JPH09205006A - 電圧非直線抵抗体及びその製造方法 - Google Patents

電圧非直線抵抗体及びその製造方法

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JPH09205006A
JPH09205006A JP8028698A JP2869896A JPH09205006A JP H09205006 A JPH09205006 A JP H09205006A JP 8028698 A JP8028698 A JP 8028698A JP 2869896 A JP2869896 A JP 2869896A JP H09205006 A JPH09205006 A JP H09205006A
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JP
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zno
phase
sintering
sintered body
voltage
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JP8028698A
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English (en)
Inventor
Shigeru Tanaka
田中  滋
Yasutaka Suzuki
康隆 鈴木
Seiichi Yamada
誠一 山田
Daigoro Kamoto
大五郎 嘉本
Ken Takahashi
高橋  研
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の課題は、ZnOを主成分とする電圧非
直線抵抗体に関し、沿面尖絡を防止した電圧非直線抵抗
体およびその製造方法を提供することにある。 【解決手段】焼結するとバリスタ特性を発現する原料粉
からなる成形体を、加圧焼結することによって、素子側
面部に素子内部よりも高抵抗な層を形成させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として送変電シ
ステムなどの電力分野に用いられるZnOを主成分とす
る電圧非直線抵抗体に係り、特に側面に高抵抗層を有す
る電圧非直線抵抗体およびその製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】ZnOを主成分とする電圧非直線抵抗体
(以下、ZnO素子と記す)は、その電流電圧特性が特
異な非直線性いわゆるバリスタ特性を示すことから、電
力分野における送変電システム用の避雷器の基盤デバイ
スとして幅広く利用されている。このZnO素子は、一
般的に、主成分のZnO(90mol%以上)に主添加成分
として0.3〜1mol%(ZnOに対して)のBi酸化物
を含み、副添加物として少量のMn,Co,Sb,N
i,Si,Alなどの酸化物が加えられており、これら
を通常のセラミックス製造技術によって合成し、電極を
形成して得られるものである。ここでいう通常のセラミ
ックス製造技術とは、出発原料粉末を混合,仮焼き,造
粒(整粒)し、これを円板状,板状,円筒状またはドー
ナツ状などの所定形状に成形したあと、焼結する工程を
表している。
【0003】このようにして得られた電力用のZnO素
子には、電流電圧特性の性能指数となる非線形係数(α
値)や動作電圧(バリスタ電圧)の最適化,インパルス
耐量の増加,課電寿命特性の改善,沿面尖絡の防止など
数多くの重要な特性が求められる。このうち特に電力分
野での使用に当たって重要な点は、雷サージ,開閉サー
ジなどによる衝撃高電圧が印加されたときに、ZnO素
子の沿面を電流が短絡して流れる現象、いわゆる沿面尖
絡を防止することである。動作電圧などの特性は、Zn
O素子そのものが有するセラミックス粒界の電気的特性
でほぼ支配されているが、沿面尖絡の防止に関しては、
ZnO素子の構成・構造に関する工夫が必要となってく
る。
【0004】このような要求に対して、ZnO素子の側
面に絶縁性の高抵抗層を形成する技術が広く用いられて
いる。このような例として例えば特公昭54−26710 号,
特公昭58−27643 号記載のように、ZnO素子の側面に
素子そのものよりも高抵抗であるホウケイ酸亜鉛系ガラ
スやアルミナケイ酸系ガラスを塗布するという方法が開
示されている。また特開昭60−97602 号記載のように、
無機酸化物高抵抗層をZnO素子に焼き付ける方法も知
られている。また、ZnO素子の側面のZnOの結晶粒
径を小さくして、側面の抵抗を大きくする方法も知られ
ている。ZnO結晶の抵抗は、結晶粒径が小さい方が大
きい。これはZnO結晶の抵抗は粒界の高抵抗層によっ
て支配されているからである。結晶粒径が小さくなる
と、電流が流れる際より多くの高抵抗層の粒界を通らな
ければならない。そのため粒径の大きなZnO素子内部
の抵抗値に比べ、側面の抵抗値を大きくすることができ
る。この技術は特開昭63−143801号公報,特開平6−898
03号公報に記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ZnO素子の沿面尖絡
を防止することは、これを用いた電力システム用避雷器
装置の安定化が確保され、このことは送変電システムそ
のものの信頼性・安全性につながると考えられる。この
ためこの技術を開発することは産業上重要な技術と位置
づけられる。
【0006】前記の特公昭54−26710号,特公昭58−276
43号,特開昭60−97602 号等に記載の従来技術などを使
って得られた電圧非直線抵抗体では、沿面尖絡の防止と
いう観点からは次のような技術的課題がある。ZnO素
子の側面に高抵抗なガラス層あるいは無機酸化物層(以
後、側面高抵抗層と称する)を設けるには、一旦焼結し
終わったZnO素子に、ペースト状にしたガラスや無機
物粉末を塗布あるいはディップし、再度熱処理を加えて
素子側面に焼き付けるという方法が一般的である。この
ような方法では、まずZnO素子にきれいに粉末を塗布
できないという問題がある。またきれいに塗ることがで
きたとしてもZnO素子に対する側面高抵抗層の濡れ性
が充分でないと、熱処理中にあるいはまた避雷器として
使用中にマイクロクラックがZnO素子との界面に多数
発生し、その結果側面高抵抗層の剥離,沿面尖絡の発生
が引き起こされる恐れがある。また基本的に後から熱処
理をするために、熱処理条件によってはZnO素子の特
性そのものを損なってしまうという問題がある。さらに
側面高抵抗層の組成をかなり厳密に選択しないと、前記
濡れ性の問題や界面での反応層が電流の流れを不均一に
するなど所期の目的を達せないという問題がある。また
後からの熱処理によって形成された抵抗層の表面は凹凸
が多く、埃などが付着しやすく尖絡の原因となり得る。
【0007】このように後から側面高抵抗層を設けると
いう従来の技術では、沿面尖絡の防止という観点から
は、充分な信頼性を得られるものではない。その最大の
原因は、ZnO素子側面と側面高抵抗層との間に信頼に
足る界面反応が生じないことである。
【0008】一方、特開昭63−143801号公報記載の方法
は、ZnO素子の側面は微細粒径の原料粉末を用い、素
子内部は粒径の大きな原料粉末を用いて成形体を作り、
焼結することによって側面の結晶粒径を小さくする方法
である。この方法では成形体を作製する際、時間がかか
る、焼結時間を長くすると焼結時に粒成長し、焼結後の
粒径は外周部と内部でそれほど違わなくなるなどの問題
がある。
【0009】また、特開平6−89803号公報に記載の方法
では、一度表面を酸化処理してから熱処理を行い、外周
部の結晶粒径を小さくするというものである。この方法
でも、酸化処理,熱処理と工程に時間がかかるという問
題がある。
【0010】ZnO素子の沿面尖絡を防ぎ、これを使っ
た避雷器などの送変電システムの安定性・信頼性を確保
するには、側面高抵抗層に該当するものを強固にかつ簡
略に形成させるプロセスが必要である。
【0011】本発明の目的は、ZnO素子の沿面尖絡を
防止した電圧非直線抵抗体ならびにその製造方法を提供
することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記のような課題に対し
て、ZnO素子の側面に強固にかつ簡単に形成され、し
かも側面高抵抗層として充分に機能する構成・技術を模
索し、ZnO素子を焼結するときに同時に、結晶粒径が
内部に比べて小さい側面抵抗層を形成することに的を絞
った。そこで種々検討の結果、ZnO素子側面に、この
ような特性を有する微細結晶粒を形成するには種々の酸
化物、中でもBi酸化物を微量含むZnO素子を焼結する
際に、その成形体を治具にセットし、これを加圧しなが
ら焼結すれば良いことを見出した。焼結時に圧力が加わ
ると焼結体の結晶の粒成長が抑制されるが、特に成形体
の加圧用治具の接触面が局所的に高い圧力がかかるため
粒成長が抑制効果が高く、結晶粒が小さくなる。但し、
結晶の粒成長抑制効果は焼結体内部にも作用するため、
加圧力が大きければ良いというものではなく、焼結治具
の耐力,加圧設備のコスト,焼結体側面部と内部との結
晶粒の大きさの比等を総合的に判断して決定される。発
明者らの実験によると本発明の効果が得られる最小限の
圧力は10MPa程度であった。焼結時に加圧する方法
としては、ホットプレスによる一軸加圧,静水圧加圧焼
結(HIP)による等方加圧がある。ホットプレスは非
酸化性雰囲気中の焼成炉の場合は、黒鉛など、酸化性雰
囲気の場合は酸化アルミニウムなどでできた焼成治具を
用いて上下方向から加圧するものである。成形体の側面
は焼成治具の内面に押しつけられながら焼成されるため
結晶成長が抑制される。静水圧加圧焼結の場合は、高圧
の不活性ガスで加圧しながらガスを加熱することによっ
て焼成する方法であり、等方的に加圧される。
【0013】このような加圧焼結を行ったZnOにBi
23を添加した焼結体には、焼結体側面層の結晶相とし
てγ−Bi23相が通常のZnO素子よりも多く含まれ
る。実験の結果によれば下記式で表したときγ−Bi2
3相が3%以上含んでいる電圧非直線抵抗体である。
【0014】γ−Bi23相量(%)=(Iγ-Bi2O3(321)
/IZnO(101))×100 ここでIは各相の面指数におけるX線回折強度である。
相量は通常の広角X線回折により測定できる。この方法
によれば側面抵抗層の剥離や濡れ性が悪いなどの従来技
術の問題点は解消できる。このような知見をもとにさら
に添加物の種類,熱処理条件などの検討を進めた結果、
本発明に至ったものである。
【0015】更に詳しくは、本発明の電圧非直線抵抗体
は次の構成からなっている。(1)ZnOを主成分に、
主添加成分としてBi酸化物ほか副添加成分としてM
n,Co,Sb,Ni酸化物などを含む焼結体(ZnO
素子)の側面に、該焼結体の結晶粒径よりも1/2程度
以下の小さな結晶粒径を有する抵抗層が設けられている
電圧非直線抵抗体であり、この側面高抵抗層の成分は、
ZnO素子と同じ化学成分あるいは同じ成分にアルカリ
金属,アルカリ土類金属,Al,Siの酸化物の少なく
とも一種以上を含有したものであること。(2)該側面
抵抗層の結晶相にはγ−Bi23相が存在し、その量は
下記式で表したとき3%以上含んでいる電圧非直線抵抗
体である。
【0016】γ−Bi23相量(%)=(Iγ-Bi2O3(321)
/IZnO(101))×100 ここでIは各相の面指数におけるX線回折強度である。
(3)このような側面高抵抗層を有するZnO素子を得
るために、成形体を治具の中にセットしこれを加圧焼結
する。この時の焼結温度は650℃以上で1400℃を
越えないものであることが好ましい。(4)また成形体
をセットする治具にアルカリ金属,アルカリ土類金属,
Al,Siの酸化物の少なくとも一種以上を含有した粉
末を入れ、この粉末に成形体側面を触れさせるように埋
めて、加圧焼結する。(5)加圧焼結する工程は通常空
気中,不活性ガス中あるいは還元性ガス中で行い、不活
性ガス中あるいは還元性ガス中で行った場合は、その後
空気中あるいは空気よりも高酸素濃度ガス中にて熱処理
する。この時の熱処理温度は650℃以上で1350℃を越
えないことが望ましい。(6)本発明はまた上記の加圧
焼結技術を使って製造した電圧非直線抵抗体を組み込ん
で、電力システム用の避雷器としたものである。
【0017】ZnO素子としては主添加成分としてBi
23に換算して0.3から1mol%程度含んでおり、他に
副添加成分としてMn酸化物,Co酸化物,Sb酸化
物,Ni酸化物をそれぞれ0.001から2mol%の範囲
で含んでいれば良い。これに加えてTi,Cr,Fe,
Al,Siなどの各酸化物が微量含まれていても良い。
すなわち通常の条件(加圧しない)で焼結したときに電
流電圧特性で非線形性が発現する組成であれば特に組成
に限定はない。焼結用治具の中にアルカリ金属,アルカ
リ土類金属,Si,Alの酸化物粉などを入れておき、
ZnO素子の成形体側面をこの粉末に接触させて加圧焼
結することにより、ZnO素子そのものを加圧焼結した
ときに形成される側面抵抗層と、この粉末が化学反応を
起こし、より優れた側面高抵抗層が形成できる。加圧力
は大きい方が結晶粒の微細化効果は大きいが、一定値以
上の圧力で結晶粒径の微細化効果は飽和する。加圧力は
焼結時に使用する治具の耐力にも関係するが、あまり小
さな加圧力では、粒径微細化の効果は得られないため、
30MPa程度の加圧力が望ましい。
【0018】加圧焼結することによってZnO素子の上
下端面にも高抵抗層が形成されるが、これは上下端面に
電極を形成する際に研磨をするので、ZnO素子として
特性上問題になることはない。加圧焼結する時の雰囲気
は空気中で行うが、例えばこれを不活性ガス中あるいは
還元性ガス中で行うとZnO素子中の結晶粒内のキャリ
ア濃度が増加して、非線形性がより大きくなるなど電気
的特性としては好ましいものが期待できる。ただしその
後に空気中あるいは空気よりも高酸素濃度なガス中で熱
処理し、ZnO素子内に形成される粒界準位を安定化さ
せ、また側面組成物をより高抵抗に調節する必要があ
る。
【0019】沿面尖絡を防止するには、ZnO素子側面
にその素子自体よりも高絶縁性の抵抗層があれば良い
が、これまでの方法では焼結し終わったZnO素子に、
後から抵抗層を形成するために接着が不十分であった
り、界面反応層の生成により電流分布が逆に不均一にな
ったりする問題がある。また抵抗層表面は凹凸が多く、
埃の付着などを招きやすく、絶縁性劣化の原因となって
いる。ZnO素子の成形体をホットプレス法や熱間静水
圧プレスなどで加圧焼結することによりZnO素子の周
りにだけ、ZnO素子の結晶粒よりも小さな粒径を有す
る抵抗層が形成してくる。この側面高抵抗相の表面は、
後から形成したものとは異なり、平滑で埃の付着などに
よる絶縁性劣化の恐れが少ない。この場合側面抵抗相の
成分としては、ZnO素子と同じあるいはこれにアルカ
リ金属,アルカリ土類金属,AlやSi成分が入ってい
ると、ZnO素子の粒界,粒内に分布してより高絶縁性
となる。また結晶相としては、電流分布を均一にする効
果のあるγ−Bi23が3%以上含まれていることが望
ましく、これより少ないと電流が不均一に流れる可能性
がある。また結晶粒径は一般に小さいことが望ましく、
ZnO素子の結晶粒径の1/2よりも小さいことが望ま
しい。1/2以上になると絶縁性が損なわれてくる。
【0020】またこのような電圧非直線抵抗体を製造す
る時の焼結温度は650℃以上で1400℃を越えない
ことが好ましい。650℃より低い温度ではZnO素子
自体の焼結が必ずしも充分に進まず磁器としての信頼性
に欠ける。1400℃を越えた場合焼結が進みすぎて、
側面高抵抗層のみならずZnO素子自体も異常粒成長を
起こし優れた特性が発現しない。またZnO素子を不活
性ガス中あるいは還元性ガス中において加圧焼結した場
合、その後の空気中または空気よりも高酸素濃度雰囲気
下で熱処理する温度は650℃以上で1350℃を越え
ないことが好ましい。650℃よりも低い温度では、Z
nO素子の非線形性発現の基となる界面(粒界)準位が
粒界に形成されず電気的特性が悪くなる。1350℃を
越えた場合は先程と同じ理由で、異常粒成長を招き好ま
しくない。
【0021】以下に具体例にて本発明をより詳細に説明
する。
【0022】
【発明の実施の形態】
〈実施例1〉出発原料粉として純度99.9%以上のZ
nO:97.4モル%,Bi23:0.6モル%,Mn
O:0.5モル%,CoO:0.5モル%,Sb23
0.45モル%,NiO:0.4モル%,SiO2:0.1
モル%,Al23:0.05モル%になるように各粉末
を所定量秤量し、ZrO2 ボールを媒体としたボールミ
ル混合(溶媒としてイオン交換水を使用)を24時間行っ
た。この粉末混合物を乾燥後、空気中800℃,4時間
の保持時間で仮焼きし、冷却後、適当量のポリビニルア
ルコール水溶液を加え、再びボールミル混合して、造粒
粉を作製した。得られた造粒粉を金型に入れ一軸プレス
によりZnO素子の円板状の成形体(φ50,45t)
を作製した。
【0023】こうして得られた成形体をAl23製のダ
イスに詰めて空気中でホットプレス焼結を行った。ホッ
トプレス条件としては、昇降温速度を100℃/h,焼
結温度950℃,保持は1時間、加圧力は30MPa
で、昇温と同時に加圧し始め、保持時間が終了してから
圧力を解放した。得られた試料の上下端面をエメリーペ
ーパーを使って研磨し、その面に金属Alを溶射して電
極を形成し、ZnO素子を作製した。でき上がった素子
サイズは、φ50,25tである。比較例として同サイ
ズの、通常の焼結法により作製した、ZnO素子も準備
した。焼結条件としては、上記造粒粉で作られた成形体
をムライト製のサヤに入れて、大気中、1250℃,2
時間保持した。昇降温速度は100℃/hである。この
素子には、側面抵抗層として素子側面にホウケイ酸系ガ
ラスを50μmの厚さで塗布し焼き付けた。
【0024】ホットプレス焼結で得られたZnO素子の
破断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図1に示す。
図で左側が素子側面側に対応し、この素子の場合、30
μm程度の厚みで、素子内部よりも結晶粒径の小さな
(1/2以下)部分が存在していることが分かる。また
界面相は特に存在せず、粒径の変化だけが特徴的であ
る。このような素子側面部のX線回折結果を素子内部と
比較して図2,図3に示す。図2が素子側面部、図3は
素子内部である。図から分かるように素子側面部にはγ
−Bi23相が含まれている。γ−Bi23相の存在割
合は、この素子では5%であった。
【0025】Al電極を設けたZnO素子のインパルス
耐量試験を行った。インパルス耐量は4×10μsのイ
ンパルス電流(電流値は40kA)を30回通電したと
きの素子の破壊(沿面尖絡)の有無で判断した。表1に
従来品と比較して結果を示す。同表において〇印は試験
後の外観チェックで正常、×印は破壊を示す。
【0026】
【表1】 本発明によるZnO素子では、素子側面にγ−Bi23
相が3%以上できており、インパルス耐量試験後も破壊
は見られず、ガラスを側面に形成した従来素子よりも沿
面尖絡の防止に優れた効果を示している。
【0027】〈実施例2〉実施例1で合成した仮焼粉末
を49φの大きさに金型成形した。実施例1で用いた焼
結用治具(50φ)に成形体を入れ、空隙に表2に示す
混合粉を充填した。
【0028】
【表2】 図4に治具(ダイス及びパンチ)の中に成形体と粉末と
を充填した状態を示す。図で1が成形体、2は混合粉
末、3,4はアルミナ製のパンチ及びダイスであり、2
の混合粉は、成形体とダイスとの空隙を埋めるように充
填してある。これを実施例1と同条件でホットプレスし
た。でき上がった焼結体の上下端面を研磨後、Al電極
を形成して、60kAのインパルス電流によるインパル
ス耐量試験を実施した(電流印加回数は実施例1と同じ
30回)。インパルス印加後の試料の破壊の有無を表2
に併せて示す。表中比較例は、混合粉末を使わずに加圧
焼結したものである。でき上がったそれぞれの試料側面
部をエネルギー分散型X線分析法(EDX)によって化
学成分を調べた結果、成形体に含まれている化学成分と
それぞれの混合粉の化学成分が検出された。
【0029】表から分かるように、比較例では60kA
のインパルス電流(30回)ではクラックが生じてしま
うが、側面部に焼結体の化学成分のほかにアルカリ金
属,アルカリ土類金属,アルミナ,シリカの少なくとも
一種以上が含まれていれば、本発明の効果である沿面尖
絡の防止には有効である。
【0030】〈実施例3〉実施例1と同じ仮焼き粉末を
用いて成形体を作り、ホットプレス温度及び圧力をいろ
いろ変えて(各温度における保持時間は30分、昇降温
速度・加除圧方法は実施例1と同じ)焼結体を合成し、
上下端面を研磨後Al電極を付けて実施例1と同じイン
パルス耐量試験を行った。また側面部をX線回折で調
べ、γ−Bi23相量を数2で求めた。また結晶粒径比
(側面部/中心部)をSEM観察により調べた。インパ
ルス耐量試験結果を焼結条件,γ−Bi23相量,結晶
粒径比とをまとめて表3に示す。
【0031】
【表3】 表から分かるように、側面部にγ−Bi23相が3%以
上含まれており、側面部の結晶粒径が内部よりも半分以
下であれば、40kAのインパルス電流を30回かけて
も、ZnO素子に破壊は見られないが、γ−Bi23
が3%より少ないときには、素子はインパルス試験に耐
えられない。また、ホットプレス温度は650℃以上で
1400℃を越えない範囲が望ましいことが分かる。
【0032】〈実施例4〉実施例1と同じ成形体を作製
し、これを高純度カーボン製のダイスにセットし、これ
をArガス中でホットプレスした。ホットプレス条件は
800℃,30分保持で、加圧力は30MPa、昇降温
速度・加除圧方法は実施例1と同じにした。得られた焼
結体を乾燥空気ガスまたはO2 30%を含むN2 ガス中
で、780℃の温度で熱処理した。熱処理時の保持時間
は5時間である。焼結体上下端面を研磨後、これにAl
電極を形成して、ZnO素子とした。この試料のインパ
ルス耐量試験を、実施例1の条件で実施した。表4にそ
の結果を示す。
【0033】
【表4】 なお表中、比較例として挙げたのはAr中でホットプレ
スした焼結体に電極を形成した試料である。表から分か
るように、Ar中でホットプレスしただけの試料では、
インパルス(40kA)を1回かけただけで破壊してし
まう。この試料はそもそも低抵抗の焼結体で、バリスタ
となっていない。これに対して後から熱処理した試料で
は実施例1と同じく30回のインパルス電流印加後も、
素子は正常であった。
【0034】〈実施例5〉実施例4において、熱処理温
度を種々変化させて試料を作製した。雰囲気ガスは乾燥
空気を用いた。熱処理の保持時間はいずれの温度でも5
時間である。得られた焼結体の上下端面を研磨後、Al
電極を形成して試料とした。それぞれの試料のインパル
ス耐量試験結果を表5に示す。
【0035】
【表5】 インパルス条件は実施例1と同じである。表に見られる
ように熱処理温度が650℃以上で1350℃を越えて
いなければ、30回のインパルス電流(40kA)印加
後も素子は正常なままである。しかし、650℃より低
い温度の熱処理では試料がバリスタ特性を示さず、13
50℃より高温の熱処理では、インパルス耐量試験に耐
えられない。
【0036】〈実施例6〉実施例2で作製したZnO素
子を碍子管に納め図5に示す碍子型避雷器を作製した。
これに実施例1と同じインパルス耐量試験を行った。図
で、6が加圧焼結技術を使って作製した電圧非直線抵抗
体、7は碍子である。試験終了後、碍子内のZnO素子
の貫通破壊の有無を調べたところ、貫通破壊している素
子は見当らずいずれも正常であった。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、沿面尖絡の少ない、Z
nOを主成分とする電圧非直線抵抗体が得られ、インパ
ルス耐量に優れている。その結果、これを使った電力用
送変電システムの信頼性,安定性が増し、産業上に与え
る利益は大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるZnO素子沿面部近傍の、走査型
電子顕微鏡による破断面観察結果。
【図2】本発明によるZnO素子沿面部の結晶相を示す
X線回折のチャート図。
【図3】本発明によるZnO素子の内部の結晶相を示す
X線回折のチャート図。
【図4】本発明で実施したホットプレス用治具に成形体
と混合粉を充填した様子を説明する図。
【図5】本発明による電圧非直線抵抗体を用いた避雷器
の構造を示す図。
【符号の説明】
1…ZnO素子成形体、2…混合粉、3…パンチ、4…
ダイス、5…シールド、6…電圧非直線抵抗体、7…碍
子、8…絶縁ベース。
フロントページの続き (72)発明者 嘉本 大五郎 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 高橋 研 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ZnOを主成分としBiを必須元素として
    含み、Mn,Co,Sb,Niの中から選ばれた1種以
    上を含む焼結体からなる電圧非直線抵抗体において、 該焼結体の側面の少なくとも最表面部が、該焼結体内部
    よりも小さな結晶粒径を有するZnOを主成分とする結
    晶相からなり、かつ該結晶相には γ−Bi23相量(%)=(Iγ-Bi2O3(321)
    ZnO(101))×100 ここでIは各相のX線回折強度であり、( )内は面指
    数を表す。で表したとき、γ−Bi23相が平均して3
    %以上存在することを特徴とする電圧非直線抵抗体。
  2. 【請求項2】ZnOを主成分としBiを必須元素として
    含み、Mn,Co,Sb,Niの中から選ばれた1種以
    上を含む焼結体からなる電圧非直線抵抗体において、 該焼結体の側面の少なくとも最表面部が、該焼結体内部
    よりも小さな結晶粒径を有するZnOを主成分とする結
    晶相からなり、かつ前記抵抗体を構成するZnO焼結体の
    気孔率が5%以下であることを特徴とする電圧非直線抵
    抗体。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載の電圧非直線抵抗体
    を碍子管またはタンクに入れて形成したことを特徴とす
    る避雷器。
  4. 【請求項4】ZnOにBi酸化物と、Mn,Co,S
    b,Niの各酸化物の中から選ばれた1種以上の酸化物
    を添加混合する工程、 該混合物を仮焼き,粉砕造粒後、成形する工程、 該成形体を加圧しながら焼結する工程、 該焼結体に電極を形成する工程、からなることを特徴と
    する電圧非直線抵抗体の製造方法。
  5. 【請求項5】請求項4記載の前記焼結の温度が650℃
    以上、かつ1400℃を越えないことを特徴とする電圧
    非直線抵抗体の製造方法。
  6. 【請求項6】請求項4記載の電圧非直線抵抗体の製造方
    法の加圧しながら焼結させる工程において、該加圧焼結
    用治具の中にアルカリ金属,アルカリ土類金属.Al酸
    化物,Si酸化物の一種以上を含有した粉末を入れた
    後、該粉末中に前記成形体を、前記成形体の側面の少な
    くとも一部が該粉末に接触するように埋めた後、加圧焼
    結する工程であることを特徴とする電圧非直線抵抗体の
    製造方法。
  7. 【請求項7】請求項4〜6のいずれかに記載の電圧非直
    線抵抗体の製造方法において、 加圧しながら焼結させる工程を不活性ガス中あるいは還
    元性ガス中において行い、その後大気中あるいは空気よ
    りも高酸素濃度雰囲気下で熱処理する工程を含んでいる
    ことを特徴とする電圧非直線抵抗体の製造方法。
  8. 【請求項8】請求項7記載の電圧非直線抵抗体の製造方
    法において、空気中あるいは空気よりも高酸素濃度雰囲
    気下で熱処理する工程の熱処理温度が、650℃以上で
    1350℃を越えないことを特徴とする電圧非直線抵抗体の
    製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012124209A (ja) * 2010-12-06 2012-06-28 Tdk Corp チップバリスタ
JP2018521497A (ja) * 2015-11-02 2018-08-02 コリア エレクトロテクノロジー リサーチ インスティテュートKorea Electrotechnology Research Institute 大容量ZnOバリスタの製造方法
JP2019165103A (ja) * 2018-03-20 2019-09-26 パナソニックIpマネジメント株式会社 積層バリスタ
JP2020509582A (ja) * 2017-02-14 2020-03-26 ティーディーケイ・エレクトロニクス・アクチェンゲゼルシャフトTdk Electronics Ag 無鉛高絶縁セラミックコーティングを有する酸化亜鉛避雷器バルブブロック及びそれを調製するための方法

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