JP3636849B2 - 微生物の薬剤感受性試験法、同試験用キット、微生物の最少発育阻止濃度測定法並びに同測定用キット - Google Patents

微生物の薬剤感受性試験法、同試験用キット、微生物の最少発育阻止濃度測定法並びに同測定用キット Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、従来のATP法による微生物の薬剤感受性試験法の改良に関し、特に微生物の薬剤に対する偽耐性に基づく誤判定を回避し、判定結果の信頼性の高い、微生物の薬剤感受性試験法及びそのキット、微生物の最小発育阻止濃度測定法及びそのキットに関する。
【0002】
【従来の技術】
化学療法に於ける薬剤感受性試験の最大の目的は、感染症の起因微生物(以下病原体ということがある)に有効な薬剤を迅速に判定し、的確な投薬を可能にすることにある。
一方、感染症の治療に際し、抗感染症剤を長期間にわたって大量に使い続けたために、病原体が薬剤耐性をつけてしまう場合がある。
この場合、感染症の治療を成功させるか否かはこうした病原体の性質、特に薬剤感受性あるいは薬剤耐性を見極めることが重要となる。
しかし、一般に薬剤感受性試験法として知られるディスク法、微量液体希釈法(液体培地希釈法)及び寒天平板希釈法(以下これらを総称して在来法という)は、判定結果の信頼性は高いが、培養に少なくとも16〜20時間を要するため、結果の判定は早くとも検査開始の翌日となる欠点を有する。
そこで、より迅速に判定可能な微生物の薬剤感受性試験法の出現が望まれている。
【0003】
従来、より迅速に判定可能な微生物の薬剤感受性試験法として、薬剤を含有する培地で被検微生物を3〜5時間培養し、その被検微生物のATP量と、該薬剤を含有しない培地で培養した被検微生物のATP量とを比較することにより薬剤感受性を判定する方法(以下、ATP法による微生物の薬剤感受性試験法という)が知られている。
この方法は、ATP量の測定にルシフェリン−ルシフェラーゼ系発光試薬が利用され、微生物の検出限界が103CFU/mlと非常に高感度であり、培地への接種菌量が 105CFU/mlである薬剤感受性試験においては接種直後より被検微生物の消長を観察することができ、しかも在来法より大幅な培養時間の短縮が可能となる利点を有する。(H.Hojer,L.Nilsson,S.Aosehn and A.Thore,Scand.J.Infect.Dis.,Suppl.,9,58−61,1976及びA.Thore,L.Nilsson,H.Hojer,S.Ansehn and L.Brote,Acta Path.Microbiol.Scand.Sect.B,85,161−166,1977)。
【0004】
しかし、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)等のグラム陰性桿菌を被検微生物として用い、β−ラクタム抗生物質に対する薬剤感受性試験をこのATP法による微生物の薬剤感受性試験法で行うと、在来法では薬剤感受性の判定結果となる例も、この方法では全く反対の薬剤耐性、即ち偽耐性を示す例が数多く認められた(Vellend,H.,S.A.Tuttle,M.Barza,L.Weinstein,G.L.Picciolo and E.W.Chappelle.NASA Technical Note,1974)。
すなわち、従来のATP法による微生物の薬剤感受性試験法においては、被検微生物の薬剤偽耐性に基づく誤判定を招来し、判定結果の信頼性を害なう大きな欠点を有していた。
【0005】
従来のATP法による薬剤感受性試験法において招来する偽耐性は、以下に述べるように被検微生物が薬剤の影響によりスフェロプラスト化およびフィラメント化といった形態の変化をおこしつつも、生存していることが原因と考えられてきた。
即ち、上記の偽耐性は微生物の細胞壁の合成阻害を作用機作とするβ−ラクタム抗生物質で特に数多く認められ、これら抗生物質の存在下で被検微生物を培養すると、被検微生物は初めのうちはスフェロプラスト化及びフィラメント化といった形態の変化を示し生存しているが、更に培養を続けると、ついに周囲との浸透圧差から溶菌、死滅してしまう。このようなことからATP法による微生物の薬剤感受性試験法の判定所要時間である3〜5時間では被検微生物は形態変化をおこしつつ生存しているので耐性、一方、在来法の判定所要時間である16〜20時間では被検微生物は死滅してしまっており感受性、従って、ATP法による微生物の薬剤感受性試験法では偽耐性が生じる。
これまでにATP法による微生物の薬剤感受性試験法における偽耐性対策としては、培地を希釈したり、浸透圧の低い培地を用い、薬剤の影響によりフィラメント化及びスフェロプラスト化といった形態の変化した被検微生物を選択的に溶菌させる方法が知られている。(P.F.Wheat,J.G.M.Hastings and R.C.Spencer.J.Med.Microbiol.,25,95−99,1988及びE.G.Hornsten,L.E.Nilsson,H.Elwing,and I.Lundstrom,Diagn.Microbiol.Infect.Dis.,12,171−175,1989)。
しかし、これらの試みは特定の微生物を対象とする場合は有効であるが、幅広い微生物を対象とする薬剤感受性試験の本来の目的を考えると不適当である。
【0006】
一方また、ATP法による微生物の最小発育阻止濃度測定法においても、同様に偽耐性に基づく誤判定を招来し、判定結果の信頼性を害なう大きな欠点を有していた。
【0007】
また、近年薬剤による微生物の発育阻止効果が殺菌的に作用している薬剤の最小濃度、即ち最小殺菌濃度(MBC)の測定法や、微生物に薬剤を短時間接触し、薬剤がなくなった後も持続する増殖抑制効果(ポストアンティビオティック・イフェクト)(PAE)の測定法においても、同様な欠点を有していた。
MBCの測定は、最小発育阻止濃度を測定するために薬剤を含有する培地で一晩培養した被検微生物を、再度薬剤非含有培地で培養し、その再増殖が認められない薬剤の最小濃度を求めることにより行う。
またPAEの測定は、薬剤を含有する培地で2時間程度の短時間培養を行った後に薬剤非含有培地で1000倍に希釈して再度培養し、被検微生物の再増殖が認められるまでの時間を求めることにより行う。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、幅広い菌種に適応可能で、被検微生物の薬剤偽耐性に基づく誤判定を回避し、判定結果の信頼性が高い、ATP法による微生物の薬剤感受性試験法及び微生物の最小発育阻止濃度測定法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、EDTA(キレート化剤)、トリトンX−100、ツイーン20 、ツイーン40、アンヒト ール(界面活性剤)、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、 2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、エチルアミン、エタノールアミン(アミン類)が、薬剤の影響によりスフェロプラスト化及びフィラメント化といった形態の変化した被検微生物を選択的に溶菌し、ATPを溶出できることを発見した。
そして、ここで溶出したATPと培地中のその他のATPを消去した後、該培地に残存する被検微生物のATP量と、薬剤を含有しない培地で培養した被検微生物のATP量とを比較することにより、微生物の薬剤の偽耐性に基づく誤判定を回避し、判定結果の信頼性の高い微生物の薬剤感受性試験法が得られることを発見し、これらの知見に基づいて本発明を完成した。
【0010】
すなわち本発明は、 薬剤を含有する培地に被検微生物を接種、培養し、該薬剤の影響により形態の変化した被検微生物と正常な形態の被検微生物が共存する培地を得、該培地に形態の変化した該被検微生物のATP溶出剤及びATP消去剤を添加し、ここで溶出したATP及び該培地中のその他のATPを消去し、ついで該培地に残存する正常な形態の被検微生物のATP量と、該薬剤を含有しない培地で培養した被検微生物のATP量とを比較することを特徴とする微生物の薬剤感受性試験法である。また本発明は、(イ)薬剤の影響により形態の変化した被検微生物のATP溶出剤、(ロ)ATP消去剤、(ハ)正常な形態の被検微生物のATP抽出剤及び(ニ)ルシフェリン−ルシフェラーゼ系発光試薬を含有する微生物の薬剤感受性試験用キットである。また本発明は、薬剤を含有する培地に被検微生物を接種、培養し、該薬剤の影響により形態の変化した被検微生物と正常な形態の被検微生物が共存する培地を得、該培地に形態の変化した該被検微生物のATP溶出剤及びATP消去剤を添加し、ここで溶出したATP及び該培地中のその他のATPを消去し、ついで該培地に残存する正常な形態の被検微生物のATP量と、該薬剤を含有しない培地で培養した被検微生物のATP量とを比較することを特徴とする微生物の最小発育阻止濃度測定法である。また本発明は、(イ)薬剤の影響により形態の変化した被検微生物のATP溶出剤、(ロ)ATP消去剤、(ハ)正常な形態の被検微生物のATP抽出剤及び(ニ)ルシフェリン−ルシフェラーゼ系発光試薬を含有する微生物の最小発育阻止濃度測定用キットである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明は、先ず薬剤を含有する培地に被検微生物を接種、培養する。
ここに用いられる薬剤としては、抗生物質、抗菌剤、抗真菌剤など、通常の微生物の薬剤感受性試験を目的とする任意の薬剤が挙げられる。
そして、これら被検微生物と薬剤の組み合わせによっては、在来法では当該薬剤に対し感受性と判定されるが、ATP法による微生物の薬剤感受性試験法では反対の耐性(偽耐性)と判定され、判定結果が異なる場合がある。
本発明による微生物の薬剤感受性試験法は、このように在来法とATP法による微生物の薬剤感受性試験法とで判定結果が異なる場合に多大な貢献をなす。
そして、特にβ−ラクタム抗生物質を用いた場合に本発明の効果が最も良好に反映されるので、本発明においては特にβ−ラクタム抗生物質が好ましい。
【0012】
培地としては、被検微生物の生育増殖に好適な固体、液体あるいは半液体(ペースト)状の栄養培地が挙げられる。
培地は、天然、合成、あるいは半合成培地が挙げられる。
【0013】
被検微生物の培養は、当該微生物の生育に好適な温度、時間、pHとすることが好ましく、例えば、15〜50℃で、30分〜30日、pH4〜10が好ましい。
【0014】
本発明が適用される被検微生物としては、細菌、酵母菌、カビ、担子菌類など任意の微生物が挙げられる。
このうち在来法では感受性であると判定されるが、ATP法による微生物の薬剤感受性試験法では耐性(偽耐性)と判定されることがしばしば見られる微生物、例えば緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)等のグラム陰性桿菌を選択した場合に本発明の効果が良好に反映されるので、特に緑膿菌が好ましい。
【0015】
緑膿菌は、敗血症、髄膜炎、気管支炎、肺炎、創傷感染症(広範熱傷の創感染、褥創感染)などの感染症を引き起こす原因微生物であることが知られ、この微生物の当該薬剤に対する感受性、あるいは耐性を迅速に把握することは、その感染症を治療をする上で極めて重要である。
【0016】
このようにして、薬剤を含有する培地に被検微生物を接種して培養すると、該薬剤の影響により一部の被検微生物でフィラメント化及びスフェロプラスト化といった形態変化が認められる。
即ち、培地中に形態が変化した被検微生物と正常な形態の被検微生物が共存(共生)した状態となる。
【0017】
次に、この培地に薬剤の影響により形態変化した被検微生物を選択的に溶菌し、培地中にATPを溶出するATP溶出剤及びATP消去剤を添加し、溶出したATP及び培地中のその他のATPを消去する。
【0018】
本発明におけるATP溶出剤としては、キレート化剤、界面活性剤、アミン類の少なくとも1種が挙げられる。
【0019】
このうちキレート化剤としては、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロトリ酢酸、ビス−(O−アミノフェノキシ)−エタン−N,N,N´,N´−四酢酸、エチレングリコール−ビス−(β−アミノエチルエーテル)N,N,N´,N´−四酢酸、トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン四酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、クエン酸、アルギニン、ハイポザンチン、4,5−ジヒドロキシベンゼン−1,3−ジスルフォン酸、ナトリウムリン酸塩ガラス、クラウンエーテルタイプ化合物、それらの誘導体およびそれらの前駆体などの少なくとも1種が挙げられる。
これらは、0.5〜50mMの濃度範囲が好ましい。
【0020】
また界面活性剤としては、トリトンX−100、ツイーン20、ツイーン40等のノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤及びアンヒトール等のツビッターイオン界面活性剤などの少なくとも1種が挙げられる。
これらは、次の濃度範囲が好ましい。
トリトンX−100(ノニオン界面活性剤):0.0005〜0.05%
ツイーン20(同上):0.01〜0.5%
ツイーン40(同上):0.01〜0.5%
アンヒトール(ツビッターイオン界面活性剤):0.002〜0.2%
【0021】
またアミン類としては、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、エチルアミン、エタノールアミン等の類縁体および誘導体の少なくとも1種が挙げられる。
これらは、0.01〜5%の濃度範囲が好ましい。
【0022】
これらのATP溶出剤は、培地、被検微生物および薬剤の種類によって適宜濃度を検討することによって、形態の変化した被検微生物を選択的に溶菌し、該微生物からATPを溶出させることができる。
【0023】
ついでこの培地にATP消去剤を添加し、被検微生物から溶出したATP及び該培地中のそれ以外のATPを消去する。
【0024】
ATP消去剤としては、アデノシンヌクレオチドデアミナーゼ、ATPアーゼ、アデノシンリン酸デアミナーゼ、アピラーゼ、アルカリホスファターゼ、酸性ホスファターゼ、ヘキソキナーゼ、アデノシントリホスファターゼ等のATPを分解する任意の酵素が挙げられる。
これらは併用してもよい。
その添加量、消去の条件は、被検微生物から溶出したATP及び該培地中のその他のATPを消去するのに充分であり、かつこの後につづく発光測定工程に悪影響を及ぼさない程度の添加量、温度及び時間条件を採用する。
例えば、アデノシンヌクレオチドデアミナーゼの場合、添加量としては0.03〜3U/ml、15〜50℃、1〜60分が好ましい。
【0025】
ついで培地に残存する被検微生物のATP量と、対照すなわち該薬剤を含有しない培地で培養した被検微生物のATP量とを比較することにより、微生物の薬剤感受性を判定することができる。
【0026】
被検微生物のATP量の測定は、被検微生物に従来公知のATP抽出剤(界面活性剤、特に塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム等の第4級アンモニウム塩)を作用させて、該被検微生物よりATPを抽出し、抽出されたATP量を従来公知のATPの測定法により実施することができる。
【0027】
ATPの測定法としては、(1)Mg2+、ルシフェリン(発光素)及びルシフェラーゼ(発光酵素)を組合わせたATP測定用試薬(以下、ルシフェリン−ルシフェラーゼ系発光試薬という)を作用させ、放出された生物発光量を定量的に測定し、ATP量を求める方法(メソッヅ・オブ・エンザイマテック・アナリシス、第7巻、第357頁、1985年参照)、(2)グルコースの存在下で被検液中のATPにヘキソースキナーゼを作用させてグルコース−6−リン酸を生成せしめ、このグルコース−6−リン酸にNADPの存在下でグルコース−6−リン酸脱水素酵素を作用させ、生成したNADPHを340nmによる吸光度により測定する方法(同第7巻、第346頁、1985年参照)、(3)ヘキソキナーゼとピルベートキナーゼとを併用してD−グルコースからグルコース−6−リン酸を生成する反応を増幅し1−メトキシ−5−フェナジンメチルサルフェート及びイソルミノールを使用した発光によって定量する方法(特開昭64−23900号参照)及び(4)定量すべきATPとアデノシントリフォスファターゼ(ATPase)で代表されるATP分解酵素によりADPとリン酸に分解し、この分解によって生成したリン酸をモリブデン酸と反応させてリンモリブデン酸を生成し、このリンモリブデン酸をアスコルビン酸と反応させ、還元されて生成するモリブデンブルーに由来する青色の度合を測定する方法(特開平4−360700号参照)など、任意の手段が挙げられる。
そして、それらのうち、ATPにルシフェリン−ルシフェラーゼ系発光試薬を作用させ、放出された生物発光量を定量的に測定し、ATP量を求める方法が簡便、迅速に測定可能で、かつ測定値の精度と信頼性が高い結果が得られるので好ましい。
なお、上記発光反応を円滑に行うため、必要によりアルブミン、サイクロデキストリン、緩衝剤、キレート化剤等を加えてもよい。
【0028】
ルシフェリン−ルシフェラーゼ系発光試薬としては、発光にATPを必要とする系であればいかなるものも利用可能で、例えばホタル、ウミホタル、ラチア、発光ミミズ、ウミシイタケ等に由来するものが利用できるが、これらのうち好ましいのはホタル及びクローニングを行った微生物由来のものなどが挙げられる。
【0029】
ルシフェリン−ルシフェラーゼ系発光試薬を利用してATPを発光量として測定する試薬および発光量を測定する装置は市販されており、本発明を実施するに際してはこのような市販のキット及び装置を利用して被検微生物のATPを発光量として測定することができる。
【0030】
以下にそのルシフェリン−ルシフェラーゼ系発光試薬(ATP測定用試液)の一例を示す(BUNSEKI KAGAKU Vol.44,No.10,pp.845−851(1955)のp846参照)。
10mM 硫酸マグネシウム(Mgイオン)
0.30mM D−ルシフェリン(発光素)
1.0mM EDTA(安定剤)
1.0mM ジチオスレイトール(安定剤)
0.51mg/ml ゲンジホタルルシフェラーゼ(発光酵素)
0.2% ウシ血清アルブミン(BSA)(安定剤)
を含む50mM HEPES 緩衝液(pH7.8)
【0031】
こうして、ATP溶出剤と共にATP消去剤を用い、薬剤の影響により形態変化した被検微生物のATPと培地中のその他のATPを消去した後に、残存する被検微生物よりATPを抽出してその量をルシフェリン−ルシフェラーゼ系発光試薬を用いて測定し、得られたATP量(発光量)と、対照すなわち該薬剤を含有しない培地で培養した被検微生物のATP量(発光量)とを比較して、該薬剤に対する感受性を判定する。
対照と比較し、ATP量の減少が著しいものを感受性、大差ない場合を耐性として判定する。
【0032】
以下、実験例及び実施例を示して本発明をより具体的に説明する。
なお、以下に示す実験例及び実施例において使用する被検微生物、培地、薬剤の1例を以下に示す。
(1)培地:ミューラー・ヒントン培地(Mueller Hinton Broth( ディフコ社製))にCa2+およびMg2+を添加してそれぞれ終濃度を50mg/ml、25mg/mlに調整したカチオン・サプリメンテッド・ミューラー・ヒントン培地(Cation Supplemented Mueller Hinton Broth(CSMHB))を調製した。
(2)被検微生物:Pseudomonas aeruginosa ATCC 27853を上記培地で一晩培養し、生理食塩水で5×106CFU/mlに調整した菌懸濁液を得た。
(3)薬剤:いずれも抗生物質として知られる化合物で、略号および一般名を示す。
FOM:ホスホマイシン
ASPC:アスポキシシリン
PIPC:ピペラシリン
CEZ:セファゾリン
GM:ゲンタマイシン
TOB:トブラマイシン
EM:エリスロマイシン
ST:スルファメトキサゾール・トリメトプリム
S/C:スルバクタム・セフォペラゾン
AZT:アズトレオナム
I/C:イミペネム・シラスタチン
CAZ:セフタジジム
CP:クロラムフェニコール
【0033】
【実験例1】
β−ラクタム抗生物質であるPIPC(ピペラシリン)存在下で培養し、形態変化(フィラメント化)した被検微生物 Pseudomonas aeruginosa ATCC 27853からATPの溶出例
【0034】
(実験方法)
被検微生物Pseudomonas aeruginosa ATCC 27853を抗生物質PIPCを5μg/mlで含有(最少発育阻止濃度(MIC)の1.5倍の濃度)する5mlの液体培地CSMHBに終濃度5×105CFU/mlで接種し、37℃で3時間培養し、形態変化を生じた被検微生物を含有する「培養液a」を得た。
そこで得られた「培養液a」の光学顕微鏡写真(倍率100)を図1に示す。
図1には、抗生物質PIPCを含有する培地で3時間培養した被検微生物の形態が示される。抗生物質の影響によって形態が細長く変化(フィラメント化)した細胞が中央付近に観察される。
上記で得られた「培養液a」を100μlづつ5区分に分け、第1〜第4の各区分にそれぞれ25mMトリシン (pH7.75)に溶解した下記A〜DのATP溶出剤を添加し、また第5区分には緩衝剤成分である25mMトリシン ( pH7.75)のみを添加し、室温で30分放置した。
【0035】
(ATP溶出剤の種類と濃度)
A:5mM EDTA(キレート化剤)
B:0.005% トリトンX−100(ノニオン界面活性剤)
C:0.02% アンヒトール(ツビィターイオン界面活性剤)
D:0.2% 2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール(アミン類)
【0036】
次いで、50μlのルシフェリン−ルシフェラーゼ系発光試薬(商品名:ルシフェールLUプラス、キッコーマン(株)社製)を添加し、直後にルーマットLB9501(ベルトールド社製)を用い積算時間3秒間で発光量を測定した。
上記発光量は、形態が変化した被検微生物が上記ATP溶出剤の添加により溶出したATPと培養液中にもともと存在していたATPの和として測定できる。
測定結果を、第5区分のATP溶出剤を含まない25mMトリシン (pH7.75)の発光量を100とした場合の相対比として、表1の培養液aの列に示す。
表1の結果から、ATP溶出剤を添加した第1〜4の区分のATP濃度は、いずれもATP溶出剤を添加しない第5区分のそれと比べ約2倍以上に増加していることから、形態が変化した被検微生物からATPが溶出しているのがわかる。
【0037】
【比較例1】
一方、比較のため上記「抗生物質PIPCを含有する5mlの液体培地CSMHB」を用いる代わりに、「抗生物質PIPCを含有しない5mlの液体培地CSMHB」を用いる以外は全く同様にして、正常な形態の被検微生物を含有する対照の「培養液b」を得た。
その顕微鏡写真(倍率100)を図2に示す。
図2には、抗生物質PIPCを含有しない対照の培地で3時間培養した被検微生物の形態が示される。抗生物質の影響をうけない、正常な形態の被検微生物(楕円形細胞が1つだけのもの、あるいは2つ連結したもの)が観察される。
次いで、上記と同様に「培養液b」を100μlづつ5区分に分け、第1〜第4の各区分にそれぞれ25mMトリシン (pH7.75)に溶解した前記A〜DのATP溶出剤を添加し、また第5区分には緩衝剤成分である25mMトリシン ( pH7.75)を添加し、室温で30分放置した。
そして対照の「培養液b」の発光量を測定した。
その結果を同じく表1の培養液bの列に示す。
【0038】
【表1】
Figure 0003636849
【0039】
表1の結果から、薬剤を含有しない培地で培養し得られた対照の培養液bにおいては、ATP溶出剤を添加した第1〜4区分のATP濃度は、ATP溶出剤を添加しない第5区分のそれと殆ど同一であることから、ATP溶出剤の添加にも拘らず正常な被検微生物からのATPの溶出は生じていないことがわかる。
以上のことより、上記で示した4種類のATP溶出剤はいずれも薬剤の影響により形態変化した被検微生物を選択的に溶菌し、ATPを溶出させる効果のあることが判る。
【0040】
【実施例1】
(微生物の薬剤感受性試験用キットの調製例)
薬剤の影響により形態の変化した被検微生物のATP溶出剤として、EDTA 5mM及び2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール 0.5%とを含有するトリシン(緩衝剤)25mM(pH7.75)溶液と、ATP消去剤としてアデノシンヌクレオチドデアミナーゼ0.3 U/mlを含有するトリシン(緩衝剤)25mM(pH7.75)溶液とをそれぞれ調製した。
【0042】
【実施例2】
(緑膿菌のβ−ラクタム抗生物質に対する薬剤感受性試験)
表2の「薬剤の種類の欄」に掲げるβ−ラクタム抗生物質を所定の濃度で添加した薬剤含有液体培地CSMHBを、96ウエルマイクロタイタープレート(ダイナテック社製、白色)に100μlづつ分注した。
ついで、被検微生物Pseudomonas aeruginosa ATCC 27853の懸濁液を上記各ウエルに10μlずつ無菌的に接種(終濃度5×105CFU/ml)し、このプレートを37℃で3時間培養した。
ついで、以下の組成からなるATP溶出剤及びATP消去剤を含有する試薬を50μlづつ添加し、薬剤の影響により形態変化した被検微生物を選択的に溶菌し、ATPを溶出させ、同時に溶出したATPと該培地中のその他のATPの消去を行った。
【0043】
(ATP溶出剤及びATP消去剤を含有する試薬)
EDTA 5mM(ATP溶出剤)
2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール 0.5%(同上)
アデノシンヌクレオチドデアミナーゼ 0.3 U/ml(ATP消去剤)
トリシン(緩衝剤) 25mM
pH 7.75
【0044】
室温で30分間放置した後、50μlのATP抽出剤(0.2%塩化ベンザルコニウム)を添加した。
さらに50μlのルシフェリン−ルシフェラーゼ系発光試薬(2.5%のα−サイクロデキストリン溶液で溶解したルシフェールLUプラス、キッコーマン社製)を添加し、発光量をダイナテック社製のML3000を用い、レートアッセイにより測定し、被検微生物のATP量を測定した。
なお、上記α−サイクロデキストリンはATP抽出剤の中和の為に用いた。
【0045】
ついで上記被検微生物のATP量の測定方法において、抗生物質含有CSMHB培地に代えて、抗生物質非含有CSMHB培地を用いる以外は全く同様にして対照の被検微生物のATP量を測定した。
【0046】
以下の方法により、ATP法による微生物の薬剤感受性試験法の判定を行った。即ち、ATPインデックスを求め、以下の基準により感受性、耐性の判定を行った。
(感受性S、耐性Rの判定基準)
ATPインデックス=(X/Y)×100
X=抗生物質含有CSMHBの発光量
Y=抗生物質非含有CSMHBの発光量
ATPインデックス≦40:感受性(S)
ATPインデックス>40:耐性(R)
【0047】
【比較例1】
(従来のATP法及び在来法による緑膿菌のβ−ラクタム抗生物質に対する感受性試験)
比較のため、被検微生物Pseudomonas aeruginosa ATCC 27853のβ−ラクタム抗生物質に対する感受性試験を従来のATP法による薬剤感受性試験法(以下これを従来ATP法ということがある)、在来法である微量液体希釈法により実施した。
その結果を表2に示す。
なお、従来ATP法は、培養後直接50μlのATP抽出剤を添加し、50μlのルシフェリン−ルシフェラーゼ系発光試薬を添加して求めた発光量からATPインデックスを求め、判定した結果である。
また、在来法(微量液体希釈法)は日本化学療法学会が定める標準法に従って判定した結果である。
【0048】
【表2】
Figure 0003636849
【0049】
表2の結果から、従来ATP法による緑膿菌の薬剤感受性試験は、CEZでのみ在来法と判定結果が一致した。しかし、その他の薬剤では在来法と逆の耐性すなわち偽耐性が確認され、判定結果の信頼性が欠けることが判る。
これに対し、本発明のATP法による微生物の薬剤感受性試験法においては、CEZを含む全薬剤で在来法と完全に一致した。
即ち、本発明によれば、従来ATP法の微生物の薬剤の偽耐性に基づく誤判定を回避し、判定結果の信頼性の高い、ATP法による微生物の薬剤感受性試験法を提供できることが判る。
【0050】
【実施例3】
(緑膿菌のβ−ラクタム抗生物質以外の抗生物質に対する薬剤感受性試験)
実施例2の緑膿菌のβ−ラクタム抗生物質に対する薬剤感受性試験において、薬剤の種類を表3に記載のβ−ラクタム抗生物質以外の抗生物質とする以外は全く同様にして、薬剤感受性試験を実施した。
【0051】
【比較例(従来ATP法、在来法)】
比較のため、緑膿菌のβ−ラクタム抗生物質以外の抗生物質に対する感受性試験を、従来ATP法、在来法である微量液体希釈法により、上記比較例1と同様に実施した。
その結果を表3に示す。
本実施例、従来ATP法、在来法による薬剤感受性試験の判定結果をまとめて表3に示す。
【0052】
【表3】
Figure 0003636849
【0053】
表3の結果から、β−ラクタム抗生物質以外の抗生物質FOM(ホスホマイシン)の全濃度区分においては、在来法においては感受性の判定結果が得られるのに対し、従来ATP法では、耐性の判定結果となり、またST(スルファネトキサゾール・トリメトプリム)の50μg/ml濃度の区分においては、在来法においては耐性の判定結果が得られるのに対し、従来ATP法においては感受性の判定結果となり、判定結果の信頼性が害なわれることが判る。これに対し本発明のATP法による微生物の薬剤感受性試験法においては、いずれの区分も在来法と一致した。
また、従来ATP法でも在来法と一致する結果が得られたその他の薬剤においても本発明のATP法は変らず一致する結果を示した。
本発明によれば、緑膿菌のβ−ラクタム抗生物質以外の抗生物質に対する薬剤感受性試験においても微生物の薬剤の偽耐性に基づく誤判定を回避し、判定結果の信頼性の高い、微生物の薬剤感受性試験法を提供することができることが判る。以上の結果から、本発明の微生物の薬剤感受性試験法はβ−ラクタム抗生物質に限らず幅広い薬剤に適応できることが判る。
【0054】
【実施例4】
(緑膿菌以外の被検微生物における薬剤感受性試験)
緑膿菌以外の微生物、Escherichia coli ATCC 25922、Staphylococcus aureus ATCC 25923およびEnterococcus faecalis ATCC 29212を被検微生物とし、表4に記載の各種薬剤に対する感受性試験を従来ATP法、本発明のATP法による薬剤感受性試験法で行い、それぞれの結果を在来法(標準法)である微量液体希釈法と対比し、相関性を検討した。
実施例2と同様の方法により測定した。
各測定方法による判定結果を表4に示す。
【0055】
【表4】
Figure 0003636849
【0056】
表4の結果から、従来ATP法においては、Escherichia coli ATCC 25922を被検微生物とした際、β−ラクタム抗生物質(薬剤)であるPIPC、AZT、CAZにおいて偽耐性が確認された。
しかし、本発明によれば、その偽耐性が解消され、在来法との完全な相関が得られた。また、従来ATP法と在来法とで、判定結果が一致するその他の微生物、薬剤を、本発明のATP法による薬剤感受性試験に適用した場合、その判定結果は変らず在来法と一致することが判る。
即ち、本発明は緑膿菌に限らず幅広い菌種を被検微生物として、また薬剤に対して、判定結果の信頼性の高い微生物の薬剤感受性試験法を提供できることが判る。
【0057】
【実施例5】
(微生物の最小発育阻止濃度測定用キット)
(イ)薬剤の影響により形態の変化した被検微生物のATP溶出剤
EDTA 5mM
2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール 0.5%
(ロ)ATP消去剤
アデノシンヌクレオチドデアミナーゼ 0.3 U/ml
(イ)、(ロ)のいずれも緩衝液トリシン25mM溶液(pH7.75)として使用。
【0058】
【実施例6】
(微生物の最小発育阻止濃度(MIC)測定)
被検微生物Pseudomonas aeruginosa ATCC 27853の表5に記載された薬剤に対する微生物の最小発育阻止濃度を本発明法で測定し、在来法(標準法)である微量液体希釈法および寒天平板希釈法との相関性を検討した。
表5に記載された薬剤の100μg/mlから0.1 μg/mlまでの2倍希釈系列をCSMHBで作製し96ウエルマイクロタイタープレート(ダイナテック社製、白色)に100μlづつ分注した。
被検微生物Pseudomonas aeruginosa ATCC 27853の各薬剤の各濃度での感受性を実施例2に示す方法で判定した。
その結果感受性と判定された最も低い薬剤濃度を微生物の最小発育阻止濃度とした。
なお、在来法は、日本化学療法学会において定められた標準法に従って判定した。
その結果を表5に示す。
【0059】
【表5】
Figure 0003636849
【0060】
表5の結果から、本発明による微生物の最小発育阻止濃度は、在来法(微量液体希釈法、寒天平板希釈法)による測定値と、前後2段階の測定誤差範囲内で完全に一致した。
このことから、本発明によれば判定結果の信頼性の高い微生物の最小発育阻止濃度測定法を提供することができることが判る。
【0061】
【発明の効果】
本発明によれば、従来ATP法による微生物の薬剤の偽耐性に基づく誤判定を回避し、判定結果の信頼性の高い、微生物の薬剤感受性試験法及びそのキット、微生物の最小発育阻止濃度測定法及びそのキットを提供することができる。
また、本発明によれば、判定結果の信頼性の高い、薬剤の最小殺菌濃度(MBC)の測定法及び被検微生物に薬剤を短時間接触し、薬剤がなくなった後において持続する増殖抑制効果(ポストアンティビオティック・イフェクト)(PAE)の測定法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図面代用写真(光学顕微鏡写真、倍率100、抗生物質PIPCを含有する培地で3時間培養した被検微生物の形態を示す。抗生物質の影響によって形態が細長く変化(フィラメント化)した細胞が中央付近に観察される。)
【図2】図面代用写真(光学顕微鏡写真、倍率100、抗生物質PIPCを含有しない対照の培地で3時間培養した被検微生物の形態を示す。抗生物質の影響をうけない、正常な形態の被検微生物細胞(楕円形細胞が1つだけのもの、あるいは2つ連結したもの)が観察される)。

Claims (6)

  1. 薬剤を含有する培地に被検微生物を接種、培養し、該薬剤の影響により形態の変化した被検微生物と正常な形態の被検微生物が共存する培地を得、該培地に形態の変化した該被検微生物のATP溶出剤及びATP消去剤を添加し、ここで溶出したATP及び該培地中のその他のATPを消去し、ついで該培地に残存する正常な形態の被検微生物のATP量と、該薬剤を含有しない培地で培養した被検微生物のATP量とを比較することを特徴とする微生物の薬剤感受性試験法。
  2. 形態の変化した該被検微生物のATP溶出剤が、キレート化剤、界面活性剤、アミン類からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の微生物の薬剤感受性試験法。
  3. 次の(イ)〜(ニ)を含有する微生物の薬剤感受性試験用キット。
    (イ)薬剤の影響により形態の変化した被検微生物のATP溶出剤。
    (ロ)ATP消去剤。
    (ハ)正常な形態の被検微生物のATP抽出剤
    (ニ)ルシフェリン−ルシフェラーゼ系発光試薬。
  4. 薬剤を含有する培地に被検微生物を接種、培養し、該薬剤の影響により形態の変化した被検微生物と正常な形態の被検微生物が共存する培地を得、該培地に形態の変化した該被検微生物のATP溶出剤及びATP消去剤を添加し、ここで溶出したATP及び該培地中のその他のATPを消去し、ついで該培地に残存する正常な形態の被検微生物のATP量と、該薬剤を含有しない培地で培養した被検微生物のATP量とを比較することを特徴とする微生物の最小発育阻止濃度測定法。
  5. 形態の変化した該被検微生物のATP溶出剤が、キレート化剤、界面活性剤、アミン類からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項4記載の微生物の最小発育阻止濃度測定法。
  6. 次の(イ)〜(ニ)を含有する微生物の最小発育阻止濃度測定用キット。
    (イ)薬剤の影響により形態の変化した被検微生物のATP溶出剤。
    (ロ)ATP消去剤。
    (ハ)正常な形態の被検微生物のATP抽出剤
    (ニ)ルシフェリン−ルシフェラーゼ系発光試薬。
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