JPH09216802A - 時限放出型被覆農薬粒剤 - Google Patents

時限放出型被覆農薬粒剤

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JPH09216802A
JPH09216802A JP4794996A JP4794996A JPH09216802A JP H09216802 A JPH09216802 A JP H09216802A JP 4794996 A JP4794996 A JP 4794996A JP 4794996 A JP4794996 A JP 4794996A JP H09216802 A JPH09216802 A JP H09216802A
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JP
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release
pesticide
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film
coated
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JP4794996A
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Inventor
Shigetoshi Kimoto
成年 木元
Michiyuki Ashihara
通之 芦原
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JNC Corp
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Chisso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 圃場に施用後、一定期間農薬活性成分を放出
させず、一定期間経過後に農薬活性成分を放出させ、な
おかつその放出期間を制御できる農薬粒剤を提供するこ
と。 【解決手段】 鉱物質を主成分とする粒状担体の表面に
農薬活性成分と熱可塑性樹脂からなる組成物で被覆した
被覆農薬粒剤を用いて、その表面を樹脂を主成分とする
被膜材料を用いて放出誘導膜と放出制御膜からなる二層
を形成させ、その相互作用により農薬活性成分の放出制
御を行う。 【効果】 従来困難であった精度の高い時限放出制御が
でき、かつ、薬効持続期間を制御することができた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圃場等に施用後一
定期間農薬活性成分を放出させず、一定期間経過後に農
薬活性成分を放出させることができる多層被膜の時限放
出型農薬粒剤に関する。
【0002】
【従来の技術とその問題点】近年、農作物の病害虫の防
除及び除草において、散布時の省力化と安全性の面から
粒剤の使用が好まれ、防除体系に広く取り入れられてい
る。農薬粒剤の製造方法として一般的には、鉱物質微
粉に農薬活性成分、バインダー、及び必要に応じて各種
の補助剤を加え、水で練り合わせ細孔より押し出し、乾
燥後造粒する押し出し造粒法、鉱物質等よりなる無活
性粒体に液状にした農薬活性成分を含浸させる含浸法、
鉱物質等よりなる無活性粒体にバインダーを用いて農
薬活性成分を被覆する被覆法の3種類の粒剤が知られて
おり、利用分野によってその最適な形態が選択される。
農作業体系における防除は、対象が病害虫のものと雑草
のものとに大別できるが、栽培期間を通じて数回に分け
てその対象に適合する農薬を施用散布しており、防除体
系を形成している。農薬散布はその回数と薬剤の種類が
多いため多くの労力を必要としている。例えば水稲の場
合、播種発芽期に用いる種子消毒に用いる薬剤、苗立枯
病用の薬剤、育苗〜幼穂形成期〜穂揃期にかけてのイモ
チ病、ツマグロヨコバイ・ウンカ類、紋枯病、カメムシ
等に対する薬剤があり、雑草に対してはヒエ用、広葉雑
草用等の除草剤を施用散布している。このように防除作
業は省力化栽培体系構築の障害となっている。このよう
な問題を解決するため種々の試みがなされている。例え
ば、特公昭64−5002号公報には熱可塑性樹脂被覆
による徐放化と安全化を試みた農薬に関する記載が開示
されているが、この方法は水溶性又は蒸散性農薬の安全
化と徐放化には一応効果的であると考えられる。また、
農薬活性成分の徐放化は従来の施用回数、施用量等を減
らすため省力化に有効な方法であるといえる。しかしな
がら、農薬活性成分、特に除草粒剤に用いられるものは
難水溶性のものが大部分であることからこのような技術
の適用は困難であり、また、粒剤の被覆により徐放性を
付与すると施用後の被膜内部に農薬活性成分が残留する
ため農作物への影響が懸念されていた。そこで、どうし
ても水溶解性が大きく、蒸散性の大きい農薬活性成分を
使用しなければ徐放化の実用化ができず、農薬活性成分
の選択幅が非常に小さいものとなっていた。
【0003】このほかに、所定の農薬活性成分が必要な
時期までは放出または溶出(以後、単に「放出」とす
る)をせず、一旦放出を開始すると、速やかに該農薬活
性成分を放出する被覆農薬粒剤が知られており、被膜の
溶解により放出を開始する被覆農薬粒剤に関して特開平
6−9304号公報や特開平6−72805号公報があ
り、被膜の亀裂により放出を開始する被覆農薬粒剤に関
して、特開平6−9303号公報、特開平6−8051
4号公報が開示されている。これらは、被膜の性能のみ
により農薬活性成分を放出制御するものであり、特に水
に溶けやすい農薬活性成分に有効であると考えられる
が、それゆえ放出開始後の薬効の持続期間が短い欠点を
有している。特公昭52−21059号公報には安定な
多成分系粒状農薬に関して開示されているが、その効果
は適用可能な農薬活性成分の範囲が広くなったのみで、
放出制御の概念が欠落しておりこのままでは技術的にも
未完成の粒剤であった。一般的に徐放型持続農薬には、
高分子化合物が多く用いられ、溶融または溶解状態にあ
る高分子化合物に農薬活性成分を分散させた液状物質を
粒状物質に塗布または被覆すると高分子の中に農薬活性
成分が捕捉され、残効性が得られることは良く知られる
が、このままでは単なる徐放化にすぎず、放出制御粒剤
の域には未達である。農作業の省力化のためには播種や
移植等の作業時に肥料や農薬のような農業資材を同時に
投入すると作業量が減ることは明らかであり、省力化栽
培体系構築に不可欠となる農業資材、例えば移植と同時
期に施用しても薬害を起こさず、その効果を長期間持続
するような農薬粒剤が農業従事者から切望されている。
さらに詳しくは、高度な放出制御技術を保有する農薬粒
剤、または圃場に施用後ある一定期間全く放出せず、一
定期間経過後から放出が急速に始まることによりピンポ
イントに効果を発揮しつつそのままその効果が持続する
放出制御技術は未完成であるのが現状であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上述の
ように放出が制御された農薬粒剤を提供すべく鋭意研究
を行った。その結果、鉱物質を主成分とする粒状担体の
表面に農薬活性成分と熱可塑性樹脂からなる組成物で被
覆した被覆農薬粒剤を用いて、更に、その表面を樹脂を
主成分とする被膜材料を用いて放出誘導膜と放出抑制膜
からなる二層を形成させ、その相互作用により農薬活性
成分の放出を時限かつ徐放化制御することを見いだし、
この知見に基づいて本発明を完成した。以上の記述から
も明らかのように本発明の目的は、一定期間農薬活性成
分を放出させず、一定期間経過後、農薬活性成分を放出
させ、なおかつその放出期間を制御できる、時限放出機
能と徐放機能を兼備した農薬粒剤を提供することであ
る。
【0005】
【発明を解決するための手段】本発明は、下記の(1)
ないし(6)の構成を有する。 (1)鉱物質を主成分とする粒状担体の表面を農薬活性
成分と熱可塑性樹脂からなる組成物で被覆した被覆農薬
粒剤を用い、該被覆粒剤の表面を樹脂を主成分とする被
膜材料を用いて被覆して、上述の被覆に係る放出誘導膜
と上述の被膜材料に係る放出抑制膜からなる二層を形成
させ、該両層の相互作用により農薬活性成分の放出を時
限制御する如くしてなる時限放出型被覆農薬粒剤。
【0006】(2)熱可塑性樹脂がろう状物質、生分解
性高分子、水溶性高分子の中から選ばれた1種以上の物
質であることを特徴とする前記(1)に記載の時限放出
型被覆農薬粒剤。
【0007】(3)放出誘導膜の被膜材料が熱可塑性樹
脂及びアルカリ性物質を主成分とし、放出抑制膜がオレ
フィンの重合体または共重合体にアルカリ水可溶性重合
体を添加した組成物を主成分とする二層の被膜であるこ
とを特徴とする前記(1)または(2)に記載の時限放
出型被覆農薬粒剤。
【0008】(4)放出誘導膜の被膜材料が水膨潤性物
質を主成分とし、放出抑制膜がオレフィンの重合体また
は共重合体を主成分とする二層の被膜である前記(1)
ないし(3)のいずれかに記載の時限放出型被覆農薬粒
剤。
【0009】(5)水不溶性または水難溶性無機粉体を
放出抑制膜に分散含有させてなる前記(1)ないし
(4)のいずれかに記載の時限放出型被覆農薬粒剤。
【0010】(6)鉱物質を主成分とする粒状担体に農
薬活性成分を添加してなることを特徴とする前記(1)
ないし(5)のいずれかに記載の時限放出型被覆農薬粒
剤。
【0011】本発明の構成と効果について以下に詳述す
る。本発明の時限放出型被覆農薬粒剤は、鉱物質を主成
分とする粒状担体の表面に農薬活性成分と熱可塑性樹脂
からなる組成物(徐放性農薬組成物)で被覆された被覆
農薬粒剤に、その表面を樹脂を主成分とする被膜材料を
用いて被覆してなる特性の異なる二層の被膜(放出誘導
膜と放出抑制膜)で構成されている。放出抑制膜には水
分が透過しにくい透湿性の小さな材料を用いることによ
り放出を抑える目的で用いる。このままでは内部の農薬
活性成分を放出させることができないか、放出したとし
てもその放出速度はかなり遅くなり農薬活性を示さない
と考えられる。このため、放出を誘導するように内層に
放出誘導膜を形成させ、放出抑制膜の機能を限定させて
適度な放出を可能とするため必要となったのである。こ
のように放出の仕組みは内層の放出誘導膜が外層の放出
抑制膜に作用し、放出開始時期を制御させる。具体的に
は、放出誘導膜に熱可塑性樹脂及びアルカリ性物質を用
い、放出抑制膜にオレフィンの重合体または共重合体に
アルカリ水可溶性重合体を添加した組成物よりなる二層
で水が被膜を透過することによりアルカリ物質に作用し
アルカリ水可溶性重合体を溶解させることにより被膜を
ポーラス化する放出制御方法や放出誘導膜に水膨潤性物
質、放出抑制膜にオレフィンの重合体または共重合体を
主成分とする二層で水が被膜を透過することにより水膨
潤性物質に作用し放出抑制膜に亀裂を生じさせることに
より被膜にピンホールを形成する放出制御方法等が挙げ
られる。
【0012】以上の記述からも明らかの通り、本発明に
おける農薬活性成分を放出制御するためには、少なくと
も放出が開始するまでは農薬活性成分の放出を抑える被
覆技術が本発明を達成するためには必要である。すなわ
ち本発明品が有効に活用されるためには放出を抑える技
術が必要である。これらの技術は透湿性の小さい被膜で
完全に被覆できる技術であり、透湿性の小さい汎用の被
膜材料としてオレフィンの重合体または共重合体が好ま
しい材料である。本発明では上記の卓越した被覆技術と
透湿性の小さい材料を選択することに加えて必要かつ充
分な膜厚を確保することも必要である。均一性が高く透
湿性の小さい材料を用い被膜を厚くすることにより、確
実に放出が抑え込まれた被膜を有する農薬粒剤が得られ
る。この場合、膜厚が厚すぎると被膜材料の所要量が増
すため経済的でない。
【0013】本発明はこのような放出し難い被膜に対
し、その透湿性を調節する目的で種々フィラーを分散す
ることができ、その種類や添加量等により被膜の透湿性
を変えることで初期の放出を抑制し、一定期間経過後放
出を開始させるものである。この放出抑制期間は複数の
要因によることから、通常は農薬活性成分の種類、物
性、農薬粒剤の粒径、粒形、被膜材料の種類、組成、膜
厚等が特定されなければならない。このフィラーとして
界面活性剤や水不溶性または水難溶性無機粉体等の微粉
体を用いると安定した品質のものを得ることができるた
め好ましい材料である。また当該添加量を増減すること
により、放出開始までの期間を調節することができる。
【0014】本発明は時限放出制御が二層構造の被膜に
よるため被覆率が一層構造の被膜と比べて大きくなる傾
向にあり、薄膜で済ますには農薬を保持する物質に工夫
が必要である。この場合、従来法の粒状担体に農薬活性
成分を添加することによる方法では製造が容易であるこ
とから一般的に行われているが、放出開始後の放出速度
が速く、これを徐放化あるいは制御するのは困難であ
る。このため本発明の時限放出型被覆農薬粒剤では、徐
放性農薬組成物からなる農薬保持層を作り、放出制御は
熱可塑性樹脂の選択によりあらゆる特性を得ることがで
きることを見出した。また、鉱物質を主成分とする粒状
担体に1種以上の農薬活性成分を添加し速効性農薬部と
することで徐放性農薬組成物が無いときの性能でもあ
る、放出開始時にまとまった量を効かせる機能を取り込
むことができ、このことによりあらゆる放出パターンに
対応できるようになった。特に、水稲用の除草剤では卓
効を示し、移植と同時に施用後薬害の危険性を回避した
後に放出を開始させ、ある程度生育した雑草を枯草し、
あとは雑草種子の発芽抑制をする効果が見込まれる。あ
る程度生育した雑草に必要な薬量と発芽抑制に必要な薬
量は異なることからそれぞれに応じた放出速度が必要で
ある。このことに対し、本発明品は、好ましくは1種以
上の農薬活性成分と鉱物質よりなる粒体(速効性農薬
部)と徐放性農薬組成物(徐放性農薬部)の被膜に農薬
活性成分を含有することで完成させた。この速効性農薬
部の放出は放出開始後速やかに農薬活性成分の拡散が起
こるため速効性を示す。農薬活性成分と熱可塑性樹脂か
らなる徐放性農薬部は熱可塑性樹脂により農薬活性成分
の放出を徐放化され、この熱可塑性樹脂に透湿性の小さ
な材料を用いると放出速度が抑えられ、徐放型持続農薬
粒剤を容易に得ることができる。本発明のような多層構
造の被覆農薬粒剤の場合、オレフィンの重合体またはそ
の共重合体を主成分とする放出制御膜による放出開始時
期に影響を及ぼすため注意が必要である。
【0015】本発明で用いられるオレフィンの重合体と
は、メチレン鎖を基本骨格とする合成高分子であり、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共
重合体、エチレン・一酸化炭素共重合体、ポリブテン、
ブテン・エチレン共重合体、ブテン・プロピレン共重合
体、ポリスチレン等であり、オレフィンの共重合体と
は、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビ
ニル・一酸化炭素共重合体、エチレン・アクリル酸共重
合体、エチレン・メタアクリル酸エステル共重合体等で
ある。
【0016】本発明で用いられるアルカリ物質とは主と
してその水溶液がアルカリ性のものであり、例えば、ア
ルカリ金属の炭酸塩、同リン酸塩、同ケイ酸塩、同有機
酸塩、アルカリ土類金属の炭酸塩、同水酸化物、同酸化
物、アルキルアミド類、ベントナイト、タルク、ジーク
ライト等が挙げられこれらの中から選ばれた1種以上の
物質である。
【0017】本発明で用いられるアルカリ水可溶重合体
とは、例えば、イソブチレン−無水マレイン酸共重合
体、同マレイミド化変性体、同アルコール変性体等であ
る。本発明における水膨潤性物質とは水を吸収して体積
を増加する性質を有する物質であり、例えばベントナイ
ト、澱粉、吸水性高分子等が挙げられる。
【0018】ベントナイトは膨張型結晶格子を持つ粘土
鉱物を主成分とし、石英、長石、クリストバライト、ふ
っ石、雲母及び土類金属炭酸塩、硫酸塩などを随伴する
粘土鉱物の名称であり、膨潤性粘土鉱物であるスメクタ
イトを主成分とする鉱床粘土である。ベントナイトはナ
トリウムイオンに富み、多量の水を吸収して高い膨潤性
を示すナトリウム系ベントナイト、カルシウムイオン、
マグネシウムイオンに富み膨潤性の低いカルシウム系ベ
ントナイト、ソーダ処理により膨潤活性を人工的に付与
した活性化ベントナイトの3種がある。ベントナイトは
産地、製品により性質、品質が異なりその粒径により膨
潤力が異なるためこれらを考慮し選択されるべきであ
る。
【0019】澱粉としてはコーンスターチ、バレイショ
澱粉の他、酸化澱粉、α化澱粉、無機酸や脂肪酸エステ
ル澱粉及びアルキルやヒドロアルキルエーテル澱粉等の
加工澱粉や澱粉誘導体を用いることができる。エステル
型及びエーテル型の澱粉の例を挙げれば、エステル型は
酢酸澱粉、リン酸澱粉、硝酸澱粉、コハク酸澱粉、キサ
ントゲン酸澱粉など、エーテル型はカルボキシメチル澱
粉、メチル澱粉、ヒドロキシアルキル澱粉、アリルエー
テル澱粉、カチオン澱粉等であるがこれらに限るもので
はない。
【0020】本発明に用いられる吸水性高分子として
は、水を吸って膨張するものであれば用いることがで
き、例えば上記に示した多糖類で天然高分子の一種であ
る澱粉系、セルロ−ス系、ヒアルロン酸、アガロース、
コラーゲンやその他タンパク質、合成高分子ではポリビ
ニルアルコ−ル系、アクリル系、その他の無水マレイン
酸系重合体、ビニルピロリドン系重合体、ポリエーテル
系、縮合系ポリマー等が挙げられる。吸水倍率は50〜
1000倍のものが好ましく、ベントナイト等に比べて
高価なため吸水倍率が高めのものを少量添加すると低コ
ストで製造できる。
【0021】上記の被膜材料からなる放出誘導膜と放出
抑制膜の二層は、被覆率が本発明の時限放出型被覆農薬
粒剤に対して5〜30重量%、好ましくは10〜25重
量%である。被覆率が大きいと被膜材料の所要量が増す
ため不経済であり、小さいと完全な被膜ができにくい。
放出誘導膜と放出抑制膜は重量比で放出誘導膜/放出抑
制膜=90/10〜10/90好ましくは70/30〜
30/70であり、放出抑制膜の値が大きいと放出しに
くく、小さいと放出抑制期間が短くなる傾向がある。ま
た、アルカリ水可溶性物質に対するアルカリ性物質が好
ましくは0.2〜10重量%であり、アルカリ性物質が
多いと肥料成分の吸収や土壌の理化学性に悪影響を及ぼ
す恐れがある事を考慮してその所要量を増減させるべき
である。
【0022】本発明の熱可塑性樹脂としては、上記に示
すオレフィンの重合体または共重合体のほか、ろう状物
質、生分解性高分子、水溶性高分子から選ばれた1種ま
たは2種以上の物質を使用することが好ましく、中でも
ろう状物質が最も好ましい。これら熱可塑性樹脂と農薬
活性成分からなる組成物で構成された徐放性農薬部は、
農薬活性成分の種類にもよるが、これは主に熱可塑性樹
脂の構造に由来する農薬活性成分の捕捉具合や徐放性農
薬部の被膜を通過する水蒸気または水によって捕捉され
た農薬活性成分が溶解し、放出されるときの通り道の大
きさによってその放出速度が決定される。農薬活性成分
と粒状担体からなる粒体よりも放出速度を抑えさらにそ
の速度を調節できることから、速効性農薬部と徐放性農
薬部の組み合わせで任意の放出特性を得ることができ
る。徐放性農薬部のろう状物質は適度に放出速度を抑
え、分子量も小さいことから分解しやすい物質である。
これらに生分解性高分子や水溶性高分子を添加すること
により容易に放出速度を調節でき、より分解しやすくな
る傾向にある。
【0023】本発明で用いられるろう状物質とは常温で
は固体または半固体のアルキル基を持つ脂肪族アルコー
ルであり、好ましくは融点が40℃〜130℃の範囲で
あり、溶融粘度が低いものである。例えば、キャンデリ
ラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木
ろう、ホホバ油等の植物系ワックス、みつろう、ラノリ
ン、鯨ろう等の動物系ワックス、モンタンワックス、オ
ゾケライト、セレシン等の鉱物系ワックス、パラフィン
ワックス、マイクロクリスタリンワックス、ベトロラタ
ム等の石油ワックス、フィッシャー・トロプシュワック
ス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素、モンタン
ワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロ
クリスタリンワックス誘導体等の変性ワックス、硬化ひ
まし油、硬化ひまし油誘導体等の水素化ワックス、12
−ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸アミド、無水
フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸、酸アミ
ド、エステル、ケトン等が挙げられる。さらに、ろう状
物質にオレフィンの重合体または共重合体や界面活性剤
を添加するのもよい。この場合、オレフィンの重合体の
添加は徐放性農薬部の放出速度を抑える作用が期待され
るが、分子量が大きいと極端に抑える傾向があるため、
オレフィンの重合体または共重合体の分子量が10万以
下であることが好ましい。また、界面活性剤の添加は、
農薬放出速度を上昇させる傾向があり、用いる熱可塑性
樹脂の種類によって添加量を調整することにより前記放
出速度を制御できる。
【0024】本発明で用いられる生分解性高分子には、
ポリ−ε−カプロラクトン、ポリ−δ−バレロラクト
ン、ポリ−β−プロピオラクトン、ポリ−γ−ブチロラ
クトン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸等のポリラクトン
類、ポリ−3−ヒドロキシブチレート、ポリ−3−ヒド
ロキシバリレート等のポリヒドロキシアルカノエート類
等を挙げることができる。
【0025】本発明で用いられる水溶性高分子には、ポ
リビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、デ
キストリン、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセル
ロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ペクチン、プルラ
ン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸塩、ポリエ
チレンオキサイド等を挙げることができる。この他の熱
可塑性樹脂として、重複するが、ポリアミド系重合体、
ポリエステル系重合体、ポリエーテル系重合体、ポリイ
ミド系重合体等を挙げることができる。
【0026】本発明では、被膜材料に界面活性剤や微粉
体等を配合しても良い。特に、界面活性剤は、被膜材料
の透湿性を向上させることができるので、透湿性の調整
剤として有効である。透湿性が極めて小さい熱可塑性樹
脂を選択すると、放出抑制膜がポーラス化または亀裂が
生じるまでの時間(放出開始時間)が極端に長くなる
が、界面活性剤を添加することにより、透湿性を大きく
できるため、放出開始時間を早めることができる。
【0027】上述微粉体には水不溶性又は難溶性無機微
粉体を用いることができる。該微粉体の添加量の増減に
より被膜材料の主成分である樹脂量を節約できることか
らコスト的に有利であることばかりか放出抑制膜のクラ
ックまたは亀裂の発生を調節することが可能である。こ
れらの一例として、タルク、クレー、金属酸化物、珪酸
質、ガラス及びアルカリ土類金属の炭酸塩、硫酸塩等が
挙げられる。水不溶性又は難溶性無機粉体微粉体は、そ
の粒径が50μm 以下であり、好ましくは20μm 以下
である。これら粒径は被膜の厚み等を考慮すればよく、
被膜中に均一に分布していれば完全被膜の上で好まし
い。添加量は特に制限はないが被膜材料中の含有率で好
ましくは50重量%以上90重量%以下であると特に被
膜にピンホールを容易に形成できる。
【0028】本発明品に使用し得る界面活性剤はアニオ
ン性のもの、カチオン性のもの、両性のもの、ノニオン
性のもの何れも使用し得るが、界面活性剤の親水性疎水
性のバランスが重要である。親水性が強すぎる場合は被
膜内に均一に分散せずに凝集して被膜欠陥生成の原因に
なる。親油性の強いものは被膜への影響はないが、放出
促進効果がやや劣る傾向がある。これら界面活性剤を親
水性−親油性の均衡を表すHLBでその目安を示せば6
〜20であり、好ましくは9〜16、さらに好ましくは
11〜13である。一般にHLBが高すぎると樹脂との
親和性が劣り、界面活性剤を被膜内に均一に分散させる
ことができないので安定した効果が期待できない。これ
らの界面活性剤は1種または2種以上の混合物であって
も用いることができるが、その添加量は被膜材料に対し
て好ましくは0.01〜20重量%、さらに好ましくは
0.05〜10重量%である。その範囲以下では効果が
不明瞭であり、その範囲以上では不経済である。また、
ノニオン性界面活性剤が最も好ましい。本発明に用いら
れる界面活性剤の具体例としては、アニオン界面活性剤
としては疎水基が炭素のみの鎖状結合よりなるもので
は、高級脂肪酸塩類、高級アルキルジカルボン酸塩類、
高級アルコール硫酸エステル塩類、高級アルキル・スル
フォン酸塩類、高級アルキル・ジスルフォン酸塩類、硫
酸化脂肪および脂肪酸塩、スルフォン化高級脂肪酸塩、
高級アルキル燐酸エステル塩等、また、疎水基が炭素以
外の元素を含有する鎖状結合よりなるものでは高級脂肪
酸エステルや高級アルコール・エ−テルの硫酸エステル
塩またはスルフォン酸塩、高級脂肪酸と蛋白質分解アミ
ノ酸の縮合物やアミノ酸との縮合物、高級脂肪酸アミド
のアルキロール硫酸エステル塩やアルキル・スルフォン
酸塩、高級アルキル・スルフォナミドのアルキル・カル
ボン酸塩、スルフォ琥珀酸エステル塩等、さらに、疎水
基に炭素のみよりなる環を有するものではアルキル・ベ
ンゼンとアルキル・フェノールとアルキル・ナフタリン
のスルフォン酸塩、アルキル・ナフタリン・スルフォン
酸塩のホルマリン縮合物、アルキル・ジフェニールおよ
びその他の多数の環よりなるスルフォン酸塩、アルキル
・アリル・スルフォン酸塩のケトン化合物、石油スルフ
ォン酸塩等、疎水基に炭素以外の元素を含有する環を有
するもの、疎水基として天然原料を使用する多環性物質
ではナフテン酸塩、ナフテニル・アルコ−ル硫酸エステ
ル塩、樹脂酸塩、樹脂酸アルコ−ル硫酸エステル塩、リ
グニン・スルフォン酸塩等が挙げられる。カチオン界面
活性剤としては、高級アルキル・アミン塩類、第4級ア
ンモニウム塩等が挙げられる。両性界面活性剤として
は、ベタイン型、グリシン型、アラニン型、スルフォベ
タイン型が挙げられる。ノニオン界面活性剤としては、
ポリオールの脂肪酸エステル、ポリエチレン・オキサイ
ド縮合型等が挙げられる。
【0029】本発明の鉱物質を主成分とする粒状物質と
は主に農薬活性成分を含まず、押し出し造粒法等で成形
された粒子を指し、原料となる鉱物質の組成を選択する
ことにより望ましい物理化学性を得ることができる。鉱
物質は微粉または粒状品として供給され、目標品質に応
じて適したものを選択する。微粉は押し出し造粒法によ
って粒状物質を得るが、それにはベントナイト、タル
ク、クレー、カオリン、セリサイト、タルク、酸性白
土、炭酸カルシウム、ゼオライト、パーライト、バーミ
キュライトのほかモミガラ、オガクズ、木質粉、パルプ
フロック、大豆粉、トウモロコシ茎等があり、粒状品に
は粒状クレー、粒状炭カル、珪砂、粒状軽石等が挙げら
れる。
【0030】造粒にはバインダーを用いることができ、
例えばアラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ヒ
ドロキシエチルセルロース、リグニンスルホン酸塩類、
ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、界面
活性剤類、流動パラフィン等を挙げることができる。本
発明品は粒状担体と徐放性農薬組成物からなる農薬粒剤
表面を被覆した形態のものであるため供用する農薬活性
成分の担持形態は好ましくは球状の粒剤である。粒径は
0.5〜10mm好ましくは1〜5mmであり10mm
以上でもよい。これら造粒方法は慣行法に準じて行うこ
とができる。
【0031】農薬粒剤の農薬活性成分としては殺虫、殺
菌、除草、及び植物成長調整等の作用を有するものであ
り、これらであればその種類に制限なく適用され得る。
本発明に利用できる農薬活性成分は特に制限はないが、
1種または2種以上の組成で使用することができる。そ
の具体例を下記に挙げるがこれらはあくまでも例示であ
り限定されるものではない。例えば1−(6−クロロ−
3−ピリジルメチル)−N−ニトロイミダゾリジン−2
−イリデンアミン、1,2,5,6−テトラヒドロピロ
ロ〔3,2,1−ij〕キノリン−4−オン、3−ヒド
ロキシ−5−メチルイソオキサゾール、5−メチル−
1,2,4−トリアゾロ〔3,4−b〕ベンゾチアゾー
ル、3−アリルオキシ−1,2−ベンゾイソチアゾール
−1,1−ジオキシド、2−クロロ−4−エチルアミノ
−6−イソプロピルアミノ−s−トリアジン、1−(2
−クロロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イルス
ルホニル)−3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2
−イル尿素、2−クロル−4,6−ビス(エチルアミ
ノ)−S−トリアジン、2−ベンゾチアゾール−2−イ
ルオキシ−N−メチルアセトアニリド、メチル=α−
(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイ
ルスルファモイル)−ο−トルアート、S−(4−クロ
ロベンジル)−N,N−ジエチルチオカーバメート、S
−ベンジル=1,2−ジメチルプロピル(エチル)チオ
カルバマート、2,4−ジクロロフェニル−3′−メト
キシ−4′−ニトロフェニルエーテル、2−メチルチオ
−4−エチルアミノ−6−(1,2−ジメチルプロピル
アミノ)−s−トリアジン、4−(2,4−ジクロロベ
ンゾイル)−1,3−ジメチル−5−ピラゾリル−p−
トルエンスルホネート、2−メチルチオ−4,6−ビス
(エチルアミノ)−s−トリアジン、S−1−メチル−
1−フェニルエチル=ピペリジン−1−カルボチオアー
ト、1−(α,α−ジメチルベンジル)−3−(パラト
リル)尿素、2−クロロ−N−(3−メトキシ−2−テ
ニル)−2´,6´−ジメチルアセトアニリド、2−ク
ロロ−2´,6´−ジエチル−N−(ブドキシメチル)
アセトアニリド、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸エチ
ル、2−メチル−4−クロロフェノキシ酢酸エチル、
(E)−(S)−1−(4−クロロフェニル)−4,4
−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−
1−イル)ペンタ−1−エン−3−オール、(2RS,
3RS)−1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメ
チル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イ
ル)ペンタン−3−オール、4´−クロロ−2´−(α
−ヒドロキシベンジル)イソニコチンアニリドを挙げる
ことができる。
【0032】本発明の時限放出型被覆農薬粒剤の製造方
法は、特に限定するものではないが、例えば、転動又は
流動状態にある農薬粒剤に前述の被膜材料の混合溶解液
を噴霧等の手段により吹き付けてその表面を被覆する一
方、該被覆物を同時並行的に高速熱風流で処理して該被
覆物表面の溶媒を瞬時に蒸発乾燥させる方法があり、こ
の場合の該被覆物の流動化には、噴流層を用いて行うの
が最も好ましい。以下に実施例によって本発明を説明す
るが、本発明はこれら実施例により限定されるべきもの
ではない。尚、以下の実施例における「%」は特に断り
がない限り「重量%」である。
【0033】
【実施例】
実施例1 粒状担体としてクレー60重量%、ベントナイト30重
量%、タルク9重量%、ポリビニルアルコール1重量%
をとり、ニーダーで均一に混合し、加水混練した。この
とき、ポリビニルアルコールは水に溶解して使用した。
この混合物をスクリュー押し出し式造粒機(スクリーン
径0.8mmφ)で押し出し造粒した後、球形整粒機で
整粒した。次に該造粒物を熱風循環乾燥機を用いて10
0℃で乾燥して篩分けを行った。次に熱可塑性樹脂とし
てポリエチレンワックス(分子量2000)20重量%
と農薬活性成分2−ベンゾチアゾール−2−イルオキシ
−N−メチルアセトアニリド(87.3%)80重量%
の割合で該混合物を1kgを図1の被覆装置を用いて1
0kgの粒剤1を被覆し、被覆農薬粒剤を11kg製造
した。ふるい後、農薬活性成分6.3%を含有した粒径
0.8〜1.4mmφの農薬粒剤を得た。
【0034】図1のフローシートを説明すると、1は噴
流塔で塔径250mm、高さ2000mm、空気噴出口
径50mm、円錘角50度で粒剤投入口2、排ガス出口
3を有する。噴流用ガスはブロアー10から送られ、オ
リフィス流量計9、熱交換器8を経て噴流塔に至るが、
流量は流量計、温度は熱交換器で管理され、排気は排ガ
ス出口3から塔外に排出される。被覆処理に使用される
粒状物質5は投入口2から所定の熱風を通しながら投入
し噴流を形成させる。熱風温度はT1 、被覆処理中の粒
体温度はT2 、排気温度はT3 の温度計により検出され
る。T2 が所定の温度になったら、被覆液をポンプ6、
スプレーノズル4を通して噴霧状で噴流状の粒体に向か
って吹き付ける。被覆液は溶解槽11で攪拌しておき、
粉体使用の場合は粉体が均一に分散するように攪拌して
おく。被覆が終了後ブロアーを止め、被覆された粒状物
質を抜き出し口7より排出する。本被覆装置では下記の
基本条件を維持しつつ被覆を行った。 一流体ノズル:開口0.6mmフルコーン型 熱風量:4m3 /min 熱風温度:100℃±2℃ 粒状物質投入量:10kg 供試溶剤:テトラクロロエチレン 被覆液供給量:0.3kg/min 被覆液濃度:固形分2.5重量%
【0035】得られた被覆農薬粒剤10kgを使用し
て、図1の被覆装置を用い、ボールミルで粉砕後75μ
m のふるいを通過したイソブチレン系重合体(吸水倍率
200倍)2重量%、ポリプロピレンワックス(Mw=
29,000)20重量%、タルク(平均粒径,5μm
)78重量%からなる放出誘導膜組成物1.25kg
を被覆し、さらに低密度ポリエチレン(MI=23,d
=0.916g/cm3 )20重量%、タルク(平均粒
径,5μm )80重量%の放出抑制膜組成物1.25k
gで被覆し、本発明の時限放出型被覆農薬粒剤を得た。
【0036】実施例2 実施例1において用いた熱可塑性樹脂をポリ−ε−カプ
ロラクトン(Mw=80,000)5重量%とポリプロ
ピレンワックス(Mw=29,000)15重量%へ変
更した以外は実施例1と同様に被覆を行い、時限放出型
被覆農薬粒剤を得た。
【0037】実施例3 実施例2において用いた熱可塑性樹脂をポリエチレンオ
キサイド(Mw=150,000〜400,000)5
重量%とポリプロピレンワックス(Mw=29,00
0)15重量%へ変更した以外は実施例1と同様に被覆
を行い、時限放出型被覆農薬粒剤を得た。
【0038】実施例4 実施例1の被覆農薬粒剤を使用して、図1の被覆装置を
用い、ボールミルで粉砕後75μm のふるいを通過した
水酸化カルシウム2重量%、ポリプロピレンワックス
(Mw=29,000)20重量%、タルク(平均粒
径,5μm )78重量%からなる放出誘導膜組成物1.
25kgを被覆し、さらに低密度ポリエチレン(MI=
23,d=0.916g/cm3 )15重量%、ボールミ
ルで粉砕後75μm のふるいを通過したイソブチレン−
無水マレイン酸共重合体のマレイミド化変性体5重量
%、タルク(平均粒径,5μm )80重量%の放出抑制
膜組成物1.25kgで被覆し本発明の時限放出型被覆
農薬粒剤を得た。
【0039】実施例5 粒状担体としてクレー64重量%、ベントナイト30重
量%、農薬活性成分として2−ベンゾチアゾール−2−
イルオキシ−N−メチルアセトアニリド(87.3%)
6重量%、ポリビニルアルコール1重量%をとり、ニー
ダーで均一に混合し、加水混練した。このとき、ポリビ
ニルアルコールは水に溶解して使用した。この混合物を
スクリュー押し出し式造粒機(スクリーン径0.8mm
φ)で押し出し造粒した後、球形整粒機で整粒した。次
に該造粒物を熱風循環乾燥機を用いて100℃で乾燥し
て篩分けを行った。次に熱可塑性樹脂としてポリエチレ
ンワックス(分子量2000)20重量%と農薬活性成
分2−ベンゾチアゾール−2−イルオキシ−N−メチル
アセトアニリド(87.3%)80重量%の割合で該混
合物を200gを図1の被覆装置を用いて10kgの粒
剤2を被覆し、被覆農薬粒剤を10.2kg製造した。
ふるい後、農薬活性成分6.5%を含有した粒径0.8
〜1.4mmφの農薬粒剤を得た。この農薬粒剤を用い
て、実施例1と同様に製造し二層の被膜による時限放出
型被覆農薬粒剤を得た。
【0040】本発明品の有効性を証明するため若干の試
験例を挙げる。 (水中放出試験)ビーカーに1リットルの水を入れ、本
発明品の多層被覆農薬粒剤を各々0.3gを施用し、定
期的にビーカーの中央部より水溶液をサンプリングし、
農薬活性成分の分析を行った。このときの水温は25℃
で、施用後14日まで行った。この結果を図2に示す。
比較例として本発明を構成する速効性農薬部の被覆して
いない農薬粒剤を比較例1、比較例1の粒剤に実施例1
と同様に二層被覆をした農薬粒剤を比較例2として供試
した。施用量は本発明品と同等になるよう加減した。結
果を図2によって説明する。実施例1〜5の水中放出試
験結果からも明らかなように、ビーカーに施用直後から
一定期間は農薬活性成分の放出は抑えられた。特に、実
施例1〜3の結果より徐放性農薬組成物に用いた熱可塑
性樹脂の種類の選択により放出速度を制御できることが
明らかとなった。また、実施例1、4の結果より本発明
品は放出を長期間持続させることが明らかとなった。実
施例1、4は雑草種子の発芽抑制効果が見込まれる。実
施例5の結果から実施例1と比較して、粒状担体への農
薬活性成分の添加は放出直後の農薬活性成分量の確保に
有効であることが実証された。比較例1はビーカーに施
用直後から放出開始し農薬活性成分の濃度が早期に高ま
るため、水稲苗移植と同時に施用することは不可能であ
り、比較例2は時限効果はあるものの放出が急速である
ことから各実施例と比較して薬効が切れやすいものと推
察された。
【0041】
【発明の効果】本発明は、鉱物質を主成分とする粒状担
体の表面に農薬活性成分と熱可塑性樹脂からなる組成物
で被覆した被覆農薬粒剤を用いて、その表面を樹脂を主
成分とする被膜材料を用いて放出誘導膜と放出抑制膜か
らなる二層を形成させ、その相互作用により農薬活性成
分の放出において、時限放出制御機能と徐放機能を両立
させた時限放出型被覆農薬粒剤である。その効果は具体
的には次の通りである。 (1)本発明の二層被膜によりあらゆる粒状担体の農薬
時限放出制御ができるようになった。 (2)農薬活性成分と熱可塑性樹脂からなる徐放性農薬
組成物の熱可塑性樹脂の選択により放出開始後の放出速
度を制御できるようになった。 (3)上記効果の(1)、(2)によりあらゆる放出特
性を有する農薬粒剤ができた。 (4)本発明品の使用により、水稲苗の移植と同時に農
薬を施用できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造例に使用した噴流カプセル化装置
のフローシートである。
【図2】実施例1〜5、比較例1、2の水中農薬活性成
分濃度の推移。
【符号の説明】
1 噴流塔 2 粒剤投入口 3 排ガス出口 4 スプレーノズル 5 粒状物質 6 ポンプ 7 抜き出し口 8 熱交換器 9 オリフィス流量計 10 ブロアー 11 溶解槽 12 被覆液

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉱物質を主成分とする粒状担体の表面を
    農薬活性成分と熱可塑性樹脂からなる組成物で被覆した
    被覆農薬粒剤を用い、該被覆粒剤の表面を樹脂を主成分
    とする被膜材料を用いて被覆して、上述の被覆に係る放
    出誘導膜と上述の被膜材料に係る放出抑制膜からなる二
    層を形成させ、該両層の相互作用により農薬活性成分の
    放出を時限制御する如くしてなる時限放出型被覆農薬粒
    剤。
  2. 【請求項2】 熱可塑性樹脂がろう状物質、生分解性高
    分子、水溶性高分子の中から選ばれた1種以上の物質で
    あることを特徴とする請求項1に記載の時限放出型被覆
    農薬粒剤。
  3. 【請求項3】 放出誘導膜の被膜材料が熱可塑性樹脂及
    びアルカリ性物質を主成分とし、放出抑制膜がオレフィ
    ンの重合体または共重合体にアルカリ水可溶性重合体を
    添加した組成物を主成分とする二層の被膜であることを
    特徴とする請求項1または請求項2に記載の時限放出型
    被覆農薬粒剤。
  4. 【請求項4】 放出誘導膜の被膜材料が水膨潤性物質を
    主成分とし、放出抑制膜がオレフィンの重合体または共
    重合体を主成分とする二層の被膜である請求項1ないし
    請求項3のいずれかに記載の時限放出型被覆農薬粒剤。
  5. 【請求項5】 水不溶性または水難溶性無機粉体を放出
    抑制膜に分散含有させてなる請求項1ないし請求項4の
    いずれかに記載の時限放出型被覆農薬粒剤。
  6. 【請求項6】 鉱物質を主成分とする粒状担体に農薬活
    性成分を添加してなることを特徴とする請求項1ないし
    請求項5のいずれかに記載の時限放出型被覆農薬粒剤。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10212205A (ja) * 1997-01-29 1998-08-11 Chisso Corp 時限放出制御型被覆農薬粒剤
JP2002161010A (ja) * 2000-11-28 2002-06-04 Dainichiseika Color & Chem Mfg Co Ltd 砂場用抗菌剤
JP2004292319A (ja) * 2003-03-25 2004-10-21 Chisso Corp 被覆粒状物

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