JPH0987266A - 光学活性化合物及びそれを含有する液晶組成物 - Google Patents

光学活性化合物及びそれを含有する液晶組成物

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JPH0987266A
JPH0987266A JP7243322A JP24332295A JPH0987266A JP H0987266 A JPH0987266 A JP H0987266A JP 7243322 A JP7243322 A JP 7243322A JP 24332295 A JP24332295 A JP 24332295A JP H0987266 A JPH0987266 A JP H0987266A
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JP
Japan
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carbon atoms
group
liquid crystal
optically active
active compound
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JP7243322A
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English (en)
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Ryuji Kadota
隆二 門田
Takeo Watanabe
岳男 渡辺
Osami Inoue
長三 井上
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Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新規な光学活性化合物及びそれを含有する液
晶組成物を提供するものである。本発明によって提供さ
れる光学活性化合物は、単独でまたは他の液晶化合物と
混合することにより、特に応答性、メモリー性に優れた
強誘電性(キラルスメクチックC相)を呈する化合物で
あり、電気光学的スイッチング素子として使用されるも
のである。 【解決手段】 コア部とそれをはさむ2つの側鎖部を有
し、その一方の側鎖部には2個のキラル炭素原子が環内
にあるラクトン環を有する基であり、他方の側鎖部に
は、キラル炭素原子を含んでいてもよい、かつアルカノ
イル基またはオキシアルカノイル基を有することを特徴
とする光学活性化合物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な光学活性化合物
及びそれを含有する液晶組成物を提供するものである。
本発明によって提供される光学活性化合物は、単独でま
たは他の液晶化合物と混合することにより、特に応答
性、メモリー性に優れた強誘電性(キラルスメクチック
C相)を呈する化合物であり、電気光学的スイッチング
素子として使用されるものである。
【0002】
【従来の技術】液晶表示素子の表示方式として、現在広
く実用に供されているものにTN(ねじれネマチック)
型がある。これは、ネマチック液晶と呼ばれる液晶化合
物を主成分とした液晶表示素子であるが、短所の一つに
応答速度が遅く、最高数ミリ秒のオーダーの応答速度し
か得られないということが挙げられる。そしてこのこと
が、ネマチック液晶を用いる表示素子の大型化を制約す
る一因となっている。このように従来型の液晶表示素子
の欠点を改善するものとして、クラーク及びラガウエル
により提案された双安定を有する液晶を用いた液晶表示
素子が注目されている(特開昭56−107216号公
報参照)。この双安定を有する液晶は強誘電性液晶と呼
ばれ、メモリー性の点・高速応答な点・視野角が広い・
コントラストがよい点などから最有望視され、特に近年
において液晶テレビなどのディスプレイ用のみならず、
光プリンターヘッド、ライトバルブ、光コンピューター
素子などオプトエレクトロニクス分野においても、その
実用化に向けた開発が急務になっている。
【0003】一般に、強誘電性液晶は光学活性部位を有
する化合物で、かつその分子長軸が層の法線方向からチ
ルトした分子配向を有する一連のスメクチック相におい
て発現される。中でもキラルスメクチックC(以下、S
* と略記する)相は、粘性が低く、比較的低電圧動作
性のため実用上優位とされる。このような強誘電性液晶
として、1975年、マイヤー(R.B.Meyer)
らにより合成された4−(4−n−デシルオキシベンジ
リデンアミノ)桂皮酸−2−メチルブチルエステル(以
下、DOBAMBCと略記する。)が知られている
(J.Physique 36 L−69(1975)
参照)。しかし、このDOBAMBCは、シッフ塩基を
構造として含むために、水や光などに対する安定性に難
があり、そこで強誘電性液晶材料として物理的化学的に
安定で、しかもSc* 相を示す温度範囲が広い材料系の
出現が強く期待されている。
【0004】また、強誘電性液晶の応答速度(τ)は、 τ=η/(Ps ・ E) (Ps:自発分極、η:粘性、E:印加電界)として表
され、自発分極(Ps)が大きいほどτが小、すなわち
応答速度は速くなる。従って、応答速度の速い強誘電性
液晶を得るためには、自発分極の大きな材料開発が必要
である。実際に、自発分極の増大を狙い、環状分子(ベ
ンゼン環、ピリミジン環、シクロヘキサン環など)を含
むコア骨格とキラル骨格の間の結合子(スペーサー部)
の検討が盛んである(特開平1−238557号公
報)。また、自発分極は分子長軸に対して垂直な方向の
双極子モーメントが不斉炭素の影響により長軸回りの自
由回転が抑制された結果生じると考えられ、従って自発
分極が増大するためには、イ)双極子部分をコア部に近
づける。ロ)双極子部分と不斉炭素部分を近づける。
ハ)不斉炭素に立体的に大きな置換基をつけ、長軸回り
の自由回転を抑制させる等の方法でなされてきた。最近
では、特開平1−238557号、特開平4−2738
48号等の公報に記載されているコア部に直結したアル
カノイル誘導体、特開平2−138274号、特開平4
−230677号、特開平5−59036号の公報に記
載されているキラルγ−ブチロラクトン環を有する液晶
化合物が知られている。特に特開平2−138274号
公報に記載されているフェニルピリミジン環を有するγ
−ブチロラクトン誘導体について、ベース液晶とブレン
ドしたところ、応答速度が遅く、チルト角も小さいと考
えられる。さらに、相転移温度についても、キラルスメ
クチックC相−スメクチックA相−コレステリック相−
等方相の相系列を示し得ていない。
【0005】しかし、これらは大きな自発分極を示すも
のの、逆に粘性が増大して応答速度が遅くなったり、液
晶相やSc* 相の温度範囲が狭くなることが多く、必ず
しも強誘電性液晶として有効な分子設計指針と言えなか
った。そこで、既知の強誘電性液晶に比べ、Sc* 相の
温度範囲が広くかつ自発分極の大きい強誘電性液晶の開
発が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、強誘
電性液晶材料に用いる新規な光学活性体及び液晶化合物
として、 1.構造上から物理的化学的に安定な化合物 2.他の液晶化合物と混合することにより、または単独
で強誘電性を発現させ、広い温度範囲でSc* 相を示す
化合物 3.永久双極子モーメントに由来した大きな誘起自発分
極を有する化合物 4.印加電圧に対して高速応答性を示す化合物 5.コレステリック相及びキラルスメクチックC相のそ
れぞれの螺旋ピッチが充分に長く、そしてチルト角が大
きい化合物 6.少量を添加することで低粘性の液晶組成物を調製さ
せ、高速応答を示す化合物 7.少量を添加することでメモリー特性の閾値を向上
し、十分高いコントラスト比が得られる化合物 を満たす化合物を見いだし、単独で、あるいはこの少な
くとも1種を成分とする組成物で、実際に表示素子の液
晶として使用できる化合物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意検討を行い、驚くべきことに、本発
明をなすに至った。
【0008】本発明は (1)コア部とそれをはさむ2つの側鎖部を有し、その
一方の側鎖部には2個のキラル炭素原子が環内にあるラ
クトン環を有する基であり、他方の側鎖部には、キラル
炭素原子を含んでいてもよい、かつアルカノイル基また
はオキシアルカノイル基を有することを特徴とする光学
活性化合物、(2)一般式(I)
【化3】 (式(I)中R1 は炭素数1〜18の直鎖もしくは分岐
鎖のアルキル基、炭素数1〜18の直鎖もしくは分岐鎖
のアルコキシ基、炭素数3〜18の直鎖もしくは分岐鎖
のアルケニル基、炭素数3〜18の直鎖もしくは分岐鎖
のアルキニル基またはアルコキシ部分が炭素数1〜3で
アルキル部分が炭素数1〜18の直鎖もしくは分岐鎖の
アルコキシアルキル基を示し、またはこれらは1つ以上
のハロゲンで置換されたものであってもよい;R2 は炭
素数1〜18の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、炭素
数3〜18の直鎖もしくは分岐鎖のアルケニル基または
炭素数3〜18の直鎖もしくは分岐鎖のアルキニル基を
示す;R1 及びR2 には不斉炭素原子を含んでよい;
A,B,Cは、各々独立に
【化4】 を示す;l,m,nは各々0または1を示し、l+m+
nは0であることはない;X,X’は各々水素原子、ハ
ロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜5のアルキル基、炭
素数1〜5のアルコキシ基、または炭素数1〜5のトリ
ハロアルキル基を示す;*の符号は不斉炭素原子を表
す。)で表される光学活性化合物、(3)R1 が直鎖で
ある(2)記載の光学活性化合物、(4)ラクトン環の
2個の不斉炭素原子が、各々(S)配位である、上記
(1)ないし(3)記載の光学活性化合物、(5)ラク
トン環の2個の不斉炭素原子が、各々(R)配位であ
る、上記(1)ないし(3)記載の光学活性化合物、
(6)上記(1)ないし(5)記載の光学活性化合物を
少なくとも1種以上を含有することを特徴とする液晶組
成物、及び(7)スメクチックC相を示す液晶化合物
に、上記(1)ないし(5)記載の光学活性化合物を含
有するキラルドーパントを添加してなることを特徴とす
る強誘電性キラルスメクチック液晶組成物に関する。ま
た、本発明者は上記(7)記載の液晶組成物を用いた液
晶表示素子を開示する。
【0009】以下本発明について詳しく説明する。本発
明に関わる上記の新規光学活性化合物は、強誘電性を発
現させるために永久双極子モーメントを有するカルボニ
ル基を5員環内部に固定し、またこの環内に2または3
個の不斉炭素原子を持たせることにより、好ましくは2
個の不斉炭素原子を持たせることにより、この部分の自
由回転を抑制し、全体として永久双極子の方向を一定に
することで今までにない大きな誘起自発分極を示し、し
いては応答速度の高速化が得られてくるものである。さ
らに、大きな双極子モーメントを有するアルカノイル基
またはオキシアルカノイル基(好ましくはアルカノイル
基)を分子軸に垂直な双極子としてコア部に直結させる
ことで大きな自発分極を発現させることができる。さら
に、チルト角が大きくなるため、自発分極を増加させる
ことがわかった。しかし、これには、分子動力学的計算
結果から、コア部の骨格としてビフェニル環のπ電子及
びピリミジン等の窒素原子が分子間相互作用に大きく寄
与しているため、コア骨格の選択が非常に重要である。
この様にしてアルカノイル基またはオキシアルカノイル
基、コア部、そしてラクトン環を組み合わせることによ
って大きな自発分極を発現することができた。
【0010】また本発明の化合物は、ラクトン環内に不
斉炭素原子を2個持たせることで、2種のジアステレオ
マーが存在し、各々が永久双極子部分の自由回転を抑え
る目的に合致した結果になる。また、各々を単独で用い
てもあるいは各々の混合物として用いても液晶化合物と
して有用である。また、本発明において、上記光学活性
化合物の中には、単独で液晶相が観察される大きな特徴
があり、またそれ自身が液晶相を示さなくても液晶組成
物との混合により誘起自発分極を示す。
【0011】上記一般式に於て、R1 及びR2 のアルキ
ル基部分としては、例えばメチル、エチル、n−プロピ
ル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘ
プチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−
ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テト
ラデシル、n−ペンタデシル、イソプロピル、t−ブチ
ル、2−メチルプロピル、1−メチルプロピル、3−メ
チルブチル、2−メチルブチル、1−メチルブチル、4
−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−メチルペ
ンチル、1−メチルペンチル、5−メチルヘキシル、4
−メチルヘキシル、3−メチルヘキシル、2−メチルヘ
キシル、1−メチルヘキシル、6−メチルヘプチル、5
−メチルヘプチル、4−メチルヘプチル、3−メチルヘ
プチル、2−メチルヘプチル、1−メチルヘプチル、7
−メチルオクチル、6−メチルオクチル、5−メチルオ
クチル、4−メチルオクチル、3−メチルオクチル、2
−メチルオクチル、1−メチルオクチル、8−メチルノ
ニル、7−メチルノニル、6−メチルノニル、5−メチ
ルノニル、4−メチルノニル、3−メチルノニル、2−
メチルノニル、1−メチルノニル、3,7−ジメチルオ
クチル、3,7,11−トリメチルドデシルなどの基が
挙げられる。
【0012】また、アルケニル基の例としては、例えば
2−プロペニル、3−ブテニル、4−ペンテニル、5−
ヘキセニル、6−ヘプテニル、7−オクテニル、8−ノ
ネニル、12−トリデセニルなどの直鎖状のもの、1−
メチル−2−プロペニル、3−メチル−3−ブテニルな
どの分岐を有するアルケニル基が挙げられる。また、ア
ルキニル基の例としては、例えば2−プロピニル、3−
ブチニル、5−ヘキシニル、2−オクチニルなどの直鎖
状のもの、1−メチル−2−プロピニルなどの分岐を有
するアルキニル基が挙げられる。また、上記一般式にお
いてR1 は、分岐鎖のアルキル基よりも直鎖のアルキル
基の方が好ましい。さらに直鎖のアルキル基の場合に
は、応答速度が早くなる傾向がある。
【0013】本発明に関わる一般式(I)で表される化
合物には次に示すような方法によって製造することがで
きる。
【化5】 すなわち、一般式(II)で表される光学活性グリシジル
エーテルと一般式 (III)
【化6】
【化7】 (式(II)(III)中のA,B,C,l,m,n,R1
2 及び*の符号は、前記のとおりであり、R3 は低級
アルリキル基を表す。)で表されるマロン酸ジエステル
誘導体とを有機溶媒中、塩基の存在下で反応させること
により合成することができる。
【0014】上記式(I)化合物の製造に関しては、式
(II)化合物と1〜5当量の式(III)とを有機溶媒中で
1〜5当量の塩基存在下、2〜24時間還流することに
より得ることができる。この際に用いられる塩基として
はカリウムt−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナ
トリウムエトキシド、水素化ナトリウム、水素化カルシ
ウム、水素化カリウム、水素化リチウム、n−ブチルリ
チウムまたはリチウムジイソプロピルアミドなどが好ま
しく、また有機溶媒としてはt−ブタノールなどのアル
コール類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなど
のエーテル類、ジメチルホルムアミドなどの非プロトン
系有機溶媒あるいは上記有機溶剤の混合溶剤などが好ま
しい。
【0015】上記原料化合物である式(II)化合物は、
次の方法によって製造することができる。
【化8】 下記式(IV)化合物で表されるフェノール誘導体に塩基
の存在下で光学活性エピクロルヒドリンを反応させるこ
とにより、製造することができる。上記原料である一般
式(II)で表される化合物は詳しくは次に示すような方
法によって製造することができる。上記式(II)化合物
の製造に関しては、式(IV)化合物のフェノール誘導体
と1〜10当量の光学活性エピクロルヒドリンとを有機
溶媒中で1〜5当量の塩基存在下、40〜80℃で1〜
6時間攪拌することにより得ることができる。この際に
用いられる塩基としてはカリウムt−ブトキシド、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸
カリウム、炭酸セシウムなどが好ましく、また有機溶媒
としてはt−ブタノールなどのアルコール類、ジメチル
ホルムアミドなどの非プロトン系極性溶媒などが好まし
い。
【化9】
【0016】また、塩基の代わりに相関移動触媒を用い
ることもできる。たとえば、ベンジルトリエチルアンモ
ニウムブロマイドなどである。上記原料化合物である式
(IV)化合物は、具体的に例えれば、以下の方法によっ
て製造することができる。すなわち、4−(4−アルキ
ルカルボニルフェニル)フェノール誘導体が次の合成経
路に従って製造できる。
【化10】 さらに、6−アルキルカルボニル−2−ヒドロキシナフ
タレン誘導体が次の合成経路に従って製造できる。
【化11】 さらに、2−(4−アルキルカルボニルフェニル)−5
−ヒドロキシピリミジン誘導体が次の合成経路に従って
製造できる。
【化12】 さらに、4−〔2−(4−アルキルカルボニルフェニ
ル)−5−ピリミジル〕フェノール誘導体が次の合成経
路に従って製造できる。
【化13】 さらに、5−(4−アルキルカルボニルフェニル)−2
−ピリジノール誘導体が次の合成経路に従って製造でき
る。
【化14】
【0017】一般式(I)で表される化合物の優れた特
徴の1つとしては、少量の添加でも十分に大きな自発分
極を誘起させることができる。例えば、後述の実施例3
にも示したように、実施例2で得られた化合物わずか2
重量%と、Sc相を示す母体液晶(ホスト液晶と省略す
る)98重量%から成るSc* 液晶組成物では、25℃
における自発分極の値は−5.5nC/cm2 であるこ
とから非常に大きいことがわかる。このため、ホスト液
晶に0.1重量%程度以上添加すれば、高速応答に十分
な自発分極を誘起することが可能となる。さらに、少量
添加することで、ホスト液晶の粘性を増大させないこと
が可能となる。
【0018】さらに、Sc* 、Ch相のHTP(ヘリカ
ルツイストパワー)や誘起自発分極の特性をキラルγ−
ブチロラクトン誘導体とキラルアルカノイル基とのアル
キル鎖長、分岐構造によって調製が可能となる。また、
本発明の一般式(I)で表される化合物には、そのラク
トン環の2位及び4位にそれぞれ不斉炭素原子が存在す
る。このうち、キラルドーパントとしての大きな特徴と
なる誘起自発分極の極性を決定する要因は、4位の不斉
炭素原子の絶対配置であり、さらに2位の不斉炭素原子
の絶対配置は、その大きさに大きく影響を与えている。
2位の不斉炭素原子の絶対配置が、4位の不斉炭素原子
の絶対配置と等しい場合には、ラクトン環がシス配置と
なり、相異する場合はトランス配置となる。そこで、こ
れらのシス体及びトランス体には、その誘起自発分極の
極性には差がみられないが、大きさはシス体の方が一般
的に1.5〜5倍大きくなっている。しかし、本発明の
シス体及びトランス体は分離することが可能であること
からシス体を少量添加することで低粘性かつ高速応答性
を得ることができる。
【0019】前述のように、本発明の一般式(I)で表
される化合物は、単独で用いるよりも、液晶組成物とし
て添加することが好適である。この液晶組成物は、一般
式(I)で表される光学活性体化合物の少なくとも1種
と必要に応じて適当なキラルドーパントを1種以上と
を、スメクチックC相−ネマチック相−等方相またはス
メクチックC相−スメクチックA相−ネマチック相−等
方相などの相系列を示す非キラル液晶または液晶組成物
に、添加することによりキラルスメクチックC相−スメ
クチックA相−コレステリック相−等方相の相系列を示
す強誘電性(キラルスメクチックC相)を誘起する。従
って、液晶相を示さない本発明の光学活性体は、強誘電
性を誘起するための添加剤として有用である。特に液晶
表示素子として用いる場合には、主成分としてホスト液
晶に加えて成る組成物が望ましい。一般式(I)で表さ
れる化合物は、充分大きな自発分極を誘起し得るもので
あって、ホスト液晶中に0.1重量%から20重量%程
度添加すれば、高速応答が可能な強誘電性Sc* 組成物
を得ることができる。一般式(I)で表される化合物
は、少量添加することによって、液晶組成物の液晶相、
特にSc* 相の温度範囲を広くすることができる。
【0020】本発明の光学活性化合物を添加するホスト
液晶としては、特に制限がないが、これまでにホスト液
晶として知られている化合物群を使用できる。例えば、
次のようなものが例示される。
【化15】 (式中、R4 、R5 はC3〜C18のアルキル基または
アルコキシ基を示す。)で表されるフェニルピリミジン
系液晶、
【化16】 (式中、R6 、R7 はC3〜C18のアルキル基または
アルコキシ基を示す。)のフェニルベンゾエート系液晶
の単体または混合物からなるホスト液晶に添加した時、
高速応答性、ホスト液晶のSc相温度域の保持という特
性が顕著になる。
【0021】本発明の光学活性化合物の好ましい例とし
ては、以下のようなものがある。(図中、X’’はX、
X’と同様な意味を表している。)
【化17】
【化18】
【化19】
【0022】
【実施例】以下実施例により本発明の化合物についてさ
らに詳細に述べるが、本発明はこれらの実施例により限
定されるものではない。以下、記号K、N、Ch、S
A 、Sc、Sc* 、Iはそれぞれ、結晶、ネマチック
相、コレステリック相、スメクチックA相、スメクチッ
クC相、キラルスメクチックC相、等方相を示し、SX
はスメクチック相の高次構造を示す。本化合物の精製
は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー及び再結晶に
て行った。以下に示す相転移点の測定は、物質の純度に
より若干の影響を受けることもある。
【0023】実施例1 4−〔4−(2−(s)−メチルオクタノイル)フェニ
ル〕フェノール1.03g(0.33mmol)、R−
(−)−エピクロルヒドリン3.05g、カリウムt−
ブトキシド1.13g、及びt−ブタノール10mlを
混合し、45℃で6時間攪拌した。反応後、室温に戻
し、冷却水を加え、酢酸エチルで生成物を抽出する。抽
出物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して
下記構造式に示すS体のグリシジルエーテル体0.9g
を得た。
【0024】
【化20】 NMRδppm (CDCl3 ) δ:0.7〜2.0(11H,m) 0.88(3H,t) 1.23(3H,d) 2.89(2H,m) 3.40(1H,m) 4.15(2H,m) 7.03(2H,d) 7.57(2H,d) 7.64(2H,d) 8.01(2H,d) MS m/e :367(M+
【0025】上記で得られた光学活性グリシジルエーテ
ル体365mg、n−ブチルマロン酸ジエチル1.15
g、カリウムt−ブトキシド279mg、及びt−ブタ
ノール15mlを混合し、12時間還流攪拌した。反応
液を室温に戻し、4N−塩酸で中和した後、ジクロロメ
タンで生成物を抽出する。抽出物をシリカゲルカラムク
ロマトグラフィーで精製して下記構造式に示すγ−ラク
トン体のトランス体(2R,4S)140mg及びシス
体(2S,4S)160mgを得た。 1−1)(2R,4S)体
【0026】
【化21】 NMRδppm (CDCl3 ) δ:0.7〜3.0(19H,m) 0.85(3H,t) 0.95(3H,t) 1.20(3H,d) 3.48(1H,m) 4.17(2H,m) 4.87(1H,m) 6.97(2H,d) 7.57(2H,d) 7.64(2H,d) 8.01(2H,d) IR(KBr):1779cm-1 MS m/e :467(M+ ) 1−2)(2S,4S)体
【0027】
【化22】 NMRδppm (CDCl3 ) δ:0.7〜3.0(19H,m) 0.85(3H,t) 0.95(3H,t) 1.20(3H,d) 3.48(1H,m) 4.17(2H,m) 4.77(1H,m) 6.97(2H,d) 7.57(2H,d) 7.64(2H,d) 8.01(2H,d) IR(KBr):1779cm-1 MS m/e :467(M+
【0028】実施例2 4−(4−オクタノイルフェニル)フェノール1.96
g(0.66mmol)、R−(−)−エピクロルヒド
リン7.10g、カリウムt−ブトキシド2.26g、
及びt−ブタノール20mlを混合し、45℃で6時間
攪拌した。反応後、室温に戻し、冷却水を加え、酢酸エ
チルで生成物を抽出する。抽出物をシリカゲルカラムク
ロマトグラフィーで精製して下記構造式に示すS体のグ
リシジルエーテル体1.67gを得た。
【0029】
【化23】 NMRδppm (CDCl3 ) δ:0.7〜2.0(13H,m) 2.86(2H,m) 3.00(2H,t) 3.40(1H,m) 4.20(2H,m) 7.00(2H,d) 7.55(2H,d) 7.65(2H,d) 8.03(2H,d) MS m/e :353(M+
【0030】上記で得られた光学活性グリシジルエーテ
ル体353mg、n−ブチルマロン酸ジエチル1.15
g、カリウムt−ブトキシド279mg、及びt−ブタ
ノール15mlを混合し、12時間還流攪拌した。反応
液を室温に戻し、4N−塩酸で中和した後、ジクロロメ
タンで生成物を抽出する。抽出物をシリカゲルカラムク
ロマトグラフィーで精製して下記構造式に示すγ−ラク
トン体のトランス体(2R,4S)160mg及びシス
体(2S,4S)170mgを得た。 2−1)(2R,4S)体
【0031】
【化24】 NMRδppm (CDCl3 ) δ:0.7〜3.0(25H,m) 3.00(2H,t) 4.20(2H,m) 4.85(1H,m) 7.00(2H,d) 7.55(2H,d) 7.65(2H,d) 8.03(2H,d) IR(KBr):1779cm-1 MS m/e :451(M+ ) 2−2)(2S,4S)体
【0032】
【化25】 NMRδppm (CDCl3 ) δ:0.7〜3.0(25H,m) 3.00(2H,t) 4.20(2H,m) 4.75(1H,m) 7.00(2H,d) 7.55(2H,d) 7.65(2H,d) 8.03(2H,d) IR(KBr):1779cm-1 MS m/e :451(M+
【0033】実施例3 (強誘電性液晶組成物の作製)実施例2で合成した式
(XII)で表される化合物(2%)を、下記に示すSc相
を有する光学活性でないピリミジン系液晶(A)に
【化26】 配合し、液晶組成物を作製した。この時の液晶組成物の
相転移温度は であり、室温でキラルスメクチックC相を示している。
【0034】(自発分極、粘性、応答速度及び傾き角の
測定)実施例2で得られたラクトン誘導体を含んだ液晶
組成物を加熱し、等方性液体とした後、ポリイミドを塗
布し、ラビング処理を施した透明電極付き薄型セル
(2.4ミクロン)に注入した。しかる後、セルを除冷
し、螺旋構造が消失している均一なSc* 相のモノドメ
インを得、25゜Cにおいてこのセルに48Vpp,5
0Hzの三角波電圧を印加して自発分極を測定した。ま
た、同様にこのセルに24Vpp,50Hzの矩形波電
圧を印加して25゜Cにおける応答速度、粘性を測定し
た。同セルに48Vpp,0.1Hzの矩形波電圧を印
加して2つのスイッチング状態に対応する消光位間の角
度差を測定し、その1/2を傾き角とした。自発分極、
粘性、応答速度及び傾き角の測定結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の光学活性
化合物は新規な化合物であり、一般式(I)で表され、
その化合物は、強誘電性を持たない液晶組成物に添加す
ることにより、組成物全体の強誘電性を発現させ、さら
に大きな自発分極を誘起させることができ、その結果、
高速応答性が得られた。また、均一配向性は良好であ
り、モノドメイン状態が確認され、メモリー性が得られ
た。また、中には単独で液晶相を示すという特徴を示す
化合物が得られた。以上の事から非常に優れた強誘電性
液晶材料を提供することができた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09K 19/34 9279−4H C09K 19/34 // C07M 7:00

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コア部とそれをはさむ2つの側鎖部を有
    し、その一方の側鎖部には2個のキラル炭素原子が環内
    にあるラクトン環を有する基であり、他方の側鎖部に
    は、キラル炭素原子を含んでいてもよい、かつアルカノ
    イル基またはオキシアルカノイル基を有することを特徴
    とする光学活性化合物。
  2. 【請求項2】 一般式(I) 【化1】 (式(I)中R1 は炭素数1〜18の直鎖もしくは分岐
    鎖のアルキル基、炭素数1〜18の直鎖もしくは分岐鎖
    のアルコキシ基、炭素数3〜18の直鎖もしくは分岐鎖
    のアルケニル基、炭素数3〜18の直鎖もしくは分岐鎖
    のアルキニル基またはアルコキシ部分が炭素数1〜3で
    アルキル部分が炭素数1〜18の直鎖もしくは分岐鎖の
    アルコキシアルキル基を示し、またはこれらは1つ以上
    のハロゲンで置換されたものであってもよい;R2 は炭
    素数1〜18の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、炭素
    数3〜18の直鎖もしくは分岐鎖のアルケニル基または
    炭素数3〜18の直鎖もしくは分岐鎖のアルキニル基を
    示す;R1 及びR2 には不斉炭素原子を含んでよい;
    A,B,Cは、各々独立に 【化2】 を示す;l,m,nは各々0または1を示し、l+m+
    nは0であることはない;X,X’は各々水素原子、ハ
    ロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜5のアルキル基、炭
    素数1〜5のアルコキシ基、または炭素数1〜5のトリ
    ハロアルキル基を示す;*の符号は不斉炭素原子を表
    す。)で表される光学活性化合物。
  3. 【請求項3】 R1 が直鎖である請求項2記載の光学活
    性化合物。
  4. 【請求項4】 ラクトン環の2個の不斉炭素原子が、各
    々(S)配位である、請求項1ないし3記載の光学活性
    化合物。
  5. 【請求項5】 ラクトン環の2個の不斉炭素原子が、各
    々(R)配位である、請求項1ないし3記載の光学活性
    化合物。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5記載の光学活性化合物
    を少なくとも1種以上を含有することを特徴とする液晶
    組成物。
  7. 【請求項7】 スメクチックC相を示す液晶化合物に、
    請求項1ないし5記載の光学活性化合物を含有するキラ
    ルドーパントを添加してなることを特徴とする強誘電性
    キラルスメクチック液晶組成物。
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