JPH09185939A - 電子管用陰極およびその製造方法 - Google Patents

電子管用陰極およびその製造方法

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JPH09185939A
JPH09185939A JP27936996A JP27936996A JPH09185939A JP H09185939 A JPH09185939 A JP H09185939A JP 27936996 A JP27936996 A JP 27936996A JP 27936996 A JP27936996 A JP 27936996A JP H09185939 A JPH09185939 A JP H09185939A
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electron
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rare earth
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JP27936996A
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Takashi Shinjo
孝 新庄
Masato Saito
正人 斉藤
Hiroyuki Teramoto
浩行 寺本
Takuya Ohira
卓也 大平
Kazuhiro Yamaguchi
一博 山口
Riichi Kondo
利一 近藤
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Mitsubishi Electric Corp
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Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ブラウン管動作初期におけるガス放出により
一時的に真空度が低下すると電子放射特性が劣化する。 【解決手段】 主成分がニッケルからなり、少なくとも
一種の還元剤および希土類金属を含有してなる基体10
と、この基体10に含有された還元剤のうちの少なくと
も一種の還元剤と還元性が同等または小さく、かつニッ
ケルより還元性が大きい金属を主成分とする金属層40
と、上記金属層40の上にバリウムを含むアルカリ土類
金属酸化物を被着して形成された電子放射物質層5とを
備えた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はブラウン管などに使
用される電子管用陰極およびその製造方法に関し、特
に、ブラウン管動作初期での一時的な真空度の低下に起
因する電子放射特性の劣化防止のための技術に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】図9は、例えば特公昭64−5417号
公報に開示されているようなテレビ用ブラウン管や撮像
管に用いられている電子管用陰極を示すものである。図
において、1は基体、2は陰極スリーブ、3はヒータ、
5は電子放射物質層である。基体1は、シリコン(S
i)やマグネシウム(Mg)などの還元性元素を微量含
み、主成分がニッケルからなっている。また、電子放射
物質層5は、少なくともバリウムを含み、他にストロン
チウム(Sr)あるいは/及びカルシウム(Ca)を含
むアルカリ土類金属酸化物11を主成分とし、0.1〜
20重量%の酸化スカンジウム等の希土類金属酸化物1
2を含んでいる。陰極スリーブ2はニクロム等で構成さ
れ、また、陰極スリーブ2内に配設されたヒータ3を加
熱することにより電子放射物質層5から熱電子を放出さ
せる。
【0003】更に、図10は、例えば特開平3−257
735号公報に開示されているようなものと同様の用途
を持つ電子管用陰極を示すものであり、前述の図9に示
した電子管用陰極の電子放射特性を改善するものであ
る。図において、4は還元性を有する金属層であって、
基体1と電子放射物質層5の間に配設されている。次
に、このように構成された電子管用陰極において、基体
1の上面への金属層4の形成及び電子放射物質層5の被
着方法について説明する。
【0004】まず、図10に示すような金属層4が有る
場合には、例えばタングステンのような還元性を有する
金属を真空蒸着等の方法で膜厚が1μm程度になるよう
に基体1上に被着形成する。次に、バリウム、ストロン
チウム、カルシウムの三元炭酸塩と所定量の酸化スカン
ジウムをバインダー及び溶剤とともに混合して、懸濁液
を作成し、この懸濁液を金属層4上にスプレー法により
約80μmの厚みで塗布する。また、図9に示すような
金属層4が無い場合には、前記の懸濁液を直接、基体1
上に塗布する。その後、ブラウン管の真空排気工程中に
ヒータ3によって加熱する。この時アルカリ土類金属の
炭酸塩はアルカリ土類金属酸化物に変わる。その後、ア
ルカリ土類金属酸化物の一部を還元して半導体的性質を
有するように活性化を行うことにより、基体1上または
金属層4上にアルカリ土類金属酸化物11と希土類金属
酸化物12との混合物からなる電子放射物質層5を被着
せしめている。
【0005】この活性化工程において、アルカリ土類金
属酸化物11の一部は次のように反応しているものであ
る。つまり、金属層4が無い場合には、基体1中に含有
されたシリコン、マグネシウム等の還元性元素は拡散に
より電子放射物質層5と基体1の界面に移動して、アル
カリ土類金属酸化物と反応する。例えば、アルカリ土類
金属酸化物として酸化バリウム(BaO)であれば次の
式(1)、式(2)の様に反応する。 2BaO+1/2Si=Ba+1/2Ba2SiO4 …(1) BaO+Mg=Ba+MgO …(2) また、金属層4を有する場合には、金属層4と電子放射
物質層5の界面で同様の反応が進行するとともに、金属
層4自身も還元性を有するため、例えばタングステンの
場合には式(3)の様に反応し、Baの生成の手助けと
なる。 2BaO+1/3W=Ba+1/3Ba3WO6 …(3) これらの反応の結果、金属層4上に被着形成されたアル
カリ土類金属酸化物11の一部が還元されて、酸素欠乏
型の半導体となり、電子放射が容易になる。
【0006】一般に酸化物陰極の電子放射能力は酸化物
中の過剰バリウム(Ba)の存在量に依存するので、希
土類金属酸化物が含まれない場合には、金属層4の有無
に係わらず高電流密度動作に必要な十分な過剰Baの供
給が得られないため、動作可能な電流密度が小さい。即
ち、上述した反応時に生成される副生成物であって中間
層と呼ばれている酸化マグネシウム(MgO)や珪酸バ
リウム(Ba2SiO4)が基体1のニッケル結晶粒界や
基体1と電子放射物質層5との界面、または金属層4と
電子放射物質層5との界面に集中的に形成されるため、
上述した式(1)及び式(2)の反応がこれら中間層中
のマグネシウム及びシリコンの拡散速度に律速され、過
剰Baの供給が不足するためである。
【0007】電子放射物質層5中に希土類金属酸化物が
含まれる場合は、酸化スカンジウム(Sc2 3 )を例
にとって説明すると、陰極動作時の基体1と電子放射物
質層5との界面または金属層4と電子放射物質層5との
界面では、基体1中から拡散してきた還元剤の一部と酸
化スカンジウム(Sc23)が式(4)の様に反応して
少量の金属スカンジウムを生成し、この金属スカンジウ
ムの一部は基体1のニッケル中に固溶し、一部は上記界
面に存在する。 1/2Sc23 +3/2Mg=Sc+3/2MgO …(4)
【0008】式(4)のように反応して形成された金属
スカンジウムは、基体1のニッケル粒界及び前記界面に
形成された中間層を式(5)のように分解する作用を有
するので、過剰バリウム(Ba)の供給が改善され、希
土類金属酸化物が含まれない場合よりも高電流密度動作
が可能になると考えられている。 1/2Ba2SiO4 +4/3Sc =Ba+1/2Si+2/3Sc23 …(5) なお、希土類金属酸化物の結晶粒子は、生成した過剰の
遊離バリウムをその結晶粒子周囲に捕獲し、蒸発による
消耗を抑えるという効果も有していることが過去の分析
から確認されている。
【0009】次に、金属層4を配設する効果について説
明する。まず、基体1上に形成される金属層4は1μm
程度の薄膜であり、ニッケル(Ni)の結晶粒上にのみ
分布しているため、基体1中の還元剤はこの金属層4の
影響を受けずに前述の反応式(1)、(2)に基づき過
剰Baを供給する。さらに、金属層4はニッケル(N
i)よりも強い還元性を持つ元素であるため、タングス
テン(W)を例にとって説明すると、次の式(6)のよ
うに、電子放射物質層5の還元による過剰Baの供給に
も寄与する。 2BaO+1/3W=Ba+1/3Ba3WO6 …(6)
【0010】また、金属層4の構成元素はニッケル(N
i)よりも強い還元剤であり、電子放射物質層5中の希
土類金属酸化物と直接接しているため、中間層分解の効
果を有するScの生成にも寄与する。なお、金属層4の
膜厚は基体1中の還元剤の拡散の障害とならないよう
に、通常2μm以下とされている。
【0011】次に前述の特性について説明すると、陰極
の動作温度を700〜800℃とした場合では、希土類
金属酸化物を含まない時では0.5A/cm2 、希土類
金属酸化物を混合した場合は2.0A/cm2 、更に還
元性の金属層4を配設した場合には3.0A/cm2
電流密度動作が可能となる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】このように構成された
電子管用陰極においては、電子放射物質層中に希土類金
属酸化物を有する場合には、無い場合に比べ高電流密度
動作となり、更に、基体上に還元性金属層を形成させた
ものは3.0A/cm2 の電流密度動作が可能となった
ものの、例えば蛍光体が電子ビームにより加熱したとき
に起こる動作初期のガス放出のように、ブラウン管内の
真空度が一時的に低下すると、電子放射の劣化を引き起
こすことがしばしば起こった。
【0013】これは電子放射物質層中に混合し被着形成
した希土類金属酸化物に起因するものである。つまり、
従来の電子管用陰極においては、希土類金属酸化物は前
述のように過剰バリウムの生成には効果があるものの、
希土類金属酸化物の結晶近傍に捕獲された遊離バリウム
は、ブラウン管内の残留ガスによる被毒、即ち電子放射
能力の低下を受け易いという課題があった。この発明
は、このような課題を解決するためになされたもので、
ブラウン管の動作初期の一時的な真空度の低下に起因す
る電子放射特性の劣化を防止できる高品質な電子管用陰
極およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】この発明に係る電子管用
陰極は、主成分がニッケルからなり、少なくとも一種の
還元剤を含有してなる基体と、この基体に含有された還
元剤のうちの少なくとも一種の還元剤と還元性が同等ま
たは小さく、かつニッケルより還元性が大きい金属を主
成分とする金属と少なくとも一種以上の希土類金属とか
らなり、上記基体上に形成された金属層と、この金属層
の上にバリウムを含むアルカリ土類金属酸化物を被着し
て形成された電子放射物質層とを備えたものである。
【0015】更に、この発明に係る電子管用陰極は、金
属層中の希土類金属の割合を0.01〜0.5重量%と
したものである。
【0016】また、この発明に係る電子管用陰極は、主
成分がニッケルからなり、少なくとも一種の還元剤およ
び希土類金属を含有してなる基体と、基体に含有された
還元剤のうちの少なくとも一種の還元剤と還元性が同等
または小さく、かつニッケルより還元性が大きい金属を
主成分とする金属層と、金属層の上にバリウムを含むア
ルカリ土類金属酸化物を被着して形成された電子放射物
質層とを備えたものである。
【0017】更に、この発明に係る電子管用陰極は、基
体中の希土類金属の割合を0.01〜0.5重量%とし
たものである。
【0018】また、この発明に係る電子管用陰極の製造
方法は、主成分がニッケルからなり、少なくとも一種の
還元剤を含有してなる基体上に、この還元剤の少なくと
も一種より還元性が同等または小さく、かつニッケルよ
り還元性が大きい金属を主成分とする金属と少なくとも
一種以上の希土類金属とからなる金属層を形成し、更に
この金属層の上にバリウムを含むアルカリ土類金属酸化
物を被着形成するものである。
【0019】更に、この発明に係る電子管用陰極の製造
方法は、金属層中の希土類金属の割合を0.01〜0.
5重量%としたものである。
【0020】また、この発明に係る電子管用陰極の製造
方法は、主成分がニッケルからなり、少なくとも一種の
還元剤および希土類金属を含有してなる基体上に、この
還元剤の少なくとも一種の還元剤と還元性が同等または
小さく、かつニッケルより還元性が大きい金属を主成分
とする金属層を形成し、更に上記金属層の上にバリウム
を含むアルカリ土類金属酸化物を被着して形成するもの
である。
【0021】更に、この発明に係る電子管用陰極の製造
方法は、基体中の希土類金属の割合を0.01〜0.5
重量%としたものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.以下にこの発明の一実施の形態を図面に
基づいて説明する。図において同一符合は従来のものと
同一または相当のものを表わす。図1は、この発明の実
施の形態1による電子管用陰極の構造を示す断面図であ
る。図において、1は基体(Ni基体とも称す)、2は
陰極スリーブ、3はヒータ、4は金属層、5は電子放射
物質層である。基体1は、シリコン(Si)やマグネシ
ウム(Mg)などの還元性元素を微量含み、主成分がニ
ッケル(Ni)からなっている。陰極スリーブ2はニク
ロム等で構成され、また、陰極スリーブ2内に配設され
たヒータ3を加熱することにより電子放射物質層5から
熱電子を放出させる。金属層4は、基体1の上面に形成
された例えばW、Mo、Ta、Cr、Siなどの少なく
とも一種の金属と0.01〜0.5重量%の希土類金属
とを合金化したものであり、電子放射物質層5はこの金
属層4上に被着され、少なくともバリウムを含み、他に
ストロンチウムあるいは/及びカルシウムを含むアルカ
リ土類金属酸化物からなっている。
【0023】次に、このように構成された電子管用陰極
において、Ni基体1への金属層4の形成方法について
説明する。まず、少量のSi、Mgを含有するNi基体
1を陰極スリーブ2に溶接した後、この陰極基体を例え
ば電子ビーム蒸着装置内に配設し、10-6〜10-7to
rr程度の真空雰囲気中でW及びScを電子ビームで加
熱蒸着する。その後、この陰極基体部を例えば水素雰囲
気中で800〜1100℃で加熱処理をするが、これは
上記金属層4の内部あるいは表面に残存する酸素などの
不純物を除去し、また、この金属層4を焼結あるいは再
結晶化あるいは基体1中への拡散をさせるためである。
このような方法で金属層4が形成された陰極基体部上
に、バリウム、ストロンチウム、カルシウムの三元炭酸
塩とバインダー、溶剤からなる懸濁液をスプレー法によ
り塗布し、電子放射物質層5を形成する。なお、電子放
射物質層の塗布厚さは80μmとした。
【0024】図2は、このような方法で製造した実施の
形態1による電子管用陰極を通常のテレビジョン用のブ
ラウン管に装着し、通常の排気工程を経て完成したブラ
ウン管を電流密度3A/cm2 の条件で動作させたとき
の動作時間1000時間までの電子放射特性を従来例と
比較して示したものである。ここで、金属層4として
は、W中に0.1重量%のScを含有した膜を、膜厚
1.0μmで形成し、水素雰囲気中で1000℃で加熱
処理を施した。なお、比較のための従来例は金属層4中
には希土類金属を含まず、電子放射物質層5中に希土類
金属酸化物を含有した電子管用陰極の電子放射特性であ
り、希土類金属酸化物の含有率は5.0重量%とした場
合である。
【0025】この図2からも明らかなように、本実施の
形態1によるものは従来例のものに比べ動作中の電子放
射の一時的な劣化が著しく少ないものであった。なお、
比較を1000時間以内で行った理由は前記の一時的な
真空度の劣化は動作後1000時間程度までの動作初期
の段階で発生し易いためである。このように、この発明
の実施の形態1による電子管用陰極の優れた特性の原因
は以下のように考えられる。即ち、本実施の形態1にお
いては、Ba2SiO4のような中間層の分解に効果のあ
る希土類金属は従来のように電子放射物質層5中に分散
させた希土類金属酸化物から供給させるのではなく、予
め金属層4中に合金化して存在させたことにより同様の
効果を維持しつつ、また、電子放射物質層5中には希土
類金属酸化物を含まないため、従来のようなブラウン管
内の残留ガスによる被毒を受け難いことによるものであ
る。
【0026】ところで、図3はブラウン管が6000時
間動作後の、金属層4中の希土類金属の含有率と電子放
射特性の関係を示した図であるが、0.01重量%未満
及び0.5重量%を超える領域で電子放射の低下を引き
起こしている。これは、0.01重量%未満では前述の
ような希土類金属の中間層分解効果が低下し、また、
0.5重量%を超える場合には、中間層が存在しないこ
とにより電子放射物質層5と金属層4の接合強度が低下
し、還元剤の拡散速度が低下するとともに、電子放射物
質層5の剥離が生じ易くなることによると考えられる。
【0027】また、図4は本実施の形態1による電子管
用陰極の高電流密度(3A/cm2)動作での長期にわ
たる寿命特性を示したものであるが、3A/cm2 の電
流密度では従来例とほぼ同等の電子放射特性を示してい
ることが判る。
【0028】なお、上記実施の形態1においては、希土
類金属としてScを用いたものを説明したが、他の希土
類金属でも同様な効果が得られた。また、特にScの他
にY、Ceではその効果が顕著であった。
【0029】一方、還元性を有する金属層4として上記
実施例では、Wについて説明したが、金属層の主成分金
属は基体中の還元剤の少なくとも一種と還元性が同等か
または小さく、Niよりも還元性が大きいことが望まし
い。その理由は、金属層4の還元性がNiよりも小さい
と過剰Baの供給効果が少なく、基体中の還元剤の還元
性よりも大きいと過剰Baの主たる供給反応は金属層4
と電子放射物質層5との界面で起こり、基体中の還元剤
の過剰Ba供給効果が小さくなり、前記のScの中間層
分解効果の特性への寄与が小さくなるからである。この
ような還元性金属としてMo、Ta、Cr、Si等があ
り、同様の効果が得られている。
【0030】実施の形態2.図5は、この発明の実施の
形態2による電子管用陰極の構造を示す断面図である。
図において、10は基体(Ni基体とも称す)、2は陰
極スリーブ、3はヒータ、40は金属層、5は電子放射
物質層である。基体10は、ニッケル(Ni)を主成分
とし、他に還元性金属(例えば、Mg、Si、W等)お
よび希土類金属(例えば、Sc、Y、Ce)を微量含み
合金化されたものである。陰極スリーブ2はニクロム等
で構成され、また、陰極スリーブ2内に配設されたヒー
タ3を加熱することにより電子放射物質層5から熱電子
を放出させる。金属層40は、基体10の上に還元性金
属(例えば、W)を被着して形成した金属層、5はこの
金属層40上に被着され、少なくともバリウムを含み、
他にストロンチウムあるいは/及びカルシウムを含むア
ルカリ土類金属酸化物からなる電子放射物質層である。
【0031】次に、このように構成された電子管用陰極
において、Ni基体10への金属層40の形成方法につ
いて説明する。まず、少量のMgとScを含有するNi
基体10を陰極スリ−ブ2溶接した後、この陰極基体を
例えば電子ビ−ム蒸着装置内に配設し、10-6〜10-7
torr程度の真空雰囲気中でWを電子ビ−ムで加熱蒸
着する。その後、この陰極基体部を例えば水素雰囲気中
で800〜1100℃で加熱処理をするが、これは上記
金属層40の内部あるいは表面に残存する酸素などの不
純物を除去し、また、この金属層40を焼結あるいは再
結晶化あるいは基体10中への拡散をさせるためであ
る。このような方法で金属層40が形成された陰極基体
部上に、バリウム、ストロンチウム、カルシウムの三元
炭酸塩とバインダ−、溶剤からなる懸濁液をスプレ−法
により塗布し、電子放射物質層5を形成するものであ
る。なお、電子放射物質層の塗布厚さは80μmとし
た。
【0032】図6は、このような方法で作成した本実施
の形態2の電子管用陰極を通常のテレビジョン用のブラ
ウン管に装着し、通常の排気工程を経て完成したブラウ
ン管を電流密度3A/cm2 の条件で動作させたときの
動作時間1000時間までの電子放射特性を従来例と比
較して示したものである。ここで基体10のMgの含有
率は0.05重量%、Scの含有率は0.1重量%と
し、金属層40の膜厚は1.0μmとした。また、加熱
処理は水素雰囲気中、1000゜Cで実施した。なお、
比較のための従来例は基体中には希土類金属を含まず、
電子放射物質層5中に希土類金属酸化物を含有した電子
管用陰極の電子放射特性であり、希土類金属酸化物の含
有率は5.0重量%とした場合である。
【0033】この図6からも明らかなように、本実施の
形態2によるものは従来例のものに比べ動作中の電子放
射の一時的な劣化が著しく少ないものであった。なお、
比較を1000時間以内で行った理由は前記の一時的な
真空度の劣化は動作初期で発生し易いためである。この
ように、この発明の実施の形態2による電子管用陰極の
優れた特性の原因は以下のように考えられる。即ち、本
実施の形態2においては、Ba2SiO4のような中間層
の分解に効果のある希土類金属は従来のように電子放射
物質層5中に分散させた希土類金属酸化物から供給させ
るのではなく、予め基体10中に合金化して存在させた
ことにより同様の効果を維持しつつ、また、電子放射物
質層5中には希土類金属酸化物を含まないため、従来の
ようなブラウン管内の残留ガスによる被毒を受け難いこ
とによる。
【0034】ところで、図7は、ブラウン管が6000
時間動作後の、基体10中の希土類金属の含有率と電子
放射特性の関係を示した図であるが、希土類金属の含有
率が0.01重量%未満及び0.5重量%を超える領域
で電子放射の低下を引き起こしている。これは、実施の
形態1の場合と同様に、0.01重量%未満では前述の
ような希土類金属の中間層分解効果が低下し、また、
0.5重量%を超える場合には中間層が存在しないこと
により電子放射物質層5と金属層40の接合強度が低下
し、還元剤の拡散速度が低下するとともに、電子放射物
質層5の剥離が生じ易くなることによると考えられる。
【0035】また、図8は本実施の形態2による電子管
用陰極の高電流密度(3A/cm2)動作での長期間に
わたる寿命特性を示したものであるが、3A/cm2
電流密度では従来例とほぼ同等の電子放射特性を示して
いることが判る。
【0036】なお、上記実施の形態2においては、希土
類金属としてScを用いたものを説明したが、他の希土
類金属でも同様な効果が得られた。なお、特にScの他
にY,Ceではその効果が顕著であった。また、本実施
の形態2では基体中の還元性金属としてマグネシウム
(Mg)の場合について説明したが、他の還元性金属で
も同様な効果が得られた。なお、特に基体中の還元性金
属としては、Mgの他にSi、W、Al、Cr、Mo、
Taまたはこれらの2種以上を含有した場合に於いてそ
の効果が顕著であった。
【0037】一方、還元性を有する金属層40として本
実施の形態2では、タングステン(W)の場合について
説明したが、金属層40の主成分金属は基体10中の還
元剤の少なくとも一種と還元性が同等かまたは小さく、
Niよりも還元性が大きいことが望ましい。その理由
は、金属層40の還元性がNiよりも小さいと過剰バリ
ウム(Ba)の供給効果が少なく、基体10中の還元剤
の還元性よりも大きいと過剰バリウム(Ba)の主たる
供給反応は金属層40と電子放射物質層5との界面で起
こり、基体10中の還元剤の過剰バリウム(Ba)供給
効果が小さくなり、前記の希土類金属であるスカンジウ
ム(Sc)の中間層分解効果の特性への寄与が小さくな
るからである。
【0038】
【発明の効果】この発明に係る電子管用陰極によれば、
主成分がニッケルからなり、少なくとも一種の還元剤を
含有してなる基体と、この基体に含有された還元剤のう
ちの少なくとも一種の還元剤と還元性が同等または小さ
く、かつニッケルより還元性が大きい金属を主成分とす
る金属と少なくとも一種以上の希土類金属とからなり、
基体上に形成された金属層と、この金属層の上にバリウ
ムを含むアルカリ土類金属酸化物を被着して形成された
電子放射物質層とを備えたので、Ba2SiO4のような
中間層の分解に効果のある希土類金属は従来のように電
子放射物質層中に分散させた希土類金属酸化物から供給
させるのではなく予め金属層中に存在させたことにより
高電流密度を可能とし、また、電子放射物質層中には希
土類金属酸化物を含まないためブラウン管内の残留ガス
による被毒を受け難くなり、ブラウン管の動作初期にお
ける電子放射電流の変動を抑制することも可能な電子管
用陰極を実現できるという効果がある。
【0039】更に、この発明によれば、金属層中の希土
類金属の割合を0.01〜0.5重量%としたので、長
期間にわたり電子放射特性のよい高品質な電子管用陰極
を実現できるという効果がある。
【0040】また、この発明に係る電子管用陰極は、主
成分がニッケルからなり、少なくとも一種の還元剤およ
び希土類金属を含有してなる基体と、基体に含有された
還元剤のうちの少なくとも一種の還元剤と還元性が同等
または小さく、かつニッケルより還元性が大きい金属を
主成分とする金属層と、金属層の上にバリウムを含むア
ルカリ土類金属酸化物を被着して形成された電子放射物
質層とを備えたので、Ba2SiO4のような中間層の分
解に効果のある希土類金属は従来のように電子放射物質
層中に分散させた希土類金属酸化物から供給させるので
はなく予め基体中に存在させたことにより高電流密度を
可能とし、また、電子放射物質層中には希土類金属酸化
物を含まないためブラウン管内の残留ガスによる被毒を
受け難くなり、ブラウン管の動作初期における電子放射
電流の変動を抑制することも可能な電子管用陰極を実現
できるという効果がある。
【0041】更に、この発明によれば、基体中の希土類
金属の割合を0.01〜0.5重量%としたので、長期
間にわたり電子放射特性のよい高品質な電子管用陰極を
実現できるという効果がある。
【0042】また、この発明に係る電子管用陰極の製造
方法によれば、主成分がニッケルからなり、少なくとも
一種の還元剤を含有してなる基体上に、この還元剤の少
なくとも一種より還元性が同等または小さく、かつニッ
ケルより還元性が大きい金属を主成分とする金属と少な
くとも一種以上の希土類金属とからなる金属層を形成
し、更に上記金属層の上に少なくともバリウムを含むア
ルカリ土類金属酸化物を被着形成することにより、Ba
2SiO4のような中間層の分解に効果のある希土類金属
は従来のように電子放射物質層中に分散させた希土類金
属酸化物から供給させるのではなく、予め金属層中に存
在させたことにより高電流密度を可能とし、 また、電
子放射物質層中には希土類金属酸化物を含まないためブ
ラウン管内の残留ガスによる被毒を受け難くなり、ブラ
ウン管の動作初期における電子放射電流の変動を抑制す
ることも可能な電子管用陰極の製造方法を提供できると
いう効果がある。
【0043】更に、この発明によれば、金属層中の希土
類金属の割合を0.01〜0.5重量%としたことによ
り、長期間にわたり電子放射特性のよい高品質な電子管
用陰極の製造方法を提供できるという効果がある。
【0044】また、この発明に係る電子管用陰極の製造
方法によれば、主成分がニッケルからなり、少なくとも
一種の還元剤および希土類金属を含有してなる基体上
に、この還元剤の少なくとも一種の還元剤と還元性が同
等または小さく、かつニッケルより還元性が大きい金属
を主成分とする金属層を形成し、更に上記金属層の上に
バリウムを含むアルカリ土類金属酸化物を被着して形成
することにより、Ba2SiO4 のような中間層の分解
に効果のある希土類金属は従来のように電子放射物質層
中に分散させた希土類金属酸化物から供給させるのでは
なく予め基体中に存在させたことにより高電流密度を可
能とし、また、電子放射物質層中には希土類金属酸化物
を含まないためブラウン管内の残留ガスによる被毒を受
け難くなり、ブラウン管の動作初期における電子放射電
流の変動を抑制することも可能な電子管用陰極の製造方
法を提供できるという効果がある。
【0045】更に、この発明によれば、基体中の希土類
金属の割合を0.01〜0.5重量%としたことによ
り、長期間にわたり電子放射特性のよい高品質な電子管
用陰極の製造方法を提供できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1による電子管用陰極の
構造を示す断面図である。
【図2】 本発明の実施の形態1による電子管用陰極を
用いたブラウン管の1000時間までのエミッション電
流変化を示す特性図である。
【図3】 本発明の実施の形態1における金属層中の希
土類金属含有率とエミッション特性の関係を示す図であ
る。
【図4】 本発明の実施の形態1による電子管用陰極を
用いたブラウン管のエミッション寿命特性を示す図であ
る。
【図5】 本発明の実施の形態2による電子管用陰極の
構造を示す断面図である。
【図6】 本発明の実施の形態2による電子管用陰極を
用いたブラウン管の1000時間までのエミッション電
流変化を示す特性図である。
【図7】 本発明の実施の形態2における基体中の希土
類金属含有率とエミッション特性の関係を示す図であ
る。
【図8】 本発明の実施の形態2による電子管用陰極を
用いたブラウン管のエミッション寿命特性を示す図であ
る。
【図9】 従来の電子管用陰極の構造を示す断面図であ
る。
【図10】 従来の他の電子管用陰極の構造を示す断面
図である。
【符号の説明】
1、10:基体 2:陰極スリーブ
3:ヒータ 4、40:金属層 5:電子放射物質
層 11:アルカリ土類金属酸化物 12:希土類金属酸
化物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大平 卓也 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 山口 一博 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 近藤 利一 富山市晴海台8番5号 菱北電子株式会社 内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主成分がニッケルからなり、少なくとも
    一種の還元剤を含有してなる基体と、 上記基体に含有された還元剤のうちの少なくとも一種の
    還元剤と還元性が同等または小さく、かつニッケルより
    還元性が大きい金属を主成分とする金属と少なくとも一
    種以上の希土類金属とからなり、上記基体上に形成され
    た金属層と、 上記金属層の上にバリウムを含むアルカリ土類金属酸化
    物を被着して形成された電子放射物質層とを備えたこと
    を特徴とする電子管用陰極。
  2. 【請求項2】 金属層中の希土類金属の割合を0.01
    〜0.5重量%としたことを特徴とする請求項1記載の
    電子管用陰極。
  3. 【請求項3】 主成分がニッケルからなり、少なくとも
    一種の還元剤および希土類金属を含有してなる基体と、 上記基体に含有された還元剤のうちの少なくとも一種の
    還元剤と還元性が同等または小さく、かつニッケルより
    還元性が大きい金属を主成分とする金属層と、 上記金属層の上にバリウムを含むアルカリ土類金属酸化
    物を被着して形成された電子放射物質層とを備えたこと
    を特徴とする電子管用陰極。
  4. 【請求項4】 基体中の希土類金属の割合を0.01〜
    0.5重量%としたことを特徴とする請求項3記載の電
    子管用陰極。
  5. 【請求項5】 主成分がニッケルからなり、少なくとも
    一種の還元剤を含有してなる基体上に、この還元剤の少
    なくとも一種より還元性が同等または小さく、かつニッ
    ケルより還元性が大きい金属を主成分とする金属と少な
    くとも一種以上の希土類金属とからなる金属層を形成
    し、 更に上記金属層の上にバリウムを含むアルカリ土類金属
    酸化物を被着形成することを特徴とする電子管用陰極の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 金属層中の希土類金属の割合を0.01
    〜0.5重量%としたことを特徴とする請求項5記載の
    電子管用陰極の製造方法。
  7. 【請求項7】 主成分がニッケルからなり、少なくとも
    一種の還元剤および希土類金属を含有してなる基体上
    に、この還元剤の少なくとも一種の還元剤と還元性が同
    等または小さく、かつニッケルより還元性が大きい金属
    を主成分とする金属層を形成し、 更に上記金属層の上にバリウムを含むアルカリ土類金属
    酸化物を被着して形成することを特徴とする電子管用陰
    極の製造方法。
  8. 【請求項8】 基体中の希土類金属の割合を0.01〜
    0.5重量%としたことを特徴とする請求項7記載の電
    子管用陰極の製造方法。
JP27936996A 1995-10-30 1996-10-22 電子管用陰極およびその製造方法 Pending JPH09185939A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001035435A1 (en) * 1999-11-12 2001-05-17 Orion Electric Co., Ltd. Electron tube cathode and method for manufacturing the same

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WO2001035435A1 (en) * 1999-11-12 2001-05-17 Orion Electric Co., Ltd. Electron tube cathode and method for manufacturing the same

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