JPH0920482A - エレベータの機械室部品の搬送装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 特別な仮設材を要することなく、作業効率良
く機械室部品を機械室まで揚重させることができるエレ
ベータの機械室部品の搬送装置の提供。 【構成】 昇降路１内にかご床面２９と所定階床の床面
３とがほぼ同一面となるように本設かご２３を設置し、
その両端部が昇降路１内を垂下し、前記両端部のうちど
ちらか一方が巻上機９と連結されるロープ１６と、前記
ロープ１６のガイド２１及び３２とを備え、前記機械室
２に設けられ、前記ロープ１６を把持し、このロープを
その一端の上昇時に他端を下降させるよう駆動するロー
プ駆動装置１９によって巻上機９を吊り上げるようにし
た。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、昇降路を利用して機械
室部品を機械室まで搬送するエレベータの機械室部品の
搬送装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のエレベータの機械室部品の搬送装
置としては、図９の昇降路の断面図に示すように、最下
階の乗場床３にウインチ４を設置し、昇降路１の壁に設
けたロープガイド６と、昇降路１の上方に形成した機械
室２に設けたロープガイド７と、機械室２の天井に設け
たロープガイド８とに順次ウインチロープ５を掛け回
し、その先端を昇降路１の下方に垂下して最下階の乗場
床３の近傍に位置させるようにしている。

【０００３】その後、例えば、機械室部品である巻上機
９を吊上げるときは、図１０の昇降路の要部拡大図に示
すように、まず、昇降路１のピット１０内に足場材１１
を立設し、この足場材１１上に階床３の床面とほぼ一致
するように足場板１２を配置し、さらに、足場板１２と
階床３との床面間に足場板１３を渡す。

【０００４】つぎに、吊上げる巻上機９を台車１５によ
って階床３から足場板１３を介して足場材１２上に搬入
し、この巻上機９に玉掛けワイヤ１４を装着する。

【０００５】そして、この玉掛けワイヤ１４にウインチ
ロープ５を係合させた後、操作体１６を操作することに
よりウインチ４を駆動させて巻上機９を機械室２まで吊
上げている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のエレベータの機械室部品の搬送装置では、機械室部
品を吊上げるに際し、昇降路１内に、足場材１１と足場
板１２とから構成される仮設の足場を設置する必要があ
る。

【０００７】これらの足場材は仮設材のため、本設品と
は別の余分な材料費がかかることや、足場材の昇降路内
への搬入、撤去、組立解体等の作業が作業時間の増大の
要因となるいう問題点があった。

【０００８】また、最下階の階床３にウインチ４を設置
し、ロープガイド６、７、８とに順次ウインチロープ５
を掛け回して構成しているため、一度ウインチロープ５
を上部まで引き上げ機械室部品を搬入すると、再び昇降
路下部までウインチロープ５を下げねばならず作業時間
の点で問題があった。

【０００９】本発明は、前記問題点を鑑みてなされたも
ので、その目的は、据付時のみに用いる仮設材を少なく
抑えてコスト低減を達成すると共に、作業効率良く機械
室部品を機械室まで吊上げることができるエレベータの
機械室部品の搬送装置を提供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成
するために、所定の階床から昇降路内に搬入した機械室
部品を、昇降路上部に設けられた機械室内まで吊上げる
エレベータの機械室部品の搬送装置において、前記機械
室部品が搬入され、そのかご床面と上記所定階床の床面
とがほぼ同一面となるように設置した本設かごと、その
両端部が昇降路内を垂下するロープと、前記両端部のう
ちの前記機械室部品と連結される端部に近い部分の前記
ロープと前記機械室部品と連結されない端部に近い部分
の前記ロープとの両者を案内する第１のロープガイド
と、前記両端部のうちの前記機械室部品と連結されない
端部に近い部分の前記ロープを案内し、前記機械室部品
と連結される端部に近い部分の前記ロープと接触しない
ようにその垂下位置を所定距離おいて垂下させる第２の
ロープガイドと、前記機械室に設けられ、前記ロープを
把持し、このロープをその一端の上昇時に他端を下降さ
せるよう駆動するロープ駆動装置とを有して構成され
る。

【００１１】

【作用】本発明は、上記のように機械室にロープ駆動装
置を設け、ロープの両端部を昇降路内に垂下させ、本設
のかごに搬入した機械室部品をそのロープ端部のどちら
か一方に連結し搬入するようにしたことにより、常時、
前記ロープのどちらかの端部が昇降路最下部付近にある
ことから、順次、機械室部品をその端部に連結し交互に
機械室部品を吊り上げることができる。

【００１２】また、本設かごを作業床とするため、ピッ
ト内に設けられていた足場材を使用せずに機械室部品の
搬送を行なうことができる。

【００１３】さらに、機械室部品と連結される端部に近
いロープと、もう一方の端部に近いロープの垂下位置を
所定距離おいて垂下させるようにしたため、その両者が
接触し絡まることはない。

【００１４】

【実施例】以下、本発明のエレベータの機械室部品の搬
送装置の一実施例を図に基づいて説明する。

【００１５】図１から図４は、本発明のエレベータの機
械室部品の搬送装置の設置方法の一実施例を示す昇降路
の縦断面図である。

【００１６】まず、機械室２からワイヤロープ１６引き
上げ用の図示しないロープを吊り降ろし、このロープ端
部にワイヤロープ１６の一端を接続し、これを機械室に
引き上げることによりワイヤロープ１６の一端を機械室
２まで引き上げる。

【００１７】そして、図１に示すように、この引き上げ
たワイヤロープ１６の端部をシャックル１７を用いて、
機械室２の天井部に予め設置されてある吊りフック１８
に掛け、最下階から機械室２に渡る昇降路１の全域にワ
イヤロープ１６を張設する。

【００１８】次に、最下階の乗場床３において、前記ワ
イヤロープ１６の駆動装置であるワインダー１９に前記
ワイヤロープ１６の他端を挿入することで、前記ワイヤ
ロープ１６を前記ワインダー１９に連結する。

【００１９】このワインダー１９は、その構造上張設し
た前記ワイヤロープ１６を把持し、このワイヤロープ１
６をガイドとして鉛直方向に自走可能であるため、図
２、図３に示すように、このワイヤロープ１６に沿って
前記ワインダー１９を機械室２に移動させ、機械室２の
床２０に固定する。

【００２０】これで、前記ワインダー１９を介して前記
ワイヤロープ１６の一端は吊りフック１７に接続され、
他端は昇降路１内を垂下し、最下階乗場床３付近に位置
する状態となる。

【００２１】その後、図４に示すように、前記ワイヤロ
ープ１６の一端を吊りフック１８に接続していたシャッ
クル１７を取外し、代わりに第１のワイヤロープガイド
２１を前記吊りフック１８に接続する。

【００２２】尚、この第１のガイド２１は、プーリを２
つ備え、ワイヤロープを２本、それぞれ独立してガイド
することができる。

【００２３】次に、機械室２の開口部付近、例えば床２
０部分に第２のロープガイド３２を設置する。この第２
のガイド３２はプーリを１つ備えたものであり、前記ワ
イヤロープ１６の機械室部品と連結されない端部１６ｂ
に近い部分のロープを案内し、その垂下位置を、機械室
部品と連結される端部１６ａに近い部分のロープから所
定距離おいて垂下させている。

【００２４】そして、第１のガイド２１に前記ワイヤロ
ープ１６のそれぞれ掛け回し、前記ワイヤロープ１６の
機械室部品と連結されない端部１６ｂに高い部分のロー
プを、前記第２のガイド３２に掛け回し昇降路内に垂下
させる。

【００２５】この状態で、前記ワイヤロープ１６の両端
部は、機械室床２０及び昇降路１の壁面に干渉すること
なく、およびワイヤロープ同士が絡むことなく、前記ワ
インダー１９を駆動することにより、昇降路１内にて所
定距離をおいて、それぞれ相対的に逆方向に移動するこ
とができる。

【００２６】尚、前記ワイヤロープ１６の一端１６ａは
前記ワインダー１９に挿入されることから、その先端は
輪形に加工されていないため、専用の吊り金具２２を任
意の位置に取付けることにより、前記ワイヤロープ１６
の両端部において、機械室部品を係合させることが可能
であるため、つるべ式に前記ワイヤロープ１６を移動さ
せ、交互に機械室部品を搬送することができる。

【００２７】次に、昇降路１内にかご２３及びカウンタ
ウェイト２４を案内するそれぞれのレール２５、２６を
立設する。これらは通常、複数段に渡って接続される
が、ここでは最下段を形成するかご及びカウンタウェイ
トレール２５、２６だけを設ける。

【００２８】その後、前記ワイヤロープ１６の一端にカ
ウンタウェイト２４を接続し、前記ワインダ１９を駆動
しながら、乗場床３から昇降路１の最下部のピット１０
へまずカウンタウェイト２４を搬入し、前記カウンタウ
ェイトレール２６内に組み込む。

【００２９】次に、本設かご２３を形成するスリング２
７を昇降路１内に搬入し、このスリング２７をかごレー
ル２５に沿わせる。

【００３０】次に、かご受け台２８をかごレール２５及
びスリング２７の背部から差し込み、本設かご２３を形
成するかご床２９を載置する際、かご床２９の上面が乗
場３の床面に並置されるように、例えばかご床２９の上
面がほぼ一致するように位置決めし、かご受け台２８を
かごレール２５に固定する。

【００３１】このような状態から、かご床２９を、前記
カウンタウェイト２４と同様に昇降路１内に搬入し、か
ごレール２５に固定されたかご受け台２８上に載置し、
かご床２９とスリング２７とを一体に固定する。

【００３２】この状態にあって、固定具３０をかごレー
ル２５及びスリング２７の上部から下方に差し込み、ス
リング２７をかごレール２５に固定する。

【００３３】次に、かご床２９と乗場床３とに足場板３
１を掛けわたし、機械室部品である巻上機９を乗場床３
から昇降路１内に搬入する。

【００３４】このとき、巻上機９を、垂下されるワイヤ
ロープの端部１６ａの直下に位置するよう、かご床２９
上に配置し、この状態で巻上機９とワイヤロープ１６の
最下階に位置する端部１６ａとを掛合させ、前記ワイン
ダー１９を駆動して巻上機９を機械室２まで吊り上げ
る。

【００３５】次に、本実施例における機械室部品の吊り
上げの動作説明を巻上機を例にとって行なう。

【００３６】図５から図８は本発明のエレベータの機械
室部品の搬送装置を用いた機械室部品の搬送方法を示す
昇降路の縦断面図である。

【００３７】まず、ワイヤロープ端部１６ａを最下階乗
場床３付近まで下降させ、本設のかご床２９上に搬入さ
れた巻上機９を支持する玉掛けワイヤ３３と吊り金具２
２とを連結し、図５に示すように、ワインダー１９を駆
動させ、巻上機９を機械室２に向けて吊り上げる。

【００３８】なお３４は、ワインダー１９を機械室床２
０に固定する固定金具である。

【００３９】そして、図６に示すように巻上機９を機械
室２まで吊り上げたなら、巻上機９を機械室２に降ろ
し、第２のガイド３２に案内されていたワイヤロープ端
部１６ｂに近い部分のロープを第２のガイド３２から取
外し、図７に示す状態とする。

【００４０】次に、図８に示すように、引き上げたロー
プ端部１６ａに近い部分のロープを第２のガイド３２に
取付け案内させる。

【００４１】この状態において、ロープ端部１６ｂに機
械室部品を連結すれば、引き上げたロープ端部１６ａを
再び下降させる時間を短縮して、機械室部品を、効率的
にワイヤロープ端部１６ａ、１６ｂにて交互に吊り上げ
ることができる。

【００４２】このように、実施例によれば、本設かごの
かご床２９を、巻上機９等の機械室部品を揚重させるた
めの作業床として活用させることができる。従って、仮
設材となる足場材や足場板を組み合わせて作業床を作る
必要がない。

【００４３】よって、仮設材を削減できるため、機械室
部品を機械室２まで吊り上げる搬送装置にかかる費用を
安くすることができ、また、前記足場材や足場板の昇降
路内への搬入、撤去、組立解体等を要しないことから、
吊り上げ作業の作業者の労力を軽減できるとともに、作
業能率を向上させることができる。

【００４４】また、ロープの両端部を垂下させ、その端
部にて交互に機械室部品を吊り上げることができるた
め、その作業効率は大幅に向上する。

【００４５】また、両端部は２つのロープガイド２１、
３２に案内されて、その相互間の距離は所定距離以上離
されているため両者は干渉せず、絡み合うことはない。

【００４６】なお、上記実施例では、かご床２９と乗場
床３とに足場板３１を掛け渡したが、この足場板３１は
設けなくても良い。また、上記実施例では、かご床２９
の上面と乗場床３の床面とを一致させるようにかご床２
９を位置決めしたが、若干ずれても良い。

【００４７】

【発明の効果】本発明は上記のように、常に、前記ロー
プのどちらかの端部が昇降路最下部付近にあることか
ら、順次、機械室部品をその端部に連結し交互に機械室
部品を吊り上げることができるため、その機械室部品の
搬送作業の作業効率を大幅に向上できる。

【００４８】また、本設かごを作業床とするため、ピッ
ト内に設けられていた足場材を使用せずに機械室部品の
搬送を行なうことができるため、仮設材にかかる費用を
削減することができるとともに、この仮設材の昇降路内
への搬入、撤去、組立解体等を要しないことから、吊上
げ作業の作業者の労力を軽減できるとともに、作業能率
を向上させることができる。

【００４９】さらに、機械室部品と連結される端部に近
いロープと、もう一方の端部に近いロープの垂下位置を
所定距離おいて垂下させるようにしたため、その両者が
接触し絡まることはなく、絡まることにより生じていた
その復旧作業の煩わしさを回避することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のエレベータの機械室部品の搬送装置の
設置方法の一実施例を示す昇降路の縦断面図である。

【図２】本発明のエレベータの機械室部品の搬送装置の
設置方法の一実施例を示す昇降路の縦断面図である。

【図３】本発明のエレベータの機械室部品の搬送装置の
設置方法の一実施例を示す昇降路の縦断面図である。

【図４】本発明のエレベータの機械室部品の搬送装置を
用いた搬送方法の一実施例を示す昇降路の縦断面図であ
る。

【図５】本発明のエレベータの機械室部品の搬送装置を
用いた搬送方法の一実施例を示す昇降路の縦断面図であ
る。

【図６】本発明のエレベータの機械室部品の搬送装置を
用いた搬送方法の一実施例を示す昇降路の縦断面図であ
る。

【図７】本発明のエレベータの機械室部品の搬送装置を
用いた搬送方法の一実施例を示す昇降路の縦断面図であ
る。

【図８】本発明のエレベータの機械室部品の搬送装置を
用いた搬送方法の一実施例を示す昇降路の縦断面図であ
る。

【図９】従来の機械室部品の搬送装置の構成を示す昇降
路の縦断面図である。

【図１０】従来の機械室部品の搬送装置の昇降路最下部
の構成を示す昇降路の縦断面図である。

【符号の説明】

１ 昇降路 ２ 機械室 ３ 階床（所定の階床） ４ ウインチ ５ ウインチロープ ９ 巻上機（機械室部品） １０ ピット １１ 足場材 １２ 足場板 １６ ロープ １９ ロープ駆動装置 ２１ ロープガイド１ ２３ 本設かご ２４ カウンタウェイト ２５ かごレール ２６ カウンタレール ２７ スリング ２８ かご受け台 ２９ かご床 ３０ 固定具 ３２ ロープガイド２

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 所定の階床から昇降路内に搬入した機械
   室部品を、昇降路上部に設けられた機械室内まで吊上げ
   るエレベータの機械室部品の搬送装置において、 前記機械室部品が搬入され、そのかご床面と上記所定階
   床の床面とがほぼ同一面となるように設置した本設かご
   と、その両端部が昇降路内を垂下するロープと、前記両
   端部のうちの前記機械室部品と連結される端部に近い部
   分の前記ロープと前記機械室部品と連結されない端部に
   近い部分の前記ロープとの両者を案内する第１のロープ
   ガイドと、前記両端部のうちの前記機械室部品と連結さ
   れない端部に近い部分の前記ロープを案内し、前記機械
   室部品と連結される端部に近い部分の前記ロープと接触
   しないようにその垂下位置を所定距離おいて垂下させる
   第２のロープガイドと、前記機械室に設けられ、前記ロ
   ープを把持し、このロープをその一端の上昇時に他端を
   下降させるよう駆動するロープ駆動装置とを有して構成
   されることを特徴とするエレベータの機械室部品の搬送
   装置。