JPH09194364A - ビタミンa吸収促進剤 - Google Patents

ビタミンa吸収促進剤

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JPH09194364A
JPH09194364A JP8027260A JP2726096A JPH09194364A JP H09194364 A JPH09194364 A JP H09194364A JP 8027260 A JP8027260 A JP 8027260A JP 2726096 A JP2726096 A JP 2726096A JP H09194364 A JPH09194364 A JP H09194364A
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JP
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vitamin
mct
fatty acid
absorption
acid triglyceride
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JP8027260A
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Tsuyoshi Nakamura
強 中村
Naoki Hayashi
直樹 林
Daiji Yoshihara
大二 吉原
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Snow Brand Milk Products Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】中鎖脂肪酸トリグリセリドを有効成分とす
る、ビタミンA吸収促進剤。中鎖脂肪酸トリグリセリド
は、炭素数8、10及び12の脂肪酸からなる群から選
択される1またはそれ以上の脂肪酸から構成されるトリ
アシルグリセロールであることが好ましい。ビタミンA
吸収促進剤及びビタミンAを含有することを特徴とする
栄養組成物、製剤及び飲食品。 【効果】 術前術後、消化機能の低下等の状況下におい
ても、ビタミンAの吸収を著しく促進することができ
る。さらに、本発明のビタミンA吸収促進剤を含む栄養
組成物、製剤及び食品を投与または食することにより、
ビタミンAを効率的に摂取することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、中鎖脂肪酸トリグ
リセリド(medium-chain triglyceride:MCT)、ま
たは中鎖脂肪酸トリグリセリド及び長鎖脂肪酸グリセリ
ド(long-chaintriglyceride:LCT)を有効成分とす
るビタミンA吸収促進剤、並びにそれをビタミンAとと
もに含有する栄養組成物、製剤及び飲食品に関する。本
発明のビタミンA吸収促進剤及びそれを含有する栄養組
成物、製剤及び飲食品を摂取することにより、術前術後
や胃腸障害時等の消化機能が低下した状況下において、
ビタミンAを効率的に摂取することができる。
【0002】
【従来の技術】中鎖脂肪酸トリグリセリド(medium-cha
in triglyceride:以下、「MCT」と略記する)は、
従来の食用油脂(long-chain triglyceride:以下、
「LCT」と略記する)に比べ、優れた消化吸収性を有
していることが知られている(Bach,A.C. and Babayan,
V.K.;Am.J.Clin.Nutr.,Vol.36,pp950-962(1982)、山下
政続ら;New Food Ind.,Vol.24,pp28-33(1982)、中村強
ら;栄食誌、Vol.44,pp377-383(1991)等)。このため、
消化吸収障害を伴った患者や消化管術前術後の患者への
MCTの投与は、エネルギー補給という点から臨床的意
義が大きいとされている。本発明者らは、これまでに消
化管術後におけるMCTの有用性に関する検討を重ねて
きたが、その検討過程において、MCTは、胃全摘ラッ
トの血清脂質濃度を改善すること(中村強ら;栄食誌、
Vol.40,pp485-495(1987))、小腸切除ラットの手術直後
における血糖値上昇を抑制すること(Nakamura T.et a
l.:J.Nutr.Sci.Vitaminol,Vol.40,pp147-159(199
4))、さらに、消化吸収能の障害が顕著なラットにおい
ても良好に吸収され、その栄養状態をも改善すること
(中村強ら;栄食誌、Vol.44, pp377-383 (1991))等を
報告してきた。
【0003】一方、他の栄養素の吸収性に与えるMCT
投与の影響も研究されている。例えば、脂溶性ビタミン
に関して、MCTとともにビタミンEを健常ラットに経
口投与した場合、MCTはLCTに比べ腸管吸収性に優
れていること(Gallo-Torres,H.E.,et al.:Internat.
J.Vit.Nutr.Res.,Vol.48,pp240-249 (1978))が報告さ
れている。これとは逆に、MCTとともにビタミンD3
を健常ラット(須田立雄ら:ビタミンD−その新しい流
れ(講談社、東京)、pp190-194(1982))や、未熟児(H
uston R.K.,et al.:Pediatrics,Vol.72,pp44-48(198
3))に経口投与しても、ビタミンD3の吸収性には影響
がみられないこと、さらに、ビタミンAの吸収性は、L
CTにより増加するが、MCTでは逆に低下する可能性
が報告されている(合田敏尚ら:第49回日本栄養・食糧
学会講演要旨集、Vol.39(1995))。しかし、これらのほ
とんどは、消化管が正常な状態で得られた知見であり、
MCTが実際に臨床応用されている疾患、即ち、消化吸
収障害を有する患者や消化管術前術後の患者への投与を
想定して脂溶性ビタミンの吸収性に及ぼす影響を検討し
た報告は見当たらない。尚、脂溶性ビタミンのうち、ビ
タミンAは最も代表的なものの一つであり、胆汁分泌不
全などの消化吸収障害患者では、ビタミンAの吸収障害
を伴って、その欠乏症が発生する場合がある。特に重篤
な場合には、夜盲症、角膜乾燥症、角膜軟化症、眼球乾
燥症、味覚障害などの症状が出現し、その治療に、ビタ
ミンA油の経口投与や、ビタミンAの筋肉内注射が行わ
れている。しかし、これらの患者においては、特に経口
投与の場合、ビタミンAが吸収され難く、有効な治療効
果が得られない現状にある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上述の
状況に鑑み、種々の原因により消化吸収能が低下した状
態において、ビタミンAを効率よく経口摂取する方法に
ついて鋭意検討した結果、MCTにビタミンAの吸収促
進能があることを見出し、本発明を完成させた。
【0005】
【発明を解決する手段】従って、本発明は、中鎖脂肪酸
トリグリセリド(MCT)を有効成分とする、ビタミン
A吸収促進剤からなる。本発明はまた、MCTが、炭素
数8、10及び12の脂肪酸からなる群から選択される
1またはそれ以上の脂肪酸から構成されるトリアシルグ
リセロールである、前記ビタミンA吸収促進剤からな
る。本発明はまた、MCTの有効量が、ビタミンA1IU
に対して、中鎖脂肪酸トリグリセリド0.0002g〜
0.02gである、前記ビタミンA吸収促進剤からな
る。本発明はまた、MCT及び長鎖脂肪酸トリグリセリ
ド(LCT)を有効成分とする、前記ビタミンA吸収促
進剤からなる。本発明はまた、前記ビタミンA吸収促進
剤及びビタミンAを含有することを特徴とする栄養組成
物、製剤及び飲食品からなる。
【0006】以下、本発明について詳しく説明する。本
発明のビタミンA吸収促進剤は、MCTを有効成分とす
る。MCTは、炭素数8、10及び12の脂肪酸からな
る群から選択される1またはそれ以上の脂肪酸から構成
されるトリアシルグリセロールであることが好ましく、
特に炭素数8と10の脂肪酸から構成されるトリアシル
グリセロールであることが好ましい。MCTは、ビタミ
ンA1IUに対して、0.0002g〜0.02gの量で、
ビタミンAの吸収を促進することができる。
【0007】本発明のビタミンA吸収促進剤は、MCT
の他にさらにLCTを有効成分として含有するものであ
ってもよい。このLCTは、天然油脂に含まれる脂肪酸
であることが好ましい。また、このLCTは、炭素数1
4、16、18、20及び22の脂肪酸からなる群から
選択される1またはそれ以上の脂肪酸から構成されるト
リアシルグリセロールであることが好ましい。また、M
CTとLCTの含有比は、1:0.1〜1:10、特
に、1:0.5〜1:5であることが好ましい。この場
合、MCTとLCTの組み合わせはは、ビタミンA1IU
に対して、0.0002g〜0.04gの量で、ビタミン
Aの吸収を促進することができる。
【0008】本発明のビタミンA吸収促進剤を含有する
栄養組成物は、ビタミンAの他、慣用の成分から構成さ
れることができるが、通常、蛋白質、脂質、糖質、ビタ
ミン類、ミネラル類等から構成される。蛋白質として
は、特に限定されないが、乳蛋白質、大豆蛋白質、卵蛋
白質、またはこれらの分解物等が挙げられる。脂質とし
ては、ビタミンA吸収促進剤として使用されるMCT以
外に、その他の脂質を含有することもでき、例えば、大
豆油、サフラワー油、シソ油、コーン油、魚油等が挙げ
られる。糖質としては、特に限定されないが、グルコー
ス、シュクロース、フルクトース、デキストリン、デン
プン等が挙げられる。ビタミン類としては、ビタミンA
の他、特に限定されないが、ビタミンD、E、K等の脂
溶性ビタミンや、ビタミンB1、B2、B6、B12、C、
パントテン酸、ナイアシン、ビオチン、葉酸等の水溶性
ビタミンが挙げられる。ミネラル類としては、特に限定
されないが、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグ
ネシウム、リン、塩素、鉄分、亜鉛、銅、マンガン、ヨ
ウ素等が挙げられる。また、これらの栄養成分の配合比
は特に限定されず、通常の栄養組成物における配合比を
用いることができる。尚、本発明のビタミンA吸収促進
剤は、ビタミンA1IUに対して、0.0002g〜0.0
2g配合することが好ましい。この栄養組成物は、用時
溶解できる粉末状または液状として、状況に応じて経口
又は経管で処方されることができる。
【0009】本発明のビタミンA吸収促進剤を含有する
製剤は、ビタミンAの他、医薬的に許容され得る担体、
賦形剤とともに、錠剤、カプセル剤、散剤、粉剤、顆粒
剤、丸剤等の通常の経口投与用製剤として、常法により
製造されることができる。この場合のビタミンA吸収促
進剤の含有量は、ビタミンA1IUに対して、0.000
2g〜0.02gであることが好ましい。
【0010】本発明のビタミンA吸収促進剤を含有する
飲食品は、ビタミンA強化食品の他、ビタミンAを含有
する食品であれば、いかなる種類の飲食品であることも
できる。このような飲食品の例としては、クッキー、ド
ロップ、マーガリン、ドレッシング、ドーナツ、チョコ
レート、マヨネーズ等が挙げられる。この場合のビタミ
ンA吸収促進剤の含有量は、ビタミンA1IUに対して、
0.0002g〜0.02gであることが好ましい。
【0011】
【実施例】以下、本発明を試験例及び実施例によりさら
に詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定
されるものではない。
【0012】試験例1 (MWラットの作製)SD系雄性ラット(6週齢、体重
約140g)に、市販固形飼料(CRF−1;オリエンタル
酵母社)と水を自由に与えて、7日間予備飼育した。予
備飼育終了後、このラットを一晩絶食させ、ネンブター
ル麻酔したラットを正中線より切開し、胃幽門部0.5cm
肛門側の十二指腸とトライツ靭帯2cm肛門側の空腸上部
で腸管を切断し、胃幽門部肛門側と空腸口側の断端を互
いに端々吻合した。さらに、遊離させた腸管の口側を盲
端とし、肛門側を回腸下部(回盲部2cm口側)に端側吻
合した。閉腹後は、直に、ペニシリンGカリウム明治
(明治製菓社)をラット1匹当たり1,000単位筋肉内投
与した。また、術後24時間は腸管の縫合不全を防止す
る目的で絶食絶飲とした。こうして、消化吸収能が著し
く低下したモデル動物(MWラット)を作製し、下記試
験に用いた。
【0013】(ビタミンAラベル化合物及び液状試験栄
養剤の調製)ビタミンA(酢酸レチノール)のトリチウ
ム(3H)ラベル化合物として、[11,12-3H]A-ace(NE
N):[3H]A-ace)を使用した。LCT試験栄養剤は、
脂肪源としてサフラワー油(日清製油社)のみを、MC
T試験栄養剤は、MCT油(C8:97.8%,C10:1.4%;花
王社)のみを、また、LCT/MCT試験栄養剤は、L
CT試験栄養剤中のサフラワー油の44.4%をMCT
で置換した混合油を、それぞれ配合した。いずれの試験
栄養剤とも、糖質としてデキストリンを、蛋白質として
カゼイン及びカゼイン加水分解物を配合した。試験栄養
剤の調製は、各栄養剤の固形成分に[3H]A-ace及び精製
水を加え、投与直前にテフロンホモゲナイザーにて十分
均質化して行った。尚、いずれの試験栄養剤とも平均脂
肪球形は、ほぼ0.45μmであり、同等であった。このよ
うにして調製された液状試験栄養剤の組成を表1に示
す。
【0014】
【表1】 液状試験栄養剤の組成 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 成分 LCT LCT/MCT MCT −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 脂質(g): 1.96 1.96 1.96 MCT − 0.87 1.96 サフラワー油(LCT) 1.96 1.09 − 糖質(g): デキストリン(g) 14.78 14.78 14.78 その他: カゼイン(g) 1.09 1.09 1.09 カゼイン加水分解物(g) 3.26 3.26 3.26 乳化剤(g) 0.46 0.46 0.46 酢酸レチノール(IU) 2,500 2,500 2,500 [3H]酢酸レチノール(μCi) 127 127 127 水 適量 適量 適量 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 合計量 100ml 100ml 100ml −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0015】([3H]A-aceの吸収率及び残存率の測定)
[3H]A-aceの吸収率及び残存率の測定は、下記の方法に
より行なった。最初に、摘出した消化管に10mlの精製水
を加え、ワーリングブレンダーで均一とした後、総容量
を測定した。このうち、1mlをバイアルに取り、組織溶
解剤(ソルエン350;パッカード社)1mlを加えて50
℃の水浴上で完全に溶解させた。さらに、ハイオニック
フロー(パッカード社)6mlを加えてよく混和し、液体
シンチレーションカウンター(ベックマン・インストゥ
ルメンツ社)を用いて放射能量を測定し、この値から消
化管内残存放射能量を算出した。[3H]A-aceの吸収率
は、数1に示す式に従って算出した。即ち、投与総放射
能量から消化管内残存放射能量を減じた量を生体内に取
り込まれた量とし、その量の投与総放射能量に対する百
分率を、[3H]A-aceの吸収率(%)とした。
【0016】
【数1】吸収率(%)={(投与総放射能量−消化管内残
存放射能量)/投与総放射能量}×100
【0017】また、各消化管における[3H]A-aceの残存
率は、数2に示す式に従って算出した。即ち、各消化管
ごとに残存放射能量を測定し、投与総放射能量に対する
百分率を、[3H]A-aceの残存率(%)とした。
【0018】
【数2】残存率(%)=(各消化管内残存放射能量/投与
総放射能量)×100
【0019】(A-aceのMWラットにおける吸収障害性
の検討)予備飼育終了後、1晩絶食させたMWラット18
匹(MW群)及び健常ラット18匹(健常群)を以下の吸
収試験に用いた。平均体重はMWラットが約200g、
健常ラットが約230gであった。これらのラットは、
胃ゾンデを用いて[3H]A-aceを含むLCT試験栄養剤を
単回投与(3ml/kg体重)した後、絶食絶飲下で放置し
た。投与後1、3及び7時間目に両群6匹ずつのラット
をネンブタール麻酔下で大静脈を切断して脱血屠殺し、
屠殺後直ちに胃、小腸、盲腸、大腸を摘出した後、密閉
容器に入れ、残存する[3H]A-aceの分析を行った。MW
ラット及び健常ラットにおける[3H]A-aceの累積吸収率
の経時的変化を図1に示す。
【0020】図1に示されるように、健常群での投与後
1、3及び7時間目における累積吸収率は、それぞれ20
±7 %、53±%及び80±7 %と経時的に増加した。これ
に対し、MW群での1時間目における累積吸収率は、26
±9%であり、健常ラットとほぼ同等であったが、3時
間目で34±7 %、7時間目で39±7 %と、健常群に比べ
いずれも低値を示し、特に7時間目で顕著な差が認めら
れた。これらの結果から、消化吸収能が低下したMCラ
ットにおいて、MCTを有効成分とする本願発明のビタ
ミンA吸収促進剤は、ビタミンAの吸収を著しく促進さ
せることが判明した。
【0021】試験例2 (A-aceの吸収性に対するMCT投与の影響)1晩絶食
させたMWラット18匹及び健常ラット12匹を、それぞれ
1群当たり6匹ずつの計3群及び2群に分け、以下の吸
収試験に用いた。MWラット及び健常ラットの平均体重
は、試験例1とほぼ同様であった。MWラットの3群に
は、[3H]A-aceを含むLCT試験栄養剤(MW−LCT
投与群)、LCT/MCT試験栄養剤(MW−LCT/
MCT投与群)及びMCT試験栄養剤(MW−MCT投
与群)を、また、健常ラットの2群には、[3H]A-aceを
含むLCT試験栄養剤(健常LCT投与群)及びMCT
試験栄養剤(健常MCT投与群)をそれぞれ単回投与し
た。投与後7時間目にラットを脱血屠殺した後、直ちに
各消化管を摘出し、残存する[3H]A-aceを試験例1の方
法に従って分析した。MWラット及び健常ラットに各試
験栄養剤を投与した場合の、投与7時間後における[3H]
A-aceの累積吸収率を図2に示す。
【0022】図2に示されるように、健常ラット群で
は、LCT投与群とMCT投与群の吸収率はほぼ60%で
あり、両群間に差が認められなかったが、MWラット各
群はいずれも低値を示した。MWラット各群間で比較す
ると、MCT投与群及びLCT/MCT投与群の累積吸
収率はそれぞれ35±4%、36±3%であり、LCT群の15
±6%に比べ高値を示した。これより、MWラット群で
の[3H]A-aceの累積吸収率は、MCT投与群及びLCT
/MCT投与群が、LCT投与群に比べ高値を示し、よ
り健常ラットの値に近づくことが認められた。即ち、M
CT投与時のA-ace吸収率に及ぼす影響は健常ラットで
は認められないものの、MWラットでは有意に高めるこ
とが明らかとなった。以上の結果から、消化管術後の消
化吸収障害時に、脂肪源としてMCTを単独で、または
MCTをLCTと混合して投与することにより、A-ace
の吸収性が著しく上昇すること、即ち、ビタミンAの吸
収が促進されることが判明した。
【0023】試験例3 (各消化管内におけるA-aceの残存率に対するMCT投
与の影響)1晩絶食させたMWラット16匹を用い、1
群当たり8匹ずつの2群に分け、以下の吸収試験に用い
た。MWラットの平均体重は試験例1とほぼ同等であっ
た。MWラットの2群には、[3H]A-aceを含むLCT試
験栄養剤(MW−LCT投与群)またはMCT試験栄養
剤(MW−MCT投与群)を、それぞれ試験例2と同様
に単回投与した。投与3及び7時間後に、両群4匹ずつ
脱血屠殺した後、胃及び小腸、盲腸、大腸を摘出し、残
存する[3H]A-aceの分析を試験例1の方法に従って行っ
た。栄養剤投与3及び7時間後の各消化管における[3H]
A-aceの残存率を表2に示す。
【0024】
【表2】 [3H]A-aceの残存率(%) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 胃 小腸 盲腸 結腸 総残存量 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 投与3時間後 MW-MCT 14.0±2.3 49.4±4.5 3.8±3.5 1.7±2.6 69.0±4.0 MW-LCT 49.1±8.7 30.1±11.8 1.7±1.5 0.3±0.2 81.1±5.2 投与7時間後 MW-MCT 5.2±3.5 34.7±11.6 12.5±7.6 4.2±5.3 56.6±3.7 MW-LCT 4.4±2.7 53.1±3.3 9.6±4.9 2.4±1.6 69.6±5.8 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0025】表2に示されるように、投与3時間後にお
いて、MW−MCT投与群の胃での[3H]A-aceの残存率
は、MW−LCT投与群に比べ低値を示した。一方、M
W−MCT投与群の小腸での残存率は、MW−LCT投
与群に比べ高値を示す傾向にあった。盲腸及び大腸では
両群ともほとんど検出されなかった。また、すべての消
化管における残存率を算出した結果、MW−MCT投与
群の残存率は、MW−LCT投与群に比べ低値を示し
た。また、投与7時間後において、胃での残存率は、両
群とも低値を示した。また、MW−MCT投与群の小腸
での残存率は、MW−LCT投与群に比べ低値を示し
た。盲腸及び大腸では両群間に差がみられなかった。さ
らに、全ての消化管におけるMW−MCT投与群の残存
率では、投与3時間後と同様、MW−LCT投与群に比
べ低値を示した。これより、MCTの投与によりA-ace
の吸収性が改善されたこと、即ち、ビタミンAの吸収が
促進されたことが確認された。
【0026】実施例1 (栄養組成物の製造) MCT 12kg サフラワー油 23kg 大豆蛋白質 20kg デキストリン 54kg ショ糖 5kg ビタミンA 2,400,000IU ビタミン類 4kg これらを混合し、常法により粉末状栄養組成物を得た。
【0027】実施例2 (製剤の製造) MCT 100g ビタミンA 5,000IU これらを混合し、常法によりカプセル剤を製造した。
【0028】実施例3 (飲食品の製造) MCT 2/3カップ 小麦粉 2カップ ベーキングパウダー 小さじ2 塩 小さじ1/2 ナツメグ 小さじ1/4 卵白 卵3ケ分 バニラオイル 小さじ1 砂糖 1/4カップ ビタミンA 20,000IU これらを混合し、常法によりクッキーを製造した。
【0029】
【発明の効果】以上、詳しく説明したように、本発明の
ビタミンA吸収促進剤によれば、術前術後、消化機能の
低下等の状況下においても、ビタミンAの吸収を著しく
促進することができる。さらに、本発明のビタミンA吸
収促進剤を含む栄養組成物、製剤及び食品を投与または
食することにより、ビタミンAを効率的に摂取すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 MWラット及び健常ラットにおける[3H]A-a
ceの累積吸収率の経時的変化を示す。
【図2】 MWラット及び健常ラットにおける、各試験
栄養剤投与後7時間目の、[3H]A-aceの累積吸収率を示
す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 47/14 A61K 47/14 E

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中鎖脂肪酸トリグリセリドを有効成分と
    する、ビタミンA吸収促進剤。
  2. 【請求項2】 中鎖脂肪酸トリグリセリドが、炭素数
    8、10及び12の脂肪酸からなる群から選択される1
    またはそれ以上の脂肪酸から構成されるトリアシルグリ
    セロールである、請求項1記載のビタミンA吸収促進
    剤。
  3. 【請求項3】 中鎖脂肪酸トリグリセリドの有効量が、
    ビタミンA1IUに対して、0.0002g〜0.02gで
    ある、請求項1または2記載のビタミンA吸収促進剤。
  4. 【請求項4】 中鎖脂肪酸トリグリセリド及び長鎖脂肪
    酸トリグリセリドを有効成分とする、請求項1〜3のい
    ずれかに記載のビタミンA吸収促進剤。
  5. 【請求項5】 長鎖脂肪酸トリグリセリドが、天然油脂
    に含まれる脂肪酸である、請求項4記載のビタミンA吸
    収促進剤。
  6. 【請求項6】 長鎖脂肪酸トリグリセリドが、炭素数1
    4、16、18、20及び22の脂肪酸からなる群から
    選択される1またはそれ以上の脂肪酸から構成されるト
    リアシルグリセロールである、請求項4または5に記載
    のビタミンA吸収促進剤。
  7. 【請求項7】 中鎖脂肪酸トリグリセリドと長鎖脂肪酸
    トリグリセリドの含有比が、1:0.1〜1:10であ
    る請求項4〜6のいずれかに記載のビタミンA吸収促進
    剤。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載のビタミ
    ンA吸収促進剤及びビタミンAを含有することを特徴と
    する栄養組成物。
  9. 【請求項9】 請求項1〜7のいずれかに記載のビタミ
    ンA吸収促進剤及びビタミンAを含有することを特徴と
    する製剤。
  10. 【請求項10】 請求項1〜7のいずれかに記載のビタ
    ミンA吸収促進剤及びビタミンAを含有することを特徴
    とする飲食品。
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