JPH09182600A - Atp消去剤、atp消去法、それを用いた生物細胞測定試薬及び生物細胞測定法 - Google Patents

Atp消去剤、atp消去法、それを用いた生物細胞測定試薬及び生物細胞測定法

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JPH09182600A
JPH09182600A JP7352423A JP35242395A JPH09182600A JP H09182600 A JPH09182600 A JP H09182600A JP 7352423 A JP7352423 A JP 7352423A JP 35242395 A JP35242395 A JP 35242395A JP H09182600 A JPH09182600 A JP H09182600A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】検体試料液のATPを効率よく強力に消去する
方法を提供する。またこの消去法と生物発光法を組合わ
せ、簡便迅速に、精度よく、飲食品などに含まれる生物
細胞を測定する方法、並びに測定試薬を提供する。 【解決手段】■アデノシンリン酸デアミナ−ゼを単独で
使用するか、または■該アデノシンリン酸デアミナ−ゼ
と共にアピラ−ゼ、アルカリホスファタ−ゼ、酸性ホス
ファタ−ゼ、ヘキソキナ−ゼ及びアデノシントリホスフ
ァタ−ゼからなる群より選ばれる少なくとも一種を併用
するATPの消去法、ATP消去剤、それを用いた生物
細胞の測定試薬及び生物細胞の測定法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アデノシン−5´−三
リン酸の(以下ATPという)消去剤、ATP消去法、
それを用いた生物細胞測定試薬及び生物細胞測定法に関
する。
【0002】
【従来の技術】大腸菌、酵母菌、乳酸菌及びその他の生
物細胞の測定は、食品衛生、バイオ、臨床検査、医学、
超純水、環境などの分野において非常に重要である。一
般に生物細胞の測定は、血球計算盤による顕微鏡下での
計測法(顕鏡法)、濁度測定法、重量測定法、パックド
・ボリウム(packed volume)測定法及び
コロニ−計測法(以下混釈培養法という)等が知られて
いる。しかしながら、検鏡法、濁度測定法、重量測定法
及びパックド・ボリウム測定法は、感度が低い、死菌体
と生菌体の区別ができない問題を有し、混釈培養法は細
胞の培養を必要とするので、測定に通常1日以上の時間
を要し、迅速に結果を得たい場合には適さない。ところ
で、上記分野における細胞数測定には、迅速且つ高感度
の測定が要求され、例えば食品衛生の分野では、製品出
荷のために製品の微生物汚染の検査は必要不可欠であ
り、従来、この検査は混釈培養法により行なわれている
が、検査に1日以上を要するために、結果が出るまで製
品を倉庫に保管しておかなければならない。このため流
通効率の点で問題があるだけでなく、牛乳などの製品で
は保管時間が長くなるにつれて微生物汚染の可能性が高
くなる。また食品で汚染を問題にする微生物濃度は総じ
て低濃度であるため、高感度な検査が要求される。
【0003】上記の要求を満たす微生物濃度測定法とし
て、生きた微生物には必ず存在するATPを生物発光法
を用いて測定する方法が知られている。この方法は細胞
を含む試料を、界面活性剤、トリクロロ酢酸(TC
A)、トリス緩衝液、エタノ−ル又は溶菌酵素等を含ん
だ抽出試薬と接触させて、細胞内ATPを細胞外に抽出
した後、抽出したATPを蛍の発光の基質であるルシフ
ェリンと酵素であるルシフェラ−ゼを含んだ発光試薬と
接触し、ルシフェリン、ルシフェラ−ゼ及びATPによ
る酵素反応により生物発光させ、その生成した発光量を
測定して細胞内ATPを測定し、細胞の測定を行う方法
である。ところが、ATPは本来、その量の差こそあ
れ、すべての生物の細胞内に含まれるもので、微生物ば
かりでなく、単細胞生物にも、そして動植物組織の細胞
にもいわゆる体細胞として存在し、またさらに生物細胞
の周辺にはフリ−(遊離)のATPが存在する。従っ
て、ある生物細胞を含有する試料から生物細胞だけに存
在するATPを検出しようとしても、生物細胞中のAT
Pと、その周辺に存在する遊離ATPが一緒になって検
出されてくる。即ち、生物細胞の測定にATPを指標に
しようと思っても今述べた生物細胞以外の遊離ATPが
バックグランド発光量(ノイズ)として同時に測定さ
れ、検出感度の低下を招来する欠点を有する。
【0004】この遊離のATPを除去するための技術と
して、試料よりメンブレンフィルタ−を用いて除去する
メンブレンフィルタ−法、遠心分離により分離する遠心
分離法、アピラ−ゼ、アデノシントリホスファタ−ゼ
(ATPase)、ヘキソキナ−ゼまたはATPピロホ
スファタ−ゼ等を用いて分解消去する方法(以下酵素法
という)(月刊フ−ドケミカル、食品化学新聞社発行、
95年5月号、第55〜63ペ−ジ;特開平2−658
00;USP5,316,907、アナリティカル・バ
イオケミストリー(Analytical Bioch
emistry)第218巻 20−25ページ 19
94年;ビュレティン・オブ・ザ・ジャパニーズ・ソサ
イアティー・オブ・サイエンティフィック・フィッシャ
リーズ(Bulletin of the Japan
ese Society of Scientific
Fisheries) 第52巻 9号 1695ペ
ージ1986年;及びマリン・エコロジー−プログレス
・シリーズ(MarineEcology−Progr
ess Series) 13巻 305−309ペー
ジ 1983年)等が知られている。
【0005】しかしながら、メンブレンフィルタ−法は
操作が煩雑で、試料によっては濾過性が非常に悪く、A
TP除去効果も十分でないという問題点を有している。
また、遠心分離法は操作が煩雑で、試料中の固形分も同
時に沈降して菌体とともに分離されるため、精度良く測
定できない欠点を有している。また酵素法は、検体のも
つバックグランドをなかなか下げることが難しく、AT
P除去効果が十分でないという問題点を有していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、生物
細胞を含有する試料から遊離ATPを極力低くできるよ
うな新規なATPの消去法を提供し、これと生物発光法
とを組合わせて、精度良く生物細胞を測定できる方法を
提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するため鋭意研究を重ねた結果、アデノシンリン酸
デアミナ−ゼに着目し、これを単独で、もしくはこれと
アピラ−ゼ、アルカリホスファタ−ゼ、酸性ホスファタ
−ゼ、ヘキソキナ−ゼ及びアデノシントリホスファタ−
ゼからなる群より選ばれた少なくとも一種とを併用する
ことにより、試料に含まれるATPを極力低い値に消去
できることを発見した。またこのATP消去法と生物発
光法を組合わせるときは、生物細胞以外の遊離ATPを
極力低い値まで消去し、バックグランド発光量(ノイ
ズ)の影響を取り除いて、生物細胞のもつATPのみを
測定することにより、精度良く生物細胞の推定が可能と
なることを知り、これらの知見に基ずいて本発明を完成
した。
【0008】即ち本発明は(1)アデノシンリン酸デア
ミナ−ゼを有効成分として含有することを特徴とするA
TP消去剤であり、また本発明は(2)アピラ−ゼ、ア
ルカリホスファタ−ゼ、酸性ホスファタ−ゼ、ヘキソキ
ナ−ゼ及びアデノシントリホスファタ−ゼからなる群よ
り選ばれる少なくとも一種とアデノシンリン酸デアミナ
−ゼとを有効成分として含有することを特徴とするAT
P消去剤であり、また本発明は(3)アデノシンリン酸
デアミナ−ゼを添加することを特徴とするATP消去法
であり、また本発明は(4)アピラ−ゼ、アルカリホス
ファタ−ゼ、酸性ホスファタ−ゼ、ヘキソキナ−ゼ及び
アデノシントリホスファタ−ゼからなる群より選ばれる
少なくとも一種とアデノシンリン酸デアミナ−ゼとを併
用添加することを特徴とするATP消去法であり、また
本発明は(5)アデノシンリン酸デアミナ−ゼを有効成
分として含有することを特徴とする生物細胞測定試薬で
あり、また本発明は(6)アピラ−ゼ、アルカリホスフ
ァタ−ゼ、酸性ホスファタ−ゼ、ヘキソキナ−ゼ、アデ
ノシントリホスファタ−ゼからなる群より選ばれた少な
くとも一種とアデノシンリン酸デアミナ−ゼとを有効成
分として含有することを特徴とする生物細胞測定試薬で
あり、また本発明は(7)生物細胞を含有する試料にア
デノシンリン酸デアミナ−ゼを作用させ該試料中の遊離
ATPを消去し、次いで該生物細胞内のATPを生物発
光法を用いて測定することを特徴とする生物細胞測定法
であり、また本発明は(8)生物細胞を含有する試料に
アピラ−ゼ、アルカリホスファタ−ゼ、酸性ホスファタ
−ゼ、ヘキソキナ−ゼ、アデノシントリホスファタ−ゼ
からなる群より選ばれる少なくとも一種とアデノシンリ
ン酸デアミナ−ゼとを作用させ該試料中の遊離ATPを
消去し、次いで該生物細胞内のATPを生物発光法を用
いて測定することを特徴とする生物細胞測定法である。
【0009】以下本発明を詳細に説明する。本発明に用
いるアデノシンリン酸デアミナ−ゼ(Adenosin
e Phosphate Deaminase)は、別
名アデニンヌクレオチドデアミナ−ゼ(Adenine
Nucleotide Deaminase)とも称
される酵素である。なおこの酵素は「エンザイム・クラ
シフィケイション(Enzyme Classific
ation)(以下ともE.C.と略記する)E.C.
3.5.4.17」と登録されている。この酵素はAM
Pに対して特異的に作用するAMPデアミナ−ゼ(E.
C.3.5.4.6)や、アデノシンに対して特異的に
作用するアデノシンデアミナ−ゼ(Adenosine
Deaminase)(E.C.3.5.4.4)と
は異なり、ATP、アデノシン二リン酸(以下、ADP
という)、アデノシン一リン酸(以下、AMPとい
う)、アデノシン、サイクリックAMP等、リン酸基の
数にかかわらず、広い基質に対して作用し、脱アミノ反
応を触媒する酵素である。本酵素は、基質としてATP
を用いたときはイノシン三リン酸(以下ITPと略記す
る)を生成し、ADPを用いたときはイノシン二リン酸
(IDP)を生成し、AMPを用いたときはイノシンモ
ノリン酸(IMP)を生成する。(赤堀四郎編「酵素ハ
ンドブック」朝倉書店1982年12月1日発行、第6
11ペ−ジ;馬場茂明ら編集、「臨床酵素ハンドブッ
ク」講談社1982年9月10日発行、第55頁参照;
及びザ・ジャ−ナル・オブ・ジェネラル・アンド・アプ
ライド・マイクロバイオロジ−(The Journa
l of Generaland Applied M
icrobiology)第13巻、335〜347ペ
−ジ、1967年参照)並びにアグリカルチュラル・ア
ンド・バイオロジカル・ケミストリ−(Agricul
tural and BiologicalChemi
stry)第29巻、6号、508〜514ペ−ジ、1
965年)。
【0010】なお、ATPデアミナ−ゼ(ATP De
aminase)(E.C.3.54.18)(同「酵
素ハンドブック」第611ペ−ジ、及びザ・ジャーナル
・オブ・バイオケミストリー The Journal
of Biochemistry 第61巻、第1
号、1〜9ペ−ジ、1967年参照)もアデノシンリン
酸デアミナ−ゼと同様な基質特異性を有することが判明
した。したがって、本発明のアデノシンリン酸デアミナ
−ゼとは、アデノシンリン酸デアミナ−ゼ及びATPデ
アミナ−ゼを意味する。
【0011】本発明において用いるアピラ−ゼ(Apy
rase)(E.C.3.6.1.5)は、ATP、A
DP、ITP、IDPからの脱リン酸反応を触媒する酵
素である(同「酵素ハンドブック」第617ペ−ジ参
照)
【0012】またアデノシントリホスファタ−ゼ(Ad
enosine Triphosphatase)
(E.C.3.6.1.3)は、ATPからの脱リン酸
を触媒する酵素である(同「酵素ハンドブック」第61
6ペ−ジ参照)。
【0013】またヘキソキナ−ゼ(Hexokinas
e)(E.C.2.7.1.1)は、アデノシン三リン
酸のリン酸をD−ヘキソ−スに転移してD−ヘキソ−ス
−6−リン酸を生成する酵素である(同「酵素ハンドブ
ック」第330ペ−ジ参照)。
【0014】またホスファタ−ゼは、酸性ホスファタ−
ゼ(Acid Phosphatase)(E.C.
3.1.3.2)、アルカリホスファタ−ゼ(Alka
line Phosphatase)(E.C.3.
1.3.1)などであって、脱リン酸を触媒する酵素で
ある(同「酵素ハンドブック」第434〜435ペ−ジ
参照)。
【0015】なお、比較例において使用される5’−ヌ
クレオチダ−ゼ(5’−Nucleotidase)
(E.C.3.1.3.5)は5’−リボヌクレオチド
または5’−デオキシリボヌクレオチドを加水分解して
ヌクレオシドおよびリン酸を生成する酵素である(同
「酵素ハンドブック」第436ペ−ジ参照)。
【0016】本発明を実施するには、ATP含有試料
に、アデノシンリン酸デアミナ−ゼを単独で添加する
か、または該酵素と共にアピラ−ゼ、アルカリホスファ
タ−ゼ、酸性ホスファタ−ゼ、ヘキソキナ−ゼ及びアデ
ノシントリホスファタ−ゼからなる群より選ばれる少な
くとも一種とを併用添加する。これにより、該試料中の
ATPが効率よく強力に消去される。
【0017】本発明において用いられるATP消去剤と
しては、アデノシンリン酸デアミナ−ゼを有効成分とし
て含有するか、または該酵素とアピラ−ゼ、アルカリホ
スファタ−ゼ、酸性ホスファタ−ゼ、ヘキソキナ−ゼ及
びアデノシントリホスファタ−ゼからなる群より選ばれ
る少なくとも一種とを有効成分として含有するATP消
去剤が挙げられる。
【0018】本発明の生物細胞の測定法は、大腸菌等の
細菌、酵母菌、乳酸菌等の微生物細胞、植物細胞及び動
物細胞等の生物細胞を含有する試料に、アデノシンリン
酸デアミナ−ゼを単独で、又はこれにアピラ−ゼ、アル
カリホスファタ−ゼ、酸性ホスファタ−ゼ、ヘキソキナ
−ゼ及びアデノシントリホスファタ−ゼからなる群より
選ばれる少なくとも一種とを併用添加して該試料中の遊
離ATPを予め消去し、次いで該生物細胞内のATPを
生物発光法を用いて測定することにより行なわれる。
【0019】上記生物細胞を含有する試料の具体例とし
ては、飲食品製造工業、臨床検査工業、医薬品工業、排
水処理工業、細菌検査、抗菌性テスト、抵抗性テスト等
の微生物の生死のエンドポイントの測定、MIC測定、
その他ふき取り法による清浄度テスト等における任意の
生物細胞を含有する試料を挙げることができる。そして
飲食品における生物細胞を含有する試料としては、飲食
品、その半製品またはその素材等が挙げられる。その具
体例としては蒲鉾、ハム等の魚介畜肉練製品;リンゴジ
ュ−ス、トマトジュ−ス、牛乳等の飲料;豆腐などの植
物蛋白加工食品;トマトケチャップ等の果物、野菜加工
食品;醤油、味噌、清酒、ワイン、食酢等の醸造食品、
ウスタ−ソ−ス、ポン酢醤油、つゆ、たれ、ドレッシン
グ等の調味料、菓子パン、ウドン、蕎等の麺類、炊飯米
等の穀類加工食品及び醤油麹、酵母エキス等の微生物培
養物、その処理物等が挙げられる。該試料が液体のもの
はそのまま一定量を、固体のものでは、その一定量をと
って滅菌蒸留水を加え、粉砕機、マスティケ−タ−ある
いはストマッカ−等にかけてホモジナイズする。あるい
は強力に接触攪拌し、液体部分を回収して試料とする。
清浄度テストの場合は、綿棒のような拭き取りスティッ
クを無菌水で湿らせ検査箇所を拭き取った後に、無菌水
又は試薬液をいれた試験官の中ですすぎ、その液体部分
を試料とする。
【0020】生物細胞を含有する試料に対し添加される
アデノシンリン酸デアミナ−ゼは、終濃度で0.001
U/ml以上、特に0.01〜0.1U/mlが好まし
い。また、アピラ−ゼは、終濃度で0.001U/ml
以上、特に0.01〜0.2U/mlが好ましい。ま
た、アルカリホスファタ−ゼ、酸性ホスファタ−ゼ、ヘ
キソキナ−ゼ及びアデノシントリホスファタ−ゼの添加
量は、それぞれ終濃度で0.001U/ml以上、特に
0.01〜50U/mlが好ましい。
【0021】上記酵素の反応時におけるpHは、弱酸性
〜弱アルカリ性の範囲において行うことが好ましい。例
えば、アデノシンリン酸デアミナ−ゼ単独、またはこれ
にアピラ−ゼ併用の場合は、pH5.0〜8.0が好ま
しい。試料のpHの調整には、リン酸緩衝液、ヘペス
(HEPES)緩衝液、メス(MES)緩衝液などを使
用することが好ましい。
【0022】上記酵素の反応時間は、生物細胞を含有す
る試料の種類・性状、反応時のpH、酵素の添加濃度、
反応温度により多少異なるが、約2時間以内、特に1〜
30分が好ましい。反応時間が長過ぎると、試料に含ま
れる微生物がその間に増殖するので、目的とする生物細
胞数の正確な測定ができなくなり、測定値の精度・信頼
性が損なわれる。
【0023】上記酵素の反応温度は、30〜50℃、特
に40〜45℃が好ましい。ATP消去だけを目的とす
る場合は、上記温度範囲を採用することが好ましいが、
生物細胞を含有する試料を対象とする場合は、温度が高
すぎると該生物細胞が死滅する危険性を有するので、死
滅しない温度範囲、即ち室温〜40℃を採用することが
好ましい。
【0024】本発明の生物細胞の測定試薬は、アデノシ
ンリン酸デアミナ−ゼを単独で、又は該酵素とアピラ−
ゼ、アルカリホスファタ−ゼ、酸性ホスファタ−ゼ、ヘ
キソキナ−ゼ及びアデノシントリホスファタ−ゼからな
る群より選ばれる少なくとも1種とを併用して、反応液
中における終濃度が以下の有効成分となるよう調製す
る。併用する酵素の好適な濃度範囲を以下に示す。 アデノシンリン酸デアミナ−ゼ;終濃度で0.001U/ml以上、特に0. 01〜0.1U/mlとなる濃度。 アピラ−ゼ; 終濃度で0.001U/ml以上、特に0. 01〜0.2U/mlとなる濃度。 アルカリホスファタ−ゼ; 終濃度で0.001U/ml以上、特に0. 01〜50U/mlとなる濃度 酸性ホスファタ−ゼ; 同上 ヘキソキナ−ゼ; 同上 アデノシントリホスファタ−ゼ;同上
【0025】次に本発明の実施例において用いるATP
検量線を下記により作成した。ベルト−ルド(Bert
hold)社製ルミノメ−タ− ルマット(Luma
t)LB9501によるATP検量線の作成を以下に示
す。既知濃度のATP標準液100μlに超純水100
μlを添加し、ルシフェリン−ルシフェラ−ゼ含有発光
試薬(以下発光試薬ということがある)を100μl添
加し、ルミノメ−タ− LB9501にて、1秒待ち3
秒積算して相対発光量Sを求める、発光測定を行なっ
た。一方、超純水200μlにルシフェリンルシフェラ
−ゼ発光試薬(以下発光試薬という)を100μl添加
し、同様に発光量Rを求める発光測定を行い、この測定
値を試薬のブランク値Rとした。S−Rを求めて、AT
Pの正味の発光量Zが求められるので、座標のY軸を正
味の発光量Zとし、X軸をATP濃度(M=mol/
l)として、図1に示すATP検量線を作成した。
【0026】次に、本発明の実施例において使用する酵
素とその酵素活性の測定法を以下に示す。 (使用する酵素液) (a)アデノシンリン酸デアミナ−ゼ(Aspergi
llus属由来)5U/ml 活性の測定法;100mM酢酸ナトリウム緩衝液(1m
M EDTAを含む)(pH5.0)にATPを80μ
Mとなるように溶解したものを基質溶液とした。基質液
3mlに酵素液100μlを添加し、30℃で30分間
反応した後に60%過塩素酸100μlを添加して、反
応を停止し、265nmの吸光度ODを測定した。そし
てOD値が1分間当り2.4変化する酵素量を1ユニッ
ト(U)とした。
【0027】(b)アピラ−ゼ grade VIII(f
rom potato)(シグマ社)5U/ml 活性の測定法;pH6.5、30℃において、ATPか
ら1分間当り1.0μmolの無機リン酸を遊離する酵
素量を1ユニットとした。
【0028】(c)酸性ホスファタ−ゼ type VII
(from white potato)(シグマ社
製)250U/ml 活性の測定法;pH4.8、37℃において、1分間当
り1.0μmolのパラニトロフェニルリン酸(p−n
itrophenyl phosphate)を加水分
解する酵素量を1ユニットとした。
【0029】(d)アデノシンデアミナ−ゼ type
V(from Bovine spleen)(シグ
マ社製)250U/ml 活性の測定法;pH7.5、25℃において、1分間当
り1.0μmolのアデノシンを脱アミノしてイノシン
に変換するする酵素量を1ユニットとした。
【0030】(e)5´−ヌクレオチダ−ゼ(from
crotalus adamanteus veno
m)(シグマ社製)250U/ml 活性の測定法;pH9.0、37℃において、アデノシ
ン 5′−モノリン酸を加水分解して、1分間当り1.
0μmolの無機リン酸を遊離する酵素量を1ユニット
とした。
【0031】(f)AMPデアミナ−ゼ(from R
abbit muscle)(シグマ社製)25.5U
/ml 活性の測定法;pH6.5、25℃において、1分間当
り1.0μmolの5′−アデノシンモノリン酸を脱ア
ミノして、5′−イノシンモノリン酸に変換する酵素量
を1ユニットとした。
【0032】(g)アデノシントリホスファタ−ゼ(f
rom Porcine Cerebral Cort
ex)(シグマ社製)5U/ml 活性の測定法;pH7.8、37℃において、Na+
+ 、Mg2+の存在下で、ATPから1分間当り1.0
μmolの無機リン酸を遊離する酵素量を1ユニットと
した。
【0033】(h)アルカリホスファタ−ゼ(from
bovine intestinal mucos
a)(シグマ社製)250U/ml 活性の測定法;pH9.8、37℃において、1分間当
り1.0μmolのパラニトロフェニルリン酸(p−n
itrophenyl phosphate)を加水分
解する酵素量を1ユニットとした。
【0034】(i)ヘキソキナ−ゼ(from yea
st)(ベ−リンガ− マンハイム社製)50U/ml 活性の測定法;pH7.6、25℃において、1分間当
たり1.0μmolのATPのリン酸をグルコースに転
移する酵素量を1ユニットとした。
【0035】次に実施例を示して本発明をより具体的に
説明する。
【実施例1】(ATPを含有する酵母エキスに、アデノ
シンリン酸デアミナ−ゼを単独で添加し、また該酵素と
共にアピラ−ゼ、アルカリホスファタ−ゼ、酸性ホスフ
ァタ−ゼ、ヘキソキナ−ゼ及びアデノシントリホスファ
タ−ゼからなる群より選ばれる少なくとも一種とを併用
添加して該ATPを消去する例)。
【0036】ディフコ(Difco)社製粉末状酵母エ
キス1gを20mMヘペス(HEPES)緩衝液(pH
6.8)100mlに溶解して、1%(W/V)酵母エ
キス(pH6.8)を調製した。これを試料液として各
5mlづつ19区分に分け、第一区分(対照)には、超
純水50μlを、第二区分(本発明1)には、アデノシ
ンリン酸デアミナ−ゼ酵素液50μl(終濃度0.05
U/ml)を、第三区分(本発明2)には、アデノシン
リン酸デアミナ−ゼ酵素液50μl及びアピラ−ゼ酵素
液50μl(終濃度、それぞれ0.05U/ml)を、
第四区分(本発明3)には、アデノシンリン酸デアミナ
−ゼ酵素液50μl、アピラ−ゼ酵素液50μl、及び
酸性ホスファターゼ酵素液50μl(終濃度、それぞれ
0.05U/ml、0.05U/ml及び2.5U/m
l)を、第五区分(本発明4)には、アデノシンリン酸
デアミナ−ゼ酵素液50μl及びアデノシントリホスフ
ァタ−ゼ50μl(終濃度、それぞれ0.05U/m
l)を、第六区分(本発明5)には、アデノシンリン酸
デアミナ−ゼ50μl及びヘキソキナ−ゼ酵素液50μ
l(終濃度それぞれ0.05U/ml及び0.5U/m
l)を、第七区分(本発明6)にはアデノシンリン酸デ
アミナーゼ酵素液50μl、アルカリホスファターゼ酵
素液50μl(終濃度、それぞれ0.05U/ml、
2.5U/ml)を、第八区分(本発明7)には、アデ
ノシンリン酸デアミナーゼ酵素液50μl、酸性ホスフ
ァターゼ酵素液50μl(終濃度、それぞれ0.05U
/ml、2.5U/ml)を第九区分(比較例1)に
は、アピラ−ゼ酵素液50μl(終濃度0.05U/m
l)を、第十区分(比較例2)には、同酵素液100μ
l(終濃度0.10U/ml)を、第十一区分(比較例
3)には、アピラ−ゼ酵素液50μl及び、5’−ヌク
レオチダ−ゼ酵素液50μl(終濃度、それぞれ0.0
5U/ml及び2.5U/ml)を、第十二区分(比較
例4)には、アピラ−ゼ酵素液50μl、5’−ヌクレ
オチダ−ゼ酵素液50μl及び、アデノシンデアミナ−
ゼ酵素液50μl(終濃度、それぞれ0.05U/m
l、2.5U/ml及び2.5U/ml)第十三区分
(比較例5)には、アピラ−ゼ酵素液50μl及び酸性
ホスファタ−ゼ酵素液50μl(終濃度、それぞれ0.
05U/ml及び2.5U/ml)を、第十四区分(比
較例6)には、アピラ−ゼ酵素液50μl、酸性ホスフ
ァタ−ゼ酵素液50μl及びアデノシンデアミナ−ゼ酵
素液50μl(終濃度、それぞれ0.05U/ml、
2.5U/ml及び2.5U/ml)を、第十五区分
(比較例7)には、アピラ−ゼ酵素液50μl及びAM
Pデアミナーゼ酵素液50μlを(終濃度、それぞれ
0.05U/ml及び0.255U/ml)を、第十六
区分(比較例8)には、アデノシントリホスファターゼ
酵素液50μl(終濃度、0.05U/ml)を、第十
七区分(比較例9)には、ヘキソキナーゼ酵素液50μ
l(終濃度0.5U/ml)を、第十八区分(比較例1
0)には、アルカリホスファターゼ酵素液50μl(終
濃度2.5U/ml)を、第十九区分(比較例11)に
は、酸性ホスファタ−ゼ酵素液50μl、(終濃度2.
5U/ml)を、それぞれ添加し、30℃で反応させ経
時的に採取を行い、以下の方法により発光測定を行なっ
た。
【0037】(発光測定法)採取した試料100μlに
超純水100μlを添加し、ルシフェリン、ルシフェラ
−ゼを含む発光試薬を100μl添加して、発光量Sを
発光測定装置(ルミノメ−タ− LB9501)を用い
て、1秒待ち3秒積算し計測した。一方上記計測法にお
いて「採取した試料100μl」の代わりに「超純水1
00μl」を用いる以外は全く同様にして発光量を測定
し、この値を発光試薬のブランク値Rとした。そしてS
−Rを求めて正味の発光量Aとした。
【0038】次にルシフェリン−ルシフェラ−ゼ発光反
応は、試料中の成分により多少の発光阻害を受けるた
め、得られる発光量Aは見かけ値である。そこで発光量
Aを以下のように補正する必要がある。即ち、先ず下記
式により発光率Kを求め、前記発光量Aを発光率Kで除
することにより補正値Y(真の発光量)を求め、この補
正値Yに対応するATP濃度を予め作成した検量線(図
1)を利用して、真のATP濃度を求めた(後述する実
施例における補正発光値も、同様にして求めたものであ
る)。その結果を、図2に示す。
【0039】補正発光値Yの求め方。 Y(補正発光値)= A(見かけ値)/K(発光率) K(発光率)=「H(内標準値)−A(見かけ値)」/
G(本標準値) H;経時的に採取し得られた各試料100μlにATP
標準液2×10-9mol/l(以下Mと略記する)10
0μlを添加し、ルシフェリン−ルシフェラ−ゼ含有発
光試薬100μlを添加し、発光測定を行い得られた値
(内標準値)。 A;上記各試料100μlに超純水100μlを添加
し、同様に発光試薬100μlを添加し発光測定を行い
得られた値(見かけ値)。 G;超純水100μlにATP標準液2×10-9M 1
00μlを添加し、発光試薬100μlを添加し、発光
測定を行い得られた値(本標準値)。 K;発光率 Y;補正発光値(真の発光測定値)
【0040】図2の結果から、アピラ−ゼ酵素液を、終
濃度で0.05U/mlとなるように添加した比較例1
及び同酵素液を0.10U/mlとなるように添加した
比較例2、アピラ−ゼ及び5’−ヌクレオチダ−ゼを併
用添加した比較例3、アピラ−ゼ、5’−ヌクレオチダ
−ゼ及びアデノシンデアミナ−ゼを併用添加した比較例
4、アピラ−ゼ及び酸性ホスファタ−ゼを併用添加した
比較例5、アピラ−ゼ、酸性ホスファタ−ゼ及びアデノ
シンデアミナ−ゼを併用添加した比較例6、及びアピラ
−ゼ及びAMPデアミナ−ゼを併用添加した比較例7、
アデノシントリホスファタ−ゼを添加した比較例8、ヘ
キソキナ−ゼを添加した比較例9、アルカリホスファタ
−ゼを添加した比較例10、酸性ホスファタ−ゼを添加
した比較例11は、いずれも酵母エキス中の初発のAT
P濃度を約1/10〜約1/100に低減(10-9M)
するに止まり十分とは言えないことが判る。
【0041】これに対しアデノシンリン酸デアミナーゼ
を単独で添加した本発明1は、初発のATP濃度を約数
千分の一(10-11 M)まで低減することができ。また
アデノシンリン酸デアミナ−ゼとアピラ−ゼを併用添加
した本発明2、アデノシンリン酸デアミナ−ゼ、アピラ
−ゼ、及び酸性ホスファタ−ゼを併用添加した本発明
3、アデノシンリン酸デアミナーゼとアルカリホスファ
ターゼとを併用添加した本発明6及びアデノシンリン酸
デアミナーゼと酸性ホスファターゼとを併用添加した本
発明7は、約10万分の一(10-13M)に低減するこ
とができることが判る。またアデノシンリン酸デアミナ
−ゼとアデノシントリホスファターゼを併用添加した本
発明4は、約1万分の一に低減することができ、またア
デノシンリン酸デアミナ−ゼとヘキソキナーゼを併用添
加した本発明5は、約数万分の一(10-12M)に低減
することができることが判る。
【0042】
【実施例2】 (酵母エキス中にアデノシンリン酸デアミナ−ゼとアピ
ラ−ゼを併用添加して、該エキス中に存在する遊離AT
Pを消去する場合の、該アデノシンリン酸デアミナ−ゼ
の好適濃度を求める例)
【0043】ディフコ(Difco)社製粉末酵母エキ
スを1mMヘペス(HEPES)緩衝液(pH6.8)
に1%(W/V)添加溶解して、メンブレンフィルタ−
(ミリポア社製MILLEX−GS、孔径0.22μ
m)で除菌濾過して無菌酵母エキス(pH6.8)とし
た。この試料液を5mlづつ8区分に分け、図3に示す
ごとく第1〜7の各区分に対しアデノシンリン酸デアミ
ナ−ゼとアピラ−ゼを各終濃度となるように添加し、ま
た比較のため第8区分にはアデノシンリン酸デアミナ−
ゼを添加することなくアピラ−ゼのみを図3に示す終濃
度となるように添加し、それぞれ37℃で90分反応さ
せ、酵母エキスの遊離ATPを消去し、得られた試料に
ついて、以下の方法により発光測定を行なった。発光測
定は、実施例1と同様にしてATP濃度を求めた。その
結果を図3に示す。
【0044】図3の結果から、アデノシンリン酸デアミ
ナ−ゼを添加することなくアピラ−ゼのみを添加した区
分では、ATP濃度が10-9M程度まで低減できるが、
アピラ−ゼにアデノシンリン酸デアミナ−ゼを併用添加
するときは、ATP濃度をさらに低減することができ、
アデノシンリン酸デアミナ−ゼの濃度が増すにつれてA
TPの濃度を低減することができる。そして、その終濃
度は、0.01U/ml以上が好ましいことが判る。
【0045】
【実施例3】 (アデノシンリン酸デアミナ−ゼとアピラ−ゼを併用し
て予め酵母エキスの遊離ATPを消去し、次いで両酵素
活性の存在下で既知濃度のATPを含むATP抽出剤と
を添加する。そして通常のATP抽出に要するといわれ
る時間、例えば20秒間保持し、ATPの残存率を測定
する。これにより生物細胞から抽出されるATPは、該
抽出時間中にどれだけ分解消去されるかを推定すること
ができる。また該アデノシンリン酸デアミナ−ゼ又は該
アピラ−ゼの好適な濃度を求めることができる)
【0046】実施例2と同様にして、無菌の酵母エキス
を5mlづつ6区分に分け、各区分に図4に示す各終濃
度となるように、アピラ−ゼ酵素液とアデノシンリン酸
デアミナ−ゼ酵素液を入れ、37℃で90分反応させ、
酵母エキス中のATPを消去した。得られた遊離ATP
を消去した酵母エキス(両酵素の活性はそのまま維持)
100μlに、キッコ−マン社製ATP抽出試薬を用い
て希釈した2×10-11 MのATP標準液を100μl
加え、速やかに実施例1と同様にして発光測定を行な
い、その発光量Aを求めた。一方上記遊離ATPを消去
した酵母エキス100μl(同上)にキッコ−マン社製
ATP抽出試薬100μlを添加し、速やかに実施例1
と同様にして発光測定を行ない、その発光量Cを求め
た。一方また上記遊離ATPを消去した酵母エキス(同
上)100μlに、キッコ−マン社製ATP抽出試薬を
用いて希釈した2×10-11 MのATP標準液を100
μl加え、20秒間保持した後実施例1と同様にして発
光測定を行ない、その発光量Bを求めた。初発のATP
標準液の発光量(A−C)に対する20秒経過後のAT
P標準液の発光量(B−C)の百分率%「100×(B
−C)/(A−C)」を求めた。それをATP残存率と
して表示した。その結果を図4に示す。
【0047】図4の結果から、アデノシンリン酸デアミ
ナ−ゼとアピラーゼを併用添加するATP消去法におい
て、アデノシンリン酸デアミナ−ゼの濃度が高いとき、
即ち終濃度が0.5〜0.2U/mlであるときは、A
TP残存率が低く、約60%以下となるが、終濃度が
0.1U/ml以下の濃度であるときは、殆どATPが
分解されることはなく、従ってATP残存率を70%以
上保持することができることが判る。そして、図3およ
び図4の結果から、アデノシンリン酸デアミナ−ゼの終
濃度は、低過ぎると酵母エキスの遊離ATP消去が充分
ではなく、反対に高過ぎると遊離ATPばかりでなく、
抽出されたATP(この実施例においては添加したAT
P)をも分解消去し、そのため抽出されたATPの残存
率が低下する危険性を有するので好ましくない。しか
し、アデノシンリン酸デアミナ−ゼを0.01〜0.1
U/ml添加するときは遊離ATP消去が充分に行なわ
れ、しかも該酵素は抽出されたATPに対しては殆ど影
響をもたず、その残存率を70%以上に保持することが
できることが判る。
【0048】
【実施例4】 (酵母エキス中にアデノシンリン酸デアミナーゼとアピ
ラーゼを併用添加して、該エキス中に存在する遊離AT
Pを消去する場合において、該アピラ−ゼの好適濃度を
求める例)
【0049】実施例2と同様にして、無菌の酵母エキス
を調製し、この酵母エキスを5mlづつ8区分に分け、
各区分に図5に示す各終濃度となるようにアデノシンリ
ン酸デアミナ−ゼまたは、該酵素及びアピラ−ゼとを入
れ、37℃で90分反応させ、該酵母エキスの遊離AT
Pを消去した。遊離ATPを消去し得られた酵母エキス
の発光測定を行ない、実施例1と同様にしてATP濃度
を求めた。その結果を図5に示す。
【0050】図5の結果から、アデノシンリン酸デアミ
ナ−ゼ単独添加区分では、ATP濃度が10-11 M程度
まで低減できるが、これにアピラ−ゼを併用添加すると
きは、ATP濃度をさらに低減することができ、その終
濃度が増すにつれてATPの濃度を低減することができ
る。そして、アピラ−ゼの終濃度は、0.01U/ml
以上、特に0.05〜0.5U/mlが好ましいことが
判る。
【0051】
【実施例5】 (アデノシンリン酸デアミナ−ゼとアピラ−ゼを併用し
て予め酵母エキスの遊離ATPを消去し、次いで両酵素
の活性が持続している状態において、既知濃度のATP
を含むATP抽出剤を添加し、通常のATP抽出に必要
と言われる時間、例えば20秒間保持したとき、該AT
Pがどれほど残存するを求めた例)
【0052】実施例2と同様にして得られた無菌の酵母
エキスを5mlづつ8区分に分け、各区分に図6に示す
各終濃度となるように、アデノシンリン酸デアミナ−ゼ
酵素液とアピラ−ゼ酵素液を入れ、37℃で90分反応
させ、酵母エキスの遊離ATPを消去し、得られた反応
液を用いてATPの残存率を測定した。ATP残存率の
測定は、実施例3に記載された方法により行なった。そ
の結果を図6に示す。
【0053】図6の結果から、アデノシンリン酸デアミ
ナ−ゼにアピラ−ゼを併用添加するATP消去法におい
て、アピラ−ゼの濃度が高いとき、即ち終濃度0.5U
/mlであるときは、ATP残存率が低く、60%以下
となるが、終濃度が0.2U/ml以下であるときは、
殆どATPが分解されることはなく、従ってATP残存
率を70%以上保持することができることが判る。そし
て、図5および図6の結果から、アピラ−ゼの終濃度
は、低過ぎるときはATP消去が充分ではなく、反対に
高過ぎるときはATP残存率が低下する。これに対し
て、0.01〜0.2U/mlであるときはATP消去
が充分に行なわれ、しかもATP残存率を70%以上保
持することができるので、好ましいことが判る。
【0054】
【実施例6】 (アデノシンリン酸デアミナ−ゼとアピラ−ゼを併用し
て予め酵母エキスの遊離ATPを消去し、次いで両酵素
活性の存在下で様々な濃度のATPを含むATP抽出剤
を添加する。そして通常のATP抽出に要するといわれ
る時間、10秒、20秒及び30秒間保持し、ATPの
残存率を測定する。これにより生物細胞から抽出される
様々な濃度のATPは、所定の抽出時間帯に両酵素によ
ってどれだけ分解消去されるかを推定することができ
る)
【0055】実施例2と同様にして無菌の酵母エキスを
調製し、この酵母エキスにアデノシンリン酸デアミナ−
ゼ酵素液とアピラ−ゼ酵素液を入れ、終濃度がそれぞれ
0.05U/mlとなし、30℃で180分反応させ、
酵母エキス中のATPを消去した。このATPを消去し
た酵母エキス100μlに、キッコ−マン社製ATP抽
出試薬を用いて希釈した、図7に示すごとき様々な濃度
のATP標準液100μlを加え、図7に示す如き、初
発、10秒、20秒及び30秒保持したものについて、
実施例1と同様にして発光測定を行ない、ATPの残存
率を測定した。ATP残存率の測定は、実施例3に記載
された方法により行なった。その結果を図7に示す。
【0056】図7の結果から、アデノシンリン酸デアミ
ナ−ゼにアピラ−ゼを併用添加するATP消去法におい
て、添加されたATP濃度は、高い(2×10-9M)、
低い(2×10-13 M)に拘らず、ATPはほぼ同じ割
合で減少し、またその減少は緩やかで、30秒保持後に
おいても80%以上残存することことが判る。即ち、新
たに添加されたATPは、微生物からのATP抽出時間
帯に相当する30秒間保持しても殆ど分解されないた
め、抽出された(本実施例では添加された)ATPの正
確な測定が可能となることが判る。従って、微生物から
抽出されたATPの正確な測定が可能となり、微生物の
菌数の正確な測定が可能となる。また、ATP濃度によ
り残存率の差は認められないので、生物細胞の濃度によ
り影響は受けない特徴を有し、このことから、生物細胞
の測定に際し、検体の希釈操作が簡略化できる効果を奏
する。
【0057】
【実施例7】 (酵母エキス中にアデノシンリン酸デアミナ−ゼとアピ
ラ−ゼを併用添加して、該エキス中に存在する遊離AT
Pを消去する場合の、好適pHを求める例)
【0058】ディフコ社製粉末酵母エキスを図8に記載
の如く、各pHを有する5mMの緩衝液に1%(W/
V)添加溶解してメンブレンフィルタ−で除菌濾過して
各pHを有する無菌の酵母エキスを調製した。この酵母
エキスを5mlづつ7区分に分け、各区分に対しアデノ
シンリン酸デアミナ−ゼとアピラ−ゼを各終濃度が0.
05U/mlとなるように添加し、それぞれ37℃で3
0分反応させ、得られた酵母エキスについて、以下の方
法により発光測定を行なった。発光測定は、実施例1と
同様にして行いATP濃度を求めた。その結果を図8に
示す。
【0059】図8の結果から、酵母エキス中にアデノシ
ンリン酸デアミナ−ゼとアピラ−ゼを併用添加して、該
エキス中に存在する遊離ATPを消去する場合のpH
は、5.0〜8.0が好ましく、特に5.0〜7.0が
より好ましいことが判る。
【0060】
【実施例8】 (酵母エキス中にアデノシンリン酸デアミナ−ゼとアピ
ラ−ゼを併用添加して、該エキスの遊離ATPを消去す
る場合の好適温度を求める例)
【0061】実施例2と同様にして無菌の酵母エキスを
調製し、これを5mlづつ9区分に分け、各区分に対し
アデノシンリン酸デアミナ−ゼとアピラ−ゼを各終濃度
が0.05U/mlとなるように添加し、それぞれ図9
に記載の如き各反応温度で30分反応させ、得られたサ
ンプルについて、以下の方法により発光測定を行なっ
た。発光測定は、実施例1と同様にして行いATP濃度
を求めた。その結果を図9に示す。
【0062】図9の結果から、酵母エキス中にアデノシ
ンリン酸デアミナ−ゼとアピラ−ゼを併用添加して該エ
キスの遊離ATPを消去する場合の好適温度は、25〜
55℃、より好ましくは35〜50℃、最も好ましくは
40〜45℃であることが判る。
【0063】さて、ここで以下の本発明の実施例におい
て採用するATP検量線を、キッコーマン社製ルミノメ
ーター、ルミテスタ−K−100を用いて作成した。即
ち、既知濃度のATP標準液100μlに超純水100
μlを添加し、ルシフェリン−ルシフェラーゼ発光試薬
を100μl添加し、キッコーマン社製ルミノメータ
ー、ルミテスターK−100にて相対発光量Sを測定し
た。一方、超純水200μlに発光試薬を100μl添
加し、同様に発光測定を行い、これを発光試薬の発光量
R(ブランク値)を求めた。S−RによりATPによる
正味の発光量Zが求められるので、座標のY軸を正味の
発光量Zの値、X軸をATPの濃度(M=mol/l)
として、図10に示す検量線を作成した。
【0064】
【実施例9】 (ATP消去剤の影響を取り除いた状態で、スタフィロ
コッカス・アウレウスにおけるCFU当りのATP量を
測定した例)
【0065】以下の各工程をこの順序で行い、実際の被
検微生物スタフィロコッカス・アウレウスの培養液の生
物細胞数の測定を行った。 第一工程;被検微生物を標準液体培地で培養して、培養
液を調製する。 第二工程;培養液から遊離ATPの消去 第三工程;標準液体培地を利用した希釈液の調製 第四工程;遊離ATPを消去した培養液を希釈液で希釈
し被検微生物懸濁液の調製 第五工程;被検微生物懸濁液の遊離ATPの発光測定 第六工程;被検微生物懸濁液にATP抽出剤を添加し、
該抽出剤添加前から存在する遊離ATPと、抽出された
ATP(菌体内ATP)からなるト−タルATPの発光
測定 第七工程;菌体内ATPの発光量算出 第八工程;菌体内ATPの発光量の補正値の算出 第九工程;補正値に対するATP濃度の算出 第十工程;混釈培養法により、被検微生物懸濁液のml
当たりのCFUの算出 第十一工程;CFU当たりのATP量の測定
【0066】(第一工程;被検微生物を標準液体培地で
培養して、培養液を調製する)オ−トクレ−ブにより滅
菌処理した標準液体培地(0.25%酵母エキス、0.
5%トリプトン、0.1%ブドウ糖、pH7.1)8m
lにスタフィロコッカス・アウレウス(Staphyl
ococcus aureus)ATCC 25923
を一白金耳接種し、35℃で一晩静置培養して、被検微
生物の培養液を得た。
【0067】(第二工程;培養液から遊離ATPの消
去)該培養液(生菌体を多量に含有する)2mlに、ア
ピラ−ゼ及びアデノシンリン酸デアミナ−ゼをそれぞれ
終濃度0.05U/mlとなるように添加し、35℃で
30分間処理して、培養液の遊離ATPを予め消去し
た。これによりATPのブランク値を低下させることが
できる。
【0068】(第三工程;標準液体培地を利用した希釈
液の調製)一方上記微生物を接種しない標準液体培地1
00mlにアピラ−ゼ及びアデノシンリン酸デアミナ−
ゼをそれぞれ終濃度0.05U/mlとなるように添加
して、35℃で90分反応して遊離ATPを消去し、つ
いでオ−トクレ−ブで120℃15分間滅菌処理して両
酵素を失活させ、遊離ATPが消去された無菌標準液体
培地からなる希釈液を調製した。
【0069】(第四工程;遊離ATPを消去した培養液
を希釈液で希釈して被検微生物懸濁液の調製)第二工程
で得られた、遊離ATPを消去した培養液に第三工程で
得られた希釈液を添加して、被検微生物の10000倍
希釈懸濁液を調製した。これを35℃で30分間保持し
て発光測定用の試料とした。
【0070】(第五工程;被検微生物懸濁液の遊離AT
Pの発光測定)被検微生物の10000倍希釈懸濁液1
00μlに、滅菌超純水100μlを添加し発光試薬1
00μlを添加し、キッコ−マン社製ルミテスタ−K−
100にて発光測定した。この測定により被検微生物の
希釈懸濁液の遊離ATPの発光量(以下フリ−の発光量
Fという)を求める。
【0071】(第六工程;被検微生物の懸濁液にATP
抽出剤を添加し、該抽出剤添加前から存在する遊離AT
Pと、抽出されたATP(菌体内ATP)からなるト−
タルATPの発光測定)被検微生物の希釈懸濁液100
μlにキッコ−マン社製ATP抽出試薬100μlを添
加して室温で20秒経過後に、発光試薬を100μlを
添加して、キッコ−マン社製ルミテスタ−K−100に
て、発光測定した。この測定によって試料の遊離ATP
と抽出剤の作用により微生物菌体外に抽出されたATP
(菌体内ATP)とのト−タルATPの発光量(T)を
求めた。
【0072】(第七工程;菌体内ATPの発光量算出)
前工程のト−タル発光量(T)からフリ−発光量(F)
を減ずることにより、菌体内ATPの正確な発光量を求
めることができる。
【0073】(第八工程;菌体内ATPの発光量の補正
値の算出)ここに至るまでにおけるルシフェリン−ルシ
フェラ−ゼの生物発光反応は、試料に含まれる成分によ
り多少の阻害を受けるため、発光阻害を受けないときの
発光量を得るには補正をしなければならない。補正は以
下のようにした行なった。即ち、被検微生物懸濁液10
0μlに2×10-10MのATP標準液100μlを添
加し、20秒後に発光試薬を100μl添加して、キッ
コ−マン社製ルミテスタ−K−100にて発光量を測定
し、内標準発光量Hを求めた。上記内標準発光量の測定
法において、被検微生物懸濁液100μlを使用する代
わりに滅菌超純水100μlを使用する以外は、全く同
様にして発光量を測定し、本標準発光量Gを求めた。内
標準発光量Hからフリ−発光量Fを差引いた値を本標準
発光量Gで除することにより、発光率Kを求め、第七工
程で得られた菌体内ATPの発光量(T−F)を前記発
光率Kで除することにより、発光阻害がないときの菌体
内ATPの発光量Y(補正値)を求めた。 Y=(T−F)/K K=(H−F)/G
【0074】(第九工程;補正値に対応するATP濃度
の算出)発光阻害がないときの菌体内ATPの発光量
(補正値)に対応するATP濃度を予め作成した図10
に示す検量線に従い求めた。
【0075】(第十工程;混釈培養法により、被検微生
物懸濁液のml当たりのCFUの算出)滅菌シャ−レに
適宜希釈した被検微生物懸濁液の一定量を滅菌ピペット
で無菌的に加え、約50℃に冷却した溶解済みの標準寒
天培地(0.25%酵母エキス、0.5%トリプトン、
0.1%ブドウ糖、pH7.1、2.0%寒天)を加
え、シャ−レの蓋をして、前後左右にゆるく動かし、か
つ回すようにして被検微生物懸濁液と培地とを均一に混
和し、35℃で24時間培養して、出現したコロニ−数
を計測し、希釈率から原液1ml当り存在する微生物数
(Colony Forming Unit(CF
U))を推定する。
【0076】(第十一工程;CFU当たりのATP量の
測定)発光阻害がないときの菌体内ATPの発光量(補
正値)に対応するATP濃度(mol/ml)を第十工
程で求めた被検微生物懸濁液ml当たりのCFU(CF
U/ml)で除することにより、スタフィロコッカス・
アウレウスの1CFU当たりのATP量を求めた。その
結果、2×10-17mol/CFUを得た。以上の結果
をまとめて表1に示す。
【0077】 表1 スタフィロコッカス・アウレウスのCFU当りのATP量(mol/CFU) 希釈率 10,000倍 ト−タル発光値(T) 16,198 フリ−発光値(F) 905 T−F発光値 15,293 補正発光値 21,268 ATP濃度(mol/ml) 2.54×10-13 実測値(混釈培養法)(CFU/ml) 1.27×104 ATP量(mol/CFU) 2.00×10-17
【0078】
【実施例10】 (実施例9において得られたスタフィロコッカス・アウ
レウスにおけるCFU当りのATPの測定値(約2×1
-17mol)を用いてATP消去剤の影響下、その活
性を保持した状態でスタフィロコッカス・アウレウス培
養液の希釈懸濁液の生菌体CFUの測定法) 第一工程;培養液を希釈液で所定濃度まで希釈し、被検
微生物の希釈懸濁液の調製。 第二工程;被検微生物の希釈懸濁液の遊離ATPの消
去。 第三工程;被検微生物の希釈懸濁液に微存する遊離AT
Pの発光測定 第四工程;被検微生物の希釈懸濁液にATP抽出剤を添
加し、微存する遊離ATPと抽出されたATP(菌体内
ATP)からなるト−タルATPの発光測定 第五工程;菌体内ATPの算出 第六工程;補正発光量の算出 第七工程;補正発光量に対応するATP濃度の算出 第八工程;スタフィロコッカス・アウレウスの希釈懸濁
液のml当りのCFU濃度を算出。 第九工程;比較例(混釈培養法による被検微生物の希釈
懸濁液のml当たりのCFUの算出)
【0079】(第一工程;培養液を希釈液で所定濃度ま
で希釈し、被検微生物の希釈懸濁液の調製)前記実施例
の第一工程で得られたスタフィロコッカス・アウレウス
の培養液を、オ−トクレ−ブにより加熱滅菌処理した標
準液体培地(希釈液)で、1万倍、10万倍、100万
倍、1000万倍に希釈し、被検微生物の希釈懸濁液を
得た。
【0080】(第二工程;被検微生物の希釈懸濁液の遊
離ATPの消去)上記被検微生物の希釈懸濁液にアピラ
−ゼとアデノシンリン酸デアミナ−ゼをそれぞれ終濃度
0.05U/mlとなるように添加して、35℃で30
分反応して、ATPを消去した。
【0081】(第三工程;被検微生物の希釈懸濁液の遊
離ATPの発光量測定)被検微生物の希釈懸濁液100
μlに滅菌超純水100μlを添加し、発光試薬100
μlを添加し、キッコ−マン社製ルミテスタ−K−10
0にて、発光量を測定した。この測定により被検微生物
懸濁液の遊離ATPの発光量(F)を求めることができ
る。
【0082】(第四工程;被検微生物の希釈懸濁液にA
TP抽出剤を添加し、遊離ATPと抽出されたATP
(菌体内ATP)からなるト−タルATPの発光量を求
める)被検微生物の希釈懸濁液100μlにキッコ−マ
ン社製ATP抽出試薬100μlを添加して室温で20
秒経過後に、発光試薬を100μlを添加して、キッコ
−マン社製ルミテスタ−K−100にて、発光量を測定
した。この測定により、抽出剤の作用により抽出された
菌体内ATPの発光量および懸濁液の遊離ATPの発光
量の和を求めることができるので、これをト−タル発光
量Tとした。
【0083】(第五工程;菌体内ATPの算出)このト
−タル発光量Tからフリ−発光量Fを減ずることによ
り、菌体内ATPの正確な発光量を求める。
【0084】(第六工程;補正発光量の算出)ここに至
る各工程においてルシフェリン−ルシフェラ−ゼによる
生物発光反応は、懸濁液に含まれる成分により多少の阻
害を受けるため、以下の方法により補正し阻害を受けな
い場合の発光量を求める。被検微生物の希釈懸濁液10
0μlに2×10-10MのATP標準液100μlを添
加し、20秒後に発光試薬を100μl添加して、キッ
コ−マン社製ルミテスタ−K−100にて内標準発光量
Hを求めた。上記内標準発光量Hの測定において、被検
微生物の希釈懸濁液100μlを使用する代わりに滅菌
超純水100μlを使用する以外は、全く同様にして本
標準発光量Gを求めた。内標準発光量Hからフリ−発光
量Fを差引いた値を本標準発光量Gで除することにより
発光率Kを求め、菌体内ATPの発光量(T−F)を前
記発光率Kで除することにより、補正発光量Yを求め
る。 Y=(T−F)/K K=(H−F)/G
【0085】(第七工程;補正発光量に対応するATP
濃度の算出)補正発光量Yに対応するATP濃度を予め
作成した図10に示す検量線に従い求める。
【0086】(第八工程;スタフィロコッカス・アウレ
ウスの希釈懸濁液のml当りのCFU濃度を算出)第七
工程で求めた補正発光量に対応するATP濃度(mol
/ml)を前記実施例9の第十一工程(最終工程)で求
めたスタフィロカッカス・アウレウスのCFU当たりの
ATP量、約2×10-17molで除することにより、
スタフィロコッカス・アウレウスの希釈懸濁液のml当
りのCFU濃度を算出した。
【0087】第九工程;比較例(混釈培養法による被検
微生物の希釈培養液のml当たりのCFUの算出)滅菌
シャ−レに適宜希釈した被検微生物浮遊液の一定量を滅
菌ピペットで無菌的に予め加え、約50℃に冷却した溶
解済みの標準寒天培地を加え、シャ−レの蓋をして、前
後左右にゆるく動かし、かつ回すようにして被検微生物
浮遊液と培地とを均一に混和し、35℃で24時間培養
して、出現したコロニ−数を計測し、希釈率から被検微
生物浮遊液のml中に存する微生物数(CFU)を測定
した。こうして求めたCFU濃度を混釈法により求めた
実測値(CFU/ml)とした。以上の結果をまとめて
表2に示す。
【0088】 表2 スタフィロコッカス・アウレウスの生菌数濃度(CFU/ml)の測定 希釈率(倍) 10,000 100,000 1,000,000 10,000,000 ト−タル発光値 (T) 10,520 1,212 125 23 フリ−発光値 (F) 27 18 12 13 T−F発光値 10,493 1,194 113 10 補正発光値 22,493 2,558 243 23 ATP濃度 (mol/ml) 2.68×10-13 3.05×10-14 2.90×10-15 2.68×10-16 計算値(本実施例) (CFU/ml) 1.34×104 1.53×103 1.45×102 1.34×10 実測値(混釈培養法) (CFU/ml) 1.11×104 1.34×103 1.07×102 1.00×10
【0089】
【実施例11】 (エセリシア・コリのCFU当りのATP量(mol/
CFU)の測定法)実施例9のスタフィロコッカス・ア
ウレウスのCFU当りのATP量(mol/CFU)の
測定法において、「スタフィロコッカス・アウレウス
(Staphylococcus aureus)AT
CC 25923」を用いる代わりに、「エセリシア・
コリ(Eschericia coli)NISL B
−4300」を用いる以外は、全く同様にしてCFU当
りのATP量を測定した。その結果をまとめて表3に示
す。
【0090】 表3 エセリシア・コリのCFU当りのATP量(mol/CFU) 希釈率 10,000倍 ト−タル発光値(T) 10,495 フリ−発光値(F) 948 T−F発光値 9,547 補正発光値 13,277 ATP濃度(mol/ml) 1.58×10-13 実測値(混釈培養法)(CFU/ml) 3.58×104 ATP量(mol/CFU) 4.42×10-18
【0091】
【実施例12】 (エセリシア・コリ培養液の希釈懸濁液の生菌数(CF
U/ml)の測定)実施例10のスタフィロコッカス・
アウレウスの生菌数(CFU/ml)の測定法におい
て、被検微生物として「スタフィロコッカス・アウレウ
ス(Staphylococcus aureus)A
TCC 25923」を用いる代わりに、「エセリシア
・コリ(Eschericia coli)NISL
B−4300」を用いる以外は、全く同様にしてエセリ
シア・コリ培養液の希釈懸濁液の生菌数濃度(CFU/
ml)を測定した。その結果をまとめて表4に示す。
【0092】 表4 エセリシア・コリの生菌数濃度(CFU/ml)の測定 希釈率(倍) 10,000 100,000 1,000,000 10,000,000 ト−タル発光値 (T) 7,553 902 138 29 フリ−発光値 (F) 45 31 18 18 T−F発光値 7,508 871 120 11 補正発光値 16,168 1,874 258 24 ATP濃度 (mol/ml) 1.93×10-13 2.23×10-14 3.08×10-15 2.82×10-16 計算値(本実施例) (CFU/ml) 4.37×104 5.05×103 6.97×102 6.38×10 実測値(混釈培養法) (CFU/ml) 4.86×104 4.80×103 4.29×102 4.20×10
【0093】
【実施例13】(サッカロミセス・セレビシエのCFU
当りのATP量(mol/CFU)の測定法)実施例9
のスタフィロコッカス・アウレウスのCFU当りのAT
P量(mol/CFU)の測定法において、培地として
「標準液体培地」を用いる代わりに「YM培地(ブドウ
糖1%、ペプトン0.5%、酵母エキス0.3%、モル
トエキス0.3%、pH6.0)」を用い、また「標準
寒天培地」を用いる代わりに「寒天入りYM培地(ブド
ウ糖1%、ペプトン0.5%、酵母エキス0.3%、モ
ルトエキス0.3%、寒天2%、pH6.0)」を用
い、また使用する被検微生物として「スタフィロコッカ
ス・アウレウス(Staphylococcusaur
eus)ATCC 25923」を用いる代わりに「サ
ッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyce
s cerevisiae)、NISLY−3398」
を用いる以外は、全く同様にしてサッカロミセス・セレ
ビシエの生菌数(CFU)当りのATP量(mol/C
FU)を測定した。その結果をまとめて表5に示す。
【0094】 表5 サッカロミセス・セレビシエのCFU当りのATP量(mol/CFU) 希釈率 10,000倍 ト−タル発光値(T) 20,015 フリ−発光値(F) 1,119 T−F発光値 18,896 補正発光値 29,894 ATP濃度(mol/ml) 3.56×10-13 実測値(混釈培養法)(CFU/ml) 2.95×103 ATP量(mol/CFU) 1.21×10-16
【0095】
【実施例14】 (サッカロミセス・セレビシエ培養液の希釈懸濁液の生
菌数(CFU/ml)の測定)実施例10のスタフィロ
コッカス・アウレウスの生菌数(CFU/ml)の測定
法において、被検微生物として「スタフィロコッカス・
アウレウス(Staphylococcus aure
us)ATCC 25923」を用いる代わりに、「サ
ッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyce
s cerevisiae)、NISL Y−339
8」を用いる以外は、全く同様にしてサッカロミセス・
セレビシエ培養液の希釈懸濁液の生菌数濃度(CFU/
ml)を測定した。その結果をまとめて表6に示す。
【0096】 表6 サッカロミセス・セレビシエの生菌数濃度(CFU/ml)の測定 希釈率(倍) 10,000 100,000 1,000,000 ト−タル発光値 (T) 15,871 1,522 184 フリ−発光値 (F) 17 11 10 T−F発光値 15,854 1,511 174 補正発光値 36,032 3,434 395 ATP濃度 (mol/ml) 4.30×10-13 4.09×10-14 4.71×10-15 計算値(本実施例) (CFU/ml) 3.55×103 3.38×102 3.89×10 実測値(混釈培養法) (CFU/ml) 4.05×103 3.35×102 3.40×10
【0097】表1〜表6の結果から、本発明の方法によ
れば、従来最も精度が高く、測定値の信頼性が高いと言
われている、混釈培養法に匹敵するATPの測定法を提
供することができる。そして、本発明によれば従来法が
必要としていた培養工程を省略することが可能となり、
検査に要する時間が数十分にて完了できるので、処理時
間を従来法に比べて大幅に短縮することができる。ま
た、希釈するための実験器具、希釈したり培地を調製す
るための時間と労力を大幅に軽減することができること
が判る。また標準液体培地及びYM培地において、遊離
ATPはそれぞれ相対発光値(RLU)で92100及
び139350もあり、菌数の測定はできなかった。し
かし、ATP消去試薬により遊離のATPを消去し、フ
リー発光値を低下させることにより、スタフィロコッカ
ス アウレウスや、サッカロミセス セレビシエのよう
に1CFU当たりのATP量が比較的多い場合では、数
10CFU/mlから検出が可能であり、エセリシア
コリのように、1CFU当たりのATP量が比較的少な
い場合では、40から50CFU/mlから検出が可能
となった。よって、ATP消去試薬が活性を保持した状
態でも、検出感度が十分に高いことが判る。なお、本発
明の方法によって得られた計算値の菌数(CFU/m
l)と、混釈培養法によって得られた実測値の菌数(C
FU/ml)の相関係数を求めたところ、いずれの菌の
場合も0.99であり、極めて良好な相関を示し、AT
P消去試薬が活性を保持した状態でも、正確な菌数の測
定が可能であることが判る。また、本発明により求めら
れた各微生物から抽出されたATP濃度(mol/m
l)と混釈培養法により求められた実測値の菌数(CF
U/ml)との関係をまとめて図11に示す。この図か
ら、いずれの微生物の場合も良好な検量線(直線性)を
描くことができる。以上のことから、本発明により求め
た微生物から抽出されたATP濃度(mol/ml)か
ら菌数の正確な測定が可能であることが判る。
【0098】
【実施例15】 (液体栄養培地SCD培地の遊離ATP消去法)液体栄
養培地SCD培地(トリプトン1.5%、ソイトン0.
5%、NaCl0.5%、pH7.3)にアデノシンリ
ン酸デアミナ−ゼを終濃度0.01U/mlとなるよう
に加え、35℃で120分保持し、経時的に試料を採取
し、発光測定を行なった。発光測定は試料100μlに
0.3mMのリン酸緩衝液(pH7.2)を100μl
添加し、さらにキッコ−マン社製ルシフェ−ルLU(A
TP測定試薬)100μlを添加し、同社製ルミテスタ
−K−100にて発光量を測定した。その結果を表7に
まとめて示した。表7の結果から、初発(即ちアデノシ
ンリン酸デアミナ−ゼの作用がない)場合のSCD培地
におけるATP濃度は、相対発光量値で2718も存在
するが、該酵素の作用が開始されると遊離ATPが速や
かに減少し、60分で殆ど消去されることが判る。
【0099】
【実施例16】 (バチルス・ズブチリスに汚染された醤油麹の該汚染菌
の定量法)実質的に無菌の醤油麹20gにバチルス・ズ
ブチリス(Bacillus subtilis)AH
U1035を図12に示す添加量(個/麹g)となるよ
うに添加し、人為的にバチルス・ズブチリスに汚染され
た醤油麹を得た。この醤油麹に0.3mMのリン酸緩衝
液(pH7.2)を80ml添加して、よく攪拌し懸濁
液を調製した。次いで、前記懸濁液8mlに、上記実施
例15に記載したSCD培地の4倍濃度調製液(トリプ
トン6.0%、ソイトン2.0%、NaCl2.0%、
pH7.3)2ml及び2%ナイスタチン(麹菌の生育
阻害剤)の70%エタノ−ル溶液50μl、アデノシン
リン酸デアミナ−ゼ5U/mlを20μl(終濃度0.
01U/ml)を加えて35℃でバチルス・ズブチリス
のみを選択的に静置培養し、この培養の途中において培
養液を経時的に100μlづつ採取して、キッコ−マン
製ATP抽出試薬100μl添加し、20秒後にキッコ
−マン製ルシフェ−ルLU(ATP測定試薬)の100
μlを添加し、キッコ−マン製ルミテスタ−K−100
で発光測定(数値は相対発光量で示した)を行なった。
この発光量を測定することにより、バチルス・ズブチリ
スの経時的な相対増殖量を調べることができる。その結
果を図12に示す。
【0100】前述したように表7の結果からSCD培地
には高濃度の遊離ATPが存在し、相対発光量値は27
18を示す。この値は本実施例の5.0×103個/ 麹
gの区分における4時間経過後のバチルス・ズブチリス
由来のATP濃度(相対発光量=約3000)と区別で
きない。そのため、SCD培地の遊離ATPを消去しな
い従来法においてはバチルス・ズブチリスの正確な測定
ができないことが判明した。これに対し本発明によれ
ば、図12の結果から明らかなように、予めSCD培地
の遊離ATPを消去することにより、バチルス・ズブチ
リス由来の正確なATP量の測定ができることが判る。
【0101】
【実施例17】 (乳酸菌に汚染された醤油麹の該汚染菌の定量法)実施
例16のバチルス・ズブチリスに汚染された醤油麹の該
汚染菌の定量法において、「バチルス・ズブチリス」の
代わりに「乳酸菌ロイコノストック・メッセンテロイデ
ス(Leuconostoc Mesenteroid
es AHU1065」を用いる以外は、全く同様にし
て、乳酸菌に汚染された醤油麹の該乳酸菌の定量法を実
施した。結果を図13に示す。
【0102】図12及び図13の結果から、醤油麹に混
入したバチルス・ズブチリス及び乳酸菌の初発濃度がそ
れぞれ5×102個/g麹及び4.3×102個/g麹の
区分においては4時間経過後においても相対発光量が殆
ど増大しない。これに対し、初発濃度がそれぞれ5×1
3個/g麹及び3.3×103個/g麹の区分において
は相対発光量が4時間後において著しく増大することが
判る。この結果から、醤油麹の盛込原料の初発の汚染細
菌(バチルス・ズブチリス及び乳酸菌)のおおまかな定
量が可能であることが判る。
【0103】
【実施例18】 (雑細菌に汚染された製麹原料の該雑細菌の定量法)通
常の醤油麹の製造法に従って、蒸煮した脱脂大豆に炒熬
割砕した小麦を混和して製麹原料を調製した。これに醤
油用種麹を接種し、生活雑廃水から分離された各種雑細
菌の懸濁液(生菌数109/ml)を均一に噴霧して、
雑細菌に汚染された製麹原料を得た。この原料は図17
に記載の如き雑細菌(個/g麹)を有する製麹原料であ
った。次いで、実施例16のバチルス・ズブチリスに汚
染された醤油麹の該汚染菌の定量法において、「バチル
ス・ズブチリスに汚染された醤油麹」を用いる代わり
に、上記「雑細菌に汚染された製麹原料」を用いる以外
は、全く同様にして該雑細菌の定量を実施した。結果を
図17に示す。
【0104】図17の結果から、一般の醤油麹の製造に
際し、製麹開始時の雑細菌のおおまかな菌数の推定が可
能であることが判る。即ち、製麹原料に混入した各種雑
細菌濃度が、1.5×102個/ g原料においては4時
間経過後においても相対発光量が殆ど増大しないが、
3.2×103個/g原料においては4 時間後において
相対発光量が著しく増大することから初発の製麹原料の
各種雑細菌のおおまかな定量が可能であることが判る。
【0105】
【実施例19】 (サッカロミセス・セレビシエのCFU当りのATP量
の測定法)以下の各工程をこの順序で行い、サッカロミ
セス・セレビシエのCFU当りのATP量の測定を行っ
た。 第一工程;被検微生物サッカロミセス・セレビシエの培
養液の調製 第二工程;被検微生物培養液から遊離ATPの消去 第三工程;被検微生物培養液の希釈用リン酸緩衝液の調
製 第四工程;被検微生物懸濁液の調製 第五工程;被検微生物懸濁液の遊離ATPの発光測定 第六工程;被検微生物の希釈懸濁液にATP抽出剤を添
加し、該抽出剤添加前の遊離ATPと、添加後抽出され
た菌体内ATPからなるト−タルATPの発光測定 第七工程;菌体内ATPの発光量の算出 第八工程;菌体内ATPの発光量の補正値の算出 第九工程;補正発光値に対応するATP濃度の算出 第十工程;混釈培養法による被検微生物懸濁液のml当
たりのCFUの算出 第十一工程;CFU当たりのATP量の測定
【0106】第一工程;被検微生物サッカロミセス・セ
レビシエの培養液の調製 オ−トクレ−ブにより加熱殺菌処理したYM培地(ブド
ウ糖1%、ペプトン0.5%、酵母エキス0.3%、モ
ルトエキス0.3%、pH6.0)8mlにサッカロミ
セス・セレビシエ、NISL Y−3398を一白金耳
接種し、35℃で一晩静置培養して培養液を得た。
【0107】第二工程;被検微生物培養液から遊離AT
Pの消去 前工程で得た培養液(生菌体を多量に含有する)2ml
に、アピラ−ゼ及びアデノシンリン酸デアミナ−ゼをそ
れぞれ終濃度0.05U/mlとなるように添加し、3
5℃で30分間処理して、培養液の遊離ATPを予め消
去した。これによりATPのブランク値を低下させるこ
とができる。
【0108】第三工程;被検微生物培養液の希釈用リン
酸緩衝液の調製 0.625mM・KH2PO4リン酸緩衝液(pH7.
2)をオ−トクレ−ブで加熱殺菌して、前工程で得た遊
離ATP消去済培養液の希釈液(以下リン酸緩衝液とい
う)を調製した。
【0109】第四工程;被検微生物懸濁液の調製。 遊離ATPを消去した培養液に希釈用リン酸緩衝液を添
加して、被検微生物サッカロミセス・セレビシエの10
0,000倍希釈液を調製し、25℃で30分放置して
これを発光測定用の試料とした。
【0110】第五工程;被検微生物懸濁液の遊離ATP
の発光測定 被検微生物サッカロミセス・セレビシエの100,00
0倍希釈懸濁液100μlに滅菌超純水100μl及び
発光試薬100μlを添加し、キッコ−マン社製ルミテ
スタ−K−100にて、発光量を測定した。この測定に
より被検微生物の希釈懸濁液の遊離ATPの発光量(以
下フリ−の発光量Fという)を求める。
【0111】第六工程;被検微生物の希釈懸濁液にAT
P抽出剤を添加し、該抽出剤添加前の遊離ATPと、添
加後抽出されたATPからなるト−タルATPの発光測
定 被検微生物の100,000倍希釈懸濁液100μlに
キッコ−マン社製ATP抽出試薬100μlを添加して
室温で20秒経過後に、発光試薬を100μlを添加し
て、キッコ−マン社製ルミテスタ−K−100にて、発
光量を測定した。この測定法により、試料の遊離ATP
と抽出剤の作用により微生物菌体外に抽出されたATP
(菌体内ATP)とのト−タルATPの発光量(T)を
求めた。
【0112】第七工程;菌体内ATPの発光量の算出 前工程で得たト−タル発光量(T)からフリ−発光量
(F)を減ずることにより菌体内ATPの正確な発光量
(T−F)を求める。
【0113】第八工程;菌体内ATPの発光量の補正値
の算出 これまでのルシフェリン−ルシフェラ−ゼ発光反応は、
被検微生物懸濁液に含まれる種々の成分により多少の阻
害を受けるため、真の発光測定値(即ち発光阻害を受け
ないときの発光量)を得るため以下に記載の通り補正を
行なった。被検微生物100μlに2×10-10MのA
TP標準液100μlを添加し、20秒後に発光試薬を
100μl添加して、キッコ−マン社製ルミテスタ−K
−100にて測定して、発光量を測定し、内標準発光量
Hを求めた。次に、上記内標準発光量の測定法におい
て、被検微生物懸濁液100μlを使用する代わりに、
滅菌超純水100μlを使用する以外は、全く同様にし
て発光量を測定し、本標準発光量Gを求めた。内標準発
光量Hからフリ−発光量Fを差引いた値を本標準発光量
Gで除することにより、発光率Kを求め、第七工程で得
られた菌体内ATPの発光量(T−F)を前記発光率K
で除することにより、発光阻害がないときの菌体内AT
Pの発光量(補正値)Yを求めた。 Y=(T−F)/K K=(H−F)/G
【0114】第九工程;補正発光値に対応するATP濃
度の算出 発光阻害がないときの菌体内ATPの発光量(補正値)
に対応するATP濃度を予め作成した図10に示す検量
線に従い求めた。
【0115】第十工程;混釈培養法による被検微生物懸
濁液のml当たりのCFUの算出 被検微生物懸濁液を滅菌処理したYM培地で適宜濃度と
なるように希釈し、滅菌処理した、寒天2%を含有する
YM培地に混釈培養法によりプレ−ティングして、35
℃で一晩培養し、出現したコロニ−数を計測し、希釈率
から被検微生物懸濁液のml当たりのCFUを算出し
た。
【0116】第十一工程;CFU当たりのATP量の測
定 発光阻害がないときの菌体内ATPの発光量(補正値)
に対応するATP濃度(mol/ml)を第十工程で求
めた被検微生物懸濁液ml当たりのCFU(CFU/m
l)で除することにより、被検微生物サッカロミセス・
セレビシエの1CFU当たりのATP量を求めた。その
結果、3.07×10-16mol/CFUを得た。な
お、この結果は先の実施例11のそれ(1.21×10
-16mol/CFU)と若干相違するが、これは希釈懸
濁溶液の相違に基ずくものであると判断される。以上の
結果をまとめて表8に示す。
【0117】 表8 サッカロミセス・セレビシエの菌体当りのATP量(mol/CFU)の測定 希釈率 100,000倍 ト−タル発光値(T) 5,506 フリ−発光値(F) 91 T−F発光値 5,415 補正発光値 5,471 ATP濃度(mol/ml) 8.94×10-14 実測値(混釈培養法)(CFU/ml) 2.91×102 ATP量(mol/CFU) 3.07×10-16
【0118】表8の結果から本発明によれば容易に被検
微生物サッカロミセス・セレビシエのCFU当たりのA
TP量を求めることができる。
【0119】
【実施例20】 (ケチャップに混入したサッカロミセス・セレビシエの
生菌体濃度の測定法)以下の各工程をこの順序で行い、
ケチャップに混入したサッカロミセス・セレビシエの生
菌体濃度の測定を行なった。 第一工程;被検微生物サッカロミセス・セレビシエを含
有するトマトケチャップの希釈懸濁液の調製 第二工程;トマトケチャップ希釈懸濁液の遊離ATPの
消去 第三工程;遊離ATPを消去したトマトケチャップ希釈
懸濁液の遊離ATPの発光量の測定 第四工程;遊離ATPを消去したトマトケチャップ希釈
懸濁液にATP抽出剤を添加し、微存する遊離ATPと
菌体から抽出されたATP(菌体内ATP)からなるト
−タルATPの発光量を求める 第五工程;菌体外に抽出されたATPの発光量の測定 第六工程;補正発光量の算出 第七工程;補正発光量に対応するATP濃度の算出 第八工程;サッカロミセス・セレビシエを含有するトマ
トケチャップの希釈懸濁液のml当りのCFU濃度を算
出 第九工程;比較例(混釈培養法によるサッカロミセス・
セレビシエを含有するトマトケチャップの希釈懸濁液の
ml当たりのCFUの算出)
【0120】第一工程;被検微生物サッカロミセス・セ
レビシエを含有するトマトケチャップの希釈懸濁液の調
製 市販のトマトケチャップ2.0gに、サッカロミセス・
セレビシエの培養液をリン酸緩衝液(希釈液)で10倍
に希釈したもの8μlを添加した。さらに同希釈液18
mlを添加し均一に混和した。次いで、そのうちの1m
lを採取し同希釈液19mlを添加し均一に混和して、
被検微生物を含むトマトケチャップの200倍希釈懸濁
液を調製した。
【0121】第二工程;トマトケチャップ希釈懸濁液の
遊離ATPの消去 トマトケチャップ希釈懸濁液にアピラ−ゼとアデノシン
リン酸デアミナ−ゼをそれぞれ終濃度0.05U/ml
となるように添加して、25℃で30分反応して、遊離
ATPを消去したトマトケチャップ希釈懸濁液を得た。
また比較のため、本実施例においてアピラ−ゼとアデノ
シンリン酸デアミナ−ゼを併用添加する代わりに、アピ
ラ−ゼを単独で終濃度0.05U/mlとなるように用
いる以外は全く同様にして遊離ATPを消去した。それ
らの結果をまとめて、図15に示す。
【0122】図15の結果から、アピラ−ゼを単独では
トマトケチャップの希釈懸濁液の遊離ATPを消去でき
ないが、アピラ−ゼとアデノシンリン酸デアミナ−ゼを
併用添加するときは、該希釈懸濁液の初発遊離ATP濃
度を約1万分の一にまで低減できることが判る。
【0123】第三工程;遊離ATPを消去したトマトケ
チャップ希釈懸濁液の遊離ATPの発光量の測定 遊離ATPを消去したトマトケチャップ希釈懸濁液10
0μlに、滅菌超純水100μl及び発光試薬100μ
lを添加し、キッコ−マン社製ルミテスタ−K−100
にて遊離ATPの発光量を測定した。この測定により、
かすかに残存する遊離ATPの発光量(F)を求めるこ
とができる。
【0124】第四工程;遊離ATPを消去したトマトケ
チャップ希釈懸濁液にATP抽出剤を添加し、微存する
遊離ATPと菌体から抽出されたATP(菌体内AT
P)からなるト−タルATPの発光量を求める 遊離ATPを消去したトマトケチャップ希釈懸濁液10
0μlにキッコ−マン社製ATP抽出試薬100μlを
添加して室温で20秒経過後に、発光試薬を100μl
を添加して、キッコ−マン社製ルミテスタ−K−100
にて、発光量を測定した。この測定により、該懸濁液に
かすかに残存する遊離ATPと菌体から抽出されたAT
P(菌体内ATP)からなるト−タルATPの発光量
(T)を求めることができる。
【0125】第五工程;菌体外に抽出されたATPの発
光量の測定 このト−タル発光値Tからフリ−発光値Fを差引くこと
により、菌体外に抽出されたATP由来の正確な発光量
(T−F)を求めることができる。
【0126】第六工程;補正発光量の算出 ここに至る各工程においてルシフェリン−ルシフェラ−
ゼによる生物発光反応は、懸濁液に含まれる成分により
多少の阻害を受けるため、以下の方法により補正し、阻
害を受けない場合の真の発光量を求める。即ち、該懸濁
液100μlに2×10-10MのATP標準液100μ
lを添加し、20秒後に発光試薬を100μl添加し
て、キッコ−マン社製ルミテスタ−K−100にて内標
準発光量Hを求めた。上記内標準発光量Hの測定におい
て、懸濁液100μlを使用する代わりに滅菌超純水1
00μlを使用する以外は、全く同様にして本標準発光
量Gを求めた。内標準発光量Hからフリ−発光量Fを差
引いた値を本標準発光量Gで除することにより発光率K
を求め、菌体内ATPの発光量(T−F)を前記発光率
Kで除することにより、補正発光量Yを求めた。 Y=(T−F)/K K=(H−F)/G
【0127】第七工程;補正発光量に対応するATP濃
度の算出 補正発光量Yに対応するATP濃度を予め作成した図1
0に示す検量線に従い求めた。
【0128】第八工程;サッカロミセス・セレビシエを
含有するトマトケチャップの希釈懸濁液のml当りのC
FU濃度を算出 本実施例の第七工程で求めた補正発光量に対応するAT
P濃度(mol/ml)を前記実施例19の第十一工程
(最終工程)で求めたサッカロミセス・セレビシエのC
FU当たりのATP量、3.07×10-16molで除
することにより、サッカロミセス・セレビシエを含有す
るトマトケチャップの希釈懸濁液のml当りのCFU濃
度を算出した。即ち、トマトケチャップ中のサッカロミ
セス・セレビシエ生細菌の算出結果を得た。
【0129】第九工程;比較例(混釈培養法によるサッ
カロミセス・セレビシエを含有するトマトケチャップの
希釈懸濁液のml当たりのCFUの算出) サッカロミセス・セレビシエを含有するトマトケチャッ
プの希釈懸濁液をYM培地で適宜濃度となるように希釈
し、寒天入りYM培地に混釈培養法によりプレ−ティン
グして、35℃で24時間培養し、出現したコロニ−数
を計測し、希釈率から希釈懸濁液ml当たりのCFUを
算出した。こうして求めた生菌数濃度を混釈培養法によ
りもとめた実測値(CFU/ml)とした。以上の結果
を表9にまとめて示す。
【0130】 表9 トマトケチャップ中のサッカロミセス・セレビシエの生菌数の測定 希釈率 200倍 ト−タル発光値(T) 1,332 フリ−発光値(F) 107 T−F発光値 1,225 補正発光値 1,734 ATP濃度(mol/ml) 2.83×10-14 計算値(本実施例)(CFU/ml) 9.23×10 実測値(混釈培養法)(CFU/ml) 8.15×10 計算値(本実施例)(CFU/g) 1.85×104 実測値(混釈培養法)(CFU/g) 1.63×104
【0131】表9の結果から本発明の方法により得られ
たサッカロミセス・セレビシエを含有するトマトケチャ
ップの希釈懸濁液(トマトケチャップの200倍希釈
液)の生菌数濃度(計算値)は9.23×10CFU/
mlであって、従来最も精度が高く測定値の信頼性が高
いと言われる混釈培養法により得られたそれ8.15×
10CFU/mlにほぼ匹敵する値が容易に得られる。
また本発明によって得られた生菌数濃度(計算値)に希
釈率200倍をかけることによりトマトケチャップ1g
中のサッカロミセス・セレビシエ生菌数は1.85×1
4個であることが判る。これにより迅速にトマトケチ
ャップのサッカロミセス・セレビシエ生菌数の測定がで
きることが判る。
【0132】
【実施例21】 (サッカロミセス・セレビシエの混入したりんごジュ−
ス希釈懸濁液の遊離ATPの消去)上述の実施例20
(トマトケチャップに混入したサッカロミセス・セレビ
シエの生菌体濃度の測定法)において、「トマトケチャ
ップ」の代わりに市販の「100%混濁タイプのりんご
ジュ−ス」を用い、第一工程の「被検微生物サッカロミ
セス・セレビシエを含有するりんごジュ−ス希釈懸濁液
の調製」を以下とする以外は、全く同様にして、サッカ
ロミセス・セレビシエの混入したりんごジュ−ス希釈懸
濁液を調製した。 「第一工程;被検微生物サッカロミセス・セレビシエを
含有するリンゴジュ−スの希釈懸濁液の調製 市販の1
00%混濁タイプリンゴジュ−ス5mlにサッカロミセ
ス・セレビシエの培養液を5μl添加し均一に混和した
後、その1mlを採取し、これに希釈液(リン酸緩衝
液)19mlを添加して、サッカロミセス・セレビシエ
を含有するリンゴジュ−スの20倍希釈懸濁液を調製し
た。」 そして、このりんごジュ−ス希釈懸濁液にアピラ−ゼと
アデノシンリン酸デアミナ−ゼをそれぞれ終濃度0.0
5U/mlとなるように添加して、25℃で30分反応
して、遊離ATPを消去した。また比較のため、本実施
例においてアピラ−ゼとアデノシンリン酸デアミナ−ゼ
を併用添加する代わりに、アピラ−ゼを単独で終濃度
0.05U/mlとなるように用いる以外は全く同様に
して遊離ATPを消去した。それらの結果をまとめて、
図16に示す。
【0133】図16の結果から、比較例のアピラ−ゼを
単独で添加する区分はリンゴジュ−スの遊離ATPを僅
かしか消去することはできないが、本発明のアピラ−ゼ
とアデノシンリン酸デアミナ−ゼを併用添加する区分
は、りんごジュ−スの初発の遊離ATP濃度を約数百分
の一にまで低減できることが判る。
【0134】
【実施例22】 (りんごジュ−スに混入したサッカロミセス・セレビシ
エの生菌体濃度の測定)実施例20の「ケチャップに混
入したサッカロミセス・セレビシエの生菌体濃度の測定
法」において、「トマトケチャップ」を用いる代わりに
市販の「100%混濁タイプりんごジュ−ス」を用い、
また第一工程を次の通りとする以外は同様にして被検微
生物を含有するりんごジュ−ス希釈懸濁液を調製した。 「第一工程;被検微生物サッカロミセス・セレビシエを
含有するリンゴジュ−スの希釈懸濁液の調製 市販の100%混濁タイプリンゴジュ−ス5mlにサッ
カロミセス・セレビシエの培養液を5μl添加し均一に
混和した後、その1mlを採取し、これに希釈液(リン
酸緩衝液)19mlを添加して、サッカロミセス・セレ
ビシエを含有するリンゴジュ−スの20倍希釈懸濁液を
調製した。」 そして、りんごジュ−スに混入したサッカロミセス・セ
レビシエの生菌体濃度の測定を行なった。その結果を表
10に示す。
【0135】 表10 りんごジュ−ス中のサッカロミセス・セレビシエの生菌数の測定 希釈率 20倍 ト−タル発光値(T) 21,175 フリ−発光値(F) 4,182 T−F発光値 16,993 補正発光値 46,340 ATP濃度(mol/ml) 7.57×10-13 計算値(本実施例)(CFU/ml) 2.47×103 実測値(混釈培養法)(CFU/ml) 1.47×103 計算値(本実施例)(CFU/g) 4.93×104 実測値(混釈培養法)(CFU/g) 2.94×104
【0136】表10の結果から、本発明の方法により得
られたサッカロミセス・セレビシエを含有するリンゴジ
ュ−スの20倍希釈懸濁液の生菌数濃度(CFU/m
l)(計算値)は2.47×103であって、従来最も
精度が高く、測定値の信頼性が高いと言われている、混
釈培養法により得られたそれ(実測値)1.47×10
3にほぼ匹敵する値が容易に得られる。また本発明によ
って得られた生菌数濃度(計算値)に希釈率20倍をか
けることによりリンゴジュ−ス1g中のサッカロミセス
・セレビシエ生細菌は4.93×104個であることが
判る。これにより、迅速にリンゴジュ−スのサッカロミ
セス・セレビシエ生細菌数の測定ができることが判る。
【0137】
【実施例23】 (雑菌に汚染された豆腐希釈懸濁液の遊離ATPの消
去)上述の実施例20(トマトケチャップに混入したサ
ッカロミセス・セレビシエの生菌体濃度の測定法)にお
いて、「トマトケチャップ」の代わりに市販の「絹ごし
豆腐」を用い、また第一工程を以下とする以外は、全く
同様にして、雑細菌の混入した絹ごし豆腐希釈懸濁液を
調製した。 「第一工程;雑細菌の混入した絹ごし豆腐希釈懸濁液の
調製 市販の新鮮な「絹ごし豆腐」に、予め生活雑廃水から分
離された細菌懸濁液を適当量添加して、雑菌に汚染され
た豆腐を得、この10gにリン酸緩衝液(希釈液)90
mlを添加して、押圧破砕機「ストマッカ− 400−
T(オルガノ社製)」にて、豆腐の希釈懸濁液を調製し
た。これを1ml採り、これに同希釈液39mlを添加
して、均一に混和し最終的に400倍豆腐希釈懸濁液を
調製した。」 そして、この豆腐希釈懸濁液にアピラ−ゼとアデノシン
リン酸デアミナ−ゼをそれぞれ終濃度0.05U/ml
となるように添加して、25℃で30分反応して、遊離
ATPを消去した。この結果を図17に示す。
【0138】図17の結果から、アピラ−ゼを単独で添
加する比較例の区分は30分間保持すると約一万分の一
まで消去することができるが、アピラ−ゼとアデノシン
リン酸デアミナ−ゼを併用添加する本発明の区分は、初
発の遊離ATP濃度を約数十万分の一にまで消去できる
ことが判る。
【0139】
【実施例24】 (豆腐に混入した汚染細菌の生菌体濃度の測定)実施例
20の「ケチャップに混入したサッカロミセス・セレビ
シエの生菌体濃度の測定法」において、「トマトケチャ
ップ」を用いる代わりに市販の「絹ごし豆腐」を用い、
また第一工程を以下とする以外は全く同様にして、雑細
菌の混入した絹ごし豆腐希釈懸濁液を調製した。 「第一工程;雑細菌の混入した絹ごし豆腐希釈懸濁液の
調製 市販の新鮮な「絹ごし豆腐」に、予め生活雑廃水から分
離された細菌懸濁液を適当量添加して、雑菌に汚染され
た豆腐を得、この10gにリン酸緩衝液(希釈液)90
mlを添加して、押圧破砕機「ストマッカ− 400−
T(オルガノ社製)」にて、豆腐の希釈懸濁液を調製し
た。これを1ml採り、これに同希釈液39mlを添加
して、均一に混和し最終的に400倍豆腐希釈懸濁液を
調製した。」 そして、絹ごし豆腐に混入した雑菌の生菌体濃度の測定
を行なった。その結果を表11に示す。 (1)なお表11に記載の実測値(混釈培養法)は以下
のようにして求めたものである。 (混釈培養法による被検微生物懸濁液のml当たりのC
FUの算出)被検微生物懸濁液を滅菌処理した「標準液
体培地」で適宜希釈し、滅菌処理した、寒天2%を含有
する「標準寒天培地」に混釈培養法によりプレ−ティン
グして、35℃で2日培養し、出現したコロニ−数を計
測し、希釈率から被検微生物懸濁液のml当たりのCF
Uを算出した。 (2)また被検微生物希釈懸濁液の生菌数の算出には、
当該生菌体のATPを予め求めたおいたCFU当たりの
ATP量で除することにより求めたが、本実施例では一
般の生細菌のCFU当りのATP量、3×10-18mo
l/CFUを利用して、豆腐に混入した生菌体の濃度を
求めた 。その結果を表11に示す。
【0140】 表11 豆腐中の雑細菌数の測定 希釈率 400倍 ト−タル発光値(T) 3,325 フリ−発光値(F) 49 T−F発光値 3,276 補正発光値 5,164 ATP濃度(mol/ml) 7.79×10-14 計算値(本実施例)(CFU/ml) 2.60×104 実測値(混釈培養法)(CFU/ml) 2.32×104 計算値(本実施例)(CFU/g) 1.04×107 実測値(混釈培養法)(CFU/g) 9.28×106
【0141】表11の結果から、本発明の方法により得
られた雑細菌で汚染された豆腐の400倍希釈懸濁液の
生菌数濃度(CFU/ml)(計算値)は2.60×1
4であって、従来最も精度が高く、測定値の信頼性が
高いと言われている、混釈培養法により得られたそれ
(実測値)2.32×104にほぼ匹敵する値が得られ
る。また、本発明によって得られた生菌数濃度(計算
値)に希釈率400倍をかけることにより豆腐1gの汚
染細菌数は1.04×107であることが判る。これに
より、迅速に豆腐の汚染細菌の測定ができることが判
る。
【0142】
【実施例25】 (雑菌に汚染されたカニ足肉様蒲鉾のATPの消去法)
上述の実施例20(トマトケチャップに混入したサッカ
ロミセス・セレビシエの生菌体濃度の測定法)におい
て、「トマトケチャップ」の代わりに市販の「カニ足肉
様蒲鉾」を用い、また第一工程を以下とする以外は、全
く同様にして、雑細菌の混入したカニ足肉様蒲鉾希釈懸
濁液を調製した。 「第一工程;被検微生物の混入したカニ足肉様蒲鉾希釈
懸濁液の調製 市販の新鮮な「カニ足肉様蒲鉾」に予め生活雑廃水から
分離された雑細菌懸濁液を適当量散布して、雑菌に汚染
されたカニ足肉様蒲鉾を得、この10gに希釈用リン酸
緩衝液90mlを添加して、押圧破砕機「ストマッカ−
400−T(オルガノ社製)」にて破壊し、カニ足肉様
蒲鉾の希釈懸濁液を調製した。この上澄み液1mlを採
り、これに同希釈液9mlを添加して、均一に混和し最
終的にカニ足肉様蒲鉾100倍希釈懸濁液を調製した。
そして、この希釈懸濁液にアピラ−ゼとアデノシンリン
酸デアミナ−ゼをそれぞれ終濃度0.05U/mlとな
るように添加して、25℃で30分反応して、遊離AT
Pを消去した。この結果を図18に示す。
【0143】図18の結果から、比較例のアピラ−ゼを
単独で添加する区分では、懸濁液の遊離ATPを十分に
消去できないが、本発明のATP消去酵素アピラ−ゼと
アデノシンリン酸デアミナ−ゼを併用添加する区分は、
初発の遊離ATP濃度を約数十万分の一に消去できるこ
とが判る。
【0144】
【実施例26】 (カニ足肉様蒲鉾に混入した汚染細菌の生菌体濃度の測
定)実施例20の「ケチャップに混入したサッカロミセ
ス・セレビシエの生菌体濃度の測定法」において、「ト
マトケチャップ」を用いる代わりに市販の「カニ足肉様
蒲鉾」を用い、また第一工程を以下とする以外は全く同
様にして、雑細菌の混入したカニ足肉様蒲鉾希釈懸濁液
を調製した。 「第一工程;被検微生物の混入したカニ足肉様蒲鉾希釈
懸濁液の調製 市販の新鮮な「カニ足肉様蒲鉾」に予め生活雑廃水から
分離された雑細菌懸濁液を適当量散布して、雑菌に汚染
されたカニ足肉様蒲鉾を得、この10gに希釈用リン酸
緩衝液90mlを添加して、押圧破砕機「ストマッカ−
400−T(オルガノ社製)」にて破壊し、カニ足肉様
蒲鉾の希釈懸濁液を調製した。この上澄み液1mlを採
り、これに同希釈液9mlを添加して、均一に混和し最
終的にカニ足肉様蒲鉾100倍希釈懸濁液を調製し
た。」 そして、カニ足肉様蒲鉾に混入した雑菌の生菌体濃度の
測定を行なった。その結果を表12に示す。 (1)なお表12に記載の実測値(混釈培養法)は以下
のようにして求めたものである。 (混釈培養法による被検微生物懸濁液のml当たりのC
FUの算出)被検微生物懸濁液を滅菌処理した「標準液
体培地」で適宜濃度となるように希釈し、滅菌処理し
た、寒天2%を含有する「標準寒天培地」に混釈培養法
によりプレ−ティングして、35℃で2日培養し、出現
したコロニ−数を計測し、希釈率から被検微生物懸濁液
のml当たりのCFUを算出した。 (2)また被検微生物希釈懸濁液の生菌数の算出には、
当該生菌体のATPを予め求めたおいたCFU当たりの
ATP量で除することにより求めたが、本実施例では一
般の生細菌のCFU当りのATP量、3×10-18mo
l/CFUを利用して、カニ足肉様蒲鉾に混入した生菌
体の濃度を得る。その結果を表12に示した。
【0145】 表12 蟹足肉様カマボコ中の雑細菌の測定 希釈率 100倍 ト−タル発光値(T) 5,768 フリ−発光値(F) 81 T−F発光値 5,687 補正発光値 8,500 ATP濃度(mol/ml) 1.28×10-13 計算値(本実施例)(CFU/ml) 4.27×104 実測値(混釈培養法)(CFU/ml) 6.18×104 計算値(本実施例)(CFU/g) 4.27×106 実測値(混釈培養法)(CFU/g) 6.18×106
【0146】表12の結果から雑細菌に汚染されたカニ
足肉様蒲鉾の接触液を100倍希釈した液中の生菌数濃
度(CFU/ml)(計算値)は4.27×104であ
って、従来最も精度が高く、測定値の信頼性が高いと言
われている、混釈培養法により得られたそれ(実測値)
6.18×104にほぼ匹敵する値が得られる。また本
発明によって得られた生菌数濃度(計算値)に希釈率1
00倍をかけることによりカニ足肉様蒲鉾の1g中の雑
細菌数は4.27×106であることが判る。そして、
本発明によれば迅速なカニ足肉様蒲鉾中の雑細菌の測定
ができることが判る。
【0147】
【実施例27】 (雑菌に汚染された米飯希釈懸濁液の遊離ATPの消
去)上述の実施例20(トマトケチャップに混入したサ
ッカロミセス・セレビシエの生菌体濃度の測定法)にお
いて、「トマトケチャップ」の代わりに「米飯」を用
い、また第一工程を以下とする以外は、全く同様にし
て、雑細菌の混入した米飯希釈懸濁液を調製した。 「第一工程;雑細菌の混入した炊飯希釈懸濁液の調製 通常の「炊飯米」を10gづつ多数区分に分け、予め生
活雑廃水から分離された細菌懸濁液を噴霧して、雑菌に
汚染された米飯を得た。滅菌処理したプラスチックチュ
−ブ(内径約25mm、長さ110mm、容量50m
l)(ファルコンチュ−ブ、Becton Dicki
nson社製)に上記雑菌汚染炊飯米3gを入れ、また
リン酸緩衝液(希釈液)6mlを添加して、人為的に約
1分振盪して、この上澄み液3mlを採取し、米飯の希
釈懸濁液を調製した。そして、米飯希釈懸濁液にアピラ
−ゼとアデノシンリン酸デアミナ−ゼをそれぞれ終濃度
0.05U/mlとなるように添加して、25℃で30
分反応して、遊離ATPを消去した。この結果を図19
に示す。
【0148】図19の結果から、比較例のアピラ−ゼを
単独で添加する区分は、30分保持しても充分には消去
することができないが、本発明のアピラ−ゼとアデノシ
ンリン酸デアミナ−ゼを併用添加する区分は、初発の遊
離ATP濃度を、約数千分の一にまで消去できることが
判る。
【0149】
【実施例28】 (米飯に混入した汚染細菌の生菌体濃度の測定)実施例
20の「ケチャップに混入したサッカロミセス・セレビ
シエの生菌体濃度の測定法」において、「トマトケチャ
ップ」を用いる代わりに「炊飯米(米飯)」を用い、ま
た第一工程を以下とする以外は全く同様にして、雑細菌
の混入した米飯希釈懸濁液を調製した。 「第一工程;雑細菌の混入した米飯希釈懸濁液の調製 通常の「炊飯米」を10gづつ多数区分に分け、予め生
活雑排水から分離された細菌懸濁液を噴霧して、雑菌に
汚染された米飯を得た。滅菌処理したプラスチックチュ
−ブ(内径約25mm、長さ110mm、容量50m
l)(ファルコンチュ−ブ、Becton Dicki
nson社製)に上記雑菌汚染炊飯米3gを入れ、また
リン酸緩衝液(希釈液)6mlを添加して、人為的に約
1分振盪して、この米飯3gに付着する雑菌を2倍量の
希釈液6mlに回収した。そしてその上澄み液3mlを
採取し、米飯の希釈懸濁液を調製した。なお、この希釈
懸濁液1mlには0.5gの米飯に付着していた雑菌が
回収されていることになる。」 そして、米飯に混入した雑菌の生菌体濃度の測定を行な
った。こうして得られた米飯の希釈懸濁液1ml当りの
雑細菌のATP量の対数log mol/mlを座標の
X軸に、また混釈培養法により得られた炊飯米1g当り
の雑細菌数の対数log CFU/gの値をY軸にし
て、その相関を調べた。得られた結果を図20に示し
た。 (1)なお上記混釈培養法による雑菌数の測定は以下の
ようにして求めたものである。 (混釈培養法による被検微生物懸濁液のml当たりのC
FUの算出)被検微生物懸濁液を滅菌処理した「標準液
体培地」で適宜濃度となるように希釈し、滅菌処理し
た、寒天2%を含有する「標準寒天培地」に混釈培養法
によりプレ−ティングして、35℃で2日培養し、出現
したコロニ−数を計測し、希釈率から被検微生物懸濁液
のml当たりのCFUを算出した。そしてこの値を2倍
することにより炊飯米1g当りの雑菌数CFU/gを得
た。
【0150】図20の結果から、雑菌数がg当り100
CFU以上(即ちY軸における目盛り2以上)におい
て、雑菌由来のATP量の対数log mol/ml
と、混釈培養法により求めた雑菌数の対数log CF
U/gは、正の相関(相関係数0.976)関係を示
し、この結果から、本発明方法により炊飯米の雑菌を正
確に、しかも簡便、迅速に感度良く定量することができ
ることが判る。
【図面の簡単な説明】
【図1】ベルト−ルド社製ルミノメ−タ−「ルマット
LB9501」によるATP検量線を示す。
【図2】酵素によるATP消去法において、酵素反応の
時間と反応後に残存するATP濃度の関係を示す。
【図3】アデノシンリン酸デアミナ−ゼとアピラ−ゼを
併用添加するATP消去法において、該アデノシンリン
酸デアミナ−ゼの活性と反応後に残存するATP濃度の
関係を示す。
【図4】アデノシンリン酸デアミナ−ゼとアピラ−ゼを
併用添加するATP消去法において該アデノシンリン酸
デアミナ−ゼの活性とATP残存率の関係を示す。
【図5】アデノシンリン酸デアミナ−ゼとアピラ−ゼを
併用添加するATP消去法において、該アピラ−ゼの活
性と反応後に残存するATP濃度の関係を示す。
【図6】アデノシンリン酸デアミナ−ゼとアピラ−ゼを
併用添加するATP消去法において該アピラ−ゼの活性
とATP残存率の関係を示す。
【図7】アデノシンリン酸デアミナ−ゼとアピラ−ゼの
存在下、各濃度のATP標準液を加えて反応させた場合
の経時的なATP残存率を示す。
【図8】アデノシンリン酸デアミナ−ゼとアピラ−ゼを
併用添加するATP消去法において、酵素反応における
pHと反応後に残存するATP濃度の関係を示す。
【図9】アデノシンリン酸デアミナ−ゼとアピラ−ゼを
併用添加するATP消去法において、酵素反応における
温度と反応後に残存するATP濃度の関係を示す。
【図10】キッコ−マン社製ルミノメ−タ−「ルミテス
タ−K−100」によるATP検量線を示す。
【図11】本発明により求められた各微生物菌体由来の
ATP濃度と混釈培養法により得られた菌数との関係を
示す。
【図12】バチルス・ズブチリスに汚染された醤油麹の
該バチルス・ズブチリスの定量結果を示す。
【図13】乳酸菌に汚染された醤油麹の該乳酸菌の定量
結果を示す。
【図14】雑細菌に汚染された醤油麹盛込み原料の該雑
細菌の定量結果を示す。
【図15】アデノシンリン酸デアミナ−ゼとアピラ−ゼ
を併用添加して、酵母に汚染されたトマトケチャップ希
釈懸濁液の遊離ATPを消去する場合の反応時間とAT
P濃度の関係を示す
【図16】アデノシンリン酸デアミナ−ゼとアピラ−ゼ
を併用添加して、酵母に汚染されたリンゴジュ−ス希釈
懸濁液の遊離ATPを消去する場合の反応時間とATP
濃度の関係を示す
【図17】アデノシンリン酸デアミナ−ゼとアピラ−ゼ
を併用添加して、雑菌に汚染された豆腐希釈懸濁液の遊
離ATPを消去する場合の反応時間とATP濃度の関係
を示す
【図18】アデノシンリン酸デアミナ−ゼとアピラ−ゼ
を併用添加して、雑菌に汚染された、かにかまぼこ希釈
懸濁液の遊離ATPを消去する場合の反応時間とATP
濃度の関係を示す
【図19】アデノシンリン酸デアミナ−ゼとアピラ−ゼ
を併用添加して、雑菌に汚染された米飯希釈懸濁液の遊
離ATPを消去する場合の反応時間とATP濃度の関係
を示す。
【図20】米飯の希釈懸濁液1ml当りの雑細菌のAT
P量の対数log mol/mlと混釈培養法により得
られた炊飯米1g当りの雑細菌数の対数logCFU/
gとの相関を示す。
フロントページの続き (72)発明者 谷地舘 恵子 千葉県野田市野田339番地 キッコーマン 株式会社内 (72)発明者 渡会 輝夫 千葉県野田市野田339番地 キッコーマン 株式会社内 (72)発明者 中島 基雄 千葉県野田市野田339番地 キッコーマン 株式会社内 (72)発明者 今井 一洋 東京都世田谷区代田6−15−18

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アデノシンリン酸デアミナ−ゼを有効成分
    として含有することを特徴とするATP消去剤。
  2. 【請求項2】アピラ−ゼ、アルカリホスファタ−ゼ、酸
    性ホスファタ−ゼ、ヘキソキナ−ゼ及びアデノシントリ
    ホスファタ−ゼからなる群より選ばれる少なくとも一種
    とアデノシンリン酸デアミナ−ゼとを有効成分として含
    有することを特徴とするATP消去剤。
  3. 【請求項3】ATP含有試料にアデノシンリン酸デアミ
    ナ−ゼを添加することを特徴とするATP消去法。
  4. 【請求項4】ATP含有試料にアピラ−ゼ、アルカリホ
    スファタ−ゼ、酸性ホスファタ−ゼ、ヘキソキナ−ゼ及
    びアデノシントリホスファタ−ゼからなる群より選ばれ
    る少なくとも一種とアデノシンリン酸デアミナ−ゼとを
    併用添加することを特徴とするATP消去法。
  5. 【請求項5】アデノシンリン酸デアミナ−ゼを有効成分
    として含有することを特徴とする生物細胞測定試薬。
  6. 【請求項6】アピラ−ゼ、アルカリホスファタ−ゼ、酸
    性ホスファタ−ゼ、ヘキソキナ−ゼ、アデノシントリホ
    スファタ−ゼからなる群より選ばれた少なくとも一種と
    アデノシンリン酸デアミナ−ゼとを有効成分として含有
    することを特徴とする生物細胞測定試薬。
  7. 【請求項7】生物細胞を含有する試料にアデノシンリン
    酸デアミナ−ゼを作用させ該試料中の遊離ATPを消去
    し、次いで該生物細胞内のATPを生物発光法を用いて
    測定することを特徴とする生物細胞測定法。
  8. 【請求項8】生物細胞を含有する試料にアピラ−ゼ、ア
    ルカリホスファタ−ゼ、酸性ホスファタ−ゼ、ヘキソキ
    ナ−ゼ、アデノシントリホスファタ−ゼからなる群より
    選ばれる少なくとも一種とアデノシンリン酸デアミナ−
    ゼとを作用させ該試料中の遊離ATPを消去し、次いで
    該生物細胞内のATPを生物発光法を用いて測定するこ
    とを特徴とする生物細胞測定法。
  9. 【請求項9】生物細胞を含有する試料が飲食品、その半
    製品、またはその素材である請求項7または8に記載の
    生物細胞測定法。
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