JPH0920986A - エッチング部品の製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 【目的】半導体装置用のリードフレーム等のエッチング
部品の製造方法に係わり、特に、製造工程における異物
付着、キズの発生、および、エッチング部品の変形を防
止したエッチング部品の製造方法に関する。 【構成】エッチング部品の製造方法において、エッチン
グ部品を形成する金属素材と接触し、これを搬送する搬
送用ローラーの両端部を除く領域を凹部とし、かつ、前
記凹部の少なくとも一か所に、搬送中の金属素材の使用
されない廃棄部分の面に接触する円盤状の凸部を設けて
略鼓状の形状とした搬送用ローラーを用いることを特徴
とするエッチング部品の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、半導体装置用のリード
フレーム等のエッチング部品の製造方法に係わり、特
に、製造工程におけるエッチング部品への異物付着、キ
ズの発生、および、変形を防止したエッチング部品の製
造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】半導体装置用のリードフレームを例にと
り、エッチング部品の製造方法の一例を、図５に従って
簡単に説明を行う。まず、図５（ａ）に示すように、リ
ードフレームとなる長尺帯状の金属素材１の両面に、例
えば、カゼインもしくはポリビニルアルコールおよび重
クロム酸アンモニウムからなる水溶性のネガ型感光性樹
脂を塗布し、感光性樹脂層７を形成する。次いで、リー
ドフレームのパターンとなる部位を光透過部とし、リー
ドフレームのパターン部位以外を遮光部とした略同一の
パターンマスクを二枚用い、金属素材１の片面に一枚の
マスクを当て、金属素材１の他方の片面の相対する位置
にもう一枚のマスクを当て、両面より紫外線露光を行
い、リードフレームのパターンとなる部位の感光性樹脂
層７の光硬化を行う。

【０００３】次いで、現像を行うことにより、未露光未
硬化部位の感光性樹脂すなわち、リードフレームのパタ
ーンとなる部位以外の感光性樹脂を除去後、残った感光
性樹脂層に硬膜処理およびバーニングを行ない、図５
（ｂ）に示すように、所定のパターンに従って一部金属
素材１を露出した耐エッチング層８が得られる。次い
で、塩化第二鉄液等のエッチング液を用い金属素材１の
エッチングを両面側から行い、耐エッチング層８から露
出した部位、すなわちリードフレームのパターンとなる
部位以外の金属素材をエッチング除去し貫通させた後、
水洗洗浄を行なうエッチング工程により、図５（ｃ）を
得る。ここで、リードフレームのパターンとなる部位は
エッチングされずに残っているものである。

【０００４】次いで、アルカリ液等を用い耐エッチング
層８の剥離処理および水洗洗浄を行なう剥膜工程により
図５（ｄ）を得た後、長尺帯状の金属素材１を適当な大
きさに断裁する。なお、ここで言う適当な大きさとは、
運搬しやすい大きさの枚葉状態にすること、および、リ
ードフレームの本体をキズつけないよう、多面付けされ
たリードフレームの境界領域で断裁することである。次
いで、必要に応じ、公知の方法によりインナーリードの
先端に部分貴金属メッキ処理等を行なう。次いで、断裁
された金属素材１の不要部位の打ち抜き除去等を行な
い、最終的にリードフレームとする。

【０００５】現在、エッチング部品の製造においては生
産効率を上げるため、長尺帯状の金属素材１を用い、少
なくとも前述した剥膜工程までは、連続した製造ライン
で上記の処理が行われているものである。このため、図
３に示すように、長尺帯状の金属素材１は、搬送用ロー
ラー２と呼称される複数の円筒形のローラー上に載せら
れ、上記の製造ラインを搬送されるものである。例え
ば、搬送用ローラー２が駆動手段（図示せず）により各
々回転することで、搬送用ローラー２上の金属素材１
は、搬送されるものである。

【０００６】しかし、上述した円筒形の搬送用ローラー
２においては、回転する搬送用ローラー２の表面と、金
属素材１表面とが接触するため、金属素材１表面に異物
が付着したり、キズが発生する等が生じていた。特に、
剥膜工程以後において、異物付着、および、キズの発生
が生じ易いといえる。剥膜工程前には、金属素材１表面
は耐エッチング層８で覆われ保護されているといえる
が、剥膜工程以後は金属素材１面が剥き出しになり、搬
送用ローラー２と金属素材１とが直接接触するためであ
る。そのなかでも特に、剥膜工程において、異物付着や
キズが発生し易いといえる。すなわち、剥膜工程では金
属素材１表面に形成された、硬膜処理が施された耐エッ
チング層８を、アルカリ液等により剥離している。この
剥離の際、耐エッチング層８の一部分が、微小な粒子と
なってしまう。この粒子が異物となり、搬送用ローラー
２と金属素材１との接触面に入り込み、金属素材１に再
付着したり、金属素材１に擦りキズを発生させ、最終的
に異物やキズを持つリードフレームとなってしまうとい
える。

【０００７】例えば、セラミックスパッケージ用のリー
ドフレームにおいては、リードフレーム製造の最終段階
で、リードフレーム上にアルミ蒸着を行う場合がある
が、異物が付着したリードフレームにアルミ蒸着を行う
と、異物が付着した部位でアルミ蒸着が妨げられ、リー
ドフレームとしての品質を低下させるという問題が生じ
ていた。

【０００８】従来、上述した、金属素材１表面への異物
付着、および、キズの発生を防止すべく、図４に示す、
両端部を除く領域を窪ませた、例えばダンベル状の断面
形状を持つ搬送用ローラー２が提案されていた。図４に
示すように、搬送用ローラー２の両端部に金属素材１の
搬送方向に対し左右の両端部を載せることで、金属素材
１の搬送を行なっている。また、搬送用ローラー２の中
央領域を窪ませたことで金属素材１の内部領域との接触
を無くし、金属素材１表面、例えば、パターンが形成さ
れた部位への異物付着、および、キズの発生を防止しよ
うとするものである。

【０００９】しかし、近年、エッチング部品に用いられ
る金属素材１の板厚は、例えば 120μｍ程度と薄くなっ
ている。このため、上述した提案の搬送用ローラー２で
は、図４に示すように、搬送中の金属素材１が自重によ
り中央領域の湾曲変形を生じ、ひいては金属素材１に形
成されたエッチング部品が変形するという問題が発生し
ていた。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した事
情に鑑みなされたものであり、板厚が薄いエッチング部
品の製造方法において、エッチング部品への異物付着、
キズ、および、変形の発生を防止したエッチング部品の
製造方法を提供することを目的としている。

【００１１】

【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、所
定パターンに従って一部金属素材面を露出させている耐
エッチング層を表面に形成し、搬送用ローラー上を搬送
される板状の金属素材にエッチング処理を行なうエッチ
ング工程と、前記耐エッチング層を前記金属素材より剥
離する処理を行う剥膜工程と、前記金属素材を適当なる
大きさに断裁する工程とを少なくとも有するエッチング
部品の製造方法において、前記金属素材と接触し、これ
を搬送する搬送用ローラーの両端部を除く領域を凹部と
し、かつ、前記凹部の少なくとも一か所に、搬送中の金
属素材の使用されない廃棄部分の面に接触する円盤状の
凸部を設けて略鼓状の形状とした搬送用ローラーを用
い、金属素材の搬送を行うことを特徴とするエッチング
部品の製造方法を提供することにより、上記の課題を解
決したものである。

【００１２】以下に、図を用い本発明の説明を行う。本
発明のエッチング部品の製造方法においては、長尺帯状
の金属素材１を上に載せ、これを搬送する搬送用ローラ
ー２の形状を、以下に示すようなものとするものであ
る。すなわち図１（ａ）に示すように、本発明に用いる
搬送用ローラー２は、搬送すべき金属素材１の搬送方向
左右の両端部領域と接する部位を除いた領域を、金属素
材と接触しないよう凹状に窪ませた鼓状とするものであ
る。次いで、この凹部の少なくとも一か所に、搬送中の
金属素材１表面に達する高さの凸部３を、搬送用ローラ
ーの回転軸と直角な面をなす円盤状に設けるものであ
り、これが本発明の特徴となっている。

【００１３】また、本発明の変形として、図１（ｂ）に
示すように、ダンベル状の搬送用ローラー２の中央領域
に、搬送中の金属素材１表面に達する高さの凸部３を設
けることも、上記課題解決の手段として有効といえる。

【００１４】通常、リードフレーム等のエッチング部品
は、生産効率を上げるため、個々のエッチング部品を金
属素材１上に多面付けして製造することが普通になって
おり、金属素材の搬送方向左右の板端部、および、金属
素材の内部領域にはエッチングパターンが形成されず最
終的に廃棄される帯状の部位が生じている。

【００１５】例えば、多面付けの例を示す図２において
は、略正方形のリードフレーム４が３×４個連なった１
２個のリードフレームを以て一つのリードフレーム群５
を構成しており、金属素材１の搬送方向に対し左右方向
に二つのリードフレーム群５が形成されている。なお図
２は、説明上一部分のみを記載しているが、実際には、
上記二つのリードフレーム群５が、帯状の金属素材１上
に連続して形成されているものである。

【００１６】各々のリードフレーム群５の外周には、リ
ードフレーム群５に面付けされた個々のリードフレーム
４を保持する役目の枠６が形成されており、この枠６
は、リードフレーム製造の最終段階までに、例えば、面
付けされたリードフレーム４が個々に断裁された後、使
用されずに廃棄される部位である。

【００１７】上述した本発明に用いる搬送用ローラー２
においては、金属素材との接触領域を、リードフレーム
群５の外周に形成された枠６部、もしくは、エッチング
パターンが形成されていない領域とするものである。図
２の例に示すように、搬送用ローラー２の両端部は、各
々のリードフレーム群５の枠６部、すなわち、エッチン
グパターンが形成されていない金属素材１の搬送方向に
対し左右の両端部と接触させている。

【００１８】また、本発明により搬送用ローラー２の中
央領域に設けた凸部３においても、各々のリードフレー
ム群５に形成され、金属素材１の中央部に位置する枠６
部、すなわち、エッチングパターンが形成されていない
部位と接触させるものである。

【００１９】なお、本発明に用いる搬送用ローラー２に
おいては、上述した図に限定されるものではない。ま
た、金属素材１と接する搬送用ローラー２の両端部の
幅、凸部３を設ける場所、凸部３の数、および、凸部３
の幅等は、製造するエッチング部品の仕様、例えば金属
素材１の幅、枠６部の幅、枠６部の形状、または、エッ
チング部品の面付け数等により異なるため、適宜製造仕
様により設定することが望ましいといえる。但し、凸部
３を設ける場所については後述するように金属素材１の
湾曲を防止する意味から、搬送用ローラー２の中央部に
設けることが望ましいといえる。また、上述した説明で
は、金属素材１は長尺帯状としているが、枚葉の金属素
材であっても構わないといえる。

【００２０】また、本発明のエッチング部品の製造方法
においては、上述した搬送用ローラー２を、少なくと
も、特に異物付着、および、キズの発生しやすい剥膜工
程に設けることが望ましいといえるが、必要により剥膜
工程の他の工程、例えばエッチング工程等に設けても構
わないといえる。

【００２１】

【作用】上述した本発明に用いる搬送用ローラーにおい
ては、金属素材との接触領域を、リードフレーム群の外
周に形成された枠部、もしくは、エッチングパターンが
形成されていない部位としている。このため、搬送用ロ
ーラーと金属素材との接触による異物付着、および、キ
ズは、最終的に廃棄される部位に発生し、エッチングパ
ターンが形成された部位には発生しない。

【００２２】また、搬送用ローラーの中央領域に金属素
材と接するように設けた凸部は、金属素材を下から支え
るため、搬送中の金属素材の湾曲を防止するものでる。

【００２３】

【実施例】本発明の実施例を以下に示す。 ＜実施例＞長尺帯状の金属素材１として、幅60cm、板厚
125μm のものを用い、（従来の技術）の項で記した製
造工程に従い、金属素材１に多面付けしたセラッミクス
パッケージ用のリードフレームを形成後、長尺帯状の金
属素材１の断裁、金型を用いた打ち抜き等を行ない、 2
40ピンのセラッミクスパッケージ用のリードフレームを
製造した。また、多面付けは、図２に示すように、略正
方形のリードフレーム４が３×４個連なった１２個のリ
ードフレームを以て一つのリードフレーム群５を構成
し、金属素材１の搬送方向に対し左右方向に二つのリー
ドフレーム群５を形成した。なお、金属素材１の搬送方
向に上記と同様にリードフレーム群５を形成した。ま
た、リードフレーム群５の外周の枠６部の幅は 5cmとし
ている。

【００２４】その際、本発明により剥膜工程の搬送用ロ
ーラー２は、図１（ｂ）に示すダンベル状のものを用い
た。搬送用ローラー２両端部の凸部の幅は各々 5cmと
し、ローラーの中央部に幅 5cmの凸部３を形成し、この
凸部３は搬送される金属素材１と接する高さとした。

【００２５】上記の、本発明による搬送用ローラー２を
用いた製造方法で製造された個々のセラッミクスパッケ
ージ用リードフレームの、搬送用ローラー２との接触に
よる異物付着、キズの発生、および、搬送中の金属素材
１の湾曲による変形不良を調べたが、リードフレームに
は不良が認められなかった。

【００２６】また、本発明による搬送用ローラー２を用
いた製造方法で製造された個々のセラッミクスパッケー
ジ用リードフレームにアルミ蒸着処理を行ったが、異物
付着等による蒸着不良は生じなかった。

【００２７】

【発明の効果】本発明に用いた搬送用ローラーにおいて
は、金属素材との接触領域を、リードフレーム群の外周
に形成された枠部、もしくは、エッチングパターンが形
成されていない部位としている。このため、搬送用ロー
ラーと金属素材との接触による異物付着、および、キズ
は、最終的に廃棄される部位にのみ発生し、エッチング
パターンが形成された部位には発生しない。

【００２８】次いで、搬送用ローラーの中央領域に金属
素材と接するように設けた凸部は、金属素材を下から支
えるため、搬送中の金属素材の湾曲を防止するものであ
る。このため、本発明によるエッチング部品の製造方法
を用いて製造されたエッチング部品は、異物付着、キズ
および変形の無い高品質のものが得られるものであり、
本発明は実用上優れている。

【００２９】

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）〜（ｂ）は、本発明のエッチング部品の
製造方法の一例の要部を示す斜視図。

【図２】本発明のエッチング部品の製造方法の一例の要
部を示す平面図。

【図３】従来のエッチング部品の製造方法の一例の要部
を示す斜視図。

【図４】従来のエッチング部品の製造方法の他の例の要
部を示す断面図。

【図５】（ａ）〜（ｄ）は従来のリードフレームの製造
方法の一例を工程順に示す説明図。

【符号の説明】

１ 金属素材 ２ 搬送用ローラー ３ 凸部 ４ リードフレーム ５ リードフレーム群 ６ 枠 ７ 感光性樹脂層 ８ 耐エッチング層

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】所定パターンに従って一部金属素材面を露
   出させている耐エッチング層を表面に形成し、搬送用ロ
   ーラー上を搬送される板状の金属素材にエッチング処理
   を行なうエッチング工程と、前記耐エッチング層を前記
   金属素材より剥離する処理を行う剥膜工程と、前記金属
   素材を適当なる大きさに断裁する工程とを少なくとも有
   するエッチング部品の製造方法において、前記金属素材
   と接触し、これを搬送する搬送用ローラーの両端部を除
   く領域を凹部とし、かつ、前記凹部の少なくとも一か所
   に、搬送中の金属素材の使用されない廃棄部分の面に接
   触する円盤状の凸部を設けて略鼓状の形状とした搬送用
   ローラーを用い、金属素材の搬送を行うことを特徴とす
   るエッチング部品の製造方法。