JPH09195259A - 地盤改良工法及びその装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ケーシングの重心を低くして常に安定状態
で打ち込みを行え、且つケーシングに強力な打ち込み作
用を発揮させることができるようにする。 【解決手段】 固定ケーシング４に外嵌されて固定ケー
シング４と共にリーダ１に沿って昇降可能な回転ケーシ
ング５を、リーダ１の接地面Ｅ近くに設けた回転圧入装
置９によって回転させながら地盤中に圧入し、所定スト
ロークＳ圧入後、その圧入ストロークＳに相当する分だ
け回転圧入装置９の回転駆動手段を上動させ、この上動
位置から回転ケーシング５を回転させながら圧入し、上
記動作を繰り返し行って両ケーシング４，５を地盤中所
定深さまで打ち込んだ後、両ケーシング４，５を引き上
げながら固定ケーシング４に投入された地盤改良材を地
盤中に排出して地盤改良パイルを造成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、軟弱な地盤に、固
定ケーシング及びこれに外嵌された回転ケーシングを打
ち込み、所定深さまで打ち込んだ後、両ケーシングを引
き上げながら固定ケーシングに投入された地盤改良材を
地盤中に排出して地盤改良パイルを造成する地盤改良工
法及び地盤改良装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】この種の地盤改良工法にあっては、クロ
ーラクレーンによって立設されたリーダに、オーガマシ
ン等の回転駆動装置を装備した昇降体を昇降操作用ワイ
ヤーを介して昇降可能に支持し、この回転駆動装置の下
部に固定ケーシングとこれに外嵌された回転ケーシング
とを垂下連結し、しかして昇降操作用ワイヤーを繰り出
しつつ回転ケーシングを回転駆動装置によって回転させ
ながら、回転ケーシング及び固定ケーシングを地盤中所
定深さまで貫入し、その後昇降操作用ワイヤーを巻取り
つつ両ケーシングを引き上げながら、固定ケーシング内
に供給された地盤改良材をその下端より地盤中に排出し
て地盤改良パイルを造成するようにしている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記のような従来の工
法によると、相当に重い回転駆動装置をケーシングの上
部に設けることから、ケーシングの重心位置が高くなっ
て非常に不安定な状態となり、これがためにケーシング
の打ち込み中にケーシングが横揺れし易く、打ち込みの
直進性が損なわれ、途中で作業の中断を余儀無くされる
など、作業に困難を来している。また、ケーシングの重
心位置が高くなるため、ケーシングを支持するリーダの
安定性も悪く、従ってリーダ及びこのリーダを保持する
クレーンには、大型で大重量のものを使用する必要があ
って、経費の高騰を来すことになる。更に、従来工法で
は、ケーシングの打ち込みを、回転ケーシング及び固定
ケーシングの自重ならびに回転駆動装置の重量と、回転
ケーシングの回転力により行っているため、軟弱地盤で
も比較的硬質の地盤の場合には、打ち込みが困難とな
り、打ち込み速度が低下すると云った問題がある。

【０００４】本発明は、上記に鑑み、ケーシングの重心
を低くして常に安定状態でケーシングの打ち込みを行う
ことができると共に、ケーシングに強力な打ち込み作用
を発揮させることができる地盤改良工法及び地盤改良装
置を提供することを主たる目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】請求項１に係る発明は、
固定ケーシング４に外嵌されて固定ケーシング４と共に
リーダ１に沿って昇降可能な回転ケーシング５を、リー
ダ１の接地面Ｅ近くに設けた回転圧入装置９によって回
転させながら地盤中に圧入し、所定ストロークＳ圧入
後、その圧入ストロークＳに相当する分だけ回転圧入装
置９の回転駆動手段１６を上動させ、この上動位置から
回転ケーシング５を回転させながら圧入し、上記動作を
繰り返し行って両ケーシング４，５を地盤中所定深さま
で打ち込んだ後、両ケーシング４，５を引き上げながら
固定ケーシング４に投入された地盤改良材を地盤中に排
出して地盤改良パイルを造成するようにした地盤改良工
法である。

【０００６】この地盤改良工法にあっては、回転ケーシ
ング５を、リーダ１の接地面Ｅ近くに設けた回転圧入装
置９によって回転させながら地盤中に圧入するから、両
ケーシング４，５の重心を十分に低くでき、両ケーシン
グ４，５を安定状態で地盤中に打ち込むことができ、ま
た両ケーシング４，５の重心を十分に低くできるため、
リーダ１の安定性も良くなる。またこの工法では、回転
圧入装置９による圧入作用によってケーシング４，５に
強力な打ち込み力が与えられ、それによりケーシング
４，５を容易且つ迅速に打ち込むことができる。

【０００７】請求項２に係る発明の地盤改良装置は、上
端部に地盤改良材供給用ホッパー７を有する固定ケーシ
ング４とこれに外嵌された回転ケーシング５とをリーダ
１に沿って昇降可能に設け、リーダ１の接地面Ｅ近くに
回転圧入装置９を設けると共に、回転ケーシング５には
係合穴６を長手方向に一定ピッチＰで開設し、前記回転
圧入装置９は、両ケーシング４，５を貫通しリーダ１に
固定された固定台１０と、両ケーシング４，５を貫通し
固定台１０と上下に対向する方向に昇降可能な昇降台１
１を有し、昇降台１１には、回転ケーシング５を囲繞す
るように配置された環状回転体１２と、この環状回転体
１２を駆動する回転駆動手段１６とを設け、環状回転体
１２には、回転ケーシング５の係合穴６に係合して当該
回転体１２と回転ケーシング５とを一体的に連結する係
合突起２０と、この係合突起２０を係合穴６に対し係脱
させる係脱駆動手段２１とを設け、固定台１０と昇降台
１１との間には、昇降台１１を前記係合穴６のリーダ長
手方向ピッチＰに相当する分昇降させる圧入用シリンダ
２３を介設してなるものである。

【０００８】この発明の地盤改良装置を使用するとき
は、両ケーシング４，５を、リーダ１の接地面Ｅ近くに
設けられた回転圧入装置９の昇降台１１及び固定台１０
の中央開口部１１ａ，１０ａに貫通させた状態で、係脱
駆動手段２１により係合突起２０を回転ケーシング５の
係合穴６に係合させ、それにより環状回転体１２と回転
ケーシング５とを一体的に連結する。こうして環状回転
体１２と回転ケーシング５とを連結した状態から、回転
駆動手段１６及び圧入用シリンダ２３によって回転ケー
シング５を回転させながら地盤中に圧入し、所定ストロ
ークＳ圧入したならば、係脱駆動手段２１を作動して係
合突起２０を回転ケーシング５の係合穴６から離脱さ
せ、それにより環状回転体１２と回転ケーシング５との
連結を解除し、圧入用シリンダ２３を所定ストロークＳ
伸張作動して、回転駆動手段１６を環状回転体１２と共
に上動させる。この上動位置において、再び各係脱駆動
手段２１を作動して各係合突起２０を係合穴６に係合さ
せ、環状回転体１２と回転ケーシング５とを連結した
後、前記同様に回転駆動手段１６及び圧入用シリンダ２
３を作動して、回転ケーシング５を回転させながら所定
ストロークＳ地盤中に圧入する。回転圧入装置９による
上記のような動作を繰り返し行って、両ケーシング４，
５を地盤中所定深さまで打ち込んだ後、環状回転体１２
と回転ケーシング５との連結を解除し、両ケーシング
４，５を引き上げながら、固定ケーシング４内に投入さ
れた地盤改良材を固定ケーシング４下端から地盤中に排
出して地盤改良パイルを造成する。

【０００９】請求項３に係る発明は、請求項２に記載の
地盤改良装置において、回転ケーシング５に長手方向一
定ピッチＰで介設される係合穴６を回転ケーシング５の
周方向に一定間隔で複数設け、この周方向複数の係合穴
６と同数の係合突起２０及び係脱駆動手段２１を環状回
転体１２に設けてなるものである。

【００１０】請求項４に係る発明は、請求項２または３
に記載の地盤改良装置において、係脱駆動手段２１が、
環状回転体１２を貫通する係合突起２０を回転ケーシン
グ５の係合穴６に対し進退駆動するシリンダからなるも
のである。

【００１１】請求項５に係る発明は、請求項２〜４のい
ずれかに記載の地盤改良装置において、固定ケーシング
４内には、下端部にバイブロフロット２９を設けた突き
固め用ロッド２６を上下駆動手段によって所定ストロー
ク上下動可能に挿入配置してなるものである。

【００１２】請求項６に係る発明は、請求項５に記載の
地盤改良装置において、上下駆動手段が、固定ケーシン
グ内の上端側に並設された複数のシリンダ２８からな
り、これら複数のシリンダ２８を突き固め用ロッド２６
の上端部に水平連結枠２７を介して連動連結してなるも
のである。

【００１３】

【発明の実施の形態】図１は、本発明に係る地盤改良工
法を実施するための地盤改良装置を正面側から見た図で
あり、この図において、１はクローラクレーン（図示省
略）によって鉛直に立設されたリーダ、２はリーダ１の
ガイドレール３に昇降可能に支持された昇降枠で、リー
ダ１の頂部から垂下される昇降操作用ワイヤーＷによっ
て吊支されている。４は円筒状の固定ケーシング、５は
固定ケーシングに外嵌された回転ケーシングであり、固
定ケーシング４は、その上端部が昇降枠２の上枠２ａに
一体的に連結固定され、この固定ケーシング４には長手
方向に一定のピッチＰで係合穴６が開設され、またこの
係合穴６は、周方向には一定の間隔、例えば図示のよう
に９０度の間隔で４個配設されている。また、固定ケー
シング４の上端部には地盤改良材供給用のホッパー７が
設けてある。回転ケーシング５は、その上端部が昇降支
持枠２に軸受８を介して回転可能に支持されている。９
は、リーダ１の接地面Ｅ近くに設けられた回転圧入装置
９である。

【００１４】上記回転圧入装置９について、図２及び図
３を参照して詳細に説明すると、この回転圧入装置９
は、中央開口部１０ａを介して両ケーシング４，５を貫
通し、リーダ１の前側面下端部に取付部２５を介してボ
ルト等により水平に固定された円板状の固定台１０と、
同様に中央開口部１１ａを介して両ケーシング４，５を
貫通し、前記固定台１０と上下に対向する方向に昇降可
能な昇降台１１とを有し、昇降台１１は、リーダ１のガ
イドレール３，３にブラケット２４を介して昇降案内さ
れるようになっている。

【００１５】昇降台１１の下面側には環状回転体１２が
回転ケーシング５を同心状に囲繞するように配置され、
この環状回転体１２は、上下一対のリング状軸受部材１
３，１４によって回転可能に支持され、上側の軸受部材
１３は昇降台１１の下面に直接固定され、下側の軸受部
材１４は、一定間隔で環状に配置されてそれぞれの上端
部が昇降台１１に取付け固定された複数の支持枠体１５
によって保持されている。また、この昇降台１１には、
環状回転体１２を駆動する一対の回転駆動手段１６，１
６が中央開口部１１ａを挟んでその直径方向両側位置に
設けられており、各回転駆動手段１６は、昇降台１１上
に設置された減速機付きモーター１７と、昇降台１１を
貫通するモーター１７の駆動軸１７ａに固定された小歯
車１８と、環状回転体１２の外周に一体的に設けられ、
前記小歯車１８と噛合する大歯車１９とからなるもの
で、モーター１７の起動により小歯車１８及び大歯車１
９を介して環状回転体１２を回転させるようになってい
る。

【００１６】また、環状回転体１２には、回転ケーシン
グ５の係合穴６に係合して当該環状回転体１２と回転ケ
ーシング５とを一体的に連結する係合突起２０と、この
係合突起２０を係合穴６に対し係脱させる係脱駆動手段
２１とが１組となって、周方向に９０度の間隔をおいて
４組設けられ、各組の係合突起２０は、回転ケーシング
５に周方向９０度の間隔で開設された各係合穴６に係合
可能な位置に配設されている。各係脱駆動手段２１は、
例えばエアシリンダからなるもので、各係合突起２０に
連動連結されており、各係合突起２０は、図２に示すよ
うに、環状回転体１２に貫通固定された支持スリーブ２
２に摺動可能に支持されている。従って、係脱駆動手段
２１が伸張作動して、係合突起２０が回転ケーシング５
の対応する係合穴６に突入係合することにより、環状回
転体１２と回転ケーシング５とが一体的に連結され、ま
たこの連結状態から係脱駆動手段２１が収縮作動するこ
とにより、係合突起２０が係合穴６から離脱し、環状回
転体１２と回転ケーシング５との連結が解除される。

【００１７】前記固定台１０と昇降台１１との間には、
昇降台１１を回転ケーシング５に開設された係合穴６の
ケーシング長手方向ピッチに相当するストロークＳ分昇
降させる両側一対の圧入用シリンダ２３，２３が介設さ
れている。各圧入用シリンダ２３は、油圧シリンダから
なるもので、そのシリンダチューブ２３ａが固定台１０
側に、ピストンロッド２３ｂが昇降台１１側にそれぞれ
連結されており、ピストンロッド２３ｂの伸張動作によ
り昇降台１１が上昇し、その収縮動作、即ち圧入動作に
より昇降台１１が下降する。しかして、昇降台１１が上
昇位置にあるとき、係脱駆動手段２１により係合突起２
０を回転ケーシング５の係合穴６に係合させることによ
り、環状回転体１２と回転ケーシング５とが一体的に連
結し、斯かる状態から圧入用シリンダ２３によって昇降
台１１を所定ストロークＳ下降させると、回転ケーシン
グ５が昇降台１１の下降ストロークＳ分下動する。ま
た、この昇降台１１の下降時に回転駆動手段１６を作動
させて、環状回転体１２を回転させることによって、回
転ケーシング５は、環状回転体１２と共に回転しながら
下動することになる。

【００１８】前記固定ケーシング４内には、中空状の突
き固め用ロッド２６が同心状に挿入配置され、この突き
固め用ロッド２６の上端には水平連結枠２７が水平に固
着されいて、この水平連結枠２７の両端部に、昇降枠２
の上枠２ａ下面に垂下連結された上下動手段としての一
対の油圧シリンダ２８，２８が連結されている。従っ
て、両油圧シリンダ２８，２８の伸縮作動によって、突
き固め用ロッド２６が所定ストローク上下動することが
できる。尚、油圧シリンダ２８はエアシリンダでもよ
く、またシリンダは２個以上の複数個でもよい。また、
突き固め用ロッド２６の下端部には、水平横方向の振動
を生ずるバイブロフロット２９が設けられている。この
バイブロフロット２９の駆動用圧力流体、例えば圧力エ
アは、突き固め用ロッド２６の中空部２６ａを通じて供
給され、また図示は省略するが、このロッド２６の上端
部にはその中空部２６ａに圧力エアを導入するためのエ
ア導入管が接続される。

【００１９】この場合、突き固め用ロッド２６の上端部
は、水平連結枠２７を介して昇降支持枠２側の一対の
（または複数個の）油圧シリンダ２８，２８に連結され
ているから、突き固め用ロッド２６の上端側へ伝わるバ
イブロフロット２９の振動は、水平連結枠２７によって
分散して各シリンダ８に伝播することになり、そのため
各油圧シリンダ８を損傷することが少ない。因み、突き
固め用ロッド２６の上端部が１個の油圧シリンダに連結
されている場合には、バイブロフロット２９の振動が突
き固め用ロッド２６を通じてその油圧シリンダに直接伝
播するため、油圧シリンダを損傷し易くなる。

【００２０】また、前記回転ケーシング５の下端部に
は、常時は自重により開放し、ケーシング打ち込み時に
は掘削土砂の土圧により閉止するようになっている底板
３０が取り付けられている。尚、図１において３１は、
固定ケーシング４の内部にエアを供給するエア供給管、
３２は地盤改良材供給用ホッパー７の出口部を開閉する
開閉弁で、常時は図示のように閉止しており、ホッパー
７への地盤改良材の供給時に開放されるようになってい
る。

【００２１】上述したような構成を有する掘削装置の使
用による地盤改良工法について図２を参照して説明す
る。

【００２２】この工法の実施にあたっては地盤改良材を
用意する必要があるが、この地盤改良材には、地盤土砂
とセメント系固化材とを所要の割合で混合した混合材を
使用する。地盤土砂としては、施工現場において地面の
表層部の一部の土砂を一定深さまで掘削除去する所謂根
切り作業により生じた土砂を使用し、またセメント系固
化材としては、酸化カルシウム、二酸化珪素、二酸化ア
ルミニウム及び三酸化硫黄を主成分としたものを使用す
る。

【００２３】先ず、本装置を図１に示すように施工すべ
き地盤上の所定箇所に設置し、両ケーシング４，５を、
リーダ１の接地面Ｅ近くに設けられた回転圧入装置９の
昇降台１１及び固定台１０の中央開口部１１ａ，１０ａ
に貫通させる。このとき、回転圧入装置９の各圧入用シ
リンダ２３がストロークＳの上限位置にあり、この上限
位置において各係合突起２０が図２に示すように回転ケ
ーシング５の係合穴６に係合可能なように回転ケーシン
グ５の位置を設定しておく。この状態から、各係脱駆動
手段２１のシリンダを伸張作動して各係合突起２０を回
転ケーシング５の対応する係合穴６に係合させ、それに
より環状回転体１２と回転ケーシング５とを一体的に連
結する。

【００２４】上記のように環状回転体１２と回転ケーシ
ング５とを連結した状態から、昇降操作用ワイヤーＷを
十分な余裕をもって繰り出しつつ、回転駆動手段１６及
び圧入用シリンダ２３を作動し、回転ケーシング５を回
転させながら所定ストロークＳ下動させて地盤中に圧入
する。こうして回転ケーシング５を所定ストロークＳ圧
入したならば、回転駆動手段１６の作動を停止した後、
各係脱駆動手段２１のシリンダを収縮作動して係合突起
２０を回転ケーシング５の係合穴６から離脱させ、それ
により環状回転体１２と回転ケーシング５との連結を解
除し、この状態で圧入用シリンダ２３を所定ストローク
Ｓ伸張作動して、回転駆動手段１６を環状回転体１２と
共に上動させる。この上動位置において、再び各係脱駆
動手段２１を伸張作動して各係合突起２０を係合穴６に
係合させ、環状回転体１２と回転ケーシング５とを連結
した後、前記同様に回転駆動手段１６及び圧入用シリン
ダ２３を作動して、回転ケーシング５を回転させながら
所定ストロークＳ地盤中に圧入する。

【００２５】回転圧入装置９による上記のような動作を
繰り返し行って、回転ケーシング５を固定ケーシング４
と共に地盤中所定深さまで打ち込んだ後、環状回転体１
２と回転ケーシング５との連結を解除し、回転駆動手段
１６の作動を停止した状態で、前記昇降操作用ワイヤー
Ｗを巻取り操作することによって両ケーシング４，５を
引き上げながら、固定ケーシング４内に投入された地盤
改良材（図示省略）を固定ケーシング４下端から地盤中
に排出して地盤改良パイルを造成してゆく。この地盤改
良材は、ケーシング打ち込み中に地盤改良材供給用ホッ
パー７により固定ケーシング４内に投入してもよいし、
あるいはケーシング打ち込み後に投入するようにしても
よい。

【００２６】上記ケーシング４，５の引き上げに際して
は、エア供給管３１より固定ケーシング４にエアを供給
して、固定ケーシング４内部を約１kg/cm²程度に加圧
し、その加圧力によって地盤改良材を固定ケーシング４
から押し出すようにする。またこのとき、上下動手段た
る両油圧シリンダ２８，２８の伸縮作動により突き固め
用ロッド２６を所定ストローク上下動させると同時に、
この突き固め用ロッド２６下端部のバイブロフロット２
９を作動させる。この突き固め用ロッド２６の上下動作
用と、バイブロフロット２９の水平振動作用とによっ
て、固定ケーシング４から地盤中に排出される地盤改良
材が、十分に突き固められると同時に締め固められ、そ
れにより圧密された地盤改良パイルが造成されることに
なる。

【００２７】以上説明したように、この発明の工法によ
れば、回転ケーシング５を、リーダ１の接地面Ｅ近くに
設けた回転圧入装置９によって回転させながら地盤中に
圧入する工法であるから、両ケーシング４，５の重心を
低くでき、それにより両ケーシング４，５を鉛直方向に
沿って安定した状態でスムーズに地盤中に打ち込むこと
ができる。また、両ケーシング４，５の重心を低くでき
るため、両ケーシング４，５を支持しているリーダ１の
安定性も良く、従ってリーダ及びこれを保持するクレー
ンは、比較的軽量のものを使用することができることに
なる。更にこの工法は、回転ケーシング５を回転圧入装
置９によって回転させながら地盤中に圧入し、所定スト
ロークＳ圧入後、この圧入ストロークＳに相当する分だ
け回転圧入装置９の回転駆動手段１６を上動させ、その
上動位置から回転ケーシング５を回転させながら圧入す
る、という動作を繰り返し行って両ケーシングを地盤中
所定深さまで打ち込むようにするから、軟弱地盤へのケ
ーシング４，５の打ち込み中に硬い地盤層に遭遇した
り、また比較的硬い地盤への打ち込みに際しても、上記
圧入作用による強力な打ち込み力によってケーシング
４，５を容易且つ迅速に打ち込むことができ、それによ
り施工能率の著しい向上を図ることができる。

【００２８】また、上述した地盤改良装置によれば、回
転ケーシング５に係合穴６を長手方向に一定ピッチで開
設し、リーダ１の接地面Ｅ近くに設けた回転圧入装置９
は、両ケーシング４，５を貫通しリーダ１に固定された
固定台１０と、同じく両ケーシング４，５を貫通し固定
台１０と上下に対向する方向に昇降可能な昇降台１１を
有し、この昇降台１１に、回転ケーシング５を囲繞する
ように配置された環状回転体１２と、この環状回転体１
２を駆動する回転駆動手段１６とを設け、環状回転体に
は、回転ケーシング５の係合穴６に係合して環状回転体
１２と回転ケーシング５とを一体的に連結する係合突起
２０と、この係合突起２０を係合穴６に対し係脱させる
回転駆動手段１６とを設け、そして固定台１０と昇降台
１１との間に、昇降台１１を前記係合穴６のリーダ１長
手方向ピッチに相当する分昇降させる圧入用シリンダ２
３を介設してなるものであるから、両ケーシング４，５
の重心を低くできて、両ケーシング４，５の打ち込みを
安定状態で的確に行わせることができると共に、両ケー
シング４，５を支持しているリーダ１の安定性を良くす
ることができる。また、両ケーシング４，５を地盤中に
圧入する際には、係合突起２０を係脱駆動手段２１によ
って回転ケーシング５の係合穴６に係合させるだけで、
この係合突起２０を介して回転ケーシング５と回転駆動
手段１６とを一体的に連結することができるため、係脱
駆動手段２１としては、小型で駆動力の小さいものを使
用でき、それにより制作コストの低廉化を期することが
できる。因みに、回転ケーシング５と回転駆動手段１６
とを連結するのに、例えば回転駆動手段１６側から油圧
シリンダによって楔を回転ケーシング５側に押し付ける
ような機構を採用すれば、きわめて強力な押し付け力が
必要となるため、可成り大型の油圧シリンダが必要にな
ると共に、その機構自体が大掛かりなものとなり、制作
コストが非常に高くつくことになる。

【００２９】また、この地盤改良装置では、回転ケーシ
ング５に長手方向一定ピッチＰで介設された係合穴６
は、回転ケーシングの周方向にも一定間隔で複数（例え
ば４こ）設け、そしてこの周方向複数の係合穴６と同じ
数の係合突起２０び係脱駆動手段２１を環状回転体１２
に設けているため、固定ケーシング４と環状回転体１２
との連結を周方向に均等に行わせることができ、回転ケ
ーシング５の圧入が安定状態でスムーズに行える。ま
た、係脱駆動手段２１として、環状回転体１２を貫通す
る係合突起２０を回転ケーシング５の係合穴６に対し進
退駆動するシリンダを使用しているため、係脱駆動手段
２１の構造をコンパクトにして且つより小型のものとす
ることができる。

【００３０】

【発明の効果】請求項１に係る地盤改良工法によれば、
両ケーシングの重心を低くでき、それにより両ケーシン
グを鉛直方向に沿って安定した状態でスムーズに地盤中
に打ち込むことができる。また、両ケーシングの重心を
低くできるから、両ケーシングを支持するリーダの安定
性も良く、従ってリーダ及びこれを保持するクレーン
は、比較的軽量のものを使用することができ、それによ
り経費の低減化を図ることができる。更に、回転ケーシ
ングを回転圧入装置によって回転させながら地盤中に圧
入し、所定ストローク圧入後、この圧入ストロークに相
当する分だけ回転圧入装置の回転駆動手段を上動させ、
その上動位置から回転ケーシングを回転させながら圧入
する、という動作を繰り返し行って両ケーシングを地盤
中所定深さまで打ち込むようにするから、比較的硬い地
盤への打ち込みに際しても、上記圧入作用による強力な
打ち込み力によってケーシングを容易且つ迅速に打ち込
むことができ、それによって施工能率の向上を図ること
ができる。

【００３１】請求項２に係る地盤改良装置によれば、回
転圧入装置をリーダの接地面近くに設けたことによっ
て、両ケーシングの重心を低くでき、それにより両ケー
シングを鉛直方向に沿って安定した状態でスムーズに地
盤中に打ち込むことができると共に、両ケーシングを支
持しているリーダの安定性を良くすることができ、従っ
てリーダ及びこれを保持するクレーンには比較的小型で
軽量のものを使用できる。しかも、この地盤改良装置に
よれば、両ケーシングを地盤中に圧入するにあたり、係
合突起を係脱駆動手段の作動によって回転ケーシングの
係合穴に係合させるだけで、この係合突起を介して回転
ケーシングと回転駆動手段とを一体的に連結することが
できるため、係脱駆動手段としては、小型で駆動力の小
さいものを使用でき、それによりその構造のコンパクト
化及び小型化を図ることができると共に、その制作コス
トの低廉化を図ることができる。

【００３２】請求項３によれば、回転ケーシングに長手
方向一定ピッチで介設される係合穴を回転ケーシングの
周方向に一定間隔で複数設け、この周方向複数の係合穴
と同じ数の係合突起及び係脱駆動手段を環状回転体に設
けたことにより、固定ケーシングと環状回転体との連結
を周方向に均等に行わせることができ、回転ケーシング
の圧入を安定状態でスムーズに行わせることができる。

【００３３】請求項４によれば、係脱駆動手段が、環状
回転体を貫通する係合突起を回転ケーシングの係合穴に
対し進退駆動するシリンダからなるため、係脱駆動手段
の構造をコンパクトにして且つより小型のものとするこ
とができる。

【００３４】請求項５によれば、固定ケーシング内に、
下端部にバイブロフロットを設けた突き固め用ロッドを
上下駆動手段によって所定ストローク上下動可能に挿入
配置していることから、この突き固め用ロッドの上下動
作用とバイブロフロットの水平振動作用によって、固定
ケーシングから地盤中に排出される地盤改良材を十分に
突き固めると同時に締め固めすることができ、それによ
り圧密された良好な地盤改良パイルを造成することがで
きる。

【００３５】請求項６によれば、上下駆動手段が、固定
ケーシング内の上端側に並設された複数のシリンダから
なり、これら複数のシリンダを突き固め用ロッドの上端
部に水平連結枠を介して連動連結してなるため、バイブ
ロフロットの作動時に、このバイブロフロットから突き
固め用ロッドの上端側へ伝わる振動は、水平連結板によ
って分散して各シリンダに伝播することになり、そのた
め各シリンダを損傷するようなことが少ない。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明に係る地盤改良装置を示す全体概略正
面図である。

【図２】 図１に示す地盤改良装置における回転圧入装
置の拡大詳細断面図である。

【図３】 図２のＸ−Ｘ線断面図である。

【符号の説明】

１ リーダ ２ 昇降支持枠 ３ リーダのガイドレール ４ 固定ケーシング ５ 回転ケーシング ６ 係合穴 ７ 地盤改良材供給用ホッパー ９ 回転圧入装置 １０ 固定台 １１ 昇降台 １２ 環状回転体 １６ 回転駆動手段 １７ 減速機付きモーター １８ 小歯車 １９ 大歯車 ２０ 係合突起 ２１ 係脱駆動手段（シリンダ） ２３ 圧入用シリンダ ２６ 突き固め用ロッド ２７ 水平連結枠 ２８ 上下駆動手段（シリンダ） ２９ バイブロフロット

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 固定ケーシングに外嵌されて該ケーシン
   グと共にリーダに沿って昇降可能な回転ケーシングを、
   リーダの接地面近くに設けた回転圧入装置によって回転
   させながら地盤中に圧入し、所定ストローク圧入後、そ
   の圧入ストロークに相当する分だけ回転圧入装置の回転
   駆動手段を上動させ、この上動位置から回転ケーシング
   を回転させながら圧入し、上記動作を繰り返し行って両
   ケーシングを地盤中所定深さまで打ち込んだ後、両ケー
   シングを引き上げながら固定ケーシングに投入された地
   盤改良材を地盤中に排出して地盤改良パイルを造成する
   ようにした地盤改良工法。
2. 【請求項２】 上端部に地盤改良材供給用ホッパーを有
   する固定ケーシングとこれに外嵌された回転ケーシング
   とをリーダに沿って昇降可能に設け、リーダの接地面近
   くに回転圧入装置を設けると共に、回転ケーシングには
   係合穴を長手方向に一定ピッチで開設し、前記回転圧入
   装置は、両ケーシングを貫通しリーダに固定された固定
   台と、両ケーシングを貫通し固定台と上下に対向する方
   向に昇降可能な昇降台を有し、昇降台には、回転ケーシ
   ングを囲繞するように配置された環状回転体と、この環
   状回転体を駆動する回転駆動手段とを設け、環状回転体
   には、回転ケーシングの係合穴に係合して当該回転体と
   回転ケーシングとを一体的に連結する係合突起と、この
   係合突起を係合穴に対し係脱させる係脱駆動手段とを設
   け、固定台と昇降台との間には、昇降台を前記係合穴の
   リーダ長手方向ピッチに相当する分昇降させる圧入用シ
   リンダを介設してなる地盤改良装置。
3. 【請求項３】 回転ケーシングに長手方向一定ピッチで
   介設される係合穴を回転ケーシングの周方向に一定間隔
   で複数設け、この周方向複数の係合穴と同数の係合突起
   及び係脱駆動手段を環状回転体に設けてなる請求項２に
   記載の地盤改良装置。
4. 【請求項４】 係脱駆動手段は、環状回転体を貫通する
   係合突起を回転ケーシングの係合穴に対し進退駆動する
   シリンダからなる請求項２または３に記載の地盤改良装
   置。
5. 【請求項５】 固定ケーシング内には、下端部にバイブ
   ロフロットを設けた突き固め用ロッドを上下駆動手段に
   よって所定ストローク上下動可能に挿入配置してなる請
   求項２〜４のいずれかに記載の地盤改良装置。
6. 【請求項６】 上下駆動手段は、固定ケーシング内の上
   端側に並設された複数のシリンダからなり、これら複数
   のシリンダを突き固め用ロッドの上端部に水平連結枠を
   介して連動連結してなる請求項５に記載の地盤改良装
   置。