JPH0913036A - 強誘電性液晶組成物及び液晶素子 - Google Patents

強誘電性液晶組成物及び液晶素子

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JPH0913036A
JPH0913036A JP7165671A JP16567195A JPH0913036A JP H0913036 A JPH0913036 A JP H0913036A JP 7165671 A JP7165671 A JP 7165671A JP 16567195 A JP16567195 A JP 16567195A JP H0913036 A JPH0913036 A JP H0913036A
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formula
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JP7165671A
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English (en)
Inventor
Masaaki Namekawa
正明 滑川
Keizo Ito
恵造 伊藤
Shinichi Nayuki
新一 名雪
Mitsunori Takeda
充範 竹田
Yoshinobu Murayama
義信 村山
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Kashima Oil Co Ltd
Original Assignee
Kashima Oil Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 使用温度範囲が広く、高速応答性等に優れた
強誘電性液晶組成物を提供すること、及び表示素子ある
いは電気光学素子等として有用な液晶素子を提供するこ
とである。 【構成】 光学活性テトラヒドロピラン誘導体であるカ
イラル液晶成分と、二環フェニルピリミジン系エーテル
化合物の少なくとも一種,二環フェニルピリミジン系エ
ステル化合物の少なくとも一種,安息香酸フェニルエス
テル誘導体の少なくとも一種及び三環フェニルピリミジ
ン系化合物の少なくとも一種,更に必要に応じて二環フ
ェニルピリミジン系化合物の少なくとも一種からなる母
体液晶と、からなることを特徴とする強誘電性液晶組成
物、並びに該液晶組成物を一対の電極基板間に配設して
なることを特徴とする液晶素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は強誘電性液晶組成物及び
液晶素子に関し、さらに詳しくは、表示素子あるいは電
気光学素子等に好適に用いられる強誘電性液晶組成物及
び該組成物からなる液晶素子に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
各種の表示素子,電子光学デバイス,液晶センサなど、
液晶の利用分野が著しく拡大しつつあり、それに伴って
様々な構造の液晶化合物が提案されてきた。特に、表示
素子に用いられる液晶材料は、現在のところネマティッ
ク液晶が主流であり、これを用いたTN型あるいはST
N型の単純マトリックス方式及び個々の画素ごとに薄膜
トランジスタを付与したTFT型のアクティブマトリッ
クス方式が用いられている。しかし、ネマティック液晶
は、その駆動力が液晶材料の誘電率の異方性と電場との
弱い相互作用に基づくため、本質的に応答速度が遅い
(msecオーダー)という欠点を有しており、高速応
答を要求される大画面の表示素子の材料としては不利で
あった。これに対して、1975年マイヤー( R. B. Me
yer ) らにより初めて合成された強誘電性液晶は、自発
分極を有し、これが直接電界と作用するため、駆動力が
大きく、1980年にクラーク( N. A. Clark )らが表
面安定化型強誘電性液晶素子(SSFLCD)におい
て、そのμsecオーダーの高速応答性とメモリー性を
発表して以来、注目を集め、これまで多くの液晶組成物
あるいは液晶素子が提案されてきた。
【0003】強誘電性液晶の応答時間(速度)は、τ=
η/(Ps・E)で知られている。ここでηは回転粘性
を示し、Psは自発分極を示し、Eは電界強度を示す。
これから、高速応答性を得るため、粘性が小さく、自発
分極の大きな液晶材料が開発目標とされてきた。また、
液晶材料としては、化学的安定性,広動作温度範囲など
の特性が要求されるが、単一の化合物でこれらの諸特性
を満たすことは困難であった。したがって、従来、複数
のカイラルスメクチックC相(SC * 相) を有する化合
物どうしを混合したり、粘性の低いスメクチックC相
(SC 相)を有する母体液晶に光学活性な化合物を添加
して所望の性能を有するSC * 相を示す強誘電性液晶組
成物を得る方法が用いられてきた。後者の場合には、添
加するカイラルドーパントは、それ自体SC * 相を有し
ていても、有していなくてもよく、母体液晶との相溶性
が良好で、大きな自発分極を誘起し、粘性を増大させな
いことが要求された。
【0004】本発明者らは既に、このようなカイラルド
ーパントとして、テトラヒドロピラン環上の一つの不斉
炭素原子に、それ自体大きな電子吸引性を有するフルオ
ロアルキル基を有する特定の化合物が、高速応答に対応
可能であることを見出し、該化合物の開示を行っている
(特開平5−230051号公報及び特開平5−310
725号公報)。
【0005】一方、スメクチックC相(SC 相)を有す
る母体液晶としては、これまでにも種々の研究が報告さ
れており、例えば特開平2−305889号公報,特開
平3−203987号公報には、非カイラル液晶成分と
してフェニルピリミジン系化合物等を用いた強誘電性液
晶組成物が開示されている。また、特開昭62−543
4号公報,特開平4−25591号公報,特開平4−2
9975号公報には、非カイラル液晶成分として3環系
フェニルピリミジン系化合物等を用いた強誘電性液晶組
成物が開示されている。
【0006】しかしながら、液晶素子の材料として、高
速応答に対応する液晶組成物を得るには、上記母体液晶
を用いただけでは困難である。そして、従来用いられて
いるカイラル液晶成分をこれらの母体液晶に配合しただ
けでは、高速応答性,自発分極の大きさ等においてカイ
ラル液晶成分自体の性能に限界があったため、満足ので
きる液晶組成物を得ることはできなかった。また、非カ
イラル液晶成分である母体液晶に、カイラル液晶成分を
配合して液晶組成物を調製する場合、母体液晶がある程
度の温度範囲においてSC 相を有していても、カイラル
液晶成分の添加によりSC * 相の発現温度範囲が減縮さ
れてしまうという問題があった。このため、母体液晶自
体が充分に広い範囲でSC 相を有するとともに、特定の
カイラル液晶成分を配合する際には、そのカイラル液晶
成分の特性を充分に生かすことのできる母体液晶を作製
することが必要であった。さらに、液晶素子として使用
する液晶組成物としては、自発分極が大きいこと、最適
なチルト角を有すること、粘性が低いこと、耐熱性を有
すること、あるいは化学的にも安定であること等が要求
されており、従来の液晶組成物ではこれらの性能を満足
のできるレベルで全て満たすことは困難であった。この
ような状況下で本発明者らは、使用温度範囲が広く、高
速応答性等に優れた液晶組成物を得るべく鋭意研究を重
ねた。
【0007】
【課題を解決するための手段】その結果、本発明者ら
は、数種の特定の二環フェニルピリミジン系化合物と三
環フェニルピリミジン系化合物と安息香酸フェニルエス
テル誘導体とからなる母体液晶に、特定のカイラル液晶
成分である光学活性テトラヒドロピラン誘導体が配合さ
れてなる液晶組成物が、上記課題を解決できることを見
い出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したもの
である。
【0008】すなわち、本発明は(a)一般式(X)及
び/又は(X')
【化8】 〔式中、Rfは炭素数1又は2のフルオロアルキル基を
示し、R1 は炭素数3〜20の直鎖又は分岐鎖アルキル
基を示し、R2 ,R3 及びR4 はそれぞれ独立に水素又
は炭素数1〜15の直鎖又は分岐鎖アルキル基,炭素数
2〜15のアルケニル基又は炭素数7〜10のアラルキ
ル基を示し、X1 は−COO−,−OCO−,−O−又
は単結合を示し、X2 は−COO−,−OCO−,−C
2 O−,−OCH2 −,−C≡C−又は単結合を示
し、X3 は−COO−,−CH2 O−又は−O−を示
し、X4 は−O−又は−OCO−を示し、*は不斉炭素
を示し、A及びBはそれぞれ独立にハロゲン,シアノ
基,含フッ素アルキル基で置換されていてもよい含六員
環基を示し、nは0又は1を示す。〕で表される光学活
性テトラヒドロピラン誘導体,
【0009】(b)一般式(I)
【化9】 〔式中、k及びmはそれぞれ1〜15の整数を示す。〕
で表される二環フェニルピリミジン系エーテル化合物の
少なくとも一種と一般式(I')
【化10】 〔式中、d及びeはそれぞれ1〜15の整数を示す。〕
で表される二環フェニルピリミジン系エーテル化合物の
少なくとも一種とからなる混合物、又は、上記一般式
(I')で表される二環フェニルピリミジン系エーテル化
合物の少なくとも一種、
【0010】(c)一般式(III)
【化11】 〔式中、v及びwはそれぞれ1〜15の整数を示す。〕
で表される二環フェニルピリミジン系エステル化合物の
少なくとも一種、
【0011】(d)一般式(IV) ,(V) あるいは(VI)
【化12】 〔式中、p,q,r,s,t及びuはそれぞれ1〜15
の整数を示す。〕で表される三環フェニルピリミジン系
化合物の少なくとも一種、好ましくは上記一般式(V)
で表される化合物の少なくとも一種、及び
【0012】(e)一般式(VII)
【化13】 〔式中、a及びbはそれぞれ1〜15の整数を示す。〕
で表される安息香酸フェニルエステル誘導体の少なくと
も一種からなることを特徴とする強誘電性液晶組成物を
提供するものである。また、本発明は、該強誘電性液晶
組成物に、さらに(f)一般式(II)
【化14】 〔式中、x及びyはそれぞれ1〜18の整数を示す。〕
で表される二環フェニルピリミジン系化合物の少なくと
も一種が含有されてなることを特徴とする強誘電性液晶
組成物を提供するものである。ここで、上記(a)成分
の割合は、強誘電性液晶組成物全体の0.1〜30重量%
であることが好ましい。さらに、本発明は上記光学活性
テトラヒドロピラン誘導体を含有する強誘電性液晶組成
物を、一対の電極基板間に配設してなる液晶素子をも提
供するものである。以下、本発明についてさらに詳細に
説明する。
【0013】先ず、本発明で用いられる液晶材料(a)
について説明する。本発明の強誘電性液晶組成物を構成
する液晶材料の内、カイラル液晶成分である(a)成分
は、下記一般式(X)及び/又は(X')
【化15】 で表される光学活性テトラヒドロピラン誘導体である。
上記式中、Rfは炭素数1又は2のフルオロアルキル基
を示し、具体的にはトリフルオロメチル基,ジフルオロ
メチル基,クロロジフルオロメチル基,ペンタフルオロ
エチル基などであり、好ましくはトリフルオロメチル基
である。また、R1 は炭素数3〜20の直鎖又は分岐鎖
アルキル基、例えばn−プロピル基,イソプロピル基,
n−ブチル基,イソブチル基,sec−ブチル基,te
rt−ブチル基,n−ペンチル基,n−ヘキシル基,n
−ヘプチル基,n−オクチル基,n−ノニル基,n−デ
シル基,n−ウンデシル基,n−ドデシル基,n−トリ
デシル基,n−テトラデシル基,n−ペンタデシル基,
n−ヘキサデシル基,n−ヘプタデシル基,n−オクタ
デシル基,n−ノナデシル基,n−エイコシル基などで
ある。これらのうち、炭素数3〜15の直鎖又は分岐鎖
アルキル基が好ましく、炭素数3〜10の直鎖又は分岐
鎖アルキル基がより好ましい。これらのうち、分岐鎖ア
ルキル基であって、不斉炭素を有する基は、光学活性基
である。
【0014】さらに、R2 ,R3 及びR4 は、それぞれ
独立に水素又は炭素数1〜15の直鎖又は分岐鎖アルキ
ル基,炭素数2〜15のアルケニル基又は炭素数7〜1
0のアラルキル基を示す。炭素数1〜15の直鎖又は分
岐鎖アルキル基としては、例えばメチル基,エチル基,
n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,se
c−ブチル基,tert−ブチル基,n−ペンチル基,
イソペンチル基,1−メチルブチル基,n−ヘキシル
基,n−ヘプチル基,1−メチルヘプチル基,n−オク
チル基,1−エチルヘプチル基,1−メチルオクチル
基,n−ノニル基,1−エチルオクチル基,1−メチル
ノニル基,n−デシル基,n−ウンデシル基,n−ドデ
シル基,n−トリデシル基,n−テトラデシル基,n−
ペンタデシル基などである。また、炭素数2〜15のア
ルケニル基としては、例えばビニル基,アリル基,1−
プロペニル基,イソプロペニル基,1−ブテニル基,2
−ブテニル基,2−メチルアリル基,1−ペンテニル
基,1−ヘキセニル基,1−ヘプテニル基,1−オクテ
ニル基,2−オクテニル基,1−ノネニル基,2−ノネ
ニル基,1−デセニル基,2−デセニル基,1−ウンデ
セニル基,2−ウンデセニル基,1−ドデセニル基,2
−ドデセニル基,1−トリデセニル基,2−トリデセニ
ル基,1−テトラデセニル基,2−テトラデセニル基,
1−ペンタデセニル基,2−ペンタデセニル基などが挙
げられる。炭素数7〜10のアラルキル基としては、例
えばベンジル基,フェネチル基,フェニルプロピル基,
フェニルブチル基などが挙げられる。R2 ,R3 及びR
4 としては、上記のような様々な基のうち、直鎖又は分
岐鎖の低級アルキル基、例えば炭素数1〜10の直鎖又
は分岐鎖アルキル基であるのが好ましく、炭素数1〜6
の直鎖又は分岐鎖アルキル基であるのがより一層好まし
い。
【0015】また、一般式(X)又は(X')において、
A及びBとしては、それぞれ独立に置換又は無置換の含
六員環基、例えば、
【化16】
【0016】
【化17】 などを挙げることができる。
【0017】本発明による一般式(X)の化合物は、様
々な方法で製造することができるが、例えば以下の工程
により製造することができる。X2 =単結合,X3 =−
COO− 及び n=1の場合:下記一般式(XI) R1 −X1 −A−B−COHal ・・・(XI) 〔式中、R1 ,X1 ,A及びBは前記と同じであり、Ha
l は塩素,臭素,ヨウ素等のハロゲンを示す。〕で表さ
れる化合物を、下記一般式(XII)
【0018】
【化18】 〔式中、Rf,R2 ,R3 ,R4 ,X4 及び*は前記と
同じである。〕で表される化合物と反応させて、上記一
般式(X) で表される化合物を得る。この反応は、有機
塩基、例えばピリジン,トリエチルアミン等の存在下に
トルエン,ベンゼン,塩化メチレン等の溶媒中で−20
℃〜80℃の温度で行うことができる。
【0019】また、本発明による一般式(X')の化合物
は、様々な方法で製造することができるが、例えば以下
の工程により製造することができる。X2 =単結合,X
3 =−CH2O− 及び n=1の場合:下記一般式(X
III) R1 −X1 −A−B−CH2Z ・・・(XIII) 〔式中、R1 ,X1 ,A及びBは前記と同じであり、Z
は塩素,臭素,ヨウ素又はトシル基を示す。〕で表され
る化合物を、下記一般式(XIV)
【0020】
【化19】 〔式中、Rf,R2 ,R3 ,R4 ,X4 及び*は前記と
同じである。〕で表される化合物と反応させて、上記一
般式(X')で表される化合物を得ることができる。この
反応は、一般式(XIV)の化合物にアルカリ金属ヒドリ
ド,水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム等の塩基を作
用させた後、上記一般式(XIII)の化合物を加えること
により行うことができる。この反応は、有機塩基、例え
ばイミダゾール等の存在下に、塩化メチレン,ジエチル
エーテル,テトラヒドロフラン,トルエン等の溶媒中で
−20℃〜120℃の温度で行うことができる。
【0021】また、本発明の一般式(X)で表される化
合物を製造するため、原料物質として用いる上記一般式
(XII)で表される化合物としては、例えば、
【化20】 などを挙げることができる。
【0022】さらに、本発明の一般式(X)及び(X')
で表される化合物の具体例としては、例えば以下の第1
表に示す化合物を挙げることができる。
【表1】 表中、R,Sは不斉点の絶対配置を示す。
【0023】次に、強誘電性液晶組成物の混合(配合)
及び本発明で用いられる母体液晶の材料について説明す
る。本発明の液晶組成物は、上記(b),(c),
(d)及び(e)成分、さらに必要に応じて(f)成分
からなる母体液晶に、光学活性テトラヒドロピラン誘導
体である(a)成分を混合した混合物からなる。母体液
晶における上記(b)成分,(c)成分,(d)成分,
(e)成分及び(f)成分の混合比、あるいは各成分中
のそれぞれの化合物の混合比等は、液晶組成物の性能を
決める上で重要であり、一慨に決定することは困難であ
る。従って、最終的には液晶組成物としての評価に拠ら
なければならないが、概ね次のような指針に従い混合比
を決定することができる。
【0024】即ち、スメクチックC相の温度範囲が広
く、且つ室温付近を中心とした温度範囲を有することが
基準となる。これによって、(a)成分を混合した後に
は、カイラルスメクチックC相の温度範囲が広く、実用
温度範囲で良好な特性を有する液晶組成物が得られる。
また、高速応答性を有するために、粘性が小さく、自発
分極が大きいこと、また最適なチルト角(22.5度付
近)を有すること等が基準となる。さらに、最終的に得
られる液晶組成物の分子配向が良好になるように、等方
性液体状態(I)からネマチック相(N),スメクチッ
クA相(SA )を経てスメクチックC相(SC )に至る
相系列をとる化合物(以下、INAC化合物と略記する
ことがある。)を有することが良い。一方、スメクチッ
クC相の温度範囲は広いことが好ましいが、得られる液
晶組成物が最適なチルト角を有するためには、スメクチ
ックA相の温度幅を調節する必要がある。これは、スメ
クチックA相の温度幅を拡大することにより、チルト角
を小さくすることが可能であり、この関係を用いて最適
な角度に調節することができるからである。
【0025】このようなことから、例えば(b)成分の
化合物の選定は、任意に行うことができるが、液晶組成
物の性能を考慮すると、1種類の二環フェニルピリミジ
ン系エーテル化合物のみでも可能ではあるが、融点を低
くして、室温域でも性能を発揮でき、最適なチルト角等
を有する母体液晶を作るには、数種の二環フェニルピリ
ミジン系エーテル化合物を用いるのが好ましい。そこ
で、下記一般式(I)の化合物あるいは下記一般式
(I')の化合物として、側鎖アルキル鎖長の異なる数種
の化合物を混合することで、融点等を調整して好ましい
範囲で相転移挙動をとる母体液晶を作製することができ
る。
【0026】本発明で用いられる(b)成分は、一般式
(I)
【化21】 で表される二環フェニルピリミジン系エーテル化合物の
少なくとも一種と一般式(I')
【化22】 で表される二環フェニルピリミジン系エーテル化合物の
少なくとも一種とからなる混合物であるか、又は、上記
一般式(I')で表される二環フェニルピリミジン系エー
テル化合物の少なくとも一種からなる。即ち、本発明の
(b)成分は、上記一般式(I')で表される二環フェニ
ルピリミジン系エーテル化合物を必ず含有する成分であ
り、一般式(I')で表される化合物のみである場合、あ
るいは該一般式(I')で表される化合物と上記一般式
(I)で表される化合物との混合物である場合がある。
上記(I) 式中、k及びmはそれぞれ1〜15の整数、
好ましくは3〜13の整数、さらに好ましくは5〜11
の整数を示し、(I')式中、d及びeはそれぞれ1〜1
5の整数、好ましくは3〜13の整数、さらに好ましく
は5〜11の整数を示す。
【0027】上記一般式(I) で表される化合物の具体
例としては、例えば以下の第2表に示す化合物を挙げる
ことができる。
【表2】 なお、表中において、Cは結晶相,SC はスメクチック
C相,SA はスメクチックA相,Nはネマチック相,I
は等方性液体相を示し、表中( )の付いた相は、モノ
トロピック液晶相を示す。以下の表においても同様であ
る。
【0028】ここで、INAC化合物の具体例として
は、第2表において、(I−4),(I−5),(I−
6),(I−7),(I−8),(I−9),又は(I
−10)の化合物などを挙げることができる。また、母
体液晶には、I相からN相,S A 相を経てC相に至る相
系列をとる化合物を用いることもでき、例えば、第2表
において、(I−1),(I−2),又は(I−3)の
化合物などを挙げることができる。さらに、母体液晶に
は、その融点等を調節するために、I相からSA相,S
C 相を経てC相に至る相系列をとる化合物を用いること
もでき、例えば、第2表において、(I−11),(I
−12),(I−13),(I−14),(I−1
5),又は(I−16)の化合物などを挙げることがで
きる。
【0029】(b)成分として、上記一般式(I) の化
合物を2種以上用いる場合には、INAC化合物のみか
らなる混合物、INAC化合物と他の相系列をとる化合
物との混合物、又はINAC化合物以外の他の相系列を
とる化合物のみからなる混合物のいずれを用いることも
できるが、混合物中にINAC化合物を含むことが好ま
しい。
【0030】また、上記一般式(I')で表される化合物
の具体例としては、例えば以下の第3表に示す化合物を
挙げることができる。
【表3】 これらの化合物はいずれもN相を示さず、I相からSA
相を経てSC 相に至る相系列をとり、前記一般式(I)
で表される化合物に比べて、チルト角が小さいという特
徴を有する。従って、上記一般式(I')で表される化合
物を用いることにより、チルト角を調節することが可能
であり、最適なチルト角を有する液晶組成物を調製する
ことができる。以上のような化合物からなる(b)成分
は、母体液晶100重量部に対して、好ましくは5重量
部〜90重量部、さらに好ましくは10重量部〜70重
量部含有される。
【0031】一方、本発明の強誘電性液晶組成物に用い
られる(c)成分は、一般式(III)
【化23】 で表される二環フェニルピリミジン系エステル化合物の
少なくとも一種からなり、上記式中、v及びwはそれぞ
れ1〜15の整数、好ましくは4〜13の整数を示す。
【0032】ここで、(c)成分の具体的な例として、
上記一般式(III)で表される化合物としては、例えば下
記第4表に示す化合物が挙げられる。
【表4】
【0033】上記のような化合物からなる(c)成分と
しては、1種類の二環フェニルピリミジン系エステル化
合物を用いることも、あるいは2種以上の二環フェニル
ピリミジン系エステル化合物の混合物を用いることもで
きる。また、このような(c)成分は母体液晶100重
量部に対して、好ましくは1重量部〜60重量部、さら
に好ましくは5重量部〜40重量部含有される。上記
(c)成分は、比較的SC 相の温度域は狭いが、(b)
成分等の化合物と混合することにより融点を低下させ、
スメクチックC相の低温域を拡げることができ、実用的
な広い温度域でSC 相を示す液晶組成物を得ることがで
きる。
【0034】また、本発明の強誘電性液晶組成物に用い
られる(d)成分は、一般式(IV),(V) あるいは(V
I)
【化24】 で表される三環フェニルピリミジン系化合物の少なくと
も一種からなり、上記式中、p,q,r,s,t及びu
はそれぞれ1〜15の整数、好ましくは3〜13の整
数、さらに好ましくは4〜11の整数を示す。
【0035】ここで、(d)成分の具体的な例として、
上記一般式(IV)で表される化合物としては、例えば下
記第5表に示す化合物が挙げられる。
【表5】 (d)成分の具体例として、上記一般式(V)で表され
る化合物としては、例えば下記第6表に示す化合物が挙
げられる。
【0036】
【表6】 また、(d)成分の具体例として、上記一般式(VI)で表
される化合物としては、例えば下記第7表に示す化合物
が挙げられる。
【0037】
【表7】 なお、表中において、SG はスメクチックG相,SF
スメクチックF相を示す。
【0038】上記のような化合物からなる(d)成分と
しては、1種類の三環フェニルピリミジン系化合物を用
いることも、あるいは2種以上の三環フェニルピリミジ
ン系化合物の混合物を用いることもできる。ここで
(d)成分が、2種以上の三環フェニルピリミジン系化
合物の混合物である場合には、上記一般式(IV)で表さ
れる化合物のみを2種以上、上記一般式(V)で表され
る化合物のみを2種以上、上記一般式(VI)で表される化
合物のみを2種以上、それぞれ混合したものであっても
よく、あるいは上記一般式(IV),(V)又は(VI)で表
される化合物を相互に一種以上用いて混合したものであ
ってもよい。また、このような(d)成分は母体液晶1
00重量部に対して、好ましくは1重量部〜60重量
部、より好ましくは3重量部〜50重量部、さらに好ま
しくは5重量部〜30重量部含有される。
【0039】上記(d)成分は、(b),(c),
(e)成分に比べSC 相を示す温度域がより高温側にあ
るため、(b),(c),(e)成分と混合することに
よりスメクチックC相の高温域を拡げることができ、実
用的な広い温度域でSC 相を示す液晶組成物を得ること
ができる。上記(d)成分の中でも、一般式(IV)で表
される化合物は、融点が比較的低く、SC 相を示す温度
域も比較的広いため好ましい。また、一般式(V)で表
される化合物は、融点が比較的高いものの、SC 相を示
す温度域が広いという特徴を有しており好ましい。さら
に、一般式(VI)で表される化合物は、融点が中程度で
あるが、SC 相の下に高次のスメクチック相を有するた
め、SC 相を示す温度域が比較的狭いという特徴があ
る。上記(d)成分の内、特に一般式(V)で表される
三環フェニルピリミジン系化合物は、熱安定性にも優
れ、良好な母体液晶を得ることができる。
【0040】また、本発明の強誘電性液晶組成物に用い
られる(e)成分は、一般式(VII)
【化25】 で表される安息香酸フェニルエステル誘導体の少なくと
も一種からなり、上記式中、a及びbはそれぞれ1〜1
5の整数、好ましくは3〜13の整数、さらに好ましく
は4〜11の整数を示す。
【0041】ここで、(e)成分の具体的な例として、
上記一般式(VII)で表される化合物としては、例えば下
記第8表に示す化合物が挙げられる。
【表8】
【0042】上記のような化合物からなる(e)成分と
しては、1種類の安息香酸フェニルエステル誘導体を用
いることも、あるいは2種以上の安息香酸フェニルエス
テル誘導体の混合物を用いることもできる。また、この
ような(e)成分は母体液晶100重量部に対して、好
ましくは1重量部〜40重量部、さらに好ましくは5重
量部〜30重量部含有される。上記(e)成分は、骨格
部の構造が(b)成分等と大きく異なるため、(b)成
分等の化合物と混合することにより融点を低下させ、ス
メクチックC相の低温域を拡げることができ、実用的な
広い温度域でSC 相を示す液晶組成物を得ることができ
る。
【0043】更に、本発明の強誘電性液晶組成物は、必
要に応じて(f)成分である一般式(II)
【化26】 で表される二環フェニルピリミジン系化合物の少なくと
も一種を含有するものであってもよい。上記(II)式
中、x及びyはそれぞれ1〜18の整数、好ましくは3
〜15の整数、さらに好ましくは5〜13の整数を示
す。
【0044】ここで、(f)成分の具体的な例として、
上記一般式(II)で表される化合物としては、例えば下
記第9表に示す化合物が挙げられる。
【表9】
【0045】上記のような化合物からなる(f)成分と
しては、1種類の二環フェニルピリミジン系化合物を用
いることも、あるいは2種以上の二環フェニルピリミジ
ン系化合物の混合物を用いることもできる。また、この
ような(f)成分は母体液晶100重量部に対して、好
ましくは1重量部〜30重量部、さらに好ましくは2重
量部〜20重量部含有される。このような上記(f)成
分を液晶組成物に配合することによって、該組成物のチ
ルト角を小さくすることが可能となる。従って、母体液
晶の成分に(f)成分を有する液晶組成物は、高速応答
性を有する。さらに、上記(f)成分を(b)成分等の
化合物と混合することにより融点を低下させ、液晶組成
物のスメクチックC相の下限温度を拡げることもでき
る。
【0046】以上のような組成からなる母体液晶に、前
記光学活性テトラヒドロピラン誘導体である(a)成分
を混合して液晶組成物を作製する。液晶組成物中の
(a)成分の割合は、適宜選択することができるが、カ
イラルスメクチックC相の温度範囲が広く、且つ室温付
近を中心とした温度範囲を有し、さらに高速応答性に優
れる等の観点より混合されて母体液晶の特性を充分に生
かすためには、組成物全体の0.1〜30重量%、好まし
くは1〜20重量%、さらに好ましくは2〜10重量%
の量で配合されていることがよい。即ち、本発明の液晶
組成物では、母体液晶成分がホスト、カイラル液晶成分
である(a)成分がゲストの関係にあり、該液晶組成物
全体の挙動は組成の大半を占める母体液晶の物性に支配
されるが、カイラル液晶を添加することにより強誘電性
を示さない母体液晶に自発分極を誘起し、強誘電性を付
与するという効果がある。このことから、(a)成分の
割合が30重量%以下であれば、上記母体液晶の特性に
より、使用温度範囲が広い実用性に優れた液晶組成物を
得ることができるので好ましい。また、(a)成分の割
合が0.1重量%以上であれば、優れた高速応答性を有す
る液晶組成物を得ることができるので好ましい。本発明
の液晶組成物において、カイラル液晶成分である(a)
成分は、前記一般式(X)又は(X')で表される化合物
の1種類からなるものであっても、該化合物の2種以上
からなるものであってもよい。
【0047】次に、本発明の強誘電性液晶組成物の製法
について概略を説明する。本発明の液晶組成物の製法
は、特に限定されず任意の方法を用いることができる
が、上記の優れた特性を有する液晶組成物を効率的に製
造するには、以下の方法によることが好ましい。上記二
環フェニルピリミジン系エーテル化合物より(b)成分
を調製し、上記二環フェニルピリミジン系エステル化合
物より(c)成分を調製し、上記三環フェニルピリミジ
ン系化合物より(d)成分を調製し、上記安息香酸フェ
ニルエステル誘導体より(e)成分を調製し、さらに必
要に応じて上記二環フェニルピリミジン系化合物より
(f)成分を調整し、これらの(b)成分,(c)成
分,(d)成分及び(e)成分、必要に応じて(f)成
分を配合することによって、非カイラル液晶成分である
母体液晶を作製する。この母体液晶に、カイラル液晶成
分である(a)光学活性テトラヒドロピラン誘導体の割
合が、好ましくは組成物全体の0.1〜30重量%になる
ように混合する。この混合物を、クロロホルム等の溶媒
に投入し溶解混合した後、真空脱気等によって溶媒を除
去して、液晶組成物を得ることができる。このようにし
て得られた液晶組成物は、使用温度範囲が広く、高速応
答性等に優れる。
【0048】また、本発明の液晶素子は、上述の一般式
(X)又は(X')の化合物を含む上記液晶組成物を、一
対の電極基板間に配設してなるものである。この電極基
板は、透明基板上に、例えばInO3 ,SnO2 ,IT
O(酸化インジウムと酸化スズとの混合酸化物)などか
らなる透明電極を設け、さらにその上に、ポリビニルア
ルコール,ポリイミドなどからなる配向制御膜を設けた
ものである。即ち、本発明の液晶素子は、上記液晶組成
物を上記一対の電極基板間に配設し、さらにその上下に
偏光板を配設することによって得られる。この液晶素子
は、複屈折モードを利用して、表示素子あるいは電気光
学素子として使用することができる。
【0049】
【実施例】次に、実施例に基づいて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではな
い。
【0050】実施例1 前記第2表に示した二環フェニルピリミジン系エーテル
化合物(I−4),(I−7),(I−9),及び(I
−10)をそれぞれ25重量%混合して(b)成分であ
る母体液晶Aを作製した。また、前記第3表に示した二
環フェニルピリミジン系エーテル化合物(I'-4),
(I'-5),(I'-7),及び(I'-12)をそれぞれ2
5重量%混合して(b)成分である母体液晶Bを作製し
た。次いで、この(b)二環フェニルピリミジン系エー
テル化合物として母体液晶Aを30重量部及び母体液晶
Bを20重量部と、(c)二環フェニルピリミジン系エ
ステル化合物として前記第4表に示した化合物(III-1)
10重量部及び化合物(III-3)15重量部と、(d)三
環フェニルピリミジン系化合物として前記第6表に示し
た化合物(V-1) 5重量部及び化合物(V-3) 5重量部
と、(e)安息香酸フェニルエステル誘導体として前記
第8表に示した化合物(VII-2)10重量部及び化合物
(VII-3)5重量部と、からなる母体液晶を作製した。こ
の母体液晶に、(a)光学活性テトラヒドロピラン誘導
体として、前記第1表の化合物(X-1)及び(X'-1)を
(X-1):(X'-1)=33:67の重量比で、これらの
合計が混合物の4重量%となるように混合した。この混
合物を、溶媒であるクロロホルムに投入し溶解混合した
後、真空脱気して溶媒であるクロロホルムを除去して、
液晶組成物を得た。得られた液晶組成物の相転移温度
は、以下の通りである。
【0051】
【化27】 C * :強誘電性カイラルスメクチックC相 SA :スメクチックA相 N* :カイラルネマチック相 I :等方性液体相 C :結晶相
【0052】該液晶組成物の強誘電性カイラルスメクチ
ックC相の温度幅は76℃であった。この液晶組成物を
等方性液体相でパラレルラビング処理を施したポリイミ
ド配向膜を有するセル間隔2μmの液晶素子に注入し
た。徐冷して配向させ、30℃でVPP=20Vの矩形波
電圧を印加したときの応答速度(τ0-50)は57μ秒で
あった。なお、応答速度は直交ニコル下における透過光
強度が0〜50%まで変化する時間として求めた。ま
た、三角波法で測定した自発分極値は12.2nC/cm
2 であり、チルト角は22度であった。
【0053】実施例2 実施例1において、(b)二環フェニルピリミジン系エ
ーテル化合物として母体液晶Aを30重量部及び母体液
晶Bを20重量部に代えて、母体液晶Bのみを50重量
部とした以外は、実施例1と同様にして母体液晶を作製
した。この母体液晶に、実施例1と同様の(a)成分を
混合し、同様の方法で液晶組成物を得た。得られた液晶
組成物の相転移温度は、以下の通りである。
【0054】
【化28】 該液晶組成物の強誘電性カイラルスメクチックC相の温
度幅は56℃であった。この液晶組成物について、実施
例1と同様にして測定した応答速度(τ0-50)は40μ
秒であった。また、三角波法で測定した自発分極値は1
3.3nC/cm 2 であり、チルト角は17度であった。
【0055】実施例3 (b)二環フェニルピリミジン系エーテル化合物として
実施例1の母体液晶Aを15重量部及び母体液晶Bを1
0重量部と、(c)二環フェニルピリミジン系エステル
化合物として前記第4表に示した化合物(III-1)3重量
部及び化合物(III-3)20重量部と、(d)三環フェニ
ルピリミジン系化合物として前記第5表に示した化合物
(IV-5)10重量部,前記第6表に示した化合物(V-
1) 3重量部,化合物(V-3) 3重量部及び前記第7表
に示した化合物(VI-4) 3重量部と、(e)安息香酸フ
ェニルエステル誘導体として前記第8表に示した化合物
(VII-2)15重量部及び化合物(VII-3)15重量部と、
(f)二環フェニルピリミジン系化合物として前記第9
表に示した化合物(II-2) 3重量部と、からなる母体液
晶を作製した。この母体液晶に、(a)光学活性テトラ
ヒドロピラン誘導体として、前記第1表の化合物(X'-
1)を4重量%となるように混合した。この混合物を、溶
媒であるクロロホルムに投入し溶解混合した後、真空脱
気して溶媒であるクロロホルムを除去して、液晶組成物
を得た。得られた液晶組成物の相転移温度は、以下の通
りである。
【0056】
【化29】 該液晶組成物の強誘電性カイラルスメクチックC相の温
度幅は78℃であった。この液晶組成物について、実施
例1と同様にして測定した応答速度(τ0-50)は67μ
秒であった。また、三角波法で測定した自発分極値は1
4.5nC/cm 2 であり、チルト角は26度であった。
【0057】実施例4 実施例3において、(b)二環フェニルピリミジン系エ
ーテル化合物として母体液晶Aを15重量部及び母体液
晶Bを10重量部に代えて、母体液晶Bのみを25重量
部とし、また前記第5表に示した化合物(IV-5)10重
量部に代えて、化合物(IV-1)5重量部及び化合物(IV
-5)5重量部とした以外は、実施例3と同様にして母体
液晶を作製した。この母体液晶に、実施例3と同様の
(a)成分を混合し、同様の方法で液晶組成物を得た。
得られた液晶組成物の相転移温度は、以下の通りであ
る。
【0058】
【化30】 該液晶組成物の強誘電性カイラルスメクチックC相の温
度幅は68℃であった。この液晶組成物について、実施
例1と同様にして測定した応答速度(τ0-50)は53μ
秒であった。また、三角波法で測定した自発分極値は1
8.1nC/cm 2 であり、チルト角は23度であった。
【0059】実施例5 実施例4において、(b)二環フェニルピリミジン系エ
ーテル化合物として母体液晶Bを25重量部に代えて、
母体液晶Bを20重量部とし、また前記第8表に示した
化合物(VII-2)15重量部に代えて、化合物(VII-2)2
0重量部とした以外は、実施例4と同様にして母体液晶
を作製した。この母体液晶に、実施例4と同様の(a)
成分を混合し、同様の方法で液晶組成物を得た。得られ
た液晶組成物の相転移温度は、以下の通りである。
【0060】
【化31】 該液晶組成物の強誘電性カイラルスメクチックC相の温
度幅は71℃であった。この液晶組成物について、実施
例1と同様にして測定した応答速度(τ0-50)は59μ
秒であった。また、三角波法で測定した自発分極値は1
8.3nC/cm 2 であり、チルト角は25度であった。
【0061】比較例1 実施例1で作製した一般式(I)で示される化合物のみ
からなる母体液晶Aに、(a)光学活性テトラヒドロピ
ラン誘導体として、前記第1表の化合物(X'-1)及び
(X-4) を(X'-1):(X-4) =2:1の重量比で、こ
れらの合計が混合物の5重量%となるように混合した。
この混合物を、溶媒であるクロロホルムに投入し溶解し
た後、真空脱気して溶媒であるクロロホルムを除去し
て、液晶組成物を得た。得られた液晶組成物の相転移温
度は、以下の通りである。
【0062】
【化32】 該強誘電性カイラルスメクチックC相の幅は44℃であ
った。この液晶組成物について、実施例1と同様にして
測定した応答速度(τ0-50)は54μ秒であった。ま
た、三角波法で測定した自発分極値は14.7nC/cm
2 であり、チルト角は22度であった。
【0063】
【発明の効果】本発明の液晶組成物は、強誘電性カイラ
ルスメクチックC相の温度範囲が広く、カイラル成分の
自発分極の大きさ,高速応答性等を充分に生かした優れ
た応答性、あるいは熱安定性等を有する。従って、本発
明の液晶組成物は、強誘電性液晶組成物として極めて有
用であり、また、該組成物を用いた本発明の液晶素子
は、表示素子あるいは電気光学素子等に好適に用いられ
る。
フロントページの続き (72)発明者 竹田 充範 茨城県鹿島郡神栖町東和田4番地 鹿島石 油株式会社鹿島製油所内 (72)発明者 村山 義信 茨城県鹿島郡神栖町東和田4番地 鹿島石 油株式会社鹿島製油所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)一般式(X)及び/又は(X') 【化1】 〔式中、Rfは炭素数1又は2のフルオロアルキル基を
    示し、R1 は炭素数3〜20の直鎖又は分岐鎖アルキル
    基を示し、R2 ,R3 及びR4 はそれぞれ独立に水素又
    は炭素数1〜15の直鎖又は分岐鎖アルキル基,炭素数
    2〜15のアルケニル基又は炭素数7〜10のアラルキ
    ル基を示し、X1 は−COO−,−OCO−,−O−又
    は単結合を示し、X2 は−COO−,−OCO−,−C
    2 O−,−OCH2 −,−C≡C−又は単結合を示
    し、X3 は−COO−,−CH2 O−又は−O−を示
    し、X4 は−O−又は−OCO−を示し、*は不斉炭素
    を示し、A及びBはそれぞれ独立にハロゲン,シアノ
    基,含フッ素アルキル基で置換されていてもよい含六員
    環基を示し、nは0又は1を示す。〕で表される光学活
    性テトラヒドロピラン誘導体、(b)一般式(I) 【化2】 〔式中、k及びmはそれぞれ1〜15の整数を示す。〕
    で表される二環フェニルピリミジン系エーテル化合物の
    少なくとも一種と一般式(I') 【化3】 〔式中、d及びeはそれぞれ1〜15の整数を示す。〕
    で表される二環フェニルピリミジン系エーテル化合物の
    少なくとも一種とからなる混合物、又は、上記一般式
    (I')で表される二環フェニルピリミジン系エーテル化
    合物の少なくとも一種、(c)一般式(III) 【化4】 〔式中、v及びwはそれぞれ1〜15の整数を示す。〕
    で表される二環フェニルピリミジン系エステル化合物の
    少なくとも一種、(d)一般式(IV) ,(V) あるいは
    (VI) 【化5】 〔式中、p,q,r,s,t及びuはそれぞれ1〜15
    の整数を示す。〕で表される三環フェニルピリミジン系
    化合物の少なくとも一種、及び(e)一般式(VII) 【化6】 〔式中、a及びbはそれぞれ1〜15の整数を示す。〕
    で表される安息香酸フェニルエステル誘導体の少なくと
    も一種からなることを特徴とする強誘電性液晶組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の強誘電性液晶組成物に、
    さらに(f)一般式(II) 【化7】 〔式中、x及びyはそれぞれ1〜18の整数を示す。〕
    で表される二環フェニルピリミジン系化合物の少なくと
    も一種が含有されてなることを特徴とする強誘電性液晶
    組成物。
  3. 【請求項3】 (a)光学活性テトラヒドロピラン誘導
    体の割合が、組成物全体の0.1〜30重量%である請求
    項1又は2記載の強誘電性液晶組成物。
  4. 【請求項4】 (d)三環フェニルピリミジン系化合物
    が、前記一般式(V) で表される化合物の少なくとも一
    種からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに
    記載の強誘電性液晶組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の強誘電
    性液晶組成物を、一対の電極基板間に配設してなること
    を特徴とする液晶素子。
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