JPH09194473A - 4,4’−ビシクロヘキサンジオンモノケタール化合物の新規な製造法 - Google Patents

4,4’−ビシクロヘキサンジオンモノケタール化合物の新規な製造法

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JPH09194473A
JPH09194473A JP2189496A JP2189496A JPH09194473A JP H09194473 A JPH09194473 A JP H09194473A JP 2189496 A JP2189496 A JP 2189496A JP 2189496 A JP2189496 A JP 2189496A JP H09194473 A JPH09194473 A JP H09194473A
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bicyclohexanedione
compound
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JP2189496A
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Takahiro Kimura
卓博 木村
Osamu Iwamoto
修 岩本
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Fujifilm Wako Pure Chemical Corp
Original Assignee
Wako Pure Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造工程に於いて特殊な設備を必要とせず、
また、臭気及び廃液処理等の問題点がなく、更に、結晶
性良く4,4'-ビシクロヘキサンジオンモノケタール化合
物の塩を単離することにより、目的の4,4'-ビシクロヘ
キサンジオンモノケタール化合物を作業性良く且つ好収
率で製造し得る新規な製造法の提供。 【解決手段】 4,4'-ビシクロヘキサンジオンジケター
ル化合物を、酸性物質の存在下、4,4'-ビシクロヘキサ
ンジオンと反応させることを特徴とする、4,4'-ビシク
ロヘキサンジオンモノケタール化合物の製造法、並びに
4,4'-ビシクロヘキサンジオン,4,4'-ビシクロヘキサン
ジオンモノケタール化合物及び4,4'-ビシクロヘキサン
ジオンジケタール化合物を含む溶液をアンモニア又はア
ミンの亜硫酸水素塩で処理することを特徴とする、該溶
液からの4,4'-ビシクロヘキサンジオンモノケタール化
合物の単離方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表示素子用等とし
て有用な液晶性化合物の原料として用いられる、4,4'-
ビシクロヘキサンジオンモノケタール化合物の工業的な
製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶化合物としては、例えばエステル
系,ビフェニル系,フェニルシクロヘキサン系,ビシク
ロヘキサン系,ピリミジン系等の化合物が用いられてい
る。液晶材料は、前述したエステル系、ビフェニル系を
母材として他の液晶化合物をブレンドし、所定の性能を
得るよう設計されている。これら液晶化合物の中で、ビ
シクロヘキサン系の化合物はこれを母材として使用した
場合、屈折率の異方性の値が小さく、且つ誘電率の異方
性の値が大きい、低粘性で、しきい値電圧の低いネマチ
ック液晶組成物を提供できることが知られている。即
ち、この化合物を含有した液晶組成物は、温度範囲が広
く、しきい値電圧が低く、且つ高速応答の可能な液晶組
成物として提供される。ビシクロヘキサン系化合物を母
材とした液晶組成物は、上記した如き特性を有している
ことから今後新規な液晶材料として更に使用されていく
可能性が大である。
【0003】上記ビシクロヘキサン系の液晶化合物は一
般に、4,4'-ビシクロヘキサンジオンモノケタール化合
物を原料として合成される(例えば特開平6-211711号公
報、特開平6-184019号公報、特開平1-156935号公報
等)。即ち、特開平6-211711号公報には、4,4'-ビシク
ロヘキサンジオンモノエチレンケタールを出発原料とし
た液晶化合物の合成法が開示されており、また、特開平
6-184019号公報にも同様の原料を使用した液晶化合物の
合成法が開示されている。
【0004】これらの合成法に於いて出発原料として用
いられている4,4'-ビシクロヘキサンジオンモノエチレ
ンケタールの製造法としては、例えばJ.Am.Chem.Soc.,9
7 3528(1975)等に記載の方法、即ち有機カルボン酸化合
物のα位に-SCH3基を導入した後、酸化的脱炭酸反応さ
せてケトンの化合物に誘導する方法が知られている。具
体的には4-(4'-カルホ゛キシシクロヘキシル)シクロヘキサノンエチレンケタ-ルをテト
ラヒドロフラン(THF)−ヘキサメチルリン酸トリア
ミド(HMPA)溶媒中でリチウムジイソプロピルアミ
ド(LDA)と反応させた後、ジメチルジスルフィドで
サルフェニル化し、更に炭酸水素ナトリウムの存在下、
N-クロロコハク酸イミドで酸化的脱炭酸させることに
より、目的の4,4'-ビシクロヘキサンジオンモノエチレ
ンケタールを得ている。また、特開平1-156935号公報に
は、ビフェニル-4,4'-ジオールを原料として、Pd−C
を用いて接触還元を行った後、クロム酸ナトリウムで酸
化して得た4,4'-ビシクロヘキサンジオンを用いて、酸
性触媒の存在下、エチレングリコールと共沸脱水し、得
られた反応混合物を亜硫酸水素ナトリウムで処理した
後、更にアンモニア水で処理することにより、目的の4,
4'-ビシクロヘキサンジオンモノエチレンケタールを得
る製造法が開示されている。
【0005】しかしながら、J.Am.Chem.Soc.,97 3528(1
975)に記載の製造法は、LDAを使用するため低温反応
設備が必要であり、且つジメチルジスルフィドを使用す
るため臭気等環境面の問題点を有しており、工業的な製
造方法とはいえない。また、特開平1-156935号公報に記
載の製造法についても、4,4'-ビシクロヘキサンジオン
を製造する際に、酸化剤としてクロム酸ナトリウムを使
用しているため、クロムを含有する廃液処理の問題点を
有し、また、該ジオン体とエチレングリコールの反応混
合物を亜硫酸水素ナトリウムで処理しているため、得ら
れる該モノエチレンケタールの亜硫酸水素塩は、結晶性
が悪く、濾過に時間がかかり、作業性の面からも工業的
な製造法とはいえず、更に、該亜硫酸水素塩をアンモニ
ア水で処理するため、アンモニア水層と有機層の分離性
が悪く、更に臭気上の問題等も有しており、工業的な製
法とは言い難い。更にまた、4,4'-ビシクロヘキサンジ
オンとエチレングリコールとの反応では4,4'-ビシクロ
ヘキサンジオンジ(エチレンケタール)が多量に副生す
るため、得られる4,4'-ビシクロヘキサンジオンモノエ
チレンケタールの収率は必然的に低い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した如
き状況に鑑みなされたもので、製造工程に於いて特殊な
設備を必要とせず、また、臭気及び廃液処理等の問題点
がなく、更に、結晶性良く4,4'-ビシクロヘキサンジオ
ンモノケタール化合物の塩を単離することにより、目的
の4,4'-ビシクロヘキサンジオンモノケタール化合物を
作業性良く且つ好収率で製造し得る新規な製造法を提供
することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、4,4'-ビシク
ロヘキサンジオンジケタール化合物を、酸性物質の存在
下、4,4'-ビシクロヘキサンジオンと反応させることを
特徴とする、4,4'-ビシクロヘキサンジオンモノケター
ル化合物の製造法、の発明である。
【0008】また、本発明は、4,4'-ビシクロヘキサン
ジオン,4,4'-ビシクロヘキサンジオンモノケタール化
合物及び4,4'-ビシクロヘキサンジオンジケタール化合
物を含む溶液をアンモニア又はアミンの亜硫酸水素塩で
処理することを特徴とする、該溶液からの4,4'-ビシク
ロヘキサンジオンモノケタール化合物の単離方法、の発
明である。
【0009】本発明の方法により製造される4,4'-ビシ
クロヘキサンジオンモノケタール化合物(以下、単にモ
ノケタール体と略記する。)としては、例えば下記一般
式[1]で示される化合物が挙げられる。
【0010】
【化1】
【0011】(式中、X及びYは、夫々独立して、酸素
原子又は硫黄原子を表し、Zは酸素原子を介していても
良い二価の炭化水素基を表す。)
【0012】本発明で用いられる4,4'-ビシクロヘキサ
ンジオンジケタール化合物(以下、単にジケタール体と
略記する。)としては、例えば下記一般式[2]で示さ
れる化合物が挙げられる。
【0013】
【化2】
【0014】(式中、X,Y及びZは前記と同じ。)
【0015】一般式[1]及び[2]に於いて、Zで示
される酸素原子を介していても良い二価の炭化水素基に
於ける二価の炭化水素基としては、例えばアルキレン基
等が挙げられる。アルキレン基としては、直鎖状でも分
枝状でも或いは環状でも何れにても良く、また、芳香環
を有していても良く、例えば炭素数1〜20のアルキレ
ン基が好ましく挙げられ、より好ましくは炭素数1〜1
0のアルキレン基が挙げられる。これらの具体例として
は、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブ
チレン基、2-メチルプロピレン基、ペンチレン基、2,2-
ジメチルプロピレン基、2-エチルプロピレン基、ヘキシ
レン、ヘプチレン、オクチレン、2-エチルヘキシレン
基、ノニレン、デシレン基、シクロプロピレン基、シク
ロペンチレン基、シクロヘキシレン基、o-キシレン-α,
α'-ジイル基、2-フェニルプロピレン基等が挙げられ、
また、酸素原子を介していても良い場合には、該アルキ
レン基の途中に酸素原子を1個以上、好ましくは1〜5
個有しているものが挙げられ、その具体例としては、例
えば−CH2CH2-O-CH2CH2−基、−CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2
CH2−基等が挙げられるが、これらに限定されるもので
はない。
【0016】本発明に於いて用いられる酸性物質として
は、例えば塩酸,硫酸,臭酸,リン酸等の無機酸類、例
えば塩化カルシウム,塩化アンモニウム,硫酸水素カリ
ウム,硫酸水素ナトリウム等の酸性の無機塩類、例えば
酸化セレン等の金属酸化物類、例えば塩化アルミニウ
ム,三フッ化ホウ素等のルイス酸類、例えばp-トルエン
スルホン酸,無水酢酸等の有機酸類、酸性のイオン交換
樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではな
い。
【0017】本発明で用いられる上記一般式[2]で示
されるジケタール体は、下記式[3]
【0018】
【化3】
【0019】で示される、4,4'-ビシクロヘキサンジオ
ン(以下、単にジオン体と略記する。)を適当な溶媒
中、酸性物質又は脱水剤の存在下、ケタール化剤と反応
させることにより、容易に得ることができる。
【0020】ケタール化剤としては、例えばエチレング
リコール,プロピレングリコール,1,3-プロパンジオー
ル,1,4-ブタンジオール,1,5-ペンタンジオール,2,2-
ジメチル-1,3-プロパンジオール,1,6-ヘキサンジオー
ル,ピナコール等の炭素数2〜20の脂肪族ジオール化合
物類、例えばo-キシレン-α,α'-ジオール、2-フェニル
プロパンジオール等の炭素数8〜20の芳香族ジオール化
合物類、例えばジエチレングリコール,トリエチレング
リコール等の炭素数4〜20のポリアルキレングリコール
類、例えばエタンジチオール,1,3-プロパンジチオー
ル,1,4-ブタンジチオール,1,5-ペンタンジチオール,
1,6-ヘキサンジチオール等の炭素数2〜20の脂肪族ジチ
オール化合物類、例えばo-キシレン-α,α'-ジチオール
等の炭素数8〜20の芳香族ジチオール化合物類、例えば
2-メルカプトエタノール,1-メルカプト-2-プロパノー
ル,3-メルカプト-1-プロパノール,3-メルカプト-2-ブ
タノール,4-メルカプト-1-ブタノール,5-メルカプト-
1-ペンタノール,6-メルカプト-1-ヘキサノール等の炭
素数2〜20の脂肪族メルカプトアルコール化合物類、例
えば2-メルカプトメチルベンジルアルコール等の炭素数
8〜20の芳香族メルカプトアルコール化合物類等が挙げ
られるが、これらに限定されるものではない。
【0021】ケタール化剤の使用量としては、ジオン体
に対して通常2〜4当量、好ましくは2〜2.5当量の範
囲から適宜選択される。
【0022】酸性物質又は脱水剤としては、例えば塩
酸,硫酸,臭酸,リン酸等の無機酸類、例えば塩化カル
シウム,塩化アンモニウム,硫酸水素カリウム,硫酸水
素ナトリウム等の酸性の無機塩類、例えば酸化セレン等
の金属酸化物類、例えば塩化アルミニウム,三フッ化ホ
ウ素等のルイス酸類、例えばp-トルエンスルホン酸,無
水酢酸等の有機酸類、酸性のイオン交換樹脂、モレキュ
ラーシーブス等が挙げられるが、これらに限定されるも
のではない。
【0023】酸性物質又は脱水剤の使用量としては、使
用するケタール化剤や溶媒の種類によっても異なるが、
ジオン体に対して通常0.01〜5当量、好ましくは0.01〜
1当量の範囲から適宜選択される。
【0024】反応溶媒としては、例えばベンゼン,トル
エン,キシレン,シクロヘキサン,n-ヘキサン,n-オ
クタン等の炭化水素類等が好ましく挙げられる。これら
は夫々単独で用いても、二種以上適宜組み合わせて用い
ても何れにても良い。
【0025】反応温度としては、特に限定されるもので
はなく、使用するケタール化剤や溶媒の種類によっても
異なるが、通常50〜150℃、好ましくは80〜120℃の範囲
から適宜選択される。
【0026】反応時間も特に限定されるものではなく、
使用するケタール化剤や溶媒の種類によっても異なる
が、反応時間が長すぎると副生成物が増加するため、通
常1〜8時間の範囲から適宜選択される。
【0027】本発明で用いられる上記式[3]で示され
るジオン体は、下記式[4]
【0028】
【化4】
【0029】で示される4,4'-ビシクロヘキサンジオー
ル(以下、単にジオール体と略記する。)を適当な溶媒
中、ジオール体に対して通常2〜3当量、好ましくは2
〜2.2当量の酸化剤と、通常0〜50℃、好ましくは10〜3
0℃で1〜10時間反応させることにより、容易に得るこ
とができる。
【0030】酸化剤としては、例えば過マンガン酸カリ
ウム,二クロム酸ナトリウム,酸化クロム(III),次亜
塩素酸ナトリウム,次亜塩素酸カルシウム,次亜塩素酸
カリウム等の無機酸化剤類等が挙げられるが、後処理及
び廃液処理等の問題を考慮すると、次亜塩素酸ナトリウ
ム及び次亜塩素酸カルシウム等の次亜ハロゲン酸塩が好
ましく用いられる。
【0031】反応溶媒としては、酢酸、アセトニトリ
ル、ベンゼン、トルエン等が挙げられるが、酢酸又は酢
酸−アセトニトリル混合溶媒がより好ましく用いられ
る。
【0032】本発明の製造法に於いてジケタール体とジ
オン体とを反応させる際の反応溶媒としては、例えばベ
ンゼン,トルエン,キシレン,シクロヘキサン,n-ヘ
キサン,n-オクタン等の炭化水素類等が好ましく挙げ
られる。これらは夫々単独で用いても、二種以上適宜組
み合わせて用いても何れにても良い。
【0033】また、反応温度としては、特に限定される
ものではないが、通常50〜150℃、好ましくは80〜120℃
の範囲から適宜選択される。
【0034】反応時間も特に限定されるものではない
が、通常1〜8時間の範囲から適宜選択される。
【0035】本発明の製造法に於いて用いられる酸性物
質の使用量としては、ジオン体に対して通常0.01〜5当
量、好ましくは0.01〜1当量の範囲から適宜選択され
る。
【0036】また、ジケタール体と反応させるジオン体
の使用量としては、ジオン体の使用量が少ない方が反応
が進行し易く、また、後処理等も容易なので、ジケター
ル体に対して通常0.5〜1.5当量、好ましくは0.5〜1.0当
量の範囲から適宜選択される。
【0037】本発明の単離方法に於いて用いられる、ア
ンモニア又はアミンの亜硫酸水素塩としては、亜硫酸水
素アンモニウム、例えばメチルアミン、エチルアミン、
プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、
tert-ブチルアミン、sec-ブチルアミン、ペンチルアミ
ン、ヘキシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミ
ン、ジイソプロピルアミン、トリメチルアミン、トリエ
チルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の脂肪族ア
ミン類、例えばN-メチルピペリジン、N-エチルピペリ
ジン、N-プロピルピペリジン、N-ブチルピペリジン、
N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、N-プロ
ピルモルホリン、N-ブチルモルホリン、N-ベンジルモ
ルホリン、ピリジン、キノリン等の環状アミン類、例え
ばベンジルアミン、フェネチルアミン等の芳香族アミン
類等の亜硫酸水素塩が挙げられるが、これらに限定され
るものではない。
【0038】本発明の単離方法を実施するに際しては、
先ずジオン体,モノケタール体及びジケタール体を含む
溶液をアンモニア又はアミンの亜硫酸水素塩(以下、亜
硫酸水素アンモニウム等と略記する。)の低濃度水溶液
で処理してジオン体を亜硫酸水素塩として除去し、次い
で、亜硫酸水素アンモニウム等の高濃度水溶液で処理す
ることによりモノケタール体を亜硫酸水素塩として単離
した後、これを強アルカリで処理することにより、目的
のモノケタール体を単離することができる。
【0039】亜硫酸水素アンモニウム等の低濃度水溶液
の濃度としては、通常1〜15重量%、好ましくは5〜15
重量%の範囲から適宜選択される。また、亜硫酸水素ア
ンモニウム等の高濃度水溶液の濃度としては、通常20〜
50重量%、好ましくは20〜30重量%の範囲から適宜選択
される。
【0040】モノケタール体の亜硫酸水素塩を処理する
強アルカリとしては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム等のアルカリ金属水酸化物類、例えば炭酸ナト
リウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸化合物類等
が挙げられる。これらは通常水溶液として用いられる
が、その濃度としては、1〜20重量%の範囲から適宜選
択される。
【0041】本発明の製造法及び単離方法を通しで実施
するには、例えば下記の如くして行えば良い。即ち、先
ず、例えば上記の如くして得たジオン体を上記した如き
適当な溶媒中、上記した如き酸又は酸性の脱水剤の存在
下、上記した如きケタール化剤と反応させることにより
ジケタール体を得る。次に、得られたジケタール体を適
当な溶媒中、上記した如き酸性物質の存在下、ジオン体
と反応させることにより、モノケタール体,ジオン体及
びジケタール体の混合物を得る。ここで、ジケタール体
は、前記ケタール化反応後の反応液をそのまま用いても
良いし、単離したものを用いても良い。尚、ジケタール
体を反応後の反応液のままで用いた場合には、反応液中
に既に酸性物質が存在しているので必ずしも酸性物質を
更に添加しなくても良い。
【0042】この混合物を、先ず、亜硫酸水素アンモニ
ウム等の低濃度水溶液で処理して、原料であるジオン体
を亜硫酸水素塩として除去する。次いで、亜硫酸水素ア
ンモニウム等の高濃度水溶液で処理することにより、目
的のモノケタール体を亜硫酸水素塩として単離し、得ら
れた該亜硫酸水素塩を強アルカリで処理することによ
り、目的とするモノケタール体を得ることができる。以
下に参考例及び実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はこれらによって何ら制限されるもので
はない。
【0043】
【実施例】
参考例1.4,4'-ビシクロヘキサンジオンの製造 4,4'-ビシクロヘキサンジオール 1400g(7.1mol)を酢
酸 4.2Lに懸濁し、これに12%次亜塩素酸ナトリウム水
溶液 10Lを50℃以下で滴下した後、室温で3時間攪拌
反応させた。反応終了後、ヨウ化カリウムデンプン反応
が陰性になるまで飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液を加
え、酢酸エチル 5Lで抽出し、有機層を12%苛性ソー
ダ水溶液で洗浄した後、溶媒を留去した。残渣にn-ヘ
キサン 4Lを加え、5℃に冷却後、析出した結晶を濾
取し、n-ヘキサン1Lで洗浄した後減圧乾燥して目的
とする4,4'-ビシクロヘキサンジオンの淡黄色結晶 1100
gを得た(収率80%)。 m.p.118〜119℃1 H-NMR δppm(CDCl3):1.42-1.63(m,4H)、
1.64-1.82(m,2H)、2.05-2.15(m,4H)、2.28-2.49
(m,8H)。 IR νcm-1(KBr錠):2963、2928、2860(C-H)、
1707(C=O)。
【0044】実施例1.4,4'-ビシクロヘキサンジオン
モノエチレンケタールの製造 参考例1で得られた4,4'-ビシクロヘキサンジオン 583
g(3.0mol)、硫酸水素カリウム 7g、及びエチレン
グリコール 372g(6.0mol)をトルエン 2.4Lに溶解
し、Dean-Starkトラップを用いて還流下、2時間攪拌反
応させ、水を系外に除去した。次いで、これに4,4'-ビ
シクロヘキサンジオン 514g(2.6mol)を更に加え、還
流下で4時間攪拌反応させた(この反応液のGC分析の
結果から反応混合物の組成比は、4,4'-ビシクロヘキサ
ンジオン:4,4'-ビシクロヘキサンジオンモノエチレン
ケタール:4,4'-ビシクロヘキサンジオンジ(エチレン
ケタール)=12:61:26であった。)。反応終了後、25
℃まで冷却した後、5%亜硫酸水素アンモニウム水溶液
4500g(2.3mol)を加え、20〜25℃で1時間攪拌後、
析出した4,4'-ビシクロヘキサンジオンの亜硫酸水素塩
を濾去し、トルエン 500mlで洗浄した後、濾液を分液し
た。次いで、トルエン層に25%亜硫酸水素アンモニウム
水溶液 6500g(16.4mol)を加え、20〜25℃で1時間攪
拌後、析出した4,4'-ビシクロヘキサンジオンモノエチ
レンケタールの亜硫酸水素塩を濾取し、トルエン 500ml
で3回洗浄した。この塩と2.5%苛性ソーダ水溶液6
L、及びトルエン 3Lを混合し、20〜25℃で1時間攪
拌した。攪拌後、油層を分取し、水層をトルエン 1.5L
で抽出して油層を合わせ、これを水で洗浄した後、無水
硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、得られた残
渣にn-ヘキサンを加えて、0〜5℃で1時間攪拌して
目的物を析出させた。これを濾取し、n-ヘキサンで洗
浄した後減圧乾燥して目的とする4,4'-ビシクロヘキサ
ンジオンモノエチレンケタールの白色結晶 496gを得た
(収率40%)。 m.p.109〜110℃1 H-NMR δppm(CDCl3):1.20-1.85(m,12
H)、1.98-2.11(m,2H)、2.25-2.46(m,4H)、3.94
(m,4H)。 IR νcm-1(KBr錠):2936、2856(C-H)、1710
(C=O)。
【0045】実施例2.4,4'-ビシクロヘキサンジオン
モノプロピレンケタールの製造 実施例1に於いて、エチレングリコールの代わりにプロ
ピレングリコール 457gを用いた以外は、実施例1と同
様にして反応及び後処理を行い、目的の4,4'-ビシクロ
ヘキサンジオンモノプロピレンケタール 551gを得た
(収率42%)。 m.p.62〜64℃1 H-NMR δppm(CDCl3):1.24-1.76(m,12
H)、2.02-2.08(m,2H)、2.24-2.43(m,6H)、3.84-3.
95(m,4H)。 IR νcm-1(KBr錠):2967、2948、2862(C-H)、
1711(C=O)。
【0046】実施例3.4,4'-ビシクロヘキサンジオン
モノブチレンケタールの製造 実施例1に於いて、エチレングリコールの代わりに1,4-
ブタンジオール 541gを用いた以外は、実施例1と同様
にして反応及び後処理を行い、目的の4,4'-ビシクロヘ
キサンジオンモノブチレンケタール 665gを得た(収率
48%)。 m.p.74〜75℃1 H-NMR δppm(CDCl3):1.21-1.75(m,14
H)、1.93-2.11(m,4H)、2.23-2.45(m,4H)、3.59-3.
77(m,4H)。 IR νcm-1(KBr錠):2967、2948、2862(C-H)、
1711(C=O)。
【0047】
【発明の効果】以上述べたように、本発明は、表示素子
用等として有用な液晶性化合物の原料として用いられ
る、4,4'-ビシクロヘキサンジオンモノケタール化合物
の新規な製造法を提供するものであり、本発明の方法に
よれば、製造工程に於いて特殊な設備を必要とせず、ま
た、臭気及び廃液処理等の問題点がなく、更に、結晶性
良く4,4'-ビシクロヘキサンジオンモノケタール化合物
の塩を単離することにより、従来の方法に比べ作業性良
く且つ好収率で目的の4,4'-ビシクロヘキサンジオンモ
ノケタール化合物を製造し得る点に顕著な効果を奏する
ものである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 4,4'-ビシクロヘキサンジオンジケター
    ル化合物を、酸性物質の存在下、4,4'-ビシクロヘキサ
    ンジオンと反応させることを特徴とする、4,4'-ビシク
    ロヘキサンジオンモノケタール化合物の製造法。
  2. 【請求項2】 4,4'-ビシクロヘキサンジオン,4,4'-ビ
    シクロヘキサンジオンモノケタール化合物及び4,4'-ビ
    シクロヘキサンジオンジケタール化合物を含む溶液をア
    ンモニア又はアミンの亜硫酸水素塩で処理することを特
    徴とする、該溶液からの4,4'-ビシクロヘキサンジオン
    モノケタール化合物の単離方法。
  3. 【請求項3】 アンモニア又はアミンの亜硫酸水素塩が
    亜硫酸水素アンモニウムである、請求項2に記載の単離
    方法。
JP2189496A 1996-01-12 1996-01-12 4,4’−ビシクロヘキサンジオンモノケタール化合物の新規な製造法 Withdrawn JPH09194473A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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