JPH09217554A - 枠 材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】反りや狂い等が少なく強固で、仕口の仕立精度
が高く組立が容易であり、しかも表面が木質系の化粧板
であるので冷感触や結露等の問題がなく、また意匠性に
も優れ高級感のある枠材を提供する。 【解決手段】化粧板の裏面にＶ溝または櫛目状溝を形成
して折り曲げ、金属製芯材を嵌合貼着してなる枠材。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、建築物の壁面、床
面または天井等の開口部の縁部や、窓枠またはドア枠等
に用いる枠材に関するものである。さらに詳しくは、反
りや狂い等が少なく強固で、仕口の仕立精度が高く組立
が容易であり、しかも表面が木質系の化粧板であるので
冷感触や結露等の問題がなく、また意匠性にも優れ高級
感のある枠材に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より建築物の開口枠等に使用されて
いる枠材の材質は、木質系、金属系、合成樹脂系の３種
に大別することができる。このうち木質系とは、天然の
木材から所定寸法に切り出した無垢材を使用する場合も
あるが、木材資源の枯渇等の事情の為、より安価に入手
可能な集成材、ＬＶＬ、ＭＤＦ、パーティクルボード等
の表面に化粧を施したものが、現在では主流となってい
る。

【０００３】上記化粧とは具体的には、単なる塗装の
他、例えば紙や合成樹脂フィルム等に木目等の所望の絵
柄を施してなる化粧紙や化粧シートを貼着する方法、ま
たその上に更に透明樹脂の塗装を施したり、必要に応じ
て表面に導管等のエンボスやワイピング等を施す方法等
が用いられ、天然木材にほぼ匹敵する高度の意匠性を有
する枠材を安価且つ安定的に製造する方法として重用さ
れている。

【０００４】また上記化粧紙や化粧シート等の貼着、塗
装、エンボス、ワイピング等の工程は、立体形状を有す
る枠材基材に直接適用するのは不便であるので、これよ
り効率の良い方法として、まず肉薄の合板、ＭＤＦ、パ
ーティクルボード等の基材を用意し、これの表面に上記
各種工程を施して化粧板となし、しかる後に該化粧板の
裏面にＶ溝を施して折り曲げ、別途用意したパーティク
ルボード、集成材等の芯材を包み込む様に嵌合貼着する
ことにより、表面に化粧を施した枠材を得る方法が、広
く用いられている。

【０００５】ところで、上記した木質系の枠材は、視覚
的な意匠性に優れる他、人間の皮膚に触れても暖かく柔
らかい感触があり、また吸湿性を有し熱伝導度も小さい
ため結露しにくい等、数々の優れた長所を有するもので
あるが、反面欠点として、環境温湿度の変化により吸放
湿して、経時的に寸法変化や反り、狂い等が生じ、ド
ア、建具等が取付け不可能になったり、襖、障子等の建
て付けが悪くなる等の支障を発生する場合があり、問題
となっている。また枠材の取付けに際し、仕口のほぞ組
等の面倒な切削加工が必要な為手間が掛かり、しかも木
質系材料は一般に加工は容易であるが精度が出にくいの
で、枠材の取付け作業には熟練を要するという問題点も
あった。

【０００６】これらの問題点を解決する手段として、一
つには鉄、アルミ等の金属系の枠材があり、これらは湿
気による反り、狂い等もなく、硬質で高剛性の為加工精
度や組立精度が高く、取付け金具やボルト等の簡易な手
段により強固な構造を容易に組み立てることが可能であ
るが、反面欠点として、外観の意匠性が劣ることや、木
質材料と違って金属特有の硬く冷たい感触があり、結露
し易いこと等が挙げられ、これらは表面の塗装等によっ
ても簡単に解決できるものではなかった。

【０００７】また、もう一つの手段として、スチロール
樹脂やポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂
系の枠材があるが、これらは湿気による反り、狂い等も
少なく、剛性や組立精度もある程度高く、また感触や結
露等に関しても金属よりはかなり改善することができる
ものの、やはり意匠性や感触等の点では木質系枠材には
及ばず、温度差による収縮等の寸法変化、変形もし易
く、また合成樹脂材料の成形には高価な金型が必要であ
る為、個々の建築事例に合わせた細かな設計変更に応ず
ることが非常に困難であるといった問題点を有するもの
であった。

【０００８】この他、木質系材料からなる芯材に表面化
粧を施したものに鉄製の補強材を取付けたものもあった
が、これも木質系材料を主体に構成されているため、湿
気による反り、狂い等の問題や仕口の加工精度の問題等
を完全に解決するものは得られていなかった。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】本発明は従来技術の上
記した問題点に鑑みてなされたものであり、反りや狂い
等が少なく強固で、仕口の仕立精度が高く組立が容易で
あり、しかも表面が木質系の化粧板であるので冷感触や
結露等の問題がなく、また意匠性にも優れ高級感のある
枠材を提供しようとするものである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明の枠材は、化粧板
の裏面にＶ溝または櫛目状溝を形成して折り曲げ、金属
製芯材を嵌合貼着してなることを特徴とするものであ
る。

【００１１】また本発明の枠材は、前記金属製芯材が、
断面がＣ型または中空構造であることを特徴とするもの
である。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、本発明の枠材の実施の形態
を、図面を参照しつつ詳細に説明する。図１は本発明の
枠材の実施の形態を示す横断面図であり、図２は本発明
の枠材の製造工程の一例を示す工程図であり、図３は本
発明の枠材の他の実施の形態を示す横断面図である。

【００１３】本発明の枠材１は、例えば図１に示す様
に、木質系基材２の表面に化粧シート３を貼付した化粧
板４の裏面の木質基材２部にＶ溝５を形成して折り曲
げ、これに金属製芯材６を包み込む様に嵌合貼着してな
るものである。

【００１４】木質系基材２としては、例えば天然木材の
単板、合板、集成材、ＬＶＬ、パーティクルボード、ハ
ードボード、中密度繊維板（ＭＤＦ）等、各種の木質系
の板状材料を使用することができる。その厚さは特に限
定されないが、一般には２〜１２ｍｍ程度の範囲のもの
が好適に使用できる。

【００１５】上記木質系基材２の表面に貼着する化粧シ
ート３としては、例えば紙に印刷等の手段により木目等
の所望の絵柄を施してなる化粧紙や、塩化ビニル樹脂フ
ィルム、アクリル樹脂フィルム、ポリエステル樹脂フィ
ルム、フッ素系樹脂フィルム等各種の合成樹脂フィルム
に所望の絵柄を施してなる化粧シート等が一般的である
が、この他天然の木材を薄くスライスした突板や、樹脂
含浸紙、樹脂含浸布、またはそれらの複合体・積層体等
を用いることもできる。またこれらを塗装皮膜や転写層
等で代用することもできる。

【００１６】また、上記化粧シート３上にさらに透明又
は半透明の樹脂層を施して耐汚染性や耐擦傷性を向上し
たり、導管等のエンボスやワイピング等を施して意匠性
をさらに向上する等の措置を講じることも可能である。

【００１７】こうして木質系基材２の表面に化粧シート
３を貼着して得た化粧板４の裏面の所定位置に、ほぼ化
粧シート３部分のみを残してＶ溝５を形成し、このＶ溝
５部で化粧シート３の可撓性を利用して化粧板４を折り
曲げ、こうして内部に形成された空間に、金属製芯材６
を包み込む様に嵌合貼着して、本発明の枠材１を得るこ
とができる。

【００１８】なお、前記Ｖ溝を形成する際に、頂角９０
度のＶ溝５を形成すれば直角の外形が得られるが、この
他頂角４５度のＶ溝５を近接して形成して面取り状の外
形を得る方法や、狭幅の溝を多数近接して形成した櫛目
状溝により曲面状の外形を得る方法等を適用することも
可能である。

【００１９】金属製芯材６としては、例えば鉄、アルミ
ニウム、ステンレス等、建築材料として一般的な金属材
料から任意のものを選択して使用することができる。但
し、化粧板４には一般に多少とも透気性・透湿性があ
り、金属製芯材６を錆びや腐食等から保護する効果はあ
まり期待できないので、金属製芯材６として鉄等の錆び
易い材料を使用する場合には、例えば亜鉛、クロムまた
はニッケル等の鍍金や、防錆塗料による塗装等、表面に
防錆処理を施すことが好ましい。

【００２０】金属製芯材６としては任意の断面形状の棒
材・角材等が使用可能であるが、特に図１に例示した様
なＣ型、または図３に例示した様な中空構造のものを使
用すると、軽量で高強度の枠材１が得られるので特に好
適である。なお、かかる断面形状の金属製芯材６を使用
した枠材１にあっては、特に長尺で使用する場合には、
その長さ方向の要所々々に、金属製芯材６の内部空間を
充填する為の、金属製または木質系材料からなるリブ材
を挿入した構造とすると、さらに剛性、強度等を向上す
ることができるので、極めて好適である。

【００２１】この様にして構成した枠材１は、従来の金
属系枠材と同様の要領で切断、穴あけ等の加工を行って
仕口となし、Ｌ字型やコの字型等各種の取付け金具やボ
ルト、ナット等を使用して簡便に精度良く組立て固定す
ることができる。この加工組立作業は、金属製芯材６と
してＣ型または中空構造のものを使用すると、特に作業
性良く簡便に行うことができる。

【００２２】

【実施例】グラビア印刷法に依り木目模様の絵柄を施し
た厚さ０．１６ｍｍの透明ポリ塩化ビニル樹脂フィルム
を化粧シートと成し、この印刷面にエチレン−酢酸ビニ
ル共重合体樹脂系接着剤を介して厚さ３ｍｍのＭＤＦを
貼着して化粧板を得、該化粧板の裏面のＭＤＦに、化粧
シートを残して４本の平行なＶ溝を形成し、該Ｖ溝を介
して前記化粧板を化粧シート貼付面を外側にして折り曲
げ、この内側にＪＩＳ−Ｇ−３３５０（１９８７）記載
のＣ型鋼をエポキシ系接着剤を介して嵌合貼着して、目
的の枠材を得た。

【００２３】

【発明の効果】本発明の枠材は、化粧板の裏面にＶ溝ま
たは櫛目状溝を形成して折り曲げ、金属製芯材を嵌合貼
着した構成としたことにより、金属が主体であるので湿
気による反りや狂い等がなく強固で、仕口の仕立精度が
高く組立が容易であり、しかも表面が木質系の化粧板で
あるので冷感触や結露等の問題がなく、また印刷やエン
ボス、ワイピング等により意匠性にも優れ高級感のある
枠材を得ることができるという優れた効果を有するもの
である。

【００２４】さらにまた特に、断面がＣ型または中空構
造の金属製芯材を使用することにより、軽量且つ高強度
で、仕口の加工や組立も容易であり、しかも必要に応じ
てリブ材を挿入することによりさらに剛性や強度を向上
することもできるという優れた効果を有するものであ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の枠材の実施の形態を示す横断面図であ
る。

【図２】本発明の枠材の製造工程の一例を示す工程図で
ある。

【図３】本発明の枠材の実施の形態を示す横断面図であ
る。

【符号の説明】

１‥‥枠材 ２‥‥木質系基材 ３‥‥化粧シート ４‥‥化粧板 ５‥‥Ｖ溝 ６‥‥金属製芯材

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】化粧板の裏面にＶ溝または櫛目状溝を形成
   して折り曲げ、金属製芯材を嵌合貼着してなる枠材。
2. 【請求項２】前記金属製芯材が、断面がＣ型または中空
   構造であることを特徴とする請求項１に記載の枠材。