JPH09214214A - 誘電体共振器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 接着剤を用いることなく、かつ共振部のみに
誘電材料を適用するようにしてなる誘電体共振器を提供
する。 【解決手段】 誘電材料で形成され、中心に貫通孔３が
形成された板状誘電体磁器２と、樹脂材料で形成され、
前記貫通孔３に挿入される連結部７と、据付面に取付け
られる足部６とが連成された支持台５とを備えてなり、
連結部７を、足部６から上方突成されて内外方向へ撓む
複数の弾性突片８，８により構成し、貫通孔３に下方か
ら挿入された弾性突片８，８を、該弾性突片８，８の外
方への復元弾力により貫通孔３内面に圧接することによ
り、誘電体磁器２を支持台５に固結して、誘電体共振器
１を構成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、高周波帯域で濾波
器，発振器等に用いられる誘電体共振器装置を構成する
誘電体共振器に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来この種の誘電体共振器ａは、図９に
示すように、金属製容器等の基体ｘに、その誘電体本来
のＱ特性を得るためにアルミナ、フォルステライト等か
らなる絶縁性支持台ｂを介して取付けられ、誘電体共振
器装置を構成している。この誘電体共振器ａと支持台ｂ
との接合面及び支持台ｂと基体ｘとの接合面は夫々ガラ
スグレース系接着剤やシリカ系無機接着剤等からなる耐
熱性接着剤層ｃ，ｄを介して接合される。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前記誘電体共振器ａ
は、その共振に伴なって自己発熱し、特に高パワーで駆
動する際には高周波になればなるほど発熱量が多くな
る。

【０００４】このため、共振器ａが蓄熱されて高温化
し、絶縁性支持台ｂや、基体ｘとの温度−線膨張係数の
相違により、誘電体共振器ａと支持台ｂとの接合面（接
着剤層ｃ）又は支持台ｂと基体ｘとの接合面（接着剤層
ｄ）で剥離を生じたり、共振特性の変化を生じるという
欠点があった。さらには、接着剤層の塗布及びその乾燥
時間を要し、作業性が悪い等の問題点もあった。

【０００５】一方、このような問題点を解決するため
に、誘電体共振器と支持台とを誘電材料で一体的に形成
する手段も提案されたが、該誘電体材料は高価なもので
あり、かかる構成にあっては一体形成によると、誘電体
材料の使用量が多くなり、誘電体共振器が高価となる。
しかも形状が複雑化するため、ラバープレス等の手段を
用いて成形する必要があり、製造が面倒である等の問題
点があった。本発明は、接着剤を用いることなく、かつ
共振部のみに誘電材料を適用するようにしてなる誘電体
共振器を提供することを目的とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、誘電材料で形
成され、中心に貫通孔が形成された板状誘電体磁器と、
樹脂材料で形成され、前記貫通孔に挿入される連結部
と、据付面に取付けられる足部とが連成された支持台と
を備えてなり、支持台の連結部を、足部から上方突成さ
れて内外方向へ撓む複数の弾性突片により構成し、貫通
孔に下方から挿入された弾性突片を、該弾性突片の外方
への復元弾力により貫通孔内面に圧接することにより、
誘電体磁器を支持台に固結するようにしたことを特徴と
する誘電体共振器である。ここで前記連結部の中心に嵌
入空隙を形成し、該嵌入空隙に保持ピンを上方から挿入
することにより、貫通孔内に挿入された弾性突部の内方
撓みを阻止するようにしても良い。

【０００７】また、同様に弾性突片を備えたものとし
て、支持台の連結部を、足部から上方突成されて内外方
向へ撓み、かつその上端に外方へ突出する係止爪を形成
してなる複数の弾性突片により構成し、貫通孔に下方か
ら挿入した弾性突片の係止爪と、足部とで誘電体磁器を
挟持することにより誘電体磁器を支持台に固結するよう
にしたことを特徴とする誘電体共振器である。

【０００８】かかる構成にあっては、支持台の連結部
を、足部から上方突成されて内外方向へ撓む複数の弾性
突片により構成したものであるから、誘電体磁器と支持
台との連結は、前記弾性突片を下方から貫通孔に圧入す
るか、又は該圧入と共に補助的に連結部の中心に形成し
た嵌入空隙に保持ピンを上方から挿入するだけで良いか
ら、組み付けが容易となる。また、誘電体磁器と支持台
とは接着剤を用いず、機械的に結合するものであるた
め、共振部（誘電体磁器）が共振により自己発熱して
も、該支持台との間には接着剤層がないので、剥離して
分離を生じることがない。

【０００９】さらには、板状誘電体磁器のみを誘電材料
で形成したから、該材料の使用量が少なく低廉となり、
しかも誘電体磁器は単純形状であるため、成形に困難性
がなく、一方、支持台は、樹脂材料で形成したから、通
常の成形手段により、容易に形成できる。

【００１０】ここで、据付面への固定は、前記支持台
に、その中心線に沿って螺子頭の係止面を備えた螺挿孔
を形成し、該螺挿孔に挿入した取付螺子により、据付面
に螺着したり、前記支持台の周囲に取付孔を有する鍔部
を形成し、該取付孔に挿入した取付螺子により、据付面
に螺着して施される。

【００１１】上述のように螺子固定した場合には、誘電
体磁器と支持台のみではなく、支持台と基体間も接着剤
を用いず、機械的に結合するものであるため、共振部が
共振により自己発熱しても、支持足部と基体間の剥離に
よる脱落等を生じることがない。また、支持台に螺挿孔
を形成した構成にあっては、露出面積が広くなり、放熱
効果が高い。さらには、支持台は基体に対して取付螺子
により据付面に固定しているから、連結強度が向上す
る。

【００１２】

【発明の実施の形態】添付図面に従って本発明の実施例
を説明する。図１は、本発明に係る誘電体共振器１ａ，
１ｂを、金属製容器等の基体ｘの取付部ｙに固着した構
成の誘電体共振器装置を示すものである。

【００１３】ここで、図２〜図３に従って、誘電体共振
器１ａの構成を説明する。この誘電体共振器１ａは径大
の円板状誘電体磁器２と、支持台５とを備えてなる。こ
こで誘電体磁器２はTiO₂系やBaO-TiO₂系等の誘電材料で
プレス成形等により形成してなり、その中心に貫通孔３
が形成される。また誘電体磁器２の外周形状は、円形の
ほか正方形としても良い。そして誘電体磁器２は支持台
５に固結され、該支持台５の下面を固定面とし、基体と
なる金属製容器ｘの取付部ｙ上面を据付面として固定さ
れる。

【００１４】この支持台５の構成について説明すると、
該支持台５は、貫通孔３の内径よりも径大の足部６と、
その上面から、二片の弾性突片８，８を上方突成してな
る連結部７とをフッ素樹脂等の樹脂材料により一体形成
してなるものである。ここで弾性突片８，８は、その外
面が中腹で突出したく字形面を備え、その突出縁を圧接
縁９，９とし、足部６と連接する基部を中心に内外方向
へ撓む。この両弾性突片８，８は、図３の支持台５の分
離状態で、圧接縁９，９の間隔が貫通孔３の内径よりも
少し大となるようにあらかじめ成形される。

【００１５】かかる構成にあって、誘電体磁器２と支持
台５を組み付けるには、連結部７を貫通孔３に下方から
挿入する。このとき弾性突片８，８は、その外面がく字
形面となっており、弾性突片８，８の最先端の外側幅が
貫通孔３の内径よりも小さいから、容易に挿入すること
ができ、その挿入に伴って、圧接縁９，９が貫通孔３の
内面により内方へ撓む。そして、その復元弾力により、
圧接縁９，９が貫通孔３の内面に圧接することとなる。
この状態で、誘電体磁器２は、足部６の上面に支持さ
れ、かつ貫通孔３の内面に圧接縁９，９が圧接し、支持
台５に対して嵌着保持されることとなる。

【００１６】ところで、かかる構成にあって、前記弾性
突片８，８は復元弾力のみにより、貫通孔３の内面に圧
接しているものであるから、誘電体磁器２を支持台５に
対して強く引張すると、弾性突片８，８は貫通孔３から
の離脱が可能となる。

【００１７】そこで、連結部７の保持力を増す手段とし
て、図４で示すように貫通孔３に弾性突片８，８を挿入
した後に、弾性突片８，８間に形成された嵌入空隙１０
に、上方から保持ピン１３を挿入する。この保持ピン１
３は、栓１１の操作板部１２に下方突成されている。こ
れにより、保持ピン１３によって弾性突片８，８の内方
への撓みが阻止され、貫通孔３の内面に圧接縁９，９が
圧接した状態を維持される。而して、誘電体磁器２は、
支持台５に対して、堅固に保持されることとなる。上述
の実施例では、保持ピン１３を、栓１１の一部により構
成することにより、前記操作板部１２によって貫通孔３
が遮蔽されるから、該貫通孔３内への異物の流入が阻止
される。尚、保持ピン１３は操作板部１２と連成されな
い、単一構造の短柱状としても良い。

【００１８】この支持台５の取付部ｙ等の据付面への固
定手段につき説明する。図２，３で示すように、支持台
５の下部には、鍔部１５が形成される。この鍔部１５に
は、複数の取付孔１６が等間隔で形成される。この取付
孔１６は透孔であっても良く、側方からの取付螺子１７
の付装を許容する側方へ開口した溝孔であっても良い。
そして、該取付孔１６に取付螺子１７が挿入され、取付
部ｙに形成した螺子孔１８に螺合緊締する。尚、この取
付螺子１７は、上述したように、取付部ｙに形成した透
孔に挿入して、その挿入端にナットを螺合緊締すること
により螺着させても良い。

【００１９】次に他の構成の誘電体共振器１ｂにつき説
明する。この誘電体共振器１ｂは、上述した円板状誘電
体磁器２と、他の構成の支持台２０とで構成される。こ
の支持台２０は、短円柱状の足部２１の上面から、二片
の弾性突片２３，２３からなる連結部２２を上方突成し
たフッ素樹脂等の樹脂材料からなり、弾性突片２３，２
３の上端には、外方へ突出する三角状の係止爪２４，２
４が形成されている。そして、前記係止爪２４，２４の
下端から、足部２１の上面までの距離を貫通孔３の長さ
にほぼ一致させている。また離脱状態で、係止爪２４，
２４を除く弾性突片２３，２３間の外側間隔を貫通孔３
の内径とほぼ等しいか、少し大きくしている。

【００２０】かかる構成にあって、誘電体磁器２と支持
台２０を組み付けるには、連結部２２を貫通孔３に下方
から挿入する。このとき弾性突片２３，２３の内方への
撓みにより、係止爪２４，２４があってもその挿入が可
能となる。そして足部２１の上面が誘電体磁器２下面に
当接した状態で、係止爪２４，２４のみが貫通孔３から
上方へ突出し、連結部２２は復元し、係止爪２４，２４
が貫通孔３周囲の誘電体磁器２上面に係合する。これに
より、誘電体磁器２は係止爪２４，２４と足部２１上面
で挟持され、該支持台２０に保持されることとなる。

【００２１】この支持台２０の取付部ｙ等の据付面への
固定手段につき説明する。図６で示すように、支持台２
０には、その中心線に沿って螺挿孔２５が形成される。
この螺挿孔２５は、その下部を径小として、取付螺子３
０の螺子頭が係合する係止面２６を形成している。そし
て、螺挿孔２５に取付螺子３０を挿入し、その螺子部を
取付部ｙに形成した透孔３１に挿入し、挿入端にナット
３２を螺合して緊締し、これにより、取付螺子３０で誘
電体共振器１を固定するようにしている。尚、取付部ｙ
に直接雌螺子を形成し、該取付螺子３０の螺子部を螺合
しても良い。また図８で示すように、支持台２０の下面
に複数の盲螺子孔３４を刻設し、外方より取付螺子３３
を、取付部ｙの透孔３１を通して前記盲螺子孔３４に螺
合することによって誘電体共振器１を固定しても良い。

【００２２】図５は、図２，３の構成の誘電体共振器１
ａにあって螺装孔２５を適用した変形例である。この固
定手段は図６と同様であり、同一符合を付して説明を省
略する。尚、前記支持台２０の構成にあって、図２，４
のように、複数の取付孔１６が等間隔で形成された鍔部
１５を形成したり、図８のように支持台２０の下面に盲
螺子孔３２を形成するようにしても、勿論良い。

【００２３】ところで、このように螺挿孔２５を形成し
た場合には、外気と接触する露出面積が広くなり、共振
により自己発熱を生じた誘電体磁器２の熱は、螺挿孔２
５を介して気中又は、取付部ｙ側へ放熱され該誘電体磁
器２の温度上昇を防止することができる。このほか螺挿
孔２５の内部に、誘電体材料よりなるチューニング棒を
進退自在に挿入することにより、共振器本体１の共振周
波数を所定値に調整することを可能とする利点もあわせ
て生ずる。このため上述したように、誘電体共振器１を
固定するために、支持台５，支持台２０の下部に、鍔部
１５を形成した場合にあっても、支持台５，支持台２０
の中心線に沿って、貫通孔又は有底孔を形成するように
しても良い。

【００２４】前記各実施例にあって、二片の弾性突片
８，８，弾性突片２３，２３を備えた支持台５，支持台
２０を示したが、例えば四片等多数の弾性突片８，８，
弾性突片２３，２３を形成するようにしても良い。

【００２５】本発明に係る誘電体共振器１はストリップ
ライン等にも組み込むことができ、この場合には、誘電
体基板の表面が据付面となり、上述の固定手段を介して
その上面に実装固定することができる。

【００２６】

【発明の効果】本発明は、上述したように、誘電材料で
形成され、中心に貫通孔が形成された板状誘電体磁器
と、樹脂材料で形成され、前記貫通孔に挿入される複数
の弾性突片からなる連結部と、据付面に取付けられる足
部とが連成された支持台とを備えてなり、誘電体磁器を
弾性突片を介して支持台に固結するようにしたものであ
り、このため、次のような効果がある。イ ) 共振部（誘電体磁器）と、支持台とは接着剤を用い
ず、機械的に結合するものであるため、共振部が共振に
より自己発熱しても、誘電体磁器が熱歪みにより剥離す
ることがない。ロ ) 板状誘電体磁器のみを誘電材料で形成したから、該
材料の使用量が少なく低廉となる。ハ ) 誘電体磁器は単純形状であるため、成形に困難性が
なく、一方、支持台は、樹脂材料で形成したから、通常
の成形手段により、容易に形成でき、従って、製造が簡
単である。ニ ) 誘電体磁器と支持台との連結は、前記弾性突片を下
方から貫通孔に圧入するか、又は該圧入と共に補助的に
連結部の中心に形成した嵌入空隙に保持ピンを上方から
挿入するだけで良いから、組み付けが容易となる。ホ ) 支持台は基体に対して取付螺子により据付面に固定
した場合には、連結強度が向上し、該誘電体共振器の据
付面からの熱歪等による剥離を阻止できると共に、連結
用の接着剤を用いないから組み付け工程が簡易となる。ヘ ) 支持台に螺挿孔を形成した構成にあっては、露出面
積が広くなり、共振部で発生した熱の放散性を高めて、
該共振部の温度上昇を防止したり、螺挿孔の内部にチュ
ーニング棒を進退自在に挿入して共振器の共振周波数を
所定値に調整することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】基体（金属製容器）ｘ内に固定した状態の誘電
体共振器装置の一例を示す一部切欠側面図である。

【図２】誘電体共振器１ａの縦断側面図である。

【図３】誘電体共振器１ａの分離斜視図である。

【図４】保持ピン１３を適用した誘電体共振器１ａの変
形例を示す縦断側面図である。

【図５】誘電体共振器１ａの変形例を示す縦断側面図で
ある。

【図６】誘電体共振器１ｂの縦断側面図である。

【図７】支持台２０の斜視図である。

【図８】誘電体共振器１ｂに他の取付手段を適用した変
形例を示す縦断側面図である。

【図９】従来構成の縦断側面図である。

【符号の説明】

１ａ，１ｂ 誘電体共振器 ２ 誘電体磁器 ３ 貫通孔 ５ 支持台 ６ 足部 ７ 連結部 ８ 弾性突片 ９ 圧接縁 １０ 嵌入空隙 １３ 保持ピン １５ 鍔部 ２０ 支持台 ２１ 足部 ２２ 連結部 ２３ 弾性突片 ２４ 係止爪 ２５ 螺挿孔

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】誘電材料で形成され、中心に貫通孔が形成
   された板状誘電体磁器と、 樹脂材料で形成され、前記貫通孔に挿入される連結部
   と、据付面に取付けられる足部とが連成された支持台と
   を備えてなり、 支持台の連結部を、足部から上方突成されて内外方向へ
   撓む複数の弾性突片により構成し、貫通孔に下方から挿
   入された弾性突片を、該弾性突片の外方への復元弾力に
   より貫通孔内面に圧接することにより、誘電体磁器を支
   持台に固結するようにしたことを特徴とする誘電体共振
   器。
2. 【請求項２】前記連結部の中心に嵌入空隙を形成し、該
   嵌入空隙に保持ピンを上方から挿入することにより、貫
   通孔内に挿入された弾性突部の内方撓みを阻止するよう
   にした請求項１記載の誘電体共振器。
3. 【請求項３】誘電材料で形成され、中心に貫通孔が形成
   された板状誘電体磁器と、 樹脂材料で形成され、前記貫通孔に挿入される連結部
   と、据付面に取付けられる足部とが連成された支持台と
   を備えてなり、 支持台の連結部を、足部から上方突成されて内外方向へ
   撓み、かつその上端に外方へ突出する係止爪を形成して
   なる複数の弾性突片により構成し、貫通孔に下方から挿
   入した弾性突片の係止爪と、足部とで誘電体磁器を挟持
   することにより誘電体磁器を支持台に固結するようにし
   たことを特徴とする誘電体共振器。
4. 【請求項４】据付面への固定を、前記支持台に、その中
   心線に沿って螺子頭の係止面を備えた螺挿孔を形成し、
   該螺挿孔に挿入した取付螺子により、据付面に螺着して
   施した請求項１又は請求項３記載の誘電体共振器。
5. 【請求項５】据付面への固定を、前記支持台の周囲に取
   付孔を有する鍔部を形成し、該取付孔に挿入した取付螺
   子により、据付面に螺着して施した請求項１又は請求項
   ３記載の誘電体共振器。
6. 【請求項６】据付面への固定を、前記支持台の下面に螺
   子孔を刻設し、据付面を挿通する取付螺子により支持台
   の螺子孔に螺合して施した請求項１乃至請求項３記載の
   誘電体共振器。