JPH09208557A - 新規化合物及びそれを含有する液晶組成物 - Google Patents

新規化合物及びそれを含有する液晶組成物

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JPH09208557A
JPH09208557A JP1790196A JP1790196A JPH09208557A JP H09208557 A JPH09208557 A JP H09208557A JP 1790196 A JP1790196 A JP 1790196A JP 1790196 A JP1790196 A JP 1790196A JP H09208557 A JPH09208557 A JP H09208557A
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liquid crystal
carbon atoms
group
compound
formula
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JP1790196A
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Junko Mizuguchi
純子 水口
Hiroshi Takahashi
浩 高橋
Ryuji Kadota
隆二 門田
Osami Inoue
長三 井上
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Resonac Holdings Corp
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Showa Denko KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 強誘電性液晶材料の添加剤として好適な新規
な化合物を提供する。 【解決手段】 【化1】 (式中R1 、R2 は炭素数6〜12の鎖状アルキル基な
ど、A,B,Cは1,4−フェニレン基など、l,m,
nは0または1、G1 ,G2 はエーテル、−COO−、
−OCO−など)で表される化合物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な液晶性化合
物に関し、さらに詳しくは誘電異方性〓εが負でかつ、
その値が著しく大きな液晶化合物に関するもので、また
これを含有する液晶組成物及び該液晶組成物を使用する
液晶素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】負の誘電異方性(Δε=ε‖−ε⊥<
0、式中はε‖分子の長軸に沿った誘電率であり、そし
てε⊥は分子長軸に対して垂直である誘電率である)を
有する式(I)で示される化合物は、それらの分子の長
軸が電場において、この場の方向に対して垂直に整列さ
れる。
【0003】誘電異方性Δεが負の材料は、電圧の印加
により液晶相が動的散乱を生じることを応用した光散乱
型の液晶表示装置、及び液晶の傾きを制御することによ
り液晶の複屈折を利用して偏光板により多色表示をする
いわゆるDAP型液晶表示装置、さらには特定の色素を
含有させた液晶材料を用いるいわゆるゲスト・ホスト型
の色素表示装置の重要な構成要素であることは既に一般
によく知られている。前記の如く液晶表示装置におい
て、電圧の印加に対して液晶が応答を開始するに必要な
最低の電圧、即ち閾値を低下させるためには、また目視
に対して充分なコントラストを示すに必要な動作電圧を
低下させるためには、液晶材料の誘電異方性Δεは大き
な負の値を持つことが要求されている。しかるに例えば
誘電異方性Δεが負の液晶として良く知られているMB
BA(メトキシベンジリデンブチルアニリン)では誘電
異方性Δεが−0.5、また安息香酸フェニルエステル
類からなる液晶では誘電異方性Δεは高々−0.4の程
度である。従って誘電異方性Δεがさらに大きな負の値
を持つ液晶化合物の出現が望まれていた。
【0004】そのような要望に応える物質の1つとして
分子側方にシアノ基を二個有する物質が提案(特開昭5
9−10557号公報)されてはいたが、粘度が非常に
高くなり、少量を添加するに留まっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであっ
て、強誘電性液晶材料の添加剤として好適に用いること
ができ、下記のような特性を有する新規な化合物を提供
するものである。 1.それ自体物理的化学的に安定な化合物。 2.他の液晶化合物あるいは液晶組成物と混合すること
により、または単独で強誘電性を発現させ、広い温度範
囲でキラルスメクチックC相を示す液晶組成物が得られ
ること。 3.大きな負の誘電異方性Δεを有すること。 4.低粘性を有し、高速応答性の液晶組成物が得られる
こと。 5.メモリー特性の閾値が向上し、十分高いコントラス
ト比の液晶組成物が得られること。 本発明はまた、上記特性を有する液晶組成物並びに液晶
素子を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る2,3−ジ
フロロ安息香酸チオエステル誘導体は、一般式(I)で
表されることを特徴とする。
【化5】 (式(I)中R1 及びR2 は各々独立に炭素数1〜18
の鎖状アルキル基、炭素数3〜18の鎖状アルケニル
基、炭素数3〜18の鎖状アルキニル基またはアルコキ
シ部分の炭素数1〜3でアルキル部分の炭素数1〜18
の鎖状アルコキシアルキル基を示し、またはこれらは1
つ以上のハロゲン原子で置換されたものであってもよ
い;R1 及びR2 には不斉炭素原子を含んでよい;A,
B,Cは、各々独立に次式
【化6】 で表す群から選ばれる基を示す;l,m,nは各々0ま
たは1を示し、l+m+nは0であることはない;G1
は単結合、エーテル、−COO−または−OCO−を示
す;G2 は単結合、エーテル、−COO−、−OCO
−、−CO−、−CH=CH−または−CH=C
(X”)−COO−を示す;X,X’,X”は各々水素
原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜5のアルキ
ル基、アルコキシ基またはトリハロアルキル基を示
す)。
【0007】本発明に係る液晶組成物は、上記式(I)
で表されるジフロロ安息香酸チオエステル誘導体を少な
くとも1種以上含有する。
【0008】本発明に係る強誘電性キラルスメクチック
液晶組成物は、キラルスメクチックC相またはスメクチ
ックC相を示す液晶化合物または組成物と、上記式
(I)で表される2,3−ジフロロ安息香酸チオエステ
ル誘導体とを含有している。
【0009】本発明に係る液晶素子は、印加電圧手段を
有する一対の基板と、これらの基板に挟まれた液晶層
と、少なくとも一方の基板の液晶層側に設けられた配向
制御層からなり、該液晶層には、上記一般式(I)で表
される2,3−ジフロロ安息香酸チオエステル誘導体が
一種以上含有されていることを特徴としている。
【0010】本発明に係る2,3−ジフロロ安息香酸チ
オエステル誘導体は、物理的化学的に安定であり、低粘
度を有し、また大きな負の誘電異方性Δεを有し、該
2,3−ジフロロ安息香酸チオエステル誘導体と他の液
晶化合物とからなる液晶組成物は、広い温度範囲でキラ
ルスメクチックC相を示し、低粘度を有し、印加電圧に
対して高速応答性を示す。またこの2,3−ジフロロ安
息香酸チオエステル誘導体が、液晶組成物中に少量含有
されることにより、メモリー特性の閾値が向上され、十
分高いコントラスト比の液晶組成物が得られる。本発明
に係る液晶素子には、上記特性を有する液晶組成物が用
いられており、上記のような優れた特性を有する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、先ず初めに本発明に係る新
規な2,3−ジフロロ安息香酸チオエステル誘導体につ
いて具体的に説明する。本発明に関わる2,3−ジフロ
ロ安息香酸チオエステル誘導体は、一般式(I)で表さ
れる。
【化7】 式(I)中R1 及びR2 は各々独立に炭素数1〜18、
好ましくは3〜12の鎖状アルキル基、炭素数3〜12
の鎖状アルケニル基、炭素数3〜12の鎖状アルキニル
基またはアルコキシ部分の炭素数1〜3でアルキル部分
の炭素数3〜12の鎖状アルコキシアルキル基を示し、
またはこれらは1つ以上のハロゲン原子で置換されたも
のであってもよい。またこれらの基は、直鎖状であって
も分岐状であってもよい。また上記R1 及びR2 には不
斉炭素原子を含んでよい。R1 及びR2 は特に好ましく
は炭素数6〜12個の鎖状アルキル基である。A,B,
C は、各々独立に次式
【化8】 で表される群から選ばれた基を示す。l,m,nは各々
0または1を示し、l+m+nは0であることはない。
1 は単結合、エーテル、−COO−または−OCO−
を示す。G2 は単結合、エーテル、−COO−、−OC
O−、−CO−、−CH=CH−または−CH=C
(X”)−COO−を示す。X,X’,X”は各々水素
原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜5のアルキ
ル基、アルコキシ基またはトリハロアルキル基を示
す。)で表される。好ましくはエーテル基を示す。
【0012】上記一般式におけるR1 及びR2 は、上記
のようにアルキル基、アルケニル基、アルキニル基を示
すが、そのうちのアルキル基としては、具体的には、例
えばメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−
ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチ
ル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ド
デシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペン
タデシル、イソプロピル、t−ブチル、2−メチルプロ
ピル、1−メチルプロピル、3−メチルブチル、2−メ
チルブチル、1−メチルブチル、4−メチルペンチル、
3−メチルペンチル、2−メチルペンチル、1−メチル
ペンチル、5−メチルヘキシル、4−メチルヘキシル、
3−メチルヘキシル、2−メチルヘキシル、1−メチル
ヘキシル、6−メチルヘプチル、5−メチルヘプチル、
4−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、2−メチル
ヘプチル、1−メチルヘプチル、7−メチルオクチル、
6−メチルオクチル、5−メチルオクチル、4−メチル
オクチル、3−メチルオクチル、2−メチルオクチル、
1−メチルオクチル、8−メチルノニル、7−メチルノ
ニル、6−メチルノニル、5−メチルノニル、4−メチ
ルノニル、3−メチルノニル、2−メチルノニル、1−
メチルノニル、3,7−ジメチルオクチル、3,7,1
1−トリメチルドデシルなどの基が挙げられる。
【0013】アルケニル基としては、具体的には、例え
ば2−プロペニル、3−ブテニル、4−ペンテニル、5
−ヘキセニル、6−ヘプテニル、7−オクテニル、8−
ノネニル、9−デセニル、10−ウンデセニル、11−
ドデセニル、12−トリデセニルなどの直鎖状のもの、
1−メチル−2−プロペニル、3−メチル−3−ブテニ
ルなどの分岐を有するアルケニル基が挙げられる。ま
た、アルキニル基としては、具体的には、例えば2−プ
ロピニル、3−ブチニル、5−ヘキシニル、7−オクチ
ニルなどの直鎖状のもの、1−メチル−2−プロピニル
などの分岐を有するアルキニル基が挙げられる。好まし
くはR1 はn−オクチル、R2 はn−ブチル、n−ヘプ
チル、n−オクチルまたは2−メチルブチルである。
【0014】本発明に係る一般式(I)で表される化合
物は、下記式(IV)で示される化合物と、下記式(V)
で示される化合物とを反応させることによって製造する
ことができるがこの合成法に限らない。例えば、酸クロ
ライド法などがある。
【化9】 [式中、R1 ,R2 ,A,B,C,l,m,n,G1
びG2 は、それぞれ前記式(I)の場合と同じ。]
【0015】特に、上記式(I)において、Aがフェニ
ル,m=n=0,G1 が単結合,G 2 がエーテルである
場合を例にとって詳説すると、本発明に係る2,3−ジ
フロロ安息香酸チオエステル誘導体(I’)は、下記式
(IV’)で示される化合物と、下記式(V’)で示され
る化合物とを反応されることにより製造することができ
る。
【化10】 [式(IV’)、(V’)中のR1 およびR2 は、式
(I’)中のR1 およびR2 と同様な意味を表してい
る。] すなわち、一般式(IV)で表される2,3−ジフロロ安
息香酸と、液晶性母核と成り得る一般式(V)で表され
るチオフェノール誘導体とを、ジシクロヘキシルカルボ
ジイミド(以下DCCと略す)、ジメチルアミノピリジ
ン(以下DMAPと略す)の存在下で反応させることに
より、目的とする2,3−ジフロロ安息香酸チオエステ
ル誘導体を製造することができる。このような反応に
は、式(IV)で表される化合物1モルに対して、式
(V’)で表される化合物は、理論的には当モル量で用
いればよいが、通常では、1.0〜1.2モル程度の量
で用いられる。この際の反応温度は、通常室温である。
一般式(V)で表されるチオフェノール誘導体として
は、具体的には、例えばチオフェノール,チオナフタレ
ン,チオピリミジンなどが挙げられる。このような式
(I)で表される2,3−ジフロロ安息香酸チオエステ
ル誘導体の合成の際には、溶媒として、ジクロロメタ
ン、テトラヒドロフラン、エーテル等の溶媒を1種また
は2種以上適宜組み合わせて用いることができる。
【0016】上述したように本発明に係る2,3−ジフ
ロロ安息香酸チオエステル誘導体は、物理的化学的に安
定であり、1種または2種以上のこの2,3−ジフロロ
安息香酸チオエステル誘導体と、他のキラルスメクチッ
クC相及びスメクチックC相を有する液晶化合物(組成
物)とを混合してなる液晶は、広い温度範囲でキラルス
メクチックC相を示す。
【0017】また本発明の2,3−ジフロロ安息香酸チ
オエステル誘導体を、ホスト液晶に少量(例;液晶組成
物に0.5〜40重量%程度)で添加することにより、
粘度の上昇を抑え、負の誘電異方性Δεを高め、印加電
圧に対して高速応答性を示し、応答速度とメモリー特性
の閾値が向上され、十分高いコントラスト比を有する液
晶組成物が得られる。
【0018】さらに具体的に説明すると、上記一般式
(I)で表される化合物を、少量用いることにより十分
に粘度を保持したまま負の誘電異方性Δεをもつ組成物
を得ることができた。例えば、後述する実施例4にも示
されるように、実施例1で得られた化合物を僅か10重
量%と、キラルスメクチックC相を示す母体液晶(「ホ
スト液晶」とも言う)90重量%から成るキラルスメク
チックC液晶組成物では、20℃における粘性は50c
P、誘電異方性Δεは−2.0を示した。また、一般式
(I)で表される2,3−ジフロロ安息香酸チオエステ
ル誘導体を添加しなかったキラルスメクチックC液晶組
成物(ホスト液晶のみ)では、20℃における粘性は5
0cPであり、本発明の2,3−ジフロロ安息香酸チオ
エステル誘導体を含有する液晶組成物では、ホスト液晶
のみからなるものと比べて誘電異方性Δεが大きくな
り、しかも粘度の上昇をおさえていた。本発明の2,3
−ジフロロ安息香酸チオエステル誘導体は、従来の誘電
異方性Δεを付与する際の粘度の上昇を抑えることに著
しく寄与したことがわかる。
【0019】また、実施例5に示されるように、フェニ
ルピリミジン系液晶に化合物(XI)を10%添加した
液晶組成物に上記一般式(I)で表される2,3−ジフ
ロロ安息香酸チオエステル誘導体を少量添加することに
より、誘電異方性Δεは負に大きくなりかつ粘度は著し
く低下していた。下記化合物(III)
【化11】 についても同様に、上記一般式(I)を添加することに
より誘電異方性Δεを負に大きくし、粘度を低下させ
た。本発明の2,3−ジフロロ安息香酸チオエステル誘
導体は、下記化合物(II)、上記の化合物(III) につい
て誘電異方性Δεを負に大きくし、粘度を低下させ、各
々の組成物は液晶組成物として有用であった。
【0020】
【化12】 (式(II)中R1'及びR2'は各々独立に炭素数1〜18
の鎖状アルキル基、炭素数3〜18の鎖状アルケニル
基、炭素数3〜18の鎖状アルキニル基またはアルコキ
シ部分の炭素数1〜3でアルキル部分の炭素数1〜18
の鎖状アルコキシアルキル基を示し、またはこれらは1
つ以上のハロゲン原子で置換されたものであってもよ
い;R1'及びR2'には不斉炭素原子を含んでよい;mは
0または1である。)
【0021】さらに、本発明に係る2,3−ジフロロ安
息香酸チオエステル誘導体は、光学活性基を有してもよ
いが、該誘導体の側鎖にキラル基を有していると、キラ
ルスメクチック相、コレステリック相のHTP(ヘリカ
ルツイストパワー)や誘起自発分極の特性を調製するこ
とが可能となる。
【0022】また、一般式(I)で表される2,3−ジ
フロロ安息香酸チオエステル誘導体は、単独で用いても
よく、2種以上組み合わせて(例;ラセミ体)用いても
よい。本発明では、この2,3−ジフロロ安息香酸チオ
エステル誘導体を単独で用いるよりも、1種または2種
以上の該2,3−ジフロロ安息香酸チオエステル誘導体
と、他の液晶(ホスト液晶)などとを組み合わせてなる
液晶組成物として用いることがより好適である。
【0023】このような液晶組成物としては、一般式
(I)で表される化合物の少なくとも1種と、必要に応
じて適当なキラルド−パント1種以上とを、キラルスメ
クチックC相(Sc* )−コレステリック相(Ch相)
−等方相(I相)またはキラルスメクチックC相(Sc
* )−スメクチックA相(SA 相)−コレステリック相
(Ch相)−等方相(I相)などの相系列を示すキラル
液晶または液晶組成物に添加してなるものが挙げられ、
このような液晶組成物では、キラルスメクチックC相
(Sc* )−スメクチックA相(SA 相)−コレステリ
ック相(Ch相)−等方相(I相)の相系列を示す。こ
のように、本発明の2,3−ジフロロ安息香酸チオエス
テル誘導体は、所望の相系列を誘起するための添加剤と
して特に有用である。一般式(I)で表される化合物
を、液晶組成物中に0.5重量%から50重量%程度、
好ましくは、5〜20重量%未満となるような量で添加
すれば、誘電異方性Δεが負の高速応答が可能な強誘電
性キラルスメクチックC組成物を得ることができる。こ
のように一般式(I)で表される2,3−ジフロロ安息
香酸チオエステル誘導体が、少量含まれた液晶組成物で
は、該2,3−ジフロロ安息香酸チオエステル誘導体が
含まれていない液晶組成物に比べて、その液晶相、特に
キラルスメクチックC相の温度範囲が狭くなってしまう
ことがあまりない。
【0024】本発明の2,3−ジフロロ安息香酸酸誘導
体が添加されるホスト液晶としては、特に制限されない
が、従来よりホスト液晶として知られている種々の化合
物(群)を使用できる。このようなホスト液晶として
は、具体的には、例えば、下記の式で示すようなものが
例示される。
【化13】 (式中、R3 及びR4 は炭素数3〜18のアルキル基ま
たはアルコキシ基を示す。)で表されるフェニルピリミ
ジン系液晶、
【化14】 (式中、R5 及びR6 は炭素数3〜18のアルキル基ま
たはアルコキシ基を示す。)のフェニルベンゾエート系
液晶。
【0025】本発明に係る2,3−ジフロロ安息香酸チ
オエステル誘導体は、これらのホスト液晶(式VI、式VI
I の内の1種または2種以上)と組合せて液晶組成物と
して用いられると、負の誘電異方性Δε、高速応答性、
ホスト液晶のキラルスメクチックC相温度域の保持特性
が顕著に現れるため好ましい。
【0026】以上説明したように、本発明の2,3−ジ
フロロ安息香酸チオエステル誘導体は各種液晶における
負の誘電異方性Δεの添加剤として効果的であり、該
2,3−ジフロロ安息香酸チオエステル誘導体を従来公
知の液晶化合物あるいは組成物と組み合わせて用いるこ
とにより、強誘電性を示す温度領域が広く、大きな誘電
異方性Δεを有し、粘性、応答性に優れた液晶組成物が
得られる。本発明の2,3−ジフロロ安息香酸チオエス
テル誘導体の好ましい例としては、以下のようなものが
ある。
【化15】
【0027】
【実施例】以下実施例により本発明の化合物についてさ
らに詳細に述べるが、本発明はこれらの実施例により限
定されるものではない。以下、記号K、N、Ch、S
A 、Sc、Sc* 、Iはそれぞれ、結晶、ネマチック
相、コレステリック相、スメクチックA相、スメクチッ
クC相、キラルスメクチックC相、等方性液晶を示し、
X はスメクチック相の高次構造を示す。本化合物の精
製は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー及び再結晶
にて行った。以下に示す相転移点の測定は、物質の純度
により若干の影響を受けることもある。
【0028】実施例1 無水ジクロロメタン 10mlに、2,3−ジフロロ−
4−オクチル安息香酸250mg、4−ヘプチルオキシ
−チオフェノール 170mg、DCC 183mg、
及びDMAP少量を加えて、5時間室温下で攪拌した。
反応後、反応液を濾過して、減圧下濃縮した。残渣をシ
リカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して下記の構
造式に示す 2,3−ジフロロ−4−オクチル安息香酸
(4−ヘプチルオキシフェニル)チオエステル 232
mgを得た。
【0029】
【化16】
【0030】実施例2 無水ジクロロメタン 10mlに、2,3−ジフロロ−
4−オクチル安息香酸250mg、4−ブチルオキシ−
チオフェノール 160mg、DCC 183mg、及
びDMAP 少量を加えて、5時間室温下で攪拌した。
反応後、反応液を濾過して、減圧下濃縮した。残渣をシ
リカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して下記の構
造式に示す 2,3−ジフロロ−4−オクチル安息香酸
(4−ブチルオキシフェニル)チオエステル 250m
gを得た。
【0031】
【化17】
【0032】実施例3 無水ジクロロメタン 10mlに、2,3−ジフロロ−
4−オクチル安息香酸250mg、4−s−アミルオキ
シ−チオフェノール 160mg、DCC183mg、
及びDMAP 少量を加えて、5時間室温下で攪拌し
た。反応後、反応液を濾過して、減圧下濃縮した。残渣
をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して下記
の構造式に示す 2,3−ジフロロ−4−オクチル安息
香酸(4−s−アミルオキシフェニル)チオエステル
242mgを得た。
【0033】
【化18】
【0034】実施例4 (強誘電性液晶組成物の作製)実施例1で合成した式(V
III)で表される化合物(10%)
【化19】 を、下記に示すSc* 相を有するフェニルベンゾエート
系液晶(A)に配合し
【化20】 て、液晶組成物を作製した。この時の液晶組成物の相転
移温度は であり、室温でSc* 相を示している。
【0035】(誘電異方性Δεの測定)得られた2,3
−ジフロロ安息香酸チオエステル誘導体を含んだ液晶組
成物を加熱し、等方性液体とした後、ポリイミドを塗布
し、ラビング処理を施した透明電極付きホメオトロピッ
ク配向セル(1.4ミクロン)及びホモジニアス配向セ
ル(28ミクロン)に注入した。しかる後、セルを除冷
し、Sc* 相のモノドメインを得、25℃においてこの
各々のセルの誘電率から誘電異方性Δεを測定した。
【0036】(自発分極、粘性及び応答速度の測定)得
られた2,3−ジフロロ安息香酸チオエステル誘導体を
含んだ液晶組成物を加熱し、等方性液体とした後、ポリ
イミドを塗布し、ラビング処理を施した透明電極付き薄
型セル(2.4ミクロン)に注入した。しかる後、セル
を除冷し、螺旋構造が消失している均一なSc* 相のモ
ノドメインを得、25℃においてこのセルに48Vp
p,50Hzの三角波電圧を印加して自発分極を測定し
た。また、同様にこのセルに24Vpp,50Hzの矩
形波電圧を印加して25℃における応答速度、粘性を測
定した。
【0037】実施例1で得られた2,3−ジフロロ安息
香酸チオエステル誘導体を10%液晶組成物に添加した
時の誘電異方性Δε、粘性及び応答速度の測定結果を表
1に示す。
【表1】
【0038】実施例5 (強誘電性液晶組成物の作製)一般式(II)においてR
1 =nC817、m=1、R2 =nC817である化合
【化21】 または化合物(III)
【化22】 を、下記に示すSc* 相を有するフェニルピリミジン系
液晶(B)
【化23】 に配合したものに、実施例2で合成した式(IX)で表さ
れる化合物(6%)
【化24】 と実施例3で合成した式(X)で表される化合物(4
%)
【化25】 を添加し液晶組成物を作製した。
【0039】これについて誘電異方性Δε、自発分極、
粘性及び応答速度の測定を行い、誘電異方性Δεと粘性
の結果を表2に示す。測定方法は実施例4と同様の方法
で行った。
【表2】
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の2,3−
ジフロロ安息香酸チオエステ誘導体は新規な化合物であ
り、一般式(I)で表され、その化合物は、強誘電性を
持たない液晶組成物に添加することにより、組成物全体
の強誘電性を発現させ、さらに大きな誘電異方性Δεを
有し、その結果、高速応答性が得られた。また、均一配
向性は良好であり、モノドメイン状態が確認され、メモ
リー性が得られた。また、中には単独で液晶相を示すと
いう特徴を有する化合物が得られた。従って、非常に優
れた強誘電性液晶材料を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井上 長三 千葉県千葉市緑区大野台1丁目1番1号 昭和電工株式会社総合研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I) 【化1】 (式(I)中R1 及びR2 は各々独立に炭素数1〜18
    の鎖状アルキル基、炭素数3〜18の鎖状アルケニル
    基、炭素数3〜18の鎖状アルキニル基またはアルコキ
    シ部分の炭素数1〜3でアルキル部分の炭素数1〜18
    の鎖状アルコキシアルキル基を示し、またはこれらは1
    つ以上のハロゲン原子で置換されたものであってもよ
    い;R1 及びR2 には不斉炭素原子を含んでよい;A,
    B,Cは、各々独立に次式 【化2】 で表す群から選ばれる基を示す;l,m,nは各々0ま
    たは1を示し、l+m+nは0であることはない;G1
    は単結合、エーテル、−COO−または−OCO−を示
    す;G2 は単結合、エーテル、−COO−、−OCO
    −、−CO−、−CH=CH− または −CH=C
    (X”)−COO−を示す;X,X’,X”は各々水素
    原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜5のアルキ
    ル基、アルコキシ基またはトリハロアルキル基を示
    す。)で表される化合物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の液晶性化合物を少なくと
    も1種以上含有することを特徴とする液晶組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の液晶性化合物を少なくと
    も1種以上と下記一般式(II) 【化3】 (式(II)中R1'及びR2'は各々独立に炭素数1〜18
    の鎖状アルキル基、炭素数3〜18の鎖状アルケニル
    基、炭素数3〜18の鎖状アルキニル基またはアルコキ
    シ部分の炭素数1〜3でアルキル部分の炭素数1〜18
    の鎖状アルコキシアルキル基を示し、またはこれらは1
    つ以上のハロゲン原子で置換されたものであってもよ
    い;R1'及びR2'には不斉炭素原子を含んでよい;mは
    0または1である。)で表される化合物を少なくとも一
    種以上含有する液晶組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の液晶性化合物を少なくと
    も1種以上と下記化合物(III) 【化4】 を含有する液晶組成物。
  5. 【請求項5】 スメクチックC相またはキラルスメクチ
    ックC相を示す液晶化合物または組成物に、請求項1記
    載の液晶化合物のうち光学活性化合物を添加してなるこ
    とを特徴とする強誘電性キラルスメクチック液晶組成
    物。
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