JPH08269054A - 光学活性化合物及びそれを含有する液晶組成物 - Google Patents

光学活性化合物及びそれを含有する液晶組成物

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JPH08269054A
JPH08269054A JP7626295A JP7626295A JPH08269054A JP H08269054 A JPH08269054 A JP H08269054A JP 7626295 A JP7626295 A JP 7626295A JP 7626295 A JP7626295 A JP 7626295A JP H08269054 A JPH08269054 A JP H08269054A
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liquid crystal
optically active
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active compound
chiral
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JP7626295A
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Ryuji Kadota
隆二 門田
Osami Inoue
長三 井上
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Showa Denko KK
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 一般式(I)で表される光学活性化合物及び
当該化合物を含有する液晶組成物。 〔式中,R,RはC〜Cアルコキシ基もしくは
ハロゲン原子で置換されていてもよい,C〜C18
ルキル基あるいはC〜C18アルケニル基(又はアル
キニル基)を示し,それらはエーテル結合を含んでいて
もよい;ベンゼン環はハロゲン原子,C〜C(ハ
ロ)アルキル基,C〜Cアルコキシ基,−CN,−
CFで置換されていてもよい;nは0または1であ
り;水はキラル炭素原子を示す〕 【効果】 一般式(I)の化合物はそれ自体で,既存の
ラクトン化合物に比べて応答速度が非常に速い且つメモ
リー性に優れた強誘導液晶材料を与えるほか,既知の液
晶化合物と混合して,広範な温度範囲で強誘導電性を示
し,自発分極性,粘性,応答性等の改善された液晶組成
物を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な光学活性化合物
及びそれを含有する液晶組成物を提供するものである。
本発明によって提供される光学活性化合物は、単独でま
たは他の液晶化合物と混合することにより、特に応答
性、メモリー性に優れた強誘電性(キラルスメクテック
C相)を呈する化合物であり、電気光学的スイッチング
素子として使用されるものである。
【0002】
【従来の技術】液晶表示素子の表示方式として、現在広
く実用に供されているものにTN(ねじれネマチック)
型がある。これは、ネマチック液晶と呼ばれる液晶化合
物を主成分とした液晶表示素子であるが、短所の一つに
応答速度が遅く、最高数ミリ秒のオーダーの応答速度し
か得えられないということが挙げられる。そしてこのこ
とが、ネマチック液晶を用いる表示素子の大型化を制約
する一因となっている。このように従来型の液晶表示素
子の欠点を改善するものとして、クラーク及びラガウエ
ルにより提案された双安定を有する液晶を用いた液晶表
示素子が注目されている(特開昭56ー107216号
参照)。この双安定を有する液晶は強誘電性液晶と呼ば
れ、メモリー性の点・高速応答な点・視野角が広い・コ
ントラストがよい点などから最有望視され、特に近年に
おいて液晶テレビなどのディスプレイ用のみならず、光
プリンターヘッド、ライトバルブ、光コンピューター素
子などオプトエレクトロニクス分野においても、その実
用化に向けた開発が急務になっている。
【0003】一般に、強誘電性液晶は光学活性部位を有
する化合物で、かつその分子長軸が層の法線方向からチ
ルトした分子配向を有する一連のスメクチック相におい
て発現される。中でもキラルスメクチックC(以下、S
* と略記する)相は、粘性が低く、比較的低電圧動作
性のため実用上優位とされる。このような強誘電性液晶
として、1975年、マイヤー(R.B.Meyer)
らにより合成された4ー(4−n−デシルオキシベンジ
リデンアミノ)桂皮酸ー2ーメチルブチルエステル(以
下、DOBAMBCと略記する。)が知られている
(J.Physique 36 L−69(1975)
参照)。しかし、このDOBAMBCは、シッフ塩基を
構造として含むために、水や光などに対する安定性に難
があり、そこで強誘電性液晶材料として物理的化学的に
安定で、しかもSc* 相を示す温度範囲が広い材料系の
出現が強く期待されている。
【0004】また、強誘電性液晶の応答速度(τ)は、 τ=η/(Ps x E) (Ps:自発分極、η:粘性、E:印可電界) として表され、自発分極(Ps)が大きいほどτが小、
すなわち応答速度は速くなる。従って、応答速度の速い
強誘電性液晶を得るためには、自発分極の大きな材料開
発が必要である。実際に、自発分極の増大を狙い、環状
分子(ベンゼン環、ピリミジン環、シクロヘキサン環な
ど)を含むコア骨格とキラル骨格の間の結合子(スペー
サー部)の検討が盛んである。(特開平1ー23855
7号)。また、特開平2ー138274、特開平3ー5
8981に記載されているγ−ブチロラクトン環を有す
る液晶化合物には、請求範囲に見られる2及び3環フェ
ニルピリミジン環とγ−ブチロラクトン環との組合せが
記載されているが、極めて限られた範囲内のものであ
り、十分な効果があげていない。たとえば、チルト角も
小さく、さらに、相転移温度についても、キラルスメク
チックC相−キラルスメクチックA相−コレステリック
相−等方相の相系列を示し得ていない。
【0005】しかし、これらは大きな自発分極を示すも
のの、逆に粘性が増大して応答速度が遅くなったり、液
晶相やSc* 相の温度範囲が狭くなることが多く、必ず
しも強誘電性液晶として有効な分子設計指針と言えなか
った。そこで、既知の強誘電性液晶に比べ、Sc* 相の
温度範囲が広くかつ自発分極の大きい強誘電性液晶の開
発が望まれていた。また、弾性定数は液晶セルに電界を
印加したときに生ずる配向の変形を決定する物理量であ
り、表示素子の閾値電界や応答時間に関係している。応
答時間Tonと緩和時間Toff は近似的に Ton=r1 d2 /π2 K(V2 /Vc2−1) =r1 d2 /ε0 Vε(V2 −Vc2) Toff =r1 d2 /π2 K (d:液晶相の厚さ、r1 :回転粘性係数、K:弾性定
数)として表され、TonとToff を同時に短くするに
は、液晶相の厚さdをできるだけ薄くすることが効果的
であるがセルの均一性や製造歩溜り等のために、大きな
パネルになるほど薄くすることは好ましいことではな
い。それ故、弾性定数Kが大きく、回転粘性係数はでき
るだけ小さい液晶材料が望まれている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意検討を行い、驚くべきことに、本発
明をなすに至った。本発明は(1)一般式(I)
【化2】 (式中、R1 、R2 は各々独立に炭素数1〜18の直鎖
あるいは分岐鎖のアルキル基、炭素数2〜18の直鎖あ
るいは分岐鎖の2〜18のアルケニル基もしくはアルキ
ニル基を示し、それらの基は炭素数1〜3のアルコキシ
基もしくはハロゲン原子で置換されてもよく、エーテル
結合を含んでいてもよく、また、R1 及びR2 にはキラ
ル炭素原子を含んでよい;ベンセン環はハロゲン原子、
シアノ基、炭素数1〜5のアルキル基、アルコキシ基ま
たはトリハロアルキル基で置換されていてもよい;nは
0または1を示す;*はキラル炭素原子を示す。)で表
される光学活性化合物、
【0007】2)ラクトン環の2個のキラル炭素原子
が、各々(S)配位である上記(1)記載の光学活性化
合物、(3)ラクトン環の2個のキラル炭素原子が、各
々(R)配位である上記(1)記載の光学活性化合物、
(4)上記(1)〜(3)記載の光学活性化合物が少な
くとも1種を含有することを特徴とする液晶組成物、
(5)スメクチックC相を示す液晶化合物または組成物
に、上記(1)〜(4)記載の光学活性化合物を含有す
るキラルドーパントを添加してなることを特徴とする強
誘電性キラルスメクチック液晶組成物に関する。
【0008】また、本発明者は上記(5)記載の液晶組
成物を用いた液晶表示素子を開示する。
【0009】以下本発明について詳しく説明する。本発
明に関わる上記の新規光学活性化合物は、強誘電性を発
現させるために永久双極子モーメントを有するカルボニ
ル基を5員環内部に固定し、またこの環内に2または3
個の不斉炭素原子を持たせることにより、好ましくは2
個の不斉炭素原子を持たせることにより、この部分の自
由回転を抑制し、全体として永久双極子の方向を一定に
するために今までにない大きな誘起自発分極を示し、し
いては応答速度の高速化が得られてくるものである。し
かし、これには分子動力学的計算結果から、コア部の骨
格としてフェニルピリミジンの窒素の位置が分子間相互
作用に大きく寄与しているため、コア骨格の選択が非常
に重要である。さらにピリミジン環をコア部のアルキル
側鎖のある末端に置くことで弾性定数が大きくなり、ア
クティブマトリクスパネルで画像表示をするとき、中間
調をきれいに出すことが可能になる。また、チルト角が
大きくなるため、自発分極を増加させることがわかっ
た。また本発明の化合物は、ラクトン環内に不斉炭素原
子を2個持たせることで、2種のジアステレオマーが存
在し、各々が永久双極子部分の自由回転を抑える目的に
合致した結果になる。また、各々を単独で用いてもある
いは各々の混合物として用いても液晶化合物として有用
である。また、本発明において、上記液晶化合物の中に
は、単独で液晶相を観察される大きな特徴があり、また
それ自身が液晶相を示さなくても液晶組成物との混合に
より誘起自発分極を示す化合物を示す。
【0010】本発明は、液晶化合物として3環系のフェ
ニルピリミジン誘導体とキラルγ−ブチロラクトン誘導
体との組み合わせた、特にピリミジン環を側鎖と結合で
きるようにコア部の末端に位置した式(I)で構成され
ることで、上記説明のように個々の特徴ある性質が得ら
れ、課題の解決に寄与している。
【0011】上記一般式に於て、R1 及びR2 のアルキ
ル基としては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、
n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチ
ル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウン
デシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデ
シル、n−ペンタデシル、イソプロピル、t−ブチル、
2−メチルプロピル、1−メチルプロピル、1−メチル
プロピル、3−メチルブチル、2−メチルブチル、1−
メチルブチル、4−メチルペンチル、3−メチルペンチ
ル、2−メチルペンチル、1−メチルペンチル、5−メ
チルヘキシル、4−メチルヘキシル、3−メチルヘキシ
ル、2−メチルヘキシル、1−メチルヘキシル、6−メ
チルヘプチル、5−メチルヘプチル、4−メチルヘプチ
ル、3−メチルヘプチル、2−メチルヘプチル、1−メ
チルヘプチル、7−メチルオクチル、6−メチルオクチ
ル、5−メチルオクチル、4−メチルオクチル、3−メ
チルオクチル、2−メチルオクチル、1−メチルオクチ
ル、8−メチルノニル、7−メチルノニル、6−メチル
ノニル、5−メチルノニル、4−メチルノニル、3−メ
チルノニル、2−メチルノニル、1−メチルノニル、3
・7−ジメチルオクチル、3・7・11−トリメチルド
デシルなどの基が用いられる。
【0012】また、アルケニル基の例としては、例えば
ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニ
ル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウ
ンデセニル、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニ
ル、ペンタデセニルなどの直鎖状のもの、1−メチルプ
ロペニル、2−メチルプロペニル、3−メチルプロペニ
ル、4−メチルプロペニルなどの分岐を有するアルケニ
ル基が挙げられる(2重結合はどの位置にあってもよ
い)。
【0013】また、アルキニル基の例としては、例えば
プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプ
チニル、オクチニル、ノニニル、デシニル、ウンデシニ
ル、ドデシニル、トリデシニル、テトラデシニル、ペン
タデシニルなどの直鎖状のもの、1−メチルプロピニ
ル、2−メチルプロピニル、3−メチルプロピニル、4
−メチルプロピニルなどの分岐を有するアルキニル基が
挙げられる(3重結合はどの位置にあってもよい)。
【0014】本発明に関わる一般式(I)で表される化
合物には次式に示すような方法によって製造することが
できる。
【化3】 すなわち、一般式(II)で表される光学活性グリシジル
エーテルと一般式(III)(式(II)(III)中のR1 ,R
2 ,R3 及び*の符号は、前記のとうりであり、R3
低級アルキル基を表わす。)で表されるマロン酸ジエス
テル誘導体とを有機溶媒中、塩基の存在下で反応させる
ことにより合成することができる。
【0015】上記式(I)化合物の製造に関しては、式
(II)化合物と1〜5当量の式(III)とを有機溶媒中で
1〜5当量の塩基存在下、2〜24時間還流することに
より得ることができる。この際に用いられる塩基として
はカリウムーt−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、
ナトリウムエトキシド、水素化ナトリウム、水素化カル
シウム、水素化カリウム、水素化リチウム、n−ブチル
リチウムまたはリチウムジイソプロピルアミドなどが好
ましく、また有機溶媒としてはt−ブタノールなどのア
ルコール類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルな
どのエーテル類、ジメチルホルムアミドなどの非プロト
ン系有機溶媒あるいは上記有機溶剤の混合溶剤などが好
ましい。上記原料化合物である式(II)化合物は、次式
の方法によって製造することができる。
【0016】
【化4】 上記式(IV)化合物で表されるフェノール誘導体に塩基
の存在下で光学活性エピクロルヒドリンを反応させるこ
とにより、製造することができる。また、上記原料であ
る一般式(II)で表される化合物には次に示すような方
法によって製造することができる。上記式(II)化合物
の製造に関しては、式(IV)化合物のフェノール誘導体
と1〜10当量の光学活性エピクロルヒドリンとを有機
溶媒中で1〜5当量の塩基存在下、40〜80℃で1〜
6時間攪拌することにより得ることができる。この際に
用いられる塩基としてはカリウムーt−ブトキシド、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭
酸カリウム、炭酸セシウムなどが好ましく、また有機溶
媒としてはt−ブタノールなどのアルコール類、ジメチ
ルホルムアミドなどの非プロトン系極性溶媒などが好ま
しい。
【0017】また、塩基の代わりに相関移動触媒を用い
ることもできる。たとえば、ベンジルトリエチルアンモ
ニウムブロマイドなどである。上記光学活性エピクロル
ヒドリンは市販の試薬を用いた。上記原料化合物である
式(IV)化合物は、以下の方法によって製造することが
できる。すなわち、4−〔4−(5−アルキルオキシ−
2−ピリミジニル)−1−フェニル〕フェノール誘導体
及び4−〔4−(5−アルキル−2−ピリミジニル)−
1−フェニル〕フェノール誘導体が次式の合成経路に従
って製造できる。
【化5】 一般式(I)で表わされる化合物の優れた特徴の1つと
しては、少量の添加でも十分に大きな自発分極を誘起さ
せることができる。例えば、後述の実施例2にも示した
ように、実施例1で得られた化合物わずか2重量%と、
Sc相を示す母体液晶(ホスト液晶と省略する)98重
量%から成るSc* 液晶組成物では、25℃における自
発分極の値は−7.1nC/cm2 であることから非常
に大きいことがわかる。このため、ノンキラルのホスト
液晶に0.5重量%程度以上添加すれば、高速応答に十
分な自発分極を誘起することが可能となる。さらに、少
量添加することで、ホスト液晶の粘性を低下させないこ
とが可能となる。さらに、ピリミジン環をコア部の末端
に置くことで、弾性定数を大きくすることができ、アク
チブマトリクスパネルで画像表示をするとき、中間調を
きれいに出すことが可能になる。
【0018】また、本発明の一般式(I)で表される化
合物には、そのラクトン環の2位及び4位にそれぞれ不
斉炭素が存在する。このうち、キラルドーパントとして
の大きな特徴とする誘起する自発分極の極性の決定する
要因としては、4位の不斉炭素の絶対配置であり、さら
に2位の不斉炭素の絶対配置は、その大きさに大きく影
響を与えている。2位の不斉炭素の絶対配置が、4位の
不斉炭素の絶対配置と等しい場合には、ラクトン環がシ
ス配置となり、相異する場合はトランス配置となる。そ
こで、これらのシス体及びトランス体には、その誘起す
る自発分極の極性には差が見られないが、大きさにはシ
ス体の方が一般的に2〜10倍大きくなっている。しか
し、実施例に見られるように分離することが可能である
ことからシス体を少量添加することで低粘性かつ高速応
答性を得ることができる。
【0019】前述のように、本発明の一般式(I)で表
される化合物は、単独で用いるよりも、液晶組成物とし
て添加することにより好適である。この液晶組成物は、
一般式(I)で表される光学活性体化合物の少なくとも
1種と必要に応じて適当なキラルドーパントを1種以上
とを、スメクチックC相ーネマチック相ー等方相または
スメクチックC相ースメクチックA相ーネマチック相ー
等方相などの相系列を示す非キラル液晶または液晶組成
物に、添加することによりキラルスメクチックC相−キ
ラルスメクチックA相−コレステリック相−等方相の相
系列を示す強誘電性(キラルスメクチックC相)を誘起
する。従って、液晶相を示さない本発明の光学活性体に
は、強誘電性を誘起するための添加剤として有用であ
る。特に液晶表示素子として用いる場合には、主成分と
してホスト液晶に加えて成る組成物が望ましい。一般式
(I)で表される化合物は、充分大きな自発分極を誘起
し得るものであって、ホスト液晶中に0.1重量%から
20重量%程度添加すれば、高速応答が可能な強誘電性
Sc* 組成物を得ることができる。一般式(I)で表さ
れる化合物は、少量添加することによって、液晶組成物
の液晶相、特にSc相の温度範囲を広くすることがで
きる。
【0020】本発明の光学活性化合物に添加するホスト
液晶としては、特に制限がないが、これまでにホスト液
晶として知られている化合物群を使用できる。例えば、
次のようなものが例示される。
【化6】 (式中、R 、R5 はC3〜C18のアルキル基また
はアルコキシ基を示す。)で表されるフェニルピリミジ
ン系液晶、
【化7】 (式中、R6 、R7 はC3〜C18のアルキル基または
アルコキシ基を示す。)のフェニルベンゾエート系液晶
の単体または混合物からなるホスト液晶に添加した時、
高速応答性、ホスト液晶のSc相温度域の保持という特
性が顕著になる。
【0021】
【実施例】以下実施例により本発明の化合物について更
に詳細に述べるが、本発明はこれらの実施例により限定
されるものではない。以下、記号K、N、Ch、SA 、
Sc、Sc* 、Iはそれぞれ、結晶、ネマチック相、コ
レステリック相、スメクチックA相、スメクチックC
相、キラルスメクチックC相、等方性液晶を示し、SX
はスメクチック相の高次構造を示す。本化合物の精製
は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー及び再結晶に
て行った。以下に示す相転移点の測定は、物質の純度に
より若干の影響を受けることもある。
【0022】実施例1 4−〔4−(5−オクチル−2−ピリミジニル)−1−
フェニル〕フェノール1.20g(0.33mmo
l)、R−(ー)ーエピクロルヒドリン3.05g、カ
リウムt−ブトキシド1.13g、及びt−ブタノール
10mlを混合し、45℃で6時間攪拌した。反応後、
室温に戻し、冷却水を加え、酢酸エチルで生成物を抽出
する。抽出物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで
精製して下記構造式に示すS体のグリシジルエーテル体
1.1gを得た。
【0023】
【化8】 NMRδppm (CDCl3 ) δ:0.7〜3.0(19H,m) 3.40(1H,m) 4.20(2H,m) 7.00(2H,d) 7.60(2H,d) 7.70(2H,d) 8.49(2H,d) 8.65(2H,s) MS m/e :417(M+
【0024】上記より得られた光学活性グリシジルエー
テル体312mg、n−ブチルマロン酸ジエチル862
mg、カリウムt−ブトキシド209mg、及びt−ブ
タノール10mlを混合し、12時間還流攪拌した。反
応液を室温に戻し、4N−塩酸で中和した後、ジクロロ
メタンで生成物を抽出する。抽出物をシリカゲルカラム
クロマトグラフィーで精製して下記構造式に示すγーラ
クトン体のトランス体(2R,4S)130mg及びシ
ス体(2S,4S)160mgを得た。 1−1)(2R,4S)体
【0025】
【化9】 相転移温度 NMRδppm (CDCl3 ) δ:0.7〜3.0(29H,m) 4.20(2H,m) 4.85(1H,m) 7.00(2H,d) 7.60(2H,d) 7.70(2H,d) 8.49(2H,d) 8.65(2H,s) IR(KBr):1781cm-1 MS m/e :515(M+ ) 1−2)(2S,4S)体
【化10】 相転移温度 NMRδppm (CDCl3 ) δ:0.7〜3.0(29H,m) 4.20(2H,m) 4.75(1H,m) 7.00(2H,d) 7.60(2H,d) 7.70(2H,d) 8.49(2H,d) 8.65(2H,s) IR(KBr):1781cm-1 MS m/e :515(M+
【0026】同様な方法によって得られたものの代表的
な構造式を以下に例示する。
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【0027】実施例2 (強誘電性液晶組成物の作成)実施例1で合成した式
(IX)で表される化合物
【化17】 に、下記に示すSc相を有する光学活性でないピリミジ
ン系液晶(A)と次の割合で
【化18】 配合して、液晶組成物を作製した。この時の液晶組成物
の相転移温度は であり、室温でキラルスメクチックC相を示している。
【0028】(自発分極、粘性、応答速度及び傾き角の
測定)得られたラクトン誘導体を含んだ液晶組成物を加
熱し、等方性液体とした後、ポリイミドを塗布し、ラビ
ング処理を施した透明電極付き薄型セル(2.4ミクロ
ン)に注入した。しかる後、セルを除冷し、螺旋構造が
消失している均一なSc* のモノドメインを得、25℃
においてこのセルに48Vpp,50Hzの三角波電圧
を印加して自発分極を測定した。また、同様にこのセル
に24Vpp,50Hzの矩形波電圧を印加して25℃
における応答速度、粘性を測定した。同セルに48Vp
p,0.1Hzの矩形波電圧を印加して2つのスイッチ
ング状態に対応する消光位間の角度差を測定し、その1
/2を傾き角とした。
【0029】今回合成したラクトン誘導体を2%液晶組
成物に添加した時の自発分極、粘性、応答速度及び傾き
角の測定結果を表1に示す。また、既存のラクトン誘導
体についても比較した結果を表2及び3に示した。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の化合物
は、既に知られている液晶化合物と混合して強誘電性を
示す温度領域や自発分極、粘性、応答性を改善する液晶
組成物の有効な混合用光学活性物質を提供することがで
きた。また、本発明の化合物は、実施例に示しているよ
うに既存のラクトン誘導体に比べて応答速度が非常に速
く、さらにメモリー性に非常に優れた強誘電性液晶材料
を提供することができた。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 (式中、R1 、R2 は各々独立に炭素数1〜18の直鎖
    あるいは分岐鎖のアルキル基、炭素数2〜18の直鎖あ
    るいは分岐鎖の2〜18のアルケニル基もしくはアルキ
    ニル基を示し、それらの基は炭素数1〜3のアルコキシ
    基もしくはハロゲン原子で置換されてもよく、エーテル
    結合を含んでいてもよく、また、R1 及びR2 にはキラ
    ル炭素原子を含んでよい;ベンセン環はハロゲン原子、
    シアノ基、炭素数1〜5のアルキル基、アルコキシ基ま
    たはトリハロアルキル基で置換されていてもよい;nは
    0または1を示す;*はキラル炭素原子を示す。)で表
    される光学活性化合物。
  2. 【請求項2】 ラクトン環の2個のキラル炭素原子が、
    各々(S)配位である請求項1記載の光学活性化合物。
  3. 【請求項3】 ラクトン環の2個のキラル炭素原子が、
    各々(R)配位である請求項1記載の光学活性化合物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3記載の光学活性化合物が少
    なくとも1種を含有することを特徴とする液晶組成物。
  5. 【請求項5】 スメクチックC相を示す液晶化合物また
    は組成物に、請求項1〜4記載の光学活性化合物を含有
    するキラルドーパントを添加してなることを特徴とする
    強誘電性キラルスメクチック液晶組成物。
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