JPH09180910A - 電圧非直線抵抗体 - Google Patents

電圧非直線抵抗体

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JPH09180910A
JPH09180910A JP7337468A JP33746895A JPH09180910A JP H09180910 A JPH09180910 A JP H09180910A JP 7337468 A JP7337468 A JP 7337468A JP 33746895 A JP33746895 A JP 33746895A JP H09180910 A JPH09180910 A JP H09180910A
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Tomoaki Katou
智明 加東
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大きなバリスタ電圧を示す電圧非直線抵抗体
をうることを目的とする。 【解決手段】 本発明の電圧非直線抵抗体は酸化亜鉛を
主成分とし、酸化ビスマス、酸化アンチモンおよび希土
類元素の酸化物を添加して焼成した焼成体からなり、該
焼成体中にビスマス、アンチモンおよび前記希土類元素
から構成される酸化物相が存在せしめられてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電圧非直線抵抗体
(以下、単にバリスタともいう)に関する。詳しくは、
酸化亜鉛を主成分とする焼成体からなり、たとえば避雷
器、サージアブゾーバなどに好適に使用しうる、酸化亜
鉛を主成分とする電圧非直線抵抗体(以下、単に酸化亜
鉛バリスタともいう)に関する。
【0002】
【従来の技術】図3は酸化亜鉛を主成分とする電圧非直
線抵抗体の一般的な構造を示す外観説明図である。図3
において、7はアルミニウム電極、8は酸化亜鉛を主成
分とするセラミックスである。従来、避雷器などに用い
られる酸化亜鉛を主成分とする電圧非直線抵抗体は、主
成分である酸化亜鉛に、電圧非直線性の発現に必須であ
るといわれている酸化ビスマスをはじめ、電気特性の改
善に有効な添加物を添加した組成物を混合し、造粒、成
形、焼成の各工程を経た焼成体からなり、図3に示すよ
うに、この焼成体に側面高抵抗層(図示せず)およびア
ルミニウムなどからなる電極を設けることによって作ら
れている。
【0003】図4は一般的な電圧非直線抵抗体の結晶組
織の一部の微細構造を模式的に示す説明図であり、図5
は一般的な電圧非直線抵抗体の電流−電圧特性を示すグ
ラフである。図4において、1は亜鉛およびアンチモン
を主成分とするスピネル粒子、2は酸化亜鉛粒子、3は
ケイ酸亜鉛粒子、4は酸化ビスマス粒子、6は酸化亜鉛
結晶粒子内の双晶境界である。すなわち、亜鉛およびア
ンチモンを主成分とするスピネル粒子には、酸化亜鉛粒
子2に取り囲まれて存在するものと、酸化亜鉛粒子の三
重点(多重点)付近に存在するものの2種類の存在状態
があり、酸化ビスマス粒子4の一部分は多重点のみなら
ず、酸化亜鉛粒子2の境界に存在しているばあいもみら
れる。
【0004】酸化亜鉛を主成分とする粒子自身は単に抵
抗体として作用し、酸化亜鉛粒子2−酸化亜鉛粒子2の
境界部分で電圧非直線性を示すことは、ポイント電極を
用いた実験から明らかにされている。前記実験は、小さ
な電極をZnO粒界を隔てて置いたばあいとそうでない
ばあいの、電圧電流特性の違いを見たものである(ジ
ー.ディー.マハン、エル.エム.レビンソン、および
エイチ.アール.フィリップ(G. D. Mahan, L.M. Levin
son & H. R. Philipp)著、「酸化亜鉛バリスタ中の電気
伝導理論(Theory of conduction in ZnO varistor
s)」、ジャーナル オブ アプライド フィジックス
(J. Appl. Phys.) 50巻、4号、2799〜2812
頁、1979年(以下、文献1という))。また後述す
るように、この酸化亜鉛粒子−酸化亜鉛粒子の境界部分
(結晶粒界)の数がバリスタ電圧を決定することが実験
で確認されている(ティー.ケー.グプタ(T. K. Gupt
a)著、「酸化亜鉛バリスタの応用(Application of Zinc
Oxide Varistors)」、米国窯業協会誌(J. Am. Ceram.
Soc.)、73巻、7号、1817〜1840頁、199
0年(以下、文献2という)、など)。
【0005】電圧非直線抵抗体では図5に示した非直線
性しきい値電圧Vsが素子特性を表す重要なパラメータ
となる。このVs値は、避雷器が適用される送電系統に
対応して設定される。Vsは、V3mA(素子に3mA通電
した際の素子の両端電極間電圧(V))などを代表値と
して使用することが多い。素子の大きさを勘案すると、
3mAの電流値は約30〜150μA/cm2程度の電
流密度に相当する。酸化亜鉛素子のVs値は素子の厚さ
に比例する。
【0006】前記送電系統における系統電圧の高い、た
とえばUHV100万ボルト送電に使用される避雷器な
どでは、同一形状で従来の素子と同等のVS値をもつ素
子を積み上げたばあいには、直列積層枚数が増加し、そ
の結果、避雷器が大きくなること、および直列接続方式
が複雑化するため、電気的、熱的、機械的設計上の問題
点が多くなる。それゆえ、Vs値を素子の厚さで除して
えられる単位長さ当たりのVs値(たとえばV3mA(V/
mm):バリスタ電圧)の大きい素子を使用できれば、
素子1枚当たりの分担電圧が高くなるため、素子の直列
積層枚数を減らすことができ、これらの問題点を解決す
ることが可能となる。
【0007】従来の研究から、Vs値を制御しているの
は図4に示した素子の結晶組織中の酸化亜鉛粒子2の結
晶粒径であることが知られている。3mA程度の電流領
域は、素子の電圧−電流特性における非直線領域であ
り、実験的には式(1)が成立する。
【0008】 V3mA=k1/D(V/mm) (1) 式(1)中、k1は定数、Dは酸化亜鉛の平均粒子径で
ある。したがって1/Dは単位長さ当たりに存在する酸
化亜鉛粒子間の結晶粒界の数Ngに相当し、式(1)を
書き換えれば式(2): V3mA=k2・Ng(V/mm) (2) のように書き表すことができる。定数k2は酸化亜鉛素
子の1粒界当たりのバリスタ電圧を表していることがわ
かる(文献2)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】以上をまとめると、コ
ンパクトな避雷器を実現するために必要な電圧非直線抵
抗体に要求される電気特性として、バリスタ電圧を大き
くすることがあげられる。また素子の形状が従来と同一
であるばあい、素子のバリスタ電圧が大きくなると、大
きなエネルギー耐量値をもつことも当然要求される。
【0010】本発明はかかる課題を解決するためになさ
れたものであり、大きなバリスタ電圧を示す電圧非直線
抵抗体をうることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の電圧非直線抵抗
体は酸化亜鉛を主成分とし、少なくとも酸化ビスマスお
よび酸化アンチモンを副成分とし、さらに希土類元素の
酸化物を添加して焼成した焼成体からなり、該焼成体の
結晶組織中において、ビスマス、アンチモンおよび前記
希土類元素から構成される酸化物相が存在することを特
徴とする。
【0012】また、前記希土類元素がイットリウム、ホ
ルミニウム、エルビウムおよびイッテルビウムのいずれ
かであることが好ましい。
【0013】また、前記希土類元素をRと表わすとき、
前記希土類元素の酸化物R23を全組成中に0.5mo
l%含んでなることが好ましい。
【0014】さらに、前記酸化物相が前記焼成体中の粒
界に存在してなることが好ましい。
【0015】本発明において、イットリウム、ホルミニ
ウム、エルビウム、イッテルビウムのうち少なくとも1
種類の希土類元素(以下、単にRという)の酸化物を添
加したのち焼成することにより、焼成体中に、希土類元
素、ビスマス、アンチモンを含む酸化物相が生成され、
酸化亜鉛粒子の粒成長が抑制されて酸化亜鉛粒子の平均
結晶粒径が小さくなる。その結果、バリスタ電圧が大き
な電圧非直線抵抗体をうることができる。また、希土類
元素、ビスマス、アンチモンおよび酸素からなる酸化物
相は、焼成体中の粒界に存在する。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明にかかわる電圧非直線抵抗
体の主成分は酸化亜鉛である。酸化亜鉛の含有量は、バ
リスタ電圧を増加させる観点から、ZnOに換算して原
料中に90〜97mol%、なかでも92〜96mol
%含有されるように調整することが好ましい。
【0017】本発明にかかわる電圧非直線抵抗体の副成
分は酸化ビスマスと酸化アンチモンである。本発明にか
かわる電圧非直線抵抗体に含まれる酸化ビスマスは、通
常、平均粒子径が1〜10μmのものが用いられる。酸
化ビスマスの配合量は、5mol%より多いばあいに
は、酸化亜鉛粒子の粒成長抑制効果に対して逆効果を呈
するようになり、0.1mol%より少ないばあいに
は、漏れ電流が増加するため、電圧非直線抵抗体の原料
(以下、単に原料という)の中に0.1〜5mol%、
とくに0.2〜2mol%含有されるように調整するこ
とが電気特性上好ましい。
【0018】また、本発明にかかわる電圧非直線抵抗体
に含まれる酸化アンチモンは、通常、平均粒子径が0.
5〜5μmのものが用いられる。配合量は、5mol%
より多いばあいにはバリスタ電圧が高くなるが、酸化亜
鉛との反応物のスピネル粒子が多く存在するようになっ
て通電パスが大きく制限されるため、不均一性が増して
破壊しやすくなる。一方0.5mol%より少ないばあ
いには、酸化亜鉛粒子の粒成長抑制効果が充分に発現さ
れなくなるので、原料中に0.5〜5mol%、なかで
も0.75〜2mol%含有されるように調整すること
が電気特性上好ましい。
【0019】また、本発明にかかわる電圧非直線抵抗体
は、その添加成分として、希土類元素の酸化物を含有す
る。希土類元素の酸化物を含有せしめる目的は希土類元
素が添加されることによってZnO結晶の粒成長が抑制
されることにある。このとき、ZnO結晶は微細化され
るのでバリスタ電圧V3mA(V/mm)が増加する。こ
の効果は本発明にかかわる電圧非直線抵抗体の結晶組織
中にビスマス、アンチモンおよび前記希土類元素から構
成される酸化物相が存在することによってえられる。ま
た、希土類元素のなかでもイットリウム、ホルミニウ
ム、エルビウムおよびイッテルビウムは電気特性および
原料価格の観点で好ましい。これらの元素のいずれか
を、その酸化物のかたちR23で添加すると粒成長抑制
効果がえられる。また前記希土類酸化物としては、平均
粒子径が5μm以下の、通常、容易に入手しうるものが
用いられる。
【0020】また、本発明にかかわる電圧非直線抵抗体
において、前記電圧非直線抵抗体をなす焼成体のビスマ
ス、アンチモンおよび希土類元素から構成される酸化物
相が粒界に存在することが好ましい。各種の希土類元素
を添加してえられる電圧非直線抵抗体のうち、粒界にビ
スマス、アンチモンおよび希土類元素を含む酸化物相が
存在するもののみがZnO結晶の粒成長を抑制し、か
つ、バリスタ電圧V3mA(V/mm)を増加させること
ができる。また、前記酸化物相が焼成体の粒界に存在す
ることが好ましい。
【0021】また、本発明にかかわる電圧非直線抵抗体
が、電圧非直線性を改善させるために、酸化クロム、酸
化ニッケル、酸化コバルト、酸化マンガンおよび酸化ケ
イ素の1種以上を含有してもよく、これらは、通常平均
粒子径が10μm以下のものを用いることが好ましい。
また充分な電圧非直線性をうるためには、これらの成分
の配合量は、それぞれ原料中にNiO、Co34、Mn
34、SiO2に換算して0.1mol%以上含有す
る。しかし合計量で5mol%より該配合量が多いばあ
いには、スピネル相、パイロクロア相(スピネル相生成
反応の中間生成物)およびケイ酸亜鉛の量が多くなるこ
とから、エネルギー耐量の減少や電圧非直線性が低下す
る傾向がある。それゆえ、原料中に合計量で0.1〜5
mol%含有する。
【0022】また、本発明にかかわる電圧非直線抵抗体
に、酸化ビスマスをより低融点化させ、その流動性をよ
くし、粒子間などに存在する微細孔(ポア)を有効に減
少せしめる役割を果たさせるために、0.01〜0.1
mol%のホウ酸を原料中に含有せしめてもよい。
【0023】つぎに、前記原料からなる本発明の電圧非
直線抵抗体の製法について具体的に説明する。
【0024】前記原料の平均粒子径を適宜調整したの
ち、たとえばポリビニルアルコール水溶液などを用いて
スラリーを形成したのち、噴霧乾燥器などを用いて乾燥
・造粒し成形に適した顆粒をうる。
【0025】えられた顆粒にたとえば200〜500k
gf/cm2程度の加圧力で一軸加圧を施し、所定形状
の粉末成形体を作製する。粉末成形体から結合剤(ポリ
ビニルアルコール)を除去するために、該粉末成形体を
600℃程度の温度で予備加熱したのち焼成する。焼成
は、昇温速度を5〜100℃/時として昇温する昇温過
程、保持温度を1000〜1300℃として1〜10時
間保持する温度保持過程ののち、降温速度を0〜200
℃/時として室温まで冷却する降温過程を経ることによ
って行う。このとき昇温・降温速度は温度領域ごとに変
更してもよい。本焼成に関する昇温速度や保持温度など
の条件は、固相反応によって焼結反応が均一かつ充分に
進行し、素子を緻密化するための条件であり、X線回折
装置、熱重量分析装置(TG)または熱機械分析装置
(TMA)などを用いて分析した結果にもとづいて設定
することができる。
【0026】
【実施例】以下に、本発明にかかわる電圧非直線抵抗体
を実施例に基づいて、その製法にしたがってさらに詳細
に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定される
ものではない。
【0027】[実施例1]本実施例は、希土類元素の酸
化物としてY23を添加した例を示す。酸化ビスマス、
酸化クロム、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化マンガ
ンおよび酸化ケイ素の含有量がそれぞれ0.5mol
%、酸化アンチモンの含有量が1.2mol%、微量添
加物であるアルミニウムの含有量は硝酸塩水溶液として
0.004mol%とした。ホウ酸の含有量は0.08
mol%となるように調整した。希土類元素の酸化物は
23を0.5mol%となるように添加した。残部は
酸化亜鉛である。前述の原料をボールミルを用いて混合
粉砕したのち、噴霧乾燥器を用いて乾燥・造粒した。え
られた顆粒は平均粒径100μm程度であり、顆粒を金
型に充填して200〜500kgf/cm2程度の加圧
力で一軸加圧成形し、直径40mm、厚さ12mmの粉
末成形体を作製した。
【0028】えられた粉末成形体から結合剤(ポリビニ
ルアルコール)を除去するために、600℃で5時間予
備加熱した。そののち前述の焼成条件で焼成を行った。
【0029】[実施例2]本実施例は、希土類元素の酸
化物としてHo23を添加した例を示す。酸化ビスマ
ス、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化マ
ンガンおよび酸化ケイ素の含有量がそれぞれ0.5mo
l%、酸化アンチモンの含有量が1.2mol%、微量
添加物であるアルミニウムの含有量は硝酸塩水溶液とし
て0.004mol%とした。ホウ酸の含有量は0.0
8mol%となるように調整した。希土類元素の酸化物
はHo23を0.5mol%となるように添加した。残
部は酸化亜鉛である。前述の原料をボールミルを用いて
混合粉砕したのち、噴霧乾燥器を用いて乾燥・造粒し
た。えられた顆粒は平均粒径100μm程度であり、顆
粒を金型に充填して200〜500kgf/mm2程度
の加圧力で一軸加圧成形し、直径40mm、厚さ12m
mの粉末成形体を作製した。
【0030】えられた粉末成形体から結合剤(ポリビニ
ルアルコール)を除去するために、600℃で5時間予
備加熱した。そののち前述の焼成条件で焼成を行った。
【0031】[実施例3]本実施例は、希土類元素の酸
化物としてEr23を添加した例を示す。酸化ビスマ
ス、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化マ
ンガンおよび酸化ケイ素の含有量がそれぞれ0.5mo
l%、酸化アンチモンの含有量が1.2mol%、微量
添加物であるアルミニウムの含有量は硝酸塩水溶液とし
て0.004mol%とした。ホウ酸の含有量は0.0
8mol%となるように調整した。希土類元素の酸化物
はEr23を0.5mol%となるように添加した。残
部は酸化亜鉛である。前述の原料をボールミルを用いて
混合粉砕したのち、噴霧乾燥器を用いて乾燥・造粒し
た。えられた顆粒は平均粒径100μm程度であり、顆
粒を金型に充填して200〜500kgf/cm2程度
の加圧力で一軸加圧成形し、直径40mm、厚さ12m
mの粉末成形体を作製した。
【0032】えられた粉末成形体から結合剤(ポリビニ
ルアルコール)を除去するために、600℃で5時間予
備加熱した。そののち、前述の焼成条件で焼成を行っ
た。
【0033】[実施例4]本実施例は、希土類元素の酸
化物としてYb23を添加した例を示す。酸化ビスマ
ス、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化マ
ンガンおよび酸化ケイ素の含有量がそれぞれ0.5mo
l%、酸化アンチモンの含有量が1.2mol%、微量
添加物であるアルミニウムの含有量は硝酸塩水溶液とし
て0.004mol%とした。ホウ酸の含有量は0.0
8mol%となるように調整した。希土類元素の酸化物
としてはYb23を0.5mol%となるように添加し
た。残部は酸化亜鉛である。前述の原料をボールミルを
用いて混合粉砕したのち、噴霧乾燥器を用いて乾燥・造
粒した。えられた顆粒は平均粒径100μm程度であ
り、顆粒を金型に充填して200〜500kgf/cm
2程度の加圧力で一軸加圧成形し、直径40mm、厚さ
12mmの粉末成形体を作製した。
【0034】えられた粉末成形体から結合剤(ポリビニ
ルアルコール)を除去するために、600℃で5時間予
備加熱した。そののち、前述の焼成条件で焼成を行っ
た。
【0035】実施例1から実施例4までの組成を有する
焼成体試料の微細構造を観察する。図1はY23を添加
した例として本発明にかかわる電圧非直線抵抗体の微細
構造を模式的に示す説明図である。図2は図1の微細構
造にかかわるEPMA線分析結果をあわせて模式的に示
す説明図である。図2において、イットリウム、ビスマ
ス、アンチモン、ケイ素について分析線上における元素
分布が示されている。また図2はHo23、Er23
Yb23をそれぞれ添加したばあいでも同様にあてはま
る。図1において、1は亜鉛およびアンチモンを主成分
とするスピネル粒子、2は酸化亜鉛粒子、3はケイ酸亜
鉛粒子、4は酸化ビスマス粒子、5はイットリウム、ビ
スマス、アンチモンおよび酸素からなる酸化物相、6は
酸化亜鉛結晶粒子内の双晶境界である。図1に示すよう
に、焼成体試料の微細構造中にZnO結晶や亜鉛および
アンチモンを主成分とするスピネル相のほかに、添加し
た希土類元素イットリウム、ビスマス、アンチモンおよ
び酸素からなる酸化物相が存在することがSEM、EP
MAなどの分析法によって確認された。希土類元素の酸
化物を添加したばあい、バリスタ電圧の増加する希土類
元素と増加しない希土類元素およびそれらの中間的なバ
リスタ電圧を与える希土類元素の3種類に大別される。
これらのうち、バリスタ電圧の増加する希土類元素はイ
ットリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウ
ム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウ
ム、イッテルビウムおよびルテチウムの10元素であ
り、バリスタ電圧の増加しない希土類元素はランタンで
あり、中間的なバリスタ電圧を与える希土類元素はセリ
ウム、プラセオジム、ネオジムおよびサマリウムである
(特願平6−250670号)。このなかでイットリウ
ムなどのバリスタ電圧の増加する希土類元素を添加した
ばあい、それらの焼成体の微細構造は他の希土類元素を
添加してえられた焼成体の微細構造とは異なっている。
バリスタ電圧の増加する希土類元素を添加してえられた
焼成体の微細構造のみに観察される共通点として、希土
類元素が、主として希土類元素、ビスマス、アンチモン
および酸素からなる酸化物相として存在することを指摘
することができる。このなかでイットリウムを添加した
試料をEPMA線分析してえられた結果を図2に示す。
イットリウム、ビスマス、アンチモンの3元素が共存し
ていることが明らかである。ホルミニウム、エルビウ
ム、イッテルビウムを添加した試料でも同様な結果がえ
られた。酸化亜鉛バリスタにおいては、バリスタ現象は
その結晶粒界において発現しており、1粒界あたりのバ
リスタ電圧は組成や製造条件によらず2〜3V程度でほ
ぼ一定であるため、単位長さあたりのバリスタ電圧はZ
nO結晶の平均結晶粒径に反比例することが知られてい
る(文献1)。それゆえ、イットリウム、ユウロピウ
ム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホル
ミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウムおよび
ルテチウムがバリスタ電圧を増加させるということは、
これらがZnOの結晶粒成長を抑制する効果を有するこ
とを示しており、事実この抑制効果はZnOの平均結晶
粒径を評価することによって確認できる。これらのこと
を考え併せると、イットリウム、ユウロピウム、ガドリ
ニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エ
ルビウム、ツリウム、イッテルビウムおよびルテチウム
を添加した試料にのみ共通に観察されている希土類元
素、ビスマス、アンチモンおよび酸素からなる酸化物相
が、この結晶粒成長抑制効果と密接な関係を有すると結
論づけることができる。
【0036】本発明においては前述したようにZnO結
晶粒成長抑制効果の観点から選んだこれらの10種の希
土類元素のうちイットリウム、ホルミニウム、エルビウ
ムおよびイッテルビウムを添加してビスマス、アンチモ
ンおよび希土類元素からなる酸化物相を焼成体の微細構
造中における結晶粒界に存在せしめることによって粒成
長抑制効果を発現させる。
【0037】以上述べた実施の形態のうち、酸化ビスマ
ス、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化マ
ンガンおよび酸化ケイ素の含有量がそれぞれ0.5mo
l%、酸化アンチモンの含有量は1.2mol%、微量
添加物であるアルミニウムの含有量は硝酸塩水溶液とし
て0.004mol%、ホウ酸の含有量は0.08mo
l%、希土類酸化物の含有量はY23を0.5mol
%、残部を酸化亜鉛として配合した混合物を、1150
℃、5時間焼成した焼成体がもっとも好ましい電圧非直
線抵抗体であった。このときえられたバリスタ電圧は4
60V/mmであった。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、希土類酸化物を添加す
ることによって酸化亜鉛の結晶粒径の微細化が可能とな
り、バリスタ電圧の大きな電圧非直線抵抗体をうること
が可能となった。
【0039】本発明にかかわる電圧非直線抵抗体は酸化
亜鉛を主成分とし、酸化ビスマス、酸化アンチモンおよ
び希土類元素の酸化物を添加して焼成した焼成体からな
り、該焼成体中に、前記希土類元素、ビスマス、アンチ
モンおよび酸素からなる酸化物相を存在せしめたので粒
成長抑制効果が生じることにより大きなバリスタ電圧を
うる効果を奏する。
【0040】また、前記希土類元素をイットリウム、ホ
ルミニウム、エルビウムおよびイッテルビウムのいずれ
かとしたことにより原料価格を抑えつつ所望の電気特性
がえられるという効果を奏する。
【0041】また、前記希土類元素の酸化物R23を全
組成中に0.5mol%含ましめたので所望のバリスタ
電圧がえられるという効果を奏する。
【0042】さらに、前記希土類元素、ビスマス、アン
チモンおよび酸素からなる酸化物相を前記焼成体中の粒
界に存在せしめたので結晶粒成長が好適に抑制されると
いう効果を奏する。
【0043】本発明によるとバリスタ電圧が大きな電圧
非直線抵抗体をうることができ、たとえば避雷器の小型
化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかわる電圧非直線抵抗体の結晶組
織の一部の微細構造を模式的に示す説明図である。
【図2】 本発明にかかわる電圧非直線抵抗体の結晶組
織のEPMA線分析結果を模式的に示す説明図である。
【図3】 一般的な酸化亜鉛バリスタの構造を模式的に
示す説明図である。
【図4】 一般的な電圧非直線抵抗体の結晶組織の一部
の微細構造を模式的に示す説明図である。
【図5】 一般的な電圧非直線抵抗体の電圧−電流特性
を示すグラフである。
【符号の説明】
1 スピネル粒子、2 酸化亜鉛粒子、3 ケイ酸亜鉛
粒子、4 酸化ビスマス粒子、5 イットリウム、ビス
マス、アンチモンおよび酸素からなる酸化物相、6 双
晶境界、7 アルミニウム電極、8 酸化亜鉛を主成分
とするセラミックス。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化亜鉛を主成分とし、少なくとも酸化
    ビスマスおよび酸化アンチモンを副成分とし、および希
    土類元素の酸化物を添加して焼成した焼成体からなり、
    該焼成体中に、ビスマス、アンチモンおよび前記希土類
    元素から構成される酸化物相が存在することを特徴とす
    る電圧非直線抵抗体。
  2. 【請求項2】 前記希土類元素がイットリウム、ホルミ
    ニウム、エルビウムおよびイッテルビウムのいずれかで
    ある請求項1記載の電圧非直線抵抗体。
  3. 【請求項3】 前記希土類元素をRと表わすとき、前記
    希土類元素の酸化物R23を全組成中に0.5mol%
    含んでなる請求項2記載の電圧非直線抵抗体。
  4. 【請求項4】 前記酸化物相が前記焼成体中の粒界に存
    在してなる請求項1記載の電圧非直線抵抗体。
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