわち、初期
馴染みにより軸受摩耗が発生するが、この摩耗粉の潤滑
剤への混入やスラッジの発生によって、潤滑剤の粘度が
増加し、軸受特性の低下を来す。また、回転中の潤滑剤
の循環量が少ないため、潤滑剤温度が上昇し、早期に熱
劣化を起こして軸受の長寿命化を図れない。そこで、こ
れらの問題点を解消するために潤滑剤の充填スペースを
拡大して潤滑剤の量を増やすと、今度は潤滑剤が漏れ易
くなってしまう。さらに、軸受同士の間にある空気層が
気圧及び温度の変化によって体積膨張及び縮小すること
から潤滑剤の移動・漏れが生じ易く、これを防止するた
めに外部に繋がる孔を設ける等の対策が必要となる。
においては、循環孔を設けるために構造が複雑化してし
まい、従って量産性に乏しく、製造コストも高くなると
いう問題がある。
では、片袋状の軸受部を作る結果として、所謂軸回転型
及び軸固定型の何れの軸受構造であっても、軸部材が片
持ち構造に限られてしまい、そのため用途が限定される
という問題がある。
で、潤滑剤漏れを良好に防止しつつ軸受特性の低下防止
及び軸受の長寿命化を図ることができ、しかも適用性の
広い動圧軸受装置を提供することを目的とする。
に、請求項1における動圧軸受装置は、軸側部材と、当
該軸側部材と嵌合する軸受側部材と、を有し、前記軸側
部材と前記軸受側部材との間に2つの動圧軸受部を形成
し、これらの2つの動圧軸受部の間に潤滑剤を連続充填
して相対回転可能とした動圧軸受装置において、前記2
つの動圧軸受部は、回転開始時に所定の方向に前記潤滑
剤が移動するようにアンバランスな加圧力を発生させる
非対称な形状の動圧発生用溝を有し、前記2つの動圧軸
受部の外側に、回転停止時の潤滑剤の液面が内部の所定
位置に位置し当該潤滑剤を保持する毛細管シール部をそ
れぞれ形成すると共に、これらの毛細管シール部のうち
前記潤滑剤の移動を受ける側の毛細管シール部の許容量
を前記潤滑剤の移動量を許容する大きさに設定し、前記
潤滑剤の充填量を、動圧軸受部を構成する軸受隙間の容
量の5倍以上としたことを特徴としている。
ける動圧軸受装置は、請求項1に加えて、2つの動圧軸
受部は、離間した2つのラジアル動圧軸受部、または離
間した2つのスラスト動圧軸受部、若しくはスラスト動
圧軸受部とラジアル動圧軸受部であることを特徴として
いる。
ける動圧軸受装置は、請求項1または2に加えて、アン
バランスな加圧力を発生させる非対称な形状の動圧発生
用溝は、2つの動圧軸受部にそれぞれ設けられると共
に、回転開始時に2つの動圧軸受部の間の軸受隙間に向
かう差圧を潤滑剤に生じさせる形状にそれぞれ形成され
る一方で、この両差圧の差を所定の差圧として、当該差
圧が解消されるように前記潤滑剤が移動して平衡した時
に、前記軸受隙間が前記潤滑剤により加圧される形状に
前記アンバランスな動圧発生用溝がそれぞれ形成されて
いることを特徴としている。
ける動圧軸受装置は、請求項1乃至3の何れか一つに加
えて、両毛細管シール部における潤滑剤の充填されてい
ない部分の容量の和が、潤滑剤の充填量の10%以上と
なるように、前記両毛細管シール部の大きさを設定した
ことを特徴としている。
ける動圧軸受装置は、請求項1乃至4の何れか一つに加
えて、潤滑剤の移動を受ける側の毛細管シール部は、回
転停止時の液面が位置する第1の表面張力シール部と、
回転時の液面が位置する第2の表面張力シール部と、を
備え、前記第1の表面張力シール部と前記第2の表面張
力シール部との間には、対向面に対する傾斜角度が前記
各シール部を形成する傾斜角度に比して大きい連結部を
備えていることを特徴としている。
ける動圧軸受装置は、請求項1乃至5の何れか一つに加
えて、潤滑剤が移動する側の毛細管シール部は、回転停
止時の液面が位置する第1の表面張力シール部と、この
第1の表面張力シール部より外側に位置する第2の表面
張力シール部と、を備え、前記第1の表面張力シール部
と前記第2の表面張力シール部との間には、対向面に対
する傾斜角度が前記各シール部を形成する傾斜角度に比
して大きい連結部を備えていることを特徴としている。
よれば、先ず潤滑剤の液面位置が、回転停止時におい
て、動圧軸受部の外側に形成された毛細管シール部内に
存在し、毛細管シール力が常時働く状態になっており、
この毛細管シール力に基づく引戻力が連続充填されてい
る潤滑剤に作用し、潤滑剤が毛細管シール部内の所定位
置に保持される。
る動圧力または遠心力若しくは動圧発生用溝の製造誤差
等によって潤滑剤内に圧力差が生じ、この圧力差は一般
にシール圧力よりもかなり大きいことから、例えば、2
つの出口部同士の間で潤滑剤に圧力差があると、その圧
力差が解消されるまで潤滑剤が何れか一方の出口部側に
移動して外部漏れの原因となることがあるが、請求項1
では、アンバランスな動圧発生用溝により動圧軸受部で
潤滑剤に対して意図的に差圧が生じさせられ、この潤滑
剤の差圧を解消するように潤滑剤の移動が行われて平衡
状態になされ、この時、毛細管シール部のうち潤滑剤の
移動を受ける側のシール部の許容量が潤滑剤の移動量を
許容する大きさに設定されているため、回転時における
潤滑剤の外部拡散が防止されるようになっている。
成する軸受隙間の容量の5倍以上にされているため、初
期馴染みにより発生した軸受摩耗が潤滑剤へ混入して
も、充分に充填された潤滑剤により毛細管シール部での
潤滑剤の表面張力が低下することはなく、潤滑剤の外部
拡散が防止されるようになっている。また摩耗粉が潤滑
剤へ混入しても、上記5倍以上の充分に充填された潤滑
剤により潤滑剤の粘度が増加することはなく、所望の軸
受特性が得られるようになっている。また、充分に充填
された潤滑剤により、潤滑剤温度が上昇することはな
く、早期に熱劣化を起こして軸受の長寿命化を図れない
ということが防止されるようになっている。
する毛細管シール部は、従来の例えばポールピース型等
の潤滑剤シール手段に比して簡易な構成なため、製作の
容易化が図られ生産性が向上されるようになっている。
型の何れの軸受構造に対しても適用され得るため、用途
が限定されないようになっている。
によれば、2つの動圧軸受部にそれぞれ設けられたアン
バランスな動圧発生用溝によって、潤滑剤の差圧を解消
するように潤滑剤の移動が行われて平衡状態になされた
時、上記アンバランスな動圧発生用溝によって、2つの
動圧軸受部の間の軸受空間(潤滑剤溜り部)が潤滑剤に
より加圧され正圧にされているため、この軸受空間にお
いて潤滑剤に溶け込んでいた空気が分離・気化すること
はなく体積膨張が行われずに、回転時における潤滑剤の
外部拡散がより防止されるようになっている。
気泡によって潤滑剤の体積膨張がある場合、この体積膨
張は潤滑剤の充填量の10%位であるが、特に請求項4
の動圧軸受装置によれば、両毛細管シール部における潤
滑剤の充填されていない部分の容量の和が、潤滑剤の充
填量の10%以上となるようにされているため、停止中
に潤滑剤の体積膨張があっても、その体積膨張分は、上
記両毛細管シール部にて許容され、停止時での潤滑剤の
外部拡散が防止されるようになっている。
あたっては、潤滑剤を一方の毛細管シール部側から注入
し、この潤滑剤を毛細管力によって内部側に案内させて
行き、他方の毛細管シール部側にて大気開放することに
よって軸受空間の全長に渡って潤滑剤を満たす方法が簡
易なため一般的に採用され得るが、この方法では、必然
的に潤滑剤が毛細管シール部の外方端部まで満たされて
しまうことになるため、その後毛細管シール部の潤滑剤
を所定量を吸い上げて、潤滑剤の液面を毛細管シール部
内の所定位置に位置させることになり、従って、この方
法では、潤滑剤の液面を毛細管シール部内の所定位置に
位置させる液位置管理が容易ではない。ここで、特に請
求項5または6の動圧軸受装置では、毛細管シール部が
第1、第2の表面張力シール部を有する2段シール構造
にされ、第1の表面張力シール部と第2の表面張力シー
ル部との間に、対向面に対する傾斜角度が上記各シール
部を形成する傾斜角度に比して大きい連結部が備えられ
ているため、上記連結部のエッジ部を目安として毛細管
シール部の潤滑剤を吸い取るようにすれば、液位置管理
が簡単になされると共に、当該エッジ部で液が切れ易く
される。また、上記2段シール構造では、定常位置(エ
ッジ部)近傍でテーパ角が非常に大きいため、圧力差を
生じやすく、例えば振動、衝撃等の外力負荷時の潤滑剤
の外部拡散が防止されるようになっている。また、上記
2段シール構造は1段の単純な毛細管シール部に比し
て、断面形状が長方形に近く容量が大きくなるため、特
に請求項5の動圧軸受装置のように、潤滑剤の移動を受
ける側の毛細管シール部が上記2段シール構造にされて
いれば、当該潤滑剤の移動を受ける側の毛細管シール部
の軸線方向長さを長くすることなく、シール容量が稼が
れる。
に基づいて説明する。図1に示されている本発明の実施
の形態は、所謂軸固定型のHDDスピンドルモータに本
発明を適用したものである。
は、固定部材としてのステータ組1と、このステータ組
1に対して図示上側から組み付けられた回転部材として
のロータ組2とから構成されている。このうちステータ
組1は、図示を省略した固定基台側にネジ止めされたフ
レーム11を有していると共に、このフレーム11の略
中央部分に立設された固定軸12が、図示上方に向かっ
て延在している。
支持ホルダー13を有しており、この支持ホルダー13
の外周にステータコア14が嵌着され、このステータコ
ア14の突極部に対して巻線15が巻回されている。
ている。このハブ21は、磁気ディスク等の磁気記録媒
体を外周部に装着する略円筒形状の胴部21aを有して
いると共に、この胴部21aの内周側に、バックヨーク
21bを介して駆動マグネット21cが環状に装着され
ている。この駆動マグネット21cは、前述したステー
タコア14の外周端面に対して環状に対向するように近
接配置されている。
軸受ホルダー部21dが形成され、この軸受ホルダー部
21dの内周には、円筒状のラジアル軸受22が装着さ
れており、このラジアル軸受22内に、上記固定軸12
が挿入配置されている。
向部位には、一対のラジアル動圧軸受部22a,22b
が軸方向に並設されており、これらの両ラジアル動圧軸
受部22a,22b同士の軸方向間部分には、ラジアル
軸受22の内周面を窪ませることによって固定軸12と
の隙間を拡大してなる潤滑剤溜り部33が設けられてい
る。
動圧軸受部22a,22bにより構成される数μmの軸
受隙間には、潤滑剤8が連続して充填されており、上記
潤滑剤溜り部33の潤滑剤8により、ラジアル動圧軸受
部22a,22bにおける潤滑剤の枯渇を防止し長寿命
化を図り得るようになされている。
22bにおける固定軸12の外周面及びこれに対向する
ラジアル軸受22の内周面は、対向動圧面として構成さ
れており、対向動圧面の少なくとも一方側に、図2及び
図3に示されているような、例えばへリングボーン形状
の多数のラジアル動圧発生用溝23a,23bを環状に
配置したものが軸線方向に並設するように凹設されてい
る。なお、図2においては、上記ラジアル動圧発生用溝
は、ラジアル軸受22側に形成されており、これらのラ
ジアル動圧発生用溝23a,23bの詳細については後
述する。
ル動圧発生用溝23a,23bのポンピング作用により
潤滑剤8が昇圧されて動圧が生じ、この潤滑剤8に生じ
させられた動圧によって、ハブ21がラジアル方向に回
転支持されるように構成されている。
しては、当該潤滑剤8の寿命と良好な軸受特性とを両立
し得るように、トリメチロールプロパン(TMP)また
はペンタエリスリトール(PE)と、炭素数5〜18の
直鎖または分岐脂肪酸とをエステル化した構造のオイル
が使用されており、その中でも、特に蒸発率が10-7g
/h ・cm2 (at40°C)以下で、粘度が30cP(at
40°C)以下のオイルが用いられている。
端側)の途中部分には、リング状のスラスト板16が固
着されている。このスラスト板16は、ラジアル軸受2
2の図示上側に隣接するように配置されている。すなわ
ち、上記スラスト板16の図示下端面は、ラジアル軸受
22の図示上端面に対面するように配置され、これらの
面対向部位により、スラスト動圧軸受部16bが構成さ
れていると共に、スラスト板16の図示上端面は、前記
ハブ21の中央部分に螺子止めされたスラスト押え板2
5の図示下端面に対面するように配置され、これらの面
対向部位により、スラスト動圧軸受部16aが構成され
ている。
ト板16の図示上下端面及び外周面と、スラスト板16
の図示下端面に対向するラジアル軸受22の図示上端面
と、スラスト板16の図示上端面に対向するスラスト押
え板25の図示下端面と、スラスト板16の外周面に対
向する軸受ホルダー部21dの内周面と、で画成される
隙間部分には、上記両スラスト動圧軸受部16a,16
b同士の間の隙間部分(断面形状コの字部分)に、スラ
スト板16における図示上下端面の外周部及び外周面を
窪ませることによって、各々に対向する部材との隙間を
拡大してなる潤滑剤溜り部34が設けられている。
側のスラスト動圧軸受部16bと上述した図示上側のラ
ジアル動圧軸受部22aとの間の隙間部分には、スラス
ト板16の図示下端面内周部及びラジアル軸受22の図
示内周面上端部を窪ませることによって、各々に対向す
る部材との隙間を拡大してなる潤滑剤溜り部35が設け
られている。
スト動圧軸受部16a,16bにより構成される軸受隙
間には、前述したラジアル動圧軸受部22a,22b側
の潤滑剤8が連続するようにして充填されており、上記
潤滑剤溜り部34の潤滑剤8により、スラスト動圧軸受
部16a,16bにおける潤滑剤の枯渇を防止し長寿命
化を図り得るようになされている。
びこれに対向するラジアル軸受22の図示上端面の少な
くとも一方、及びスラスト板16の図示上端面及びこれ
に対向するスラスト押え板25の図示下端面の少なくと
も一方には、例えばヘリングボーン形状のスラスト動圧
発生用溝が環状にそれぞれ凹設されている。
16bを構成するスラスト板16の軸方向下端面に、図
5に示されているようなヘリングボーン形状のスラスト
動圧発生用溝17bが環状に形成されている。すなわ
ち、下側のスラスト動圧軸受部16bでは、図7上半部
分に示されているように、一対の動圧発生用溝17b,
17bにおける各半径方向の長さLa,La同士が、実
質的に同一の軸方向長さにそれぞれ設定されている(実
質的にLa=La)。すなわち、周速と面積との関係か
ら内側の溝長の方がやや長く形成されていはるものの、
両者の中心側に向かう加圧力がバランスするように実質
的に同一の溝長さに形成されている。
成するスラスト板16の軸方向上端面には、図6に示さ
れているようなヘリングボーン形状のスラスト動圧発生
用溝17aが環状に形成されている。すなわち、上側の
スラスト動圧軸受部16aでは、図7下半部分に示され
ているように、一対の動圧発生用溝17a,17aのう
ち、半径方向内側の傾斜溝の半径方向長さLb1が、半
径方向外側の傾斜溝の半径方向長さLb2より実質的に
長く設定されており(実質的にLb1>Lb2)、この
ような半径方向に実質的に非対称な溝形状に形成されて
いることによって、半径方向内側の傾斜溝による加圧力
が、半径方向外側の傾斜溝による加圧力を上回り、従っ
て半径方向外方に向かう差圧P2(図8参照)を潤滑剤
8に生じさせるように構成されている。
ラスト動圧発生用溝17a,17bのポンピング作用に
より潤滑剤8が昇圧されて動圧が生じ、この潤滑剤8に
生じさせられた動圧によって、ハブ21がスラスト方向
に回転支持されるように構成されている。
各動圧軸受部の組付後にハブ21に対して接合される
が、前記潤滑剤8の充填部分に臨む接合部は、このスラ
スト押え板25による接合部のみであって、潤滑剤8の
充填部分に対するその他の部位は一体に成形されて密閉
性を確保している。
合部は、潤滑剤8の注入前に、接着剤によって完全密閉
構造となるように接合され、これによって潤滑剤8に対
する密閉性が良好に確保されている。この接合部に充填
される接着剤は、当該接合部に形成された環状案内溝
(図示省略)の毛細管力によって、接合部全周にわたっ
て切れ目なく連続的に充填されるようになっており、こ
れによって密閉構造が完全化される。
(図示上側)から吸収布を介して薄板状のストッパー板
3が設けられており、これら吸収布及びストッパー板3
によって、最悪の場合でも潤滑剤8の外部飛散が防止さ
れるようになっている。
部22a,22b、及び2つのスラスト動圧軸受部16
a,16bは、軸方向に延びる一連の軸受空間を画成す
るように併設されており、これら4つの動圧軸受部16
a,16b,22a,22bを含む軸受空間の軸方向両
端部分には、前記固定軸12と回転側の部材22,25
との隙間を狭めてなる2箇所の毛細管シール部(潤滑剤
シール手段)31a,31bが、上記4つの動圧軸受部
16a,16b,22a,22bを軸方向両側から挟む
ように設けられている。
に示されるように、ラジアル軸受22の軸方向外端部分
(図示下端部分)の内周壁と固定軸12のこれに対向す
る外周面との隙間を狭小にすることにより形成されてお
り、2段シール構造となっている。この2段シール構造
は、ラジアル軸受22の軸方向外端部分の内周壁を軸方
向外方(図示下側)に向かって隙間を拡大する方向にそ
れぞれ異なる角度で傾斜させることによって形成された
構造であって、上記下側のラジアル動圧軸受部22bに
連設する第1の表面張力シール部31baと、この第1
の表面張力シール部31baより外側に位置し当該第1
の表面張力シール部31baより固定軸12の軸線に対
しての傾斜角度が小さい第2の表面張力シール部31b
cと、これらの表面張力シール部31ba、31bcと
の間に位置すると共にこれらの表面張力シール部31b
a、31bcより固定軸12の軸線に対しての傾斜角度
が大きい連結部31bbと、から構成されている。
は、図8に示されるように、スラスト動圧軸受部16a
を構成するスラスト押え板25と固定軸12との間の隙
間により形成されており、前述したスラスト押え板25
の内周壁と固定軸12の外周面との間の隙間を狭小にす
ることによって形成されている。それ自体の構成は、上
記図示下側の毛細管シール部31bと同様であり、第1
の表面張力シール部31aaと、第2の表面張力シール
部31acと、連結部31abと、から構成されてい
る。
1a,31bは、当該毛細管シール部31a,31bを
構成する狭小隙間が図示上下の外方に開口するように軸
方向に沿って設けられている。そして、これらの各毛細
管シール部31a,31bの狭小隙間を構成するように
固定軸12側に各々対面しているスラスト押え板25の
内周壁、及び図示下側のラジアル軸受22の内周壁は、
軸方向外方に向かって上記隙間の寸法を連続的に拡大す
るように傾斜壁に形成されており、この連続的に拡大し
ている狭小隙間の寸法が、20μmから300μmとな
っている部位を毛細管シール部31a,31bとしてい
る。
a,16b,22a,22bを含む上記2箇所の毛細管
シール部31a,31b同士の間の軸受空間部分には、
潤滑剤8が連続して充填されており、その潤滑剤8の図
示上下端における各液面位置が、モータ停止時において
は、図2、図4及び図8中にそれぞれ符号A,Bで示さ
れているように、各毛細管シール部31a,31bの内
部所定位置となるように設定されている。この内部所定
位置とは、上記連結部31ab,31bbのエッジ部
(連結部31ab,31bbと第1の表面張力シール部
31aa,31baとの連結点)Ra,Rbの位置とな
っている。
の両液面のうち、図示上端側の液面の位置が、図8中の
破線A’で示されているように、図示上側の毛細管シー
ル部31aの第2の表面張力シール部31acの図示上
端位置に保持されていると共に、図示下端側の液面位置
は、図4中の破線B’で示されているように、図示下側
に配置されているラジアル動圧軸受部22b内に引き込
まれた位置に設定されている。このような潤滑剤8の移
動については後述する。
a,22bにおけるヘリングボーン形状の各動圧発生用
溝23a,23bは、図3に示されているように、当該
ラジアル動圧軸受部22a,22bの軸方向両端部から
中心側で合流するようにして「く」の字状に延びる一対
の傾斜溝を環状に並列することにより構成されている。
各動圧発生用溝23a,23bを構成する各傾斜溝は、
数μmの溝深さに形成されており、軸方向両端側から中
心側に向かって潤滑剤8を加圧するようなっている。
2aでは、図3に示されるように、一対の動圧発生用溝
23a,23a同士が、ほぼ同一の軸方向長さLaにそ
れぞれ設定されており、これによって図示上側の動圧発
生用溝23aによる図示下側方向への加圧力と、図示下
側の動圧発生用溝23aによる図示上側への加圧力とが
ほぼ等しくなって、軸方向両端側から中心側に向かう加
圧力がほぼバランスするように構成されている。
配置された図示下側のラジアル動圧軸受部22bでは、
図3に示されるように、一対の動圧発生用溝23b,2
3bのうち、軸方向外側(図示下側)の傾斜溝の軸方向
長さLb1が、軸方向内側(図示上側)の傾斜溝の軸方
向長さLb2より長く設定されている(Lb1>Lb
2)。すなわち、このような軸方向に非対称な溝形状に
形成されていることによって、図示下側の傾斜溝による
上方加圧力が、図示上側の傾斜溝による下方加圧力を上
回り、軸方向一方側(図示上側)に向かって所定の差圧
P1(図4参照)を潤滑剤8に生じさせる構造になされ
ている。
いる潤滑剤8には、ラジアル動圧軸受部22bにより生
じる差圧P1と、上述したスラスト動圧軸受部16aに
より生じる差圧P2とが作用することになるが、本実施
形態では、ラジアル動圧軸受部22bによる差圧P1と
スラスト動圧軸受部16aによる差圧P2との差圧差
(P1−P2)が、(P1−P2)>0となるように、
上記ラジアル動圧発生用溝23b及びスラスト動圧発生
用溝17aの形状が決定されている。
図示上側に向かって移動して偏位することとなるが、こ
の潤滑剤24の移動方向下流側(図示上側)の毛細管シ
ール部31aは、図8に示されているように、潤滑剤8
の移動による偏位分を許容する隙間内容量に設定されて
おり、上述したように、モータ回転時において、潤滑剤
8の液面位置が毛細管シール部31aの第2の表面張力
シール部31acの図示上端位置に保持されるようにな
っている( 図8中の実線A’参照)。
向上流側(図示下側)の毛細管シール部31bは、ラジ
アル動圧軸受部22bの軸方向外端部分(図示下端部
分)に設けられているため、潤滑剤8が上述した差圧に
より図示上側に向かって移動して偏位した際には、図4
中の実線B’で示されているように、当該図示下側の毛
細管シール部31b内の潤滑剤8の全部が消失し、且つ
ラジアル動圧軸受部22b内の潤滑剤8における図示下
側の一部が消失するように構成されている。
の上述した差圧による潤滑剤8の移動により、図示下側
の動圧発生用溝23bの軸方向長さLb1の約1/4の
長さにわたって潤滑剤8が枯渇し、図示下側の動圧発生
用溝23bに残された潤滑剤8の軸方向長さLb3が、
図示上側の動圧発生用溝23bの軸方向長さLb2とほ
ぼ等しくなる位置まで液面が上昇する。そして、潤滑剤
が枯渇した分、図示下側の動圧発生用溝23bで発生す
る動圧力が低下して差圧が解消するようになっている。
により発生した軸受摩耗粉が潤滑剤8に混入した場合に
おける当該潤滑剤8の表面張力の低下(シール力の低
下)及び上記摩耗粉混入による潤滑剤8の粘度増加並び
に潤滑剤8の温度上昇を防止するように、図示上下の毛
細管シール部31a,31b間に挟まれるようにして充
填されている上記潤滑剤8の充填量が、上記動圧軸受部
22a,22b,16a,16bを構成する軸受隙間X
1,X2,Y1,Y2(図2参照)の容量の5倍以上に
されている。
いては、潤滑剤8の液面位置が、連結部31ab,31
bbと第1の表面張力シール部31aa,31baとの
連結点の位置となっており、毛細管シール部31a,3
1bにおける当該位置より外方には潤滑剤8が存在して
いないが、本実施形態においては、停止中の環境変化等
により発生した気泡によって潤滑剤の体積膨張があった
場合における潤滑剤8の移動を許容するように、上記毛
細管シール部31a,31bにおいて潤滑剤8が存在し
ていない領域(図2においてはシール余力と称して示さ
れている)Z1,Z2の容量の和が、前述した潤滑剤8
の充填量の10%以上となるように、上記両毛細管シー
ル部31a,31bの大きさが設定されている。
滑剤8を充填する場合、潤滑剤8を一方の毛細管シール
部(例えば図示上側の毛細管シール部31a)側から注
入し、この潤滑剤8を毛細管力によって内部側に案内さ
せて行き、他方の毛細管シール部(例えば図示下側の毛
細管シール部31b)側にて大気開放することによっ
て、軸受空間の全長に渡って潤滑剤を満たすという方法
が簡易なため採用される。
て、当該潤滑剤8の液面位置が毛細管シール部内の所定
位置に止まるように注入するのは容易ではないため、先
ず潤滑剤8を両毛細管シール部31a,31bの外方端
部まで満たし、その後毛細管シール部の潤滑剤8を所定
量を吸い上げて、潤滑剤8の液面を毛細管シール部内の
上記所定位置に位置させることになる。このような方法
で潤滑剤8の液面管理を行う際、毛細管シール部を1段
シール構造とした場合には、潤滑剤8の液面を毛細管シ
ール部内の所定位置に位置させるのは、目印等がない
が、本実施形態においては、上述したように、毛細管シ
ール部が2段シール構造にされているため、上記エッジ
部Ra,Rbの位置を目安として上記潤滑剤8を吸い取
ることができ、液位置管理を簡単に行い得ると共に、当
該エッジ部Ra,Rbで液を切れ易くし得るようになっ
ている。
(エッジ部)Ra,Rbの近傍でテーパ角が非常に大き
いため、圧力差を生じやすく、例えば振動、衝撃等の外
力負荷時の潤滑剤8の外部拡散を防止し得るようになっ
ている。また、上記2段シール構造は1段の単純な毛細
管シール部に比して、断面形状が長方形に近く容量が大
きくなるため、上記回転時に潤滑剤8の移動を受ける側
の毛細管シール部31aの軸線方向長さを長くすること
なく、シール容量を稼ぎ得るようになっている。
ル部を2段シール構造とし、どちらの側にも、潤滑剤8
の吸い取り時の目安となり液位置管理を簡単に行い得る
と共に液を切れ易くし得る上記エッジ部Ra,Rbが存
在するようにしているため、どちらの側からも潤滑剤8
を注入できるようになっている。
た本実施形態の装置によれば、先ず潤滑剤8の液面位置
が、毛細管シール部31a,31b内に存在する(図2
参照)ため、回転時には勿論停止時においても毛細管シ
ール力が常時働く状態になっており、この毛細管シール
力に基づく引戻力によって、潤滑剤8が内部側の上記所
定位置に保持される。特に、毛細管シール部31a,3
1bは、固定軸12と回転側部材25,22との間の狭
隙間からなるため、その保持力は強くなっている。
は、潤滑剤8の流体粘性抵抗による動圧力が狭隙間から
なる毛細管シール部31a,31bに生じ、その潤滑剤
8の流体粘性抵抗による動圧力が保持力の主となって、
潤滑剤8の外部拡散が防止される。
持力を上回る例えば振動、衝撃等による外力Fが例えば
図示のように上方から下方に向かって負荷された場合に
は、潤滑剤8は図示下方に移動し、潤滑剤8の両液面の
うち、図示上端側の液面の位置が、図10中の符号Cで
示されるように、図示上側の毛細管シール部31a内の
上記エッジ部Raより下方位置に位置し、図示下端側の
液面位置が、符号Dで示されるように、図示下側の毛細
管シール部31bの第2の表面張力シール部31bc内
の位置に位置した状態で当該潤滑剤8が保持され、潤滑
剤8の外部拡散が防止される。また、上記とは逆方向の
外力Fが作用した場合には、潤滑剤8は図2に示した位
置から上方に移動し、図示上端側の液面の位置が、図示
上側の毛細管シール部31aの第2の表面張力シール部
31ac内の位置に位置し、図示下端側の液面位置が、
図示下側の毛細管シール部31b内の上記エッジ部Rb
より上方位置に位置した状態で当該潤滑剤8が保持され
る。
に発生する動圧力または遠心力若しくは動圧発生用溝の
製造誤差等によって潤滑剤8内に圧力差が生じ、この圧
力差は一般にシール圧力よりもかなり大きいことから、
例えば、2つの出口部同士の間で上記のような潤滑剤8
に圧力差があると、その圧力差が解消されるまで潤滑剤
8が何れか一方の出口部側に移動し、外部漏れの原因と
なることがあるが、本実施形態においては、ラジアル動
圧軸受部22bで潤滑剤8に対して差圧P1が意図的に
生じさせられると共に、スラスト動圧軸受部16aで潤
滑剤8に対して上記差圧P1に対向する差圧P2が意図
的に生じさせられ、この潤滑剤8の差圧差(P1−P
2)を解消するように潤滑剤8の移動が意図的に僅かに
行われて平衡状態になされる。すなわち、毛細管シール
部31aでは潤滑剤8の界面がA→A’に移動し(図8
参照)、毛細管シール部31bでは潤滑剤8の界面がB
→B’に移動し(図4参照)、この時、潤滑剤8の移動
方向下流側の毛細管シール部31aが、潤滑剤8の差圧
差による移動による偏位分を許容する隙間内容量に設定
されているため、回転時における潤滑剤8の外部拡散が
防止される。
方に位置するスラスト動圧軸受部16aのスラスト動圧
発生用溝17aによる潤滑剤8の軸受部側(潤滑剤溜り
部33側)に向かう加圧力と、最外端の他方に位置する
ラジアル動圧軸受部22bのラジアル動圧発生用溝23
bによる潤滑剤8の他の軸受部側(潤滑剤溜り部33
側)に向かう加圧力と、の互いに押し合う加圧力の均衡
によりとられるため、上記3つの潤滑剤溜り部33,3
4,35は、全て加圧されることになる。従って、これ
ら潤滑剤溜り部33,34,35においては、潤滑剤8
に溶け込んでいた空気が分離・気化することはなく体積
膨張が行われずに、回転時における潤滑剤8の外部拡散
が、より防止されることになる。
より軸受摩耗が発生し、その摩耗粉が潤滑剤8へ混入し
て潤滑剤8の表面張力が低下すると共に潤滑剤8の粘度
が増加する畏れがあるが、本実施形態においては、潤滑
剤8の充填量が、動圧軸受部22a,22b,16a,
16bを構成する軸受隙間X1,X2,Y1,Y2の容
量の5倍以上にされているため、摩耗粉が潤滑剤8へ混
入しても、上記のように充分に充填された潤滑剤8によ
り潤滑剤8の表面張力の低下が防止され、回転時におけ
る潤滑剤8の外部拡散がさらに防止されるようになって
いる。
の実験条件は以下の通りである。すなわち、動圧軸受構
造としては、上記説明したのと同様な動圧軸受構造を採
用し、スラスト動圧軸受部16a,16bの構成を、 外径;8mm 内径;3.5mm 軸受隙間(浮上量)Y1,Y2;15μm 隙間容量;0.61μlとし、 ラジアル動圧軸受部22a,22bの構成を、 軸径(内径);3.5mm 高さ;3mm 軸受隙間X1,X2;4μm 隙間容量;0.13μlとした。
X2は、動圧発生用溝を考慮した平均隙間であり、総軸
受隙間は0.61μl×2個+0.13μl×2個=
1.48μlである。また、潤滑剤としては一般的なオ
イル(油)を用いた。
るように、毛細管シール部31a,31bのシール油
量、潤滑剤溜り部33,35,34(表1での油溜り
1,2,3に対応)の容量を異ならせた水準1,2,3
という3通りのモデルを用意した。
比は、水準1では2.43、水準2では5.0、水準3
では9.7である。
のモデルを用いて馴染み試験として高温起動停止を50
0回行った。その結果を以下の表2に示す。
に近い状態であり、水準2では、摩耗粉の油に対する混
入は認められるがシール力に影響はなく、水準3では、
油の注入時と油の状態が殆ど変化なしという結果が得ら
れた。すなわち、油(潤滑剤)の充填量が、動圧軸受部
(22a,22b,16a,16b)を構成する軸受隙
間(X1,X2,Y1,Y2)の容量の5倍以上であれ
ば、摩耗粉が油に混入しても、油の表面張力の低下がな
いことが確認された。
うに、潤滑剤8の充填量が、動圧軸受部22a,22
b,16a,16bを構成する軸受隙間X1,X2,Y
1,Y2の容量の5倍以上にされているため、回転によ
り発生した摩耗粉が潤滑剤8へ混入しても、上記のよう
に充分に充填された潤滑剤8によって、潤滑剤8の粘度
増加が防止され、所望の軸受特性が得られるようになっ
ている。
22b,16a,16bを構成する軸受隙間X1,X
2,Y1,Y2の容量の5倍以上で充填された充分な潤
滑剤8により、潤滑剤温度の上昇が防止され、早期の熱
劣化の発生が防止されて、軸受の長寿命化が図られるよ
うになっている。
a,31bは、従来の例えばポールピース型等の潤滑剤
シール手段に比して傾斜面による簡易な構成を有してい
るため、製作の容易化が図られ生産性が向上される。
び軸固定型の何れの軸受構造に対しても適用され得るた
め、用途が限定されないようになっている。
用溝を、固定軸12と回転側部材22a,22bとの両
対向面のうち、少なくとも一方側に設けるようにしてい
るが、特に図示下側のラジアル動圧発生用溝23bに関
しては、固定軸12に設けるのがより好ましい。
転側部材22bに設けられていると、回転時において潤
滑剤8が上述のように図示上方に移動して該ラジアル動
圧発生用溝23bの図示下部が一部露出した時に、この
露出したラジアル動圧発生用溝23bが回転することに
よって該露出したラジアル動圧発生用溝23bを介して
エアーが送り出され、この送り出されたエアー及び凹凸
を有し露出して回転する動圧発生用溝23bにより潤滑
剤8の界面が乱れて気泡を抱き込みやすくなって該気泡
が潤滑剤溜り部33に溜り、その結果体積膨張が行われ
て、回転時における潤滑剤の外部拡散の畏れが大きくな
るが、該ラジアル動圧発生用溝23bが固定軸12に設
けられていれば、回転時において潤滑剤8が移動して該
ラジアル動圧発生用溝23bの一部が露出しても該ラジ
アル動圧発生用溝23bが上記回転側部材22bに設け
られている場合に比して、潤滑剤8の界面の乱れが抑え
られて気泡の抱き込みが抑止され、回転時における潤滑
剤8の外部拡散を防止できるからである。因に、回転時
において潤滑剤8が移動して露出するラジアル動圧発生
用溝23bを固定軸12側に設けるようにすれば、他の
動圧発生用溝、すなわち回転時において潤滑剤8より露
出しない動圧発生用溝23a,17a,17bは、固定
部材側、回転部材側の何れに設けるようにしても良い
(両方でも可)。
れば、潤滑剤8が図示下側に移動して平衡がとられるた
め、図示下側のラジアル動圧発生用溝23bが露出する
ことはなく、従ってこのような場合にあっては、ラジア
ル動圧発生用溝23bが回転側部材22a,22bに設
けられていても、気泡発生の畏れは低減されることにな
る。一方、この潤滑剤8の移動により潤滑剤8の界面位
置は下がって、図示上側のスラスト動圧軸受部16aに
位置することになり、当該位置での潤滑剤8の界面にス
ラスト動圧発生用溝17aによる気泡混入の畏れが生じ
るが、このような気泡が多少生じても強い求心力(遠心
力を受けた潤滑剤8が比重の軽い気泡を内側に押しやる
力)の作用によって該気泡が大気に開放されることにな
るため問題はない。
圧発生用溝17aを意図的に外周に向かって潤滑剤8を
加圧しない形状、すなわち図5に示したように中心側に
向かう加圧力がバランスするような形状とした場合に
は、溝加工の誤差等により一対の傾斜溝17a,17a
のうちの何れか一方側(内側若しくは外側)が長くなっ
て必ず何れか一方側(内周側若しくは外周側)に潤滑剤
8を加圧する形状となってしまう。ここで、この加工誤
差により、溝形状が、本実施形態と同様な外周側に加圧
する形状となった場合(一対の傾斜溝17a,17aの
うちの内側が長くなった場合)には問題はないが、内周
側に加圧する形状となった場合(一対の傾斜溝17a,
17aのうちの外側が長くなった場合)には、潤滑剤8
が上述したと同様に平衡した時に、潤滑剤溜り部33,
34,35が負圧となることがあるので問題となる。従
って、該潤滑剤溜り部33,34,35を正圧にするに
は、本実施形態のように、スラスト動圧軸受部16aの
動圧発生用溝17aを意図的に外周に向かって潤滑剤8
を加圧する形状とする必要がある。勿論、下側のラジア
ル動圧軸受部22bの動圧発生用溝23bも、意図的に
上側に向かって潤滑剤8を加圧する形状とする必要があ
る。なお、上記スラスト動圧軸受部16bの動圧発生用
溝17b、ラジアル動圧軸受部22aの動圧発生用溝2
3aも、加工誤差等により、何れか一方側に潤滑剤8を
加圧する形状となってしまうが、この加圧力は、上述し
た意図的に生ぜしめられた差圧P1,P2に比して小さ
いため無視できる。
は、一般に圧力に比例し、また温度の上昇と共に徐々に
減少する。ここで、上記動圧軸受部22a,22b,1
6a,16bでは、使用時(ハブ21の回転時)に非常
な高圧となる(例えば、場合によっては10気圧以上と
なる)ため、回転部材が連続回転すれば、いずれは飽和
に達し、その圧力での高い溶解度となって空気が溶解す
る。その後、回転が停止すれば、潤滑剤8は大気圧に戻
るため、溶解空気は過飽和状態となる。この過飽和は、
潤滑剤8の気液界面(潤滑剤8の大気開放面)で徐々に
解消されることになるが、上記動圧軸受部22a,22
b,16a,16b間に潤滑剤溜り部33,34,35
を有している動圧軸受装置では、該潤滑剤溜り部33,
34,35で、例えば塵芥、摩耗粉等の核となり得る異
物の存在等のトリガーがあれば、気泡の発生に繋がるこ
とになる。この間、大気圧や環境温度等の変化があれ
ば、より気泡が発生する畏れがある。
当該気泡によって潤滑剤8が体積膨張し、潤滑剤8を毛
細管シール部31a,31bより外方に押し出し、潤滑
剤漏れが発生する畏れがある。
温・常圧で10体積%程度とされており、これを0.6
気圧環境下に放置して気泡が発生すると、10%程度の
体積膨張が見込まれる。そこで、本実施形態において
は、前述したように、両毛細管シール部31a,31b
における潤滑剤の充填されていない部分Z1,Z2の容
量の和が、潤滑剤8の充填量の10%以上となるよう
に、上記両毛細管シール部31a,31bの大きさが設
定されている。従って、上記体積膨張があっても、潤滑
剤8の両液面のうち、図示上端側の液面の位置が、図9
中の符号Eで示されるように、図示上側の毛細管シール
部31a内の図示上端位置に位置し、図示下端側の液面
位置が、符号E’で示されるように、図示下側の毛細管
シール部31bの図示下端位置に位置した状態で当該潤
滑剤8が保持され、潤滑剤8の外部拡散が防止されるこ
とになる。
ール部31a,31bにおける潤滑剤の充填されていな
い部分Z1,Z2の容量の和が、潤滑剤8の充填量の1
0%となるように、上記両毛細管シール部31a,31
bの大きさが設定されているため、潤滑剤8は上記端部
位置で保持されることになるが、Z1,Z2の容量の和
を上記より大きくすれば、上記両毛細管シール部31
a,31bの内部位置(端部位置より内側位置)で保持
されることになる。
34,35に発生した気泡は、回転時には、前述したよ
うに、当該潤滑剤溜り部33,34,35が正圧にされ
るため、消失することになる。
軸方向に併設された2つのラジアル動圧軸受部42a,
42bを有する動圧軸受装置に対して本発明を適用した
ものであって、軸部材40と円筒状部材41側に固定さ
れたラジアル軸受42とが、2つのラジアル動圧軸受部
42a,42bを介して相対回転可能に支承されてい
る。
2bは、軸部材40とラジアル軸受42との周状対向部
位により構成されており、当該2つのラジアル動圧軸受
部42a,42bは、これらの両ラジアル動圧軸受部4
2a,42b同士の軸方向間においてラジアル軸受42
の内周面を窪ませることによって軸部材40との隙間を
拡大してなる潤滑剤溜り部46によって上記軸方向に離
間配置されている。
圧軸受部42a,42bを構成する内周面と軸部材40
の上記内周面に対向する外周面のうち、少なくとも一方
側(上述したように、より好ましくは固定部材側)に
は、例えば図示展開図のようなヘリングボーン形状のラ
ジアル動圧発生用溝43a,43bが環状に並列するよ
うに凹設されていると共に、上記両対向面間には、オイ
ルや磁性流体等からなる所定の潤滑剤44が介在されて
いる。
42a,42bは、軸方向に延びる一連の軸受空間を画
成するように併設されており、これら2つのラジアル動
圧軸受部42a,42bを含む軸受空間の軸方向両端部
分には、ラジアル軸受42と軸部材40との隙間を狭小
にしてなる2箇所の毛細管シール部45a,45bが、
前記2つのラジアル動圧軸受部42a,42bを軸方向
両側から挟むように設けられている。これらの各毛細管
シール部45a,45bを構成する狭小隙間は、各ラジ
アル動圧軸受部42a,42bの軸受部を構成する隙間
に対して直接的に連通されている。
5a,45bは、当該毛細管シール部45a,45bを
構成する狭小隙間が図示上下の外方に開口するように軸
方向に沿って設けられている。そして、これらの各毛細
管シール部45a,45bの狭小隙間を構成するように
軸部材40側に各々対面しているラジアル軸受42の内
周壁は、軸方向外方に向かって隙間寸法を連続的に拡大
する傾斜壁に形成されている。
部42a,42bを含む上記2箇所の毛細管シール部4
5a,45b同士の間の軸受空間部分には、潤滑剤44
が連続して充填されており、その潤滑剤44の図示上下
端における各液面位置が、停止時においては、図中にそ
れぞれ実線A,Bで示されているように、各毛細管シー
ル部45a,45bの内部所定位置となるように設定さ
れている。
では、一対の動圧発生用溝43a,43aのうち、軸方
向外側(図示上側)の傾斜溝の軸方向長さLa1が、軸
方向内側(図示下側)の傾斜溝の軸方向長さLa2より
長く設定されている(La1>La2)。すなわち、こ
のような軸方向に非対称な溝形状に形成されていること
によって、図示上側の傾斜溝による下方加圧力が、図示
下側の傾斜溝による上方加圧力を上回り、軸方向一方側
(図示下側)に向かって所定の差圧P3を潤滑剤44に
生じさせる構造になされている。
bでは、一対の動圧発生用溝43b,43bのうち、軸
方向外側(図示下側)の傾斜溝の軸方向長さLb1が、
軸方向内側(図示上側)の傾斜溝の軸方向長さLb2よ
り長く設定されている(Lb1>Lb2)。すなわち、
このような軸方向に非対称な溝形状に形成されているこ
とによって、図示下側の傾斜溝による上方加圧力が、図
示上側の傾斜溝による下方加圧力を上回り、軸方向一方
側(図示上側)に向かって所定の差圧P4を潤滑剤44
に生じさせる構造になされている。
いる潤滑剤44には、図示上側のラジアル動圧軸受部4
2aにより生じる差圧P3と、図示下側のラジアル動圧
軸受部42bにより生じる差圧P4とが作用することに
なるが、本実施形態では、ラジアル動圧軸受部42bに
よる差圧P4とラジアル動圧軸受部42aによる差圧P
3との差圧差(P4−P3)が、(P4−P3)>0と
なるように、上記ラジアル動圧発生用溝43b,43a
の形状が決定されている。
のうちの、上記差圧差(P4−P3)により潤滑剤44
の移動を受ける側の毛細管シール部45aが、潤滑剤8
の移動による偏位分を許容する隙間内容量に設定されて
いる。
毛細管シール部45a,45b間に挟まれるようにして
充填されている上記潤滑剤44の充填量が、上記ラジア
ル動圧軸受部42a,42bを構成する軸受隙間X3,
X4の容量の5倍以上にされている。
シール部45a,45bにおいて潤滑剤44が存在して
いない領域(図11においてはシール余力と称して示さ
れている)Z3,Z4の容量の和が、潤滑剤44の充填
量の10%以上となるように、上記両毛細管シール部4
5a,45bの大きさが設定されている。
ール部45a,45bを1段シール構造としているが、
先の実施形態で説明したと同様な2段シール構造の毛細
管シール部に代えることも勿論可能である。
おいて、上記差圧差(P4−P3)を解消するように潤
滑剤44が僅かに図示上方に移動して、潤滑剤44の両
液面のうち、図示上端側の液面の位置が、図中の破線
A’で示されているように、図示上側の毛細管シール部
45a内に保持されると共に、図示下端側の液面位置
は、図中の破線B’で示されているように、図示下側に
配置されているラジアル動圧軸受部42b内に引き込ま
れた位置に引き込まれてバランスがとられる。
ラジアル動圧軸受部44aのラジアル動圧発生用溝43
aによる潤滑剤44の他方のラジアル動圧軸受部44a
側(潤滑剤溜り部46側)に向かう加圧力と、最外端の
他方に位置するラジアル動圧軸受部42bのラジアル動
圧発生用溝43bによる潤滑剤44の他方のラジアル動
圧軸受部42a側(潤滑剤溜り部46側)に向かう加圧
力と、の互いに押し合う加圧力の均衡によりとられるた
め、該潤滑剤溜り部46は加圧されることになり、この
潤滑剤溜り部46においては、潤滑剤44に溶け込んで
いた空気が分離・気化することはなく体積膨張が行われ
ずに、回転時における潤滑剤44の外部拡散が防止され
るようになっている。
滑剤44は図示上側に向かって移動して偏位することと
なるが、この潤滑剤44の移動方向下流側(図示上側)
の毛細管シール部45aは、潤滑剤44の移動による偏
位分を許容する隙間内容量に設定されているため、回転
時においても、潤滑剤44の図示上端側の液面位置は毛
細管シール部45a内に保持される(図11中の破線
A’参照)。
方向上流側(図示下側)の毛細管シール部45bは、ラ
ジアル動圧軸受部42bの軸方向外端部分(図示下端部
分)に設けられているため、潤滑剤44が上述した差圧
差により図示上側に向かって移動して偏位した際には、
図8中の破線B’で示されているように、当該図示下側
の毛細管シール部45b内の潤滑剤44の全部が消失
し、且つラジアル動圧軸受部42b内の潤滑剤44にお
ける図示下側の一部が消失するように構成されている。
そして、潤滑剤44が枯渇した分、図示下側の動圧発生
用溝43bで発生する動圧力が低下して差圧が解消す
る。なお、先の実施形態で説明したように、回転時にお
いて潤滑剤44が移動して露出するラジアル動圧発生用
溝43bを固定部材側に設けるようにすれば、気泡の抱
き込みを抑止でき、回転時における潤滑剤44の外部拡
散をより防止できることになる。勿論、この実施形態に
あっても、他の動圧発生用溝すなわちラジアル動圧発生
用溝43aは、固定部材側、回転部材側の何れに設ける
ようにしても良い(両方でも可)。
圧軸受部42a,42bを構成する軸受隙間X3,X4
の容量の5倍以上にされているため、摩耗粉の混入によ
る潤滑剤44の表面張力の低下が防止され、回転時にお
ける潤滑剤44の外部拡散がさらに防止されるようにな
っている。
軸受部42a,42bを構成する軸受隙間X3,X4の
容量の5倍以上にされているため、摩耗粉の混入による
潤滑剤44の粘度増加が防止され、所望の軸受特性が得
られるようになっている。
る軸受隙間X3,X4の容量の5倍以上で充填された充
分な潤滑剤44により、潤滑剤温度の上昇が防止され、
軸受の長寿命化が図られるようになっている。
a,45bは、従来の例えばポールピース型等の潤滑剤
シール手段に比して傾斜面による簡易な構成を有してい
るため、製作の容易化が図られ生産性が向上される。
定型の何れの軸受構造に対しても適用され得るため、用
途が限定されないようになっている。
5bにおける潤滑剤44の充填されていない部分Z3,
Z4の容量の和が、潤滑剤44の充填量の10%以上と
なるように、上記両毛細管シール部45a,45bの大
きさが設定されているため、気泡発生による潤滑剤44
の体積膨張があっても、当該潤滑剤44の外部漏れが防
止されるようになっている。
軸方向に併設された2つのスラスト動圧軸受部52a,
52bを有する動圧軸受装置に対して本発明を適用した
ものであって、軸部材50側に固定されたスラスト板5
2と円筒状部材51とが、2つのスラスト動圧軸受部5
2a,52bを介して相対回転可能に支承されている。
2bは、スラスト板52の図示上下面と円筒状部材51
において上記スラスト板52を図示上下から挟むように
形成された凹部との面対向部位により構成されている。
軸受部52a,52bを構成する図示上下面と円筒状部
材51の上記上下面に対向する対向面のうち、少なくと
も一方側には、例えば図6に示したようなヘリングボー
ン形状のスラスト動圧発生用溝17aが環状に並列する
ように凹設されていると共に、上記両対向面間には、オ
イルや磁性流体等からなる所定の潤滑剤54が介在され
ている。
52bでは、図6及び図7下半分に示されるように、一
対の動圧発生用溝17a,17aのうち、半径方向内側
の傾斜溝の半径方向長さLb1が、半径方向外側の傾斜
溝の半径方向長さLb2より実質的に長く設定されてお
り(実質的にLb1>Lb2)、このような半径方向に
実質的に非対称な溝形状に形成されていることによっ
て、半径方向内側の傾斜溝による加圧力が、半径方向外
側の傾斜溝による加圧力を上回り、従って図示上側のス
ラスト動圧軸受部52aでは半径方向外方に向かう差圧
P5を潤滑剤54に生じさせ、図示下側のスラスト動圧
軸受部52bでは半径方向外方に向かう差圧P6を潤滑
剤54に生じさせるように構成されている。
いる潤滑剤54には、図示上側のスラスト動圧軸受部5
2aにより生じる差圧P5と、図示下側のスラスト動圧
軸受部52bにより生じる差圧P6とが作用することに
なるが、本実施形態では、差圧P6と差圧P5との差圧
差(P6−P5)が、(P6−P5)>0となるよう
に、上記各スラスト動圧発生用溝の形状が決定されてい
る。
a,52bは、軸方向に所定間隔離して設けられている
が、これら2つのスラスト動圧軸受部52a,52b同
士は、一連の軸受空間を断面コの字状に画成するように
併設されており、当該両スラスト動圧軸受部52a,5
2bを含む軸受空間の両端部分には、前記円筒状部材5
1とスラスト板52との隙間を狭小にしてなる2箇所の
毛細管シール部55a,55bが設けられている。これ
らの各毛細管シール部55a,55bを構成する狭小隙
間は、各スラスト動圧軸受部52a,52bの軸受部を
構成する隙間に対して直接的に連通されている。
シール部55a,55bは、当該毛細管シール部55
a,55bを構成する狭小隙間が内周側に開口するよう
に設けられている。そして、これらの各毛細管シール部
55a,55bの狭小隙間を構成するようにスラスト板
52に対面している円筒状部材51の内周側壁は、内周
側に向かって隙間寸法を連続的に拡大する傾斜壁に形成
されている。
部52a,52bを含む上記2箇所の毛細管シール部5
5a,55b同士の間の軸受空間部分には、潤滑剤54
が連続して充填されており、その潤滑剤54の両端にお
ける各液面位置が、停止時においては、図12中にそれ
ぞれ実線A,Bで示されているように、各毛細管シール
部55a,55bの内部所定位置となるように設定され
ている。
同士の間の部分、すなわちスラスト板52の外周面とこ
の外周面に対向する円筒状部材51との間には、先の実
施形態と同様な潤滑剤溜り部57が設けられている。
のうちの、上記差圧差(P6−P5)により潤滑剤54
の移動を受ける側の毛細管シール部55aが、潤滑剤5
4の移動による偏位分を許容する隙間内容量に設定され
ている。
55b間に挟まれるようにして充填されている上記潤滑
剤54の充填量が、上記スラスト動圧軸受部52a,5
2bを構成する軸受隙間Y3,Y4の容量の5倍以上に
されている。
において潤滑剤54が存在していない領域(図12にお
いてはシール余力と称して示されている)Z5,Z6の
容量の和が、潤滑剤54の充填量の10%以上となるよ
うに、上記両毛細管シール部55a,55bの大きさが
設定されている。
ール部55a,55bを先の実施形態で説明したと同様
な2段シール構造の毛細管シール部に代えることも勿論
可能である。
おいて、上記差圧差(P6−P5)を解消するように潤
滑剤54が僅かに移動して、潤滑剤54の両液面のう
ち、図示上端側の液面の位置が、図中の破線A’で示さ
れているように、図示上側の毛細管シール部55a内に
保持されると共に、図示下端側の液面位置は、図中の破
線B’で示されているように、図示下側に配置されてい
るスラスト動圧軸受部52b内に引き込まれた位置に引
き込まれてバランスがとられる。
スラスト動圧軸受部52aによる潤滑剤54の他方のス
ラスト動圧軸受部52b側(潤滑剤溜り部57側)に向
かう加圧力と、最外端の他方に位置するスラスト動圧軸
受部52bによる潤滑剤54の他方のスラスト動圧軸受
部52a側(潤滑剤溜り部57側)に向かう加圧力との
互いに押し合う加圧力の均衡によりとられるため、該潤
滑剤溜り部57は加圧されることになり、この潤滑剤溜
り部57においては、潤滑剤54に溶け込んでいた空気
が分離・気化することはなく体積膨張が行われずに、回
転時における潤滑剤54の外部拡散が防止されるように
なっている。
a,52bによって潤滑剤54に生じさせられる差圧差
(P6−P5)により、潤滑剤54は毛細管シール部5
2b側から52a側に向かって移動して偏位することと
なるが、この潤滑剤54の移動方向下流側(図12上
側)の毛細管シール部55aは、潤滑剤54の移動によ
る偏位分を許容する隙間内容量に設定されているため、
回転時においても、潤滑剤54の図12上側の液面位置
は毛細管シール部55a内に保持される(図12中の破
線A’参照)。
方向上流側(図12下側)の毛細管シール部55bは、
スラスト動圧軸受部52bの内周側部分に設けられてい
るため、潤滑剤54が上述した差圧差(P6−P5)に
より移動して偏位した際には、図12中の破線B’で示
されているように、当該図12下側の毛細管シール部5
5b内の潤滑剤54の全部が消失し、且つスラスト動圧
軸受部52b内の潤滑剤54における内周側の一部が消
失するように構成されている。そして、潤滑剤54が枯
渇した分、図12下側のスラスト動圧軸受部52bで発
生する動圧力が低下して差圧が解消するようになってい
る。
転時において潤滑剤54が移動して露出する図示下側の
スラスト動圧発生用溝(スラスト動圧軸受部52b側の
スラスト動圧発生用溝)を固定部材側に設けるようにす
れば、気泡の抱き込みを抑止でき、回転時における潤滑
剤54の外部拡散をより防止できることになる。勿論、
この実施形態にあっても、他の動圧発生用溝、すなわち
図示上側のスラスト動圧発生用溝(スラスト動圧軸受部
52a側のスラスト動圧発生用溝)は、固定部材側、回
転部材側の何れに設けるようにしても良い(両方でも
可)。
圧軸受部52a,52bを構成する軸受隙間Y3,Y4
の容量の5倍以上にされているため、摩耗粉の混入によ
る潤滑剤54の表面張力の低下が防止され、回転時にお
ける潤滑剤54の外部拡散がさらに防止されるようにな
っている。
軸受部52a,52bを構成する軸受隙間Y3,Y4の
容量の5倍以上にされているため、摩耗粉の混入による
潤滑剤54の粘度増加が防止され、所望の軸受特性が得
られるようになっている。
る軸受隙間Y3,Y4の容量の5倍以上で充填された充
分な潤滑剤54により、潤滑剤温度の上昇が防止され、
軸受の長寿命化が図られるようになっている。
a,55bは、従来の例えばポールピース型等の潤滑剤
シール手段に比して傾斜面による簡易な構成を有してい
るため、製作の容易化が図られ生産性が向上される。
定型の何れの軸受構造に対しても適用され得るため、用
途が限定されないようになっている。
5bにおける潤滑剤54の充填されていない部分Z5,
Z6の容量の和が、潤滑剤54の充填量の10%以上と
なるように、上記両毛細管シール部55a,55bの大
きさが設定されているため、気泡発生による潤滑剤54
の体積膨張があっても、当該潤滑剤54の外部漏れが防
止されるようになっている。
施形態を具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に
限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で
種々変形可能であるというのはいうまでもない。
は、上述した実施形態におけるようなヘリングボーン形
状のものに限定されることはなく、その他のあらゆる形
状の動圧発生用溝に対しても本発明は同様に適用するこ
とができる。
に用いられる動圧軸受装置に対しても同様に適用するこ
とができる。
面位置を、回転停止時において、動圧軸受部の外側に形
成した毛細管シール部内に存在させて、毛細管シール力
が常時働く状態にし、この毛細管シール力に基づく引戻
力を連続充填されている潤滑剤に作用させて、潤滑剤を
毛細管シール部内の所定位置に保持すると共に、回転時
においては、アンバランスな動圧発生用溝によって動圧
軸受部で潤滑剤に対して意図的に差圧を生じさせ、この
潤滑剤の差圧を解消するように潤滑剤の移動が行われて
平衡状態になされた時、毛細管シール部のうち潤滑剤の
移動を受ける側のシール部の許容量を潤滑剤の移動量を
許容する大きさに設定しておいて、回転時における潤滑
剤の外部拡散を防止し、さらに、潤滑剤の充填量を、動
圧軸受部を構成する軸受隙間の容量の5倍以上として、
初期馴染みにより軸受摩耗が発生し、その摩耗粉が潤滑
剤へ混入しても、上記充分に充填された潤滑剤によって
毛細管シール部での潤滑剤の表面張力を低下させずに潤
滑剤の外部拡散を防止すると共に、摩耗粉が潤滑剤へ混
入しても、上記充分に充填された潤滑剤によって潤滑剤
の粘度を増加させずに所望の軸受特性を得、且つ上記充
分に充填された潤滑剤によって、潤滑剤温度を上昇させ
ずに早期の熱劣化の発生を防止し、加えて、従来の例え
ばポールピース型等の潤滑剤シール手段に比して簡易な
構成の上記毛細管シール部を採用することによって、製
作の容易化を図り、さらに加えて、軸回転型及び軸固定
型の何れの軸受構造に対しても適用し得るように構成し
たものであるから、簡易で低コストな構造で、潤滑剤漏
れを良好に防止しつつ軸受特性の低下防止及び軸受の長
寿命化を図ることが可能となり、しかも動圧軸受装置の
適用性を拡大することが可能となる。
えたHDDスピンドルモータを表した半横断面図であ
る。
部並びに毛細管シール部を抽出したものであり、軸側部
材と軸受側部材との間の隙間を誇張して表した説明図で
ある。
る。
横断面図である。
ある。
ある。
寸法形状を上半分、下半分でそれぞれ分けて表した平面
説明図である。
横断面図である。
が保持されるのを表した説明図である。
ール部にて潤滑剤が保持されるのを表した説明図であ
る。
装置に本発明を適用した実施形態を表した半横断面図で
ある。
装置に本発明を適用した実施形態を表した半横断面図で
ある。
発生用溝 22a,22b,42a,42b ラジアル動圧軸受部 31a,45a,55a 潤滑剤の移動を受ける側の毛
細管シール部 31aa,31ba 第1の表面張力シール部 31ab,31bb 連結部 31ac,31bc 第2の表面張力シール部 31b,45b,55b 潤滑剤が移動する側の毛細管
シール部 X1,X2,X3,X4,Y1,Y2,Y3,Y4 軸
受隙間 Z1,Z2,Z3,Z4,Z5,Z6 シール余力
Claims (6)
- 【請求項1】 軸側部材と、当該軸側部材と嵌合する軸
受側部材と、を有し、前記軸側部材と前記軸受側部材と
の間に2つの動圧軸受部を形成し、これらの2つの動圧
軸受部の間に潤滑剤を連続充填して相対回転可能とした
動圧軸受装置において、 前記2つの動圧軸受部は、回転開始時に所定の方向に前
記潤滑剤が移動するようにアンバランスな加圧力を発生
させる非対称な形状の動圧発生用溝を有し、 前記2つの動圧軸受部の外側に、回転停止時の潤滑剤の
液面が内部の所定位置に位置して当該潤滑剤を保持する
毛細管シール部をそれぞれ形成すると共に、これらの毛
細管シール部のうち前記潤滑剤の移動を受ける側の毛細
管シール部の許容量を前記潤滑剤の移動量を許容する大
きさに設定し、 前記潤滑剤の充填量を、動圧軸受部を構成する軸受隙間
の容量の5倍以上としたことを特徴とする動圧軸受装
置。 - 【請求項2】 2つの動圧軸受部は、離間した2つのラ
ジアル動圧軸受部、または離間した2つのスラスト動圧
軸受部、若しくはスラスト動圧軸受部とラジアル動圧軸
受部であることを特徴とする請求項1記載の動圧軸受装
置。 - 【請求項3】 アンバランスな加圧力を発生させる非対
称な形状の動圧発生用溝は、2つの動圧軸受部にそれぞ
れ設けられると共に、回転開始時に2つの動圧軸受部の
間の軸受隙間に向かう差圧を潤滑剤に生じさせる形状に
それぞれ形成される一方で、この両差圧の差を所定の差
圧として、当該差圧が解消されるように前記潤滑剤が移
動して平衡した時に、前記軸受隙間が前記潤滑剤により
加圧される形状に前記アンバランスな動圧発生用溝がそ
れぞれ形成されていることを特徴とする請求項1または
2記載の動圧軸受装置。 - 【請求項4】 両毛細管シール部における潤滑剤の充填
されていない部分の容量の和が、潤滑剤の充填量の10
%以上となるように、前記両毛細管シール部の大きさを
設定したことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つ
に記載の動圧軸受装置。 - 【請求項5】 潤滑剤の移動を受ける側の毛細管シール
部は、回転停止時の液面が位置する第1の表面張力シー
ル部と、回転時の液面が位置する第2の表面張力シール
部と、を備え、 前記第1の表面張力シール部と前記第2の表面張力シー
ル部との間には、対向面に対する傾斜角度が前記各シー
ル部を形成する傾斜角度に比して大きい連結部を備えて
いることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一つに記
載の動圧軸受装置。 - 【請求項6】 潤滑剤が移動する側の毛細管シール部
は、回転停止時の液面が位置する第1の表面張力シール
部と、この第1の表面張力シール部より外側に位置する
第2の表面張力シール部と、を備え、 前記第1の表面張力シール部と前記第2の表面張力シー
ル部との間には、対向面に対する傾斜角度が前記各シー
ル部を形成する傾斜角度に比して大きい連結部を備えて
いることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一つに記
載の動圧軸受装置。
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JP4944931B2 (ja) * | 2009-07-30 | 2012-06-06 | アルファナテクノロジー株式会社 | 動圧軸受スピンドルモータ |
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1997
- 1997-07-14 JP JP20380697A patent/JP3495569B2/ja not_active Expired - Lifetime
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