JP3815929B2 - モータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば記録ディスクを回転駆動するモータ、とりわけ一対のスラストプレートを有する流体動圧軸受を備えたモータに関する。
【0002】
【従来の技術】
ロータを回転自在に軸支持するための軸受手段として、例えば固定シャフトの軸線方向上下部に一対のスラストプレートを配置し、これら一対のスラストプレート間に位置する固定シャフトの外周面とこれと半径方向に対向するロータの内周面との間に潤滑油(オイル)を保持し、ロータの回転によってこの潤滑油を所定の方向に移動させることでロータにかかるラジアル方向の負荷を支持するための支持圧を発生する動圧発生用溝を形成してラジアル軸受部を構成するとともに、相互に対向する各スラストプレートの軸線方向内側面とこれと軸線方向に対向するロータの軸線方向面との間に潤滑油を保持し、ロータの回転によってこの潤滑油を所定の方向に移動させることでロータにかかるスラスト方向の負荷を支持するための支持圧を発生する動圧発生用溝を形成して一対のスラスト軸受部を構成するものがある。
【0003】
このような構成においては、軸受部の構造が対称であって如何なる姿勢に対しても同一の特性を与えるためモータの安定した回転を得やすく、またスラストプレートの一面側にのみ動圧発生用溝を形成すればよいため、部材加工の歩留まりが向上するというメリットがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような構造の例として特開平8−105445号公報に開示される一対のスラストプレートを有する動圧流体軸受においては、スラストプレートの外周面とこれと半径方向に対向するロータとの間に軸線方向外側に向かって間隔が漸増する第1のテーパシール部とスラストプレートの軸線方向外側面とこれと軸線方向に対向するブッシングとの間に半径方向内方に向かって間隙が漸増する第2のテーパシール部とを備えている。
【0005】
上記動圧流体軸受においては、通常潤滑油はスラスト軸受部に連続する第1のテーパシール部中において、このシール部の間隙寸法がテーパ状に変化することで、潤滑油の表面張力、潤滑油の分子とシール部を構成する各部材の表面の分子とが分子間力によって引き合う力及び外気の空気圧とがバランスすることによって形成される潤滑油の境界面のメニスカス(湾曲面)が位置しており、モータに対する衝撃や振動の印加あるいは潤滑油がスラストプレート又はブッシングの表面に沿って潤滑油の境界面から潤滑油の無い(存在しない)部分に拡散しようとするいわゆるオイルマイグレーション現象により、スラスト軸受部から遠ざかる方向、即ち軸受外部方向へと移動した潤滑油を第2のテーパシール部で捕捉し、モータの回転時に遠心力の作用で潤滑油を第2のテーパシール部の半径方向外方に位置する第1のテーパシール部へと環流することでスラスト軸受部に保持された潤滑油のモータ外部への漏出が防止されることを目的として構成されているが、このような構成においては、スラストプレートの外周面でテーパシール部を構成することから、第1のテーパシール部において必要なシール力を得るためには、必然的にスラストプレートの肉厚を厚くせざるを得ず、これに起因してスラストプレートの周囲に保持される潤滑油の量がラジアル軸受部に保持される潤滑油の量に比べて多くなってしまう。
【0006】
その結果、モータの回転時には軸受部よりも低圧となり、潤滑油の移動を軸受部の動圧発生用溝で機械的に制御することが困難な部分であるスラストプレートの外周部分に潤滑油を多量に保持することとなるため、例えばモータの回転時に、第1のテーパシール部の潤滑油が遠心力によって半径方向外方に押圧され、スラストプレートの外周面が空気に露出し、モータの回転が不安定となる問題が生じる。
【0007】
更に、モータの回転軸心が重力の作用方向に直交する方向に、すなわちモータを横倒しにした状態で配置して使用する場合、上述のようにスラストプレート外周面部分での潤滑油の保持量が多いと、第1のテーパシール部のうち間隙寸法が拡大し、毛細管現象による潤滑油の保持力が小さな部分に保持されていた潤滑油が、重力の作用方向側(下側)へと移動することで、スラストプレート近傍の潤滑油の保持量が回転軸心周りでアンバランスとなり、潤滑油を多く保持する側では、テーパシールを二重に構成しているにも拘わらず、潤滑油は容易に軸受外部へと漏出してしまう。
【0008】
本発明は、軸受部に保持される潤滑油の軸受外部への漏出を効果的に防止し、安定した回転を長期間にわたって維持することができるモータを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するために、本発明は、固定のシャフトの軸線方向に離れた二箇所に固着された一対のスラストプレートと、前記シャフトの前記一対のスラストプレート間における外周面に潤滑油が保持されるラジアル微間隙を介して対向するラジアル内周面及び前記スラストプレートの互いに向かい合う対向面にそれぞれ潤滑油が保持されるスラスト微間隙を介して対向するスラスト内面を有するロータと、該ロータに装着されたロータマグネットと、該ロータマグネットに対向するように配設されたステータとを備えたモータにおいて、前記一対のスラストプレートが、前記シャフトに固着される円筒状部と該円筒状部の軸線方向内側端部から半径方向外方に延設される円盤状部とからなり、前記ロータには、前記円盤状部の軸線方向外側面と軸線方向に間隙を介して対向するとともに前記円筒状部の外周面と半径方向に間隙を介して対向する一対のカウンタプレートが前記一対のスラストプレートの軸線方向外側にそれぞれ配設され、前記円盤状部の軸線方向外側面と前記カウンタプレートとの間の間隙は半径方向内方に向かって間隙の軸線寸法が漸増し、前記スラスト微小間隙に保持される潤滑油と外気との境界面が少なくともロータの回転の停止時には前記円盤状部の軸線方向外側面と前記カウンタプレートとの間の間隙中に位置することを特徴とする。
【0010】
この構成において、スラストプレートの互いに向かい合う対向面とこれらと軸線方向に対向するロータのスラスト内面との間に規定されるスラスト微間隙中に保持される潤滑油が、少なくとも通常は、スラストプレートの円盤状部とこれと軸線方向に対向するカウンタプレートとの間に規定された間隙寸法が半径方向内方に向かって漸増する間隙において、潤滑油の表面張力、潤滑油の分子と間隙を規定する各部材の表面の分子とが分子間力によって引き合う力及び外気の空気圧とがバランスすることによって形成される潤滑油の境界面のメニスカスが位置するよう構成することで、スラストプレートの円盤状部の肉厚を部材強度が許す限り薄肉化することができ、潤滑油の移動を機械的に制御することが困難なスラストプレートの外周部部分での潤滑油保持量を抑制することができることから、モータの安定した回転を得ることができる。
【0011】
また、潤滑油と外気との境界面が、スラストプレートの円盤状部の軸線方向外側面、換言するとロータのスラスト内面と対向してスラスト微小間隙を規定する一対のスラストプレートの互いに向かい合う面とは反対側の面とこれと軸線方向に対向するカウンタプレートとの間に軸線方向寸法が半径方向内方に向かって漸増するよう規定された間隙中に位置するようにすることで、この潤滑油の境界面には、モータの回転時に、メニスカスを形成する種々の圧力、作用等に加えて遠心力が潤滑油を軸受外部から遠ざける方向に押圧するよう作用し、シール効果が向上するとともに、オイルマイグレーション現象によって軸受外部方向へと滲出した潤滑油も遠心力の作用で半径方向外方に位置する前述の境界面方向へと押圧され環流される。
【0012】
この場合、スラストプレートのシャフトへの固着部分を円筒状に構成することで、両部材の接触面積が大きくなり、シャフトとスラストプレートとの間の締結強度及びシャフトに対するスラストプレートの直角度等の組立精度を維持しながら、スラストプレートの円盤状部の肉厚を薄肉化し、スラストプレートの外周部分に保持される潤滑油量を抑制することができる。
【0013】
この構成において、スラスト軸受部には動圧発生用溝として、ヘリングボーン状溝に比べて潤滑油の粘性抵抗が小さく効率的なスパイラル状溝が形成さ
れることで、モータの消費電力を低減することができる。
【0014】
尚、スパイラル状溝は潤滑油を一方向に圧送する機能しか有さず、軸受部中に圧力ピークが現れないためそれのみでは必要な動圧を発生できないが、隣接するラジアル軸受部が軸線方向にアンバランス(非対称)なヘリングボーン状溝を有してスラスト軸受部方向に潤滑油を圧送するので、両軸受部の協働によりロータにかかる負荷を支持するに必要な動圧を発生することができる。
【0015】
更に、シャフト内にシャフト外周面とロータ内周面との間に形成されるラジアル微間隙に開口する連通孔を設け、この間隙を外気に連通した状態とすることで、開口部の周囲には外気の表面張力によって環状の気体介在部が形成される。この気体介在部によって、ラジアル微小間隙中に保持される潤滑油は軸線方向上下部に分断されることとなり、ラジアル微間隙を規定するシャフト外周面及びロータ内周面少なくともいずれか一方の各潤滑油が保持される部分に対応する位置に動圧発生用溝が形成されることで、気体介在部の軸線方向両側に軸線方向に隣接して一対のラジアル軸受部が形成されている。
【0016】
この場合、一対のラジアル軸受部に隣接する気体介在部が外気に連通していることから、ラジアル軸受部とこれに連続するスラスト軸受部とに保持される潤滑油の気体介在部に臨む境界面とスラストプレートの軸線方向外側面とカウンタプレートとの間の間隙に臨む境界面とが同じ圧力の外気に晒されることとなるため、各境界面においてメニスカスの曲率半径が相互に等しくなることで釣り合い、安定してシールされる。
【0017】
また、各ラジアル軸受部は隣接するスラスト軸受部とは潤滑油が連続して保持されており、片方の潤滑油の外気との境界面から他方の潤滑油の境界面に至るまで動圧が極大となるのは1点のみで極小となる点は存在せず、従って、潤滑油中に気泡が含まれていても自動的に圧力が最小となる外気中に排除する構成とすることが出来る。
【0018】
更に、スラストプレートの円筒状部の外周面ととこれと半径方向に対向するカウンタプレートとの間に形成される間隙の半径方向寸法を軸線方向外側に向かって拡大するよう構成することで、補助的なテーパシール部が形成される。
【0019】
この場合、ロータの回転時にラジアル軸受部の軸線方向にアンバランスなヘリングボーン状溝のポンピング作用によって、あるいはモータに対する外的な衝撃や振動の印加等によってラジアル軸受部及びラジアル軸受部とスラスト軸受部の境界部に保持されていた潤滑油がスラストプレート方向へと移動することによって、潤滑油と外気との境界面がスラストプレートの軸線方向外側面とこれと軸線方向に対向するカウンタプレートとの間の間隙から軸受外部方向へと移動した場合であっても、潤滑油の外気との境界面はこの補助的なシール部において形成されて保持されることとなり、潤滑油の漏出が確実に防止される。
【0020】
また、一対のカウンタプレートの軸線方向外側端部には、前記シャフトの両端部との間にそれぞれ微小間隙を介して対向する環状突部が形成されており、シャフトの外周面と環状突部の内周面との間の間隙の半径方向の寸法を、可能な限り小に設定することによって、潤滑油が気化することによって生じた蒸気の外部への流出抵抗を大にして潤滑油の境界面近傍に於ける蒸気圧を高く保てるので更なる潤滑油の蒸散を有効に阻止することができる。
【0021】
更に、モータの停止時に、オイルマイグレーション現象によって潤滑油が軸受外部に向かって拡散した場合でも、遠心力の影響でオイルマイグレーション現象が助長されやすいカウンタプレートの表面に沿って拡散した潤滑油は、この環状突部によって確実に捕捉され、軸受外部への滲出が防止される。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るモータの実施形態について、記録ディスク駆動用モータとして使用する場合を例にとり、図1乃至図3を参照して説明するが、本発明は以下に示す各実施例に限定されるものではない。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態のモータの概略構成を模式的に示す縦断面図であり、図2は、図1において示すモータの軸受部の概略構成を模式的に示す部分拡大断面図である。また、図3は、図1のモータの各軸受部及びテーパシール部での回転時の潤滑油の移動を模式的に示す部分拡大断面図である。
【0024】
図1において示す記録ディスク駆動用モータ1は、ブラケット2と、このブラケット2の中央開口2a内に一方の端部が外嵌固定されるシャフト4と、このシャフト4に対して相対的に回転自在なロータ6とを備える。ロータ6は、外周部に記録ディスク(図示せず)が載置されるロータハブ6aと、ロータハブ6aの内周側に位置し、潤滑油8が保持される微間隙を介してシャフト4に軸支持されるスリーブ部6bとを備えている。ロータハブ6aの内周部には接着等の手段によってロータマグネット10が固着されており、このロータマグネット10と半径方向に対向してブラケット2にステータ12が装着されている。
【0025】
図2において詳細に示すとおり、スリーブ部6bの略中央部には内周面がシャフト4の外周面との間に潤滑油8が保持される微間隙を形成するようスリーブ部6bを軸線方向に貫通する貫通孔6cが形成され、シャフト4の上部及び下部には、半径方向外方に突出する円盤状の上部スラストプレート14及び下部スラストプレート16がそれぞれ取付けられている。
【0026】
上部スラストプレート14は、内周面にシャフト4の外周面が嵌着される孔部を有する円筒状部14aとこの円筒状部14aの下端部(軸線方向内側端部)から半径方向外方に延設される円盤状部14bとからなり、同様に、下部スラストプレート16は、内周面がシャフト4の外周面に嵌着される孔部を有する円筒状部16aとこの円筒状部16aの上端部(軸線方向内側端部)から半径方向外方に延設される円盤状部16bとからなる。
【0027】
貫通孔6cの上部スラストプレート14及び下部スラストプレート16の各円盤状部14b、16bに対応する部位には、これら円盤状部14b、16bの外径よりも大径な上部開口6d及び下部開口6eが形成されている。この上部開口6d及び下部開口6eの開放側端部は、環状の上部カウンタプレート18及び下部カウンタプレート20によって閉塞されている。
【0028】
上部カウンタプレート18は、上部スラストプレート14の円筒状部14aの外周面14a1と半径方向に対向する内周面18a1と円盤状部14bと軸線方向に対向する下面(軸線方向内側面)18a2とを有する環状部18aと、この環状部18aの上端部(軸線方向外側端部)から半径方向内方に延設され、中央部にシャフト4が挿通される開口を規定する内周面18b1を有する環状突部18bとから構成される。また、下部カウンタプレート20は、下部スラストプレート16の円筒状部16aの外周面16a1と半径方向に対向する内周面20a1と円盤状部16bと軸線方向に対向する上面(軸線方向内側面)20a2とを有する環状部20aと、この環状部20aの下端部(軸線方向外側端部)から半径方向内方に延設され、中央部にシャフト4が挿通される開口を規定する内周面20b1を有する環状突部20bとから構成される。
【0029】
貫通孔6c内周部から上部開口6dの外周部に至る上部スラスト面6fと、上部スラストプレート14の円盤状部14bの下面(軸線方向内側面)との間には、潤滑油8が保持される微間隙が形成されており、上部スラスト面6fの上面には、ロータ6の回転にともない潤滑油8中に動圧を発生するためのスパイラル状溝22が形成され上部スラスト軸受部24が構成されている。また、貫通孔6c内周部から下部開口6eの外周部に至る下部スラスト面6gと、下部スラストプレート16の円盤状部16bの上面(軸線方向内側面)との間には、潤滑油8が保持される微間隙が形成されており、下部スラスト面6gの下面には、ロータ6の回転にともない潤滑油8中に動圧を発生するためのスパイラル状溝22が形成され下部スラスト軸受部26が構成される。これら上部及び下部スラスト軸受部24、26に形成されるスパイラル状溝22は、図3に上部スラスト軸受部24を例に上げて示すように、発生する動圧が、それぞれ潤滑油8を図3において矢印Aで示す方向、すなわちシャフト4に向かって圧送されるよう半径方向内方を向く形状を有している。尚、スパイラル状溝22は、上部及び下部スラストプレート14、16の円盤状部14b、16bの軸線方向内側面にあるいは上部及び下部スラスト面6f、6gとこれと円盤状部14b、16bの軸線方向内側面の両面ともに形成することも可能である。
【0030】
このように各スラスト軸受部24、26の動圧発生手段をスパイラル状溝22とすることで、互いに逆向きの一対スパイラル状溝を組み合わせて構成されるヘリングボーン状溝を用いる場合に比べて、スラストプレートの外径を小径化することができるため、下部スラスト軸受部26がロータマグネット10及びステータ12からなる磁気回路部に与える影響を少なくすることができ、十分な駆動トルクを得ることができる。また、スパイラル状溝22は、ヘリングボーン状溝に比べてモータ1の回転時に生じる潤滑油8の粘性抵抗が小さいため、スラスト軸受部24、26における軸受損を小さくし、モータ1の電気的効率を高め、消費電力を抑制することができる。
【0031】
上部スラストプレート14の円盤状部14bの上面と軸線方向に対向する上部カウンタプレート18の環状部18aの下面18a2は、半径方向内方に向かって円盤状部14bの上面との間の間隙の軸線方向寸法が拡大するようテーパ状に形成されており、上部スラスト軸受部24に保持される潤滑油8は、この上部スラストプレート14の円盤状部14bの上面と上部カウンタプレート18の環状部18aの下面18a2との間のテーパ状の間隙中において、潤滑油8の表面張力、潤滑油8の分子とテーパ状の間隙を構成する各部材の表面の分子とが分子間力によって引き合う力及び外気の空気圧とがバランスすることによって形成される潤滑油8の境界面のメニスカスが位置する上部第1テーパシール部28が構成される。同様に、下部スラストプレート16の円盤状部16bの下面と軸線方向に対向する下部カウンタプレート20の環状部18aの上面18a2は、半径方向内方に向かって円盤状部16bの下面との間の間隙の軸線方向寸法が拡大するようテーパ状に形成されており、下部スラスト軸受部26に保持される潤滑油8は、この下部スラストプレート16の円盤状部16bと下部カウンタプレート20の環状部20aの上面20a2との間のテーパ状の間隙中において、上部第1テーパシール部と同様に、潤滑油8の境界面のメニスカスが位置する下部第1テーパシール部30が構成される。
【0032】
上部スラスト軸受部24に保持される潤滑油8が、上部スラストプレート14の上面とこれと軸線方向に対向する上部カウンタプレート18の環状部18aの下面18a2との間に構成される上部第1テーパシール部28において潤滑油8の境界面が半径方向内方を向いた形で位置するとともに、下部スラスト軸受部26に保持される潤滑油8が、下部スラストプレート16の下面とこれと軸線方向に対向する下部カウンタプレート20の環状部20aの上面20a2との間に構成される下部第1テーパシール部30において潤滑油8の境界面が半径方向内方を向いた形で位置することで、モータ1の回転時に、上部及び下部第1テーパシール部28、30中に位置する潤滑油8境界面には、外気の空気圧等メニスカスを形成する種々の圧力、作用等に加えてモータ1の回転による遠心力が潤滑油8を半径方向外方、すなわち軸受外部から遠ざかる方向に押圧することとなるため、シール効果が高められる結果となる。
【0033】
また、オイルマイグレーション現象等によって上部及び下部スラストプレート14、16及び上部及び下部カウンタプレート18、20の表面に拡散した潤滑油8は、モータ1の回転時に遠心力の作用で半径方向外方に移動し、上部及び下部第1テーパシール部28、32内に位置する外気との境界面から潤滑油8に環流され、潤滑油8のモータ1外部への漏出が防止される。
【0034】
このように、上部及び下部スラストプレート14、16をシャフト4に固着される円筒状部14a、16aとこの円筒状部14a、16aから半径方向外方に延設される円盤状部14b、16bとから構成するとともに、潤滑油8と外気との境界面を、上部スラストプレート14の円盤状部14bの上面と上部カウンタプレート18の環状部18aの下面18a2との間に規定される上部第1テーパシール部28及び下部スラストプレート16の円盤状部16bの下面と下部カウンタプレート20の環状部20aの上面20a2との間に規定される下部第1テーパシール部30内に位置するよう構成することで、上部及び下部スラストプレート14、16の円盤状部14b、16bの軸線方向の肉厚を薄くすることができる。
【0035】
上部及び下部スラストプレート14、16の外周部分に保持される潤滑油8は、モータ1の回転時においては軸受部に比べて低圧となっており、また各スラスト軸受部24、26に形成される動圧発生用溝の形状によっては負圧が生じることとなるため、潤滑油8の移動は、モータ1の使用される環境や遠心力等の現象面による影響が大きく、機械的に制御することが困難であり、各スラストプレー14、16の外周部分に保持される潤滑油8の量が多くなる程、モータ1の回転が不安定となる危険性が大きくなる。
【0036】
例えば、図3に示すスラスト軸受部24のように、シャフト4方向へ潤滑油8を圧送する形状のスパイラル状溝22を動圧発生手段として使用する場合、モータ1の回転によって、スラストプレート14の下面とスリーブ部6bの上部スラスト面6fとの間に保持される潤滑油8はシャフト4方向に移動させられるため、スラストプレート14の外周部付近は潤滑油8の内部圧力が低下し低圧化した状態となる。この状態で、モータ1の回転速度が上昇し、遠心力が大きくなるとスラストプレート14の外周面から潤滑油8が分離されて、スラストプレート14の外周面と半径方向に対向するスリーブ部6bの内周面に張り付いた状態となり、スラストプレート14の外周面が空気に露出してしまう。このように、スラストプレート14の外周面が空気に露出することで、ロータ6とシャフト4との間に介在する潤滑油8の分布が不均一となることから、その回転を安定して支持することが困難となり、回転振れ等が生じる原因となる。
【0037】
しかしながら、スラストプレート14の肉厚が薄くなることで、スラストプレート14、16の周囲に保持される潤滑油8の量が少量となり、万一上述のような状況が生じても、モータ1の回転に与える影響を小とすることができ、安定した回転を維持することができる。また、スラストプレート14の肉厚を薄くすると、シャフト4との締結部の締結強度及び直角度等の組立精度を維持することが困難となる虞があるが、スラストプレート14のシャフト4への締結部を円筒状にすることで、シャフト4とスラストプレート14との接触面積が増大して、締結強度を維持することができるとともに、容易に精度良く組み立てることができる。
【0038】
上部カウンタプレート18の環状部18aの内周面18a1と半径方向に対向する上部スラストプレート14の円筒状部14aの外周面14a1は、環状部18aの内周面18a1との間の間隙が軸線方向外側に向かうにつれて半径方向寸法が拡大するようテーパ状に形成され、上部第2テーパ状シール部32が形成されており、また、下部カウンタプレート20の環状部20aの内周面20a1と半径方向に対向する下部スラストプレート16の円筒状部16aの外周面16a1は、環状部20aの内周面20a1との間の間隙が軸線方向外側に向かうにつれて半径方向寸法が拡大するようテーパ状に形成され、下部第2テーパ状シール部34が形成されている。
【0039】
上部及び下部スラスト軸受部24、26に保持される潤滑油8は、通常は上部及び下部第1テーパシール部28、30において外気との境界面が位置しているが、後に詳述するラジアル軸受部の動圧発生用溝のポンピング作用によって、あるいはモータ1に対する外的な衝撃や振動の印加等によって、図3において上部第1、第2テーパシール部28、32を例に上げて示すように、潤滑油8の外気との境界面が第1テーパシール部28、30を越えて図3において矢印Cで示す軸受外部方向へと移動した場合に、この上部及び下部第2テーパシール部32、34において、上部及び下部第1テーパシール部28、30と同様に、潤滑油8の境界面のメニスカスが形成されて位置するようになることから、潤滑油8の更なる移動が防止され、軸受外部への漏出が阻止される。
【0040】
また、モータ1の停止時に、オイルマイグレーション現象によって潤滑油8が上部及び下部第2テーパシール部32、34を越えて更に軸受外部に向かって拡散した場合でも、遠心力の影響でオイルマイグレーション現象が助長されやすい上部及び下部カウンタプレート18、20の環状部18a、20aの表面に沿って拡散した潤滑油8は、環状部18a、20aの軸線方向外側端部から半径方向内方に延設される環状突部18b、20bによって確実に捕捉され、軸受外部への滲出が防止される。
【0041】
上部及び下部スラスト軸受部24、26のスパイラル状溝22を、それぞれ発生する動圧が潤滑油8を半径方向内方に向かって圧送する形状とすることで、上部及び下部スラスト軸受部24、26で発生する動圧は、半径方向内方に向かうにつれて高くなる圧力勾配となるため、潤滑油8の充填時等に各スラスト軸受部24、26に保持される潤滑油8中に生じた気泡は、圧力の高い軸受部の半径方向内方から圧力の低い半径方向外方に位置する潤滑油8の境界面側へと移動し、外気に開放される。
【0042】
シャフト4の外周面の略中央部には、貫通孔6cの内周面との間の間隙が拡大するよう、軸線方向内側に向かって傾斜する一対の傾斜面4a1、4a2を備える環状の凹部4aが形成されており、この凹部4aにはシャフト4中に形成された外気と連通する連通孔36が開口している。
【0043】
この連通孔36はシャフト4中を軸線方向に貫通する縦孔36aと、この縦孔36aから半径方向に延設された凹部4aに開口する第1開口36aと下部第2テーパシール部34に連続し下部カウンタプレート20の環状突起20bの内周面20b1とシャフト4の外周面との間に規定される微小間隙を通じて外気に連通する空間に開口する第2開口36bとから構成される。尚、縦孔36aは、シャフト4の加工並びに洗浄完了後、シャフト4の両端に開口する開口部を例えばゴム等の弾性部材からなる封止部材38、40によって封止される。すなわち、連通孔36は、第2開口36b及び下部カウンタプレート20の環状突起20bの内周面20b1とシャフト4の外周面との間に規定される微小間隙を通じてのみ外気に連通している。
【0044】
この第2開口36bより連通孔36内に取り込まれた外気は、第1開口36aが開口する凹部4cと貫通孔6cの内周面との間に環状の気体介在部42を形成し、この気体介在部42によってシャフト4の外周面と貫通孔6cの内周面との間の微間隙中に保持された潤滑油8は、凹部4aの一対の傾斜面4a1、4a2と貫通孔6cの内周面との間に形成されるテーパ状間隙内において、潤滑油8の表面張力、潤滑油8の分子とテーパ状間隙を規定する一対の傾斜面4a1、4a2の表面及び貫通孔6cの内周面の分子とが分子間力によって引き合う力及び気体介在部42に保持される外気の空気圧とがバランスすることによって潤滑油8の境界面のメニスカスが形成されることで軸線方向上下に分割される。
【0045】
貫通孔6cの内周面のこれら上下に分割されて保持される潤滑油8に対応する部位には、ロータ6の回転にともない潤滑油8中に動圧を発生するためのヘリングボーン状溝44が形成され上部ラジアル軸受部46及び下部ラジアル軸受部48が構成されている。これら上部及び下部ラジアル軸受部46、48に形成されるヘリングボーン状溝44は、図3に上部ラジアル軸受部46を例に上げて示すように、互いに逆方向のスパイラル状溝44a、44bを曲折部44cで連結したものであり、それぞれ発生する動圧が、潤滑油8を図3において矢印Bで示す軸線方向外側に向かって、換言すると上部及び下部スラスト軸受部24、26に向かって圧送するよう、軸線方向外側に位置するスパイラル状溝44aが軸線方向内側に位置するスパイラル状溝44bに比べて短くなっている。
【0046】
上部及び下部ラジアル軸受部46、48のヘリングボーン状溝44を、発生する動圧がそれぞれ潤滑油8を軸線方向外方に向かって圧送する形状とすることで、潤滑油8の充填時等に各ラジアル軸受部46、48に保持される潤滑油8中に生じた気泡が圧力の高い軸受部から圧力の低い気体介在部42との境界面側へと移動し、気体介在部42から連通孔36を通じて外気に開放される。
【0047】
この構成において、スラスト軸受部24、26には形成される動圧発生手段はスパイラル状溝22であり、それのみでは必要な荷重支持圧を発生できないが、隣接するラジアル軸受部46、48には軸線方向にアンバランスなヘリングボーン状溝24が形成されているので、モータ1の回転時に、潤滑油8はスパイラル状溝22及びヘリングボーン状溝44によってそれぞれ図3において矢印A及びBで示す方向へと圧送されるので、両軸受部の協働によりロータ6にかかる負荷を支持するに必要な動圧を発生せしめて負荷を支持している。
【0048】
また、上部及び下部スラスト軸受部24、26とこれらに隣接する上部及び下部ラジアル軸受部46、48には連続して潤滑油8が保持されるとともに、上部及び下部ラジアル軸受部46、48を分離する気体介在部42が連通孔36を通じて外気に連通していることから、上部及び下部第1テーパシール部28、30内に位置する各スラスト軸受部24、26の潤滑油8と外気との境界面と凹部4aの一対の傾斜面4a1、4a2と貫通孔6cとの間に規定されるテーパ状間隙内に位置する各ラジアル軸受部46、48の潤滑油8の気体介在部42に保持される外気との境界面は同じ空気圧に晒されることとなる。
【0049】
このため、例えば遠心力やモータ1への外的な衝撃、振動の印加等に起因して、上部又は下部第1テーパシール部28、30内の潤滑油8の境界面あるいは凹部4aの一対の傾斜面4a1、4a2と貫通孔6cとの間に規定されるテーパ状間隙内の潤滑油8の境界面の一方が軸受部から離間する方向に移動した場合、他方の境界面も各境界面が位置する各テーパ状間隙内を、潤滑油8の境界面のメニスカスの曲率半径が等しくなる位置まで移動することで釣り合い、シール効果を損なうことなく安定して保持される。
【0050】
また、各ラジアル軸受部46、48は隣接するスラスト軸受部24、26とは潤滑油8が連続し、片方の潤滑油8の境界面から他方の潤滑油8の境界面に至るまで動圧が極大となるのは1点のみで極小となる点は存在せず、従って、潤滑油8中に気泡が含まれていても自動的に圧力が最小となる外気中に排除する構成とすることが出来る。
【0051】
このように、各軸受部に保持される潤滑油8中に生じた気泡は、順次低圧側へと移動し、各潤滑油8の境界面より外気中に開放されるため、気泡が潤滑油8中に滞留することがなく、モータ1の温度上昇時に気泡が熱膨張し体積が増加することによって、潤滑油8が軸受外部に漏出することが防止される。また、気泡排出のための特別な構成を要しないので、モータ1の構造を簡略化することができる。
【0052】
上部及び下部カウンタプレート18、20の環状突部18b、20bの内周面18b1、20b1とシャフト4の外周面との間に規定される間隙の半径方向寸法を可能な限り小さく設定することによって、モータ1の回転時に各スラストプレート14、16の円筒状部14a、16aの外周面14a1、16a1及び円盤状部14b、16bの軸線方向外側面とカウンタプレート18、20の環状部18a、20aの内周面18a1、20a1及び軸線方向内側面18a2、20a2との間に規定される間隙とシャフト4の外周面と各カウンタプレート18、20の環状突部18b、20bの内周面18b1、20b1との間に規定される間隙とで発生する空気流の流速に差異が生じることで、潤滑油8が気化することによって生じた蒸気(オイルミスト)のモータ1の外部への流出抵抗を大きくして潤滑油8の境界面近傍に於ける蒸気圧を高く保てるので更なる
潤滑油8の蒸散を防止することができる。
【0053】
尚、これら各面に例えばフッ素系材料からなる撥油剤を塗布しておくと、潤滑油8に遠心力の作用しないモータ1の停止時に、潤滑油8がオイルマイグレーション現象によって上部及び下部カウンタプレート18、20の環状突部18b、20bの内周面18b1、20b1とシャフト4の外周面との間の間隙を通じてモータ1の外部に漏出することをより効果的に防止できる。
【0054】
以上、本発明に従う記録ディスク駆動用モータの一実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【0055】
【発明の効果】
本発明の請求項1に記載のモータによれば、潤滑油の境界面には、メニスカスを形成する種々の圧力、作用等に加えてモータの回転時には遠心力が作用し、シール効果が向上するとともに、オイルマイグレーション現象によって軸受外部方向へと滲出した潤滑油も遠心力の作用で半径方向外方に位置する前述の境界面方向へと押圧され環流されることから、潤滑油の軸受外部への漏出を効果的に防止することができ、モータの安定した回転を長期間にわたって維持することができる。
【0056】
また、スラストプレートのシャフトへの固着部分を円筒状に構成することで、両部材の接触面積が大きくなり、シャフトとスラストプレートとの間の締結強度及びシャフトに対するスラストプレートの円盤状部の直角度等の組立精度を維持しながら、スラストプレートの円盤状部の肉厚を薄肉化し、スラストプレートの外周部分に保持される潤滑油量を抑制することができ、モータの回転が不安定となる危険性を小とすることができる。
さらに、ロータの回転時にラジアル軸受部及びラジアル軸受部とスラスト軸受部の境界部に保持されていた潤滑油がスラストプレート方向へと移動することによって、潤滑油と外気との境界面がスラストプレートの軸線方向外側面とこれと軸線方向に対向するカウンタプレートとの間の間隙から軸受外部方向へと更に移動した場合でも、潤滑油の外気との境界面がこのシール部(半径方向間隙部)において形成され、保持されることから、潤滑油の漏出が確実に防止される。
【0057】
本発明の請求項2のモータによれば、スラスト軸受部の動圧発生用溝をスパイラル状溝とすることで、スラスト軸受部での潤滑油の粘性抵抗による軸受損の発生を抑制することができ、モータの消費電力を低減することができる。
【0058】
本発明の請求項3のモータによれば、スラスト軸受部に隣接するラジアル軸受部の動圧発生用溝を軸線方向にアンバランス(非対称)なヘリングボーン状溝としスラスト軸受部方向に潤滑油を圧送するようにすることで、両軸受部の協働によりロータにかかる負荷を支持するに必要な動圧を発生することができる。
【0059】
また、各ラジアル軸受部は隣接するスラスト軸受部とは潤滑油が連続して保持されており、片方の潤滑油の外気との境界面から他方の潤滑油の境界面に至るまで動圧が極大となるのは1点のみで極小となる点は存在せず、従って、潤滑油中に気泡が含まれていても自動的に圧力が最小となる外気中に排除する構成とすることができる。
【0061】
本発明の請求項に記載のモータによれば、一対のカウンタプレートの軸線方向外側端部に形成される環状突部の内周面とシャフトの外周面との間に規定される微小間隙の半径方向の寸法を可能な限り小に設定することによって、潤滑油が気化することによって生じた蒸気の外部への流出抵抗を大にして潤滑油の境界面近傍に於ける蒸気圧を高く保てるので更なる潤滑油の蒸散を有効に阻止することができる。
【0062】
この場合、万一オイルマイグレーション現象によって潤滑油が軸受外部に向かって拡散した場合でも、遠心力の影響でオイルマイグレーション現象が助長されやすいカウンタプレートの表面に沿って拡散した潤滑油は、モータの停止時にこの環状突部によって確実に捕捉され、軸受外部への滲出が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のモータの概略構成を模式的に示す縦断面図である。
【図2】図1において示すモータの上部スラスト軸受部及び上部ラジアル軸受部の概略構成を模式的に示す部分断面図である。
【図3】図1のモータの各軸受部及びテーパシール部での回転時の潤滑油の移動を模式的に示す部分拡大断面図である。
【符号の説明】
2 ブラケット
4 シャフト
6 ロータ
8 潤滑油
10 ロータマグネット
12 ステータ
14、16 スラストプレート
22 スパイラル状溝
24、26 スラスト軸受部
44 ヘリングボーン状溝
46、48 ラジアル軸受部

Claims (4)

  1. 固定のシャフトの軸線方向に離れた二箇所に固着された一対のスラストプレートと、前記シャフトの前記一対のスラストプレート間における外周面に潤滑油が保持されるラジアル微小間隙を介して対向するラジアル内周面及び前記スラストプレートの互いに向かい合う対向面にそれぞれ潤滑油が保持されるスラスト微小間隙を介して対向するスラスト内面を有するロータと、該ロータに装着されたロータマグネットと、該ロータマグネットに対向するように配設されたステータとを備えたモータにおいて、
    前記一対のスラストプレートが、前記シャフトに固着される円筒状部と該円筒状部の軸線方向内側端部から半径方向外方に延設される円盤状部とからなり、前記ロータには、前記円盤状部の軸線方向外側面と軸線方向に間隙を介して対向するとともに前記円筒状部の外周面と半径方向に間隙を介して対向する一対のカウンタプレートが前記一対のスラストプレートの軸線方向外側にそれぞれ配設され、
    前記円盤状部の軸線方向外側面と前記カウンタプレートとの間の軸線方向間隙は半径方向内方に向かって間隙の軸線寸法が漸増し、前記円筒状部の外周面と前記カウンタプレートとの間の半径方向間隙は前記軸線方向間隙に連続しかつ軸線方向外側に向かって間隙の半径方向寸法が漸増し、前記スラスト微小間隙に保持される潤滑油と外気との境界面が少なくともロータの回転の停止時には前記円盤状部の軸線方向外側面と前記カウンタプレートとの間の軸線方向間隙中に位置することを特徴とするモータ。
  2. 前記一対のスラストプレートの対向面と前記ロータのスラスト内周面との少なくとも一方には前記潤滑油を半径方向内方に向かって圧送するスパイラル状溝を形成することにより一対のスラスト軸受部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
  3. 前記シャフトと前記ロータとの間の前記ラジアル微少間隙の中央部には前記ラジアル微小間隙に保持される潤滑油を軸線方向に分離する環状の気体介在部が設けられ、また、前記ラジアル微少間隙における前記気体介在部の軸線方向両端側には、前記シャフトの外周面と前記ロータの前記ラジアル内周面との少なくとも一方に前記潤滑油を前記気体介在部とは反対方向に圧送するよう軸線方向にアンバランスな形状とされたヘリングボーン状溝を形成することにより一対のラジアル軸受部が形成されていることを特徴とする請求項1及び2のいずれかに記載のモータ。
  4. 前記シャフトの両端部は、前記一対のスラストプレートの軸線方向外側に延設され、前記一対のカウンタプレートの軸線方向外側端部には、前記シャフトの両端部の外周面との間にそれぞれ微小間隙を介して対向するよう半径方向内方に突出する環状突部が形成され、前記一対のスラスト軸受部は該環状突部の内周面と前記シャフトの両端部の外周面との間に規定される微小間隙を通じて外気に開放されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のモータ。
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