JPH0940595A - テルペン誘導体、これを含む液晶組成物および液晶素子 - Google Patents

テルペン誘導体、これを含む液晶組成物および液晶素子

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JPH0940595A
JPH0940595A JP19322695A JP19322695A JPH0940595A JP H0940595 A JPH0940595 A JP H0940595A JP 19322695 A JP19322695 A JP 19322695A JP 19322695 A JP19322695 A JP 19322695A JP H0940595 A JPH0940595 A JP H0940595A
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JP
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liquid crystal
phase
formula
terpene derivative
carbon atoms
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JP19322695A
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English (en)
Inventor
Ryuji Kadota
田 隆 二 門
Osami Inoue
上 長 三 井
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Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】式(I)[R1は、特定の炭素数の鎖状ア
ルキル基、鎖状アルケニル基、鎖状アルキニル基を示
し、これらの基は炭素数1〜3のアルコキシ基もしくは
ハロゲン原子で置換されていてもよく、エーテル結合を
含んでいてもよい;A,E,Jは、各々独立にピリミジ
ン環、ベンゼン環、ナフタレン環などを示す;j,k,
l,mは各々独立に0または1を示す;nは0〜2の整
数を示す;G 1は-O-,-S-,-CO-,-COO-,-OCO-,-SCO-で表
される群から選ばれる基を示す;G2は-O-,-S-を示
す。]で表されるテルペン誘導体、これを含む液晶組成
物並びに液晶素子。 【効果】このテルペン誘導体は、物理的化学的に安定で
低粘度を有し、これと他の液晶化合物とからなる液晶組
成物は、広い温度範囲でSc*相を示し、低粘度を有
し、印加電圧に対して高速応答性を示し、メモリー特性
の閾値が向上し、十分高いコントラスト比を示す。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、新規なテルペン誘導体、
該誘導体が含まれた強誘電性液晶組成物に関し、さらに
詳しくは、単独でまたは他の液晶化合物と混合すること
により強誘電性(キラルスメクチックC相)及びネマチ
ック相を呈するテルペン誘導体、該誘導体が含まれた強
誘電性液晶組成物に関する。
【0002】また本発明は、液晶表示素子に関し、さら
に詳しくは上記のようなテルペン誘導体を含有し、電気
光学的スイッチング素子として使用される液晶表示素子
に関する。
【0003】
【従来の技術】現在、液晶表示素子として、TN(ねじ
れネマチック)型の液晶表示素子が広く実用化されてい
る。
【0004】この液晶表示素子は、液晶セルのセルギャ
ップにネマチック相を示す液晶化合物を主成分として含
有する液晶組成物を充填してなる液晶表示素子である
が、応答速度が遅く、最高数ミリ秒のオーダーの応答速
度しか得られないという問題点を有する。そしてこのこ
とが、ネマチック液晶を用いた表示素子の大型化を制約
する一因となっている。
【0005】このようなネマチックタイプの液晶表示素
子の欠点を改善するものとして、クラーク及びラガウエ
ルにより提案された電気光学的に双安定性を有する液晶
を用いた液晶表示素子が注目されている(特開昭56−
107216号参照)。
【0006】このような双安定性を有する液晶は強誘電
性液晶と呼ばれ、メモリー性、高速応答性、広い視野
角、良好なコントラストを有することなどから最有望視
され、特に近年において液晶テレビなどのディスプレイ
用のみならず、光プリンターヘッド、ライトバルブ、光
コンピューター素子などオプトエレクトロニクス分野に
おいても、その実用化に向けた開発が盛んになってい
る。
【0007】一般に、強誘電性液晶は光学活性部位を有
する化合物であって、かつその分子長軸が層の法線方向
からチルトした分子配向を有する一連のスメクチック相
においてその光学活性が発現する。これらスメクチック
相の中でもキラルスメクチックC(以下、Sc*と略記
する)相では、液晶は粘性が低く、比較的低電圧動作性
を有するため実用上優位とされる。
【0008】このような強誘電性液晶として、1975
年、マイヤー(R.B.Meyer)らにより合成され
た4−(4−n−デシルオキシベンジリデンアミノ)桂
皮酸−2−メチルブチルエステル(以下、DOBAMB
Cと略記する。)が知られている(J.Physiqu
e 36 L−69(1975)参照)。しかしなが
ら、このDOBAMBCは、シッフ塩基構造を有するた
めに、水や光などに対する安定性に劣るとの問題点があ
った。
【0009】このため、物理的化学的に安定で、しかも
Sc*相を示す温度範囲が広い強誘電性液晶材料の出現
が強く期待されている。ところで強誘電性液晶の応答速
度(τ)は、 τ=η/(Ps・E) (Ps:液晶の自発分極、η:液晶の粘度、E:印可電
界)で表され、自発分極(Ps)が大きいほどτが小さ
くなり、応答速度は速くなる。従って、応答速度の速い
強誘電性液晶を得るためには、液晶化合物あるいは液晶
組成物(両者をまとめて単に液晶ともいう)の自発分極
を大きくするか、その粘度を小さくする必要がある。し
かしながら、この自発分極をあまり大きくすると液晶の
メモリー性等に悪影響を与える傾向があり、また、大き
な自発分極を示す液晶では、逆に粘性が増大して応答速
度が遅くなったり、液晶相やSc*相の温度範囲が狭く
なることが多く、実際には液晶の自発分極をある程度以
上には大きくできないことが多い。そこで、液晶の応答
速度をさらに速くするためには、例えば液晶組成物の粘
度を小さくする必要があるが、そのためには液晶組成物
中の大部分の量を占めているホスト液晶の粘度を小さく
することが最も重要なことである。
【0010】このため、既知のホスト液晶及びキラルド
ーパントに添加しても、Sc*相の温度範囲を崩さずか
つ該温度範囲が広く、しかも得られる液晶の粘度ηを小
さくでき、高速応答性を実現しうるような低粘化剤の開
発が望まれている。
【0011】ところで、テルペンは自然界に種々のもの
が広く存在する天然有機化合物で、通常イソプレン単位
から生合成され、その種類も多く6000種以上知られ
ている。しかしながら、テルペン誘導体の液晶材料とし
ての利用例は非常に少なく、例えば特公昭62−501
559号公報、特開平5−194416号公報などにテ
ルペノイド誘導体、シトロネロール誘導体の利用例が記
載されているに過ぎない。しかもこれら公報では、ホス
ト液晶に低融点及び低粘度添加物を添加し、キラルドー
パントとしてテルペノイド誘導体を添加することが開示
(特公昭62−501559号公報では、その実施例に
おいてテルペノイド誘導体を5〜30重量%添加してい
る)されているが、該テルペノイド誘導体は低粘度化剤
としては用いられていない。
【0012】
【発明の目的】本発明、上記のような従来技術に伴う問
題点を解決しようとするものであって、強誘電性液晶材
料用の添加剤として好適に用いることができ、下記のよ
うな特性を有する新規なテルペン誘導体を提供すること
を目的としている。
【0013】1.それ自体物理的化学的に安定であるこ
と、 2.該テルペン誘導体を他の液晶化合物あるいは液晶組
成物と混合することにより、広い温度範囲でSc*相を
示す液晶組成物が得られること、 3.それ自体粘度が小さく、この化合物を添加すること
により低粘度を有し、印加電圧に対して高速応答性の液
晶組成物が得られること、 5.該テルペン誘導体を少量用いることにより、メモリ
ー特性の閾値が向上し、十分高いコントラスト比の液晶
組成物が得られること。
【0014】本発明は、また、上記特性を有する液晶組
成物並びに液晶素子を提供することを目的としている。
【0015】
【発明の概要】本発明に係るテルペン誘導体は、一般式
(I)で表されることを特徴としている。
【0016】
【化4】
【0017】[式(I)中R1は、炭素数1〜18の鎖
状アルキル基、炭素数3〜18の鎖状アルケニル基また
は炭素数3〜18の鎖状アルキニル基を示し、これらの
基は炭素数1〜3のアルコキシ基もしくはハロゲン原子
で置換されていてもよく、エーテル結合を含んでいても
よい;A,E,Jは、各々独立に次式
【0018】
【化5】
【0019】(式中、X,X’は各々独立に水素原子、
ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜5のアルキル基、
炭素数1〜5のアルコキシ基もしくは炭素数1〜5のト
リハロアルキル基を示す)で表される群から選ばれる基
を示す;j,k,l,mは各々独立に0または1を示
す;nは0〜2の整数を示す;G1は次式
【0020】
【化6】
【0021】で表される群から選ばれる基を示す;G2
は−O−または−S−を示す。)]。本発明に係る液晶
組成物は、上記式(I)で表されるテルペン誘導体を少
なくとも1種以上含有することが好ましい。
【0022】本発明に係る強誘電性キラルスメクチック
液晶組成物は、キラルスメクチックC相及びスメクチッ
クC相を示す液晶化合物または組成物と、上記式(I)
で表されるテルペン誘導体とを含有している。
【0023】本発明に係るネマチック液晶組成物は、ネ
マチック相を示す液晶化合物または組成物と、上記式
(I)で表されるテルペン誘導体とを含有している。本
発明に係る液晶素子は、電圧印加手段を有する一対の基
板と、これらの基板に挟まれた液晶層と、少なくとも一
方の基板の液晶層側に設けられた配向制御層とからな
り、該液晶層には、上記一般式(I)で表されるテルペ
ン誘導体が1種以上含有されていることを特徴としてい
る。
【0024】本発明に係るテルペン誘導体は、物理的化
学的に安定であり、低粘度を有し、該テルペン誘導体と
他の液晶化合物とからなる液晶組成物は、広い温度範囲
でSc*相を示し、低粘度を有し、印加電圧に対して高
速応答性を示す。またこのテルペン誘導体が、液晶組成
物中に少量含有されることにより、メモリー特性の閾値
が向上され、十分高いコントラスト比の液晶組成物が得
られる。
【0025】本発明に係る液晶素子には、上記特性を有
する液晶組成物が用いられており、上記のような優れた
特性を有する。
【0026】
【発明の具体的説明】以下、先ず初めに本発明に係る新
規なテルペン誘導体について具体的に説明する。[テルペン誘導体] 本発明に係るテルペン誘導体は、一
般式(I)で表される。
【0027】
【化7】
【0028】式(I)中R1は、炭素数1〜18、好ま
しくは3〜12の鎖状アルキル基、炭素数3〜18、好
ましくは3〜12の鎖状アルケニル基または炭素数3〜
18、好ましくは3〜12の鎖状アルキニル基を示す。
これらの基は炭素数1〜3のアルコキシ基もしくはハロ
ゲン原子で置換されていてもよく、エーテル結合を含ん
でいてもよい。またこれらの基は、直鎖状であっても分
岐状であってもよい。
【0029】また上記A,E,Jは、各々独立に次式
【0030】
【化8】
【0031】(式中、X,X’は各々独立に水素原子、
ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜5のアルキル基、
炭素数1〜5のアルコキシ基もしくは炭素数1〜5のト
リハロアルキル基を示す)で表される群から選ばれる基
を示す。
【0032】これらの基の内では、置換基Xを有するこ
とのあるフェニレン基(付番(4))、ピリミジル基(付
番(1),(2))、置換基X,X’を有することのあるナフ
チレン基(付番(8))が好ましく、またこれらの基の置
換基X,X’としては水素原子またはハロゲン原子であ
ることが好ましい。
【0033】j,k,l,mは各々独立に0または1を
示す。nは0〜2の整数、好ましくは1を示す。G1
次式
【0034】
【化9】
【0035】で表される群から選ばれる基を示し、これ
らの内では−O−、単結合(j=0の場合)が好まし
い。G2は−O−または−S−を示す。
【0036】上記一般式(I)におけるR1は、上記の
ようにアルキル基、アルケニル基、アルキニル基を示す
が、そのうちのアルキル基としては、具体的には、例え
ばメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペ
ンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、
n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシ
ル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデ
シル、イソプロピル、t−ブチル、2−メチルプロピ
ル、1−メチルプロピル、1−メチルプロピル、3−メ
チルブチル、2−メチルブチル、1−メチルブチル、4
−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−メチルペ
ンチル、1−メチルペンチル、5−メチルヘキシル、4
−メチルヘキシル、3−メチルヘキシル、2−メチルヘ
キシル、1−メチルヘキシル、6−メチルヘプチル、5
−メチルヘプチル、4−メチルヘプチル、3−メチルヘ
プチル、2−メチルヘプチル、1−メチルヘプチル、7
−メチルオクチル、6−メチルオクチル、5−メチルオ
クチル、4−メチルオクチル、3−メチルオクチル、2
−メチルオクチル、1−メチルオクチル、8−メチルノ
ニル、7−メチルノニル、6−メチルノニル、5−メチ
ルノニル、4−メチルノニル、3−メチルノニル、2−
メチルノニル、1−メチルノニル、3,7−ジメチルオ
クチル、3,7,11−トリメチルドデシルなどが挙げ
られる。
【0037】アルケニル基としては、具体的には、例え
ば2−プロペニル、3−ブテニル、3−ペンテニル、4
−ヘキセニル、6−ヘプテニル、7−オクテニル、8−
ノネニル、12−トリデセニルなどの直鎖状のもの;1
−メチル−2−プロペニル、3−メチル−3−ブテニル
などの分岐状のものが挙げられる。
【0038】また、アルキニル基としては、具体的に
は、例えば2−プロピニル、3−ブチニル、5−ヘキシ
ニル、2−オクチニルなどの直鎖状のもの;1−メチル
−2−プロピニルなどの分岐状のもが挙げられる。
【0039】このような式(I)で示されるテルペン誘
導体の好ましい例は、例えば
【0040】
【化10】
【0041】[結晶相から等方相への転移温度:97
℃]
【0042】
【化11】
【0043】[相転移温度:等方相からネマチック相:
89℃、ネマチック相からスメクチックA相:82℃、
スメクチックA相から結晶相:56℃]である。[テルペン誘導体の製造] 本発明に係る一般式(I)で
表される化合物は、下記式(II−A)で示される化合物
と、下記式(III)で示される化合物とを反応させるこ
とによって製造することができる。
【0044】
【化12】
【0045】[式(II−A)中、nは前記式(I)の場
合と同じ意味を有し、Qは水酸基を示す。]
【0046】
【化13】
【0047】[式(III)中R1、A、E,J、j,k,
l,m、n、G1およびG2はそれぞれ前記式(I)の場
合に同じ。] このように、上記式(II−A)においてQが水酸基のも
のについて詳説すると、本発明に係るテルペン誘導体
(I)は、下記式(II)で示される化合物と、下記式
(III)で示される化合物とを反応させることにより製
造することができる。
【0048】
【化14】
【0049】[式(II)、(III)中のR1,A,E,
J,j,k,l,m,nは、式(I)中のR1,A,
E,J,j,k,l,m,nと同様な意味を表してい
る。] すなわち、一般式(II)で表されるゲラニオール等の不
飽和アルコールと、液晶性母核と成り得る一般式(II
I)で表されるフェノール誘導体、ナフトール誘導体ま
たはチオフェノール誘導体とを、トリフェニルフォスフ
ィン、エチルアゾカルボン酸エステルの存在下で反応さ
せることにより、目的とするゲラニオール誘導体(テル
ペン誘導体)を製造することができる。
【0050】このような反応の際には、式(II)で表さ
れる化合物1モルに対して、式(III)で表される化合
物は、理論的には等モル量で用いればよいが、通常で
は、0.8〜1.2モル程度の量で用いられる。この際
の反応温度は、通常15〜30℃である。
【0051】式(II)で表される不飽和アルコールとし
ては、具体的には、例えば、ゲラニオール、ファーネソ
ール等が挙げられ、ゲラニオールが好ましく用いられ
る。一般式(III)で表されるフェノール誘導体の好ま
しい具体例としては、例えば、4−(5−ノニル−2−
ピリミジル)フェノール、4-(4-ノニルフェニル)フ
ェノールが挙げられる。
【0052】一般式(III)で表されるナフトール誘導
体の好ましい具体例としては、例えば、6−(5−デシ
ル−2−ピリミジル)−2−ナフトール、6-(4-デシ
ルフェニル)フェノールが挙げられる。
【0053】このような式(I)で表されるテルペン誘
導体の合成の際には、溶媒として、テトラヒドロフラ
ン、エーテル等の溶媒を1種または2種以上適宜組合わ
せて用いることができる。
【0054】上述したような本発明に係るテルペン誘導
体は、物理的化学的に安定であり、1種または2種以上
のこのテルペン誘導体(例:上記式(I-1)の化合物)
と、他のキラルスメクチックC相およびスメクチックC
相を有する液晶化合物(組成物)とを混合してなる液晶
は、広い温度範囲でSc*相を示す。
【0055】また本発明のテルペン誘導体を、ホスト液
晶に少量(例:液晶組成物中に0.5〜20重量%程
度)で添加することにより、低粘度化され、印加電圧に
対して高速応答性を示し、応答時間とメモリー特性の閾
値が向上され、十分高いコントラスト比を有する液晶組
成物が得られる。
【0056】さらに具体的に説明すると、上記一般式
(I)で表わされる化合物を、少量用いることにより十
分に粘度が低下した液晶組成物を得ることができる。例
えば、後述する実施例3にも示されるように、実施例1
で得られた化合物を僅か2重量%と、Sc*相を示す母
体液晶(「ホスト液晶」とも言う)98重量%とから成
るSc*液晶組成物では、20℃における粘度は41c
pである。これに対して一般式(I)で表されるテルペ
ン誘導体を添加しなかったSc*液晶組成物(ホスト液
晶のみ)では、20℃における粘度は54cpであり、
本発明のテルペン誘導体を含有する液晶組成物では、ホ
スト液晶のみからなるものと比べて低粘度化されてお
り、本発明のテルペン誘導体はホスト液晶の低粘度化に
著しく寄与したことがわかる。
【0057】すなわち、本発明のテルペン誘導体を、得
られる液晶組成物中における含有量が例えば2重量%程
度以上となるような量で、キラルのホスト液晶に添加す
れば、著しく低粘度化された液晶組成物が得られ、十分
な高速応答性を有する液晶素子を得ることが可能とな
る。
【0058】さらに、本発明に係るテルペン誘導体は、
光学活性基を有していてもよいが、該誘導体の側鎖にキ
ラル基を有していると、Sc*相、Ch相のヘリカル ツ
イスト パワー(HTP)や誘起自発分極の特性を調整
することが可能となる。
【0059】また、一般式(I)で表されるテルペン誘
導体は、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて
(例:ラセミ体)用いてもよい。本発明では、このテル
ペン誘導体を単独で用いるよりも、1種または2種以上
の該テルペン誘導体と、他の液晶(ホスト液晶)などと
を組み合わせてなる液晶組成物として用いることがより
好適である。
【0060】このような液晶組成物としては、一般式
(I)で表される化合物の少なくとも1種と、必要に応
じて適当なキラルドーパント1種以上とを、キラルスメ
クチックC相(Sc*相)−コレステリック相(Ch
相)−等方相(I相)またはキラルスメクチックC相
(Sc*相)−スメクチックA相(SA相)−コレステリ
ック相(Ch相)−等方相(I相)などの相系列を示す
キラル液晶または液晶組成物に添加してなるものが挙げ
られ、このような液晶組成物では、キラルスメクチック
C相(Sc*相)−スメクチックA相(SA相)−コレス
テリック相(Ch相)−等方相(I相)の相系列を示
す。このように、本発明のテルペン誘導体は、所望の相
系列を誘起するための添加剤として特に有用である。
【0061】一般式(I)で表される化合物を、液晶組
成物中に0.5重量%から20重量%程度、好ましくは
0.5重量%以上〜5重量%未満となるような量で添加
すれば、高速応答可能な強誘電性Sc*組成物を得るこ
とができる。このように一般式(I)で表されるテルペ
ン誘導体が少量含まれた液晶組成物では、該テルペン誘
導体が含まれていない液晶組成物に比べて、その液晶
相、特にSc*相の温度範囲が狭くなってしまうことは
あまりない。
【0062】本発明の光学活性化合物が添加されるホス
ト液晶としては、特に制限されないが、従来よりホスト
液晶として知られている種々の化合物(群)を使用でき
る。このようなホスト液晶としては、具体的には、例え
ば、下記の式[H-1]、[H-2]で示すようなものが例
示される。
【0063】
【化15】
【0064】(式[H-1]中、R2、R3は炭素数3〜1
8のアルキル基またはアルコキシ基を示す。)で表され
るフェニルピリミジン系液晶、
【0065】
【化16】
【0066】(式[H-2]中、R4、R5は炭素数3〜1
8のアルキル基またはアルコキシ基を示す。)で表され
るフェニルベンゾエート系液晶。本発明に係るテルペン
誘導体は、これらのホスト液晶[H-1]、[H-2]の内
の1種または2種以上と組み合わせて液晶組成物として
用いられると、高速応答性、ホスト液晶のSc相温度域
の保持特性が顕著に現れるため好ましい。
【0067】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のテルペン
誘導体は各種液晶の低粘度化剤として効果的であり、該
テルペン誘導体を従来公知の液晶化合物あるいは組成物
と組み合わせて用いることにより、強誘電性を示す温度
領域が広く、大きな自発分極を有し、粘性、応答性に優
れた液晶組成物が得られる。
【0068】本発明に係る液晶素子には、上記のような
テルペン誘導体が含まれているので、上記のように強誘
電性を示す温度領域が広く、高速応答性に優れるという
効果が得られる。
【0069】
【実施例】以下、実施例により本発明のテルペン誘導体
についてさらに詳細に述べるが、本発明はこれらの実施
例により何等限定されるものではない。
【0070】以下、記号Kは結晶を、Nはネマチック相
を、Chはコレステリック相を、S AはスメクチックA
相を、ScはスメクチックC相を、Sc*はキラルスメ
クチックC相を、Iは等方性液体を、SXはスメクチッ
ク相の高次構造をそれぞれ示す。
【0071】本化合物(テルペン誘導体)の精製は、シ
リカゲルカラムクロマトグラフィー及び再結晶にて行っ
た。以下に示す相転移点の測定は、物質の純度により若
干の影響を受けることもある。
【0072】
【実施例1】4−(5−ノニル−2−ピリミジル)フェ
ノール600mg、ゲラニオール370mg、及びトリ
フェニルフォスフィン524mgをテトラヒドロフラン
10mlに溶解し、氷冷下、エチルアゾカルボン酸エス
テル350mgを滴下後室温に戻し、5時間撹拌した。
反応後、得られた反応物に冷却水を加え、酢酸エチルで
生成物を抽出した。抽出物をシリカゲルカラムクロマト
グラフィーで精製して下記構造式(I-1)に示すエーテ
ル体700mgを得た。
【0073】
【化17】
【0074】相転移温度: 結晶(K相)から等方性液体(I相):97℃。 NMRδppm(CDCl3) δ:1.0〜2.3(14H,m) 0.88(3H,t) 1.61(3H,s) 1.68(3H,s) 1.76(3H,s) 2.13(2H,m) 2.60(2H,t) 4.62(2H,d) 5.10(1H,t) 5.52(1H,t) 7.00(2H,d) 8.35(2H,d) 8.58(2H,s) MS :434(M+
【0075】
【実施例2】6−(5−デシル−2−ピリミジル)−2
−ナフトール543mg、ゲラニオール347mg、及
びトリフェニルフォスフィン393mgをテトラヒドロ
フラン10mlに溶解し、氷冷下エチルアゾカルボン酸
エステル261mgを滴下し、室温に戻し、5時間撹拌
した。反応後、冷却水を加え、酢酸エチルで生成物を抽
出した。得られた抽出物をシリカゲルカラムクロマトグ
ラフィーで精製して下記構造式(I-2)に示すエーテル
体559mgを得た。
【0076】
【化18】
【0077】相転移温度: 等方性液体(I)からネマチック相(N):89℃、ネ
マチック相(N)からスメクチックA相(SA):82
℃、スメクチックA相(SA)から結晶(K相):56
℃。
【0078】NMRδppm(CDCl3) 0.90(3H,t) 1.60(3H,s) 1.67(3H,s) 1.81(3H,s) 2.13(4H,m) 1.0〜2.8(18H,m) 4.68(2H,d) 5.10(1H,t) 5.55(1H,t) 8.64(2H,s) 7.0〜8.9(6H,m) MS :498(M+
【0079】
【実施例3】 (強誘電性液晶組成物の作製)実施例1で合成した式
(I-1)で表される化合物:
【0080】
【化19】
【0081】を、下記に示すSc*相を有する光学活性
のピリミジン系液晶(A)100重量部に対して2重量
部配合して、液晶組成物を作製した。この時の液晶組成
物の相転移温度は、Sc*相とSA相間:58℃、SA
とCh相間:76℃、Ch相とI相間:85℃であり、
室温(20℃)でキラルスメクチックC相を示した。 ピリミジン系液晶(A):
【0082】
【化20】
【0083】(自発分極、粘性及び応答速度の測定)
られたテルペン誘導体(I-1)が含まれた上記液晶組成
物を加熱し、等方性液体とした後、ポリイミドが塗布さ
れ、ラビング処理が施された透明電極付き薄型セル(セ
ルギャップ:2.4ミクロン)に注入した。しかる後、
得られた液晶素子を徐冷し、液晶の螺旋構造が消失して
いる均一なSc*相のモノドメインを得、20℃におい
てこのセルに48Vpp,50Hzの三角波電圧を印加
して自発分極を測定した。また、同様にこのセルに48
Vpp,50Hz矩形波電圧を印加して20℃における
応答速度、粘性を測定した。
【0084】実施例1で合成されたテルペン誘導体(V
I)を、液晶組成物中の含有量が2重量%となるような
量で添加してなる液晶組成物の自発分極、粘性、応答速
度及びTc点を測定した。
【0085】結果を表1に示す。
【0086】
【比較例1】実施例3において、テルペン誘導体(V
I)を配合しなかった以外は、実施例3と同様にして、
液晶素子を作製し、液晶組成物の自発分極、粘性、応答
速度及びTc点を測定した。
【0087】結果を表1に示す。
【0088】
【表1】
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 69/24 C07C 69/24 69/52 69/52 69/757 9546−4H 69/757 C 69/92 69/92 69/94 69/94 321/22 321/22 321/24 321/24 327/20 327/20 327/26 7106−4H 327/26 C07D 213/30 C07D 213/30 213/32 213/32 215/14 215/14 237/08 237/08 239/26 239/26 C09K 19/12 9279−4H C09K 19/12 19/30 19/30 19/34 19/34 G02F 1/13 500 G02F 1/13 500

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 [式(I)中R1は、炭素数1〜18の鎖状アルキル
    基、炭素数3〜18の鎖状アルケニル基または炭素数3
    〜18の鎖状アルキニル基を示し、これらの基は炭素数
    1〜3のアルコキシ基もしくはハロゲン原子で置換され
    ていてもよく、エーテル結合を含んでいてもよい;A,
    E,Jは、各々独立に次式 【化2】 (式中、X,X’は各々独立に水素原子、ハロゲン原
    子、シアノ基、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜
    5のアルコキシ基もしくは炭素数1〜5のトリハロアル
    キル基を示す)で表される群から選ばれる基を示す;
    j,k,l,mは各々独立に0または1を示す;nは0
    〜2の整数を示す;G1は次式 【化3】 で表される群から選ばれる基を示す;G2は−O−また
    は−S−を示す。]で表されることを特徴とするテルペ
    ン誘導体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の化合物を少なくとも1種
    以上含有することを特徴とする液晶組成物。
  3. 【請求項3】 キラルスメクチックC相及びスメクチッ
    クC相を示す液晶化合物または組成物と、請求項1に記
    載のテルペン誘導体とを含有することを特徴とする強誘
    電性キラルスメクチック液晶組成物。
  4. 【請求項4】 ネマチック相を示す液晶化合物または組
    成物と、請求項1に記載のテルペン誘導体とを含有する
    ことを特徴とするネマチック液晶組成物。
  5. 【請求項5】 電圧印加手段を有する一対の基板と、こ
    れらの基板に挟まれた液晶層と、少なくとも一方の基板
    の液晶層側に設けられた配向制御層とからなり、 該液晶層には、上記一般式(I)で表されるテルペン誘
    導体が1種以上含有されていることを特徴とする液晶素
    子。
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