JP2731348B2 - チュービング装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、建築、土木等の基礎工
事に使用するケーシングチューブの押込・引抜を行うチ
ュービング装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、ケーシングチューブの押込・
引抜を行うチュービング装置として、例えば、特開昭６
３−２５１５２０号公報にあるように、昇降フレームに
回転可能に支承した回転体にテーパ面を有する挿入孔を
形成し、挿入孔にケーシングチューブを挿入する。そし
て、テーパ面とケーシングチューブとの間に楔を挿入し
て、ケーシングチューブの外周を把持し、回転体を回転
させてケーシングチューブを回転させる。また、昇降フ
レームに第１ガイド筒を固定すると共に、第１ガイド筒
に摺動可能に挿入された第２ガイド筒をベースフレーム
に固定する。昇降フレームとベースフレームとがシリン
ダにより連結され、シリンダの駆動によって昇降フレー
ムを上下動作せて、ケーシングチューブの押込・引抜を
行うことができるように構成したものが提案されてい
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、こうし
た従来のものでは、ベースフレームの外縁の複数箇所に
水平ジャッキを取り付けて、この水平ジャッキによりベ
ースフレームが水平となるように調整していた。その
為、例えば、図４（イ）に示すように、ベースフレーム
１００外縁の両水平ジャッキ１０２を支点とし、ケーシ
ングチューブ１０４の引抜時の反力がシリンダ１０８に
作用する。よって、ベースフレーム１００には、図４
（ロ）に示すような大きな曲げモーメントが作用し、ベ
ースフレーム１００はこれに耐えるだけの強固なものと
する必要があると共に、水平ジャッキ１０２の取付分、
チュービング装置の設置面積が広くなり、敷地の狭い現
場や壁ぎわの作業等では支障をきたす場合があるという
問題があった。

【０００４】そこで本発明は上記の課題を解決すること
を目的とし、ベースフレームに大きな曲げモーメントが
加わらないようにした、また、設置面積が小さいチュー
ビング装置を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】かかる目的を達成すべ
く、本発明は課題を解決するための手段として次の構成
を取った。即ち、ケーシングチューブの外周を把持する
チャック機構を備え、該チャック機構を回転させる回転
機構が載置された昇降フレームを、ベースフレームに上
下動可能に支承すると共に、前記昇降フレームを複数の
シリンダにより昇降させてケーシングチューブの押込・
引抜を行う昇降機構を備えたチュービング装置におい
て、前記各シリンダに対応して、前記シリンダと同軸上
の前記ベースフレーム上に水平ジャッキを配置したこと
を特徴とするチュービング装置の構成がそれである。

【０００６】また、前記昇降機構が、前記ケーシングチ
ューブと平行に、かつ同軸上に設けられた第１及び第２
ガイド筒を複数組備え、前記第１及び第２ガイド筒の一
方を他方に摺動可能に挿入すると共に、前記第１ガイド
筒を前記昇降フレームに取り付け、かつ前記第２ガイド
筒を前記ベースフレームに立設し、前記ガイド筒内に前
記シリンダを収納して、前記シリンダの一端を前記昇降
フレーム側に他端を前記第２ガイド筒に連結し、供給さ
れる流体により駆動される前記水平ジャッキが、その上
端を前記第２ガイド筒内に挿入されて前記シリンダと同
軸上の前記ベースフレーム上に配置された構成でもよ
い。

【０００７】

【作用】前記構成を有するチュービング装置は、水平ジ
ャッキにより水平を調整すると共に、チャック機構がケ
ーシングチューブの外周を把持し、回転機構がチャック
機構を回転させ、昇降機構が複数のシリンダにより昇降
フレームを上下動させてケーシングチューブの押込・引
抜を行う。そして、そのときの反力はシリンダと同軸上
の水平ジャッキに作用して、ベースフレームには大きな
曲げモーメントが加わらない。

【０００８】また、昇降機構が第１ガイド筒と第２ガイ
ド筒とを備えたものでは、シリンダが駆動されると、第
１ガイド筒と第２ガイド筒とが摺動して昇降フレームを
上下動させ、ケーシングチューブの押込・引抜を行う。
そして、水平ジャッキの上端が第２ガイド筒に挿入され
ているので、シリンダと水平ジャッキを同軸上に配置し
ても、高さを低くできる。

【０００９】

【実施例】以下本発明の実施例を図面に基づいて詳細に
説明する。図２，３に示すように、１はケーシングチュ
ーブで、ケーシングチューブ１の外周には、等間隔で複
数の楔状のチャック部材２が配置されており、チャック
部材２は、回転リング４から両端が軸支されたリンク６
を介して吊下げられている。回転リング４は、上部フレ
ーム８にベアリング１０を介して回転可能に支持されて
おり、上部フレーム８と昇降フレーム１２とは複数のチ
ャックシリンダ１４により連結されている。

【００１０】昇降フレーム１２にはケーシングチューブ
１を外周のチャック部材２と共に挿入可能な挿入孔１６
が形成された回転体１８が、ベアリング２０を介して回
転可能に支持されている。挿入孔１６には、前記チャッ
ク部材２の背面に形成されたテーパ面２２と対応したテ
ーパ面２４が形成されている。尚、本実施例では、チャ
ック部材２、回転リング４、リンク６、上部フレーム
８、ベアリング１０、チャックシリンダ１４、回転体１
８によりチャック機構２６を構成している。

【００１１】回転体１８の外周には、歯車部２８が形成
されており、歯車部２８には昇降フレーム１２に取り付
けられた支持軸３０にベアリング３２を介して回転可能
に支承されたアイドル歯車３４が噛合されている。アイ
ドル歯車３４には、昇降フレーム１２に固定された油圧
モータ３６に取り付けられた小歯車３８が噛合されてい
る。

【００１２】尚、本実施例では、複数の油圧モータ３６
が設けられ、また、それぞれに小歯車３８、アイドル歯
車３４が設けられており、回転体１８、ベアリング２
０、アイドル歯車３４、小歯車３８、油圧モータ３６に
より回転機構４０が構成されている。

【００１３】また、図１、図２に示すように、ケーシン
グチューブ１と平行に複数本（本実施例では４本）の第
１ガイド筒４２が昇降フレーム１２に、昇降フレーム１
２を貫通して配置されており、第１ガイド筒４２に形成
されたフランジ部４４が昇降フレーム１２の下面に図示
しないボルトにより固定されている。昇降フレーム１２
の上側に突出している第１ガイド筒４２の外周には、上
部フレーム８の下面に取り付けられた筒状のガイド部材
４５が摺動可能に嵌着されて、上部フレーム８と昇降フ
レーム１２とを相対的に上下動可能に支持されている。

【００１４】そして、各第１ガイド筒４２の内周には、
それぞれ第２ガイド筒４６の外周が摺動可能に嵌入され
ており、第２ガイド筒４６の下端には、フランジ部４８
が形成されている。また、各第１ガイド筒４２の上端に
は、シリンダ５０のヘッド側が固定されており、各第２
ガイド筒４６には、シリンダ５０のロッド５２がピン５
４を介して連結されている。尚、第１ガイド筒４２の外
周に、第２ガイド筒４６の内周を摺動可能に嵌着させて
も実施可能である。

【００１５】一方、ベースフレーム５６は、上板５６ａ
と、この上板５６ａの下側に上板５６ａの外周に沿って
設けられた側板５６ｂとを備え、第２ガイド筒４６に対
応して、上板５６ａ上に取付座５８が形成されている。
この取付座５８に図示しないボルト等により第２ガイド
筒４６のフランジ部４８が固定されて、第２ガイド筒４
６がベースフレーム５６に立設されている。尚、本実施
例では、第１ガイド筒４２、第２ガイド筒４６、シリン
ダ５０により昇降機構６０が構成されている。

【００１６】フランジ部４８と取付座５８とに、シリン
ダ５０と同軸上にそれぞれ貫通孔６２，６４が形成され
ており、また、ベースフレーム５６の上板５６ａにも、
同様の貫通孔６６が形成されている。そして、上板５６
ａの裏側には、水平ジャッキ６８のフランジ部７０が、
一対の連結部材７２を介して取り付けられている。

【００１７】この水平ジャッキ６８は、供給される流体
により脚部材７４を軸方向に突き出すことができる構成
のもので、水平ジャッキ６８とシリンダ５０とが、同軸
上に配置されている。また、水平ジャッキ６８は、上板
５６ａの貫通孔６６、取付座５８の貫通孔６４、フラン
ジ部４８の貫通孔６２に挿入され、水平ジャッキ６８の
上端が第２ガイド筒４６にまで挿入されている。

【００１８】次に、前述した本実施例のチュービング装
置の作動について説明する。まず、掘削位置にチュービ
ング装置が設置されると、ベースフレーム５６や昇降フ
レーム１２上に配置した図示しない傾斜計の指示する値
に従って、各水平ジャッキ６８に流体を供給して、ベー
スフレーム５６や昇降フレーム１２が水平となるように
調整する。各水平ジャッキ６８は供給される流体に応じ
て、脚部材７４を下方に突き出し、地面の凹凸や傾斜に
従って各水平ジャッキの突出し量を調整してベースフレ
ーム５６、昇降フレーム１２を水平に支持する。

【００１９】その後、図示しないスパイク等を地中に打
ち込んで、後述するケーシングチューブ１を回転させた
際の反力によりベースフレーム５６が回転しないように
固定すると共に、図示しないウエイトによりケーシング
チューブ１を押し込んだ際にベースフレーム５６が浮き
上がらないようにする。

【００２０】そして、ケーシングチューブ１が挿入さ
れ、チャックシリンダ１４が駆動される。これにより、
第１ガイド筒４２に沿ってガイド部材４５が摺動し、上
部フレーム８が引き下げられ、ベアリング１０、回転リ
ング４、リンク６を介して、チャック部材２がケーシン
グチューブ１の外周と回転体１８のテーパ面２４との間
に挿入される。チャック部材２のテーパ面２２がテーパ
面２４に沿って摺動して、複数のチャック部材２がケー
シングチューブ１の外周を把持する。

【００２１】次に、油圧モータ３６が回転駆動されて、
小歯車３８、アイドル歯車３４、歯車部２８を介して回
転体１８が回転され、回転体１８と共にチャック機構２
６により把持されたケーシングチューブ１が回転され
る。また、シリンダ５０が縮み側に駆動されて、第１ガ
イド筒４２が第２ガイド筒４６の外周を摺動して、第１
ガイド筒４２と共に昇降フレーム１２が下降される。こ
れにより、ケーシングチューブ１は、回転しながら地中
に押し込まれ、ケーシングチューブ１先端の図示しない
掘削ビットにより掘削が行われる。

【００２２】シリンダ５０の全ストロークが駆動される
と、一旦油圧モータ３６の回転が停止され、チャックシ
リンダ１４が駆動されて、上部フレーム８、ベアリング
１０、回転リング４、リンク６を介してチャック部材２
が引き上げられて、ケーシングチューブ１の把持が開放
される。

【００２３】そして、シリンダ５０が伸び側に駆動され
て、第１ガイド筒４２が第２ガイド筒４６の外周を摺動
して昇降フレーム１２を上昇させる。そして、前述した
動作を繰り返し、チャック機構２６によりケーシングチ
ューブ１の外周を把持すると共に、回転体１８を回転さ
せながら、昇降フレーム１２を下降させて、ケーシング
チューブ１を押し込む。この動作を繰り返し実行して、
ケーシングチューブ１による掘削が行われる。また、ケ
ーシングチューブ１は継ぎ足すことにより、より深く掘
削することができる。

【００２４】掘削が終了すると、今度は、チャック機構
２６によりケーシングチューブ１の外周を把持した状態
で、シリンダ５０を伸び側に駆動して、昇降フレーム１
２を上昇させる。これにより、ケーシングチューブ１が
地中から引き抜かれ、シリンダ５０の全ストロークが駆
動されると、チャック機構２６による把持が開放され
て、シリンダ５０を縮み側に駆動して昇降フレーム１２
を下降させる。

【００２５】そして、再び、チャック機構２６によりケ
ーシングチューブ１の外周を把持して、シリンダ５０に
より昇降フレーム１２を上昇させて、ケーシングチュー
ブ１を引き抜く。この動作を繰り返し実行して、地中か
らケーシングチューブ１を引き抜く。

【００２６】このケーシングチューブ１を引く抜く際
に、シリンダ５０に引き抜き力の反力が加わり、第２ガ
イド筒４６、フランジ部４８、取付座５８を介して上板
５６ａに反力が作用すると共に、連結部材７２を介して
水平ジャッキ６８に作用する。シリンダ５０と水平ジャ
ッキ６８とは同軸上に配置されているので、ベースフレ
ーム５６には、前記反力に起因する大きな曲げモーメン
トが加わらない。従って、ベースフレーム５６を強固に
形成する必要がないので軽量化できる。

【００２７】また、シリンダ５０と水平ジャッキ６８と
を同軸上に配置したので、ベースフレーム５６をシリン
ダ５０の配置に合わせた大きさに形成することができ、
ベースフレーム５６を小型化することができる。従っ
て、チュービング装置の設置面接が小さくなり、狭い敷
地面積の作業現場でも設置することができると共に、壁
ぎわにも設置することができ、壁ぎわでの作業も容易と
なる。

【００２８】しかも、水平ジャッキ６８の上端を第２ガ
イド筒４６に挿入した構成とすると、昇降フレーム１２
とベースフレーム５６との間隔を小さくできるので、チ
ュービング装置の高さを低くすることができる。以上本
発明はこの様な実施例に何等限定されるものではなく、
本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で
実施し得る。

【００２９】

【発明の効果】以上詳述したように本発明のチュービン
グ装置は、ベースフレームに大きな曲げモーメントが加
わらないので軽量化できると共に、シリンダと水平ジャ
ッキとを同軸上に配置したのでベースフレームを小型化
でき、よって、設置面積を小さくできるので、敷地の狭
い場所でも作業ができると共に、壁ぎわでも容易に作業
することができるという効果を奏する。また、水平ジャ
ッキの上端を第２ガイド筒に挿入する構成とすると、高
さを低くすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例としてのチュービング装置の
昇降機構と水平ジャッキの拡大断面図である。

【図２】本実施例のチュービング装置の概略斜視図であ
る。

【図３】本実施例のチャック機構、回転機構の拡大断面
図である。

【図４】従来のチュービング装置の概略構成と曲げモー
メントとの関係を示す説明図である。

【符号の説明】

１…ケーシングチューブ ２…チャック部材
８…上部フレーム １２…昇降フレーム １４…チャックシリンダ
１８…回転体 ２６…チャック機構 ４０…回転機構
４２…第１ガイド筒 ４６…第２ガイド筒 ４８…フランジ部
５０…シリンダ ５６…ベースフレーム ６８…水平ジャッキ
７４…脚部材

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ケーシングチューブの外周を把持するチ
   ャック機構を備え、該チャック機構を回転させる回転機
   構が載置された昇降フレームを、ベースフレームに上下
   動可能に支承すると共に、前記昇降フレームを複数のシ
   リンダにより昇降させてケーシングチューブの押込・引
   抜を行う昇降機構を備えたチュービング 装置において、前記各シリンダに対応して、前記シリン
   ダと同軸上の前記ベースフレーム上に水平ジャッキを配
   置したことを特徴とするチュービング装置。
2. 【請求項２】 前記昇降機構が、前記ケーシングチュー
   ブと平行に、かつ同軸上に設けられた第１及び第２ガイ
   ド筒を複数組備え、前記第１及び第２ガイド筒の一方を
   他方に摺動可能に挿入すると共に、前記第１ガイド筒を
   前記昇降フレームに取り付け、かつ前記第２ガイド筒を
   前記ベースフレームに立設し、前記ガイド筒内に前記シ
   リンダを収納して、前記シリンダの一端を前記昇降フレ
   ーム側に他端を前記第２ガイド筒に連結し、 供給される流体により駆動される前記水平ジャッキが、
   その上端を前記第２ガイド筒内に挿入されて前記シリン
   ダと同軸上の前記ベースフレーム上に配置されたことを
   特徴とする請求項１記載のチュービング装置。