JPH09188572A

JPH09188572A - 合成マグネシア・クリンカー含有冷間吹付用補修材

Info

Publication number: JPH09188572A
Application number: JP8003400A
Authority: JP
Inventors: Jun Egami; 潤江上; Yukihiro Suekawa; 幸弘末川; Kozo Akao; 幸蔵赤尾; Hisashi Nakamura; 壽志中村
Original assignee: Kurosaki Refractories Co Ltd; Nippon Steel Corp
Current assignee: Kurosaki Refractories Co Ltd; Nippon Steel Corp
Priority date: 1996-01-11
Filing date: 1996-01-11
Publication date: 1997-07-22

Abstract

(57)【要約】【課題】操業条件が過酷な製鉄、製鋼用各種窯炉等に
適用しても、吹付時の付着性に優れ、施工体は耐消化
性、耐食性、耐スラグ浸潤性及び熱間強度面に優れ炉の
寿命延長並びに吹付補修量を低減できる冷間吹付用補修
材の提供。【解決手段】ＭｇＯ／ＣａＯの重量％比率が７０／３
０〜８０／２０の化学成分であり、二次成分としてＴｉ
Ｏ₂を０．５〜３重量％含有する粒度１〜０．２ｍｍの
合成マグネシアーカルシアクリンカーを８〜２２重量％
と、残部がマグネシアクリンカーである混合物に対し、
消石灰を１〜２．５重量％と、無定形シリカを０．５〜
２重量％、更にバインダーとして燐酸塩を４〜６重量％
と、珪酸塩を０．５〜１．５重量％添加した冷間吹付用
補修材。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、スラグや高温に曝
される製鉄、製鋼用各種窯炉の補修材として特に冷間補
修にも用いることができる吹付補修材に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、製鉄、製鋼用各種窯炉の耐火物の
補修に、省力化、環境改善のために冷間での吹付けが広
く適用されるようになり、例えば、転炉，ＤＨ，ＲＨ，
ＶＯＤ，ＣＡＳ等で二次精錬を行う場合の窯炉の補修に
際しては、塩基性スラグの浸食と強撹拌に対して抵抗性
のある塩基性のマグネシア質材料の冷間吹付用補修材が
使用されている。

【０００３】ところが吹付用補修材の場合、流し込み材
やスタンプ材と比較して緻密な施工体が得られないこと
や、バインダーとしてのフラックス成分を多く含むこと
から、施工体にラミネーションが形成されやすい。この
ため、従来のマグネシア質材料を溶鋼取鍋や特殊精錬炉
などに補修用として使用した場合、耐スラグ浸潤性に劣
り熱間強度も低いために、多数回の受鋼には耐えられ
ず、稼働初期に剥離、損耗してしまうという問題があっ
た。

【０００４】このような吹付用補修材に代わり、塩基性
スラグに対する耐スポーリング性、スラグ浸潤に伴う構
造的耐スポーリング性を求めて、スラグ浸潤の抑制、熱
間特性の改善を図ったマグネシア．カルシア質材料が主
流になりつつある。

【０００５】例えば、特公昭５４−２７８４６号公報に
は、１０〜８０重量％のマグネシア・カルシアクリンカ
ーからなる塩基性骨材に、結合剤として１〜８重量％の
燐酸塩を添加した吹付用耐火物が開示されている。ま
た、特開平２−２４３５７１号公報には、緻密で耐消化
性に優れた合成マグネシア・カルシアクリンカーを１〜
０．２ｍｍの粒度域で多量に使用することによって、Ｃ
ａＯ−ＳｉＯ₂−Ｐ₂Ｏ₅−Ｎａ₂Ｏ系の高融点ボンドを生
成させる熱間吹付補修材が開示されている。さらに、特
開平５−２８６７７２号公報には、マグネシア，マグネ
シア・カルシア等を主成分とし、消石灰，無定形シリ
カ，分散剤，結合剤を添加した吹付補修材が開示されて
いる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな吹付用補修材はいずれも熱間吹付けの使用を前提と
して設計されているため、冷間用の吹付材として要求さ
れる耐消化性が不十分であり、冷間での吹付け後の予熱
昇温過程において発生する内部蒸気圧により、施工体に
亀裂が生じ組織劣化を起こして耐用が劣化するという本
質的な欠点があり、炉の寿命が短く吹付補修量が増大す
る結果となっていた。

【０００７】本発明において解決しようとする課題は、
操業条件が苛酷な製鉄、製鋼用各種窯炉の吹付用補修材
として使用しても、十分な耐消化性を有し、しかも、冷
間での吹付け後予熱昇温過程を経ても、耐消化性、耐食
性、耐スラグ浸潤性を備え高耐用性を有する施工体とな
り、寿命延長と吹付補修量の減少が達成できる冷間吹付
補修材の提供にある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明の冷間吹付用補修
材は、ＭｇＯ／ＣａＯの重量％比率が７０／３０〜８０
／２０の化学成分であり、二次成分として、ＴｉＯ₂を
０．５〜３重量％含有する粒度１〜０．２ｍｍの合成マ
グネシア・カルシアクリンカーを８〜２２重量％と、残
部がマグネシアクリンカーからなる混合物に、消石灰を
１〜２．５重量％と、無定形シリカを０．５〜２重量％
と、バインダーとして燐酸塩を４〜６重量％と珪酸塩を
０．５〜１．５重量％添加したことを特徴とする。

【０００９】本発明に使用する合成マグネシア・カルシ
アクリンカー（以下合成クリンカーと言う）は、電融品
でも焼結品でも良く、学振ドロマイト法による測定法、
即ち、３ｋｇ／ｃｍ²で２時間保持のオートクレーブ消
化試験方法において、粒度３．３６〜１．００ｍｍの試
料の重量増加率が０．６重量％以下となるように、Ｍｇ
ＯとＣａＯの他に二次成分としてＴｉＯ₂を０．５〜３
重量％含有させたものである。

【００１０】この重量増加率が０．６重量％を越える粉
砕品あるいは篩下品は、冷間吹付用補修材としての耐消
化性が十分でない。つまり、ＴｉＯ₂が０．５重量％よ
り少ないと合成クリンカーの耐消化性改善は不十分であ
り、一方３．０重量％を越えて含有しても耐消化性改善
のレベル向上は確認されず、反面焼結性（嵩比重）の低
下によるる耐消化性の低下傾向が現れる。

【００１１】本発明において使用するマグネシアクリン
カーは、海水マグネシアでも天然マグネシアでもよく、
塩基性質補修材としての耐食性を不足させないためにＭ
ｇＯ含有量は９０重量％以上が良い。

【００１２】本発明は、該当合成クリンカーを消石灰，
無定形シリカ，燐酸塩，珪酸塩と共に使用したとき、合
成クリンカー中のＣａＯが、優先的な反応によってＣａ
Ｏ−ＳｉＯ₂−Ｐ₂Ｏ₅−Ｎａ₂Ｏ系の高融点ボンドを生成
する。

【００１３】無定形シリカは、一次粒子では粒径数μｍ
〜数十μｍであり、これらが団粒化した二次粒子も一般
的に２０μｍ以下であり、比表面積は１０ｍ²／ｇ〜数
百ｍ²／ｇに達し、反応性に富むものである。そして、
合成クリンカー及び、消石灰，燐酸塩，珪酸塩と反応し
て積極的に高融点ボンドを生成すると同時に消化を抑制
する効果がある。

【００１４】

【発明の実施の態様】本発明の吹付補修材は、熱間吹付
けに使用可能であるが、耐消化性が問題となる冷間吹付
けにおける補修材として操業条件に合わせて任意に使用
できる。

【００１５】本発明は、混合物中の合成クリンカーが、
ＭｇＯ／ＣａＯの重量比率で７０／３０〜８０／２０の
化学成分を有し、粒度１〜０．２ｍｍのものを８〜２２
重量％含有する。ＭｇＯ／ＣａＯの重量％比率が７０／
３０より低い範囲では、混合物全量に対し８重量％以上
使用しても冷間吹付用補修材としての耐消化性が十分で
なく、ＭｇＯ／ＣａＯの重量％比率が８０／２０より高
い範囲では合成クリンカー中のフリーのＣａＯ量がさら
に過小となり、補修材におけるカルシアの特性が発揮し
にくくなる。

【００１６】また、その粒度が１ｍｍを越えるものだけ
の場合、あるいは１〜０．２ｍｍの粒度範囲であっても
その含有量が全配合物中で８重量％より少ない範囲で
は、消石灰，無定形シリカ，燐酸塩，珪酸塩との反応速
度が小さく、期待する高融点ボンドの生成が速やかでな
く、０．２ｍｍ未満だけを使用あるいは、１〜０．２ｍ
ｍの粒度範囲内であっても、２２重量％を越えて含有す
る場合は冷間吹付用補修材としての耐消化性が十分では
ない。

【００１７】マグネシアクリンカーは、通常３ｍｍ未満
の範囲で全量に対し７８〜９２重量％であり、粒度１ｍ
ｍ未満を７５〜８５重量％含有させる。粒度１ｍｍ未満
が７５重量％より少ないと、材料全体の粒度構成が粗く
なるので、吹付時にリバウンドロスを生じ易くなり、８
５重量％より多いと微分量が過剰となり吹付水分が増え
て施工体組織が劣化する。

【００１８】消石灰の添加量は１〜２．５重量％であ
り、１重量％より少ないと硬化不良による付着性低下を
もたらし、２．５重量％を越えると瞬時に硬化反応が進
み、併用した分散剤の機能を失わせて、低水分での吹付
けが難しくなるとともに、吹付時にノズルコーティング
が起こり易くなる。

【００１９】無定形シリカとしては、Ｆｅ−Ｓｉ，Ｓｉ
等の製造時に副生するシリカヒュームいわゆるホワイト
カーボンの他、無水または無定形珪酸、蒸発シリカ等を
０．５〜２重量％添加できる。添加量が０．５重量％よ
り少ないと、ボンド生成や消化抑制効果が得られず、２
重量％を越えるとシリケート量が過多となり、耐食性や
熱間強度が低下する。

【００２０】燐酸塩としては、ヘキサメタ燐酸ナトリウ
ム、トリポリ燐酸ナトリウム、燐酸カルシウム等があ
る。その添加量は４〜６重量％がよく、４重量％より少
ないと高融点ボンドの生成量が少なく熱間強度が低くな
り、分散性不良による付着性低下をもたらし、６重量％
を越えると過剰のボンドにより耐食性が低下するだけで
分散効果は特に上がらない。

【００２１】珪酸塩は珪酸ナトリウム、珪酸カルシウム
等がある。その添加量は０．５〜１．５重量％の範囲が
よく、０．５重量％より少ないと分散性不良による付着
性低下をもたらし、１．５重量％を越えても分散効果は
特に上がらない。

【００２２】

【実施例】表１、２は使用したクリンカーの組成と特性
を示す。クリンカーＢが本発明の範囲に該当する骨材で
ある。

【００２３】

【表１】

【表２】表１、２に示すクリンカーとＭｇＯ純度９０重量％の天
然マグネシアクリンカーを用いて吹付用補修材の配合を
得た。

【００２４】ピッコラー式吹付機、ストレート形状ノズ
ルを用いて吹付施工によりテストピースを作製し、得ら
れた各配合の品質を表３、４に示す。

【００２５】

【表３】本発明の実施例１〜８では消化による亀裂は認められ
ず、良好な品質が得られたのに対し、比較例１〜３で
は、乾燥後に消化による亀裂が発生し、極端な品質劣化
を生じた。

【００２６】本発明の実施例１〜８は良好な耐消化性、
耐食性及び高熱間強度を有しているが、比較例４，５は
本発明と同様の合成クリンカーを使用しているが、比較
例４は使用量が少ないため熱間強度、耐食性に劣り、比
較例５は使用量が過剰であるため乾燥後に亀裂が発生
し、極端な品質劣化を生じ実用に供し得ない。

【００２７】

【表４】比較例６は合成クリンカーの使用粒度が１ｍｍを越えた
もののみであるため、消石灰，無定形シリカ，燐酸塩，
珪酸塩との反応速度が小さく、期待する高融点ボンドの
生成が遅く、熱間強度が低くなる。また、比較例７は、
合成クリンカーの使用粒度が０．２ｍｍより小さいた
め、冷間吹付用補修材としての耐消化性が十分でなく、
乾燥後に亀裂が発生した。

【００２８】比較例８は、消石灰の添加量が０．５重量
％より少ないため、硬化不良により付着性が低下し、比
較例９は、２．５重量％を越えるため瞬時に硬化反応が
進み、併用した分散剤の機能を失わせて、低水分での吹
付けが難しくなり施工体の強度劣化を招いている。

【００２９】比較例１２は、燐酸塩の添加量が４重量％
より少ないため、高融点ボンドの生成量が少なく熱間強
度が低くなり、分散性不良による付着性低下をもたら
す。また、比較例１３は、燐酸塩の添加量が６重量％を
越えるため、過剰のボンドにより耐食性、熱間強度が低
下している。

【００３０】比較例１４は、珪酸塩の添加量が０．５重
量％より少ないため分散性不良による付着性低下をもた
らし、比較例１５では、１．５重量％を越えるため過剰
のボンドにより耐食性、熱間強度が低下した。

【００３１】本発明の、実施例１の冷間吹付用補修材を
取鍋スラグライン部及び、ＣＡＳ浸漬管外周部に使用し
たところ、予熱昇温後亀裂も認められず、また、耐用性
は従来のマグネシア質吹付用補修材に比較して、損耗速
度で０．５ｍｍ／ｃｈ以上向上し、吹付用補修材使用量
の著しい低減が可能なことが確認できた。

【００３２】

【発明の効果】本発明に係る冷間吹付用補修材は、冷間
での吹付作業における吹付用補修材としての使用下でも
十分な耐消化性を有し、しかも、吹付け後予熱昇温過程
を経て、操業条件が苛酷な製鉄、製鋼用各種窯炉などに
使用されても、優れた耐消化性、耐食性、耐スラグ浸潤
性を備えた高耐用性を有する施工体となり、各窯炉の寿
命延長と吹付補修量の低減を図ることができる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者赤尾幸蔵愛知県東海市東海町５−３新日本製鐵株式会社名古屋製鐵所内 (72)発明者中村壽志愛知県東海市東海町５−３新日本製鐵株式会社名古屋製鐵所内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ＭｇＯ／ＣａＯの重量％比率が７０／３０
〜８０／２０の化学成分であり、二次成分として、Ｔｉ
Ｏ₂を０．５〜３重量％含有する粒度１〜０．２ｍｍの
合成マグネシア・カルシアクリンカーを８〜２２重量％
と、残部がマグネシアクリンカーからなる混合物に、消石灰を１〜２．５重量％と、無定形シリカを０．５〜２重量％と、バインダーとして燐酸塩を４〜６重量％と珪酸塩を０．
５〜１．５重量％を添加した合成マグネシア・クリンカ
ー含有冷間吹付用補修材。