JP4394174B2 - 炎症性腸疾患治療剤 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、炎症性腸疾患治療剤に関する。詳しくは、ω3系脂肪酸及びω6系脂肪酸を含み、かつω3系脂肪酸/ω6系脂肪酸の比率が1/6以上である脂質及びたん白質を有効成分とする炎症性腸疾患治療剤に関する。本発明の炎症性腸疾患治療剤は炎症性腸疾患の患者に対して消炎作用を有し、さらに炎症性腸疾患患者の栄養状態を改善し、下痢発生および腸内出血を抑制し、貧血を改善する等の効果を有する。
【0002】
【従来の技術】
通常、外科的領域及び内科的領域で行われている栄養療法には経口・経管栄養法や中心静脈栄養法などがある。このうち、従来、経口・経管栄養法では、脂質やたん白質などの栄養成分を含有する種々の栄養組成物が患者に投与されている。
【0003】
クローン病や潰瘍性大腸炎を代表とする炎症性腸疾患の患者は、一般に、食事摂取が不可能であったり、また、食事摂取ができたとしても、消化吸収障害や炎症部位からのたん白漏出、炎症による発熱等のために、摂取必要エネルギーが増加するなど、これら幾つかの要因により低栄養状態を呈することが多い。このため、低栄養状態を回復する目的で、薬物療法と併用して、栄養療法を施行することが一般的である。しかしながら、前述したように、クローン病や潰瘍性大腸炎を代表とする炎症性腸疾患の患者は、低栄養状態を呈しており、このような状態では、薬物療法に対する反応が悪く、予後にも悪影響を及ぼすことが指摘されている。さらに、これらの疾患では、下痢や血便の症状を呈することもある。特に、下痢は、患者、及び医療従事者を悩ませている大きな問題であり、ひとたび下痢が発生すれば栄養組成物の投与を中止せざるを得ない場合もあり、この場合には、さらに栄養状態が悪化する恐れがある。従って、このような栄養状態の悪化、すなわ低栄養状態を改善するために、静脈栄養補給の処置を施さなくてはならない場合があるが、この静脈栄養補給は非生理的といわれており、必ずしも好ましい栄養補給の手段とはいえない。このようなことから、静脈栄養補給の代わりに、栄養組成物を用いて経管・経腸的に栄養補給することが望ましい。さらに、炎症性腸疾患の患者は、腸管における炎症部位からの出血に伴って貧血傾向を示すことも指摘されている。
【0004】
従来、栄養療法に使用されている栄養組成物は主な成分として、脂質やたん白質などの栄養成分を含有しており、この栄養成分の一つである脂質は、極めて速やかに吸収される中鎖脂肪酸トリグリセリド(以下、MCTという)、あるいはリノール酸含量の高い大豆油、コーン油、サフラワー油等により構成されている。脂質中の必須脂肪酸はリノール酸が主体であり、リノール酸と同様にヒト体内で生合成されない必須脂肪酸であるα−リノレン酸についてはごく少量しか含まれていない。しかし近年、α−リノレン酸やその代謝産物であるエイコサペンタエン酸は、クローン病の患者に投与した場合、クローン病の活動指数を低値に保ち、また炎症のメディエーターであるロイコトリエンB4 の生体内での合成を抑制することが指摘されており(松枝啓ほか:消化と吸収、13巻 1号 175頁、1990年)さらに、これを応用した油脂組成物も提案されている(特開平4-66528 号公報) 。また、クローン病の発症には、肉芽腫形成、血管内皮細胞のリンパ球の活性化、細胞接着分子の過剰発現が関与しているといわれている(井村裕夫ほか:炎症性腸疾患、最新内科科学体系45巻 39頁、1993年 中山書店)。特に、長鎖脂肪酸トリグリセリド(以下、LCTという)は、リンパ管を通じて吸収されることが確認されていることから、LCTの投与により、腸間膜リンパ節のリンパ球の活性化を引き起こすと考えられる。しかしながら、MCTはLCTと吸収経路が異なり、直接門脈から吸収される(Bach A.C. et al : Am. J. Clin. Nutr.,Vol.36,p950(1982))ので、LCTに比較してリンパ系への影響は少ないことが予想される。従って、炎症性腸疾患において、MCTは症状の軽減に有用な素材の一つであると期待される。
【0005】
脂質と同様に、栄養組成物の主な栄養成分の一つであるたん白質は、アミノ酸組成、たん白価、及び吸収性などを考慮し、乳たん白質、大豆たん白質、卵たん白質等、及びこれら分解物、アミノ酸、さらにはこれらの組合せも用いられている。これらのたん白質のうち、大豆たん白質には、血清脂質の改善作用や降圧作用の他に、腸粘膜の保護作用等が報告されており(Funk et al; J.Nutr. vol.212, P.1684〜1692(1991)) 、腸粘膜の壊死や潰瘍を伴う炎症性腸疾患では、このような腸粘膜の保護作用を考慮すると、大豆たん白質は、炎症性腸疾患に対する有用な素材のひとつであると期待される。
【0006】
このように、栄養組成物の主な栄養成分のうち、α−リノレン酸やその代謝産物、MCT、大豆たん白質等の栄養素材には、それぞれ炎症性腸疾患の症状を軽減する効果が期待されているが、従来これらの栄養素材の配合比を変化させることで、クローン病や潰瘍性大腸炎を代表する炎症性腸疾患の症状を軽減、もしくは治療できるとした栄養組成物は見当たらなく、臨床では、このような疾患に対して効果を有する栄養組成物が望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述の状況に鑑み、本発明者らは、低栄養状態を呈し、下痢の発生が見られる患者に対して薬理的活性を有し、且つ、低栄養状態の改善、下痢発生の抑制などの効果を有する栄養組成物について鋭意研究をおこなった結果、栄養組成物中の脂質としてα−リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸などのω3系脂肪酸とリノール酸などω6系脂肪酸とを含む組成の脂質を用い、その比率を一定に保つことにより、下痢の発生を抑制することを見出し、さらに、この活性が、たん白質として乳たん白質と大豆たん白質とを特定の比率、すなわち、乳たん白質/大豆たん白質の比率を1/3〜3/1とすると効果が著しく高まることを見出した(特開平4−152861号公報)。
【0008】
本発明者らは、この栄養組成物の薬理作用についてさらに検討したところ、この組成物を経口、経管的に投与するとこの組成物は、クローン病や潰瘍性大腸炎を代表とする炎症性腸疾患を治療、及び/又は予防する薬理的活性を有することを見いだした。従って、本発明は、これらの炎症性腸疾患の治療を目的として使用される新規な炎症性腸疾患治療剤を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係わる炎症性腸疾患治療剤は、特定の脂質、及びたん白質を一定の割合で組み合わせることを特徴とする。
すなわち、脂質として、中鎖脂肪酸0〜60重量% (以下、%は、特記しない限り重量%を示す) 、ω3系脂肪酸3〜20%、及びω6系脂肪酸10〜40重量%を含み、かつω3系脂肪酸/ω6系脂肪酸の比率が1/6以上である脂肪酸組成の脂質を使用する。また、たん白質として、乳たん白質と大豆たん白質からなり、両者の比率が乳たん白質/大豆たん白質が1/3〜3/1のたん白質を使用する。
【0010】
脂質は適応患者、特に、腸疾患の患者は、消化吸収が著しく低下していることから、極めて速やかに消化・吸収される中鎖脂肪酸グリセリドを用いる。この時、中鎖脂肪酸トリグリセリドは、中鎖脂肪酸がカプリル酸、カプリン酸、カプロン酸であり、これら1種、または2種以上から成るものであり、好適には脂肪酸組成中カプリル酸を0〜60重量%含有させ、さらに好ましくは20〜60重量%含有させる。これと共に、ω3系脂肪酸はα−リノレン酸、特に好ましくはα−リノレン酸3〜20%及びω6系脂肪酸、特に好ましくはリノール酸を脂肪組成中10〜40重量%を有し、ω3系脂肪酸/ω6系脂肪酸の比率が1/6以上、好ましくは2/1〜1/5とする。ω3系脂肪酸はα−リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸より選ばれるものであり、ω6系脂肪酸はリノール酸である。本発明ではこれらの脂肪酸を含有する動植物油、例えば、シソ油、エゴマ油、アマニ油、キリ油、魚油、大豆油、ナタネ油等の食用油が挙げられる。また所望のω3系脂肪酸/ω6系脂肪酸比を得るためには、これらの2種又はそれ以上の組合せより構成しうる。
【0011】
たん白質(窒素源)としては、乳たん白質、大豆たん白質、卵たん白質等及びその分解物、脂肪族アミノ酸、オキシアミノ酸、含硫アミノ酸、芳香族アミノ酸等の中性、酸性、及び塩基性アミノ酸を例示しうる(本発明では、このようなたん白質の分解物もたん白質のなかに包含される)。好ましくは、消化・吸収がよく良質である乳たん白質及び大豆たん白質を用い、下痢の発生防止、便性の改善、薬理的活性、循環器系疾患、慢性疾患の立場から、乳たん白質と大豆たん白質の混合比率は1/3〜3/1とする。
なお、本発明の炎症性腸疾患治療剤は、糖質としては、デンプン,デキストリン、ショ糖、グルコース、ガラクトース、マルトース等を含有させてもよく、その他ミネラルとしてはNa、K 、Ca、Mg、P 、Cl、Fe、Zn、Cu、Mn、I 等の有機又は無機塩を、また、ビタミンとしてはビタミン A、 D、 E、K などの脂溶性ビタミンやビタミンB1、B2、B6、B12 、C 、パントテン酸、ナイアシン、ビオチン、葉酸等の水溶性ビタミンを含有させてもよい。
【0012】
本発明の炎症性腸疾患治療剤は、粉末状、あるいは液状であり、状況に応じて経口又は経管で投与することができる。この治療剤は、前述の成分を粉末で混合することにより粉末形態のものが得られ、さらに、前述の成分を適当な溶媒に溶解し、ホモジナイザーで均質化することにより液状形態のものが得られ、それを乾燥することにより粉末形態のものとすることもできる。なお、治療剤の調製にあたっては、必要に応じ、リン脂質、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の乳化剤を使用し得る。本発明の治療剤の投与量は、1日当り成人で10〜50kcal/体重kgが好ましい。
本発明でいう炎症性腸疾患とは、クローン病、潰瘍性大腸炎、虫垂炎、腸カタル等が挙げられる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、実施例、及び試験例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例1】
下記の配合成分を用いて、液状の炎症性腸疾患治療剤を常法に従い調製した。
成分組成 g/100ml
酸カゼイン 3.48
分離大豆たん白質 1.71
デキストリン 14.74
ショ糖 1.30
大豆油 0.86
エゴマ油 0.20
中鎖脂肪酸トリグリセリド 0.75
パーム油 0.16
高純度大豆リン脂質 0.14
グリセリン脂肪酸エステル 0.07
ミネラル類 0.60
ビタミン類 0.06
精製水を用い、100 mlとする。
この脂質の脂肪酸組成は、カプリル酸36.5% 、α−リノレン酸9.2%、リノール酸25.9% よりなり、ω3系脂肪酸/ω6系脂肪酸は1/2.82であった。なお、中鎖脂肪酸トリグリセリドの脂肪酸組成はカプリル酸97.8%、カプロン酸1.4 %、その他0.8 %であった。また、酸カゼインと分離大豆たん白質との比率は酸カゼイン/分離大豆たん白質が1/0.49であった。
ミネラル類は、Na, K, Ca, Mg, P, Cl, Feなどの有機又は無機塩混合物、ビタミン類は、ビタミンA, D, E 、ビタミンB1, B2, B6, B12, C、ナイアンシ、パントテン酸などの混合物であった。
【0014】
【実施例2】
下記の配合組成の粉末状の炎症性腸疾患治療剤を常法に従い調製した。
成分組成 %
酸カゼイン 5.39
分離大豆たん白質 16.17
メチオニン 0.31
デキストリン 66.14
大豆油 2.43
魚油濃縮物 2.53
パーム油 2.88
高純度大豆リン脂質 1.03
ミネラル類 3.00
ビタミン類 0.12
この脂質の脂肪酸組成は、カプリル酸痕跡、α−リノレン酸3.2%、リノール酸25.7% 、エイコサペンタエン酸7.7%、ドコサヘキサエン酸4.5%よりなり、ω3系脂肪酸/ω6系脂肪酸は1/1.67であった。また、酸カゼインと分離大豆たん白質との比率は酸カゼイン/分離大豆たん白質1/3.00であった。また、ミネラル類及びビタミン類の組成は実施例1と同じであった。
【0015】
〔試験例1〕
次に、実施例1で得られた本発明の炎症性腸疾患治療剤の効果を試験例を用いて説明する。
まず、Morris G.P.et alの方法(Gastroenterology,Vol.96,p795(1989))
に従って、炎症性腸疾患モデルラットを作製した。すなわち、一晩絶食させたSD系雄性ラット(体重200g程度)に、トリニトロベンゼンスルホン酸(TNB)を経肛門的に注入し、炎症性腸疾患を惹起させたラット(TNBラット)を作製した。このTNBラットを1群12匹とし、次に記す各3剤を1kcal/mlの濃度で経胃投与し、あるいは、ラット用粉末標準飼料を経口投与し、12日間飼育した場合の炎症、血液性状、下痢、及び栄養状態に及ぼす影響を比較検討した。
【0016】
なお、試験に用いた治療剤の100kcal における組成を表1に示した。治療剤(A) は本発明の実施例1のものであり、たん白質は乳たん白質/大豆たん白質の比率が1/0.49であり、脂肪は中鎖脂肪酸トリグリセリドと大豆油、エゴマ油より構成され、ω3系脂肪酸/ω6系脂肪酸の比率が1/2.82である。市販栄養組成物(B) (ハーモニックM;ヌトリケム社製)は、たん白質の主体が乳たん白質であり、脂肪が中鎖脂肪酸トリグリセリドを含むものの、ω3系脂肪酸/ω6系脂肪酸の比率が1/7.66である。市販栄養組成物(C) (エンシュア・リキッド;明治乳業社製)は、たん白質に大豆たん白質を含むものの、乳たん白質/大豆たん白質の比率が1/0.15であり、脂肪の主体がコーン油である。さらに、ラット用粉末標準飼料は、従来よりラットの飼育に標準的に使用されていた組成物である。
【0017】
【表1】
【0018】
本発明の治療剤(A) は公知の栄養組成物と較べてたん白質源に大豆たん白質を増量し、かつ脂肪源に中鎖脂肪酸トリグリセリドを含み、ω3系脂肪酸/ω6系脂肪酸の比率を高めた組成物である。これらの結果を図1〜図2、及び表2〜5に示す。
【0019】
各剤投与終了後の大腸における病変の状態(ダメージ・スコアー)について、Wallace の判定基準(Wallace J.L. et al : Gastroenterology, Vol. 96, p29 (1989)) 、及びVilasecaの判定基準(Vilaseca J.et al : Gut, Vol31, p539(1990))に従って目視で評価判定したものを図1に示す。両判定基準とも、本発明の治療剤(A) が、他の栄養組成物、及びラット用粉末標準飼料を投与した場合に比較して低値であり、大腸性疾患を抑えられたことが示唆された。
炎症部位の面積を測定し、〔(炎症部位の長径/2)×(炎症部位の短径/2)×3.14〕で炎症部位の面積を算出したものを、表2に示す。本発明の治療剤(A) は、他の栄養組成物、及びラット用粉末標準飼料を投与した場合に比較して、炎症部位の面積が小さくなった。
【0020】
【表2】
【0021】
大腸重量と脾臓重量、及び大腸重量と脾臓重量に対するラットの解剖時の体重比、さらに、飼育した健常ラットの大腸重量と脾臓重量、及び大腸重量と脾臓重量に対するラットの解剖時の体重比を表3に示す。大腸重量と大腸重量の解剖時の体重比で、本発明の治療剤(A) はラット用粉末標準飼料、及び他の栄養組成物に比較して低値を示した。脾臓重量と脾臓重量の解剖時体重比でも、本発明の治療剤(A) は他の栄養組成物、及びラット用粉末標準飼料を投与した場合に比較して低値であった。なお、大腸重量と脾臓重量、及び大腸重量と脾臓重量に対するラットの解剖時の体重比において、本発明の治療剤(A) 投与群は健常ラットの値により近似していた。
【0022】
【表3】
【0023】
投与終了後の血液について血球成分を測定した結果を表4に示す。ヘマトクリット、及びヘモグロビンの値は、本発明の治療剤(A) は他の栄養組成物に比較して高値を示した。一般に、炎症性腸疾患を惹起させたラットでは、炎症部位からの出血を伴って貧血傾向を示すことが認められており、本発明の治療剤(A) は、栄養組成物の形態をしていてもこの貧血の抑制効果を有していた。
【0024】
【表4】
【0025】
各栄養剤投与終了後の血液について、血清中のたん白量を測定した結果を表5に示す。アルブミンの値において、本発明の治療剤(A) は、他の栄養組成物、及びラット用粉末標準飼料に比較して高値を示した。さらに、総たん白の値、及びA/G比の値も、本発明の治療剤(A) は、他の栄養組成物、及びラット用粉末標準飼料に比較して高値を示した。すなわち、炎症性腸疾患を伴った状態において、本発明の治療剤(A) は炎症性腸疾患を治療する作用とともに最も栄養価の高いことが示された。
【0026】
【表5】
【0027】
各栄養組成物投与時の飼育全期間における下痢発生頻度を図2に示す。本発明の治療剤(A) は、他の栄養組成物に比較して下痢発生を抑制する傾向が認められた。
以上の結果、炎症性腸疾患を伴った状態において、本発明の治療剤(A) は便性をも改善する効果が示された。
【0028】
【発明の効果】
クローン病や潰瘍性腸疾患を代表とする炎症性腸疾患の患者に本発明の治療剤(A) を投与することにより、炎症を軽減し、さらに栄養状態の改善、下痢発生の抑制、貧血の改善に対しても効果があることが確認された。
すなわち、本発明により、クローン病や潰瘍性大腸炎を代表とする炎症性腸疾患の患者に対して、炎症を軽減し、さらに低栄養状態を示す患者の栄養状態の改善、下痢発生の抑制、貧血の改善に対しても効果を有する炎症性腸疾患治療剤が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】試験例1でのTNBラットの大腸におけるダメージスコアを示す。
【図2】試験例1でのTNBラットの飼育期間における下痢発生頻度を示す。
Claims (2)
- 脂肪酸組成中、α−リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸よりなる群から選択される少なくとも1種の脂肪酸3〜20重量%、リノール酸10〜40重量%、及び中鎖脂肪酸20〜60重量%を含み、かつα−リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸よりなる群から選択される少なくとも1種の脂肪酸/リノール酸の比率が2/1〜1/5である脂質、及び乳たん白質/大豆たん白質の比率が1/3〜3/1であるたん白質を有効成分とする炎症性腸疾患患者に投与するための下痢発生、腸内出血抑制剤、及び貧血抑制剤。
- 中鎖脂肪酸がカプリル酸である請求項1記載の炎症性腸疾患患者に投与するための下痢発生、腸内出血抑制剤、及び貧血抑制剤。
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