JPH09217014A - 生分解性樹脂組成物とこれを用いたシートの製造方法 - Google Patents

生分解性樹脂組成物とこれを用いたシートの製造方法

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JPH09217014A
JPH09217014A JP2256396A JP2256396A JPH09217014A JP H09217014 A JPH09217014 A JP H09217014A JP 2256396 A JP2256396 A JP 2256396A JP 2256396 A JP2256396 A JP 2256396A JP H09217014 A JPH09217014 A JP H09217014A
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JP
Japan
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biodegradable resin
temperature
melting point
resin composition
biodegradable
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JP2256396A
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English (en)
Inventor
Sachiko Furusawa
祥子 古澤
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Tsutsunaka Plastic Industry Co Ltd
Original Assignee
Tsutsunaka Plastic Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 自然環境中で分解する生分解性を備えた樹脂
組成物として、カレンダー成形を適用できるものを提供
する。 【解決手段】 第一の生分解性樹脂(A)100重量部
に対して、この樹脂(A)よりも融点が30℃以上高い
第二の生分解性樹脂(B)5〜500重量部と、滑剤
0.2〜12重量部とを含有してなる生分解性樹脂組成
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、土壌中や海中等
の自然環境中で分解する生分解性樹脂組成物、特に脂肪
族ポリエステル系生分解性樹脂を含むカレンダー成形可
能な前記樹脂組成物と、これを用いた生分解性樹脂シー
トの製造方法に関する。
【0002】
【従来技術とその課題】一般的な合成樹脂を用いた各種
プラスチック製品の廃物は、投棄された場合に長期間に
わたって分解しないため、この廃物によって自然環境が
害されるという問題が年を追って深刻化しつつある。そ
こで、近年においては、土壌中や海中に普通に存在する
微生物の作用等によって短期間で容易に分解される種々
の生分解性樹脂が提案され、それらの実用化研究が盛ん
に行われている。その代表的な生分解性樹脂としては、
例えば、ポリカプロラクトン,ポリエチレンサクシネー
ト,ポリヒドロキシバリレートの如き脂肪族ポリエステ
ル及びその誘導体、脂肪酸エステル共重合体、ポリシク
ロヘキシレンジメチルアジペートの如き脂環族ポリエス
テル及びその誘導体、ポリ乳酸、等が挙げられる。
【0003】しかしながら、従来においては、これら生
分解性樹脂を用いてシート、フィルム、ボトル等の各種
成形物を得る手段は、押出成形、射出成形、インフレー
ション成形、ブロー成形等、いずれも樹脂の投入から成
形品が得られるまでの間の樹脂の溶融がクローズ系でな
される成形法に限られ、溶融がオープン系でなされるカ
レンダー成形を採用できなかった。このため、クレジッ
トカードに代表されるような高度な厚み精度と表面性が
必要な用途に供するシート(フィルムを含む)として、
生分解性樹脂を使用できないという難点があった。
【0004】このように生分解性樹脂をカレンダー成形
に適用できない要因として、当該樹脂が脂肪族ポリエス
テル系樹脂に代表されるように概して低融点であって、
且つ溶融時の粘度が低いため、カレンダー成形において
必要な加熱状態での抗張力が不足し、ドローダウン(樹
脂の垂れ下がり)やネックイン(シート幅方向が縮小す
る)を生じること、また金属に対する密着性が大きいた
め、溶融状態でカレンダーのロール表面に貼り付いてし
まうこと、が挙げられる。
【0005】なお、上記の金属に対する密着性に関して
は、樹脂中への滑剤の配合によってある程度は低下させ
ることが可能である。一方、ドローダウンやネックイン
の問題は、一般的な樹脂の場合、分子の側鎖を多くして
抗張力を増大させたり、抗張力の大きい樹脂をブレンド
する等の解決手段がある。しかるに、生分解性は直鎖の
分子である方が高く、側鎖が増えるにしたがって低下す
る傾向があるため、カレンダー加工が可能になるほど側
鎖を多くして抗張力を増大させると、生分解速度が著し
く遅くなり、また抗張力の大きい他の樹脂をブレンドし
ても生分解性が損なわれることになるから、生分解性樹
脂には前記の一般的な樹脂における抗張力増大手段は採
用できなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この発明者らは、上述
の事情に鑑みて、カレンダー成形を可能とする生分解性
樹脂組成物を提供するべく鋭意検討を重ねた結果、融点
に差のある異種の生分解性樹脂を特定比率で併用すると
共に所定量の滑剤を配合した樹脂組成物によれば、低融
点樹脂が溶融して且つ高融点樹脂が溶融せずに軟化状態
となる温度条件でカレンダー成形を行うことにより、ド
ローダウンやネックインを防止できる抗張力を確保で
き、また滑剤の作用でロール表面に対する張り付きを防
止でき、もって厚み精度が高く表面性のよい生分解性樹
脂シートを製造できることを見出し、この発明をなすに
至った。
【0007】すなわち、請求項1の発明に係る生分解性
樹脂組成物は、第一の生分解性樹脂(A)100重量部
に対して、この樹脂(A)よりも融点が30℃以上高い
第二の生分解性樹脂(B)5〜500重量部と、滑剤
0.2〜12重量部とを含有してなるものである。
【0008】請求項2の発明は、上記請求項1の生分解
性樹脂組成物において、第一の生分解性樹脂(A)が融
点160℃以下の脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂で
あり、第二の生分解性樹脂(B)の熱変形温度が90℃
以下である構成を採用したものである。
【0009】請求項3の発明は、上記請求項1又は2の
生分解性樹脂組成物において、第一の生分解性樹脂
(A)100重量部に対して、第二の生分解性樹脂
(B)80〜400重量部と、滑剤1〜8重量部とを含
有してなる構成を採用したものである。
【0010】請求項4の発明は、上記請求項1〜3のい
ずれかの生分解性樹脂組成物において、高架式メルトフ
ローテスターによる下記条件〔イ〕で定義される流動化
開始温度よりも10℃高い測定温度において、キャピラ
リーレオメーターにより下記条件〔ロ〕で測定される抗
張力が10g以上である構成を採用したものである。
【0011】条件〔イ〕…測定温度範囲;50〜250
℃、温度上昇速度;4℃/分、測定荷重;290kg、
オリフィス長;10mm、オリフィス径;1.0mm。
【0012】条件〔ロ〕…測定温度;条件〔イ〕での流
動化開始温度+10℃、使用剪断速度;60.8/秒、
キャピラリー長;10mm、キャピラリー径;1.0m
m。
【0013】一方、請求項5の発明に係る生分解性樹脂
シートの製造方法は、上記請求項1〜4のいずれかに記
載の生分解性樹脂組成物を第二の生分解性樹脂(B)の
融点以上の温度で混練してゲル化させたのち、この混練
物を原料として第一の生分解性樹脂(A)の融点より1
0℃高い温度から第二の生分解性樹脂(B)の融点まで
の成形温度範囲でカレンダー成形することを特徴とする
ものである。
【0014】請求項6の発明は、上記請求項5の生分解
性樹脂シートの製造方法において、カレンダー成形の温
度が90℃以上である構成を採用したものである。
【0015】請求項7の発明は、上記請求項5又は6の
生分解性樹脂シートの製造方法において、ゲル化させた
混練物を金属製2本ロールにて構成されるミキシングロ
ールにより第二の生分解性樹脂(A)の融点より10℃
高い温度から第二の生分解性樹脂(B)の融点までの温
度範囲で混練し、次いでカレンダー成形を行う構成を採
用したものである。
【0016】
【発明の実施の形態】この発明の生分解性樹脂組成物
は、低融点である第一の生分解性樹脂(A)と高融点で
ある第二の生分解性樹脂(B)とが併用されると共に、
滑剤が配合されていることから、押出成形、射出成形、
インフレーション成形、ブロー成形等のクローズ系の成
形法は無論のこと、従来では行えなかったカレンダー成
形による生分解性樹脂シート(フィルムを含む)の製造
が可能である。すなわち、カレンダー成形において、第
一の生分解性樹脂(A)が溶融して且つ第二の生分解性
樹脂(B)が溶融せずに軟化状態となる加工温度を選択
すれば、樹脂組成物全体としてカレンダー成形に耐え得
る抗張力が得られ、単独の生分解性樹脂では避けられな
かったドローダウンやネックインを防止でき、また滑剤
の滑性作用によって金属表面に対する密着性が低下する
ため、ロール表面への樹脂組成物の貼り付きを防ぐこと
ができる。
【0017】ここで、上記の第一の生分解性樹脂(A)
と第二の生分解性樹脂(B)とは、融点の差が30℃以
上であることを必要とする。この融点の差が30℃未満
では、カレンダー成形において、第一の生分解性樹脂
(A)が充分に溶融する温度条件では、第二の生分解性
樹脂(B)は未溶融であっても軟化度合が大きくなるた
め、樹脂組成物全体としてる充分な抗張力を確保でき
ず、ドローダウンやネックインを確実に防止することが
困難になる。
【0018】また、上記の第一及び第二の生分解性樹脂
(A),(B)の使用比率は、第一の生分解性樹脂
(A)の100重量部に対して第二の生分解性樹脂
(B)が5〜500重量部となる範囲とすべきである。
この第二の生分解性樹脂(B)の配合量が5重量部未満
ではカレンダー成形に必要な抗張力を付与できない。ま
た逆に500重量部を越える場合は、カレンダー成形を
行うために加工温度を第二の生分解性樹脂(B)の融点
近くまで上げることになるが、その高温条件では組成物
全体の粘度が低くなり、やはり充分な抗張力が得られな
い。なお、より好適には第一の生分解性樹脂(A)の1
00重量部に対して第二の生分解性樹脂(B)が20〜
450重量部の範囲、更に好ましくは80〜400重量
部の範囲とすることが推奨される。
【0019】上記の第一及び第二の生分解性樹脂
(A),(B)に用いる生分解性樹脂の種類は、特に制
約はないが、好適なものとしてポリカプロラクトン,ポ
リブチレンサクシネート,ポリエチレンサクシネート,
ポリエチレンアジペート,ポリテトラメチレンアジペー
ト,ポリヒドロキシブチレート,ポリヒドロキシバリレ
ートの如き脂肪族ポリエステル及びその誘導体、ポリシ
クロヘキシレンジメチルアジペートの如き脂環族ポリエ
ステル及びその誘導体、ヒドロキシブチレート−ヒドロ
キシバリレート共重合体の如き脂肪酸エステル共重合
体、ポリ乳酸等が挙げられ、これらの中から上記の融点
差を生じ得る組み合わせを選択すればよい。無論、この
融点差を満足する組み合わせであれば、上記の第一及び
第二の生分解性樹脂(A),(B)の一方又は両方に複
数種の樹脂を使用しても差し支えない。
【0020】そして、第一の生分解性樹脂(A)として
は、良好な生分解性を確保し、且つ第二の生分解性樹脂
(B)の選択を容易にする上で、特に融点が160℃以
下である脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂が好適であ
る。このような融点が160℃以下の脂肪族ポリエステ
ル系生分解性樹脂としては、上記で列挙した脂肪族ポリ
エステル及びその誘導体、脂環族ポリエステル及びその
誘導体、脂肪酸エステル共重合体がある。なお、カレン
ダー成形時の加工機近傍の雰囲気温度が機械からの放射
熱によって一般に50℃以上になるため、樹脂組成物の
軟化ないし溶融による取扱い性の悪化を防止する観点か
ら、第一の生分解性樹脂(A)の融点は60℃以上であ
ることが望ましい。
【0021】また第二の生分解性樹脂(B)としては、
熱変形温度が90℃以下であるものが好ましい。この熱
変形温度が90℃を越えるものでは、カレンダー成形の
加工温度域で軟化しにくいため、組成物の流動性に悪影
響を及ぼすと共に、ゲル状の異物の形でシート中に残り
易くなる。また融点は、樹脂組成物の調製の容易さより
140℃以上であることが望ましい。このような90℃
以下の熱変形温度で140℃以上の融点を示す生分解性
樹脂には、前記の列挙した内、ポリ乳酸、ポリヒドロキ
シブチレート、ヒドロキシバリレート−ヒドロキシブチ
レート共重合体等がある。
【0022】滑剤の配合量は、前記の第一の生分解性樹
脂(A)100重量部に対して、0.2〜12重量部の
範囲である。この配合量が0.2重量部未満では充分な
滑性が得られず、カレンダー成形において金属ロールか
らの樹脂組成物の離れが悪くなり、ロールに貼り着いて
巻き取られるために成形不能になる。逆に同配合量が1
2重量部を越えると、滑性が過度になり、樹脂組成物が
金属ロールから浮き離れるため、シートにしわ入りや割
れを発生し易くなる。なお、好適な配合量は、0.5〜
10重量部、更に好ましくは1〜8重量部である。
【0023】このような滑剤は、樹脂組成物配合用とし
て知られるものをいずれも使用可能であり、例えばステ
アリン酸カルシウム,ステアリン酸亜鉛,ステアリン酸
バリウム,パルミチン酸ナトリウムの如き脂肪酸金属塩
(金属石けん)、モンタン酸ワックス、脂肪酸エステ
ル、蔗糖脂肪酸エステルなどが好適なものとして挙げら
れ、2種以上を併用してもよい。
【0024】なお、この発明の生分解性樹脂組成物に
は、上述した滑剤の他に必要に応じて、安定剤、界面活
性剤、酸化防止剤、帯電防止剤、充填材、紫外線吸収
剤、分解促進剤等の種々の添加剤を適宜配合できる。た
だし、これら添加剤は、樹脂の生分解性を阻害しない種
類、量を選択すべきであることは言うまでもない。
【0025】上記配合の生分解性樹脂組成物は、カレン
ダー成形に供する際、既述のように第一の生分解性樹脂
(A)が溶融して且つ第二の生分解性樹脂(B)が溶融
せずに軟化状態となる加工温度の選択により、成形に耐
え得る抗張力を発揮し、単独の生分解性樹脂では避けら
れなかったドローダウンやネックインを防止できるもの
となるが、カレンダー成形性をより向上させる上で、よ
り好ましくは、生分解性樹脂(A)(B)及び滑剤の種
類の組み合わせと配合比率の選択により、予め所定の抗
張力の指標を満足するように調整しておくのがよい。
【0026】この抗張力の指標は、高架式メルトフロー
テスターによる下記条件〔イ〕で定義される流動化開始
温度よりも10℃高い測定温度において、キャピラリー
レオメーターにより下記条件〔ロ〕で測定される抗張力
が10g以上になることである。
【0027】条件〔イ〕…高架式メルトフローテスター
による流動化開始温度の測定 測定温度範囲; 50〜250℃ 温度上昇速度; 4℃/分 測定荷重 ; 290kg オリフィス長; 10mm オリフィス径; 1.0mm
【0028】条件〔ロ〕…キャピラリーレオメーターに
よる抗張力の測定 測定温度 ; 条件〔イ〕での流動化開始温度+1
0℃ 使用剪断速度 ; 60.8/秒 キャピラリー長; 10mm キャピラリー径; 1.0mm
【0029】この発明の生分解性樹脂組成物を用いてカ
レンダー成形により生分解性樹脂シートを製造するに
は、まず前処理として、樹脂組成物を連続押出機やスク
リュー式混練機等の前処理混練機を用いてゲル化させる
のがよい。この前処理における温度は、第二の生分解性
樹脂(B)の融点から好ましくは240℃まで、より好
適には160〜220℃の範囲である。すなわち、第二
の生分解性樹脂(B)の融点より低い温度では、当該樹
脂(B)のゲル化が不充分であるために第一生分解性樹
脂(A)に対して分散不良となり、逆に上記温度が高過
ぎても樹脂の劣化、着色、塊状物の発生等を生起し、い
ずれの場合もカレンダー成形性が悪化すると共に得られ
る生分解性樹脂シートの品質が低下することになる。
【0030】上記前処理によってゲル化させた樹脂組成
物は、カレンダーロールに供給する前に、金属製2本ロ
ールにて構成されるミキシングロールを通して混練する
のがよい。このミキシングロールは、速度差のあるロー
ル間隙での剪断作用によって樹脂組成物を均一混練する
と共に、カレンダーロールへの供給量の微調整を行うも
のである。混練温度は、第一の生分解性樹脂(A)の融
点より10℃高い温度から第二の生分解性樹脂(B)の
融点までの範囲、好ましくは90℃〜第二の生分解性樹
脂(B)の融点、更に好適には120〜180℃であ
る。この温度が低過ぎては第二の生分解性樹脂(B)の
軟化が不充分となってロール間隙への樹脂組成物の食い
込みが悪くなって良好な混練作用が得られず、また第二
の生分解性樹脂(B)の融点を越える温度では樹脂組成
物全体が溶融して低粘度化し、ロール表面からの離れが
悪くなる。
【0031】なお、このミキシングロールにおけるロー
ル回転数は8〜30rpm程度、ロール回転比は1.1
〜1.5程度、樹脂組成物の滞留時間3〜20分程度、
にそれぞれ設定するのがよく、ロール回転数及びロール
回転比が高過ぎると剪断過度になって樹脂の劣化を早め
ることになり、滞留時間が長過ぎて樹脂の劣化を招くこ
とになる。
【0032】カレンダー成形は、第一の生分解性樹脂
(A)の融点より10℃高い温度から第二の生分解性樹
脂(B)の融点までの成形温度範囲で行う。この温度が
上記温度範囲より低くなると、樹脂組成物の流れが著し
く悪くなり、ロール間への樹脂組成物の食い込みが悪く
なると共に、シートにしわ入りや割れが発生し易く、ま
たロール鏡面の転写不良によってシートの表面肌が悪く
なる。また上記温度が第二の生分解性樹脂(B)の融点
を越える場合は、樹脂組成物の抗張力が不足し、ドロー
ダウンやネックインを発生すると共にロール表面への貼
り付きを生じるため、成形困難となる。なお、より安定
したカレンダー成形性を得る上で好ましい成形温度は9
0℃以上、更に好ましくは100℃以上であり、また樹
脂の劣化や着色による品質低下を確実に防止する観点か
らは成形温度を180℃以下とするのがよい。
【0033】かくして得られる生分解性樹脂シートは、
高い厚み精度と良好な表面肌を有するものとなり、クレ
ジットカード等に供するシート材料として優れた品質を
具備すると共に、土壌中や海水中等の自然環境中で短期
間に分解されるため、仮に投棄されても環境に害を与え
ないという特性を持つ。また、このシートは、抗張力が
高いため、真空成形等の二次成形加工に供する場合でも
単独の生分解性樹脂を用いたシートよりも加工性に優れ
るという利点がある。
【0034】
【実施例】以下に、この発明の実施例を比較例と対比し
て具体的に説明する。なお、実施例及び比較例で用いた
各成分の略号は次の通りである。
【0035】〔生分解性樹脂〕 PCL ・・・ポリカプロラクトン PBSU ・・・ポリブチレンサクシネート PESU ・・・ポリエチレンサクシネート PHB ・・・ポリヒドロキシブチレート PHV ・・・ポリヒドロキシバリレート HB−HV・・・ヒドロキシブチレート(分率92%)
−ヒドロキシバリレート(分率8%)共重合体 PLLA ・・・ポリ乳酸
【0036】〔滑 剤〕 ST−Ca ・・・ステアリン酸カルシウム ST−Ba ・・・ステアリン酸バリウム ST−Zn ・・・ステアリン酸亜鉛 M−Wax ・・・モンタン酸ワックス S−EF ・・・蔗糖脂肪酸エステル
【0037】〔生分解性樹脂組成物の調製〕下記表1に
記載する第一の生分解性樹脂(A)100重量部に対
し、表1記載の第二の生分解性樹脂(B)及び滑剤を同
表記載の割合で配合し、この配合物をミキサー(株式会
社カワタ製)にて500rpmの回転速度で5分間攪拌
混合し、生分解性樹脂組成物(I)〜(XVI)を調製し
た。なお、生分解性樹脂組成物(IX)(X)では生分解
性樹脂を単独使用している。各樹脂組成物につき、前記
条件〔イ〕〔ロ〕に従って測定した抗張力を表1に示
す。表中、測定不能とあるのは、抗張力が低過ぎて測定
機で検知できなかったことを意味する。
【0038】
【表1】
【0039】実施例1〜8 下記表2に記載する生分解性樹脂組成物(表1参照)を
原料とし、同方向二軸押出混練機(日本製鋼株式会社
製)により、表2記載の温度(部分最高温度)でスクリ
ュー回転数800rpmで混練してゲル化させた。次い
で、この混練物をミキシングロール(株式会社江藤製作
所製)にて表2に記載の温度で混練した上で、5本ロー
ルカレンダー成形機(石川島播磨重工業株式会社製)に
投入して表2記載の温度(部分最高温度)でカレンダー
成形を行い、生分解性樹脂シートを作製した。得られた
各樹脂シートにつき、シート特性と生分解性(土壌中へ
の3か月埋設による重量減少率)を測定したところ、表
2の結果が得られた。
【0040】比較例1〜9 下記表2に記載する生分解性樹脂組成物(表1参照)を
原料とし、実施例と同様にしてゲル化、ミキシングロー
ルによる混練、カレンダー成形を行った。その結果を表
2に記載する。
【0041】
【表2】
【0042】上記表2の結果から、この発明に係る生分
解性樹脂組成物(I)〜(VIII)によれば、カレンダー
成形において第一の生分解性樹脂(A)が溶融して且つ
第二の生分解性樹脂(B)が溶融せずに軟化状態となる
加工温度を選択することにより(実施例1〜8)、優れ
たシート特性及び生分解性を備えるシートを製造できる
ことが判る。これに対し、生分解性樹脂を単独した樹脂
組成物(IX)(X)、両生分解性樹脂(A)(B)の配
合比率が適正範囲でない樹脂組成物(XII)(XIII
)、滑剤の配合量が不足した樹脂組成物(XIV)で
は、カレンダー成形の温度条件が適正であっても(比較
例1,2,5〜7)、シート成形が不可能であることが
判る。また両生分解性樹脂(A)(B)の融点が30℃
未満である樹脂組成物(XI)でもシート成形が不可能
であり(比較例3)、更に滑剤の配合量が過多である樹
脂組成物(XV)では、成形自体は可能であるものの、
得られるシートの品質が著しく劣るものとなる(比較例
7)。
【0043】一方、カレンダー成形による生分解性樹脂
シートの製造においては、適正な組成の生分解性樹脂組
成物であっても、前処理の温度が低過ぎたり(比較例
8)、カレンダー成形の加工温度が高過ぎる(比較例
9)場合はシート成形が不可能であることが判る。
【0044】
【発明の効果】請求項1の発明に係る生分解性樹脂組成
物によれば、押出成形、射出成形、インフレーション成
形、ブロー成形等の溶融がクローズ系でなされる各種成
形法は無論のこと、従来では行えなかった溶融がオープ
ン系でなされるカレンダー成形を支障なく行うことがで
き、このカレンダー成形により、高い厚み精度と良好な
表面肌を有して且つ自然環境中で容易に短期間で分解し
得る生分解性樹脂シートを提供できる。
【0045】請求項2〜4の発明によれば、上記生分解
性樹脂組成物として、カレンダー成形性により優れ、且
つより高品位の生分解性樹脂シートが得られるものが提
供される。
【0046】請求項5の発明に係る生分解性樹脂シート
の製造方法によれば、上記の生分解性樹脂組成物を原料
とし、カレンダー成形によって高い厚み精度と良好な表
面肌を有する生分解性樹脂シートを確実に製造できる。
【0047】請求項6の発明によれば、上記の生分解性
樹脂シートの製造方法において、カレンダー成形時の成
形性がより向上するという利点がある。
【0048】請求項7の発明によれば、上記の生分解性
樹脂シートの製造方法において、カレンダー成形時の成
形性と得られる生分解性樹脂シートの品位をより向上さ
せることができる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第一の生分解性樹脂(A)100重量部
    に対して、この樹脂(A)よりも融点が30℃以上高い
    第二の生分解性樹脂(B)5〜500重量部と、滑剤
    0.2〜12重量部とを含有してなる生分解性樹脂組成
    物。
  2. 【請求項2】 第一の生分解性樹脂(A)が融点160
    ℃以下の脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂であり、第
    二の生分解性樹脂(B)の熱変形温度が90℃以下であ
    る請求項1記載の生分解性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 第一の生分解性樹脂(A)100重量部
    に対して、第二の生分解性樹脂(B)80〜400重量
    部と、滑剤1〜8重量部とを含有してなる請求項1又は
    2に記載の生分解性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 高架式メルトフローテスターによる下記
    条件〔イ〕で定義される流動化開始温度よりも10℃高
    い測定温度において、キャピラリーレオメーターにより
    下記条件〔ロ〕で測定される抗張力が10g以上である
    請求項1〜3のいずれかに記載の生分解性樹脂組成物。 条件〔イ〕 測定温度範囲;50〜250℃ 温度上昇速度;4℃/分 測定荷重 ;290kg オリフィス長;10mm オリフィス径;1.0mm 条件〔ロ〕 測定温度 ;条件〔イ〕での流動化開始温度+10
    ℃ 使用剪断速度 ;60.8/秒 キャピラリー長;10mm キャピラリー径;1.0mm
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の生分解
    性樹脂組成物を前記第二の生分解性樹脂(B)の融点以
    上の温度で混練してゲル化させたのち、この混練物を原
    料として第一の生分解性樹脂(A)の融点より10℃高
    い温度から第二の生分解性樹脂(B)の融点までの成形
    温度範囲でカレンダー成形することを特徴とする生分解
    性樹脂シートの製造方法。
  6. 【請求項6】 カレンダー成形の温度が90℃以上であ
    る請求項5記載の生分解性樹脂シートの製造方法。
  7. 【請求項7】 ゲル化させた混練物を金属製2本ロール
    にて構成されるミキシングロールにより第一の生分解性
    樹脂(A)の融点より10℃高い温度から第二の生分解
    性樹脂(B)の融点までの温度範囲で混練し、次いでカ
    レンダー成形を行う請求項5又は6に記載の生分解性樹
    脂シートの製造方法。
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