JPH09195722A - 内燃機関のカムシャフト配置構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 バルブ挟角を小にする内燃機関のカムシャフ
ト配置構造の提供。 【解決手段】 吸気バルブ７を開閉駆動する吸気側カム
シャフト１と排気バルブ８を開閉駆動する排気側カムシ
ャフト２とをシリンダヘッド上方に配した内燃機関のカ
ムシャフト配置構造において、吸気側カムシャフト１の
シリンダヘッド下面１３からの距離ｄ１と排気側カムシ
ャフト２のシリンダヘッド下面１３からの距離ｄ２とを
互いに異ならせたカムシャフト配置構造。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関のカムシ
ャフト配置構造に関し、とくに吸、排気バルブの挟角を
小にし得るカムシャフト配置構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】多弁ＤＯＨＣ（ダブルオーバーヘッドカ
ムシャフト）型の内燃機関（ディーゼル機関）において
は、バルブリセスによる燃焼室上部の無駄容積を少なく
するため、バルブ挟角を小さく（吸、排気バルブ共バル
ブ下面に対し垂直に近い状態）することが望ましい。従
来、トヨタ技術公開集５１５４および特開平５−５２１
０４号公報に開示されているように、バルブ挟角を小さ
くするには、吸、排気側カムシャフトのプーリ（ギアま
たはスプロットであってもよい）を、カムシャフト軸方
向に位置をずらして互いにオーバラップさせたカムシャ
フト配置構造をとっていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、従来構造に
は、それぞれのプーリを駆動させるプーリが必要にな
る、ダブルチェーン構成となる、部品点数が増大
し、コストアップ、配置スペースが大きくなる、プー
リのオーバラップによりシリンダヘッド全長の増加を招
く、という問題がある。本発明の目的は、上記の問題を
伴うことなく、バルブ挟角を小にできる内燃機関のカム
シャフト配置構造を提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明はつぎの通りである。吸気バルブを開閉駆動する吸気
側カムシャフトと排気バルブを開閉駆動する排気側カム
シャフトとをシリンダヘッド下面の上方に配した内燃機
関のカムシャフト配置構造において、吸気側カムシャフ
トのシリンダヘッド下面からの距離と排気側カムシャフ
トのシリンダヘッド下面からの距離とを互いに異ならせ
た内燃機関のカムシャフト配置構造。

【０００５】上記の構造では、カムシャフト間距離が確
保されたままバルブ間距離（吸、排気バルブのバルブ軸
方向と直角方向の距離）が縮小され、バルブ挟角が小と
なる。そのため、吸、排気バルブ駆動用のプーリまたは
ギアをカムシャフト軸方向に同一平面内に配置でき、従
来のように軸方向にずらしたプーリオーバーラップ構成
をとる必要がなく、オーバーラップ構成で必要となる、
それぞれの駆動プーリおよびダブルチェーンが必要でな
くなり、部品点数増およびコストアップを招かず、かつ
シリンダヘッド全長も増加されない。

【０００６】

【発明の実施の形態】本発明の望ましい実施例に係る内
燃機関のカムシャフト配置構造を図１を参照して説明す
る。図１において、内燃機関はＤＯＨＣ型多気筒内燃機
関からなり、たとえばＤＯＨＣ型ディーゼルエンジンか
らなる。内燃機関はシリンダヘッド５を有し、シリンダ
ヘッド５には各気筒に対し吸気ポート１６と排気ポート
１１が少なくとも１個づつ形成されている。吸気ポート
１６には吸気バルブ７が設けられ、排気ポート１１には
排気バルブ８が設けられる。吸気バルブ７および排気バ
ルブ８はシリンダヘッド５を挿通して上方に延びてい
る。吸気バルブ７と排気バルブ８との間の挟角θは小さ
く、場合によっては０（両バルブ７、８が平行）であっ
てもよい。シリンダッド５の上方には互いに平行な２本
のカムシャフト１、２がそれぞれの軸芯まわりに回転可
能に配置されている。一方のカムシャフト１は吸気バル
ブ７を開閉駆動する吸気側カムシャフトであり、他方の
カムシャフト２は排気バルブ８を開閉駆動する排気側カ
ムシャフトである。それぞれのカムシャフト１、２はカ
ム９、１０を有し、カム９、１０で吸、排気バルブ７、
８を開閉する。

【０００７】吸気側カムシャフト１には駆動ギア３が取
り付けられ、排気側カムシャフト２には駆動ギア４が取
り付けられている。両ギア３、４はカムシャフト軸方向
に同一平面内にあり、互いに噛合されることにより、両
カムシャフト１、２間をギア連結している。そして、何
れか一方のカムシャフトはエンジンクランクシャフトの
回転に連動して回転駆動され、ギア３、４を介して他方
のカムシャフトに回転が伝達される。カムシャフトの駆
動は、上記に代えて、各カムシャフトに同一平面内でプ
ーリまたはスプロケットを取り付け、それらとクランク
シャフトに取り付けたプーリまたはスプロケットにわた
ってタイミングベルトまたはチェーンをかけわたして、
回転駆動するようにしてもよい。

【０００８】本発明実施例では、吸気側カムシャフト１
（回転軸芯）のシリンダヘッド下面１３からの距離（シ
リンダヘッド下面１３と直角方向の距離）ｄ１と排気側
カムシャフト２（回転軸芯）のシリンダヘッド下面１３
からの距離（シリンダヘッド下面１３と直角方向の距
離）ｄ２とが、互いに異ならせてある。両バルブ７、８
が平行かそれに近い（挟角が小）場合、両カムシャフト
１、２の回転軸芯間距離Ｄは，両バルブ７、８間距離Ｌ
と、ｄ２−ｄ１とを直交２辺とする直角２等辺三角形の
斜辺であるから、両バルブ７、８間距離Ｌより大であ
る。図示例は、排気側カムシャフト２のシリンダヘッド
下面１３からの距離ｄ２を吸気側カムシャフト１のシリ
ンダヘッド下面１３からの距離ｄ１より大の場合を示し
ているが、吸気側カムシャフト１のシリンダヘッド下面
１３からの距離ｄ１を排気側カムシャフト２のシリンダ
ヘッド下面１３からの距離ｄ２より大としてもよい。

【０００９】また、シリンダヘッド上面デッキ１４は段
差１５がつけられている。排気側を十分に冷却したい場
合は、排気側を吸気側よりデッキ面を高くして、排気バ
ルブ８まわりのシリンダヘッド内ウォータジャケット６
を大きくとると共に排気バルブのステムガイド１２をよ
り冷却できるようにし、過給機付エンジンの場合のよう
に吸気側を強く冷却して充填効率を上げたい場合は、吸
気側を排気側よりデッキ面を高くして、吸気バルブ７ま
わりのウォータジャケットを大きくする。

【００１０】つぎに、作用を説明する。吸気側カムシャ
フト１のシリンダヘッド下面１３からの距離ｄ１と排気
側カムシャフト２のシリンダヘッド下面１３からの距離
ｄ２とを、互いに異ならせたので、カムシャフト間距離
Ｄを確保したまま、バルブ間距離Ｌを小さくして、バル
ブ挟角θを小（０でもよい）にすることができる。これ
によって、バルブ７、８をシリンダヘッド下面１３に対
して垂直がほぼ垂直にでき、燃焼室上部の無駄な容積を
無くすかまたは小とすることができる。この際、カムシ
ャフト間距離Ｄが確保されているので、ギア３、４また
はプーリまたはスプロケットをカムシャフト軸方向に位
置をずらす必要がなく、それぞれのプーリを駆動させる
プーリが必要になることもなく、ダブルチェーン構成を
とる必要もない。その結果、部品点数が増大することも
なく、コストアップを招くこともなく、配置スペースが
大きくなることもなく、プーリのオーバラップによるシ
リンダヘッド全長の増加もない。すなわち、従来の問題
を伴うことなく、バルブ挟角を小にできる。

【００１１】

【発明の効果】本発明によれば、吸気側カムシャフトの
シリンダヘッド下面からの距離と排気側カムシャフトの
シリンダヘッド下面からの距離とを互いに異ならせたの
で、カムシャフト間距離を確保したままバルブ間距離を
縮小でき、バルブ挟角を小にできる。その結果、燃焼室
内のバルブリセスによる無駄な空間を小さくできる。ま
た、カムシャフト間距離を確保したので、吸、排気バル
ブ駆動用のプーリまたはギアをカムシャフト軸方向に同
一平面内に配置でき、従来のように軸方向にずらしたプ
ーリオーバーラップ構成をとる必要がなく、オーバーラ
ップ構成で必要となる、それぞれの駆動プーリ、ダブル
チェーンが必要でなくなり、部品点数増およびコストア
ップを招かず、かつシリンダヘッド全長も増加しない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の内燃機関のカムシャフト配
置構造の断面図である。

【符号の説明】

１ 吸気側カムシャフト ２ 排気側カムシャフト ３、４ ギア ５ シリンダヘッド ６ ウォータジャケット ７ 吸気バルブ ８ 排気バルブ ９、１０ カム １１ 排気ポート １２ 排気バルブステムガイド １３ シリンダヘッド下面 １４ シリンダヘッド上面デッキ １５ 段差 １６ 吸気ポート

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 吸気バルブを開閉駆動する吸気側カムシ
   ャフトと排気バルブを開閉駆動する排気側カムシャフト
   とをシリンダヘッド下面の上方に配した内燃機関のカム
   シャフト配置構造において、吸気側カムシャフトのシリ
   ンダヘッド下面からの距離と排気側カムシャフトのシリ
   ンダヘッド下面からの距離とを互いに異ならせたことを
   特徴とする内燃機関のカムシャフト配置構造。